説明

変動荷重センサ及びこれを用いた触覚センサ

【課題】 簡単な構造で剪断方向の変動荷重又は/及び圧縮方向の変動荷重を検知することができる変動荷重センサを提供する。
【解決手段】 被測定物に付着されて使用される変動荷重センサであって、圧電フィルムの表面上に離間して配設された一対の同一形状の表電極と、該表電極及び前記圧電フィルムの表面を覆う表歪増幅部材と、該表歪増幅部材の上面に配設された荷重伝達部材と、前記圧電フィルムの裏面上に前記表電極と同一形状で投影面が重なる一対の裏電極と、該裏電極及び前記圧電フィルムの裏面を覆う前記表歪増幅部材と同質の裏歪増幅部材と、を有してなり、前記一対の表又は裏電極は、それぞれ前記荷重伝達部材の対称軸に対して対称、かつ、該荷重伝達部材の投影面に重ならないように配設され、前記一対の表電極と前記一対の裏電極とは、対角位置に存在する電極同士が短絡されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物に付着されて使用される変動荷重センサに関する。とくに、被測定物に負荷される剪断方向の変動荷重又は/及び圧縮方向の変動荷重を検知することができる変動荷重センサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮や引張等の垂直方向の変動荷重を検知することができるセンサは、歪みゲージをはじめ種々のものが知られている。これに対し、剪断方向の変動荷重を検知することができるセンサの発明例は少ないが、近年ロボットアームの触覚センサが注目されており、触覚センサ等に利用することができる剪断又は/及び圧縮方向の変動荷重を検知することができる変動荷重センサがいくつか提案されている。
【0003】
特許文献1には、計測対象となる物体表面に当接される下板と、この下板と略平行を保ちつつ、前記物体表面に作用するせん断力を受ける上板とが、せん断方向に相対移動可能に一体化され、前記上下板間に内設されるひずみゲージが、せん断力を検知する検知端部の一端を前記上板に、他端を前記下板に連結されたせん断計測センサであって、前記上板と下板とが可撓性を有する剪断計測センサが提案されている。
【0004】
特許文献2には、基板上に水平方向に並べて配置された少なくとも2つの感圧素子と、各感圧素子の前記基板と反対側の面と接触し、前記感圧素子の反対側に突出部を有する接触子とを設け、接触子が対象物と接触して圧縮力と剪断力を受けて曲げ変形するときに2つの感圧素子に作用する力を利用して、対象物から受ける圧縮方向の荷重と剪断方向の荷重を検出することができる組み立てロボット等のマニピュレータに用いて好適な皮膚感覚センサが提案されている。
【0005】
特許文献3には、円板状の第1の起歪部と、前記第1の起歪部の周縁をほぼ等角度で4分割する位置より板状に延設され、前記第1の起歪部の脚となって前記第1の起歪部を支持する構造の第2ないし第5の起歪部と、前記第2ないし第5の起歪部それぞれより前記第1の起歪部とは異なる側に延設された第1ないし第4の足部と、前記第1の起歪部の円板面上に着設されたダイアフラム状の第1の歪ゲージと、前記第2ないし第5の起歪部の板面上にそれぞれ着設された第2ないし第5の歪ゲージとからなる触圧センサが提案されている。
【0006】
特許文献4には、基板と、該基板上に対象物との接触感覚を検出する検出部と、該検出部に接続され、該検出部から出力された信号を処理する処理回路とを備えた触覚センサにおいて、上記検出部は、引張り力および圧縮力を検出する第1の感圧素子と、上記第1の感圧素子上に形成され、上記対象物と接触する接触面を有する第1の接触子とを備え、さらに、上記第1の接触子において、上記対象物との接触面は、上記第1の感圧素子と接している面と平行であり、かつ、上記対象物との接触面の中心位置は、上記第1の感圧素子と接している面の中心位置からずれている触覚センサが提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000-136970号公報
【特許文献2】特公平04-48597号公報
【特許文献3】特開2004-245717号公報
【特許文献4】特開2004-226380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような従来の剪断方向又は/及び圧縮方向の荷重を検知することができるセンサは複雑な構造をしている。また、ある程度の厚みを必要とする構造をしており、種々の形状の被測定物に付着して剪断方向の荷重や圧縮方向の荷重を簡便に測定するということはできない。さらに、これらのセンサはそのセンサに作用する非常に狭い範囲の荷重しか検知することができないので、実用的なセンサ、例えばロボットのマニュピュレータ等の触覚センサを構成するには、そのようなセンサを多数配列して触覚センサを構成なければならならず、各センサからの信号を処理するための特別の装置も設けなければならない。このように、従来のセンサは、複雑でサイズの大きいものになるばかりか、高価であるという問題がある。なお、特許文献1に提案されたセンサは、比較的厚さの薄いセンサを構成することができるが、圧縮荷重を測定するセンサを構成するのが構造上困難であるという問題がある。
【0009】
