説明

壁面取付器具装置

壁面取付器具装置(10)は、器具(11)を作動の向きに支持するための器具支持体と、壁(13)に取り付けるために構成された筐体(12)であって器具支持体を収容する大きさに作られた筐体と、2対の支柱、通常は1対の短い支柱(14)および1対の長い支柱(15)を含み、各支柱対が対の支柱の間に延びる方形または矩形の支柱板(16)を含む取付手段とを含む。該取付手段は、前記器具支持体が壁と略平行共面にある閉姿勢と、前記器具支持体内に、上に、またはそれに取り付けられた器具が有効に作動するように前記器具支持体が壁から充分な距離をおいて配置される開姿勢との間で移動するように、前記器具支持体を前記筐体に取り付けるために前記筐体と前記器具支持体との間に作動的に介挿される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面取付器具装置に関する。本発明は主に、縦型グリルおよびトースタのような略垂直方向に配置される、食品を調理するための調理装置に向けられる。本発明は、1枚またはそれ以上のパンをトーストするための壁面取付トースト装置に特定の用途を有し、本明細書ではそのような用途に対し具体的に言及するが、本発明はこの分野の使用に限定されないことを理解されたい。
【背景技術】
【0002】
家庭、オフィス、および工場における空間の効率的な使用は常に、建築家および設計者の関心事である。作業台空間または床空間の使用を最小化することが最善であるというケースがあり、結果的に、器具、備品、および他の装置を壁または天井に取り付けるための幾つかの構成がもたらされている。同様の考慮は、人々が占有し、あるいは宿泊および/または長旅のために利用する、船舶、航空機、キャラバン、トレーラハウス、および旅客列車のような車両にも当てはまる。
【0003】
電気トースタは、1枚またはそれ以上のパンをトーストするために提供されたものであり、ほとんどの洋風厨房に一般的な器具である。一般的に、トースタは作業台取付器具であり、しばしば作業台頂面上に置かれたままになっている。空間の効率的な利用への注目が高まるだけでなく、他の厨房器具の普及もあいまって、空間のそのような使用を排除することが有利であろうと思われる。車両の場合、電気式または非電気式に関わらず、幾つかの種類の器具は、壁面取付構成を達成できれば有利である。
【0004】
本明細書では、垂直、水平、上、および下、ならびに類似の用語は、その典型的な使用に対する特定の向きで本発明を説明するために使用される。しかし、本発明は必ずしも特定の向きでの使用に限定されるとは限らない。
【0005】
本発明は、上述した問題の1つまたはそれ以上を緩和する壁面取付器具装置を提供することを目的とする。本発明の他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【発明の開示】
【0006】
上記を考慮して、本発明は1態様では概して、
器具を作動の向きに支持するための器具支持体と、
壁に取り付けるように構成された筐体であって、器具支持体を収容する大きさに作られた筐体と、
前記器具支持体が壁と略平行または共面にある閉姿勢と、前記器具支持体内に、上に、またはそれに取り付けられた器具が有効に作動するように前記器具支持体が壁から充分な距離をおいて配置される開姿勢との間で移動できるように、前記器具支持体を前記筐体に取り付けるために前記筐体と前記器具支持体との間に作動的に介挿された取付手段と、
を含む壁面取付器具装置に存する。
【0007】
別の態様では、本発明は概して、
略垂直向きで食品を調理するために適応された調理モジュールと、
壁に取り付けるために構成された筐体であって、調理モジュールを収容する大きさに作られた前記筐体と、
前記調理モジュールが壁と略平行共面にある閉姿勢と、前記調理モジュールが有効に作動するように前記調理モジュールが壁から充分な距離をおいて配置される開姿勢との間で移動できるように、前記調理モジュールを前記筐体に取り付けるために前記筐体と前記調理モジュールとの間に作動的に介挿された取付手段と、
を含む壁面取付調理装置に存する。
【0008】
好ましくは、調理モジュールはトースタの形を取り、その一般的形状は2つの直交寸法が第3の直交寸法より大きく、その向きは、より大きい直交寸法のうちの1つが略垂直となるようにする。したがってトースタは、典型的な壁の厚さ内で収容できる寸法を有すること、つまり、比較的薄く、その高さおよび幅の寸法がその厚さより多少大きいことが好ましい。また、壁器具装置を壁面取付調理装置として形成することも好ましい。そのような形態では、壁面取付器具装置が、トースタを載せることのできる器具受台を形成する器具支持体を含むことが好ましい。
【0009】
好ましくは、取付手段は2対の取付支柱を含み、各々が、筐体上または筐体内の相隔たる取付台(「筐体取付位置」)に枢着される1端(「筐体端」)を有する。各取付支柱の他端(「器具端」)は、器具支持体(「受台取付位置」)上または内の取付位置に枢着される。調理装置の形の器具の場合、それぞれの対の取付位置は、略垂直方向に整列して配設することが好ましい。他の用途の場合、それぞれの対の取付位置は、略水平方向に整列して配設することが好ましい。そのような形態では、筐体取付位置間の間隔は、受台取付位置間の間隔より大きいことが好ましく、それによって閉姿勢と開姿勢との間で移動するときの器具受台の軌跡は、閉姿勢から見て、軌跡の第1部分では、調理モジュールが壁の面に対して略平行のままで、それに対して略直角に移動し、かつ軌跡の第2部分では、調理モジュールが壁に略平行な軸線を中心に枢動または回転して、器具受台の面が壁の面に対して斜めとなるような軌跡を取る。
