説明

外部リード線、ランプ用リード線、電極構造体、冷陰極放電ランプ、照明装置および画像表示装置

【課題】外部リード線の半田の濡れ性を確保しつつ、電極構造体や冷陰極放電ランプの製造工程において歩留りを向上することを目的とする。また、冷陰極放電ランプの組み込みを容易に行うことを目的とする。
【解決手段】鉄(Fe)を主成分とする芯線100aと、芯線100aを被覆する被覆部100bとを有する冷陰極放電ランプ用の外部リード線100であって、被覆部100bは、鉄よりもイオン化傾向が小さい金属元素のうちいずれか1種以上を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部リード線、ランプ用リード線、電極構造体、冷陰極放電ランプ、照明装置および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電極構造体の管軸を含む正面図を図13に示す。従来の電極構造体(以下、「電極構造体1」という)は、モリブデン、タングステンまたはコバールからなる封着用線材2と、この封着用線材2の一端側に底部側の外端面が溶接により接続され、封着用線材2より低融点の金属材料から形成された有底筒状のカップ状電極3とを具備しており、封着用線材2の一端側外周面が溶融した電極形成材料で被覆され、封着用線材2の他端側には外部リード線4が接続されている。そして、外部リード線4には、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、鉄とニッケルとの合金、ニッケルとマンガン(Mn)との合金、外表面に銅(Cu)を被覆したニッケル、外表面に銅を被覆した鉄とニッケルとの合金からなる線材が用いられている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−277150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外部リード線4がニッケル、鉄とニッケルとの合金、ニッケルとマンガンとの合金、外表面に銅を被覆したニッケル、または外表面に銅を被覆した鉄とニッケルとの合金である場合には、外部リード線4が屈曲しやすく、電極構造体や冷陰極放電ランプの製造工程において、歩留りを向上し難い。
【0005】
また、外部リード線4は、電力供給のための部材等と半田により接続されることが多いため、その表面の濡れ性のよさが要求される。しかしながら、外部リード線4が鉄である場合には、半田の濡れ性が極端に悪いため、電力供給のための部材等と容易に接続することが困難である。
【0006】
そこで、本発明に係る外部リード線、ランプ用リード線、電極構造体および冷陰極放電ランプは、外部リード線の半田の濡れ性を確保しつつ、電極構造体や冷陰極放電ランプの製造工程において歩留りを向上することを目的とする。
【0007】
また、本発明に係る照明装置および画像表示装置は、外部リード線の半田の濡れ性を確保した冷陰極放電ランプを用いることで、冷陰極放電ランプの組み込みを容易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る外部リード線は、鉄(Fe)を主成分とする芯線と、前記芯線を被覆する被覆部とを有する冷陰極放電ランプ用の外部リード線であって、前記被覆部は、鉄よりもイオン化傾向が小さい金属元素のうちいずれか1種以上を含むことを特徴とする。「鉄(Fe)を主成分とする」とは、鉄を99[wt%]以上含むことをいい、実質的に不純物等を除いて鉄であることをいう。
【0009】
また、本発明に係る外部リード線は、前記被覆部は、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、およびニッケル(Ni)のうちいずれか1種以上を含むことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る外部リード線は、炭素(C)、硫黄(S)、およびリン(P)の合計の含有量が0.001[wt%]以上0.2[wt%]以下の範囲内であることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る外部リード線は、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)およびアルミニウム(Al)の合計の含有量が0.001[wt%]以上3.0[wt%]以下の範囲内であることが好ましい。
【0012】