本発明は、係る従来の問題点に鑑み、簡単な構造を有し、様々な形状の被測定物に作用する広い範囲の剪断方向の変動荷重又は/及び圧縮方向の変動荷重を検知することができる変動荷重センサ及びこれを用いた触覚センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る変動荷重センサは、被測定物に付着されて使用される変動荷重センサであって、圧電フィルムの表面上に離間して配設された一対の同一形状の表電極と、該表電極及び前記圧電フィルムの表面を覆う表歪増幅部材と、該表歪増幅部材の上面に配設された荷重伝達部材と、前記圧電フィルムの裏面上に前記表電極と同一形状でその投影面に重なる一対の裏電極と、該裏電極及び前記圧電フィルムの裏面を覆う前記表歪増幅部材と同質の裏歪増幅部材と、を有してなり、前記一対の表又は裏電極は、それぞれ前記荷重伝達部材の対称軸に対して対称、かつ、該荷重伝達部材の投影面に重ならないように配設され、前記一対の表電極と前記一対の裏電極とは、対角位置に存在する電極同士が短絡されてなる。
【0011】
また、上記構成に、さらに、表歪増幅部材の下面側で圧電フィルムの表面上に設けられ荷重伝達部材の対称軸に対称、かつ、一対の表電極と重ならない表中央電極と、裏歪増幅部材の下面側で前記圧電フィルムの裏面上に設けられ前記表中央電極と同一形状でその投影面に重なる裏中央電極とから形成される一対の中央電極を設けてなる。
【0012】
さらに、被測定物に付着されて使用される変動荷重センサであって、第1圧電フィルムの表面上に離間して配設された一対の同一形状の第1表電極と、前記第1圧電フィルムの裏面上に前記第1表電極と同一形状でその投影面に重なる一対の第1裏電極とを有する第1センサ要素と、該第1センサ要素に直交して接合され、第2圧電フィルムの表面上に離間して配設された一対の同一形状の第2表電極と、前記第2圧電フィルムの裏面上に前記第2表電極と同一形状でその投影面に重なる一対の第2裏電極と、を有する第2センサ要素と、前記第1及び2圧電フィルムの表面と第1及び2表電極を覆う表歪増幅部材と、該表歪増幅部材の上面に配設された荷重伝達部材と、前記第1及び2圧電フィルムの裏面と第1及び2裏電極を覆う前記表歪増幅部材と同質の裏歪増幅部材と、を有してなり、前記第1圧電フィルムと前記第2圧電フィルムとは同等の分極特性を有し、前記一対の第1表又は裏電極は、それぞれ前記荷重伝達部材の対称軸に対して対称、かつ、該荷重伝達部材の投影面に重ならないように配設され、前記一対の第2表又は裏電極は、それぞれ前記荷重伝達部材の対称軸に対して対称、かつ、該荷重伝達部材の投影面に重ならないように配設され、前記一対の第1表電極と前記一対の第1裏電極とは対角位置に存在する電極同士が短絡され、前記一対の第2表電極と前記一対の第2裏電極とも対角位置に存在する電極同士が短絡されてなることができる。
【0013】
また、さらに、表歪増幅部材の下面側で第1圧電フィルムの表面上に設けられ荷重伝達部材の対称軸に対称、かつ、一対の第1表電極と重ならない第1表中央電極と、裏歪増幅部材の下面側で前記第1圧電フィルムの裏面上に設けられ前記表中央電極と同一形状でその投影面に重なる第1裏中央電極とから形成される一対の第1中央電極を設けてなることができる。
【0014】
また、表歪増幅部材の下面側で前記第2圧電フィルムの表面上に設けられ荷重伝達部材の対称軸に対称、かつ、一対の第2表電極と重ならない第2表中央電極と、裏歪増幅部材の下面側で第2圧電フィルムの裏面上に設けられ前記第2表中央電極と同一形状でその投影面に重なる第2裏中央電極とから形成される一対の第2中央電極を設けてなることができる。
【0015】
さらに、表歪増幅部材の下面側で第1圧電フィルムの表面上に設けられ荷重伝達部材の対称軸に対称、かつ、一対の第1表電極と重ならない第1表中央電極と、裏歪増幅部材の下面側で前記第1圧電フィルムの裏面上に設けられ前記表中央電極と同一形状でその投影面に重なる第1裏中央電極とから形成される一対の第1中央電極と、該第1中央電極と同一形状を有し、表歪増幅部材の下面側で前記第2圧電フィルムの表面上に設けられ荷重伝達部材の対称軸に対称、かつ、一対の第2表電極と重ならない第2表中央電極と、裏歪増幅部材の下面側で第2圧電フィルムの裏面上に設けられ前記第2表中央電極と同一形状でその投影面に重なる第2裏中央電極とから形成される一対の第2中央電極とを有してなり、前記第1表中央電極が、該第1表中央電極と同じ極性を有する第2表又は裏中央電極と短絡され、前記第1裏中央電極が、該第1裏中央電極と同じ極性を有する第2表又は裏中央電極と短絡されてなることができる。
【0016】
上記発明において、歪増幅部材は、圧電フィルムよりも低弾性率であるのがよく、荷重伝達部材は、歪増幅部材よりも高弾性率であるのがよい。
【0017】
上記変動荷重センサを、湾曲し頂部に荷重伝達部材を配設することができる台座に付着させロボットハンド等に用いて好適な触覚センサを構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る変動荷重センサは、簡単な構造を有し、薄いシート状のセンサを形成することができる。また、様々な形状の被測定物に作用する広い範囲の変動荷重を容易に検知することもできる。さらに、この変動荷重センサを用いてロボットハンドに好適な触覚センサを構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明に係る変動荷重センサの実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本変動荷重センサの構成を示す模式図であり、図1(a)が断面図、図1(b)が平面図である。図2は、本変動荷重センサの電気回路図である。図1に示すように、本変動荷重センサ10は、圧電フィルム11と、圧電フィルム11の表裏面に配設された電極12と、圧電フィルム11及び電極12を覆う歪増幅部材16と、歪増幅部材16の上面に配設された荷重伝達部材19を有している。
