外装カバー及びこれを備えた画像形成装置
【課題】重なり合うカバー同士の連結において、その製造コストの低廉化や操作性の向上等を達成できる外装カバー及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】略平板状の第1カバー(41)、回動する略L字状の第2カバー(52)、及びその折れ曲がり位置に隣接して固定された第3カバー(63)を具備し、第1カバーは、第1面(21)を外装する第1面外装部(42)と、その表面が第2カバー部分(54)の裏面に重なってこの第2カバーを係止するカバー係止部(44)とを備え、この表面のうち、回転軸線に沿う一端側には裏面に係合するフック(46)が形成される一方、その他端側には裏面に係合する湾曲したリブ(47)が形成されており、フック端点F、リブ端点R及びこのリブ端点Rから回転軸線方向への垂線の足Hで構成された直角三角形にて直線RFと直線FHとのなす角をθとしたとき、長さZの直線RFと長さXの直線RHとは、sinθ=X/Z>0.2を満たす。
【解決手段】略平板状の第1カバー(41)、回動する略L字状の第2カバー(52)、及びその折れ曲がり位置に隣接して固定された第3カバー(63)を具備し、第1カバーは、第1面(21)を外装する第1面外装部(42)と、その表面が第2カバー部分(54)の裏面に重なってこの第2カバーを係止するカバー係止部(44)とを備え、この表面のうち、回転軸線に沿う一端側には裏面に係合するフック(46)が形成される一方、その他端側には裏面に係合する湾曲したリブ(47)が形成されており、フック端点F、リブ端点R及びこのリブ端点Rから回転軸線方向への垂線の足Hで構成された直角三角形にて直線RFと直線FHとのなす角をθとしたとき、長さZの直線RFと長さXの直線RHとは、sinθ=X/Z>0.2を満たす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体を覆う外装カバー及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置本体の内部には各種の機器が搭載されており、これら機器を保護すべく装置本体は外装カバーで覆われている。一方、機器のメンテナンスや交換等のためには、装置本体の内部を外部に対して開放する必要がある。そのため、装置本体を開放可能な外装カバーの技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−47772号公報
【特許文献2】特開2009−198708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の技術では、製造コストが増加するという問題がある。詳しくは、特許文献1の技術ではマグネット等を用いて装置本体と外装カバーとを吸着させており、また、特許文献2の技術では、フックに係合するラッチはバネで移動可能に構成され、装置本体や外装カバーに要する部品点数が多くなるからである。
【0005】
ところで、外装カバーを分割した構造がある。具体的には、外装カバーを板状の第1カバー、回動する略L字状の第2カバー、この第2カバーの折れ曲がり位置に固定された第3カバーに分割し、第1カバーが第1面を、第2カバーが第1面の一部やこの第1面に略直交する第2面を、第3カバーが第1面及び第2面の双方をそれぞれ覆い、第1カバーと第2カバーとを部分的に重ね合わせて装置本体を覆う構造がある。当該構造の場合にマグネットやバネ等を用いることも外装カバーの製造コストの観点から好ましくない。
【0006】
このため、これらカバー同士の連結の場合には、フックやリブを用いて連結することが考えられる。より詳しくは、例えば第1カバーには、第1面を外装する第1面外装部の他、第2カバーの一部の裏面に重なるカバー係止部を設け、このカバー係止部の表面に、第2カバーを係止するフックやリブを設置するのである。
【0007】
しかしながら、このリブをカバー係止部の表面に単に設置すると、第2カバーが装置本体内を開放できなくなるという新たな問題が生ずる。
より詳しくは、仮にフック及びリブをいずれも第1面外装部寄りにて回動軸線に沿って並んで配置させると、第2カバーが第1カバーから離れる際に、リブが第2カバーに干渉すると同時に、このリブを支点にしてこの第2カバーが捩れることから、リブ近傍側の第3カバーが第2カバーの略L字状部分に干渉し、第2カバーがこれら2箇所の干渉によってロックされた状態になって回動できなくなるからである。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、重なり合うカバー同士の連結において、その製造コストの低廉化や操作性の向上等を達成できる外装カバー及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1の発明は、装置本体の第1面を覆う略平板状の第1カバー、及び装置本体に対して回動自在に支持されるとともに、第1面やこの第1面に対して略直交方向に連なった第2面を覆う略L字状の第2カバー、並びにこの第2カバーの折れ曲がり位置に隣接して配置され、第2カバーの回動軸線に沿う移動を規制可能な第3カバーをそれぞれ具備した外装カバーに適用される。
【0010】
そして、第1カバーは、第1面を外装する第1面外装部と、その表面が第2カバーの一部分の裏面に重なってこの第2カバーを係止するカバー係止部とをそれぞれ備え、上記表面のうち、回転軸線に沿う一端側には上記裏面に係合するフックが形成される一方、その他端側には上記裏面に係合する湾曲したリブが形成されており、このフックのうち第1面外装部側であってリブ寄りのフック端点からリブのうち第1面外装部側であってフック寄りのリブ端点までを直接に結んだ長さをZ、これらフック端点からリブ端点までを上述した回転軸線に直交する方向でみた長さをXとしたとき、sinθ=X/Z>0.2を満たす。
【0011】
第1の発明によれば、装置本体の内部は外装カバーで覆われており、この外装カバーは略平板状の第1カバー及び略L字状の第2カバーを備えている。この第2カバーは、その回動軸線を中心に回動して装置本体の内部を開放することができるが、この回動軸線に沿う移動は第3カバーで規制される。
第1カバーのカバー係止部の表面には、フックや湾曲したリブが形成されている。
【0012】
具体的には、フックは上記回転軸線に沿う一端側に、リブはこの回転軸線に沿う他端側に互いに離間して配置され、第2カバーの裏面に重なってこの第2カバーを係止することができる。これにより、従来の如く第2カバーの固定にマグネットやバネなどの部品を使用せず、少ない部品点数で済むので、外装カバーの製造コストの低廉化を図ることができる。
【0013】
また、カバー係止部と第2カバーとはフックの他、リブによる接触で係合して第2カバーを固定するため、カバー係止部の表面と第2カバーの裏面との嵌合性が良好になる。
ここで、本発明によれば、リブが第1面外装部とは反対側に配置されており、フックやリブが第2カバーの回動軸線に沿って並んで配置されていない。
