説明

外用貼付剤

【課題】 発汗肌でも、患部に当てがったまま、軽快に、膏体の保護フイルムを剥離し、貼付できる貼付剤を提供する。
【解決手段】 貼付剤は、支持体と、その上に塗布された膏体、その表面に膏体保護も兼ねた、しなやかな、環状フイルムが剥離可能に粘着されている。この環状フイルムは、二重状のフイルムであるが、両端部が継がった、環状のフイルムである。この環状フイルムのもう一方の外側面には、フイルムを取り出す引手部を設け、その一側端は支持体より突出さしている。また、この引手部の肌面側なる面には、すべり部材、あるいは、補助環状フイルムを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発汗等、肌の条件を問わず、本体をそのまま肌に当てがい、軽快に支障なく保護フイルムを剥がし、貼付する貼付剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の市販の貼付剤(湿布薬)は、貼付時、前もって膏体の保護フイルムを剥がしてから目的の患部まで運び貼付していた。一部には、患部付近に添えたものを両手で両部部をつまみ、同時に左右に引っぱって保護フイルムを剥がし貼付するものも市販されている。この方法は、剥がしたフイルムの後処理が煩わしい場合があったり、また、いずれのものも、貼付部位によっては功妙な手腕を要したり、衣服を脱いでしまう必要もあった。それだけでなく、目的通り患部に貼付出来ない場合も度々あり、その貼り直しに苦労していた。
【0003】
上記の様な貼付剤以外にも、商品名「バンドエイド」の中央部にある、折り返されているつまみ代を長く伸ばした様な、J型の反転二重フイルム式のものが発表されています。この方法は思いつき易く、日常何気なく似た様なしぐさを実行している関係上、すぐにでも実用化可能と思い込みがちです。しかし、発表されているものは、実用化前に解決すべき問題点、すなわち、肌の状况や、操作に伴なう重大な支障にほとんど触れられてないようです。そこでこの方式の貼付剤を肌に当てがい貼付する時の支障発生状况を以下に記した。
【0004】
J型の反転二重フイルム式の貼付剤の問題点
〈01〉 貼付時、本体を手でつまみ、患部に当てがうが、つまむ段階から二重フイルム間で、スベリという支障が発生し、次の操作にうまく継げる事が出来ない支障.
〈02〉 本体が肌に当てがわれている場合、貼付部位をずらそうとした瞬間、また引き出し操作しようとした瞬間、押圧バランスが変化し本体がフイルム上を滑ってしまい支障発生.
〈03〉 多汗、多脂症の肌では、肌面に接しているフイルム部の滑りが悪かったり、密着してしまったりして、軽快操作に支障.
〈04〉 対峙した二重のフイルムが離れたり、ずれたりして扱いにくく、予期せぬ支障も発生し、更に梱包にも不利.
【特許文献】特開2007−126425
【特許文献】特開2008−273892
【特許文献】特開平10−17465
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、貼付操作時、上記した様な支障もなく、簡単に、無器用な老人も、着衣のまま、任意の部位に当てがったまま貼付可能にすることが出来る貼付剤を提供することである。
【課題を解決する為の手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決する為の第1手段として、支持体と、その上に塗布された膏体、その表面に膏体の保護フイルムが剥離可能に粘着される貼付剤において、保護フイルムが、しなやかな環状の環状フイルムであることを特長とする貼付剤を提供するものである。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、支持体とその上に塗布された膏体、その表面に膏体の保護フイルムが剥離可能に粘着される貼付剤において、保護フイルムが、しなやかなシート状のフイルムを離開可能に粘着し環状化した環状フイルムで、この環状フイルムの膏体に接していない部位を、引っぱると、環状化した粘着部が離開されることを特長とする貼付剤を提供するものである。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1の解決手段の環状フイルムを用いた貼付剤であって、引手部なるシートを、環状フイルムの膏体に接していない側の表面に、離開可能に粘着する。あるいは、環状フイルムの折り返されている端部に接合する。あるいは、その両方を施す。このシートの一端は、シートを牽引する方向の支持体端部より突出さしている。