【0020】
圧電フィルム11は公知のものを使用することができる。例えば、フィルムの厚みが40〜100μm、縦弾性係数が2000〜4000MPa、ポアソン比が0.3〜0.35のPVDF(ポリフッ化ビニリデン、Polyvinylidene fluoride)を使用することができる。
【0021】
電極12は、圧電フィルム11の表面に互いに離間して配設された一対の電極13Aと13B、および、圧電フィルム11の裏面に互いに離間して配設された一対の電極14Aと14Bからなり、すべて同一形状を有する。また、圧電フィルム11の裏面の電極14Aは、表面の電極13Aの投影面に重さなるように、電極14Bは、表面の電極13Bの投影面に重さなるように配設されている。
【0022】
これらの電極12は、圧電フィルム11にアルミニウムを蒸着し、導電性塗料を塗布し又は銅等のスパッタリングにより形成することができる。この電極12は、圧電フィルム11の変形を阻害することなくその変形に追従でき、導電性に優れたものであればよい。以下に説明するように電極の大きさ形状及び配設位置はセンサの感度に関係するから、圧電フィルム11に所定のマスキングを行った後に蒸着又はスパッタリングにより、あるいは、圧電フィルムの面全体に蒸着又はスパッタリングにより電極を形成した後に不要な部分を腐蝕液等で除去して電極12を形成するのがよい。なお、圧電フィルム11の表裏面に設けられる一対の電極13Aと13B及び14Aと14Bは、電極13Aと14A、または、電極13Bと14Bの縁部が接触して短絡しないように、これらの電極12の縁部は、圧電フィルム11の縁部からわずかに内側にくるようにするのがよい。
【0023】
歪増幅部材16は、圧電フィルム11の表面と一対の電極13Aと13Bを覆う表歪増幅部材17と、圧電フィルム11の裏面と一対の電極14Aと14Bを覆う裏歪増幅部材18とからなり、表歪増幅部材17と裏歪増幅部材18とは縦及び横弾性係数等が等しい同質の弾性体からなる。
【0024】
歪増幅部材16は、圧電フィルム11の弾性係数よりも小さい弾性係数を有する弾性体を用いる。この歪増幅部材16は、以下に説明するように変動荷重センサ10に変動荷重等が作用するとき、圧電フィルム11に生ずる歪みを増大させてその歪みに伴う分極により発生する電荷量を増大させ、変動荷重センサ10の測定感度を増大させる機能を有する。このため、歪増幅部材16としては、例えば、圧電フィルム11の弾性係数の1/100〜1/1000程度の縦弾性係数が1〜10Mpa(JISK6253に基づくゴム硬度40〜60相当)である弾性体を用いるのがよい。そのような弾性体としては、シリコンゴム、天然ゴム又は合成ゴムがよく、特にPVDFからなる圧電フィルムを用いる場合は、弾性体としてシリコンゴムを用いるのがよい。
【0025】
歪増幅部材16は上記のように圧電フィルム11の歪みを増大させるものであるから、歪増幅部材16と圧電フィルム11の接合部分は一体に変形するように接合されていなければならない。この接合手段は特に問わないが、歪増幅部材16と圧電フィルム11の接合は接着によるものでよい。接着による場合は、接着剤として硬化後の硬度が歪増幅部材16と略同じシリコン樹脂系またはゴム系接着剤を使用するのがよく、特に圧電フィルム11にPVDFを用いる場合はシリコン樹脂系接着剤を使用するのがよい。なお、歪増幅部材16として用いるシリコンゴム等は、液体状のシリコンゴム等を圧電フィルム11に一定厚さに塗り、又は圧電フィルムの上面に型枠を取付けて液体状のシリコンゴム等を流し込んで硬化させることにより圧電フィルム11と一体に構成することもできる。
【0026】
歪増幅部材16の歪み増幅効果を得るには、表又は裏歪増幅部材17、18の厚さは各1mm〜5mmとするのがよい。歪増幅部材16の厚さが1mm未満であると、歪増幅部材16自体の歪み量が小さくなり望ましい歪み増幅効果を得ることができない。一方、歪増幅部材16の厚さが5mmを超えると、歪み増幅効果の程度が飽和するからである。また、歪増幅部材16は、圧電フィルム11の全面を覆いわずかにはみ出す程度の大きさになるようにするがよい。これにより、歪増幅部材16による均一かつ確実な歪み増幅効果を得ることができる。
【0027】
荷重伝達部材19は、図1に示すように、表歪増幅部材17の上面にあって、一対の表又は裏電極13、14がそれぞれ荷重伝達部材19の対称軸に対して対称になるよう配設されている。すなわち、荷重伝達部材19は対称軸を有し、一対の表又は裏電極13、14はそれぞれその対称軸に対し対称になる形状及び配置を有するようになっている。また、荷重伝達部材19は、表電極13又は裏電極14の投影面に重ならないように配設される。これらにより、以下に説明するように変動荷重を高い精度で検知することができる。なお、荷重伝達部材19が表電極13又は裏電極14の投影面に重ならないようにするため、図1に示す荷重伝達部材19と電極12との圧電フィルム11上の隙間寸法L(L1、L2)は、0.1mm以上であるのがよい。隙間寸法Lが0.1mm以上あれば製造・管理が容易になるからである。隙間寸法Lの上限は被測定物の形状に合わせて決められる。
【0028】
