説明

外国為替取引システム

【課題】外国為替証拠金取引を含む外国為替取引を取引所取引とする外国為替取引システムを実現する。
【解決手段】外国為替取引システムは、マーケットメーカーと注文者との間で成立した取引所為替取引における各マーケットメーカーが提示する売建玉に関するスワップポイント情報及び買建玉に関するスワップポイント情報を受信し、取引所為替取引における売建玉及び買建玉に適用されるスワップポイント値を算出するスワップポイント処理手段を備える。スワップポイント処理手段は、各マーケットメーカーの建玉から売建玉及び買建玉別に合計値を算出し、売建玉及び買建玉の合計値のうち大きい方の建玉をマーケットメーカー全体のポジションサイドとして判別し、ポジションサイドとして判別された売建玉又は買建玉に関する複数のマーケットメーカーの各スワップポイントを用いて取引所為替取引の売建玉及び買建玉に共通に適用されるスワップポイント値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外国為替取引を遂行するためのコンピュータシステムに関し、より詳しくは、外国為替取引についての取引所の中央サーバと、注文者が操作し、該中央サーバに登録された取引業者を介して外国為替取引を行うための注文者端末と、により外国為替取引を遂行するための取引所取引における外国為替取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のコンピュータ及び通信技術の発展により、外国為替証拠金取引を含む外国為替取引などの金融取引がインターネット等のネットワークを介して行われており、例えば、金融取引を取扱う取引業者が保有する複数の取引業者サーバと注文者端末とにより外国為替取引を遂行するための金融取引支援システムが多数提案されている。
【0003】
従来、外国為替取引は、東京証券取引所等の取引所取引が売買代金の多数を占めている株式取引などとは異なり、その多数が市場参加者による相対取引によるものである。そして、この相対取引は、銀行間での外国為替取引を行うインターバンク(銀行間)市場と、個人投資家や機関投資家(以下「個人投資家等」という。)と銀行とが直接あるいは取引業者を介して為替取引を行う対顧客間市場の2つに大きく分けられる。
【0004】
インターバンクでの外国為替取引は、基本的に銀行間での取引であること、迅速な取引処理を実現しなければならないなどの理由から銀行間又は銀行−為替ブローカー間が電話回線、専用回線で接続された取引支援システムにより構成されている。
【0005】
一方、対顧客間市場での取引では、個人投資家等は直接インターバンクで外国為替取引を行うことができないので、外国為替取引を取扱う取引業者と外国為替取引を行うことになる。
【0006】
1998年の外為法改正以前においては、外国為替公認銀行以外の者は外国為替取引を行えなかったので、個人投資家等は外国為替公認銀行を通じ、対顧客相場として提示される為替レート(電信ならば、銀行はインターバンクレートに1円の利益をのせ、現金ならば、銀行はインターバンクレートに3円の利益を乗せる)で取引を行わざるを得なかった。これに対して、1998年の外為法改正によって、外国為替取引の自由化が実現されたことにより、あらたな外国為替取引として登場したのが外国為替証拠金取引である。
【0007】
これは個人投資家等が取引業者に一定の証拠金を預けて信用を供与してもらい、証拠金に対して数倍から数十倍の取引を行うことができる取引であるため、個人投資家等は少ない資金で多くの額の取引を行うことができるとともに、銀行の対顧客相場よりもインターバンクに近い為替レートで取引可能となる。
【0008】
このような個人投資家等が取引業者を介して外国為替取引を行う際のシステムについては、インターネットを介したシステムが多数提案されている。例えば、外国為替証拠金取引について言えば、個人投資家等は、まず、自身のコンピュータ等から外国為替証拠金取引を行う取引業者サーバにアクセスし、取引業者サーバに対して個人情報を登録し、取引業者は登録された個人情報に基づいて与信審査処理などを行う。
【0009】
そして、取引業者は与信審査処理において個人投資家等の与信情報が取引条件に適合すると判断した場合、個人投資家等の口座開設、証拠金の入金処理を経て、個人投資家等に対して実際の外国為替証拠金取引開始を許諾する。
【0010】
その後、個人投資家等(注文者端末)が、取引業者が保有する取引業者サーバにアクセスすると、取引業者が提供する提示価格(ビッド/オファー)を参照することができ、この提示価格に基づいて買い又は売りの注文を取引業者サーバに送信することで外国為替証拠金取引を行うことが可能となる。
【0011】
また、このような外国為替取引において、取引業者から個人投資家等に提示される取引価格は、取引業者の提携する銀行等の複数のマーケットメーカーから供給されるビッド/オファー情報に基づいて提示されるものである。そこで、取引の流動性の確保等の観点から例えば、特許文献1の取引システムが提案されている。このシステムは、取引業者サーバが個人投資家等からの売り/買い注文を受信すると、これらの注文と複数のマーケットメーカーが提供する複数の提示価格とのマッチング処理を行って外国為替取引を成立させる取引システムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−21906号公報(段落0029〜0040、図6〜図8等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、対顧客市場における外国為替証拠金取引を含む外国為替取引は取引所取引でない(非取引所取引である)ことから、特に個人投資家等に対して、以下のような問題点があった。
【0014】
1)対顧客相場による取引は、例えば、電信ならば、銀行がインターバンクのレートに1円の利益をのせ、現金ならば、銀行がインターバンクレートに3円の利益をのせたレートで個人投資家等は外国為替取引を行わなければならず、個人投資家等にとってコストの高い取引となっている。
【0015】
さらに、外国為替証拠金取引では、個人投資家等に対して対顧客相場よりもインターバンクに近い為替レートが提示されるものの、取引業者が提示する取引価格により取引しなければならず、価格形成方法の透明性が低い。つまり、取引業者が個人投資家等に提示する取引レートは、銀行等の複数のマーケットメーカーが提示する取引レートの中から、取引業者が任意に選択したものであり、言い換えれば、個人投資家等に提示される取引レートは取引業者がインターバンクの取引レートを元に独自に算出又は選択したものであるため、取引レートが操作され易く、個人投資家等にとって不利なレートを提示される場合もある。