シートを接合している場合は、接合している反対方向の支持体端部より突出さしていることを特長とする貼付剤を提供するものである。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第2の解決手段の環状化した環状フイルムを用いた貼付剤であって、引手部なるシートを、環状フイルムの、膏体に接していない部位に設ける。このシートは、シートを牽引する方向の支持体端部より突出さしていることを特長とする貼付剤を提供することである。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記の第3の解決手段、及び、第4の解決手段の貼付剤であって、引手部なるシートの肌面側外側面に、吸液性のすべり部材を設けていることを特長とする貼付剤を提供することである。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記の第3の解決手段、及び、第4の解決手段の貼付剤であって、引手部なるシートの肌面側外側面に、引手部なるシートを挟んで、環状フイルムと対称に、補助環状フイルムを設けていることを特長とする貼付剤を提供することである。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記の第1から第6の解決手段の貼付剤であって、環状フイルム、及び、補助環状フイルムの内面には、潤滑剤を塗布していることを特長とする貼付剤を提供することである。
【発明の効果】
【0013】
環状フイルムは、二重状のフイルムが支持体の両端部で継がっており、この継がった部分が、貼付操作時、対峙したフイルム間に発生する有害な水平応力を抑制する。よって、貼付時の支障、前記〔0004〕の〈01〉及び〈02〉を防止する効果が得られる。
【0014】
環状フイルムの内面に、潤滑剤を塗布することで、対峙したフイルム間の滑りが良くなり軽快操作に寄与する。更なる効果として、潤滑剤固有の粘性でもって、対峙したフイルム同志を密着さす効果が得られる。同時に、フイルム同志が無用に、ふくらんだり、ばらけたりすることも防止する。その結果、極限までコンパクトされた貼付剤は、扱いも、操作も容易で、予期せぬトラブルも未然に防止する。こういった効果は、補助環状フイルムを用いたタイプでは、より顕著である。また、梱包にも有利なる効果がある。
【0015】
引手部の肌面に接する部分に、吸液性のすべり部材を設けたことで、多少の発汗があっても軽快操作が出来る効果が得られる。
【0016】
引手部の肌面に接する部分に、補助環状フイルムを設けたことで、多汗、多脂症の肌でも軽快操作が出来る効果がある。この補助環状フイルムは、悪条件の肌面に張りつかして、その機能を発揮する設計ですが、普通の肌では、すべり部材の様に作用します。よって、補助環状フイルムを設けた貼付剤は、如可なる条件の肌でも軽快操作で貼付できる、マルチタイプの貼付剤として用いることが出来る効果がある。この補助環状フイルムを設けた貼付剤は、肌面の影響をほとんど受けないので、常に操作は軽快で、その軽快さは、貼付終了時まで続く効果が得られる。
【0017】
環状フイルムを引き出す時、[請求項1]の環状フイルムは、環状のまま引き出されるので、環状フイルム内面に塗布した潤滑剤に触れることを防止する効果がある。それに対し、[請求項2]の環状フイルムは、一枚のシート状のフイルムとして引き出されるので、潤滑剤塗布面が露出する。しかし、貼付操作の良し悪しに関するフィーリングが微妙に異なり、用いるフイルムの量も偉うので、使い勝手、製造法、コスト等を考慮した選択肢を広げる効果がある。
【発明を実施する最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の貼付剤1を示し、貼付剤1は、支持体11と、その表面に塗布された膏体12、その表面に環状フイルム13が剥離可能に粘着されている。更に、この環状フイルム13の、膏体に接していないもう一方の表面には、引手部14が剥離可能に設けられている。この引手部14の一側端は、支持体11より突出さしている。この突出さしている部分を、引手部14−1、これ以外の部分を、引手部14−2とする。引手部14−1が突出している方向を、X方向、その反対側を、Y方向とする。更に、この引手部14の肌面側なる表面には、すべり部材15を設けたものから成っている。引手部14−1は、矢印、X方向に牽引する。
【0019】
〈1.貼付剤本体〉
貼付剤本体は、貼付して使用するものであれば、種類は問いません。例えば、パップ剤、絆創膏、等があります。薬効成分の有無も問いません。材料も種類に応じた公知のものを選択できる。ここでは、市販のパップ剤を念頭に説明する。
