説明

変換方法登録装置、変換方法登録システム、変換方法登録プログラム、および変換方法登録方法

【課題】 装置は、変換前後の両形式が多様で、なおかつ変更され得る場合の変換処理効率低下を防止できない。
【解決手段】 変換方法登録装置は、変換前属性名と、変換後属性名と、変換前属性名のデータ項目を変換後属性名のデータ項目に変換する手続きを特定する変換方法を包含する変換ルールを複数記憶する可用ルール記憶手段と、起動されると、変換前属性名が入力属性記憶手段に登録されている入力前属性名に一致し、かつ変換後属性名が出力属性記憶手段に登録されている出力属性名に一致する変換ルールの変換方法を可用ルール記憶手段から取得し、取得した当該変換方法を、入力したデータ項目を使用中ルール記憶手段に格納されている変換方法を用いて変換して出力するデータ項目変換手段が読み取り可能な使用中ルール記憶手段に、格納するルール選択手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変換方法登録装置、変換方法登録システム、変換方法登録プログラム、および変換方法登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、各種センサノードから受信したセンシングデータの値を、アプリケーションに有意な情報に変換するセンサネットサーバを開示する。当該サーバは、センサノードの種類毎に変換用プラグインを備え、センシングデータに記載されたセンサノードのIDに応じたプラグインを呼び出して上記変換を行う。
【0003】
特許文献2は、アプリ定義記憶部に予め登録されている変換規則に基づき、通知先の業務アプリケーションの入力インターフェースに合致するようにセンサイベントデータを変換する端末装置を開示する。
【0004】
特許文献3は、ユーザが立つ場所のサービス情報を取得すると共に、同一アクセスポイントを利用して他の場所のサービス情報を取得する方法を開示する。
【0005】
非特許文献1は、XML(Extensible Markup Language)文書の変換テンプレートとしてXSLT(XML Stylesheet Language Transformations)を用いることを開示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】XSL Transformations(XSLT、XSL変換、JIS X 4169:2007)
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-243478
【特許文献2】特開2007-293695
【特許文献3】WO2006/040807
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
入力データの属性(例えば、緯度経度)を、当該データを使用するアプリケーションが必要とする属性(例えば、郵便番号、最寄り駅)に変換するシステムは、変換処理効率の低下を抑えつつ、入力または出力属性の変更に柔軟に対応することが出来ない。
【0009】
特許文献1のサーバは、変換後のデータ形式が固定された変換を行うに過ぎない。特許文献2の端末は、変換前のデータ形式が固定された(または、変換前のデータ形式の差に依存しない範囲の)変換を行うに過ぎない。上記文献に記載された技術は、変換前後の両形式が多様で、なおかつ変更され得る場合の変換処理効率低下を防止できない。本発明は、上記課題を解決するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施の形態の、変換方法登録装置は、変換前属性名と、変換後属性名と、前記変換前属性名のデータ項目を前記変換後属性名のデータ項目に変換する手続きを特定する変換方法を包含する変換ルールを複数記憶する可用ルール記憶手段と、起動されると、変換前属性名が入力属性記憶手段に登録されている入力前属性名に一致し、かつ変換後属性名が出力属性記憶手段に登録されている出力属性名に一致する変換ルールの変換方法を前記可用ルール記憶手段から取得し、取得した当該変換方法を、入力したデータ項目を使用中ルール記憶手段に格納されている変換方法を用いて変換して出力するデータ項目変換手段が読み取り可能な前記使用中ルール記憶手段に、格納するルール選択手段を備える。
【0011】
本発明の一実施の形態の、変換方法登録プログラムは、コンピュータに、変換前属性名と、変換後属性名と、前記変換前属性名のデータ項目を前記変換後属性名のデータ項目に変換する手続きを特定する変換方法を包含する変換ルールを可用ルール記憶手段に複数記憶する可用ルール記憶処理と、実行されると、変換前属性名が入力属性記憶手段に登録されている入力前属性名に一致し、かつ変換後属性名が出力属性記憶手段に登録されている出力属性名に一致する変換ルールの変換方法を前記可用ルール記憶手段から取得し、取得した当該変換方法を、入力したデータ項目を使用中ルール記憶手段に格納されている変換方法を用いて変換して出力するデータ項目変換手段が読み取り可能な前記使用中ルール記憶手段に、格納するルール選択処理を実行させる。