【0014】
具体的には、フックのうち第1面外装部側であってリブ寄りのフック端点、リブのうち第1面外装部側であってフック寄りのリブ端点を規定し、フック端点からリブ端点までを直接に結んだ長さをZ、フック端点からリブ端点までを上述した回転軸線に直交する方向でみた長さをXとしたとき、sinθ=X/Z>0.2を満たすように配置されている。
【0015】
このように、フックやリブの配置の最適化を図れば、第2カバーが第1カバーから離れる際には、まず、第2カバーがフックを乗り越え、第3カバーとの干渉が回避される。詳しくは、リブが第2カバーに干渉し、第2カバーがリブを支点にして捩れたとしても、第2カバーと第3カバーとの干渉は既に回避されており、2箇所の同時干渉によるロック状態には至らない。よって、外装カバーの操作性の向上も達成できる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明の構成において、第2カバーは、第2面を外装する第2面外装部と、この第2面外装部から略直交方向に延びて裏面を有し、この裏面がカバー係止部の表面に乗り上げて係止される第2面連結部とをそれぞれ備えており、第2面連結部の表面は、第1面外装部の表面と略面一に構成されることを特徴とする。
【0017】
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、第2カバーの第2面連結部の表面と第1カバーの第1面外装部の表面とが略面一に構成されており、この第1カバーの位置する面は、突出物の無い小さいスペースで構成でき、装置本体を容易に設置可能になる。
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、カバー係止部の表面には、フックとリブとの間に、裏面に係合する他のフックが形成されていることを特徴とする。
【0018】
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、リブ及び複数のフックでカバー係止部と第2カバーとを係合すれば、カバー係止部の表面と第2カバーの裏面との嵌合性がより一層向上する。
第4の発明は、第1から第3の外装カバーを備えた画像形成装置であることを特徴とする。
【0019】
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、この外装カバーによって画像形成装置の製造コストの低廉化に寄与するし、また、使い勝手の良い画像形成装置を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フックやリブの配置の的確化が図られており、その製造コストの低廉化や操作性の向上等を達成できる外装カバー及びこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施例の複合機の外観斜視図である。
【図2】図1の複合機の外観斜視図である。
【図3】コントローラを含めた図1の複合機の概略構成図である。
【図4】図1の前カバー及び左カバーの斜視図である。
【図5】図4の前カバーの斜視図である。
【図6】図4の左カバーの斜視図である。
【図7】図4の左カバーの拡大図である。
【図8】図1の前カバーと左カバーとの係合状態の説明図であり、(a)は正面図、(b)はB−B線矢視断面図である。
【図9】図4の左カバーのフック及びガイドリブの配置説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、画像形成装置の一例である複合機1が左前上方から示されており、ユーザに相対する複合機1の前面(第2面)22と、この複合機1の左側面(第1面)21とがみえている。この複合機1は胴内排紙型の装置本体2を備え、この装置本体2の中央部分には排紙トレイ18が形成されている。
【0023】
装置本体2の上側には原稿押さえ8が搭載されており、この原稿押さえ8で押さえつけた原稿の画像面は光学式のスキャナ部9にて光学的に読み取られる(図2)。なお、この原稿押さえ8に替えて原稿送り装置を搭載することもでき、複合機1を複写機やファクシミリ、ネットワークスキャナとして利用するときには、この原稿送り装置から原稿を搬送し、その画像面がスキャナ部9で読み取られる。
【0024】
排紙トレイ18の手前側には操作パネル25が設置されている。この操作パネル25には、ユーザの各種操作に供される複数の操作キーやスイッチが配置され、各種情報を表示する操作画面26が設けられている。この操作内容は図3のコントローラ16に通知される。
一方、装置本体2の下部にはフロントローディング式の用紙供給装置3が配置されている(図1)。
【0025】
詳しくは、装置本体2の高さ方向に沿って上下2段の給紙カセット4が備えられ、図1に示されるように、給紙カセット4は前面22側を先頭にして装置本体2の手前側に向けて引き出し可能に構成されている。給紙カセット4には画像形成前の各種の用紙が積層状態で収容され、用紙は給紙カセット4から左側面21の方向に送出され、左側面21に沿って上方向に搬送される。なお、この左側面21には開閉する手差しトレイ5も備えられている。
【0026】
図3に示されるように、複合機1の内部には、用紙搬送方向でみてレジストローラ7、画像形成部10及び転写部11の順に配置されている。露光部14からは画像形成部10の感光体ドラム15に向けてレーザ光が照射される。
また、同じく用紙搬送方向でみて転写部11の下流側には、ローラ対を有した定着部12及び排出ローラ13の順に配置され、定着部12から送出された用紙は排出ローラ13を用いて排紙トレイ18に排出される。
【0027】
再び図1に戻り、装置本体2の左側面21には門型の左中央カバー31が設置されている。この左中央カバー31は、装置本体2に対して下端を支点として回動可能に構成され、上述のレジストローラ7から定着部12までの用紙搬送路を覆う。そして、この用紙搬送路で紙詰まり等が生じた場合には、左中央カバー31を回動させて用紙搬送路を開放し(図2)、ジャム処理を行う。
【0028】
また、この左側面21に沿って上方向に延びた用紙搬送路は、装置本体2の前面22からも固定カバー(第3カバー)63で覆われている。詳しくは、図1,2に示されるように、この用紙搬送路のうち、給紙カセット4の左側には下側固定カバー63dが、定着部12近傍には上側固定カバー63uがそれぞれ設けられる。
【0029】
上側固定カバー63uは、操作パネル25からスキャナ部9の下側まで達する広い面を有した皿型にて構成されており、左側面21に向かう所定の深さを有する。また、下側固定カバー63dは、給紙カセット4の高さに相当する面を有したキャップ型で構成され、同じく左側面21に向かう所定の深さを有している。
【0030】
これら上側や下側の各固定カバー63u,63dは、その開口側が前面22の他、図1,2でみて左手前のコーナー付近に配置された左カバー(第1カバー)41に支持され、装置本体2に固定されている。