本発明に係る電極構造体は、前記ランプ用リード線における封着線の他端部に電極が接続されたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る冷陰極放電ランプは、前記電極構造体を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る照明装置は、前記冷陰極放電ランプを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る画像表示装置は、前記照明装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る外部リード線、ランプ用リード線、電極構造体および低圧放電ランプは、外部リード線の半田の濡れ性を確保しつつ、電極構造体や冷陰極放電ランプの製造工程において歩留りを向上することができる。
【0017】
また、本発明に係る照明装置および画像表示装置は、外部リード線の半田の濡れ性を確保した冷陰極放電ランプを用いることで、冷陰極放電ランプの組み込みを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る外部リード線の長手方向の中心軸を含む断面図
【図2】曲げ強度試験の概念図
【図3】濡れ性の概念図
【図4】(a)本発明の第1の実施形態に係る外部リード線の変形例の長手方向の中心軸を含む断面図、(b)図4(a)のA方向から見た正面図
【図5】本発明の第2の実施形態に係るランプ用リード線の長手方向の中心軸を含む断面図
【図6】同じくランプ用リード線の変形例の長手方向の中心軸を含む断面図
【図7】本発明の第3の実施形態に係る電極構造体の長手方向の中心軸を含む断面図
【図8】本発明の第4の実施形態に係る電極構造体の長手方向の中心軸を含む断面図
【図9】本発明の第5の実施形態に係る冷陰極放電ランプの管軸を含む断面図
【図10】本発明の第6の実施形態に係る照明装置の分解斜視図
【図11】本発明の第7の実施形態に係る照明装置の一部切欠き斜視図
【図12】本発明の第8の実施形態に係る画像表示装置の一部切欠き斜視図
【図13】従来の電極構造体の正面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るランプ用リード線の長手方向の中心軸X100を含む断面図を図1に示す。本発明の第1の実施形態に係る外部リード線(以下、「外部リード線100」)は、鉄(Fe)を主成分とする芯線100aと、芯線100aを被覆する被覆部100bとを有する冷陰極放電ランプ用の外部リード線である。
【0020】
芯線100aは、鉄を主成分とする。
【0021】
被覆部100bは、鉄よりもイオン化傾向が小さい金属元素のうちいずれか1種以上を含む。具体的には、被覆部100bは、例えばコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)および金(Au)のうちいずれか1種以上を含む。なお、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)および水銀(Hg)は、鉄よりもイオン化傾向が小さい金属元素であるが、環境負荷の観点より、被覆部100bに用いることが好ましくない。すなわち、鉄よりもイオン化傾向が小さい金属元素は、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)および水銀(Hg)を除くことが好ましい。被覆部100bに、鉄よりもイオン化傾向が小さい金属元素を用いることで、外部リード線100を用いてランプ用リード線や電極構造体や冷陰極放電ランプを製造する際、その工程中に、鉄に比べて被覆部100bの酸化を抑制することができる。
【0022】
被覆部100bは、芯線100aに対し、例えばメッキ処理を施すことにより形成されている。なお、被覆部100bの形成方法は、メッキ処理に限らず、例えば、芯線100aに対し、板状の部材を巻きつけて形成してもよいし、蒸着により形成してもよい。
【0023】
(実験1)
発明者らは、外部リード線100が従来の外部リード線に対して屈曲し難いことを確認するために、曲げ強度試験を行った。
【0024】
曲げ強度試験の概念図を図2に示す。図2に示すように、試験装置101は、実験試料102を固定する固定部103と、実験試料102を固定部103に固定した状態で、実験試料102の長手方向の中心軸に対して略垂直な軸を回転軸として回転可能な可動部104とで構成されている。
【0025】
固定部103は、実験試料102をその一端102aから10[mm]の位置において、その長手方向の中心軸が垂直方向に沿うように固定している。したがって、実験試料102を固定している部分が支点となる。
【0026】
可動部104は、その一端において、固定部から垂直方向の上方向に10[mm]の位置において実験試料102と接触しており、他端部側において、錘105を吊り下げられるようになっている。すなわち、実験試料102と可動部104の一端との接触点が作用点106となる。
【0027】
