説明

変電所装置の資産状態を監視するためのシステムおよび方法

【課題】変電所装置の資産状態を監視するためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】本発明のいくつかの実施形態は、変電所装置の資産状態を監視するためのシステムおよび方法を含むことができる。本発明の例示の一実施形態によれば、変電所装置の挙動を検出する方法が提供される。この方法は、変電所装置に関連した複数のパラメータに関連する実時間データを受け取るステップと、ある期間にわたり実時間データの少なくとも一部を記憶するステップと(ここで、記憶したデータは履歴データを含む)、実時間データと履歴データとを比較するステップと、前記実時間データと前記履歴データとの比較に少なくとも部分的に基づいて報告を生成するステップとを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に変電所装置に関し、より詳細には、変電所装置の資産状態を監視するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送電装置が徐々に老朽化するにつれて、装置の信頼性がますます意識される。関連する変電所装置の改修または更新について判断するには、例えば、運転費用および資本投資から最大収益を引き出す必要性を考慮に入れることができる。そのような判断は信頼できる装置評価に依拠することができる。期間限定の点検形式試験に基づいていくつかの送電構成要素の状態を分類するいくつかの方法が提案されている。しかし、そのような装置試験で取得される限定的な「スナップショット」データは、実際の装置状態の実際的な評価にならないことがある。変電所装置の資産状態を監視するための改善されたシステムおよび方法が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7584165号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の要求の一部またはすべては本発明のいくつかの実施形態によって対処することができる。本発明のいくつかの実施形態は、変電所装置の資産状態を監視するためのシステムおよび方法を含むことができる。
【0005】
本発明の例示の一実施形態によれば、変電所装置の挙動を検出する方法が提供される。この方法は、変電所装置に関連した複数のパラメータに関連する実時間データを受け取るステップと、ある期間にわたり実時間データの少なくとも一部を記憶するステップであり、記憶したデータが履歴データを含む、ステップと、実時間データと履歴データとを比較するステップと、実時間データと履歴データとの比較に少なくとも部分的に基づいて報告を生成するステップとを含むことができる。
【0006】
別の例示の実施形態によれば、この方法は変電所装置に関連する複数のパラメータに関連する履歴データを受け取るステップをさらに含むことができる。
【0007】
別の例示の実施形態によれば、この方法は、実時間データと履歴データとの比較を含むことができ、実時間データと履歴データとの比較は、学習した正常挙動モデルによりデータの少なくとも一部を分析するステップを含み、正常挙動は履歴データに少なくとも部分的に基づく。
【0008】
別の例示の実施形態によれば、変電所装置の挙動を検出するシステムを提供することができる。このシステムは、1つまたは複数の変圧器、1つまたは複数の変圧器に関連するデータを測定するように動作可能な複数のモニタ、および少なくとも1つのプロセッサを含むことができる。少なくとも1つのプロセッサは、複数のモニタから1つまたは複数の変圧器に関連する実時間データを受け取り、ある期間にわたり実時間データの少なくとも一部を記憶し(ここで、記憶したデータは履歴データを含む)、実時間データと履歴データとを比較し、実時間データと履歴データとの比較に少なくとも部分的に基づいて報告を出力するように構成することができる。
【0009】
本発明の他の実施形態および態様が本明細書で詳細に説明され、請求する発明の一部と見なされる。他の実施形態および態様は、以下の詳細な説明、添付図面、および特許請求の範囲を参照しながら理解することができる。
【0010】
次に、添付の表と、必ずしも原寸に比例して描かれていない図面とを参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の例示の実施形態による例証となるシステムのブロック図である。
【図2】本発明の例示の実施形態による例示の方法の流れ図である。
【図3】本発明の例示の実施形態による例示の方法の別の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態が示される添付図面を参照しながら本発明の実施形態が以下でより完全に説明される。しかし、本発明は様々な形態で具現することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全なものとなるように提供され、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるはずである。同様の数字は全体を通して同様の要素を参照する。