【0010】
縦型調理モジュールのような器具の場合、面は略垂直交線に沿って壁と交差することが好ましい。そのような形態では、その閉姿勢で、器具受台または調理モジュールが壁の厚さ内に実質的に位置すること、つまり、器具受台または調理モジュールの外面が壁の外面と略共面となるようにすることも好ましい。
【0011】
2対の支柱のうちの1対は、それらの器具端の落下を防止する補強をもたらす構成で、それらを相互に接続する交差筋違により補強することが好ましい。好適な形では、交差筋違は平板の形を取る。さらに好適な形では、平板および支柱は一体的に形成される。例えば、平板の対向縁部を折り曲げて、端部分が枢支取付台を組み込むのに充分な距離にわたって平板の端より先に延びるフランジを形成することができる。そのような形では、フランジの端部分は、本書で前述した別個の支柱の場合と実質的に同様に、調理モジュールおよび筐体に枢着される。
【0012】
本発明をより容易に理解し、かつ実施できるようにするために、本発明の好適な実施形態を示す添付の図面を参照しながらここに説明する。
【図面の詳細な説明】
【0013】
図には、同一装置が異なる角度から示され、調理モジュールは開姿勢と閉姿勢との間の位置の範囲内にある。各々の図において、同一参照番号は、装置の同一部分および要素を指す。最も多くの参照番号は図3に提示されているが、全ての参照番号が他の全ての図に掲げられているわけではない。
【0014】
図1乃至10に示す壁面取付調理装置10は、2対の支柱を備えた取付組立体によって筐体12に取り付けられた調理モジュール11を含む。筐体は、壁13と面一に取り付けられる。取付組立体は2対の支柱、名目上1対の短い支柱14および1対の長い支柱15を含み、各支柱対は対の支柱の間に延びる方形または矩形の支柱板16を含む。各支柱板は、支柱を形成するために同一方向に板の面に対して直角に上に折り曲げられたそれぞれの対向側面を有する。板の側面、つまり支柱は、取付位置に取り付けるために板の反対側の縁を越えて延び、各支柱の1端は調理モジュールに取り付けられ、各支柱の他端は筐体に取り付けられる。長短支柱対の長さの選択、ならびに調理モジュールおよび筐体上の取付位置間の間隔は、調理モジュールが開姿勢と閉姿勢との間で複合軸線を中心に回転するように、複合ヒンジを提供するために四辺形構造に構成される。
【0015】
特に図1および4に示すように、図10に示す閉姿勢に近いとき、壁と面一である調理モジュールは、図7に示すように開と閉との間の約中間位置まで、全体的に壁からほとんど離れるように外に移動する。図7に示す位置で、短い支柱対は、調理モジュールの面と実質的に整列する。調理モジュール21の遠端を矢印22の方向に枢動すると、短い支柱対が調理モジュールの面を超えて反転し、開姿勢に近い調理モジュールの枢軸はほぼ、調理モジュール上の長い支柱対の取付位置間の軸になる。これは、開姿勢の調理モジュールが壁に対して略直角かつ筐体の略中心になることを可能にする。そのような構成は、図示した調理モジュールの遠端における制御装置に容易にアクセスすることを可能にすると共に、図示した種類の調理モジュール(トースタ)の場合、通常の方法で上から調理すべき食品を調理モジュールに出し入れすることを可能にする。
【0016】
使用にあたって、本発明に係る壁面取付調理装置は、そのような装置のために使用される作業台空間の量を低減するために、住居、業務用厨房などのような新しい場所に設置することができる。言うまでもなく、本発明に係る壁面取付調理装置は、既存の厨房に改造設置することができる。装置は、希望、必要、または許可に応じて、閉位置にあるときに調理装置の偶発的な作動を防止するための電気結線および安全スイッチを含むことができる。閉姿勢のときに壁の表面と面一に配置される調理モジュールの表面の仕上は、壁面と同一材料または仕上から選択することができ、あるいは希望に応じて別個の仕上げまたは装飾仕上げを適用することができる。手入および/または掃除のために取り外すことができるように、受台またはフレームなどに調理モジュールを取り付ける構成にすることもできる。
【0017】
一般的に、調理装置はトースタである。該トースタは、それが壁に取り付けられることを除いては、トースタの通常の方法で使用することができ、そのような使用後に折り畳んで壁と面一にすることができる。しかし、他の器具は器具受台内で使用するように適応させることができ、その一部は水平面まで枢動して外に出すのにより適しており、他は、調理モジュールに関連して記載したように、枢動して外に出すのにより適していることは理解されるであろう。さらなる例として、サンドイッチトースト装置、雑誌ホルダ、ボトルラック、筆記板などが挙げられるが、それらに限定されない。一般的に言うと、壁が標準的な厚さである場合の取付では、本発明の壁面取付器具装置は、標準的な厚さの壁の制限範囲内に収まる器具を受容し、あるいはそこに取り付けさせるように適応されることは理解されるであろう。しかし、用途によっては、特に船舶をはじめとする車両の場合、壁は、外壁またはバルクヘッドから多少の距離をおいて羽目板から形成される内壁または仮壁とすることができ、それによって本発明の壁面取付器具装置は、多少嵩張る形状構成の装置をそれに取り付けるように適応させることができる。
