説明

壁面ボード

【課題】壁面ボードにおいて、メモ類を、押しピン等を使用することなく簡単に取り付けられるようにする。
【解決手段】薄板状のベース部材1の表面に、縦42列、横42列に整列された凸部2を設ける。凸部2は、円柱状の突起3とその頂部に突設されたピン部材4とによって構成する。凸部2には、ピン部材4が長いX凸部2A,ピン部材4が短いY凸部2Bとがある。メモ類をピン4に差し込むことにより、押しピン等を使用することなく、確実にメモ類を貼り付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモ類を貼り付ける壁面ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
メモやはがきやチケット等(以下「メモ類」という。)を貼り付けるピンアップボードが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものは、正面側が開放された枠材に、コルク製の板を嵌め込んで構成されている。押しピンや画鋲をメモ類に突き刺して、さらにコルク製の板に刺し込むことで、ピンアップボードにメモ類を貼り付けることができる。
【特許文献1】特開2002−259682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のピンアップボードによると、メモ類を貼り付けるために、押しピンや画鋲を使用する必要がある。このため、これらが不用意に落下した場合には、誤って踏んづけて怪我をするおそれがあり、さらに、コルク製の板には、メモ類を貼り付けたり剥がしたりするごとに、押しピンや画鋲による多数の穴が空くため、美称性に劣るという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、メモ類を貼り付けるのに押しピンや画鋲が不要で、したがってこれらが不用意に落下することに起因して怪我をするおそれがなく、また、押しピン等による美観を損ねる穴が空かない壁面ボードを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、メモ類を貼り付ける壁面ボードに関する。この発明に係る壁面ボードは、薄板状のベース部材と、前記ベース部材の表面側に立設されて前記メモ類が突き刺される多数のピン部材と、を備える、ことを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る壁面ボードにおいて、前記ベース部材の表面に、前後左右に整列された状態で、隣接する相互の間に仕切板を挟み込んで立てるための突起が多数形成され、前記ピン部材が前記突起の頂部に立設されている、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る壁面ボードにおいて、前記ピン部材として、長さが異なる2種類以上が設けられている、ことを特徴としている。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に係る壁面ボードにおいて、前記ベース部材は、裏面側に分割を容易にするためのスリットが設けられている、ことを特徴としている。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に係る壁面ボードにおいて、前記ベース部材の裏面に両面テープが貼着されている、ことを特徴としている。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に係る壁面ボードにおいて、前記ベース部材の少なくとも2箇所に、他部材に取り付けるための取付孔が形成されている、ことを特徴としている。
【0011】
請求項7に係る壁面ボードは、請求項1ないし6のいずれか1項に係る壁面ボードにおいて、前記ペース部材は、湾曲可能な軟質の合成樹脂によって形成されている、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によると、メモ類を、ベース部材の表面側に立設されたピン部材に突き刺すことで、押しピン等を使用することなく、壁面ボードに貼り付けることができる。このため、不要に落下した押しピン等を踏んづけることに起因する怪我を防止することができ、また、ベース部材に不要な穴が空くことがないので、美称性を損なうことがない。
【0013】
請求項2の発明によると、ベース部材の表面の突起と突起との間に仕切板を立てて、ベース部材の表面を区画することができる。
【0014】
請求項3の発明によると、例えば、長さの長いピン部材を適宜な間隔で配置することにより、大きなメモ類の上側と下側とをこれらのピン部材に刺し込むことで、確実に貼り付けることができる。
【0015】
請求項4の発明によると、スリットで割ったり、スリットに沿ってカッタで切断したりすることで、ベース部材を適宜な大きさに分割することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、両面テープにより、ベース部材を簡単に壁面に貼り付けることができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、例えば、取付孔に紐や針金を通すことで、他部材(例えば、屋外の柵や塀)に、ベース部材を簡単に取り付けることができる。