【0012】
本発明の一実施の形態の、変換方法登録方法は、変換前属性名と、変換後属性名と、前記変換前属性名のデータ項目を前記変換後属性名のデータ項目に変換する手続きを特定する変換方法を包含する変換ルールを可用ルール記憶手段に複数記憶し、変換前属性名が入力属性記憶手段に登録されている入力前属性名に一致し、かつ変換後属性名が出力属性記憶手段に登録されている出力属性名に一致する変換ルールの変換方法を前記可用ルール記憶手段から取得し、取得した当該変換方法を、入力したデータ項目を使用中ルール記憶手段に格納されている変換方法を用いて変換して出力するデータ項目変換手段が読み取り可能な前記使用中ルール記憶手段に格納する。
【発明の効果】
【0013】
入力データの属性を、当該データを使用するアプリケーションが必要とする属性に変換するシステムは、変換処理効率の低下を抑えつつ、入力または出力属性の変更に柔軟に対応することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、イベント処理システム90の全体構成を示す。
【図2】図2は、イベントデータ70の例を示す。
【図3】図3は、入力属性記憶部40に格納されるデータの構成を示す。
【図4】図4は、出力属性記憶部50に格納されるデータの構成を示す。
【図5】図5は、可用ルール記憶部12に格納されるデータの構成を示す。
【図6】図6は、使用中ルール記憶部60に格納されるデータの構成を示す。
【図7】図7は、パターン記憶部24に格納されるデータの構成を示す。
【図8】図8は、ルール選択部11の動作フローチャートである。
【図9】図9は、データ変換部21の動作フローチャートである。
【図10】図10は、パターンマッチング部23の動作フローチャートである。
【図11】図11は、パターン登録部27の動作フローチャートである。
【図12】図12は、入力属性登録部22の動作フローチャートである。
【図13】図13は、第2の実施形態の変換方法登録装置10の構成図である。
【図14】図14は、第3の実施形態の変換方法登録装置10の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、イベント処理システム90の全体構成を示す。イベント処理システム90は、本実施の形態にかかる変換方法登録装置10を利用したシステムの例である。イベント処理システム90は、ネットワーク30に接続された変換方法登録装置10、イベント処理装置20、入力属性記憶部40、出力属性記憶部50、使用中ルール記憶部60、操作端末28を包含する。
【0016】
イベント処理装置20は、ネットワーク30を経由してセンサ端末32に接続されている。センサ端末32が携帯型の無線端末である場合、イベント処理装置20は、ネットワーク30および中継装置31を経由してセンサ端末32に接続されている。中継装置31は、無線LANアクセスポイントや携帯電話基地局等である。
【0017】
各センサ端末32は、位置、温度、音、時刻等の測定装置(まとめてセンサと呼ぶ)を備えており、各センサの測定値を各データ項目72として含むイベントデータ70を作成して、イベント処理装置20に送信する。イベント処理装置20は、各種AP26(アプリケーションプログラム)を実行して、センサ端末32から受信したイベントデータ70を処理する。
【0018】
図2は、イベントデータ70の例を示す。イベントデータ70は1個以上のデータ項目72を包含する。イベントデータ70は、他の情報、例えばイベントタイプ名71を包含していても良い。
【0019】
各データ項目72は、属性と値を持つ。属性は、属性種別と属性名から成る。属性種別は、データ項目72のデータの種類を示す。属性種別は、例えば、位置、時刻、温度、明度である。
【0020】
属性名は、データ項目72の値がどのように表現されているかを示す。例えば、属性種別が位置であるデータ項目72の属性名は、緯度経度、最寄り駅、最寄りショッピングセンタ等である。位置を通信中無線アクセスポイントの識別番号で測定する場合、属性名はアクセスポイント番号等である。例えば、属性種別が時刻であるデータ項目72の属性名は、日本標準時刻、米国東部標準時刻等である。
【0021】
データ項目72の値は、各センサ端末32が測定した測定値である。属性種別が位置、属性名が緯度経度のデータ項目72の場合、値は(35.64572745389143,139.74757432937622)等である。属性種別が位置、属性名が最寄り駅のデータ項目72の場合、値は”田町”等である。属性種別が時刻、属性名が日本標準時のデータ項目72の場合、値は”12:34”等である。
【0022】