この荷重伝達部材19の機能は、変動荷重の作用点が荷重伝達部材19の面上にあるどのような位置に作用する変動荷重をも歪増幅部材16に直接に伝達することである。このため、荷重伝達部材19は剛性の高いものであること、荷重伝達部材19と歪増幅部材16とは接合されていること等が要求される。荷重伝達部材19自身が歪んで歪増幅部材16の歪み量に影響を与えるものは適当でない。このような荷重伝達部材19として、例えば、アルミニウムや銅の0.1mm厚程度の薄板を使用することができる。また、樹脂シート、金属シート、高硬度ゴムシート等を使用することもできる。このように柔軟性のあるものの場合は、被測定物の形状が曲面状であっても、これに作用する変動荷重を検知することができるセンサを容易に形成することができる。なお、荷重伝達部材19と歪増幅部材16との接合は、上記のゴム系接着剤を使用することができる。また、変動荷重が作用する荷重伝達部材19の表面をスポンジ、ゴム等で覆って滑り止めを設け、変動荷重の作用点がずれないようにし、検知精度を向上させることができる。
【0029】
このような変動荷重センサ10の荷重伝達部材19に剪断変動荷重が作用すると、歪増幅部材16を介して圧電フィル11に歪みを生じ、圧電フィルム11には分極により電荷が生ずる。変動荷重センサ10には、その電荷を取り出すための出力端子が設けられる。すなわち、図2に示すように、一対の表電極13と一対の裏電極14の対角位置に存在する電極同士が短絡されるように、電極13Aと電極14Bとを結線し、また、電極13Bと電極14Aとを結線し、それぞれ出力端子V1、V2に至る配線によって分極により生じた電荷が出力電圧として取り出される。
【0030】
なお、図2に示す電気回路図には静電容量C1及び抵抗R1が設けられているが、これらは必要に応じて設けることができる。例えば、圧電フィルムの寸法が小さくて変動荷重の荷重速度が緩やかである場合に、0.5μFから1μF程度の静電容量Clと、1MΩから10MΩ程度の抵抗Rlを接続すると、荷重速度が緩やかであっても変動荷重に比例する出力電圧を得ることができる。
【0031】
なお、電極12間の配線は、例えば、導電性粘着剤付き金属箔テープの粘着剤面を電極12に粘着させて形成することができる。電極12と導電ゴムや導電性繊維等の柔軟導電素材とを導電性接着剤で接着し、または、電極12と柔軟導電素材とを金属板で挟みこれをカシメて接続することにより配線を形成することもできる。
【0032】
このような変動荷重センサ10を用いて、被測定物50に作用する剪断変動荷重を以下に説明するように測定することができる。図3は、変動荷重センサ10を被測定物50に付着し、荷重伝達部材19に矢印(X軸)方向の変動荷重(剪断方向の変動荷重)Fを負荷したときの、変動荷重センサ10の変形状態(図3(a))及び弾性力学的に求めた圧電フィルム11のX軸方向の歪みεxの分布曲線(図3(b))を模式的に表した説明図である。
【0033】
上述のように、荷重伝達部材19は剛性が高く、荷重伝達部材19及び一対の表又は裏電極13、14は、対称軸ZZに対して対称の形状・配置を有している。また、歪増幅部材16は圧電フィルム11の弾性係数よりも小さい弾性係数を有し、電極12はすべて同一の形状をしている。したがって、荷重伝達部材19に変動荷重Fが作用するとき、歪増幅部材16には剪断方向の歪みを生じるが、これが圧電フィルム11にX軸方向の軸歪みを生じさせて、図3(a)に示すLe部には伸び歪みを、Lc部にはLe部と絶対値が等しい圧縮歪みを生じる。そして、歪増幅部材16の弾性係数が圧電フィルム11の弾性係数より小さく、歪増幅部材16の歪みが圧電フィルム11の歪みより大きいから、圧電フィルム11に生ずる歪みは歪増幅部材16により増幅され、図2に示す出力端子V1、V2から増幅された歪みεxに相当する出力電圧が検知される。このように本変動荷重センサによれば、剪断方向の変動荷重を高感度で検知することができる。
【0034】
圧電フィルム11に生ずるεx(圧電フィルムのx位置におけるX軸方向の歪み)は、図3(b)に示す歪み分布曲線により表される。図3(b)に示すように、歪み分布曲線はZZ軸とX軸の交点Oに対し点対称の曲線になっている。そして、圧電フィルム11の電極13A、14Aが配設された部分には、図3(b)に示す斜線部S+に比例する+の電荷Q+を生じ、電極13B、14Bが配設された部分には電荷Q+と絶対値が等しく斜線部S-に比例する−の電荷Q-を生じる。すなわち、電荷Q+と電荷Q-との差分を図2に示す電気回路により電圧変動として検知することによって剪断変動荷重Fを検知することができる。
【0035】
上述のように、本変動荷重センサ10による剪断変動荷重を検知する原理は、荷重伝達部材19に作用する変動荷重により圧電フィルム11の内部に生ずる歪みが、図3(b)に示す交点Oに対し点対称の分布になっているということが前提になっている。すなわち、電極13A、13B、14A、14Bや荷重伝達部材19の形状及び配設位置に関する精度が重要であり、それらの精度は変動荷重の検知精度に影響する。したがって、必要以上の精度を要求することはないが、要求される変動荷重の検知精度に応じて電極12及び荷重伝達部材19の形状及び配設位置等の精度を決める必要がある。
【0036】
荷重伝達部材19と電極12との配置関係において、荷重伝達部材19が表電極13又は裏電極14の投影面に重なるように配設されるときは、上記歪み分布曲線の形状が荷重伝達部材19の影響を受けて理論曲線と異なるものになる。このため、荷重伝達部材19は、表電極13又は裏電極14の投影面に入らないように配設すべきである。
【0037】
以上説明したように、本発明に係る変動荷重センサは、全体の厚さが2〜10mmの薄シート状のセンサを形成することができ、簡単な構造であるという利点を有する。また、種々の形状を有する被測定物に作用する広い範囲の剪断方向の変動荷重を容易に検知することができる。しかしながら、本発明に係る変動荷重センサは、上記の実施例に限定されない。剪断方向の変動荷重のみならず圧縮方向の変動荷重を同時に検知することができる2軸変動荷重センサを容易に構成することができる。