【0020】
〈2.環状フイルム〉
環状フイルム13は、広げると円筒とも表現できる、しなやかな環状のフイルムです。その作用は、膏体の保護のみならず、環状フイルム13自身を取り出しやすくする作用も任っている。更に、貼付操作に伴なう、有害なすべりを抑制し様ざまな支障を防止する装置として作用する。環状フイルム13の材質は、プラスチックフイルムを用いるのが良く、ポリエチレン等、市販のパップ剤等に用いられている公知のものが使用できる。フイルムの厚みは、しなやかさ、強度等を考慮すれば、0.01mm〜0.04mm位が良い。環状フイルムは、シート状のフイルムを、円筒状に接合したものでもよく、円筒状に押し出し製造したものを用いても良い。こうして出来た円筒状の環状フイルムは、フイルム同志を対峙させ、一枚のフイルムに見える二重フイルム状態で用いている。その一表面は、膏体12に粘着している。この一表面を、環状フイルムA面と以下呼ぶことがある。その反対側表面を、環状フイルムB面と以下呼ぶことがある。更に、この環状フイルムB面には、引手部14を設けている。環状フイルム13の寸法は基本的には、支持体11と同寸で良いが、引手部14−1がある、X方向は、支持体11より、数mm突出さしていると、環状フイルムを取り出しやすくなり優れる。この突出部を、△13とする。
【0021】
〈3 潤滑剤〉
環状フイルム13の内面には、シリコンオイル等、潤滑剤16を塗布する。潤滑剤16の作用は、対峙した環状フイルム13の内面の摩擦抵抗を減らし、軽快操作に寄与する。更に、潤滑剤固有の粘性でもって、対峙した環状フイルム13同志を密着さし、無用に、ばらけたり、ふくらんだりするのを防止する。更に、コンパクト化するので、操作しやすく、操作に伴なう失敗を未然に防止する。潤滑剤16は、鉱物油、合成油等、公知のものが利用できる。
【0022】
〈4 引手部〉
引手部14は、引手部14−1、引手部14−2から成り、環状フイルム13のB面に離開可能に粘着されている。引手部14−1は、支持体11より突出さしており、この部分が環状フイルム13を引き出す、つまみ代になる。それ以外の部分を、引手部14−2とする。引手部14の材質は、プラスチック等、肌面と密着しやすい材料を、A材、もしくは、肌面で滑りやすい材料を、B材、の2通りある。A材を用いた場合、発汗時でも、肌面で滑りやすくする為の、すべり部材15を、A材の肌面側に設ける。B材を用いた場合、引手部14と、すべり部材そのものを共用する事が出来る。この共用したすべり部材を、すべり部材15−Bとする。すべり部材15と、すべり部材15−Bは、強度は異る場合があるが、作用的には同じものを用いることが出来る。引手部14−2と、環状フイルム13とは、離開可能なる粘着接続する。この粘着部は、引手部14−1を引くと剥がされていきます。引手部14−2のY端は、環状フイルム13のY端であるが、この端部の手前、数mmは、粘着でなく接合しておくのが望ましい。こうすることで、貼付操作完了と同時に、環状フイルム13が確実に、引手部14と共に引き出される。この粘着部を、10、接合部を、10−1とする。引手部14−1は、指でつまんだり、指穴等のあるものは指をかけたり、操作しやすいものを適宜選択すると良い。
【0023】
〈5 すべり部材〉
環状フイルム13を、引手14−1で引き出す場合、引手部14の一表面が肌面上を滑っていきます。しかし、引手部14に、すべりにくい材料、A材を用いた場合、発汗等、悪条件の場合、肌面上を滑りにくくなります。これを防止するため、引手部14の肌面側表面に、すべり部材15を設け、軽快操作の一助にする。但し、引手部14が、すべりやすい材料B材を用いている場合は、設ける必要はない。すべり部材15は、吸液性を有する材料で、布、紙、不織布等を適宜選択するとよい。引手部14に、A材を用いた場合、すべり部材15は、引手部14−2の部分にのみ設けてもよいが、引手部14−1まで含めた全ての面に設けてもよい。
【0024】
(第1の実施の形態)
