説明

変圧器捲き線用ポンプ汲み上げ型冷媒ループシステム

2相の蒸発可能な誘電体冷媒を使って変圧器(30)の中空捲き線(36)を冷却するポンプ汲み上げ型ループ冷却システム(10)が提供される。液体冷媒ポンプ(20)は該誘電体冷媒を変圧器(30)内へ、そして該変圧器の銅管捲き線(36)を通るよう循環させ、該捲き線では該誘電体冷媒は該変圧器(30)からの熱除去で少なくとも部分的には蒸発する。該誘電体冷媒は次いで凝縮器(40)へそして該ポンプ(20)へ戻るよう循環させられる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願はその開示がその全体での引用によりここに組み入れられる2009年5月26日出願の米国特許仮出願第61/181,126号の出願日の特典を請求するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般に発熱部品を冷却する冷却システムと方法に関し、特にらせん捲き線を有する変圧器を冷却する蒸発可能な冷媒の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0003】
液冷変圧器は、一般的に変圧器ハウジングを充たす誘電体流体で冷却される。該誘電体流体は該ハウジングの底部から上方へ垂直に流れ、該捲き線により加熱される。該流体が該変圧器捲き線の頂部に達すると、該流体は主タンクを出て、一連のラジエーター又は冷却フィンに入る。該流体は、次いで該流体が冷却される該レジエーターを通って下方へ流れ、該主タンクへ再進入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/181,126号明細書、2009年5月26日出願
【特許文献2】米国特許第6,519,955号明細書
【特許文献3】米国特許第6,679,081号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の少なくとも1つの実施例は冷却システムを提供するもので、凝縮器と、銅管から形成されるらせん捲き線を有する少なくとも1つの変圧器と、少なくとも1つのポンプであって、蒸発可能な誘電体冷媒を該少なくとも1つの変圧器の該らせん捲き線を通り該凝縮器へ、そして複数の導管を通って該少なくとも1つの該ポンプへ戻るよう汲み上げるポンプと、を具備する冷却システムを提供する。
【0006】
本発明の少なくとも1つの実施例は冷却システムを提供するもので、凝縮器と、液体レシーバーと、銅管から形成されるらせん捲き線を有する少なくとも1つの変圧器と、少なくとも1つの液体冷媒ポンプと、該変圧器の該らせん捲き線へ該液体冷媒ポンプにより循環される蒸発可能な誘電体冷媒と、を具備しており、該誘電体冷媒は該変圧器により発生される熱により少なくとも部分的に蒸発し、該少なくとも部分的に蒸発した冷媒は、該冷媒が単一液相に凝縮される該凝縮器へ循環させられており、該液体冷媒は該液体レシーバーへ循環し、次いで該ポンプへ戻る、冷却システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の実施例が付随する図面を参照して更に詳細に説明される。
【図1】従来技術のポンプで汲み上げるループ状多相冷却システムの略図である。
【図2】固定オリフィス制限器を使った並列の複数の変圧器コイルのポンプで汲み上げるループ状多相冷却システムの略図である。
【図3】可変オリフィス制限器を使った並列の複数の変圧器コイルのポンプで汲み上げるループ状多相冷却システムの略図である。
【実施例1】
【0008】
従来技術のポンプで汲み上げる液体多相冷却システム110が図1で示され、流体導管150により相互に接続されたコールドプレート/蒸発器120と、凝縮器130とそしてポンプ140とを有する。2相R134A冷媒の様な流体がコールドプレート/蒸発器120に取り付けられた電子部品を冷却するため、該システム110を通してポンプで汲み上げられる。該コールドプレート/蒸発器120内では、該電子部品により発生された熱は該流体に伝達され、該流体を部分的に蒸発させる。該流体は次いで該凝縮器130へ進み、該凝縮器では該熱は該システム110から排出され、そして該流体は該ポンプ140により該コールドプレート/蒸発器120へ戻る。この種のポンプで汲み上げられる液体多相システムは両者共引用によりここに組み入れられる特許文献2及び3で開示されている。
【0009】
本発明の冷却システム10の実施例は図2で示される。該システム10は少なくとも1つのポンプ20と、らせん捲き線36を有する少なくとも1つの変圧器30と、凝縮器40と、そして液体リザーバー50と、を備え、該部品は種々の流体導管60により相互に接続されている。該らせん捲き線36は該変圧器30の1次又は2次捲き線であってもよい。2相R134A冷媒の様な流体が該システム10を通してポンプで汲み上げられる。該変圧器らせん捲き線36は中空の銅管であり、該銅管を通して該らせん捲き線36が該変圧器30を冷却する蒸発器として作用するようサブクール冷媒(sub−cooled
refrigerant)が通される。該冷媒は該変圧器捲き線36から熱を吸収し、2相状態で該変圧器30を出る。該2相冷媒は次いで該冷媒マニフォールドで合流し、該マニフォールドは該冷媒を該熱が周囲に排出されるよう該凝縮器40へ送る。適当な流体接続部が該捲き線36を該システム10に流体的に接続するため使われ、一方該捲き線36を該システム10及び何れかの他の捲き線36から電気的に分離する。
【0010】