【0038】
図4に、剪断変動荷重及び圧縮変動荷重を同時に検知することができる2軸変動荷重センサの模式図を示す。図4(a)は2軸変動荷重センサ110の断面図、図4(b)は平面図である。図5はこの2軸変動荷重センサ110の電気回路図である。2軸変動荷重センサ110は、図4(a)に示すように、図1に示す変動荷重センサ10の構成に加えて、さらに、圧電フィルム11の表裏面上に一対の中央電極22を有している。すなわち、表歪増幅部材17の下面側で圧電フィルム11の表面上に設けられ荷重伝達部材19の対称軸に対称、かつ、一対の表電極13と重ならない表中央電極22Aと、裏歪増幅部材18の下面側で圧電フィルム11の裏面上に設けられ表中央電極22Aと同一形状でその投影面に重なる裏中央電極22Bとから形成される一対の中央電極22を有している。なお、表電極13の投影面に重ならないとは、圧電フィルム11上の中央電極22と電極12との隙間寸法が0.1mm以上あることをいう。
【0039】
この2軸変動荷重センサ110は、図5に示すように、電極12部分の電気配線は図2と同様の出力端子V1、V2を有し、さらに、中央電極22A、22Bにそれぞれ結線された出力端子V3、V4を有する。なお、図5の場合も図2の場合と同様に、電極12側及び中央電極22側の電気回路にそれぞれ静電容量C1及び抵抗R1と、静電容量C2及び抵抗R2とを設けることができる。
【0040】
2軸変動荷重センサ110は、剪断方向の変動荷重を出力端子V1、V2からの出力電圧により、圧縮方向の変動荷重を出力端子V3、V4からの出力電圧により検知することができる。なお、圧電フィルム11の中央電極22A、22B部分に生ずる歪みは、歪増幅部材16(17、18)の圧縮に伴うポアソン効果により増幅されているので、出力端子V3、V4から得られる出力電圧はその増幅された歪みに伴う出力電圧が検知される。これにより、圧縮方向の変動荷重も上述の剪断方向の変動荷重と同様に高感度で検知することができる。
【0041】
また、本発明に係る変動荷重センサは、互いに直角方向の剪断変動荷重を同時に検知することができる2軸変動荷重センサを容易に構成することができる。図6にその2軸変動荷重センサ120の模式図を示す。図6(a)は2軸変動荷重センサ120の平面図、図6(b)は図6(a)のXX断面図である。図7はこの2軸変動荷重センサ120の電気回路図である。
【0042】
2軸変動荷重センサ120は、図6に示すように、第1センサ要素100と第2センサ要素101とが互いに直交して接合された形状をしている。第1センサ要素100は、図1に示す変動荷重センサ10と同様の構成を有する。すなわち、第1圧電フィルム11の表面上に離間して配設された一対の同一形状の第1表電極13(13A、13B)と、第1圧電フィルム11の裏面上に第1表電極13と投影面が重なるように設けられた第1表電極13と同一形状の一対の第1裏電極14(14A、14B)とを有する。第2センサ要素101は、第2圧電フィルム111の表面上に離間して配設された一対の同一形状の第2表電極131(131A、131B)と、第2圧電フィルム111の裏面上に第2表電極131と投影面が重なるように設けられた第2表電極131と同一形状の一対の第2裏電極141(141A、141B)とを有する。なお、第1センサ要素100と第2センサ要素101との接合には、接着又は溶着法を用いることができる。接着法で接合する場合は、上述のシリコン樹脂系又はゴム系接着剤を使用することができる。その場合の接着剤層の厚さは、圧電フィルムへの荷重伝達ロス少なくするために薄いほどよく、0.1mm以下とするのがよい。
【0043】
また、本2軸変動荷重センサ120は、第1及び2圧電フィルム11、111の表面と第1及び2表電極13、131を覆う表歪増幅部材17と、表歪増幅部材17の上面に配設された荷重伝達部材19と、第1及び2圧電フィルム11、111の裏面と第1及び2裏電極14、141を覆う表歪増幅部材17と同質の裏歪増幅部材18とを有している。
【0044】
上記2軸変動荷重センサ120において、一対の第1表電極13又は裏電極14は、それぞれ荷重伝達部材19の対称軸に対して対称、かつ、荷重伝達部材19の投影面に重ならないように配設されている。また、一対の第2表電極131又は裏電極141は、それぞれ荷重伝達部材19の対称軸に対して対称、かつ、荷重伝達部材19の投影面に重ならないように配設されている。さらに、図7に示すように、一対の第1表電極13と一対の第1裏電極14とは対角位置に存在する電極同士が短絡され、一対の第2表電極131と一対の第2裏電極141とも対角位置に存在する電極同士が短絡されている。
【0045】
この2軸変動荷重センサ120を、被測定物に付着し、図6(a)に示すXX方向の剪断変動荷重を荷重伝達部材19に作用させると、図7に示す出力端子V1、V2からの出力電圧によってXX方向の剪断変動荷重を検知することができる。また、図6(a)に示すYY方向の剪断変動荷重を荷重伝達部材19に作用させると、図7に示す出力端子V5、V6からの出力電圧によってYY方向の剪断変動荷重を検知することができる。
【0046】