さらに、この前面22には前カバー(第2カバー)52も設置され、装置本体2に対して回動軸部58を支点として回動することができるが(図2)、上述した固定カバー63は前カバー52の回動軸線に沿う移動を規制している(図1,4)。
【0031】
より詳しくは、前カバー52の回動軸線でみると、上側固定カバー63uは前カバー52の上側に、下側固定カバー63dは前カバー52の下側にそれぞれ配置され、上側固定カバー63uの下端と下側固定カバー63dの上端との間には、前カバー52の高さに略等しい大きさの空間が形成されている(図2)。つまり、前カバー52に対して例えば上方向に持ち上げられる力が作用しても、前カバー52は、上側固定カバー63uの下端に接触するため、回動軸線に沿う上方向には移動できない。
【0032】
ここで、この前カバー52が装置本体2に対して回動し、図1の姿勢から図2の姿勢になって装置本体2内を開放すると、感光体ドラム15にトナーを供給するトナーコンテナ6等にアクセス可能になる。
一方、図2の姿勢から図1の姿勢になって前カバー52を閉じると、この前カバー52は前面22の他、左側面21の一部分も覆うことができる。
【0033】
具体的には、前カバー52は略L字状に形成されており、図1,4に示されるように、上述の回動軸部58の他、前面外装部(第2面外装部)53、及び左面連結部(第2面連結部)54を備えている。前面外装部53は、この図1,4の前カバー52の閉じ姿勢にて、前面22を外装する平板状に形成される。
左面連結部54は、前面外装部53の左端に略直交方向に交差し、同じく前カバー52の閉じ姿勢で云えば、複合機1の背面側に向けて延びて左側面21を外装する平板状に形成されており、上記図1,2でみた左手前のコーナーの前面22側及び左側面21側の双方を覆うことができる。
【0034】
前カバー52を装置本体2の内部からみた図5に示されるように、左面連結部54の裏面の端部には上側ラッチ55及び下側ラッチ56が形成される。各ラッチ55,56は前面外装部53の右端(図5でみて左方向に位置し、上述の回動軸部58に連なる箇所)に向けて膨出している。なお、この図5でみた下側ラッチ56の手前側の端には、ユーザの指先に触れられる取手57が形成される。
【0035】
ここで、前カバー52は装置本体2に対して回動可能であるが、左カバー41は装置本体2に固定されている。本実施例の左カバー41は、左側面21の一部分、詳しくは、左側面21のうち、上記図1,2の左手前のコーナーよりも複合機1の背面側付近を覆う略平板状に形成され、図6,7に示される如く、左面外装部(第1面外装部)42、及びカバー係止部44を備える。
【0036】
左面外装部42は前カバー52の回転軸線に沿う上下に長い面を有し、その長手方向の中央やや下側には装置本体2内に向けて窪んだ凹部43が形成されている。
カバー係止部44は、左面外装部42の右端(複合機1の前側に相当する)に連なるが、この左面外装部42の右端から装置本体2内に向けて段落ちして形成される。換言すれば、カバー係止部44の表面と左面外装部42の表面とは面一ではなく、カバー係止部44の表面は左面外装部42の表面よりも装置本体2の内部側に位置する。
【0037】
このカバー係止部44の表面には、上側フック(他のフック)45、下側フック(フック)46、及びガイドリブ(リブ)47が立設される(図6,7)。
上側フック45は凹部43の右斜め上方に配置され、左面外装部42の長手方向(前カバー52の回動軸線方向と同じ)に延びた正面視四角形状に形成されており、カバー係止部44の表面から装置本体2の外部に向けて膨出している。
【0038】
下側フック46は、凹部43の直ぐ右側に配置され、上側フック45の下方に位置する。そして、この上側フック45と同様に、上記左面外装部42の長手方向に延びた正面視四角形状に形成されており、カバー係止部44の表面から装置本体2の外部に向けて膨出する。
また、これら上側フック45及び下側フック46はほぼ同一直線上に配置され、本実施例の下側フック46は、ガイドリブ47よりも前カバー52の回動軸線に沿って下側(一端側)に形成されている。
【0039】
一方、ガイドリブ47は、上側フック45を挟んで下側フック46の反対側、つまり、下側フック46よりも前カバー52の回動軸線に沿う上側(他端側)に位置する。
本実施例のガイドリブ47は、上側フック45及び下側フック46を結んだ直線上よりも複合機1の前側に位置し(図6,7)、左面外装部42から最も離れており、装置本体2の上方に向けて凸をなすように湾曲した円弧形状に形成され、カバー係止部44の表面から装置本体2の外部に向けて膨出している。
【0040】
そして、前カバー52の左面連結部54と左カバー41のカバー係止部44とは重なり合って係合する。
具体的には、図4に示された前カバー52の閉じ姿勢では、その左面連結部54が上側固定カバー63uと下側固定カバー63dとの間に納まり(図8(a))、この左面連結部54の裏面はカバー係止部44の表面に乗り上げている。
【0041】
この状態では、上側ラッチ55と上側フック45が、下側ラッチ56と下側フック46がそれぞれ接触し、同時に、左面連結部54の裏面とガイドリブ47の先端が接触している(図8(b))。これにより、前カバー52は左カバー41に強固に係止される。
また、この状態では、この前カバー52の左面連結部54の表面と左カバー41の左面外装部42の表面とは面一になっている。
【0042】
上述した複合機1では、給紙カセット4や手差しトレイ5から用紙が1枚ずつ分離して送出され、この用紙はレジストローラ7に到達する。このレジストローラ7は、用紙の斜め送りを矯正しつつ、画像形成部10で形成されるトナー画像とのタイミングを計りながら、用紙を転写部11に送出する。
一方、図3の入力ポート17は、印刷の元になる画像データが外部から受信可能に構成されている。この画像データは、文字や符号、図形、記号、線図、模様等の各種の画像がデータ化されたものである。そして、このデータに基づき、コントローラ16ではレーザ光の照射などを制御する。
【0043】
これにより、画像形成部10の感光体ドラム15上に原稿画像の静電潜像が作られ、続いてこの潜像から感光体ドラム15上にトナー画像が形成され、用紙に転写される。
その後、用紙は未定着トナー画像を担持した状態で定着部12に向けて送られ、トナー画像を定着する。次いで、定着部12から送出された用紙は排出ローラ13で排紙トレイ18に排出される。
【0044】
以上のように、本実施例によれば、複合機1の装置本体2の内部は外装カバーで覆われており、この外装カバーは略平板状の左カバー41及び略L字状の前カバー52を備えている。この前カバー52は、その回動軸線を中心に回動して装置本体2の内部を開放することができるが、この回動軸線に沿う移動は固定カバー63で規制される。
【0045】