【0013】
変電所は、電力の変換、制御、および伝送で多くの装置を利用する。これらの装置は、電力変圧器、開閉器、タップ切換器などをセンサ、モニタ、および関連する制御システムとともに含むことができる。電力変圧器は変電所内で最も高価な構成要素の1つであり得る。電気ネットワークの絶え間ない拡大、一部の装置の老朽化、および技術的性能への要求の増加を考慮すると、多くの電力会社は変圧器および関連装置の実際の技術的状態を評価する必要性に直面している。状態評価は、工学的判断および資産更新計画に経済的・技術的根拠を提供することができる。
【0014】
本発明の例示の実施形態によれば、装置状態の評価は、装置に関連する履歴データの分析と、装置に関連する最新の利用可能なデータとに基づいて行うことができる。本発明の1つの例示の実施形態では、評価は装置の状態を示す健全度指数を生成するように行うことができる。別の例示の実施形態では、評価を利用して装置に関連する異常挙動を検出および報告することができ、その結果、是正処置を取ることができる。
【0015】
本発明の例示の実施形態によれば、変電所装置に関連した複数のパラメータに関連する実時間データは、1つまたは複数の変圧器構成要素に関連する実時間データを含むことができる。本発明の例示の一実施形態では、いくつかの情報源のデータは、装置の状態を評価するための入力として利用可能とすることができる。いくつかの実施形態では、データは定期的なオフライン試験から収集することができる。他の実施形態では、データは、例えば、オンライン監視からの連続的なものとすることができる。入力データが定期的なオフライン試験の間にバッチ形態で収集されるとしても、入力データを「実時間」と見なすことができる。したがって、「実時間」という用語は、データが収集される頻度にかかわらず、最新の利用可能なデータまたは最も最近のデータを含むと定義される。いくつかの実施形態では、実時間データは、装置に関連する履歴データの少なくとも一部を完全なものにするために蓄積および記憶することができる。いくつかの実施形態では、履歴データは手動で入力されたデータを含むことができる。例えば、履歴データは製造業者から収集したデータを含むことができる、およびデータは工場で得られた試験データを含むことができる、またはデータはモデル、製造日付、使用する油のタイプなどのような記述データを含むことができる。例示の実施形態では、履歴データは工場での試験に関連するデータを含むことができる。いくつかの例示の実施形態では、履歴データは実験室試験または実地試験に関連するデータを含むことができる。
【0016】
本発明の例示の実施形態では、履歴データは所定の期間にわたって監視されたデータを含むことができる。1つの例示の実施形態では、所定の期間は設置した装置の全耐用期間を含むことができる。別の例示の実施形態では、所定の期間は設置した装置の耐用期間の一部を含むことができる。
【0017】
本発明の例示の実施形態を利用して、装置に関連する異常挙動を検出することができる。いくつかの実施形態では、異常挙動が検出された場合、報告を生成することができる。例示の実施形態によれば、報告は1つまたは複数の警告、警報、またはメッセージを含むことができる。例示の一実施形態では、報告により、異常挙動の考え得る原因を識別することができる。いくつかの実施形態では、報告は是正処置の提案を行うこともできる。
【0018】
本発明のいくつかの例示の実施形態では、報告を出力するステップは、複数のパラメータのうちの1つまたは複数に関連する挙動が変化したとき警告を生成するステップを含むことができる。いくつかの例示の実施形態では、報告は実時間データと履歴データとの比較に基づいて生成することができ、実時間データと履歴データとの比較は、変電所装置に関連する状態を分析するステップを含むことができる。
【0019】
例示の実施形態によれば、変電所装置に関連する状態は、装置の挙動、挙動の変化、装置の動作を表す監視データなどを含むことができる。本発明の例示の実施形態では、報告は、変電所装置の挙動または状態の考え得る原因の識別を含むことができる。本発明の例示の実施形態では、報告を出力するステップは、異常挙動が検出された場合に是正処置の提案を生成するステップを含むことができる。いくつかの例示の実施形態では、変電所装置に関連する状態は、メンテナンスデータ、実時間データ、バッチ処理データ、履歴データ、および/または変電所装置に関連する任意の他の利用可能なデータまたは情報を含むデータの分析に少なくとも部分的に基づくことができる。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、変電所装置構成要素に関連する構成要素の健全度指数評価を行い、全装置の寿命管理プロセスをどのように扱うか判断する際に情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、暫定的健全度指数評価を決定するために構成要素の集団を考慮することができる。そのような評価は、試験データおよび容易に利用可能な動作観測から決定することができる。いくつかの実施形態では、暫定的健全度指数評価は、全ネットワークのフレームワーク内の特定のユニットの戦略的重要性を反映する重要性指数と組み合わせることができる。得られた組合せ指数により、ユニットを格付けして、さらなる試験および検査を必要とするユニットを識別し、実行されるべき是正処置に対して情報に基づいた判断を下すことができるようになる。