イベントタイプ名71は、イベントデータ70のイベントタイプを示す。イベントタイプは、各データ項目72が、どのような属性を持つかを示す。各データ項目72の並びが一定でないとき、イベントタイプは、どのような属性を持つデータ項目72がどのような順序で並ぶかも示す。
【0023】
例えば、イベントタイプ名71が”A”であるイベントデータ70は、第1のデータ項目72の属性種別が位置、属性名が緯度経度であり、第2のデータ項目72の属性種別が時間、属性名が日本標準時であることを示す。例えば、イベントタイプ名71が”B”であるイベントデータ70は、第1のデータ項目72の属性種別が位置、属性名がアクセスポイント番号であり、第2のデータ項目72の属性種別が時間、属性名が米国東部標準時であることを示す。
【0024】
イベントタイプ名71は、図2に示すようにイベントデータ70が明示的に包含していても良い。各データ項目72が属性を示す情報を包含し、当該情報からイベント処理装置20がイベントタイプ名71を判別しても良い。更に、イベントデータ70の送信元センサ端末32や中継装置31の識別子、機種種別等の情報からイベント処理装置20がイベントタイプ名71を判別しても良い。
【0025】
イベント処理装置20には、様々な製造メーカの、様々なパラメータ設定をされた中継装置31、センサ端末32が接続される。各センサ端末32が備えるセンサの種類も多様である。従って、イベント処理装置20は、種々のイベントタイプ名71のイベントデータ70を受信する場合がある。
【0026】
一方、各AP26は、それぞれ異なるイベントタイプのイベントデータ70を前提としている場合がある。属性種別が位置のデータ項目72を例にとれば、宅配業者のAP26は、属性名が郵便番号であることを前提とする。グルメ情報提供業者のAP26は、属性名が最寄り駅であることを前提とする。物流管理業者のAP26は、属性名が最寄り倉庫名であることを全体とする。
【0027】
イベント処理装置20のデータ変換部21は、受信したイベントデータ70のイベントタイプを各AP26が期待するイベントタイプに変換する。具体的には、データ変換部21は、a)或るデータ項目72の値を、ある属性名の値から別の属性名の値にデータ変換し、b)データ項目72の並び順を変更する。
【0028】
データ変換部21は、使用中ルール記憶部60に記述された手順に基づいて上述の変換を行う。なお、説明を簡略にするため、以降の説明は、上述b)の並び替えについて言及しない。
【0029】
変換方法登録装置10は、このデータ変換に必要な手順を使用中ルール記憶部60に登録する。
【0030】
図1に於いて、変換方法登録装置10はルール選択部11と可用ルール記憶部12を備える。ルール選択部11は、可用ルール記憶部12、入力属性記憶部40、出力属性記憶部50の情報に基づいて、データ変換部21が必要な手順を使用中ルール記憶部60に登録する。
【0031】
ルール選択部11は、ハードウェア装置として実現される。ルール選択部11は、変換方法登録装置10の図示されないプロセッサが変換方法登録プログラム19を実行することで実現されても良い。可用ルール記憶部12は、ディスク装置、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置である。
【0032】
イベント処理装置20は、データ変換部21、AP26、AP26を実行するプロセッサ25を包含する。イベント処理装置20は、入力属性登録部22、パターンマッチング部23、パターン登録部27、パターン記憶部24を包含しても良い。
【0033】
パターンマッチング部23は、各AP26が受信するイベントデータ70を、パターン記憶部24の内容に基づいてフィルタリングして、AP26に通知する。
【0034】
データ変換部21、入力属性登録部22、パターンマッチング部23、パターン登録部27は、ハードウェア装置として実現される。データ変換部21、入力属性登録部22、パターンマッチング部23、パターン登録部27の一部または全部は、イベント処理装置20の図示されないプロセッサ、又はプロセッサ25が変換プログラム29を実行することで実現されても良い。パターン記憶部24は、ディスク装置、RAM等の記憶装置である。
【0035】
入力属性記憶部40、出力属性記憶部50、使用中ルール記憶部60は、ネットワーク30に接続可能なディスク装置、データベースサーバ等である。
【0036】
なお、可用ルール記憶部12、パターン記憶部24はおのおの、変換方法登録装置10、イベント処理装置20のディスク装置等とせず、ネットワーク30に接続可能なディスク装置、データベースサーバ等としても良い。更に、AP26、パターン登録部27、入力属性登録部22の全て又は一部は、イベント処理装置20とネットワーク30で接続された別のサーバ等で実行されても良い。
【0037】