【0018】
請求項7の発明によると、ベース部材が湾曲可能なので、平らな壁面のみならず、湾曲した壁面や円柱形の柱の表面に倣って取り付けることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
【0020】
図1〜図5を参照して、メモ類を取り付けるための、本発明に係る壁面ボード10について説明する。ここでメモ類には、メモ、はがき、チケット、宝くじ等が含まれる。図1〜図5のうち、図1(a)は壁面ボード10の上面図、(b)は壁面ボード10の右側面図、(c)は壁面ボード10の下側面図である。図2は壁面ボード10の下面図である。図3は、X凸部2Aの拡大断面図である。図4は、Y凸部2Bの拡大断面図である。図5は、図1(b)中のC部の拡大図である。
【0021】
図1(a),(b),(c)に示すように、本発明に係る壁面ボード10は、薄板状のベース部材1と、このベース部材1の表面に形成された多数の凸部2(X凸部2A,Y凸部2B)を備えており、凸部2は、図3,図4に示すように、突起3とその頂部3aに立設されたピン部材4とを有している。そして、本実施形態においては、壁面ボード10は、上述のベース部材1と、多数の突起2と、ピン部材3とが合成樹脂によって一体的に成型されている。なお、以下では、大きさのイメージを掴むために、各寸法について一例をあげるが、本発明はこれらの寸法に限定されないのはもちろんである。
【0022】
ベース部材1は、縦、横とも295mm、厚さ1mmの正方形の薄板状に形成されている。
【0023】
ベース部材1の表面には、縦42列、横42列で正方形に整列されたほぼ円柱状の凸部2が形成されている。隣接する2つの凸部2間のピッチは、7mmに設定されている。なお、凸部2は、後述するように、ピン部材4の長さが長いX凸部2Aと、ピン部材4の長さが短いY凸部2Bとの2種類に分類される。凸部2は、図3,図4に示すように、円柱状の突起3と、その上部に突設されたピン部材4とによって構成されている。突起3は、図4に示すように、全体で4mmの高さがあり、このうち下側の1.5mmの部分は、直径が5mmのストレートに形成され、上側の残りの2.5mmは角度が2度のテーパが付けられている。突起3の裏面側には、1辺の長さが1.5mm(□1.5mm)で高さが3.5mmの正四角柱状の凹部3bが形成されている。ピン部材4は、直径が1mmであり、高さ(長さ)については、図3に示すものが2mmと長く、図4に示すものは1.5mmと短くなっている。ここで、2mmのピン部材4を有する凸部をX凸部2Aといい、1.5mmのピン部材4を有する凸部をY凸部2Bといって、両者を区別する。この区別に従うと、図1に示すように、X凸部2Aは、縦42列、横42列の凸部2のうち、縦については、上から1列目、11列目、21列目、22列目、32列目、42列目が、また、横については、左から1列目、11列目、21列目、22列目、32列目、42列目が、X凸部2Aとなっており、残りの凸部2は、Y凸部2Bとなっている。このように、ピン部材4に長さの異なる2種類のものを設けた理由は、例えば、サイズの小さいメモ類については、X凸部2AとY凸部2Bとのうちのいずれを使用して、メモ類をピン部材4に突き刺すようにしてもよいが、サイズの大きいメモ類については、図1(a)中の、間隔の離れた2列のX凸部2Aを使用して、そのメモ類を確実に保持することができるからである。
【0024】
上述のように、ベース部材1の表面に整列状態の多数の凸部2(X凸部2A、Y凸部2B)を設けることにより、隣接する2列の凸部2の間に凸部2の弾性を利用して、仕切板(不図示)を差し込んで立てることができる。これにより、壁面ボード10の表面を複数の区画に分割することができるので、例えば、1つの壁面ボード10を複数の人で使用するような場合に、各人ごとに区画を割り当てることができるので便宜である。なお、各突起3には、上述のようにテーパ(2度)が設けてあるので、仕切板の着脱は容易に行うことができる。仕切板としては、隣接する2個の突起3の間隙に応じた厚さを有する専用のものを使用するとよい。
【0025】
図2,図5に示すように、本実施形態では、ベース部材1の裏面側に、左右方向を向いたスリット5が、上下に3列形成されている。例えば、このスリット5をガイドとして、カッタを利用して、切り込みを入れてベース部材1を分割することにより、適宜な大きさの壁面ボード10として使用することができる。なお、ベース部材1の裏面1aにおけるスリット5が形成されている部分1bは、強度が低下するのを防止するためにベース部材1の厚さが1.5mmに設定されている。
【0026】
図1,図2に示すように、ベース部材1の4隅には、凸部2ではなく、直径5mmの取付孔6が穿設されている。この取付孔6は、壁面ボード10全体を屋外で使用する場合に、これらの取付孔6に例えば紐や針金を通して、取付対象物(例えば、柱、柵、塀等)に取り付ける際に使用するものである。
【0027】