【0021】
本発明の例示の実施形態によれば、利用可能な試験データから装置状態を評価する方法は、装置の状態を反映するために試験結果の各々に重みを適用するステップを含むことができる。例えば、重みは装置の劣化の状態、および/または恐らく故障モードと関連する状態を表すことができる。例示の一実施形態では、故障の相対的危険度は装置に関連する各構成要素に割り当てることができる。いくつかの実施形態では、故障統計は、各構成要素の相対的重要性を決定するのに役立つように利用することができる。本発明の例示の一実施形態では、装置状態評価は、試験結果に格付け等級を付与するステップをさらに含むことができる。例えば、構成要素の試験結果は、1から4までの等級(極めて悪い状態には1、および非常に良い状態には4)で格付けすることができる。他の実施形態では、格付け等級はより多くの数値またはより少ない数値を含むことができる。他の実施形態では、格付け等級は、良し悪しに加えて他の次元、例えば老化、不安定、結果データの信頼性などと関連づけることができる。いくつかの実施形態では、格付け要因は、任意の数の標準機構または基準設定機関によって提案された限界値に基づくことができる。他の例示の実施形態では、格付け要因は個人の実地経験に基づくことができる。
【0022】
いくつかの例示の実施形態によれば、装置状態評価は、健全度指数の逆数と同様とすることができる評価故障危険度を提供することができる。例えば、IEEE規格C57.140(10)は、所有者に対して最も高い危険度を示す変圧器を識別し優先順位を付けるために危険度ベース選別プロセスを推奨している。本発明の1つの例示の実施形態では、構成要素の評価を利用して故障危険度を決定することができる。別の例示の実施形態では、構成要素の評価を使用して、ある構成要素の故障が、他の構成要素を含むことがあるより広範囲の故障に悪化する確率を決定することができる。いくつかの実施形態では、提供される情報は試験データの形態とすることができる。本発明の例示の実施形態によれば、変圧器の各下位構成要素の故障危険度ではなく、例えば変圧器の総計の故障危険度を計算するように重み付けを個々の試験情報に割り当てることができる。
【0023】
本発明の例示の実施形態では、定期的な「バッチ」試験はオンライン監視により補足することができる。例示の実施形態では、健全度指数は、それが有効になるような追加のデータを含むような対策を有することができる。例示の実施形態では、システムは、オンライン監視によって報告された新しい状態を反映するように頻繁な更新を可能とすることができる。いくつかの例示の実施形態では、欠落した情報または追加の情報は、0〜100等級の健全度指数評点を乱すことなく、新しい試験または新しい監視を通じて利用可能になることができる。例えば、あまりにも多くの試験結果が欠落した場合、健全度指数は依然として計算することはできるが、計算値は単なる表示と見なされるべきであり、その結果を信頼できるものにするには追加の入力を必要とする可能性があることを示すためにデータ品質指数を提供することができる。
【0024】
様々なセンサ、モニタ、データ送信装置、およびデータ評価モジュールを利用して、変電所装置に関連する状態を評価することができる。例示の実施形態では、状態評価は、装置に関連する挙動または挙動の変化に基づくことができる。次に、本発明の例示の実施形態が添付の図および流れ図を参照しながら説明される。
【0025】
図1は、変電所装置の挙動を検出し、それに応答するための例示のシステム100を示す。例示の実施形態によれば、このシステムは、メモリ104と、メモリ104にアクセスするように動作可能な少なくとも1つのプロセッサ106とを有するコンピュータ102を含むことができる。例示の実施形態によれば、コンピュータ102は1つまたは複数の入力/出力インタフェース108を含むことができる。例示の実施形態によれば、コンピュータ102は1つまたは複数のネットワークインタフェース110を含むことができる。本発明の例示の一実施形態では、メモリ104は、オペレーティングシステム112、データモジュール114、異常モデル116、分析モジュール118、または通知モジュール120のうちの1つまたは複数を含むことができる。本発明の例示の実施形態によれば、オペレーティングシステム112、異常モデル116、分析モジュール118、および/または通知モジュール120は、実時間データおよび/または履歴データを分析し、正常挙動を決定し、異常を決定し、かつ/または結果を報告するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。
【0026】