図3は、入力属性記憶部40に格納されるデータの構成を示す。入力属性記憶部40は、入力イベントタイプ41、入力属性種別42、入力属性名43を包含する1以上の行を格納する。入力イベントタイプ41、入力属性種別42、入力属性名43はおのおの、イベント処理装置20が入力するイベントデータ70のイベントタイプ、各データ項目72の属性種別、属性名を示す。
【0038】
なお、イベント処理装置20のデータ変換部21に入力されるイベントデータ70のイベントタイプが1つに限られる場合、入力イベントタイプ41はなくても良い。イベント処理装置20に入力されるデータ項目72の属性種別が1つに限られる場合、または属性名から属性種別が一意に判別できる場合、入力属性種別42はなくても良い。この点は、出力属性記憶部50等についても同様である。
【0039】
図4は、出力属性記憶部50に格納されるデータの構成を示す。出力属性記憶部50は、出力属性種別51、出力属性名52、カウンタ53を包含する1以上の行を格納する。出力属性種別51、出力属性名52は、データ変換部21がAP26に出力するイベントデータ70の各データ項目72の属性種別、属性名を示す。
【0040】
カウンタ53は、出力属性種別51、出力属性名52の登録多重度である。多くの場合、カウンタ53は、当該出力属性種別51、出力属性名52のデータ項目72を前提とするAP26の数である。
【0041】
図5は、可用ルール記憶部12に格納されるデータの構成を示す。可用ルール記憶部12は、ルール属性種別61、変換ルール65を包含する。変換ルール65は、変更前属性名62、変更後属性名63、変換方法64を包含する。
【0042】
変換方法64は、ルール属性種別61及び変更前属性名62で特定される属性のデータ項目72の値を、ルール属性種別61及び変更後属性名63で特定される属性の値に変換する手続きを特定する。変換方法64は、当該手続きを実行するサブルーチン名、ルーチンアドレス、メソッド名等である。変換方法64は、ある種のスクリプト言語等で記述された手続き自体であっても良い。
【0043】
可用ルール記憶部12には、イベント処理装置20で使用可能な変換ルール65が全て登録されている。ルール選択部11は、可用ルール記憶部12から変換ルール65を選択して、当該ルールの変換方法64を使用中ルール記憶部60に格納する。ルール選択部11が選択する変換ルール65は、入力属性記憶部40、出力属性記憶部50で規定されるデータ変換に必要なものである。
【0044】
なお、変換方法64で特定される手続きは、例えば以下のように機能する。図5のルーチン111はプロセッサ25で実行されて、イベント処理装置20が入力した緯度経度の値を入力し、イベント処理装置20が備える図示されない緯度経度データベースを検索し、最寄り駅の名前を出力する。この緯度経度データベースは、例えば、駅ごとの緯度経度が格納され、緯度及び経度の値を索引インデックスとしたデータベースである。
【0045】
図5のルーチン121はプロセッサ25で実行されて、イベント処理装置20が入力したアクセスポイント番号値を入力し、イベント処理装置20が備える図示されないアクセスポイントデータベースを検索し、最寄り駅の名前を出力する。このデータベースは、例えば、アクセスポイントごとに最寄り駅またはアクセスポイント設置駅を登録したデータベースである。
【0046】
図5のルーチン21X(X=1,2,3....)はプロセッサ25で実行されて、時差を加減算して時刻変換を行う。
【0047】
図6は、使用中ルール記憶部60に格納されるデータの構成を示す。使用中ルール記憶部60は、ルールイベントタイプ66、ルール属性種別61、変換前属性名62、変換方法64を包含する1以上の行を格納する。
【0048】
変換方法64は、変換前属性名62で特定される属性名のデータ項目72の値を、当該方法が対象とする属性名の値に変換する手続きを特定する。属性種別は、変換前後で変わらない。ルールイベントタイプ66は、変換対象となるイベントデータ70のイベントタイプを特定する。
【0049】
使用中ルール記憶部60が格納する変換前属性名62、変換方法64は、可用ルール記憶部12から選択された一部の変換ルール65から抜粋されたものである。なお、変換方法64から、ルール属性種別61、変換前属性名62が判別可能なとき、使用中ルール記憶部60は当該両情報を格納していなくても良い。
【0050】
図7は、パターン記憶部24に格納されるデータの構成を示す。パターン記憶部24は、1以上のパターン85を格納する。パターン85は、1つのパターンID81及び通知先アプリケーション84、並びに、1以上の条件指定83を包含する。
【0051】
条件指定83は、イベントデータ70が包含するデータ項目72対応に存在し、出力属性種別51、出力属性名52、条件値82を包含する。条件値82は、一の値を特定する場合もあるし、複数の値、値の範囲を特定する場合もある。
【0052】