左カバー41のカバー係止部44の表面には、上側フック45や湾曲したガイドリブ47が形成されている。具体的には、上側フック45とガイドリブ47とは回転軸線方向に互いに離間して配置され、前カバー52の左面連結部54の裏面に重なってこの前カバー52を係止することができる。これにより、従来の如く前カバー52の固定にマグネットやバネなどの部品を使用せず、少ない部品点数で済むので、外装カバーの製造コストの低廉化を図ることができる。
【0046】
また、カバー係止部44と左面連結部54とは上側フック45の他、ガイドリブ47による接触で係合して前カバー52を固定するため、カバー係止部44の表面と左面連結部54の裏面との嵌合性が良好になる。
ここで、本実施例では、ガイドリブ47が左面外装部42とは反対側(複合機1の前側)に配置されており、下側フック46やガイドリブ47が前カバー52の回動軸線に沿って同一直線上には並んで配置されていない。
【0047】
具体的には、図9を用いて詳述すると、まず、正面視四角形状の下側フック46のうち左面外装部42側(複合機1の奥側)であってガイドリブ47寄りのフック端点F、円弧形状のガイドリブ47のうち左面外装部42側(複合機1の奥側)であって下側フック46寄りのリブ端点Rをそれぞれ規定する。
そして、フック端点Fからリブ端点Rまでを直接に結んだ長さをZ、フック端点Fからリブ端点Rまでを上述の回転軸線に直交する方向でみた長さをXとしたとき、sinθ=X/Z>0.2を満たすように配置されている。なお、図9のYは、フック端点Fからリブ端点Rまでを回転軸線に沿う方向でみた長さである。
【0048】
換言すれば、図9のフック端点F、リブ端点R、及びこのリブ端点Rから前カバー52の回転軸線方向への垂線の足Hで構成される直角三角形を想定すると、直線RFと直線HFとのなす角をθとしたとき、長さZの直線RFと長さXの直線RHとは、sinθ=X/Z>0.2を満たしている。この直線RFと直線HFとのなす角θは約12°より大きくなる。
【0049】
このように、下側フック46やガイドリブ47の配置の最適化を図れば、前カバー52が左カバー41から離れる際には、まず、左面連結部54が下側フック46を乗り越え、固定カバー63との干渉が回避される。
より詳しくは、仮に、直線RFと直線HFとのなす角θを上記の式を満たさない値に設定すると、ユーザが前カバー52を開けるために図8(a)でみて例えば取手57の下側部分に力を加えた場合には、ガイドリブ47が左面連結部54に干渉すると同時に、この左面連結部54がガイドリブ47を支点にして図8(a)の反時計回りに捩れることから、上側固定カバー63uの下端が前カバー52の折れ曲がり部分に干渉し、前カバー52がこれら2箇所の干渉によってロックされた状態になって回動できなくなる。
【0050】
これに対し、直線RFと直線HFとのなす角θを上記の式を満たすように設定すれば、ガイドリブ47が左面連結部54に干渉し、この左面連結部54がガイドリブ47を支点にして図8(a)の反時計回りに捩れたとしても、この捩れの生じる時点では、左面連結部54が下側フック46を既に乗り越えているため、前カバー52の折れ曲がり部分と上側固定カバー63uの下端との干渉が解消されており、2箇所の同時干渉によるロック状態には至らない。よって、外装カバーの操作性の向上も達成できる。
【0051】
また、左面連結部54の表面と左面外装部42の表面とが略面一に構成されており、この左カバー41の位置する左側面21は、突出物の無い小さいスペースで構成でき、装置本体2を容易に設置可能になる。
さらに、ガイドリブ47及び上側や下側フック45,46でカバー係止部44と左面連結部54とを係合すれば、カバー係止部44の表面と左面連結部54の裏面との嵌合性がより一層向上する。
【0052】
さらにまた、左カバー41や前カバー52の構成は複合機1の製造コストの低廉化に寄与するし、また、使い勝手の良い複合機1をユーザに提供できる。
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
上記実施例では装置本体2の左側面21及び前面22を覆う外装カバーについて説明しているが、必ずしもこの形態に限定されるものではない。つまり、重なり合うカバーによって装置本体2のコーナー周辺を覆うことができる限り、本発明は、例えば前面22と装置本体2の右側面や、左側面21と装置本体2の背面のように、交差する種々の面にも適用できる。
【0053】
また、上記実施例では画像形成装置として複合機に具現化した例を示しているものの、本発明は複写機、プリンタ等にも当然に適用可能である。
さらに、上記実施例の外装カバーは複合機1の装置本体2内を覆う構成として説明されている。しかし、本発明の外装カバーは、一例を挙げれば、枚葉の用紙を積層状態で収容する用紙供給装置の装置本体内や、画像形成後の用紙にステープル等の後処理を行う後処理装置等の装置本体内を覆っても良い。
【0054】
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、重なり合うカバー同士の連結において、その製造コストの低廉化や操作性の向上等を達成できるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0055】
1 複合機(画像形成装置)
2 装置本体
21 左側面(第1面)
22 前面(第2面)
41 左カバー(第1カバー、外装カバー)
42 左面外装部(第1面外装部)
44 カバー係止部
45 上側フック(他のフック)
46 下側フック(フック)
47 ガイドリブ(リブ)
52 前カバー(第2カバー、外装カバー)
53 前面外装部(第2面外装部)
54 左面連結部(第2面連結部)
63 固定カバー(第3カバー、外装カバー)
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体を覆う外装カバー及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置本体の内部には各種の機器が搭載されており、これら機器を保護すべく装置本体は外装カバーで覆われている。一方、機器のメンテナンスや交換等のためには、装置本体の内部を外部に対して開放する必要がある。そのため、装置本体を開放可能な外装カバーの技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−47772号公報
【特許文献2】特開2009−198708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の技術では、製造コストが増加するという問題がある。詳しくは、特許文献1の技術ではマグネット等を用いて装置本体と外装カバーとを吸着させており、また、特許文献2の技術では、フックに係合するラッチはバネで移動可能に構成され、装置本体や外装カバーに要する部品点数が多くなるからである。
【0005】