本発明の例示の実施形態によれば、1つまたは複数のプロセッサ106は、入力/出力インタフェース108またはネットワークインタフェース110を介してモニタ122と通信することができる。モニタ122は、連続的にまたは定期的に、自動的にまたは手動で測定された変電所装置121に関連するパラメータを、感知し、監視し、計算によって導出し、または任意の他の好適な方法によって取得するように構成する、動作可能にする、またはプログラムすることができる。例示の実施形態によれば、パラメータは、変圧器および/または負荷時タップ切換器(OLTC)に関連する油中の溶解ガスを含むことができる。例示の実施形態によれば、パラメータは、限定はしないが、1つまたは複数の負荷電流、油温、周囲温度、巻線の最も熱い箇所の温度、油中の水分、巻線紙固体絶縁物中の水分、バリア固体絶縁物中の水分、油品質、絶縁耐力、酸性度、色、界面張力、油の損失係数、油の阻害剤含量、油中のフラン化合物含量、部分放電活性度、油中の溶解性金属、油中の粒子数、変圧器の活性部分の損失係数およびキャパシタンス測定値、ブッシングの損失係数測定値およびキャパシタンス測定値、赤外線映像の解釈、周波数応答分析、回復電圧測定値、またはインピーダンス測定値を含むことができる。パラメータは、動作の総数、モータトルク指数、OLTC温度差指数、転極器の最後の動作以来の日数、OLTC区画の油中の溶解性ガス、および/または冷却システムの状態および効率を含むOLTCの連続監視から得られる情報を含むことができる。本発明の例示の実施形態によれば、モニタ122は本発明で使用される一部またはすべてのデータを取得することができる。
【0027】
本発明の例示の一実施形態によれば、パラメータは、コンピュータ102に関連するモジュール(112、114、116、118、120)のうちの1つまたは複数によって、少なくとも部分的に、監視し、保存し、処理し、および/または分析することができる。いくつかの例示の実施形態では、パラメータは、センサおよび/またはモニタモジュール122のうちの1つまたは複数によって、少なくとも部分的に、監視し、保存し、処理し、および/または分析することができる。いくつかの例示の実施形態では、1つまたは複数の無線機124を利用して、1つまたは複数のモニタ122からの測定パラメータデータをコンピュータ102に送信することができる。
【0028】
本発明の例示の実施形態では、1つまたは複数のデータベース126は、1つまたは複数の入力/出力インタフェース108を介して、または1つまたは複数のネットワークインタフェース110を介して1つまたは複数のプロセッサ106と通信することができる。データベース126を利用して、変電所装置121に関連するデータを記憶することができ、データは実時間データおよび/または履歴データを含むことができる。いくつかの例示の実施形態では、データベース126を利用して、変電所装置121に関連するデータを記憶することができる。データは実時間および/または履歴のものとすることができる。例示の実施形態によれば、データはモニタ122から収集することができる。例示の実施形態によれば、変電所装置121に関連するデータは、分析または処理される場合もされない場合もある他のデータまたは情報を含むことができる。いくつかの例示の実施形態では、1つまたは複数のプロセッサ106は、メンテナンスデータベース128、あるいは実時間データまたは履歴データを含む任意の数のデータベースと通信することができる。
【0029】
いくつかの例示の実施形態では、システム100は、報告、警告などを受け取るための1つまたは複数の端末装置130を含むこともできる。いくつかの例示の実施形態では、1つまたは複数の端末装置130を利用して、システム100にデータを入力することができる。いくつかの実施形態では、データは、1つまたは複数の端末装置130を介してシステム100に手動で入力することができる。他の実施形態では、データは、データベース126、128からシステム100に、自動的にまたはバッチデータによって、あるいはデータ転送によって入力することができる。
【0030】
本発明のいくつかの例示の実施形態では、通知モジュール120は、分析モジュール118または異常モデル116を介したデータ114の分析に少なくとも部分的に基づいて1つまたは複数の通知、警告、報告などを提供することができる。1つまたは複数の通知、警告、報告などは、1つまたは複数の端末装置130に、および/または電子メール、SMSメッセージ伝達、携帯電話メッセージ、インターネットパケットなどの経由を含むシステム100と通信することができる任意の通知媒体に送ることができる。
【0031】
図2は、本発明の例示の一実施形態による、変電所装置の挙動を検出するための例示の方法200の流れ図を示す。ブロック202において、変電所装置121に関連した複数のパラメータに関連する実時間データを受け取ることができる。ブロック204において、実時間データの少なくとも一部がある期間にわたって記憶され、記憶したデータは履歴データを含む。ブロック205において、実時間データと履歴データとが比較される。ブロック206において、報告が実時間データと履歴データとの比較に少なくとも部分的に基づいて生成され、比較は学習した正常挙動モデルによりデータの少なくとも一部を分析するステップを含み、正常挙動は少なくとも履歴データに基づく。方法200はブロック206の後に終了する。