イベントデータ70が、あるパターン85の各条件指定83に合致したデータ項目72を全て包含するとき、パターンマッチング部23は、当該イベントデータ70を通知先アプリケーション84で特定されるAP26に通知する。データ項目72の属性種別が出力属性種別51に、属性名が出力属性名52に一致し、かつ、値が条件値82の特定範囲内であるとき、当該データ項目72は条件指定83に合致する。
【0053】
なお、イベントデータ70は、パターン85の各条件指定83を満たすデータ項目72の全て以外のデータ項目72やその他データを含んでいてもAP26に通知される。また、イベントデータ70と条件指定83との一致チェックは、データ変換部21の変換後に行われる。
【0054】
例えば図7に於いて、パターンID81が1のパターン85は、イベントデータ70が以下の1)、2)のデータ項目72を包含するとき、当該イベントデータ70がAP1というAP26に通知されることを示す。
1)属性種別が位置、属性名が最寄り駅、値が田町であるデータ項目72。
2)属性種別が時刻、属性名が日本標準時、値が12:34の間のいずれかであるデータ項目72。
【0055】
パターンID81が2のパターン85は、イベントデータ70が以下の3)、4)のデータ項目72を包含するとき、当該イベントデータ70がAP2というAP26に通知されることを示す。
3)属性種別が位置、属性名が最寄りショッピングセンタ、値がXXモールであるデータ項目72。
4)属性種別が時刻、属性名が日本標準時、値が8:00から17:00の間のいずれかであるデータ項目72。
【0056】
図8は、ルール選択部11の動作フローチャートである。ルール選択部11は起動されると、使用中ルール記憶部60を初期化する(S1)。初期化は、使用中ルール記憶部60が有効な行を格納していない状態にすることを意味する。
【0057】
次にルール選択部11は、入力属性記憶部40に格納されている各行(入力行)と、出力属性記憶部50に格納されている各行(出力行)の全組み合わせのうち、入力属性種別42と出力属性種別51が一致するものについて、以下の処理を繰り返して実行する。
【0058】
ルール選択部11は、使用中ルール記憶部60の初期状態先頭行(使用中ルール行)のルールイベントタイプ66に処理中入力行の入力イベントタイプ41を格納する(S2)。
【0059】
ルール選択部11は、可用ルール記憶部12から以下の3条件を満たす行(可用ルール行)を検索する(S3)。
1)ルール属性種別61が、処理中入力行の入力属性種別42と等しい。
2)変換前属性名62が、処理中入力行の入力属性名43と等しい。
3)変換後属性名63が、処理中出力行の出力属性名52と等しい。
【0060】
可用ルール行を発見した場合(S4で”有り”)、ルール選択部11は、使用中ルール行のルール属性種別61、変換前属性名62、変換方法64に、可用ルール行のルール属性種別61、変換前属性名62、変換方法64をそれぞれ格納する(S5)。
【0061】
可用ルール行を発見しない場合(S4で”無し”)、ルール選択部11は、使用中ルール行のルール属性種別61、変換前属性名62に、可用ルール行のルール属性種別61、変換前属性名62をそれぞれ格納する。更に、ルール選択部11は、使用中ルール行の変換方法64にNULLを格納する(S6)。
【0062】
上述した可用ルール行を発見しない場合は、処理中入力行の入力属性名43と処理中出力行の出力属性名52とが等しい場合であり、この場合変換は不要である。従って、ルール選択部11は、変換方法64にNULLを格納する。
【0063】
図9は、データ変換部21の動作フローチャートである。データ変換部21は、センサ端末32からイベントデータ70を入力して(S11)、ルールイベントタイプ66が入力したイベントデータ70のイベントタイプ名71と一致する全ての行(タイプ行)を使用ルール記憶部60から取得する(S12)。
【0064】
同部は、入力したイベントデータ70の各データ項目72の値を、ルール属性種別61、変換前属性名62のおのおのが当該データ項目72の属性種別、属性名のおのおのと一致する、各タイプ行の変換方法64を用いて変換する(S13)。1つのデータ項目72の属性種別、属性名のおのおのが使用ルール記憶部60から取得した複数の行のルール属性種別61、変換前属性名62のおのおのと一致する場合は、当該データ項目72は、複数の変換方法64を用いて変換され、複数の値が得られる。
【0065】
データ変換部21は、変換後のイベントデータ70をパターンマッチング部23に出力する(S14)。
【0066】
データ変換部21は、変換後のイベントデータ70のイベントタイプに合わせて、イベントタイプ名71を書き換える。複数のイベントタイプに変換したとき、データ変換部21は、複数のイベントデータ70を出力する。または、データ変換部21は、データ項目72毎に、変換後の属性種別を出力しても良い。
【0067】