このようにXX及びYY方向の剪断変動荷重を同時に検知できる理由は以下の通りである。先ず第1センサ要素100について説明する。図6(a)において、第1圧電フィム11がXX方向の剪断変動荷重を受けている場合、第1圧電フィム11は分極により帯電する。第1圧電フィム11に生ずるXX及びYY方向の歪みをそれぞれεx、εyとすると、このとき生ずる電荷量Qxは、Qx=blεx+b2εy(但しbl、b2は比例定数)と表される。圧電フィムは一般に異方性を有し、延伸方向の分極が延伸方向と直角方向の分極より大きい。たとえば、厚さ40μmのPVDF(呉羽化学製)の圧電フィルムでは、約b2=0.5blであり、また、歪増幅部材16に用いるシリコンゴム等の弾性体のポアソン比は約0.5であるので、εy=−0.5εxとすると、上記電荷量Qxは、Q=0.75blεxとなる。
【0047】
一方、第1圧電フィム11がYY方向の剪断変動荷重を受けている場合、第1圧電フィム11に生ずる電荷量Qyは、Qy=b1εy+b2εxと表される。この式に上記のb2=0.5bl、εy=−0.5εxを代入するとQy=0となる。すなわち、第1センサ要素100は、XX方向の剪断変動荷重のみ検知することができ、YY方向の剪断変動荷重は検知できないことが分かる。
【0048】
同様に、第2センサ要素101は、YY方向の剪断変動荷重のみ検知することができ、XX方向の剪断変動荷重は検知することができない。すなわち、第1センサ要素100と第2センサ要素101とを直交させて一体に形成した本2軸変動荷重センサ120により、いずれの方向の剪断変動荷重も検知することができることが分かる。
【0049】
上述のように、圧電フィルムは異方性を有する。このため、2軸変動荷重センサ120の感度は、第1センサ要素100及び第2センサ要素101を構成する圧電フィルムの影響を受ける。したがって、それらのセンサに用いる圧電フィルムは、同質でXX方向又はYY方向の歪みに対し分極特性が同等であるものがよい。
【0050】
図7に示すように、この2軸変動荷重センサ120の電極回りの配線は、第1センサ要素100と第2センサ要素101ともそれぞれ図2に示す配線と同様になっている。すなわち、第1センサ要素100について、一対の表電極13と一対の裏電極14の対角位置に存在する電極同士が短絡されるように、電極13Aと電極14Bとが結線され、また、電極13Bと電極14Aとが結線され、それぞれ出力端子V1、V2に至る配線が形成されている。また、第2センサ要素101について、一対の表電極131と一対の裏電極141の対角位置に存在する電極同士が短絡されるように、電極131Aと電極141Bとが結線され、また、電極131Bと電極141Aとが結線され、それぞれ出力端子V5、V6に至る配線が形成されている。
【0051】
さらに、本発明に係る変動荷重センサは、直交する2方向の剪断変動荷重及び圧縮変動荷重を同時に検知することができる3軸変動荷重センサを容易に構成することができる。すなわち、図6に示す2軸変動荷重センサ120に、さらに、以下に説明する中央電極を付加することによって容易に3軸変動荷重センサ130を構成することができる。
【0052】
図8に、本3軸変動荷重センサ130の中央電極部分の構成を模式的に示す。図9に電気回路図を示す。本3軸変動荷重センサ130は、図8に示すように、表歪増幅部材17の下面側で第1圧電フィルム11の表面上に設けられた第1表中央電極22Aと、裏歪増幅部材18の下面側で第1圧電フィルムの裏面上に設けられた第1裏中央電極22Bとから形成される一対の第1中央電極22を有する。そして、第1表中央電極22Aは、荷重伝達部材19の対称軸に対称で、かつ、一対の第1表電極13と重ならないように配設され、第1裏中央電極22Bは、第1表中央電極22Aと同一形状でその投影面に重なるように配設されている。なお、本3軸変動荷重センサ130は、上記第1中央電極22部分を除いて2軸変動荷重センサ120と同様の構成を有する。
【0053】
この第1中央電極22の代わりに、第2圧電フィルム111の表裏面に中央電極を設けるものであってもよい。すなわち、表歪増幅部材17の下面側で第2圧電フィルム111の表面上に設けられた第2表中央電極221Aと、裏歪増幅部材18の下面側で第2圧電フィルム111の裏面上に設けられた第2裏中央電極221Bとから形成される一対の第2中央電極221を有し、第2表中央電極221Aは、荷重伝達部材19の対称軸に対称で、かつ、一対の第2表電極131と重ならないように配設され、第2裏中央電極221Bは、第2表中央電極221Aと同一形状でその投影面に重なるように配設されているものであってもよい。
【0054】
さらに、上記第1中央電極22及び第2中央電極221をともに有するものであってもよい。この場合、第1中央電極22と第2中央電極221とは投影面が重さなるように配設される。そのような場合の電気回路図の一例を図9に示す。本例では、互いに接触する第1裏中央電極22Bと第2表中央電極221Aとの接触面は絶縁されており、第1圧電フィルム11と第2圧電フィルム111の互いに異なる電荷を帯電する面同士が接合されるように直交位置した場合で、第1表中央電極22Aと第2表中央電極221Aとは短絡され、第1裏中央電極22Bと第2裏中央電極221Bとは短絡されている。
【0055】
図10は、上記各種の中央電極を有する3軸変動荷重センサ130にそれぞれ等しい圧縮変動荷重を作用させたときの出力電圧を求めたグラフである。図のパラメータで下側とは、第2中央電極221のみを有する3軸変動荷重センサ130、上側とは、第1中央電極22のみを有する3軸変動荷重センサ130の場合を示す。並列接続とは、第1中央電極22と第2中央電極221との2つを設けた図9の電気回路を有する3軸変動荷重センサ130の場合を示す。なお、比較のため、第1裏中央電極22Bと第2表中央電極221Aとを短絡させた場合の結果を直列接続として示した。並列接続では、電荷が蓄積される圧電フィルムの中央電極部分の面積が他のものの2倍になるから出力電圧が他のものの2倍になっており、感度が2倍に向上している。