【0018】
1つまたはそれ以上の具体的な実施例に関連して本発明を説明したが、本発明は別の形で具現することができることを当業熟練者は理解されるであろう。例えば調理装置に関連する、壁に当接してまたは壁内に折り畳んでしまう構成は、特許請求の範囲に記載する本発明の広い範囲および領域から逸脱することなく、例えばランドリディスペンサ(laundry dispenser)、歯ブラシホルダ、トイレ用ブラシホルダ、雑誌ホルダ、トイレットペーパホルダなどの他の家庭用器具に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】上および1端から見た本発明に係る壁面取付調理装置の絵画図である。
【図2】装置の他端から見た図1の壁面取付調理装置の絵画図である。
【図3】より開姿勢の調理モジュールを示す、図2および3の壁面取付調理装置の絵画図である。
【図4】図1および2に示す図から更に正面方向から見た近閉姿勢の調理モジュールを示す、図1乃至3の壁面取付調理装置の絵画図である。
【図5】更にわずかに開いた開姿勢の調理モジュールの正面よりの図を示す、図1乃至4の壁面取付調理装置の絵画図である。
【図6】開姿勢の調理モジュールを示す、図1乃至5の壁面取付調理装置の絵画図である。
【図7】開姿勢と閉姿勢との間のほぼ中間にある調理モジュールを示す、図1乃至6の壁面取付調理装置の絵画図である。
【図8】上よりの方向から見た図6に示した壁面取付調理装置の絵画図である。
【図9】横上から見た図8の壁面取付調理装置の絵画図である。
【図10】閉姿勢の調理モジュールを示す、図1乃至9に示した壁面取付調理装置の背面の絵画図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具を作動の向きに支持するための器具支持体と、
壁に取り付けるように構成された筐体であって、前記器具支持体を収容する大きさに作られた筐体と、
前記器具支持体が壁と略平行共面にある閉姿勢と、前記器具支持体内に、上に、またはそれに取り付けられた器具が有効に作動するように前記器具支持体が壁から充分な距離をおいて配置される開姿勢との間で移動できるように、前記器具支持体を前記筐体に取り付けるために前記筐体と前記器具支持体との間に作動的に介挿される取付手段と、
を含む壁面取付器具装置。
【請求項2】
略垂直の向きに食品を調理するように適応された調理モジュールと、
壁に取り付けるために構成された筐体であって、前記調理モジュールを収容する大きさに作られた筐体と、
前記調理モジュールが壁と略平行共面にある閉姿勢と、前記調理モジュールが有効に作動するように前記調理モジュールが壁から充分な距離をおいて配置される開姿勢との間で移動できるように、前記調理モジュールを前記筐体に取り付けるために前記筐体と前記調理モジュールとの間に作動的に介挿される取付手段と、
を含む壁面取付調理装置。
【請求項3】
前記調理モジュールがトースタの形を取り、その一般的形状は2つの直交寸法が第3の直交寸法より大きく、その向きはより大きい直交寸法のうちの1つが略垂直となるように構成された、請求項2に記載の壁面取付調理装置。
【請求項4】
請求項1または2に従って、壁面取付調理装置として形成された、請求項1に記載の壁面取付器具装置。
【請求項5】
前記取付手段が2対の取付支柱を含み、その各々の1端(「筐体端」)が筐体上または内の相隔たる取付位置(「筐体取付位置」)に枢着され、かつそのそれぞれの他端(「器具端」)が器具支持体上または内の相隔たる取付位置(「受台取付位置」)に枢着される、請求項4に記載の壁取付器具装置。
【請求項6】
筐体取付位置間の間隔が受台取付位置間の間隔より大きく、それによって閉姿勢と開姿勢との間で移動するときの前記器具受台の軌跡が、閉姿勢から見て、軌跡の第1部分では、調理モジュールが壁の面に対して略平行のままで、それに対して略直角に移動し、かつ軌跡の第2部分では、調理モジュールが壁に略平行な軸線を中心に枢動または回転して、器具受台の面が壁の面に対して斜めとなるような軌跡を取る、請求項5に記載の壁面取付器具装置。
【請求項7】
前記対の支柱の少なくとも1対が平板の形の交差筋違により補強される、請求項5または6に記載の壁面取付器具装置。
【請求項8】
前記平板および支柱が一体的に形成される、請求項7に記載の壁面取付器具装置。
【請求項9】
図1乃至10に関連して明細書に実質的に記載した壁面取付調理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−511810(P2008−511810A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528528(P2007−528528)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001339
【国際公開番号】WO2006/024110
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507069597)
【Fターム(参考)】