【0032】
次に、変電所装置121に関連する検出挙動を評価し、それに応答する例示の方法300が、図3の流れ図を参照しながら説明される。ブロック302において、健全度指数が決定される。本発明の例示の実施形態によれば、健全度指数は、変電所装置の現在の状態を表す数字または値を含むことができる。いくつかの実施形態では、健全度指数は、資本投資優先度を決定するために装置(変圧器を含む)の分類を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、健全度指数は利用可能なデータに基づいた暫定的健全度評価とすることができ、ユニットの状態により、さらなる試験および詳細な検査が正当なものである場合、さらに発展させることができる。ブロック304において、本発明の例示の一実施形態によれば、重要性指数を決定することができる。例示の実施形態によれば、重要性指数は、故障危険度に対する変電所装置の各構成要素の相対的重要性を含むことができる。ブロック306において、健全度指数および重要性指数は、構成要素劣化と、現実を反映し、または統計モデルに基づき、または個人の経験に基づくことができる故障モードとに応じて、重み付けおよび格付けすることができる。ブロック308において、詳細な状態評価は、前のブロックで準備した情報に基づいて行うことができる。ブロック310において、変電所構成要素のうちの1つまたは複数の救済(mitigation)、改修、または更新を含むことができる是正処置の提案を行うことができる。方法300はブロック310の後に終了する。
【0033】
本発明の例示の実施形態によれば、健全度指数報告は、連続監視システムまたは定期的試験のいずれかからの新しいデータを受け取り次第生成することができ、装置の関連構成要素または構成要素の集合体の各パラメータは関連する評点および重み付けを有することができる。本発明の例示の実施形態によれば、装置の各主要構成要素の分析は重み付けを含むことができ、各主要構成要素は、測定および/または計算したパラメータの変化のレベルおよび/または比率に基づいて確立された評点数をもつ関連パラメータを有する。本発明の例示の実施形態によれば、報告は標準化されたフォーマットで決定および示すことができ、装置の全体的健全度は、各主要構成要素の重み付けおよび決定した評点に基づいて提示することができる。本発明の例示の実施形態によれば、報告は、各装置をグルーピングするために評点を累積し、それほど健全でないユニットおよび低い健全度のユニットに対する健全なユニットの数を判断するために同様の装置品目に関して組み合わせた数値のビューを提示することができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、報告は、グラフの形態で提示することができるビューを含むことができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、報告は、数字とグラフを組み合わせた形態で提示することができるビューを含むことができる。
【0034】
本発明の例示の実施形態によれば、報告は重要性指数を含むこともできる。いくつかの実施形態では、重要性指数は、ユニットが運転停止した場合に供給されない1つまたは複数のエネルギー、予備のユニットの数および場所に関する評価、修理のためのアクセスの相対的容易さ、装置および/またはその構成要素の陳腐化、社会全般に関する装置の物理的場所の評価、ユニットの更新のためのアクセスの容易さの評価、修理または更新のコストの評価、修理または更新の準備時間の評価、および使用する流体のタイプに関する環境または影響を受けやすい環境区域に関連する場所への影響の評価を考慮に入れて計算した値とすることができる。本発明の例示の実施形態によれば、報告は危険度指数を含むことができ、危険度指数は、個々のユニットの健全度指数評点および関連する重要性指数の計算結果とすることができる。
【0035】
したがって、本発明の例示の実施形態は、実行されるべき是正処置に対して情報に基づいた判断を下すために、さらなる試験および検査を必要とする構成要素を識別するのに変電所装置および関連構成要素の格付けを行ういくつかのシステムおよび方法を生成する技術的効果を提供することができる。本発明の例示の実施形態は、装置所有者が系統立てて修理、改修、更新、または運用制限を計画することができるように装置の健全度および動作状態を装置所有者に知らせるためのシステムおよび方法を可能にするさらなる技術的効果を提供することができる。本発明の例示の実施形態は、挙動の異常を検出するためのシステムおよび方法を可能にするさらなる技術的効果を提供することができる。本発明の例示の実施形態は、装置の寿命を延ばすさらなる技術的効果を提供することができる。
【0036】
本発明の例示の実施形態では、システム100は、動作のうちのいずれかを容易にするように実行される任意の数のソフトウェアアプリケーションを含むことができる。
【0037】