【0016】
さらには、他のマーケットメーカーがより有利な取引レートを提示しているにもかかわらず、顧客に有利な取引レートを提示しない、若しくは提示できなかったりする場合があり、個人投資家等のユーザに対する取引価格の信頼性が低い。
【0017】
また、上述のように個人投資家等に提示される取引レートが操作され易いことから、取引業者の手数料を上乗せした取引レートが個人投資家等に提示される場合があり、個人投資家等は適正な取引レートでの取引を行うことができず、極めて透明性の低い状況での取引を強いられることもある。
【0018】
2)外国為替証拠金取引を含む外国為替取引では、買気配(ビッド)及び売気配(オファー)は表示されるが、個人投資家等に対して当該価格での取引可能数量の表示はなされない。したがって、個人投資家等が当該価格で自身がどれだけの数量の取引ができるのかを把握することができないのみならず、市場の実勢を知ることが困難であり、極めて透明性の低い状況での取引を強いられることもある。
【0019】
また、取引対象通貨の出来高が公表されないので、市場動向を把握することが難しいことからも市場の実勢を知ることが困難となる。
【0020】
3)外国為替証拠金取引では、直物為替取引のように取引成立から2営業日以内に現物である通貨の受け渡しがなされるものではなく、当初の取引の反対売買がなされるまでは決済がなされず、反対売買がなされた営業日の翌営業日以降が決済日となる先物為替取引であるので、通貨間の金利差の調整分(スワップ金利、スワップポイント)が発生する。しかし、上述のような非取引所取引では、このスワップ金利が取引業者の利益分が調整された形で個人投資家等に提示される場合があり、個人投資家等が本来享受すべき利益が低減する。
【0021】
4)また、店頭で行われている外国為替証拠金取引は、取引所取引でないため、取引業者にとっては各々が外国為替証拠金取引支援システムを構築する必要があり、運用コスト、人件費等が嵩み、個人投資家等に対して高い取引手数料を提示しなければならない。
【0022】
5)そして、相対取引による外国為替取引では取引業者が破綻等した場合、その債務不履行の損害(信用リスク)を当該取引業者と取引をした顧客が被ることとなる。特に外国為替証拠金取引については、複数の取引業者が外国為替取引市場に参入しており、それら取引業者の財務体力の低い場合には個人投資家等の保護の観点から問題がある。
【0023】
6)さらには、従来の外国為替取引支援システムでは、買気配(ビッド)、売気配(オファー)及びその数量が刻々と変動する外国為替相場において、注文者(投資者)端末に表示される注文操作用の画面および注文入力方法が技術的に十分工夫されたものとは言えず、改良の余地があった。
【0024】
この点、特許文献1の外国為替取引システムでは、複数のマーケットメーカーから提示される複数の取引レートと注文情報とをマッチングして取引の流動性を図ろうとしているが、上述のように信用リスク、スワップポイントの透明性、取引可能数量の非表示、公平性等において難点のある非取引所取引としての従来の外国為替取引における問題点を解決するものではない。
【0025】
そこで、本発明の例示的な目的は、外国為替証拠金取引を含む外国為替取引を取引所取引とする外国為替取引システムを実現することにあり、特に、透明性及び信頼性の高いスワップポイント値による有利で安全な取引を個人投資家等に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の外国為替取引システムは、外国為替取引についての取引所が保有する中央サーバと、注文者が操作し、該中央サーバに登録された取引業者を介して外国為替取引を行うための注文者端末と、により取引所為替取引を遂行するためのシステムであって、中央サーバは、複数のマーケットメーカーが有する各マーケット端末から送信される複数のビッド情報及びオファー情報を受信し、受信した複数のビッド情報及び複数のオファー情報に基づく取引レート情報を生成する取引レート情報生成手段と、取引レート情報を受信した注文者端末から送信される取引レート情報に基づく注文情報に対し、マーケットメーカーと注文者との間で取引を成立させる取引処理を行う取引手段と、マーケット端末を通じ、マーケットメーカーと注文者との間で成立した取引所為替取引における各マーケットメーカーが提示する売建玉に関するスワップポイント情報及び買建玉に関するスワップポイント情報を受信し、取引所為替取引における売建玉及び買建玉に適用されるスワップポイント値を算出するスワップポイント処理手段と、を有する。そして、スワップポイント処理手段は、複数のマーケットメーカー全体の建玉を売建玉及び買建玉別に合計して売建玉及び買建玉の各合計値を算出し、算出された売建玉の合計値及び買建玉の合計値のうち合計値の大きい建玉を取引所為替取引におけるマーケットメーカー全体のポジションサイドとして判別し、ポジションサイドとして判別された売建玉又は買建玉の一方のスワップポイント情報を用いて、取引所為替取引の売建玉及び買建玉に共通に適用されるスワップポイント値を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、取引所が複数のマーケットメーカーが提供する売建玉/買建玉に関するスワップポイント情報を基に、売建玉/買建玉に共通に適用されるスワップポイント値を決定するため、取引業者の利益分が上乗せされるなどにより個人投資家等の利益が損なわれることがなく、透明性及び信頼性の高い取引所からのスワップポイント値による有利で安全な取引を個人投資家等に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を適用した外国為替取引システムのシステム構成図。
【図2】本発明を適用した外国為替取引システムの中央サーバの構成ブロック図。
【図3A】本発明を提供した外国為替取引システムの処理概要を説明するためのフローチャート図。
【図3B】本発明を提供した外国為替取引システムの処理概要を説明するための、図3Aに続くフローチャート図。
【図4】本発明を適用した外国為替取引システムの取引レート情報の抽出処理を説明するためのフローチャート図。
【図5】本発明を適用した外国為替取引システムの取引レート情報の抽出処理を説明するための模式図。