【0056】
以上本発明に係る変動荷重センサについて説明した。本変動荷重センサは上述のように、厚さの薄いセンサを構成することができ、曲面状等の湾曲又は屈曲した形状のセンサを容易に構成することができる。また、検知する変動荷重の作用面の大きさに応じた最適な大きさのセンサを構成することができる。たとえば、図11に示すような3軸変動荷重センサ130を構成し、ロボットハンドの指先に設けて好適な小型の触覚センサを構成することができる。この触覚センサは、ロボットハンドの指先と一体に設けられ平らな頂部から下方に湾曲する脚部を有する台形状の指先部材51に3軸変動荷重センサ130を付着させて構成される。指先部材51の平らな頂部には荷重伝達部材19が配設されている。このような触覚センサをロボットハンドの各指先に設けることによって、ロボットに細かい作業をさせることができる。
【0057】
また、図12は、物(例えばコップ)を把持して移動させるロボットハンドの把持部材52に2軸変動荷重センサ140を利用する例を示す。この例では、半円柱形状の把持部材52の周囲に2軸変動荷重センサ140を付着させて、物を把持したときの重さを剪断方向の変動荷重として検出し、物を把持したときの柔らかさを圧縮変動荷重として検出することにより、皮膚感覚に近い把持機能を有する触覚センサが構成されている。
【0058】
このような触覚センサを予め準備しておくならば、迅速かつ高感度に剪断方向又は/及び圧縮方向の変動荷重を検知することができるロボットハンド等を容易に構成することができる。すなわち、指先部材51、把持部材52のような湾曲し頂部に荷重伝達部材を配設することができる所定の台座を何種類か準備し、これに2又は3軸変動荷重センサを付着した触覚センサを予め準備しておくならば、この触覚センサを所要の部位に接着又は機械的に固定し、当該部位に作用する剪断方向又は/及び圧縮方向の変動荷重を容易、迅速かつ高感度に検知することができる。
【実施例1】
【0059】
図8及び9に示す3軸変動荷重センサ130をロードセルの上に垂直に固定し、指先で図13(a)に示す矢印方向(45°方向)に剪断変動荷重を作用させたときの剪断荷重と3軸変動荷重センサ130の出力電圧との関係を求めた。圧電フィルム11及び111は、それぞれ厚さ40μmで縦30mm、横60mmのアルミの蒸着電極のついたPVDFを用いた。これにマスキングを行って電極部分以外の蒸着金属を剥がし取って、中央部表裏面に一辺30mmの正方形の中央電極22、221と、中央電極22、221から左右にそれぞれ5mmの間隔を空けた位置の表裏面に、縦30mmで横10mmの長方形の一対の電極13、14、131、141を取り付けた。各電極には導電性粘着剤付き金属箔テープの一方の端を粘着して固定し、もう一方の端をそれらの電極から引き出して出力端子V1〜V6に至る配線を行った。各端子には電気配線を半田付けで接続した。
【0060】
つぎに、歪弾性部材16にはゴム硬度約50のシリコンゴム板(厚さ3mm)を圧電フィルム11、111の両面全体にシリコン樹脂系の接着剤で接着し、出力端子の取付け部も接着剤で固定した。つぎに、中央電極22、221上方のシリコンゴム板上面に、厚さ0.1mm、一辺30mmの正方形の真鍮板の荷重伝達部材19を前記の接着剤で接着し、その上に0.5mm厚の滑り止めのゴム板の接触部材を接着した。3軸変動荷重センサ130の全体厚さは約6.7mmであった。
【0061】
出力端子からの電気配線には、それぞれ0.47μFの静電容量を並列接続し、これを内部抵抗1MΩの電圧記録計(NEC三栄株式会社製オムニエース)を用いて、ロードセルの荷重波形と同じ時間タイミングで記録した。試験結果を図13(b)に示す。横軸は、ロードセルの測定荷重を示し、縦軸にXX及びYY方向の出力電圧を示す。図13(b)によると、XX及びYY方向の出力電圧ともよく一致しており、それらの出力電圧は、剪断荷重に比例していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る変動荷重センサの模式図である。
【図2】上記変動荷重センサの電気回路図である。
【図3】上記変動荷重センサの作動原理説明図である
【図4】本発明に係る2軸変動荷重センサの模式図である。
【図5】上記2軸変動荷重センサの電気回路である。
【図6】本発明に係る他の2軸変動荷重センサの模式図である。
【図7】図6に示す2軸変動荷重センサの電気回路である。
【図8】本発明に係る3軸変動荷重センサの中央電極部分の模式図である。
【図9】上記3軸変動荷重センサの電気回路である。
【図10】3軸変動荷重センサにおいて種々の中央電極を有する場合の出力電圧を示すグラフである。
【図11】3軸変動荷重センサをロボットハンドの指先に利用した実施例の説明図である。
【図12】2軸変動荷重センサを利用したロボットハンドによりコップを把持した状態を示す説明図である。
【図13】実施例1の変動荷重の方向を示す図(a)と、試験結果を示すグラフ図(b)である。
【符号の説明】
【0063】
10 変動荷重センサ
11 圧電フィルム
12 電極
13 表電極
14 裏電極
16 歪増幅部材
17 表歪増幅部材
18 裏歪増幅部材
19 荷重伝達部材
22、22A、22B 中央電極、表中央電極、裏中央電極
50 被測定物
51 指先部材
52 把持部材
100 第1センサ要素
101 第2センサ要素