実験は、力点となる部分(支点から100[mm]の位置)において、10[g]の錘を吊るし、実験試料102の曲がった角度(すなわち、角度θ[°])を測定した(図2の破線は、実験試料102が曲がった場合の実験試料102および可動部104を示したものである。)。なお、試験装置101は、θが0[°]の状態においては、作用点において、実験試料102に負荷がかからないように、バランスがとられている。
【0028】
実験試料102として、芯線100aが鉄、被覆部100bがニッケル、線径が0.6[mm]、長手方向の長さが30[mm]のものを実施例1とした。また、被覆部100bが銅である点を除いて、実施例1と実質的に同じ構成のものを実施例2とした。さらに、被覆部を有さず、材料がマンガンとニッケルとの合金である点を除いて、実施例1と実質的に同じ構成のものを比較例1とした。また、芯線が鉄とニッケルとの合金、被覆部が銅である点を除いて、実施例1と実質的に同じ構成を有するものを比較例2とした。
【0029】
実験試料102は、加熱していないものと、約900[℃]の加熱炉で20[min]加熱したものとを各10[本]用意し、各実験試料において10[本]の測定値の平均値を求めた。なお、900[℃]の加熱炉で加熱したのは、外部リード線を電極構造体や冷陰極放電ランプに用いる場合、その製造工程において、ガラス等を溶着させるために加熱する必要があり、その際の温度が900[℃]程度まで上昇することを想定したものである。
【0030】
実験結果を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
表1に示すように、実施例は、加熱の前後において、曲がり難いことが確認された。
【0033】
これに対して、比較例1および2は、加熱の前後において、実施例1および2と比較して大幅に曲がりやすいことが確認された。これは、比較例1および2の主成分がニッケル、または鉄とニッケルとの合金であり、実施例1および2の主成分が鉄であるためである。
【0034】
よって、外部リード線100が従来の外部リード線に対して曲がり難いことが確認された。すなわち、外部リード線100が従来の外部リード線に対して曲がり難いことにより、電極構造体や冷陰極放電ランプの製造工程において、外部リード線が曲がって、工程不良が発生することを抑制することができ、歩留りを向上することができる。
【0035】
なお、実験においては、被覆部がニッケルまたは銅であったが、その他の材料であっても、鉄よりもイオン化傾向が小さい金属元素のうちいずれか1種以上であれば、同様の結果が想定される。
【0036】
(実験2)
発明者らは、外部リード線100が従来の外部リード線に対して、半田に濡れやすいことを確認するために、半田濡れ性を評価する実験を行った。実験試料は、被覆部の最小厚みが3[μm]である点を除いては、実験1の実施例1と実質的に同じものを用いて冷陰極放電ランプとしたものを実施例1−1とした。また、被覆部の最小厚みが5[μm]である点を除いては、実験1の実施例1と実質的に同じものを用いて冷陰極放電ランプとしたものを実施例1−2とした。さらに、被覆部の最小厚みが7[μm]である点を除いては、実験1の実施例1と実質的に同じものを用いて冷陰極放電ランプとしたものを実施例1−3とした。さらにまた、被覆部の最小厚みが15[μm]である点を除いては、実験1の実施例2と実質的に同じものを用いて冷陰極放電ランプとしたものを実施例2−1とした。一方、実験1の比較例1と実質的に同じものを用いて冷陰極放電ランプとしたものを比較例1−1とした。実験試料は、各10[本]準備した。各実験試料について、バーナによりランプ封止した外部リード線を含む封着部を濃度40[wt%]のりん酸で、エッチング処理をすることで外部リード線の表面の酸化皮膜の除去を行い、その後、株式会社レスカ製のソルダーチェッカー(SAT−5100)によって、半田濡れ性を測定した。
【0037】
なお、外部リード線を鉄のみで形成した場合には、半田をはじいてしまい、濡れ性の測定そのものが困難であった。
【0038】
濡れ性の概念図を図3(a)〜(c)に示す。まず、図3(a)に示すように、実験試料107を半田液108に浸すと、実験試料107の周囲の液面が実験試料107に引っ張られて沈み込む(以下、この状態を「濡れ下がり」という。)。その後、図3(b)に示すように、実験試料107を半田液108に浸したまま時間が経過すると、沈み込んでいた実験試料107の周囲の液面が実験試料107を浸す前と同様の位置まで浮上する(以下、この状態を「ゼロセクション」という。)。そして、図3(c)に示すように、実験試料107の周囲の半田液108が実験試料107の表面に沿って浮上していく(以下、この状態を「濡れ上がり」という。)。
【0039】
半田の濡れ性は、ソルダーチェッカーによって、実験試料107を半田液に浸漬してからゼロセクションとなるまでの時間を測定することにより行った。
【0040】
具体的には、以下の条件で実験を行った。