なお、データ変換部21は、データ項目72の変換後の属性名を、変換方法64の名称等から判定しても良いし、変換方法64から取得しても良い。
【0068】
なお、データ変換部21は、変換後のイベントデータ70と共に、変換前のイベントデータ70をパターンマッチング部23に出力しても良い。
【0069】
パターンマッチング部23が実装されていない場合、データ変換部21は、変換後のイベントデータ70をAP26に出力する。
【0070】
図10は、パターンマッチング部23の動作フローチャートである。パターンマッチング部23は、パターン記憶部24の全パターン85について、当該パターン85の各条件指定83に一致する属性種別、属性名、値のデータ項目72が全て入力イベントデータ70に包含されているかをチェックする(S31)。
【0071】
全データ項目72が包含されていれば(S31でY)、パターンマッチング部23は、イベントデータ70を、当該パターン85の通知先アプリケーション84で特定されるAP26に出力する(S32)。出力されるイベントデータ70は、変換前のものでも変換後のものでも良い。
【0072】
当該パターン85の各条件指定83に一致する属性種別、属性名、値のデータ項目72の1つでも入力イベントデータ70に包含されていない場合(S31でN)、当該出力は行われない。
【0073】
図11は、パターン登録部27の動作フローチャートである。パターン登録部27は、各AP26からパターン85の登録情報(パターンID81、各条件指定83、通知先アプリケーション84)を入力する(S41)。パターン登録部27は、各AP26から操作種別(追加、変更、削除)を入力する(S42)。
【0074】
パターン登録部27は、入力した登録情報、操作種別に応じて、パターン記憶部24を更新する(S43)。パターン登録部27は、入力した登録情報、操作種別に応じて、出力属性記憶部50を更新する(S44)。アプリケーション26から、同一の出力属性種別51、出力属性名52を含む条件指定83を登録、削除されたときは、カウンタ53を用いた、登録/削除の多重度制御を行う。
【0075】
最後に、パターン登録部27は、ルール選択部11に起動要求を送信する(S45)。
【0076】
図12は、入力属性登録部22の動作フローチャートである。入力属性登録部22は、操作端末28から、センサ端末32から入力するイベントデータ70の定義情報(イベントタイプ、各データ項目72の属性)を入力する(S51)。入力属性登録部22は、操作端末28から、操作種別(追加、変更、削除)を入力する(S52)。
【0077】
入力属性登録部22は、入力した定義情報、操作種別に応じて、入力属性記憶部40を更新する(S53)。
【0078】
最後に、入力属性登録部22は、ルール選択部11に起動要求を送信する(S54)。
【0079】
本実施の形態に於いて、入力データ項目72の属性を、当該データ項目72を使用するAP26が必要とする属性に変換するイベント処理装置20は、変換処理効率の低下を抑えつつ、入力または出力属性の変更に柔軟に対応することが出来る。
【0080】
その理由は、変換方法登録装置10が、可用ルール記憶部12内の変換方法64のうち、入力属性記憶部40、出力属性記憶部50で定義される変換に必要なものを選択し、使用中ルール記憶部60に登録するからである。
【0081】
本実施の形態のイベント処理システム90は、各AP26が自由な出力属性名52のパターン85を指定することが出来る。
【0082】
その理由は、データ変換部21が効率よくイベントデータ70のデータ変換を行い、パターンマッチング部23は、変換後のイベントデータ70に基づいて、パターン85のマッチングを行うからである。
【0083】
<第2の実施形態>
図13は、第2の実施形態の変換方法登録装置10の構成図である。本実施の形態の変換方法登録装置10は、ネットワーク30を介してセンサ端末32と接続している。接続は、中継装置31を経由しても良い。
【0084】
本実施の形態の変換方法登録装置10は、ルール選択部11、データ変換部21、可用ルール記憶部12、入力属性記憶部40、出力属性記憶部50、使用中ルール記憶部60を包含する。
【0085】
本実施の形態の変換方法登録装置10は、AP26、AP26を実行するプロセッサ25、入出力属性登録部13、操作端末28を包含していても良い。
【0086】
ルール選択部11、データ変換部21、入出力属性登録部13は、ハードウェア装置として実現される。ルール選択部11、データ変換部21、入出力属性登録部13の全て又は一部は、変換方法登録装置10の図示されないプロセッサ、またはプロセッサ25が変換方法登録プログラム19を実行することで実現されても良い。
【0087】
可用ルール記憶部12、入力属性記憶部40、出力属性記憶部50、使用中ルール記憶部60は、ディスク装置、RAM等の記憶装置である。それらの全て又は一部は、ネットワーク30に接続可能なディスク装置、データベースサーバ等でも良い。