110 2軸変動荷重センサ
120 2軸変動荷重センサ
130 3軸変動荷重センサ
140 2軸変動荷重センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に付着されて使用される変動荷重センサであって、
圧電フィルムの表面上に離間して配設された一対の同一形状の表電極と、該表電極及び前記圧電フィルムの表面を覆う表歪増幅部材と、該表歪増幅部材の上面に配設された荷重伝達部材と、前記圧電フィルムの裏面上に前記表電極と同一形状でその投影面に重なる一対の裏電極と、該裏電極及び前記圧電フィルムの裏面を覆う前記表歪増幅部材と同質の裏歪増幅部材と、を有してなり、
前記一対の表又は裏電極は、それぞれ前記荷重伝達部材の対称軸に対して対称、かつ、該荷重伝達部材の投影面に重ならないように配設され、
前記一対の表電極と前記一対の裏電極とは、対角位置に存在する電極同士が短絡されてなる変動荷重センサ。
【請求項2】
表歪増幅部材の下面側で圧電フィルムの表面上に設けられ荷重伝達部材の対称軸に対称、かつ、一対の表電極と重ならない表中央電極と、裏歪増幅部材の下面側で前記圧電フィルムの裏面上に設けられ前記表中央電極と同一形状でその投影面に重なる裏中央電極とから形成される一対の中央電極を設けてなる請求項1に記載の変動荷重センサ。
【請求項3】
被測定物に付着されて使用される変動荷重センサであって、
第1圧電フィルムの表面上に離間して配設された一対の同一形状の第1表電極と、前記第1圧電フィルムの裏面上に前記第1表電極と同一形状でその投影面に重なる一対の第1裏電極とを有する第1センサ要素と、
該第1センサ要素に直交して接合され、第2圧電フィルムの表面上に離間して配設された一対の同一形状の第2表電極と、前記第2圧電フィルムの裏面上に前記第2表電極と同一形状でその投影面に重なる一対の第2裏電極と、を有する第2センサ要素と、
前記第1及び2圧電フィルムの表面と第1及び2表電極を覆う表歪増幅部材と、
該表歪増幅部材の上面に配設された荷重伝達部材と、
前記第1及び2圧電フィルムの裏面と第1及び2裏電極を覆う前記表歪増幅部材と同質の裏歪増幅部材と、を有してなり、
前記第1圧電フィルムと前記第2圧電フィルムとは同等の分極特性を有し、
前記一対の第1表又は裏電極は、それぞれ前記荷重伝達部材の対称軸に対して対称、かつ、該荷重伝達部材の投影面に重ならないように配設され、
前記一対の第2表又は裏電極は、それぞれ前記荷重伝達部材の対称軸に対して対称、かつ、該荷重伝達部材の投影面に重ならないように配設され、
前記一対の第1表電極と前記一対の第1裏電極とは対角位置に存在する電極同士が短絡され、
前記一対の第2表電極と前記一対の第2裏電極とも対角位置に存在する電極同士が短絡されてなる変動荷重センサ。
【請求項4】
表歪増幅部材の下面側で第1圧電フィルムの表面上に設けられ荷重伝達部材の対称軸に対称、かつ、一対の第1表電極と重ならない第1表中央電極と、裏歪増幅部材の下面側で前記第1圧電フィルムの裏面上に設けられ前記表中央電極と同一形状でその投影面に重なる第1裏中央電極とから形成される一対の第1中央電極を設けてなることを特徴とする請求項3に記載の変動荷重センサ。
【請求項5】
表歪増幅部材の下面側で第2圧電フィルムの表面上に設けられ荷重伝達部材の対称軸に対称、かつ、一対の第2表電極と重ならない第2表中央電極と、裏歪増幅部材の下面側で第2圧電フィルムの裏面上に設けられ前記第2表中央電極と同一形状でその投影面に重なる第2裏中央電極とから形成される一対の第2中央電極を設けてなる請求項3に記載の変動荷重センサ。
【請求項6】
表歪増幅部材の下面側で第1圧電フィルムの表面上に設けられ荷重伝達部材の対称軸に対称、かつ、一対の第1表電極と重ならない第1表中央電極と、裏歪増幅部材の下面側で前記第1圧電フィルムの裏面上に設けられ前記表中央電極と同一形状でその投影面に重なる第1裏中央電極とから形成される一対の第1中央電極と、
該第1中央電極と同一形状を有し、表歪増幅部材の下面側で前記第2圧電フィルムの表面上に設けられ荷重伝達部材の対称軸に対称、かつ、一対の第2表電極と重ならない第2表中央電極と、裏歪増幅部材の下面側で第2圧電フィルムの裏面上に設けられ前記第2表中央電極と同一形状でその投影面に重なる第2裏中央電極とから形成される一対の第2中央電極とを有してなり、
前記第1表中央電極が、該第1表中央電極と同じ極性を有する第2表又は裏中央電極と短絡され、
前記第1裏中央電極が、該第1裏中央電極と同じ極性を有する第2表又は裏中央電極と短絡されてなる請求項3に記載の変動荷重センサ。
【請求項7】
歪増幅部材は、圧電フィルムよりも低弾性率であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の変動荷重センサ。
【請求項8】
荷重伝達部材は、歪増幅部材よりも高弾性率であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の変動荷重センサ。
【請求項9】
湾曲し頂部に荷重伝達部材を配設することができる台座に請求項1〜8のいずれかに記載の変動荷重センサを付着させてなる触覚センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−226858(P2006−226858A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41506(P2005−41506)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)