1つより多くのらせん捲き線36が蒸発器として使われる時、該らせん捲き線は該システム10内で相互に並列であってもよい。該変圧器の冷却要求は予め決められており、該冷却要求を充たすために必要な流体流れは該流体導管枝部内に固定オリフィス70を挿入することにより提供されてもよい。該固定オリフィスは、該流体が何れかのらせん捲き線蒸発器36中で決して完全には蒸発しない仕方で、該らせん捲き線蒸発器36を通るよう導かれることを保証するために何等かの必要直径であってもよい。
【0011】
固定オリフィスでは、冷却されるべき該システムの動作条件への予期せぬ変化が補償されないかも知れない。今図3を参照すると、図2の該固定オリフィスは調整可能な流れ制限器74により置き換えられている。調整可能な流れ制限器74は該冷却されるべき該システムの動作条件の変化に反応することが出来て、該調整可能な流れ制限器74を通る流体流れを増やす又は減らす。該調整可能な流れ制限器74は該制限器の物理的条件に応答して、該制限器を通る流体流れを変える能力を有する可変オリフィス制限器、ニードル弁、又は何等かの他の流れ計量デバイスであってもよい。
【0012】
該流体流れの調整は、該制限器で検出された圧力及び/又は温度のデータを使ってか、又は該蒸発器の出口側からの検出されたデータを使うフィードバックに基づいてか、何れかで達成されてもよい。
【0013】
本発明の原理、実施例及び動作がここで詳細に説明されたが、これは開示された特定の図解した形に限定されると解釈されるべきでない。かくして、ここの実施例の種々の変型が本発明の精神又は範囲から離れることなく行われ得ることは当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮器と、
銅管で形成されるらせん捲き線を有する少なくとも1つの変圧器と、
少なくとも1つのポンプであって、蒸発可能な誘電体冷媒を、該少なくとも1つの変圧器の該らせん捲き線を通して該凝縮器へ、そして複数の導管を通して該少なくとも1つのポンプへ戻るよう、汲み上げる少なくとも1つのポンプと、を具備する冷却システム。
【請求項2】
該凝縮器と該少なくとも1つのポンプとの間に位置付けられた液体レシーバーを更に具備する請求項1記載の冷却システム。
【請求項3】
該少なくとも1つの変圧器は、各々が銅管で形成されたらせん捲き線を有する少なくとも2つの変圧器を備えており、該少なくとも2つの変圧器の該らせん捲き線が該システム内で流体的に相互に並列で位置付けられる請求項1記載の冷却システム。
【請求項4】
該少なくとも2つの変圧器の該らせん捲き線の各々から上流に位置付けられた流れ制限器を更に具備しており、該流れ制限器は該流体が該らせん捲き線内では完全には蒸発しないことを保証する流量で該らせん捲き線へ流量を提供する請求項3記載の冷却システム。
【請求項5】
該流れ制限器の少なくとも1つは固定オリフィス制限器である請求項4記載の冷却システム。
【請求項6】
該流れ制限器の少なくとも1つは調整可能なオリフィス制限器である請求項4記載の冷却システム。
【請求項7】
該少なくとも1つの変圧器の該らせん捲き線は該変圧器の1次捲き線である請求項1記載の冷却システム。
【請求項8】
該少なくとも1つの変圧器の該らせん捲き線は該変圧器の2次捲き線である請求項1記載の冷却システム。
【請求項9】
凝縮器と、
液体レシーバーと、
銅管で形成されたらせん捲き線を有する少なくとも1つの変圧器と、
少なくとも1つの液体冷媒ポンプと、
該変圧器の該らせん捲き線へ該液体冷媒ポンプにより循環させられる蒸発可能な誘電体冷媒と、を具備しており、該誘電体冷媒は該変圧器により発生される熱により少なくとも部分的に蒸発させられ、該少なくとも部分的に蒸発した誘電体冷媒は、該誘電体冷媒が単一液相に凝縮される該凝縮器へ循環させられており、該液体冷媒は該液体レシーバーへ循環させられ、そして次いで該液体冷媒ポンプへ戻る冷却システム。
【請求項10】
該少なくとも1つの変圧器は、各々が銅管で形成されたらせん捲き線を有する少なくとも2つの変圧器を備えており、該少なくとも2つの変圧器の該らせん捲き線は該システム内で流体的に相互に並列で位置付けられる請求項9記載の冷却システム。
【請求項11】
該少なくとも2つの変圧器の該らせん捲き線の各々から上流に位置付けられた流れ制限器を更に具備しており、該流れ制限器は該冷媒が該らせん捲き線内で完全には蒸発しないことを保証する流量で該らせん捲き線に流量を提供する請求項10記載の冷却システム。
【請求項12】
該流れ制限器の少なくとも1つは固定オリフィス制限器である請求項11記載の冷却シ
ステム。
【請求項13】
該流れ制限器の少なくとも1つは調整可能なオリフィス制限器である請求項11記載の冷却システム。
【請求項14】
該少なくとも1つの変圧器の該らせん捲き線が該変圧器の1次捲き線である請求項12記載の冷却システム。
【請求項15】
該少なくとも1つの変圧器の該らせん捲き線が該変圧器の2次捲き線である請求項13記載の冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−528486(P2012−528486A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513186(P2012−513186)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/036128
【国際公開番号】WO2010/138540
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(500207958)パーカー−ハニフイン・コーポレーシヨン (10)
【Fターム(参考)】