【0041】
半田材料 :Sn−Ag−Cu系
半田溶融温度 :270[℃]
浸漬保持時間 :3[s]
浸漬深度 :4[mm]
浸漬速度 :10[mm/s]
実験結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
表2に示すように、実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3および実施例2−1は、いずれも比較例1−1に比べて、実験試料を半田液に浸漬してからゼロクロスセクションとなるまでの時間が短いことがわかる。すなわち、この結果より、実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3および実施例2−1は、比較例1−1に比べて濡れ性が高いことがわかる。なお、発明者らは確認のため、各実験試料の濡れ力も測定したが、実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3、実施例2−1および比較例1−1は共にほぼ同じ程度の濡れ力であった。すなわち、実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3および実施例2−1は、比較例1−1に比べて濡れるまでの時間が早く、濡れ性を向上できていることが確認できた。
【0044】
よって、被覆部100bを有することにより、半田の濡れ性を向上できることが確認できた。
【0045】
上記のとおり、本発明の第1の実施形態に係る外部リード線100の構成によれば、外部リード線100の半田の濡れ性を確保しつつ、電極構造体や冷陰極放電ランプの製造工程において歩留りを向上することができる。
【0046】
なお、外部リード線100は、炭素(C)、硫黄(S)、およびリン(P)の合計の含有量が0.001[wt%]以上0.2[wt%]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、脆化現象を防止し、機械的性質(伸び、粘さ)を向上することができる。
【0047】
また、外部リード線100は、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)およびアルミニウム(Al)の合計の含有量が0.001[wt%]以上3.0[wt%]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、外部リード線100の強度を適度に向上することができる。
【0048】
外部リード線100の変形例の長手方向の中心軸を含む断面図を図4(a)に、そのA方向から見た正面図を図4(b)にそれぞれ示す。外部リード線100の変形例(以下、「外部リード線109」という。)の少なくとも一方の端部には、外部リード線109の長手方向中央部よりも部分的に拡径した部分109cが形成されている。この場合、その端部を他の部材と接続した際、溶融された他の部材等がその拡径した部分を少しでも覆えば、その接続部において、長手方向に引っ張る力に対して、抵抗力を高めることができ、接続部の長手方向の引っ張る力に対する強度を向上することができる。なお、外部リード線109は、その形状を除いては、外部リード線100と実質的に同じものであるため、芯線109aおよび被覆部109bの材料等は、その形状を除いて、芯線100aおよび被覆部100bと実質的に同じものである。
【0049】
なお、図4(a)および(b)では、拡径した部分109cは、紙面上下に拡径したものであるが、いずれか一方向に偏っていてもよいし、部分的に突出したものであってもよい。
【0050】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るランプ用リード線の長手方向の中心軸X200を含む断面図を図5に示す。本発明の第2の実施形態に係るランプ用リード線(以下、「ランプ用リード線200」)は、外部リード線100の一端部に封着線201の一端部が接続されている。
【0051】
封着線は、例えば、鉄とニッケルとの合金である。具体的には、封着線201は、例えば48[wt%]以上54[wt%]以下の範囲内の鉄と46[wt%]以上52[wt%]以下の範囲内のニッケルとを含むことが好ましい。この場合、熱膨張係数が80×10-7[K-1]以上100×10-7[K-1]以下の範囲内の軟質ガラスに封着しやすくすることができる。
【0052】
なお、封着線201の材料は、鉄とニッケルとの合金に限られず、例えばタングステン、モリブデン、鉄とニッケルとコバルトとの合金(コバール)等を用いることができる。これらの材料の場合、ホウ珪酸ガラス等の熱膨張係数が30×10-7[K-1]以上60×10-7[K-1]以下の範囲内の硬質ガラスに封着しやすくすることができる。
【0053】