【0088】
更に、AP26、入出力属性登録部13は、変換方法登録装置10とネットワーク30で接続された別のサーバで実行されても良い。
【0089】
なお、入出力属性登録部13は、操作端末28から、イベントデータ70の定義情報、パターン85の登録情報、操作種別を入力して、入力属性記憶部40、出力属性記憶部50を更新する。入出力属性登録部13は、更新の後、ルール選択部11に起動要求を送信する。
【0090】
本実施の形態の変換方法登録装置10は、安価に構成可能である。その理由は、イベント処理装置20 が不要だからである。
【0091】
<第3の実施形態>
図14は、第3の実施形態の変換方法登録装置10の構成図である。本実施形態の変換方法登録装置10は、可用ルール記憶部12とルール選択部11を備える。
【0092】
可用ルール記憶部12は、変換前属性名62、変換後属性名63、変換前属性名62のデータ項目72を変換後属性名63のデータ項目72に変換する手続きを特定する変換方法64を包含する変換ルール65を複数記憶する。
【0093】
ルール選択部11は、変換前属性名62が入力属性記憶部40に登録されている入力前属性名43に一致し、変換後属性名63が出力属性記憶部50に登録されている出力属性名52に一致する変換ルール65の変換方法64を可用ルール記憶部12から取得する。さらに、ルール選択部11は、取得した当該変換方法64を、入力したデータ項目72を使用中ルール記憶部60に格納されている変換方法64を用いて変換して出力するデータ変換部21が読み取り可能な使用中ルール記憶部60に格納する。
【0094】
本実施の形態に於いて、入力データ項目72の属性を、当該データ項目72を使用するAP26が必要とする属性に変換するイベント処理装置20は、変換処理効率の低下を抑えつつ、入力または出力属性の変更に柔軟に対応することが出来る。
【0095】
その理由は、変換方法登録装置10が、可用ルール記憶部12内の変換方法64のうち、入力属性記憶部40、出力属性記憶部50で定義される変換に必要なものを選択し、使用中ルール記憶部60に登録するからである。
【符号の説明】
【0096】
10 変換方法登録装置
11 ルール選択部
12 可用ルール記憶部
13 入出力属性登録部
19 変換方法登録プログラム
20 イベント処理装置
21 データ変換部
22 入力属性登録部
23 パターンマッチング部
24 パターン記憶部
25 プロセッサ
26 AP
27 パターン登録部
28 操作端末
29 変換プログラム
30 ネットワーク
31 中継装置
32 センサ端末
40 入力属性記憶部
41 入力イベントタイプ
42 入力属性種別
43 入力属性名
50 出力属性記憶部
51 出力属性種別
52 出力属性名
53 カウンタ
60 使用中ルール記憶部
61 ルール属性種別
62 変換前属性名
63 変換後属性名
64 変換方法
65 変換ルール
66 ルールイベントタイプ
70 イベントデータ
71 イベントタイプ名
72 データ項目
81 パターンID
82 条件値
83 条件指定
84 通知先アプリケーション
85 パターン
90 イベント処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換前属性名と、変換後属性名と、前記変換前属性名のデータ項目を前記変換後属性名のデータ項目に変換する手続きを特定する変換方法を包含する変換ルールを複数記憶する可用ルール記憶手段と、
起動されると、変換前属性名が入力属性記憶手段に登録されている入力前属性名に一致し、かつ変換後属性名が出力属性記憶手段に登録されている出力属性名に一致する変換ルールの変換方法を前記可用ルール記憶手段から取得し、
取得した当該変換方法を、入力した使用中ルール記憶手段に格納されている変換方法を用いて変換して出力するデータ項目変換手段が読み取り可能な前記使用中ルール記憶手段に、格納するルール選択手段を備える変換方法登録装置。
【請求項2】
前記出力属性記憶手段は、複数の出力属性名を格納し、
前記ルール選択手段は、変換前属性名が前記入力属性記憶手段に登録されている入力属性名に一致し、かつ変換後属性名が前記出力属性記憶手段に登録されている前記複数の出力属性名の各々に一致する前記複数の変換ルールの変換方法を前記可用ルール記憶手段から取得し、
取得した前記複数の変換方法を、入力したデータ項目を前記複数の変換方法を用いて前記複数のデータ項目に変換して出力する前記データ項目変換手段が読み取り可能な前記使用中ルール記憶手段に格納する請求項1の変換方法登録装置。
【請求項3】
前記ルール選択手段は、前記入力属性記憶手段に入力属性名が追加、削除、若しくは変更されたことを契機に、または前記出力属性記憶手段に出力属性名が追加、削除、若しくは変更されたことを契機に、起動される請求項1または2の変換方法登録装置。
【請求項4】
前記入力属性記憶手段と、
前記出力属性記憶手段と、