ところで、外装カバーを分割した構造がある。具体的には、外装カバーを板状の第1カバー、回動する略L字状の第2カバー、この第2カバーの折れ曲がり位置に固定された第3カバーに分割し、第1カバーが第1面を、第2カバーが第1面の一部やこの第1面に略直交する第2面を、第3カバーが第1面及び第2面の双方をそれぞれ覆い、第1カバーと第2カバーとを部分的に重ね合わせて装置本体を覆う構造がある。当該構造の場合にマグネットやバネ等を用いることも外装カバーの製造コストの観点から好ましくない。
【0006】
このため、これらカバー同士の連結の場合には、フックやリブを用いて連結することが考えられる。より詳しくは、例えば第1カバーには、第1面を外装する第1面外装部の他、第2カバーの一部の裏面に重なるカバー係止部を設け、このカバー係止部の表面に、第2カバーを係止するフックやリブを設置するのである。
【0007】
しかしながら、このリブをカバー係止部の表面に単に設置すると、第2カバーが装置本体内を開放できなくなるという新たな問題が生ずる。
より詳しくは、仮にフック及びリブをいずれも第1面外装部寄りにて回動軸線に沿って並んで配置させると、第2カバーが第1カバーから離れる際に、リブが第2カバーに干渉すると同時に、このリブを支点にしてこの第2カバーが捩れることから、リブ近傍側の第3カバーが第2カバーの略L字状部分に干渉し、第2カバーがこれら2箇所の干渉によってロックされた状態になって回動できなくなるからである。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、重なり合うカバー同士の連結において、その製造コストの低廉化や操作性の向上等を達成できる外装カバー及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1の発明は、装置本体の第1面を覆う略平板状の第1カバー、及び装置本体に対して回動自在に支持されるとともに、第1面やこの第1面に対して略直交方向に連なった第2面を覆う略L字状の第2カバー、並びにこの第2カバーの折れ曲がり位置に隣接して配置され、第2カバーの回動軸線に沿う移動を規制可能な第3カバーをそれぞれ具備した外装カバーに適用される。
【0010】
そして、第1カバーは、第1面を外装する第1面外装部と、その表面が第2カバーの一部分の裏面に重なってこの第2カバーを係止するカバー係止部とをそれぞれ備え、上記表面のうち、回転軸線に沿う一端側には上記裏面に係合するフックが形成される一方、その他端側には上記裏面に係合する湾曲したリブが形成されており、このフックのうち第1面外装部側であってリブ寄りのフック端点からリブのうち第1面外装部側であってフック寄りのリブ端点までを直接に結んだ長さをZ、これらフック端点からリブ端点までを上述した回転軸線に直交する方向でみた長さをXとしたとき、sinθ=X/Z>0.2を満たす。
【0011】
第1の発明によれば、装置本体の内部は外装カバーで覆われており、この外装カバーは略平板状の第1カバー及び略L字状の第2カバーを備えている。この第2カバーは、その回動軸線を中心に回動して装置本体の内部を開放することができるが、この回動軸線に沿う移動は第3カバーで規制される。
第1カバーのカバー係止部の表面には、フックや湾曲したリブが形成されている。
【0012】
具体的には、フックは上記回転軸線に沿う一端側に、リブはこの回転軸線に沿う他端側に互いに離間して配置され、第2カバーの裏面に重なってこの第2カバーを係止することができる。これにより、従来の如く第2カバーの固定にマグネットやバネなどの部品を使用せず、少ない部品点数で済むので、外装カバーの製造コストの低廉化を図ることができる。
【0013】
また、カバー係止部と第2カバーとはフックの他、リブによる接触で係合して第2カバーを固定するため、カバー係止部の表面と第2カバーの裏面との嵌合性が良好になる。
ここで、本発明によれば、リブが第1面外装部とは反対側に配置されており、フックやリブが第2カバーの回動軸線に沿って並んで配置されていない。
【0014】
具体的には、フックのうち第1面外装部側であってリブ寄りのフック端点、リブのうち第1面外装部側であってフック寄りのリブ端点を規定し、フック端点からリブ端点までを直接に結んだ長さをZ、フック端点からリブ端点までを上述した回転軸線に直交する方向でみた長さをXとしたとき、sinθ=X/Z>0.2を満たすように配置されている。
【0015】
このように、フックやリブの配置の最適化を図れば、第2カバーが第1カバーから離れる際には、まず、第2カバーがフックを乗り越え、第3カバーとの干渉が回避される。詳しくは、リブが第2カバーに干渉し、第2カバーがリブを支点にして捩れたとしても、第2カバーと第3カバーとの干渉は既に回避されており、2箇所の同時干渉によるロック状態には至らない。よって、外装カバーの操作性の向上も達成できる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明の構成において、第2カバーは、第2面を外装する第2面外装部と、この第2面外装部から略直交方向に延びて裏面を有し、この裏面がカバー係止部の表面に乗り上げて係止される第2面連結部とをそれぞれ備えており、第2面連結部の表面は、第1面外装部の表面と略面一に構成されることを特徴とする。
【0017】
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、第2カバーの第2面連結部の表面と第1カバーの第1面外装部の表面とが略面一に構成されており、この第1カバーの位置する面は、突出物の無い小さいスペースで構成でき、装置本体を容易に設置可能になる。
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、カバー係止部の表面には、フックとリブとの間に、裏面に係合する他のフックが形成されていることを特徴とする。
【0018】
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、リブ及び複数のフックでカバー係止部と第2カバーとを係合すれば、カバー係止部の表面と第2カバーの裏面との嵌合性がより一層向上する。
第4の発明は、第1から第3の外装カバーを備えた画像形成装置であることを特徴とする。
【0019】
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、この外装カバーによって画像形成装置の製造コストの低廉化に寄与するし、また、使い勝手の良い画像形成装置を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フックやリブの配置の的確化が図られており、その製造コストの低廉化や操作性の向上等を達成できる外装カバー及びこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施例の複合機の外観斜視図である。
【図2】図1の複合機の外観斜視図である。
【図3】コントローラを含めた図1の複合機の概略構成図である。
【図4】図1の前カバー及び左カバーの斜視図である。
【図5】図4の前カバーの斜視図である。
【図6】図4の左カバーの斜視図である。
【図7】図4の左カバーの拡大図である。