外部リード線100の一端部と封着線201の一端部との接続は、例えばレーザー溶接や抵抗溶接等により行うことができる。
【0054】
上記のとおり、本発明の第2の実施形態に係るランプ用リード線200の構造によれば、外部リード線100を用いることにより、外部リード線100の半田の濡れ性を確保しつつ、電極構造体や冷陰極放電ランプの製造工程において歩留りを向上することができる。
【0055】
なお、封着線201の表面は、粗面化処理が施されていてもよい。粗面化処理が施された場合、封着線201の表面の表面粗さRaは、例えば0.5[μm]以上1.0[μm]以下の範囲内である。この場合、封着線201とガラスとがなじみやすく、封着線201をガラスに封着させやすくすることができる。
【0056】
なお、封着線201の表面の表面粗さRaは、封着線201の長手方向の中間部における周回方向の線粗さである。後述するように、封着線の少なくとも一部がガラス部材により覆われている場合には、ガラス部材を剥がした後に、測定することで、測定することができる。
【0057】
ランプ用リード線200の変形例の長手方向の中心軸を含む断面図を図6に示す。ランプ用リード線200の変形例(以下、「ランプ用リード線202」という。)は、外部リード線100の一端部が封着線203の一端部に覆われている。この場合、外部リード線100の一端部と封着線203との一端部との接続をより強固にすることができる。ランプ用リード線202は、例えば外部リード線100の一端部と封着線203の一端部とを接続する際、どちらか一方を他方側へ押しつけながら溶接することにより作製することができる。
【0058】
なお、ランプ用リード線202は、その形状を除いては、ランプ用リード線200と実質的に同じものであるため、封着線203は、封着線201とその形状を除いて実質的に同じものである。
【0059】
外部リード線100の一端部が封着線203の一端部に覆われているか否かは、ランプ用リード線202の長手方向の略中心軸を含む断面の電子顕微鏡写真において、元素マッピングを行い、外部リード線100の一端部の外側に封着線203と同じ元素が含まれているか否かで確認することができる。
【0060】
また、図6においては、外部リード線100と封着線203との接続部204において、被覆部100bが芯線100aを覆っているが、これに限らず、外部リード線100と封着線203との接続部204において、被覆部100bが封着線203と混ざりあっていてもよい。
【0061】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る電極構造体の長手方向の中心軸X300を含む断面図を図7に示す。本発明の第3の実施形態に係る電極構造体(以下、「電極構造体300」という)は、ランプ用リード線200における封着線201の他端部に電極301が接続されている。
【0062】
電極301は、例えば有底筒状であって、例えば内径が2.4[mm]、外径が2.7[mm]、底部の肉厚が0.20[mm]、全長が10.0[mm]であって、ニッケル(Ni)製である。電極301の材料は、ニッケルに限らず、ニオビウム(Nb)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)およびタングステン(W)等を用いることができる。
【0063】
上記のとおり、本発明の第3の実施形態に係る電極構造体300の構造によれば、外部リード線100を用いることにより、外部リード線100の半田の濡れ性を確保しつつ、電極構造体や冷陰極放電ランプの製造工程において歩留りを向上することができる。
【0064】
なお、電極301と封着線201との間には、接着層(図示せず。)が形成されていてもよい。接着層は、例えば鉄とニッケルとコバルトとの合金(コバール)である。この場合、電極301と封着線201とを接続しやすくすることができる。特に、電極301または封着線201のいずれかが高融点金属の場合により有効である。なお、接着層の材料は、コバールに限らず、ニッケル等の電極301または封着線201の材料と融点が同じ、または電極301または封着線201の材料よりも融点が低い材料であればよい。
【0065】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る電極構造体の長手方向の中心軸X400を含む断面図を図8に示す。本発明の第4の実施形態に係る電極構造体(以下、「電極構造体400」という。)は、封着線201の少なくとも一部がガラス部材401により覆われている点を除いて、電極構造体300と実質的に同じ構成を有する。よって、ガラス部材401について詳細に説明し、その他の点については説明を省略する。
【0066】
ガラス部材401は、略球形状であって、封着線201の長手方向の中心軸がその中心軸と略一致するように封着線201の一部を覆って形成されている。