例示の実施形態では、1つまたは複数の入力/出力(I/O)インタフェースは、システム100と1つまたは複数の入力/出力デバイスとの間の通信を容易にすることができる。例えば、ユニバーサルシリアルバスポート、シリアルポート、ディスクドライブ、CD−ROMドライブ、および/またはディスプレイ、キーボード、キーパッド、マウス、制御パネル、タッチスクリーンディスプレイ、マイクロフォンなどのような1つまたは複数のユーザインタフェースデバイスは、システム100とのユーザ対話処理を容易にすることができる。1つまたは複数のI/Oインタフェースを利用して、多種多様な入力デバイスからのデータおよび/またはユーザ命令を受け取ることまたは収集することができる。受け取ったデータは、本発明の様々な実施形態において必要に応じて1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって処理することおよび/または1つまたは複数のメモリデバイスに記憶することができる。
【0038】
1つまたは複数のネットワークインタフェースは、システム100の入力および出力を1つまたは複数の好適なネットワークおよび/または接続部、例えば、システムに関連する任意の数のセンサと通信しやすくする接続部に接続しやすくすることができる。1つまたは複数のネットワークインタフェースは、1つまたは複数の好適なネットワーク、例えば、外部デバイスおよび/またはシステムとの通信のためのローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、インターネット、セルラーネットワーク、無線周波数ネットワーク、Bluetooth(登録商標)対応ネットワーク、Wi−Fi(登録商標)対応ネットワーク、衛星ベースネットワーク、任意の有線ネットワーク、任意の無線ネットワークなどにさらに接続しやすくすることができる。
【0039】
必要に応じて、本発明の実施形態は、程度の差はあれ図1に示した構成要素をもつシステム100を含むことができる。
【0040】
本発明の例示の実施形態によるシステム、方法、装置、および/またはコンピュータプログラム製品のブロック図および流れ図を参照しながら本発明を上述した。ブロック図および流れ図の1つまたは複数のブロック、ならびにブロック図および流れ図のブロックの組合せはそれぞれコンピュータ実行可能プログラム命令によって実施することができることが理解されよう。同様に、本発明のいくつかの実施形態によれば、ブロック図および流れ図のいくつかのブロックは、提示した順序で必ずしも行う必要がない場合があり、または全く行う必要がない場合がある。
【0041】
これらのコンピュータ実行可能プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、プロセッサ、特定の機械を作り出すための他のプログラマブルデータ処理装置のうちの1つまたは複数にロードすることができ、その結果、コンピュータ、プロセッサ、または他のプログラマブルデータ処理装置上で実行する命令は、流れ図の1つまたは複数のブロックで指定された1つまたは複数の機能を実施する手段を生成する。これらのコンピュータプログラム命令は、さらに、特定の方法で機能するようにコンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置に指示することができるコンピュータ可読メモリに記憶することができ、その結果、コンピュータ可読メモリに記憶された命令は、流れ図の1つまたは複数のブロックで指定された1つまたは複数の機能を実施する命令手段を含む製造品を生成する。例として、本発明の実施形態は、その中に包含されたコンピュータ可読プログラムコードまたはプログラム命令を有するコンピュータ使用可能媒体を含むコンピュータプログラム製品を可能にすることができ、前記コンピュータ可読プログラムコードは流れ図の1つまたは複数のブロックに指定された1つまたは複数の機能を実施するために実行するように構成される。コンピュータプログラム命令は、さらに、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置にロードし、一連の演算要素またはステップをコンピュータまたは他のプログラマブル装置上で行わせてコンピュータ実施プロセスを生成し、その結果、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行する命令が流れ図の1つまたは複数のブロックで指定された機能を実施するための要素またはステップを行うことができる。
【0042】
したがって、ブロック図および流れ図のブロックは、指定された機能を行うための手段の組合せ、指定された機能を行うための要素またはステップの組合せ、および指定された機能を行うためのプログラム命令手段をサポートする。ブロック図および流れ図の各ブロック、ならびにブロック図および流れ図のブロックの組合せは、指定され機能、要素、またはステップを行う専用ハードウェアベースコンピュータシステム、あるいは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せによって実施することができることも理解されよう。
【0043】