【図8】図1の前カバーと左カバーとの係合状態の説明図であり、(a)は正面図、(b)はB−B線矢視断面図である。
【図9】図4の左カバーのフック及びガイドリブの配置説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、画像形成装置の一例である複合機1が左前上方から示されており、ユーザに相対する複合機1の前面(第2面)22と、この複合機1の左側面(第1面)21とがみえている。この複合機1は胴内排紙型の装置本体2を備え、この装置本体2の中央部分には排紙トレイ18が形成されている。
【0023】
装置本体2の上側には原稿押さえ8が搭載されており、この原稿押さえ8で押さえつけた原稿の画像面は光学式のスキャナ部9にて光学的に読み取られる(図2)。なお、この原稿押さえ8に替えて原稿送り装置を搭載することもでき、複合機1を複写機やファクシミリ、ネットワークスキャナとして利用するときには、この原稿送り装置から原稿を搬送し、その画像面がスキャナ部9で読み取られる。
【0024】
排紙トレイ18の手前側には操作パネル25が設置されている。この操作パネル25には、ユーザの各種操作に供される複数の操作キーやスイッチが配置され、各種情報を表示する操作画面26が設けられている。この操作内容は図3のコントローラ16に通知される。
一方、装置本体2の下部にはフロントローディング式の用紙供給装置3が配置されている(図1)。
【0025】
詳しくは、装置本体2の高さ方向に沿って上下2段の給紙カセット4が備えられ、図1に示されるように、給紙カセット4は前面22側を先頭にして装置本体2の手前側に向けて引き出し可能に構成されている。給紙カセット4には画像形成前の各種の用紙が積層状態で収容され、用紙は給紙カセット4から左側面21の方向に送出され、左側面21に沿って上方向に搬送される。なお、この左側面21には開閉する手差しトレイ5も備えられている。
【0026】
図3に示されるように、複合機1の内部には、用紙搬送方向でみてレジストローラ7、画像形成部10及び転写部11の順に配置されている。露光部14からは画像形成部10の感光体ドラム15に向けてレーザ光が照射される。
また、同じく用紙搬送方向でみて転写部11の下流側には、ローラ対を有した定着部12及び排出ローラ13の順に配置され、定着部12から送出された用紙は排出ローラ13を用いて排紙トレイ18に排出される。
【0027】
再び図1に戻り、装置本体2の左側面21には門型の左中央カバー31が設置されている。この左中央カバー31は、装置本体2に対して下端を支点として回動可能に構成され、上述のレジストローラ7から定着部12までの用紙搬送路を覆う。そして、この用紙搬送路で紙詰まり等が生じた場合には、左中央カバー31を回動させて用紙搬送路を開放し(図2)、ジャム処理を行う。
【0028】
また、この左側面21に沿って上方向に延びた用紙搬送路は、装置本体2の前面22からも固定カバー(第3カバー)63で覆われている。詳しくは、図1,2に示されるように、この用紙搬送路のうち、給紙カセット4の左側には下側固定カバー63dが、定着部12近傍には上側固定カバー63uがそれぞれ設けられる。
【0029】
上側固定カバー63uは、操作パネル25からスキャナ部9の下側まで達する広い面を有した皿型にて構成されており、左側面21に向かう所定の深さを有する。また、下側固定カバー63dは、給紙カセット4の高さに相当する面を有したキャップ型で構成され、同じく左側面21に向かう所定の深さを有している。
【0030】
これら上側や下側の各固定カバー63u,63dは、その開口側が前面22の他、図1,2でみて左手前のコーナー付近に配置された左カバー(第1カバー)41に支持され、装置本体2に固定されている。
さらに、この前面22には前カバー(第2カバー)52も設置され、装置本体2に対して回動軸部58を支点として回動することができるが(図2)、上述した固定カバー63は前カバー52の回動軸線に沿う移動を規制している(図1,4)。
【0031】
より詳しくは、前カバー52の回動軸線でみると、上側固定カバー63uは前カバー52の上側に、下側固定カバー63dは前カバー52の下側にそれぞれ配置され、上側固定カバー63uの下端と下側固定カバー63dの上端との間には、前カバー52の高さに略等しい大きさの空間が形成されている(図2)。つまり、前カバー52に対して例えば上方向に持ち上げられる力が作用しても、前カバー52は、上側固定カバー63uの下端に接触するため、回動軸線に沿う上方向には移動できない。
【0032】
ここで、この前カバー52が装置本体2に対して回動し、図1の姿勢から図2の姿勢になって装置本体2内を開放すると、感光体ドラム15にトナーを供給するトナーコンテナ6等にアクセス可能になる。
一方、図2の姿勢から図1の姿勢になって前カバー52を閉じると、この前カバー52は前面22の他、左側面21の一部分も覆うことができる。
【0033】
具体的には、前カバー52は略L字状に形成されており、図1,4に示されるように、上述の回動軸部58の他、前面外装部(第2面外装部)53、及び左面連結部(第2面連結部)54を備えている。前面外装部53は、この図1,4の前カバー52の閉じ姿勢にて、前面22を外装する平板状に形成される。
左面連結部54は、前面外装部53の左端に略直交方向に交差し、同じく前カバー52の閉じ姿勢で云えば、複合機1の背面側に向けて延びて左側面21を外装する平板状に形成されており、上記図1,2でみた左手前のコーナーの前面22側及び左側面21側の双方を覆うことができる。
【0034】
前カバー52を装置本体2の内部からみた図5に示されるように、左面連結部54の裏面の端部には上側ラッチ55及び下側ラッチ56が形成される。各ラッチ55,56は前面外装部53の右端(図5でみて左方向に位置し、上述の回動軸部58に連なる箇所)に向けて膨出している。なお、この図5でみた下側ラッチ56の手前側の端には、ユーザの指先に触れられる取手57が形成される。
【0035】
ここで、前カバー52は装置本体2に対して回動可能であるが、左カバー41は装置本体2に固定されている。本実施例の左カバー41は、左側面21の一部分、詳しくは、左側面21のうち、上記図1,2の左手前のコーナーよりも複合機1の背面側付近を覆う略平板状に形成され、図6,7に示される如く、左面外装部(第1面外装部)42、及びカバー係止部44を備える。
【0036】
左面外装部42は前カバー52の回転軸線に沿う上下に長い面を有し、その長手方向の中央やや下側には装置本体2内に向けて窪んだ凹部43が形成されている。
カバー係止部44は、左面外装部42の右端(複合機1の前側に相当する)に連なるが、この左面外装部42の右端から装置本体2内に向けて段落ちして形成される。換言すれば、カバー係止部44の表面と左面外装部42の表面とは面一ではなく、カバー係止部44の表面は左面外装部42の表面よりも装置本体2の内部側に位置する。
【0037】