【0067】
ガラス部材401は、例えば、熱膨張係数が80×10-7[K-1]以上100×10-7[K-1]以下の範囲内の軟質ガラスである。この場合、封着線201が48[wt%]以上54[wt%]以下の範囲内の鉄と46[wt%]以上52[wt%]以下の範囲内のニッケルとの合金の場合に、封着線201を封着しやすくすることができる。
【0068】
なお、ガラス部材401は、ホウ珪酸ガラス等の熱膨張係数が30×10-7[K-1]以上60×10-7[K-1]以下の範囲内の硬質ガラスであってもよい。この場合、封着線201が、例えばタングステン、モリブデン、鉄とニッケルとコバルトとの合金(コバール)等の場合に、封着線201を封着しやすくすることができる。
【0069】
上記のとおり、本発明の第4の実施形態に係る電極構造体400の構造によれば、外部リード線100を用いることにより、外部リード線100の半田の濡れ性を確保しつつ、電極構造体や冷陰極放電ランプの製造工程において歩留りを向上することができる。
【0070】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る冷陰極放電ランプの管軸X500を含む断面図を図9に示す。本発明の第5の実施形態に係る冷陰極放電ランプ(以下、「ランプ500」という)は、電極構造体400を備える。具体的には、ランプ500は、ガラスバルブ501と、ガラスバルブ501の少なくとも一方の端部に設けられた電極構造体400とを有する。なお、図9に示すランプ500は、ガラスバルブ501の両端部に電極構造体400を有するものであるが、例えば、ガラスバルブ501の一端部に電極構造体400を有し、ガラスバルブ501の他端部に外部電極を有するものであってもよい。
【0071】
ガラスバルブ501は、例えば熱膨張係数が80×10-7[K-1]以上100×10-7[K-1]以下の範囲内の軟質ガラス製で、直管状であって、その管軸に対して垂直に切った断面が略円形状である。具体的には、例えば外径が4[mm]、内径が3[mm]、全長が946[mm]である。以下に示すランプ500の構成は、外径が4[mm]、内径が3[mm]、全長が1200[mm]のガラスバルブ501の寸法に対応する値である。
【0072】
なお、ガラスバルブ501の材料は、電極構造体400のガラス部材401の材料の熱膨張係数にできるだけ合わせることが好ましい。よって、ガラス部材401が、熱膨張係数が80×10-7[K-1]以上100×10-7[K-1]以下の範囲内の軟質ガラスである場合には、ガラスバルブ501も同様の熱膨張係数の軟質ガラスを用い、ガラス部材401がホウ珪酸ガラス等の熱膨張係数が30×10-7[K-1]以上60×10-7[K-1]以下の範囲内の硬質ガラスである場合には、ガラスバルブ501も同様の熱膨張係数の硬質ガラスを用いることが好ましい。
【0073】
ガラスバルブ501の内部には、例えば3[mg]の水銀が封入され、またアルゴンやネオン等の希ガスが所定の封入圧、例えば40[Torr]で封入されている。なお、上記希ガスとしては、例えばネオンとアルゴンとの混合ガスがAr=10[mol%]、Ne=90[mol%]の比率で用いられる。
【0074】
また、ガラスバルブ501の内面には蛍光体層502が形成されている。また、ガラスバルブ501の内面と蛍光体層502との間には例えば酸化イットリウム(Y23)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)等の金属酸化物の保護膜(図示せず)を設けてもよい。
【0075】
上記のとおり、本発明の第5の実施形態に係る冷陰極放電ランプ500の構造によれば、外部リード線100を用いることにより、外部リード線100の半田の濡れ性を確保しつつ、冷陰極放電ランプの製造工程において歩留りを向上することができる。
【0076】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る照明装置の分解斜視図を図10に示す。本発明の第6の実施形態に係る照明装置(以下、「照明装置600」という)は直下方式のバックライトユニットであって、一つの面が開口した直方体状の筐体601と、この筐体601の内部に収納された複数のランプ500と、ランプ500を点灯回路(図示せず)に電気的に接続するための一対のソケット602と、筐体601の開口部を覆う光学シート類603とを備えている。なお、ランプ500は、本発明の第5の実施形態に係る冷陰極放電ランプ500である。
【0077】