本発明は、現在、最も実用的で多様な実施形態であると見なされるものに関連して説明したが、本発明は開示した実施形態に限定されるものではなく、それどころか、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正形態および均等構成を包含するものであることを理解されたい。特定の用語が本明細書で使用されているが、それらは限定のためではなく単に一般的で説明的な意味で使用されている。
【0044】
本明細書は例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示し、さらに、当業者が任意のデバイスまたはシステムを製作および使用し、任意の組み込まれた方法を行うことを含む本発明を実施できるようにする。本発明の特許の範囲は特許請求の範囲に規定され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文字どおりの意味と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文字どおりの意味と実質的に差のない均等構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあるものである。
【符号の説明】
【0045】
100 システム
102 コンピュータ
104 メモリ
106 プロセッサ
108 入力/入出力インタフェース
110 ネットワークインタフェース
112 オペレーティングシステム
114 データ
116 異常モデル
118 分析モジュール
120 通知モジュール
121 変電所装置
122 センサ/モニタ
124 無線機
126 データベース
128 メンテナンスデータ
130 端末装置
200 方法の流れ図
202、204、205、206 ブロック
300 プロセスの流れ図
302、304、306、308、310 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変電所装置(121)の挙動を検出する方法であって、
前記変電所装置(121)に関連した複数のパラメータに関連する実時間データを受け取るステップと、
ある期間にわたり前記実時間データの少なくとも一部を記憶するステップであり、前記記憶したデータが履歴データを含む、ステップと、
前記実時間データと前記履歴データとを比較するステップと、
前記実時間データと前記履歴データとの比較に少なくとも部分的に基づいて報告を生成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記変電所装置(121)に関連した複数のパラメータに関連する実時間データを受け取るステップが、変圧器、変圧器構成要素、開閉器、またはタップ切換器のうちの1つまたは複数に関連する実時間データを受け取るステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
複数のパラメータを監視するステップが、事前定義された期間にわたり前記変電所装置(121)を監視するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記複数のパラメータが、油中の溶解性ガス、油品質、絶縁耐力、酸性度、色、界面張力、油損失係数、油阻害剤含量、油フラン化合物含量、部分放電活性度、油中の溶解性金属、油中の粒子数、損失係数、キャパシタンス、赤外線映像周波数応答、回復電圧、インピーダンス、モータトルク指数、温度差指数、転極器の最後の動作以来の日数、または冷却システム状態のうちの1つまたは複数を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記報告を生成するステップが、前記複数のパラメータの1つまたは複数に関連する前記挙動が変化するとき警告を生成するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記実時間データと前記履歴データとの比較が、前記変電所装置(121)に関連する状態を分析するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記報告を生成するステップが、挙動の考え得る原因を識別するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記報告を生成するステップが、是正処置の提案を生成するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記実時間データと前記履歴データとの比較が、学習した正常挙動モデルにより前記データの少なくとも一部を分析するステップを含み、正常挙動が前記履歴データに少なくとも部分的に基づく、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記変電所装置(121)に関連するメンテナンスデータを分析するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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