このカバー係止部44の表面には、上側フック(他のフック)45、下側フック(フック)46、及びガイドリブ(リブ)47が立設される(図6,7)。
上側フック45は凹部43の右斜め上方に配置され、左面外装部42の長手方向(前カバー52の回動軸線方向と同じ)に延びた正面視四角形状に形成されており、カバー係止部44の表面から装置本体2の外部に向けて膨出している。
【0038】
下側フック46は、凹部43の直ぐ右側に配置され、上側フック45の下方に位置する。そして、この上側フック45と同様に、上記左面外装部42の長手方向に延びた正面視四角形状に形成されており、カバー係止部44の表面から装置本体2の外部に向けて膨出する。
また、これら上側フック45及び下側フック46はほぼ同一直線上に配置され、本実施例の下側フック46は、ガイドリブ47よりも前カバー52の回動軸線に沿って下側(一端側)に形成されている。
【0039】
一方、ガイドリブ47は、上側フック45を挟んで下側フック46の反対側、つまり、下側フック46よりも前カバー52の回動軸線に沿う上側(他端側)に位置する。
本実施例のガイドリブ47は、上側フック45及び下側フック46を結んだ直線上よりも複合機1の前側に位置し(図6,7)、左面外装部42から最も離れており、装置本体2の上方に向けて凸をなすように湾曲した円弧形状に形成され、カバー係止部44の表面から装置本体2の外部に向けて膨出している。
【0040】
そして、前カバー52の左面連結部54と左カバー41のカバー係止部44とは重なり合って係合する。
具体的には、図4に示された前カバー52の閉じ姿勢では、その左面連結部54が上側固定カバー63uと下側固定カバー63dとの間に納まり(図8(a))、この左面連結部54の裏面はカバー係止部44の表面に乗り上げている。
【0041】
この状態では、上側ラッチ55と上側フック45が、下側ラッチ56と下側フック46がそれぞれ接触し、同時に、左面連結部54の裏面とガイドリブ47の先端が接触している(図8(b))。これにより、前カバー52は左カバー41に強固に係止される。
また、この状態では、この前カバー52の左面連結部54の表面と左カバー41の左面外装部42の表面とは面一になっている。
【0042】
上述した複合機1では、給紙カセット4や手差しトレイ5から用紙が1枚ずつ分離して送出され、この用紙はレジストローラ7に到達する。このレジストローラ7は、用紙の斜め送りを矯正しつつ、画像形成部10で形成されるトナー画像とのタイミングを計りながら、用紙を転写部11に送出する。
一方、図3の入力ポート17は、印刷の元になる画像データが外部から受信可能に構成されている。この画像データは、文字や符号、図形、記号、線図、模様等の各種の画像がデータ化されたものである。そして、このデータに基づき、コントローラ16ではレーザ光の照射などを制御する。
【0043】
これにより、画像形成部10の感光体ドラム15上に原稿画像の静電潜像が作られ、続いてこの潜像から感光体ドラム15上にトナー画像が形成され、用紙に転写される。
その後、用紙は未定着トナー画像を担持した状態で定着部12に向けて送られ、トナー画像を定着する。次いで、定着部12から送出された用紙は排出ローラ13で排紙トレイ18に排出される。
【0044】
以上のように、本実施例によれば、複合機1の装置本体2の内部は外装カバーで覆われており、この外装カバーは略平板状の左カバー41及び略L字状の前カバー52を備えている。この前カバー52は、その回動軸線を中心に回動して装置本体2の内部を開放することができるが、この回動軸線に沿う移動は固定カバー63で規制される。
【0045】
左カバー41のカバー係止部44の表面には、上側フック45や湾曲したガイドリブ47が形成されている。具体的には、上側フック45とガイドリブ47とは回転軸線方向に互いに離間して配置され、前カバー52の左面連結部54の裏面に重なってこの前カバー52を係止することができる。これにより、従来の如く前カバー52の固定にマグネットやバネなどの部品を使用せず、少ない部品点数で済むので、外装カバーの製造コストの低廉化を図ることができる。
【0046】
また、カバー係止部44と左面連結部54とは上側フック45の他、ガイドリブ47による接触で係合して前カバー52を固定するため、カバー係止部44の表面と左面連結部54の裏面との嵌合性が良好になる。
ここで、本実施例では、ガイドリブ47が左面外装部42とは反対側(複合機1の前側)に配置されており、下側フック46やガイドリブ47が前カバー52の回動軸線に沿って同一直線上には並んで配置されていない。
【0047】
具体的には、図9を用いて詳述すると、まず、正面視四角形状の下側フック46のうち左面外装部42側(複合機1の奥側)であってガイドリブ47寄りのフック端点F、円弧形状のガイドリブ47のうち左面外装部42側(複合機1の奥側)であって下側フック46寄りのリブ端点Rをそれぞれ規定する。
そして、フック端点Fからリブ端点Rまでを直接に結んだ長さをZ、フック端点Fからリブ端点Rまでを上述の回転軸線に直交する方向でみた長さをXとしたとき、sinθ=X/Z>0.2を満たすように配置されている。なお、図9のYは、フック端点Fからリブ端点Rまでを回転軸線に沿う方向でみた長さである。
【0048】
換言すれば、図9のフック端点F、リブ端点R、及びこのリブ端点Rから前カバー52の回転軸線方向への垂線の足Hで構成される直角三角形を想定すると、直線RFと直線HFとのなす角をθとしたとき、長さZの直線RFと長さXの直線RHとは、sinθ=X/Z>0.2を満たしている。この直線RFと直線HFとのなす角θは約12°より大きくなる。
【0049】
このように、下側フック46やガイドリブ47の配置の最適化を図れば、前カバー52が左カバー41から離れる際には、まず、左面連結部54が下側フック46を乗り越え、固定カバー63との干渉が回避される。
より詳しくは、仮に、直線RFと直線HFとのなす角θを上記の式を満たさない値に設定すると、ユーザが前カバー52を開けるために図8(a)でみて例えば取手57の下側部分に力を加えた場合には、ガイドリブ47が左面連結部54に干渉すると同時に、この左面連結部54がガイドリブ47を支点にして図8(a)の反時計回りに捩れることから、上側固定カバー63uの下端が前カバー52の折れ曲がり部分に干渉し、前カバー52がこれら2箇所の干渉によってロックされた状態になって回動できなくなる。
【0050】
これに対し、直線RFと直線HFとのなす角θを上記の式を満たすように設定すれば、ガイドリブ47が左面連結部54に干渉し、この左面連結部54がガイドリブ47を支点にして図8(a)の反時計回りに捩れたとしても、この捩れの生じる時点では、左面連結部54が下側フック46を既に乗り越えているため、前カバー52の折れ曲がり部分と上側固定カバー63uの下端との干渉が解消されており、2箇所の同時干渉によるロック状態には至らない。よって、外装カバーの操作性の向上も達成できる。
【0051】
また、左面連結部54の表面と左面外装部42の表面とが略面一に構成されており、この左カバー41の位置する左側面21は、突出物の無い小さいスペースで構成でき、装置本体2を容易に設置可能になる。