筐体601は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製であって、その内面に銀などの金属が蒸着されて反射面604が形成されている。なお、筐体601の材料としては、樹脂以外の材料、例えば、アルミニウムや冷間圧延材(例えばSPCC)等の金属材料により構成してもよい。また、内面の反射面604として金属蒸着膜以外、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂に炭酸カルシウム、二酸化チタン等を添加することにより反射率を高めた反射シートを筐体601に貼付したものを用いてもよい。
【0078】
筐体601の内部には、ソケット602、絶縁体605およびカバー606が配置されている。具体的に、ソケット602は、ランプ500の配置に対応して筐体601の短手方向(縦方向)に各々所定間隔を空けて設けられている。ソケット602は、例えばステンレスやりん青銅からなる板材を加工したものであって、外部リード線100が嵌め込まれる嵌込部602aを有している。そして、嵌込部602aを押し拡げるように弾性変形させて、外部リード線100を嵌込部602aに嵌め込む。その結果、嵌込部602aに嵌め込まれた外部リード線100は、嵌込部602aの復元力によって押圧され、外れにくくなる。これにより、外部リード線100を嵌込部602aへ容易に嵌め込むことができつつ、外れにくくすることができる。
【0079】
ソケット602は、互いに隣り合うソケット602同士で短絡しないように絶縁体605で覆われている。絶縁体605は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で構成されている。なお、絶縁体605は、上記の構成に限定されない。ソケット602はランプ500の動作中に比較的高温となる電極301の近傍にあることから絶縁体605は耐熱性のある材料で構成することが好ましい。耐熱性のある絶縁体605の材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂やシリコンゴム等を適用することができる。
【0080】
筐体601の内部には、必要に応じた場所にランプホルダ607を設けてもよい。筐体601内側でのランプ500の位置を固定するランプホルダ607は、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂であり、ランプ500の外面形状に沿うような形状を有している。「必要に応じた場所」とは、ランプ500の長手方向の中央部付近のように、ランプ500が例えば全長600[mm]を越えるような長尺のものである場合に、ランプ500のたわみを解消するために必要な場所である。
【0081】
カバー606は、ソケット602と筐体601の内側の空間とを仕切るものであり、例えばポリカーボネート(PC)樹脂で構成し、ソケット602の周辺を保温するとともに、少なくとも筐体601側の表面を高反射性とすることにより、ランプ500の端部の輝度低下を軽減することができる。
【0082】
筐体601の開口部は、透光性の光学シート類603で覆われており、内部にちりや埃などの異物が入り込まないように密閉されている。光学シート類603は、拡散板608、拡散シート609およびレンズシート610を積層してなる。
【0083】
拡散板608は、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂製の板状体であって、筐体601の開口部を塞ぐように配置されている。拡散シート609は、例えばポリエステル樹脂製である。レンズシート610は、例えばアクリル系樹脂とポリエステル樹脂の貼り合せである。これらの光学シート類603は、それぞれ拡散板608に順次重ね合わせるようにして配置されている。
【0084】
上記のとおり、本発明の第6の実施形態に係る照明装置600の構成によれば、外部リード線100の半田の濡れ性を確保した冷陰極放電ランプ500を用いることで、冷陰極放電ランプ500の組み込みを容易に行うことができる。
【0085】
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態に係る照明装置の一部切欠斜視図を図11に示す。本発明の第7の実施形態に係る照明装置(以下、「照明装置700」という)は、エッジライト方式のバックライトユニットで、反射板701、ランプ500、ソケット(図示せず)、導光板702、拡散シート703およびプリズムシート704から構成されている。
【0086】
反射板701は、液晶パネル側(矢印Q)を除く導光板702の周囲を囲むように配置されており、底面を覆う底面部701aと、ランプ500の配置されている側を除く側面を覆う側面部701bと、ランプ500の周囲を覆う曲面状のランプ側面部701cとで構成されており、ランプ500から照射される光を導光板702から液晶パネル(図示せず)側(矢印Q)に反射させる。また、反射板701は、例えばフィルム状のPETに銀を蒸着したものやアルミ等の金属箔と積層したもの等からなる。
【0087】