【図6】本発明を適用した外国為替取引システムのスワップポイント処理を説明するためのフローチャート図。
【図7】本発明を適用した外国為替取引システムのスワップポイント処理を説明するための模式図。
【図8】本発明を適用した外国為替取引システムの顧客データベースの一例を示す図。
【図9】本発明を適用した外国為替取引システムに係る注文者端末の表示装置に表示される注文用画面を説明する図である。
【図10】本発明を適用した外国為替取引システムに係る注文者端末の表示装置に表示される注文用画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明を適用した外国為替取引システムの概要を説明するための図である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の外国為替取引システムは、外国為替取引についての取引所が保有する中央サーバ100と、該中央サーバ100に所定の通信回線若しくはインターネット等の通信網を介して接続される複数の取引業者が保有する取引業者端末200及びサーバ端末201と、個人投資家等の注文者が操作しインターネット等の通信網を介して中央サーバ100アクセスする注文者端末300とを備え、また、中央サーバ100は、銀行等の各マーケットメーカーが保有するマーケット端末(MM端末)400と所定の通信回線若しくはインターネット等の通信網を介して接続されている。
【0031】
この外国為替取引システムは、外国為替取引についての取引所において競争的マーケットメーカー制度をシステム化することで、個人投資家等の注文者が、銀行等の複数のマーケットメーカーが提供するビッド(買値)情報及びオファー(売値)情報から、最も自らにとって有利な価格で外国為替取引を行うことを実現するためのシステムとなっている。
【0032】
次に、本実施形態に係る外国為替取引システムの中央サーバ100について詳細に説明する。図2は中央サーバ100の構成ブロック図である。
【0033】
この中央サーバ100は、中央管理サーバ110と、取引業者端末200及び注文者端末300が通信網を介して接続するFX用サーバ120と、マーケット端末400が通信網を介して接続するMM用サーバ130と、マーケット端末400、取引業者端末200及び個人投資家等の注文者端末300が取引所の中央サーバ100へアクセスする際のアクセス認証を行う認証サーバ140で構成されている。
【0034】
中央管理サーバ110は、中央サーバ100内の各サーバ及びネットワークNを介して取引業者端末200、注文者端末300及びマーケット端末400との通信を行う通信部111と、取引業者端末200(及び注文者端末300)に対して外国為替取引を遂行するためにASP機能を提供するFX用サーバ120を管理するFX管理部112と、ビッド情報/オファー情報、スワップポイント情報等の情報を取引所の中央サーバ100に提供するマーケットメーカーに対してASP機能を提供するMM用サーバ130を管理するMM管理部113と、取引業者端末200から送信されFX用サーバ120のデータベースに記憶される個人投資家等の顧客情報(個人情報、取引条件情報等)を管理する顧客管理部114と備えている。
【0035】
さらに、中央管理サーバ110は、注文者端末300から送信される注文情報に基づいて、外国為替取引に関する取引処理の管理を行う取引管理部115と、複数のマーケット端末400からMM用サーバ130に送信されたビッド情報/オファー情報から統合される1つの取引レート情報を生成及び管理するレート管理部(レート統合部)116と、複数のマーケット端末400からMM用サーバ130に送信されたスワップポイント情報を管理するスワップポイント管理部117と、外国為替取引における取引情報(注文情報、注文履歴情報、約定情報、証拠金情報、入出金情報、相場情報、スワップポイント情報等)を記憶する取引所データベース118を備えている。
【0036】
そして、本実施形態の外国為替取引所についての取引所は、この外国為替取引システムに参加するためにFX用サーバ120のFX用データベース121に登録された取引業者(取引業者端末200)に対し、取引所取引における外国為替取引を遂行するためにASP機能を提供する。なお、このFX用データベース121には、注文者端末300に送信される注文用画面プログラムなどの表示画面情報も記憶されている。
【0037】
FX用サーバ120は、取引業者及び取引業者に取引委託した各個人投資家(注文者)を一元的に管理するための顧客データベース122を有し、取引業者端末200がFX用サーバ120に接続すると取引業者による取引を許諾された個人投資家等の顧客情報を入力する入力画面等が取引業者端末200のディスプレイに表示され、取引業者端末200から入力された個人投資家等の顧客情報が顧客データベース122に記憶される。
【0038】
この顧客データベース122には、個人投資者等を一意に識別するためのコード(委託者コード、参加者コード等)や、個人投資家等の建玉情報、証拠金状況情報等の顧客取引情報が登録される(図8参照)。
【0039】
そして、本実施形態の各取引業者(O,P,Q,・・)が保有する取引業者端末200は、FX用サーバ120にアクセスすることで、顧客データベース122に登録されている個人投資家等の氏名、メールアドレス、ログインのためのID及びパスワード、などの情報を取得することができる。
【0040】
つまり、ID及びパスワードの発行処理を始めとする登録及び取引処理などの主要な処理は全て中央サーバ100で一元的に行うようになっており、各取引業者は、個人投資家等の個人情報や証拠金情報、これらの情報に基づく取引条件等の情報を該中央サーバに登録し、取引業者が個人投資家等に対して取引についての機能を提供することなく、個人投資家等が直接に取引所の中央サーバに接続することで、委託した取引業者を介して外国為替取引を行うことができる。
【0041】
具体的には、本実施形態では一の注文者は、注文者端末300から中央サーバ100にアクセスできるようになっており、一の注文者は、注文者端末300により中央サーバ100のFX用サーバ120にアクセスし、ログイン画面でIDとパスワードを入力することにより、中央サーバ100の認証サーバ140において認証処理が行われ、認証処理の結果、取引開始を許諾する場合は中央サーバ100のFX用サーバ120から格納されている注文用画面プログラムが注文者端末300内にダウンロードされ、個人投資家等はその注文者端末300にて外国為替取引についての注文が出来る状態となる。