さらに、ガイドリブ47及び上側や下側フック45,46でカバー係止部44と左面連結部54とを係合すれば、カバー係止部44の表面と左面連結部54の裏面との嵌合性がより一層向上する。
【0052】
さらにまた、左カバー41や前カバー52の構成は複合機1の製造コストの低廉化に寄与するし、また、使い勝手の良い複合機1をユーザに提供できる。
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
上記実施例では装置本体2の左側面21及び前面22を覆う外装カバーについて説明しているが、必ずしもこの形態に限定されるものではない。つまり、重なり合うカバーによって装置本体2のコーナー周辺を覆うことができる限り、本発明は、例えば前面22と装置本体2の右側面や、左側面21と装置本体2の背面のように、交差する種々の面にも適用できる。
【0053】
また、上記実施例では画像形成装置として複合機に具現化した例を示しているものの、本発明は複写機、プリンタ等にも当然に適用可能である。
さらに、上記実施例の外装カバーは複合機1の装置本体2内を覆う構成として説明されている。しかし、本発明の外装カバーは、一例を挙げれば、枚葉の用紙を積層状態で収容する用紙供給装置の装置本体内や、画像形成後の用紙にステープル等の後処理を行う後処理装置等の装置本体内を覆っても良い。
【0054】
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、重なり合うカバー同士の連結において、その製造コストの低廉化や操作性の向上等を達成できるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0055】
1 複合機(画像形成装置)
2 装置本体
21 左側面(第1面)
22 前面(第2面)
41 左カバー(第1カバー、外装カバー)
42 左面外装部(第1面外装部)
44 カバー係止部
45 上側フック(他のフック)
46 下側フック(フック)
47 ガイドリブ(リブ)
52 前カバー(第2カバー、外装カバー)
53 前面外装部(第2面外装部)
54 左面連結部(第2面連結部)
63 固定カバー(第3カバー、外装カバー)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の第1面を覆う略平板状の第1カバー、及び前記装置本体に対して回動自在に支持されるとともに、前記第1面やこの第1面に対して略直交方向に連なった第2面を覆う略L字状の第2カバー、並びにこの第2カバーの折れ曲がり位置に隣接して配置され、当該第2カバーの回動軸線に沿う移動を規制可能な第3カバーをそれぞれ具備した外装カバーであって、
前記第1カバーは、前記第1面を外装する第1面外装部と、その表面が前記第2カバーの一部分の裏面に重なってこの第2カバーを係止するカバー係止部とをそれぞれ備え、前記表面のうち、前記回転軸線に沿う一端側には前記裏面に係合するフックが形成される一方、その他端側には前記裏面に係合する湾曲したリブが形成されており、
前記フックのうち前記第1面外装部側であって前記リブ寄りのフック端点から前記リブのうち前記第1面外装部側であって前記フック寄りのリブ端点までを直接に結んだ長さをZ、前記フック端点から前記リブ端点までを前記回転軸線に直交する方向でみた長さをXとしたとき、
sinθ=X/Z>0.2
を満たすことを特徴とする外装カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の外装カバーであって、
前記第2カバーは、前記第2面を外装する第2面外装部と、この第2面外装部から略直交方向に延びて前記裏面を有し、この裏面が前記カバー係止部の前記表面に乗り上げて係止される第2面連結部とをそれぞれ備えており、
前記第2面連結部の表面は、前記第1面外装部の表面と略面一に構成されることを特徴とする外装カバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の外装カバーであって、
前記カバー係止部の前記表面には、前記フックと前記リブとの間に、前記裏面に係合する他のフックが形成されていることを特徴とする外装カバー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の外装カバーを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
装置本体の第1面を覆う略平板状の第1カバー、及び前記装置本体に対して回動自在に支持されるとともに、前記第1面やこの第1面に対して略直交方向に連なった第2面を覆う略L字状の第2カバー、並びにこの第2カバーの折れ曲がり位置に隣接して配置され、当該第2カバーの回動軸線に沿う移動を規制可能な第3カバーをそれぞれ具備した外装カバーであって、
前記第1カバーは、前記第1面を外装する第1面外装部と、その表面が前記第2カバーの一部分の裏面に重なってこの第2カバーを係止するカバー係止部とをそれぞれ備え、前記表面のうち、前記回転軸線に沿う一端側には前記裏面に係合するフックが形成される一方、その他端側には前記裏面に係合する湾曲したリブが形成されており、
前記フックのうち前記第1面外装部側であって前記リブ寄りのフック端点から前記リブのうち前記第1面外装部側であって前記フック寄りのリブ端点までを直接に結んだ長さをZ、前記フック端点から前記リブ端点までを前記回転軸線に直交する方向でみた長さをXとしたとき、
sinθ=X/Z>0.2
を満たすことを特徴とする外装カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の外装カバーであって、
前記第2カバーは、前記第2面を外装する第2面外装部と、この第2面外装部から略直交方向に延びて前記裏面を有し、この裏面が前記カバー係止部の前記表面に乗り上げて係止される第2面連結部とをそれぞれ備えており、
前記第2面連結部の表面は、前記第1面外装部の表面と略面一に構成されることを特徴とする外装カバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の外装カバーであって、
前記カバー係止部の前記表面には、前記フックと前記リブとの間に、前記裏面に係合する他のフックが形成されていることを特徴とする外装カバー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の外装カバーを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−13856(P2012−13856A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149072(P2010−149072)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]