こうした構成の貼付剤1を貼付するには、一方の手で患部に当てがい、支持体11の上面を押圧しておく。もう一方の手で、引手14−1を引っぱって環状フイルム13を引き出して、貼付する。具体的には、引手部14−1を把握し、X方向に引っぱると、すべり部材15が肌面上を滑り、同時に牽引力は環状フイルム13にも及ぶ。そうすると環状フイルム13は、キャタピラの回転の如く連続的に反転し、環状フイルム13のA面は、膏体12から剥がされていく。同時に環状フイルム13のB面もX方向から、引手部14−2との粘着部が離開、剥がされていく。剥がされた部分の膏体12は、当てがわれている手の押圧により自動的に貼付される。貼付終了と同時に環状フイルム13は、環状のままの姿で引手部14と共に取り出される。この一連の作用は軽快に進行するが、操作始めは、強めに引っぱる必要がある。しかし、引手部14−1を、数cm引き出すと、膏体12が肌に粘着し、その粘着力が反牽引力となり、弱い操作力での操作に移行できる。こういった貼付方式は、引手部14−1の引き始めに最大の牽引力を要し、手の押圧力も最大になります。故に、支持体11の表面が滑りやすい場合、手との摩擦力が少なく、引手部14−1の牽引力により、貼付剤1そのものがずれてしまう場合が生じる。これを防止するため、支持体11の表面にすべり防止策を施しておくと、弱い押圧力で貼付操作が可能になる。すべり防止策は、支持体11の表面に、発泡ウレタン等、公知のものを適当な方法で付着さしておくが、視覚や、触覚に訴え、自然と手さぐりでも、押圧ポイントが認識できる様にすると良い。これまでの、反転二重フイルム式の貼付剤では、こういった貼付操作の最初の段階から、様ざまな支障が発生し、実用化のネックとなっていた。しかし、考案した貼付剤は、環状フイルム13や、すべり部材15等等による相乗効果で、支障もなく、位置決めも、当てがい直しも簡単に出来るものになった。
【0025】
(第2の実施の形態)
次に、補助環状フイルム17を用いた、第2の実施の形態について、図2を参照にしながら説明すると、第1の実施の形態では、環状フイルムのB面側には、すべり部材15を設け、多少の発汗肌でも軽快操作が出来るようにしている。しかし、この方法でも一部の多汗症、多脂症、夏期等では操作に支障を来たす場合がある。そこで、どのような悪条件肌の場合であっても支障なく対応できる様考案したのが、補助環状フイルム17を用いた貼付剤です。この補助環状フイルム17は、すべり部材15の代わりになるものです。これを用いた貼付剤2の構成は、補助環状フイルム17を、引手部14を挟み、環状フイルム13と対称に設けたものです。補助環状フイルム17は、環状フイルム13と同等のものを用いる。引手部14との接続方法は、環状フイルム13のそれに準ずる。この場合、引手部14の材料は、吸液性を考慮しなくてよい。その他は、貼付剤1と同じでよい。こういった構成にした貼付剤2を肌に当てがい、引手部14−1を引っぱると、環状フイルム13及び補助環状フイルム17は、膏体及び肌面上を、鏡に写ったキャタピラの如く、ころがる様に反転し、膏体、及び、肌面から剥がされていく。また、同時に引手部14−2に粘着している部分も同様の作用で反対方向、いわゆる、X方向から剥がされていく。このような合理的作用で、両環状フイルムは、どんな悪条件肌でも当てがったまま軽快に引き出す事が可能である。貼付終了と同時に、両環状フイルムは、環状の姿のまま、取り出されます。肌が滑りやすい状態の場合、補助環状フイルム17は、すべり部材15と同様、肌面上を滑って、支障なく貼付操作出来る。
【0026】
(第3の実施の形態)
次に、環状フイルム20を用いた、第3の実施の形態について、図3を参照にしながら説明すると、上記した、第1、第2の実施の形態で用いた、環状フイルム13、及び、補助環状フイルム17は、貼付完了で、環状の姿のまま取り出されます。しかし、第3の実施の形態で用いる、環状フイルム20は、貼付操作に伴い、環状フイルム20の環状化が開放されていき、最終的には、シート状のフイルムとして取り出されるという偉いがある。この環状フイルム20の環状化は、しなやかな、シート状のフイルムを、離開可能に粘着し環状化したものであって、その特定部を引っぱると、その環状化さしている粘着部が離開する構成にしたものである。この考え方に基づき環状化する方法は何種類かあります。その方法によって環状化したフイルムを、環状フイルム20、図3参照、環状フイルム21、図4参照、環状フイルム22、図5参照、環状フイルム23、図6参照、環状フイルム24、図7参照、環状フイルム25、図8参照、とする。これらの、環状化した環状フイルムを用いた貼付剤の効果、及び、使い勝手は、環状フイルム13、補助環状フイルム17、それらを用いたものと同等である。
【0027】