【0042】
また、MM用サーバ120は各マーケットメーカーに関する情報を記憶するMMデータベース131を有しており、MM業者コード、MM業者名、連絡先等のMM業者情報が記憶されている。そして、MMデータベース131に登録されたマーケットメーカーは、そのマーケット端末400からMM用サーバ130に接続すると、ビッド情報、オファー情報、スワップポイント情報等を入力又は中央サーバ100(MM用サーバ130)に送信するための情報入力用画面プログラムがマーケット端末400にダウンロードされ、取引所に対して上記情報を提供することができる。
【0043】
次に、本実施形態の注文者端末300に送信される中央サーバ100での取引レート情報の生成処理について説明する。図4は取引レート情報生成処理のフローチャート図であり、図5は取引レート情報生成処理の模式図である。
【0044】
図4において、中央管理サーバ110のレート管理部116は、各マーケットメーカーのマーケット端末400から送信されるビッド情報及びオファー情報とこのビッド情報/オファー情報での取引可能数量(買数量、売数量)とを受信すると、マーケットメーカー別に各々ビッド情報、オファー情報及び取引可能数量を記憶する(S401)。
【0045】
そして、これら複数のビッド情報及びオファー情報の中からベストビッド(最も高い買値、すなわち各マーケットメーカーが提示する通貨買付けの希望価格(買気配値)のうちの最高値。言い換えれば、個人投資家等の注文者がこの買値で取引対象通貨を売付けることができる)とベストオファー(最も安い売値、すなわち各マーケットメーカーが提示する通貨売付希望価格のうちの最抵値。言い換えれば、個人投資家等の注文者がこの売値で取引対象通貨を買付けることができる)を抽出し(S402)、このべストビッド及びベストオファーを取引価格とする取引レート情報と該取引レート情報にて取引可能な買数量及び売数量とを直接各注文者端末300に送信する(S403)。
【0046】
具体的には図5に示すように、例えば、マーケットメーカーAから108.53−63、マーケットメーカーBから108.50−60、マーケットメーカーCから108.53−59のUSD/JPYのビッド情報及びオファー情報が中央サーバ100に送信された場合、レート管理部116は、ベストビッドとしてマーケットメーカーAが提示するビッド情報を抽出し、ベストオファーとしてマーケットメーカーCが提示するオファー情報を抽出する。そしてこれらのベストビッド及びベストオファーで構成される取引レート情報108.53−59とこの取引レートでの取引可能数量とが各注文者端末300に送信する。
【0047】
次に、外国為替証拠金取引処理を一例に、本実施形態の外国為替取引システムの処理フローを図3A、図3Bを参照して詳細に説明する。
【0048】
まず、個人投資家等は、自身のコンピュータ(注文者端末300)から外国為替証拠金取引を取扱う取引業者が保有するサーバ201にアクセスし、取引業者200に対し口座開設のための個人情報を登録し(S101)、サーバ201では登録された個人情報に基づいて与信審査処理を行う(S201)。
【0049】
そして、この取引業者の保有するサーバ201における与信審査処理において個人投資家等の与信情報が取引条件に適合すると判断した場合、取引業者は取引業者端末200からFX用サーバ120にアクセスし、当該個人投資家等の顧客情報口座開設情報等をFX用サーバ120から送信される画面から入力する。
【0050】
中央管理サーバ110の顧客管理部114は、取引業者端末200からFX用サーバ120への顧客情報登録処理に伴って、個人投資家等の個人情報、取引金額、各種取引条件を記憶するための入力チェック処理と登録処理を行う(S301、S302)。そして、顧客管理部114は顧客登録処理の登録完了後、認証サーバ140に対してID及びパスワードの発行処理と認証データベース141への当該ID及びパスワードの登録処理とを行い(S303)、IDとパスワードとをFX用サーバ120の顧客データベース122に反映する(S304)。その後、取引業者端末200には、FX用サーバ120からこのID及びパスワードが送信され、注文者端末300に必要な証拠金情報を含む口座開設通知、ID、パスワード情報を送信する(S202)。
【0051】
注文者端末300では、口座開設通知を受信し、必要な証拠金の入金処理を行う(S102)。取引業者端末200ではこの証拠金の入金確認処理を行い(S203)、取引業者は取引業者端末200から中央サーバ100のFX用サーバ120に当該入金情報を送信し、中央管理サーバ110の顧客管理部114が受信した入金情報を顧客データベース122に格納する(S305〜S307)。
【0052】
そして、中央管理サーバ110の顧客管理部114は、FX用サーバ120の顧客データベース122への入金登録処理の完了後に注文者端末300に対して実際の外国為替証拠金取引の開始許諾通知を行う(S308)。
【0053】
その後、個人投資家等(注文者端末300)は、中央サーバ100のFX用サーバ120に直接アクセスすると、FX用サーバ120からログイン画面用プログラムがダウンロードされる(S103)。注文者端末300に表示されたログイン画面で入力されたID及びパスワード情報は、認証サーバ140に送信され、認証処理が行われる。認証処理後、顧客管理部114は注文者端末300から外国為替取引を行うため取引開始処理を行う(S309)。
【0054】
具体的には、顧客管理部114は、FX用サーバ120に対してFX用データベース121に格納されている注文用画面プログラムを注文者端末300に送信する命令を出力し、注文者端末300に当該注文画面用プログラムを送信する。
【0055】
注文者端末300では、注文用画面プログラムにより後述する注文画面が表示される。そして、取引所の中央サーバ100が提供する取引レート情報(ベストビッド/ベストオファー)が注文者端末300に送信されると(S310)、注文画面のビッド/オファー情報が表示される欄にリアルタイムで当該取引レート情報が表示される。注文者端末300では、この注文画面を参照し、注文者端末300から買い又は売りの注文情報を中央サーバ100に送信することで、外国為替証拠金取引を行うことが可能となる(S104)。
【0056】