上述のベース部材10の裏面には、両面テープ(不図示)が貼着されていて、壁面等(不図示)に対して簡単に取り付けられるようになっている。
【0028】
上述の構成の壁面ボード10は、X凸部2A及びY凸部2Bに立設されているピン部材4に、メモ類等を突き刺すことで、従来とは異なり、押しピンや画鋲を使用することなく、簡単にメモ類を貼り付けることができる。このため、押しピンや画鋲が不用意に落下して、踏みつける等の怪我が発生するおそれがなく、また、壁面ボード10には、押しピン等による穴が形成されることがないので、長期間使用した場合であっても美称性を損ねることはない。
【0029】
上述では、壁面ボード10を本来の使用態様である、壁面に取り付けて使用する場合を例に説明したが、本発明に係る壁面ボード10は、これに限定されず、例えば、ショウウインドウの中の棚(不図示)に水平に載置して、上述の凸部2の間に仕切板(不図示)を挟み込んで立てて、壁面ボード10の表面を複数に区画し、その区画された部分に商品を陳列することも可能である。
【0030】
上述の壁面ボード10は、全体を例えば、軟質の合成樹脂で形成し、ベース部材1の厚さも適宜な薄さに設定することにより、湾曲した壁面や円柱状の柱の表面に対してもそれに倣うようにして取り付けることができるので便宜である。
【0031】
なお、上述では壁面ボード10を、ベース部材1の表面に突起3を突設し、その頂部3aにピン部材4を設けて構成したが、これに代えて、例えば、突起3を省略して、長いピン部材4及び短いピン部材4を、ベース部材1の表面に直接設けるようにしてもよい。この場合でも、上述と同様に、メモ類をピン部材4に差し込んで有効に保持することができる。ただし、この場合には、仕切板を立てることはできない。
<実施形態2>
【0032】
図6を参照して、実施形態2に係る壁面ボード10Aについて説明する。図6に示す壁面ボード10Aは、図1に示す壁面ボード10において、Y凸部2Bのうち、X凸部2Aに隣接するY凸部2Bについて、すなわち図6(a)中の16個の正方形Sの線上に位置するY凸部2Bについては、ピン部材4を形成しないようにした。これにより、壁面ボード10Aの表面を手の指で触れることで、長いピン部材4を有するX凸部2Aを容易に識別できるので、X凸部2Aを使用して、メモ類を貼り付ける際に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態1の壁面ボードを説明する図であり、(a)は壁面ボードの上面図、(b)は壁面ボードの右側面図、(c)は壁面ボードの下側面図である。
【図2】壁面ボードの下面図である。
【図3】X凸部の拡大断面図である。
【図4】Y凸部の拡大断面図である。
【図5】図1(b)中のC部の拡大図である。
【図6】実施形態2の壁面ボードを説明する図であり、(a)は壁面ボードの上面図、(b)は壁面ボードの右側面図、(c)は壁面ボードの下側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ベース部材
2 凸部
2A X凸部
2B Y凸部
3 突起
3a 頂部
4 ピン部材
5 スリット
6 取付孔
10,10A
壁面ボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモ類を貼り付ける壁面ボードにおいて、
薄板状のベース部材と、
前記ベース部材の表面側に立設されて前記メモ類が突き刺される多数のピン部材と、を備える、
ことを特徴とする壁面ボード。
【請求項2】
前記ベース部材の表面に、前後左右に整列された状態で、隣接する相互の間に仕切板を挟み込んで立てるための突起が多数形成され、
前記ピン部材が前記突起の頂部に立設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の壁面ボード。
【請求項3】
前記ピン部材として、長さが異なる2種類以上が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の壁面ボード。
【請求項4】
前記ベース部材は、裏面側に分割を容易にするためのスリットが設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の壁面ボード。
【請求項5】
前記ベース部材の裏面に両面テープが貼着されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の壁面ボード。
【請求項6】
前記ベース部材の少なくとも2箇所に、他部材に取り付けるための取付孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の壁面ボード。
【請求項7】
前記ペース部材は、湾曲可能な軟質の合成樹脂によって形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の壁面ボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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