具体的に説明すると、環状フイルム20を用いたのが、貼付剤3で、この環状フイルム20は、しなやかなシート状のフイルムを、図3に示すように、ロール状に曲げ、いわゆる<のり代>とも言える部分を、離開可能なる様に粘着し環状化したものです。この様な構成にした環状フイルム20の粘着部31は、フイルムが、三重にになっていることが解ります。よって、この環状フイルム20は、三重フイルムで構成したものとも解せます。この環状フイルム20の肌面側なる表面には、すべり部材15−Bを設け、X方向なる端部は、支持体11より突出さしている。このすべり部材15−Bは、引手部14と共用しているので、支持体11より突出さしている部分は引手部14−1でもある。また、環状フイルム20の肌面側なるフイルムのX方向を支持体より突出さしておくと、これを、引手部14−1とすることも出来る。この場合、すべり部材15、及び、すべり部材15−B、いずれかを用いるとよい。環状フイルム20と、すべり部材15、すべり部材15−Bは、接合すると良い。貼付剤3に用いる材料は、貼付剤1に準ずるものが使用できる。
【0028】
図4は、環状フイルム21を用いた貼付剤4の断面図を示し、その説明をする。環状フイルム21は、しなやかなシート状のフイルムを、図4に示す様に、半分に反転さし、二重状にしている。この二重状になったフイルムの開放端部内面の一部分を、離開可能に粘着したものである。この環状フイルム21の肌面側なる表面には、引手部14と共用なるすべり部材15−Bを設け、X方向は、支持体端部より突出さしておく。この突出部分が引手部14−1となる。環状フイルム21と、すべり部材15−Bは離開せぬ様接合する。但し、この場合、環状フイルム21の肌面側全面とは接合せず、粘着部32の部分からY方向に数mm間隔を置いて、残りの部分34を接合する。この様に構成した貼付剤4の環状フイルム21の粘着部32は、引手部14とは離れており、引手部14をフイルムと見なせば、粘着部32の部分が二重になっているので、都合、三重フイルムの構成品と解することが出来る。この環状フイルム21の粘着部32の肌面側フイルムは、引手部14の引き出し操作により反転し、三重状になって剥がされるという特長がある。その他潤滑等、貼付剤4に用いる材料は、貼付剤1に準ずるものが使用できる。
【0029】
図5は、環状フイルム22を用いた貼付剤5の断面図、図6は、環状フイルム23を用いた貼付剤6の断面図、図7は、環状フイルム24を用いた貼付剤7の断面図、図8は、環状フイルム25を用いた貼付剤8の断面図を示し、その説明をする。図5の環状フイルム22,及び、図6の環状フイルム23を用いた貼付剤は、前記の、環状フイルム20及び、環状フイルム21を用いた貼付剤と同じ考えに基づき派生さしたもので作用等も同等です。よって説明は省略する。図7,図8の環状フイルム24,及び25は、二重に反転さしたフイルム間に、<型、あるいは、>型の、しなやかなフイルムを挟み、粘着さしたもので、これも同じ考えに基づいたもので、説明は省略する。
【0030】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。図9は、第3の実施の形態の貼付剤3において、すべり部材15の代わりに、引手部14を挟んで、環状フイルム20と、補助環状フイルム26を用いたものを示している。これは、第1の実施の形態の貼付剤1に、補助環状フイルム17を用い、第2の実施形態の貼付剤2の構成にしたのと同じ手法を用いたものである。よって、作用、効果等も同様であるので説明は省略する。同じく、環状フイルム21,22,23,24,25,を用いた貼付剤も同様の形態にすることができる。この場合も、作用等も同様であるので説明は省略する。環状フイルム20,及び24,及び25を用い、第4の実施形態にする場合は、フイルムそのものを、引手部14とすることができる。各環状フイルムと各補助環状フイルムは、必ずしも同じ構成のもの同志の組み合わせでなくとも、構成の異なるものを適宜組み合わして用いることが出来る。
【0031】
(その他の実施の形態)
これまで説明した貼付剤1,図1〜貼付剤9,図9は、いわゆる片引きタイプです。この片引きタイプのものを、バンドエイドの如く、二枚、突き合わせ、両引きタイプ、図面10参照、にしたものは、使い勝手の向上が計れます。図面には表わしてないが、全ての実施の形態の貼付剤が、両引きタイプ可能です。この両引きタイプの貼付方法は、左右、片方づつ、交互にフイルムの引き出し操作をする。左右のフイルムの寸法は、必ずしも同寸にする必要性はなく、貼付部位により、適宜選択すれば良い結果が得られる。また、全ての貼付剤において、膏体部を除く、剥がされて機能する粘着面の形状、及び、粘着法は、図面上には表わせてないが、方形、全面均一でなくとも、例えば、粘着面は楕円状、半円状に、そして粘着法は、点状、筋状にしてもよい。こうすることにより、使い勝手の向上が計れる。特に、離開可能に粘着し環状化したフイルムの粘着部は、粘着面の巾、及び長さも考慮して、使い勝手の向上を計るとよい。