中央サーバ100では、注文者端末300からの注文内容についての情報(例えばビッドやオファー、取引数量等についての条件等)を受信すると、取引管理部115は該注文の受付の処理を実行した後に、該注文内容及びベストビッド或いはベストオファーの値に従って、注文の成否の決定、注文成立時における決済等の各種処理を行い(S312、S313)、これら処理結果を注文者端末100に送信する(S314)。また、このとき取引管理部115はこれらの注文情報、取引結果情報などを取引データベース118に記憶する。
【0057】
なお、中央管サーバ100は注文者端末300からの注文情報を受信した際、FX用サーバ120の顧客データベース122に登録されている顧客情報に基づく与信処理、例えば、注文内容が証拠金情報等に基づく取引条件と合致するかなどの与信処理を行う(S311)。この与信処理の結果、注文者端末300から送信された注文情報が取引条件等に合致しない場合には、注文情報にエラー情報が含まれるとして、注文者端末300に対して注文情報エラー通知を送信する。
【0058】
また、本実施形態の取引管理部115による取引処理は2つの取引処理を行う。具体的には、注文者の注文指示により取引業者(取引参加者)と複数のマーケットメーカーとの間において成立した取引所為替取引を、取引成立と同時にマーケットメーカーと取引所との間の第1の取引及び取引所と取引参加者との間の第2の取引の2つの取引に自動的に置き換え、取引業者及びマーケットメーカーの各取引当事者の取引の相手方をすべて取引所に置き換えた取引処理を行っている。
例えば、成立した取引情報を取引管理部115が取引所−マーケットメーカー間の第1の取引処理と、取引所−取引業者間の第2の取引処理とに分けて行い、2つ取引情報を取引所データベース118に格納する。そして、マーケットメーカー及び取引業者は取引所に対しての決済処理を行うことになる。
【0059】
注文者は、注文者端末300から中央サーバ100(取引所)に送信した注文情報に基づく取引状況照会を行うことができる。後述する注文者端末300に表示された注文画面の状況照会ボタンが注文者の操作によって押下されると(S105)、注文者端末300から中央サーバ100に状況照会要求データが送信される。中央管理サーバ110の取引管理部115は、この状況照会要求データの受信に応じて、取引所データベース118の注文情報テーブル、注文履歴テーブル、約定情報テーブル、証拠金情報テーブルから各種のデータを抽出する取引状況取得処理を行い、例えば、注文一覧情報(注文状況、注文方法、商品名、売買区分、執行条件、取引価格、取引数量、約定数量、注文日時、注文受付番号等)、建玉一覧情報、注文履歴情報、約定情報、証拠金情報等を生成して、注文者端末300に送信する(S315からS317)。
【0060】
そして、中央サーバ100は毎日の市場価格の変化に伴い、建玉を取引所において決められた清算価格によって評価替えする値洗い処理を行う(S318)。
【0061】
この値洗い処理は、中央管理サーバ110の取引管理部115によって行われ、取引所データベース118から各種情報を取得して値洗い情報を生成し、また、中央管理サーバ110のスワップポイント管理部117が、複数のマーケットメーカーのマーケット端末400から送信される売建玉(売りポジション)、買建玉(買いポジション)に関するスワップポイント情報からスワップポイント値を算出する処理を行う。
【0062】
そして、この値洗い情報及びスワップポイント値がFX用サーバ120を介して、注文者端末300に送信されることになる(S319、S320)。
【0063】
ここで、本実施形態のスワップポイント算出処理について、図6、図7を参照して詳細に説明する。本実施形態の外国為替取引中の通貨にかかる金利差の受け渡し(スワップポイント)の算出処理は、複数のマーケットメーカーが提供する売建玉及び買建玉に関するスワップポイント情報を基に、売建玉及び買建玉の区別なしに共通に適用されるスワップポイント値を算出して、各注文者端末300に送信している。
【0064】
まず、マーケットメーカーは各マーケット端末400から中央サーバ100に対して売建玉及び買建玉に関する情報と、この売建玉及び買建玉に関するスワップポイント情報とを送信する(S102M)。中央サーバ100のスワップポイント管理部117では、これらマーケット端末400からこの売建玉及び買建玉に関する情報及びスワップポイント情報を取得(受信)し、取引所データベース118のスワップポイントテーブル117Aに、各マーケットメーカーのビッド及びオファー情報別に記憶(登録)する(図6のS501、図7参照)。
【0065】
そして、スワップポイント管理部117は、登録した各マーケットメーカーが提示するスワップポイント情報のチェック処理を行い、不正なスワップポイント情報、例えば、一のマーケットメーカーが提示するスワップポイント情報が他のマーケットメーカーが提示するスワップポイント情報と著しく異なる値である場合や、取引対象通貨に対するスワップポイント情報が未登録(未送信)である場合などは、不正なスワップポイント情報として、マーケット端末400に問い合わせ通知を出力したり、再度、スワップポイント情報の送信を促す通知を行ったりする(S502)。
【0066】
その後、スワップポイント管理部117は、スワップポイントテーブル117Aに登録された各マーケット端末400から売建玉(売りポジション)及び買建玉(買いポジション)に関する情報に基づいて、全マーケットメーカーにおける売り/買いのポジションサイドを判別する。例えば、図7の表117Bに示すように、マーケットメーカー毎のビッドサイド及びオファーサイドのポジション情報を整理し、売建玉及び買建玉毎に平均建玉を算出し、平均建玉が多い方を全マーケットメーカーのポジションサイドと判別する(S503、S504)。そして、判別されたポジションサイドのスワップポイント情報を用いてスワップポイント値を算出する。
【0067】
図7の表117Bでは、各平均建玉において買建玉が売建玉よりも多いので、全マーケットメーカーのポジションサイドを買いサイドとして判別する。そして、全マーケットメーカーの買いポジションに関するスワップポイント情報の平均値を算出し、この平均値を売りポジション及び買いポジションの区別なく共通のスワップポイント値として取引所データベース118に記憶し、該スワップポイント値を各注文者端末300に送信する。
【0068】
このように本実施形態では、外国為替取引についての取引所が保有する中央サーバ100が、複数のマーケットメーカーから送信されるビッド(買気配値)とオファー(売気配値)情報から、ベストビッド及びベストオファーとなる取引レート情報を抽出して各注文者端末300に送信している。