前記使用ルール記憶手段と、
センサ端末からデータ項目を入力して、変換後のデータ項目をアプリケーションプログラムに出力する前記データ項目変換手段と、
前記アプリケーションプログラムを実行するプロセッサと、
を備える請求項1乃至3のいずれかの変換方法登録装置。
【請求項5】
ネットワークで接続されたセンサ端末からデータ項目を入力して、変換後のデータ項目をパターンマッチング手段に出力する前記データ項目変換手段と、変換後のデータ項目がアプリケーションプログラム対応に登録されたパターンと一致する場合に、変換後または変換前の当該データ項目を当該アプリケーションに出力する前記パターンマッチング手段と、前記アプリケーションプログラムを実行するプロセッサと、を備えるイベント処理装置、
前記センサ端末、
前記入力属性記憶手段、
前記出力属性記憶手段、
前記使用ルール記憶手段、並びに、
請求項1乃至3の何れかの変換方法登録装置をネットワークに接続して構成されたイベント処理システム。
【請求項6】
コンピュータに、
変換前属性名と、変換後属性名と、前記変換前属性名のデータ項目を前記変換後属性名のデータ項目に変換する手続きを特定する変換方法を包含する変換ルールを可用ルール記憶手段に複数記憶する可用ルール記憶処理と、
実行されると、変換前属性名が入力属性記憶手段に登録されている入力前属性名に一致し、かつ変換後属性名が出力属性記憶手段に登録されている出力属性名に一致する変換ルールの変換方法を前記可用ルール記憶手段から取得し、
取得した当該変換方法を、入力したデータ項目を使用中ルール記憶手段に格納されている変換方法を用いて変換して出力するデータ項目変換手段が読み取り可能な前記使用中ルール記憶手段に、格納するルール選択処理を実行させる変換方法登録プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータに、
前記出力属性記憶手段は、複数の出力属性名を格納し、
前記ルール選択処理に於いて、変換前属性名が前記入力属性記憶手段に登録されている入力属性名に一致し、かつ変換後属性名が前記出力属性記憶手段に登録されている前記複数の出力属性名の各々に一致する前記複数の変換ルールの変換方法を前記可用ルール記憶手段から取得し、
取得した前記複数の変換方法を、入力したデータ項目を前記複数の変換方法を用いて前記複数のデータ項目に変換して出力する前記データ項目変換手段が読み取り可能な前記使用中ルール記憶手段に格納させる請求項6の変換方法登録プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、
前記入力属性記憶手段に入力属性名が追加、削除、若しくは変更されたことを契機に、または前記出力属性記憶手段に出力属性名が追加、削除、若しくは変更されたことを契機に、前記ルール選択処理を実行させる請求項6または7の変換方法登録プログラム。
【請求項9】
変換前属性名と、変換後属性名と、前記変換前属性名のデータ項目を前記変換後属性名のデータ項目に変換する手続きを特定する変換方法を包含する変換ルールを可用ルール記憶手段に複数記憶し、
変換前属性名が入力属性記憶手段に登録されている入力前属性名に一致し、かつ変換後属性名が出力属性記憶手段に登録されている出力属性名に一致する変換ルールの変換方法を前記可用ルール記憶手段から取得し、
取得した当該変換方法を、入力したデータ項目を使用中ルール記憶手段に格納されている変換方法を用いて変換して出力するデータ項目変換手段が読み取り可能な前記使用中ルール記憶手段に、格納する変換方法登録方法。
【請求項10】
前記出力属性記憶手段は、複数の出力属性名を格納し、
変換前属性名が前記入力属性記憶手段に登録されている入力属性名に一致し、かつ変換後属性名が前記出力属性記憶手段に登録されている前記複数の出力属性名の各々に一致する前記複数の変換ルールの変換方法を前記可用ルール記憶手段から取得し、
取得した前記複数の変換方法を、入力したデータ項目を前記複数の変換方法を用いて前記複数のデータ項目に変換して出力する前記データ項目変換手段が読み取り可能な前記使用中ルール記憶手段に格納する請求項9の変換方法登録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−180809(P2011−180809A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43953(P2010−43953)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「平成21年度 総務省「ユビキタスサービスプラットフォーム技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願」
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)