また、環状フイルム21は、引手部14−1を省いても、支持体11のX方向の端部付近は、引手部14−2とは離れており、貼付操作時、それを選別するのも、把握するのも容易である。こうすることによる効果は、困包に有利になる。コスト的にも有利である。こういった効果を必要とする場合、環状フイルム13,及び、環状フイルム20等を用いたものにも応用可能である。その方法は、図1の粘着部10,及び、図3の粘着部31の、X方向の端部側を、把握に必要なる巾を非粘着とするとよい。但し、補助環状フイルムを用いたタイプに用いると、操作性に問題が生じる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の貼付剤は、貼付により使用される湿布剤や、絆創膏等に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】貼付剤1の断面図
【図2】貼付剤2の断面図
【図3】貼付剤3の断面図
【図4】貼付剤4の断面図
【図5】貼付剤5の断面図
【図6】貼付剤6の断面図
【図7】貼付剤7の断面図
【図8】貼付剤8の断面図
【図9】第4の実施の形態で、貼付剤3に補助環状フイルムを用いた断面図
【図10】両引きタイプの貼付剤の斜視図
【図11】貼付剤の使用状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0034】
1 貼付剤1
2 貼付剤2
3 貼付剤3
4 貼付剤4
5 貼付剤5
6 貼付剤6
7 貼付剤7
8 貼付剤8
10 粘着部
10−1 接合部
11 支持体
12 膏体
13 環状フイルム
△13 環状フイルム突出部
14 引手部
14−1 引手部
14−2 引手部
15 すべり部材
15−B 引手部と共用したすべり部材
16 潤滑剤
17 補助環状フイルム
20 環状化した環状フイルム
21 環状化した環状フイルム
22 環状化した環状フイルム
23 環状化した環状フイルム
24 環状化した環状フイルム
24−1 <型のしなやかなフイルム
25 環状化した環状フイルム
25−1 >型のしなやかなフイルム
31 粘着部
32 粘着部
33 間隔
34 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、その上に塗布された膏体、その表面に膏体の保護フイルムが剥離可能に粘着される貼付剤において、保護フイルムが、しなやかな、環状の、環状フイルムであることを特長とする貼付剤。
【請求項2】
支持体と、その上に塗布された膏体、その表面に膏体の保護フイルムが剥離可能に粘着される貼付剤において、保護フイルムが、しなやかなシート状のフイルムを、離開可能に粘着し、環状化した環状フイルムで、この環状フイルムの、膏体に接していない部位を、引っぱると、その粘着部が離開されていくことを特長とする貼付剤。
【請求項3】
請求項1に記載された貼付剤であって、引手部なるシートを、環状フイルムの、膏体に接してない側の表面に離開可能に粘着する。あるいは、同表面のフイルム折り返しのある片側の端部に接合する。あるいは、その両方を施す。このシートの一端は、接合が施されてない場合、シートを牽引する方向の支持体より突出さしており、接合を、施している場合は、接合部の反対側方向の支持体より突出さしていることを特長とする貼付剤。
【請求項4】
請求項2に記載された貼付剤であって、引手部なるシートを、環状フイルムの、膏体に接してない部位に設ける。このシートは、シートを牽引する方向の支持体より突出さしていることを特長とする貼付剤。
【請求項5】
請求項3、及び、請求項4、に記載された貼付剤であって、引手部なるシートの、肌面側の外側面に、吸液性の、すべり部材を設けていることを特長とする貼付剤。
【請求項6】
請求項3、及び、請求項4、に記載された貼付剤であって、引手部なるシートを挟んで環状フイルムと対称に、補助環状フイルムを設けていることを特長とする貼付剤。
【請求項7】
請求項1、ないし、請求項6、に記載された貼付剤であって、環状フイルム、及び、補助環状フイルムの内面には、潤滑剤を塗布していることを特長とする貼付剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−176222(P2012−176222A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84900(P2011−84900)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(509041555)