【0069】
このため、個人投資家等に対して、取扱業者等の利益分が上乗せされた取引価格による取引ではなく、個人投資家等はマーケットメーカーが提示するそのままの取引価格による取引を行うことができ、取引価格の透明性・信頼性が高く、個人投資家等にとって安全な外国為替取引を実現することができる。
【0070】
さらに、本実施形態の取引所取引の外国為替取引システムでは、複数のマーケットメーカーと取引業者(取引参加者)との間において成立した取引所為替取引を、成立と同時にマーケットメーカーと取引所との間の第1の取引と、取引業者と取引所との間の第2の取引の2つの取引に自動的に置き換えた取引処理を行うので、マーケットメーカーが破綻した場合においても、該マーケットメーカーの債務不履行等のリスクを回避し、信用リスクから取引参加者、ひいては個人投資家等を保護することができ、個人投資家等にとって、安全な取引が実現される。
【0071】
さらに、個人投資家等の注文者端末300には、ベストビッド及びベストオファーの取引レート情報とともに、当該取引レートで取引可能な取引数量に関する情報が提供されるので、個人投資家等の投資額決定の基準とすることができるとともに、相場の実勢を合理的に検証しながら、取引を行うことができる。
【0072】
また、本実施形態の取引所取引の外国為替取引システムを適用した外国為替証拠金取引では、複数のマーケットメーカーが提供する売り/買いポジションに関するスワップポイント情報を基に、売り/買いポジションに共通に適用されるスワップポイント値を取引所の中央サーバ100により決定されるため、取扱業者の利益分が上乗せされるなどにより個人投資家等の利益が損なわれることがなく、透明性及び信頼性の高い取引所からのスワップポイント値による有利で安全な取引を個人投資家等に提供することができる。
【0073】
また、個人投資家等が取引業者の口座に入金した証拠金は、中央管理サーバ120の顧客データベース122に入金情報として登録され、個人投資家等はその注文者端末300から中央サーバ100にアクセスし、中央サーバ100(取引所)に登録されている証拠金情報を参照することができる。
【0074】
つまり、個人投資家等は、取引業者により管理された証拠金情報を取得して参照するのではなく、取引所が保有する中央サーバ100により管理される証拠金情報を取得して参照するので、個人投資家等は、取引業者に委託した証拠金を明確に把握することができ、個人投資家等の資産を適切に保護すること(信用リスクに対する保護すること)が可能となる。
【0075】
また、本実施形態の外国為替取引システムは、取引業者(取引業者端末200)に対して外国為替取引を行うためのシステムをASPシステムとして提供することができるので、各々の取引業者がシステムを構築する必要がなく、取引業者における運用コスト等を低減することができる。つまり、個人投資家等に対しての取引手数料等を低く押させることが可能となり、個人投資家等にとって低い手数料で安全な外国為替取引を実現することができる。
【0076】
次に、本実施例の外国為替取引システムにおいて、注文者端末300に表示される注文用画面について説明する。図9及び図10は、中央サーバ100のFX用サーバ120からダウンロードされた注文用画面プログラムに基づいて、注文者端末300の表示装置(LCDやCRTなど)に表示された、外国為替取引についての注文を行うための注文用画面(ログイン後に最初に表示される画面)Cを示す図である。ここで、図9は、注文の入力〜入力確認〜注文完了の一連の流れを説明するための図(注文欄の遷移図)であり、図10は、注文者端末300の表示装置に表示される画面を説明するための、注文完了の状態を示す図である。
【0077】
図9に示すように、この注文用画面に表示される情報としては、中央サーバ100から送信されリアルタイムで変動する買/売気配(ビッド/オファー)情報が表示される表示欄(第1の表示画面)C1と、外国為替取引の一(単一)の注文についての各種情報を入力するための注文欄(第2の表示画面)C2と、該注文者に関する現在までの注文状況等についての情報が表示される状況照会欄(第3の表示画面)C3とに大別される。
【0078】
なお、図9及び図10では、買い又は売りのいずれかについて所定の条件を設定し該条件が満たされた場合に取引成立とする単一注文についての取引形態の例を示しているが、この他にも、ある注文が約定することを条件に有効となる注文であるイフダン(IfDone)注文(買い及び売りの双方について所定の条件を設定することができるもの)、ある注文が約定することを条件に無効となる注文であるOCO注文、上記のイフダン(IfDone)注文とOCO注文とを組み合わせるIfDoneOCO注文、注文者端末300上に表示される相場の実勢で約定させる注文であるストリーミング注文、などを行うことができ、この場合には注文欄C2の表示が一部異なるが、その他の表示は同様である。
【0079】
本実施形態では、これら各欄が一の表示画面内に表示されることで、市場の買/売値及び当該注文者(投資者)に関する情報が一目で把握可能となり、他の画面を並列(すなわち一画面内に同時に)表記することなく、この画面のみで注文の入力を出来るようになる。
【0080】
本実施形態では、注文用画面Cの上側に表示される各種の数値情報は、中央サーバ100によって算出された算出値であり、各注文者端末300の表示画面に相互に同一に表示される。この算出値としては、図9に示すように、各商品(例えば、米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円・・・など)についての、買数量「買気配数量」,買値「買気配」,売値「売気配」,売数量「売気配数量」,直近約定値,始値,高値,安値,出来高,前日比,前日清算値などが表示欄C1に表示される。
【0081】
また、図10に示すように注文用画面Cの左側の注文欄C2には、上から、注文受付完了時に中央サーバ100から送信される注文受付番号の表示欄、同様に中央サーバ100から送信される注文受付日時の表示欄、注文対象となる商品の表示欄C2c、注文対象商品についての売/買の別の表示欄、中央サーバ100によって注文が執行されるための執行条件の表示欄、当該注文についての価格の表示欄、当該注文についての数量の表示欄、中央サーバ100によって注文が執行されるための有効期限の表示欄が表示される。
【0082】
本実施形態では、図9に示すように、注文者によるマウス等の操作によって各入力欄(商品、売買区分、執行条件、価格、数量、有効期限等の入力/選択欄)に所定事項が入力された後に、注文欄C2の下の「確認」のボタンが選択されると、図9の下段に示す確認画面を経た後に、該注文内容の情報が中央サーバ100に伝送される。そして、中央サーバ100により注文の受付の処理が実行されると、中央サーバ100から注文受付番号及び注文受付日時の情報が送信されて、該情報が図9のさらに下段及び図10に示す注文完了画面の各表示欄に表示される。この後は、上述のように、中央サーバ100により注文の成否の決定、注文成立時における決済等の各種処理が行われ、処理結果が注文者端末300で受信されることになる。
【0083】
注文用画面Cの右側の状況照会欄C3には、当該注文者(投資者)の証拠金(ここでは証拠金預託額,取引余力相当額,損益合計、など)についての情報が表示される証拠金状況欄、当該注文者(投資者)の注文状況についての情報(ここでは現在受付済み且つ未成立(ペンディング中)である注文の一覧、過去に成立した(或いは不成立となった)注文の一覧、など)が表示される。なお、現在受付済み且つ未成立である取引案件については、図9の「全注文取消」ボタンを選択(マウスクリック等)することで、該当する全ての注文について一括して取り消すことが可能となっている。状況照会欄C3の下側には、当該注文者(投資者)の資産の出金指示についての状況を表示するための出金指示状況欄が表示される。状況照会欄に表示される各情報についても、中央サーバ100により管理され、中央サーバ100から伝送される。
【0084】
なお、注文用画面Cの左上隅の「□□業者」欄及び画面右上隅の「お問い合わせ:」欄は、それぞれ取扱業者毎の業者名及び当該業者の電話番号が表示される欄となっており、個人投資家等が委託した取扱業者毎に異なる情報が表示されることになる。
本実施形態では、注文画面用プログラムに基づいて、画面上側に表示される各種の数値情報については、該数値が変わる瞬間の所定の間だけ所定の色に変化するようになっており、ここでは、数値が上がる場合には赤色に、下がる場合には青色に変化するように、注文者端末300のCPUによって表示装置が制御される。
【0085】
ここで、図9における画面上側の表示欄C1の各表示値のうち、「買気配」の欄に表示される値が上述したベストビッド(最も高い買値)の値であり、「売気配」の欄に表示される値が上述したベストオファー(最も安い売値)の値である。そして、本実施形態では、これらの欄のいずれかの値を入力手段で指定操作(例えばマウスのポインタを当該箇所に合わせて左クリック)すると、指定されたビッド又はオファーの値が注文欄C2の所定欄内にコピーして入力されるように、当該注文者端末300のCPUによって表示装置が制御され、該値のデータがRAM等の一時メモリ内に格納される。これにより、マウスの1クリックによりその時点でのベストビッド又はベストオファーの数値が注文欄C2内にコピーされて表示されるので、注文時における注文者の入力操作の迅速性、利便性の向上が図られる。
【0086】
また、本実施形態では、当該買/売気配(ビッド/オファー)情報が表示される表示欄C1に、当該買/売気配(ビッド/オファー)で購入可能な数量が併せて表示されているので、市場の売/買気配にかかる数量が把握可能となり、個人投資家等の投資額決定の基準とすることができるとともに、相場の実勢を合理的に検証することができる。
【0087】
また、取引対象通貨の出来高情報が表示欄C1に表示されるので、市場動向の把握が容易となり、透明性の高い状況での取引を実現することができる。
【0088】
なお、FX用サーバ120のFXデータベース121には、上記第1から第3の表示画面プログラムが不図示の画面情報テーブル等に格納されており、注文者端末300からのログイン処理に伴って、FX管理部112は、これらの第1から第3の表示画面プログラムを抽出して、注文用画面プログラムを生成して、注文者端末300に送信している。また、個人投資家等が委託する取引業者のID情報に基づいて、取引業者毎に予めロゴ情報等を記憶しておき、このロゴ情報が含まれた注文用画面プログラムを生成して、注文者端末300に送信するように構成してもよい。
【0089】
以上、本実施形態においてID及びパスワードの発行処理を始めとする登録及び取引処理などの主要な処理は全て中央サーバ100で一元的に行うようになっており、個人投資家等は、取引業者が保有するサーバ201等を介さずに直接に取引所の中央サーバに接続して、委託した取引業者を介した外国為替取引を行っているが、例えば、取引業者が有するサーバを介して中央サーバ100にアクセスし、該サーバ201を介した外国為替取引システムとすることも可能である。
【0090】
例えば、取引所の中央サーバ100の処理負担を軽減させるため、サーバ201が個人投資家(注文者)についての各種情報を登録するためのデータベースを備え、個人投資家等の氏名、メールアドレス、ログインのためのID及びパスワード、などの情報を格納する。そして、注文者が取引を行う際に中央サーバ100に代わって認証処理を行ったり、中央サーバ100から注文者端末300に送信される各種情報を記憶し、注文者の要求に応じてサーバ201から送信するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0091】
100 中央サーバ
110 中央管理サーバ
120 FX用サーバ
130 MM用サーバ
200 取引業者端末
300 注文者端末
400 マーケット端末
C 注文画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外国為替取引についての取引所が保有する中央サーバと、注文者が操作し、該中央サーバに登録された取引業者を介して外国為替取引を行うための注文者端末と、により取引所為替取引を遂行するためのシステムであって、
前記中央サーバは、
複数のマーケットメーカーが有する各マーケット端末から送信される複数のビッド情報及びオファー情報を受信し、受信した複数の前記ビッド情報及び複数の前記オファー情報に基づく取引レート情報を生成する取引レート情報生成手段と、
前記取引レート情報を受信した前記注文者端末から送信される前記取引レート情報に基づく注文情報に対し、前記マーケットメーカーと前記注文者との間で取引を成立させる取引処理を遂行する取引手段と、
前記マーケット端末を通じ、前記マーケットメーカーと前記注文者との間で成立した取引所為替取引における各マーケットメーカーが提示する売建玉に関するスワップポイント情報及び買建玉に関するスワップポイント情報を受信し、前記取引所為替取引における売建玉及び買建玉に適用されるスワップポイント値を算出するスワップポイント処理手段と、を有し、
前記スワップポイント処理手段は、前記複数のマーケットメーカー全体の建玉を売建玉及び買建玉別に合計して売建玉及び買建玉の各合計値を算出し、算出された売建玉の合計値及び買建玉の合計値のうち合計値の大きい建玉を前記取引所為替取引におけるマーケットメーカー全体のポジションサイドとして判別し、前記ポジションサイドとして判別された売建玉又は買建玉の一方の前記スワップポイント情報を用いて、前記取引所為替取引の売建玉及び買建玉に共通に適用されるスワップポイント値を算出することを特徴とする外国為替取引システム。
【請求項2】
外国為替取引についての取引所が保有する中央サーバを備え、注文者が操作する注文者端末に該中央サーバに登録された取引業者を介した外国為替取引を提供する外国為替取引システムの前記中央サーバに、
複数のマーケットメーカーが有する各マーケット端末から送信される複数のビッド情報及びオファー情報を受信し、受信した複数の前記ビッド情報及び複数の前記オファー情報に基づく取引レート情報を生成する機能と、
前記取引レート情報を受信した前記注文者端末から送信される前記取引レート情報に基づく注文情報に対し、前記マーケットメーカーと前記注文者との間で取引を成立させる取引処理を遂行する機能と、
前記マーケット端末を通じ、前記マーケットメーカーと前記注文者との間で成立した取引所為替取引における各マーケットメーカーが提示する売建玉に関するスワップポイント情報及び買建玉に関するスワップポイント情報を受信し、前記複数のマーケットメーカー全体の建玉を売建玉及び買建玉別に合計して売建玉及び買建玉の各合計値を算出し、算出された売建玉の合計値及び買建玉の合計値のうち合計値の大きい建玉を前記取引所為替取引におけるマーケットメーカー全体のポジションサイドとして判別し、前記ポジションサイドとして判別された売建玉又は買建玉の一方の前記スワップポイント情報を用いて、前記取引所為替取引の売建玉及び買建玉に共通に適用されるスワップポイント値を算出する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項3】
外国為替取引についての取引所が保有する中央サーバに接続され、注文者端末にて注文者が該中央サーバに登録された取引業者を介して外国為替取引を遂行するための外国為替取引方法であって、
複数のマーケットメーカーが有する各マーケット端末から送信される複数のビッド情報及びオファー情報を受信し、受信した複数の前記ビッド情報及び複数の前記オファー情報に基づく取引レート情報を生成するステップと、
前記取引レート情報を受信した前記注文者端末から送信される前記取引レート情報に基づく注文情報に対し、前記マーケットメーカーと前記注文者との間で取引を成立させる取引処理を遂行するステップと、
前記マーケット端末を通じ、前記マーケットメーカーと前記注文者との間で成立した取引所為替取引における各マーケットメーカーが提示する売建玉に関するスワップポイント情報及び買建玉に関するスワップポイント情報を受信し、前記取引所為替取引における売建玉及び買建玉に適用されるスワップポイント値を算出するステップと、を含み、
前記取引所為替取引における売建玉及び買建玉に適用されるスワップポイント値を算出するステップは、前記取引所為替取引における売建玉及び買建玉に適用されるスワップポイント値を算出するステップは、前記複数のマーケットメーカー全体の建玉を売建玉及び買建玉別に合計して売建玉及び買建玉の各合計値を算出し、算出された売建玉の合計値及び買建玉の合計値のうち合計値の大きい建玉を前記取引所為替取引におけるマーケットメーカー全体のポジションサイドとして判別し、前記ポジションサイドとして判別された売建玉又は買建玉の一方の前記スワップポイント情報を用いて、前記取引所為替取引の売建玉及び買建玉に共通に適用されるスワップポイント値を算出することを特徴とする外国為替取引方法。
【請求項4】
外国為替取引を遂行するための外国為替取引システムにおいて取引所が保有する中央サーバであって、
複数のマーケットメーカーが有する各マーケット端末から送信される複数のビッド情報及びオファー情報を受信し、受信した複数の前記ビッド情報及び複数の前記オファー情報に基づく取引レート情報を生成する取引レート情報生成手段と、
前記取引レート情報を受信した前記注文者端末から送信される前記取引レート情報に基づく注文情報に対し、前記マーケットメーカーと前記注文者との間で取引を成立させる取引処理を遂行する取引手段と、
前記マーケット端末を通じ、前記マーケットメーカーと前記注文者との間で成立した取引所為替取引における各マーケットメーカーが提示する売建玉に関するスワップポイント情報及び買建玉に関するスワップポイント情報を受信し、前記取引所為替取引における売建玉及び買建玉に適用されるスワップポイント値を算出するスワップポイント処理手段と、を有し、
前記スワップポイント処理手段は、前記複数のマーケットメーカー全体の建玉を売建玉及び買建玉別に合計して売建玉及び買建玉の各合計値を算出し、算出された売建玉の合計値及び買建玉の合計値のうち合計値の大きい建玉を前記取引所為替取引におけるマーケットメーカー全体のポジションサイドとして判別し、前記ポジションサイドとして判別された売建玉又は買建玉の一方の前記スワップポイント情報を用いて、前記取引所為替取引の売建玉及び買建玉に共通に適用されるスワップポイント値を算出することを特徴とする中央サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−295193(P2009−295193A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219366(P2009−219366)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【分割の表示】特願2005−193208(P2005−193208)の分割
【原出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(501167611)株式会社東京金融取引所 (8)