ソケットは、照明装置600に用いられるソケット602と実質的に同じ構成を有している。なお、図11において、図示の便宜上により、ランプ500の端部については省略している。
【0088】
導光板702は、反射板701により反射された光を液晶パネル側に導くためのものであって、例えば透光性プラスチックからなり、照明装置700の底面に設けられた反射板701の上に積重されている。なお、導光板702の材料としては、ポリカーボネート(PC)樹脂やシクロオレフィン系樹脂(COP)を適用することができる。
【0089】
拡散シート703は、視野拡大のためのものであって、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエステル樹脂製の拡散透過機能を有するフィルムからなり、導光板702の上に積層されている。
【0090】
プリズムシート704は、輝度を向上させるためのものであって、例えばアクリル系樹脂とポリエステル樹脂とを貼り合せたシートからなり、拡散シート703の上に積層されている。なお、プリズムシート704の上にさらに拡散板(図示せず)が積層されていてもよい。
【0091】
なお、本実施形態の場合には、ランプ500の周方向における一部分(照明装置700に挿入した場合における導光板702側)を除き、ガラスバルブ501の外面に反射シート(図示せず)を設けたアパーチャ型のランプであってもよい。
【0092】
上記のとおり、本発明の第7の実施形態に係る照明装置700の構成によれば、外部リード線100の半田の濡れ性を確保した冷陰極放電ランプ500を用いることで、冷陰極放電ランプ500の組み込みを容易に行うことができる。
【0093】
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態に係る画像表示装置の概要を図12に示す。図12に示すように画像表示装置800は、例えば32[inch]液晶テレビ(液晶表示装置)であり、液晶パネル等を含む液晶画面ユニット801と本発明の第6の実施形態に係る照明装置600と点灯回路802とを備える。
【0094】
液晶画面ユニット801は、公知のものであって、液晶パネル(カラーフィルター基板、液晶、TFT基板等)(図示せず)、駆動モジュール等(図示せず)を備え、外部からの画像信号に基づいてカラー画像を形成する。
【0095】
点灯回路802は、照明装置800内部のランプ600を点灯させる。そして、ランプ600は、点灯周波数40[kHz]〜100[kHz]、ランプ電流3.0[mA]〜25[mA]で動作される。
【0096】
なお、図12では、画像表示装置800の光源装置として本発明の第6の実施形態に係る照明装置600に第5の実施形態に係る冷陰極放電ランプ500を挿入した場合について説明したが、これに限らず、本発明の第7の実施形態に係る照明装置700も用いることができる。
【0097】
上記のとおり、本発明の第8の実施形態に係る画像表示装置800の構成によれば、外部リード線100の半田の濡れ性を確保した冷陰極放電ランプ500を用いることで、冷陰極放電ランプ500の組み込みを容易に行うことができる。
【0098】
(変形例)
以上、本発明を上記した各実施形態に示した具体例に基づいて説明したが、本発明の内容が各実施形態に示した具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を用いることができる。
【0099】
1.ガラス部材およびガラスバルブについて
(1)紫外線吸収について
ガラスバルブ501の材料であるガラスに遷移金属の酸化物をその種類によって所定量をドープすることにより254[nm]や313[nm]の紫外線を吸収することができる。具体的には、例えば酸化チタン(TiO2)の場合は、組成比率0.05[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収し、組成比率2[mol%]以上ドープすることにより313[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化チタンを組成比率5.0[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが失透してしまうため、組成比率0.05[mol%]以上5.0[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。
【0100】
また、酸化セリウム(CeO2)の場合は、組成比率0.05[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化セリウムを組成比率0.5[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが着色してしまうため、酸化セリウムを組成比率0.05[mol%]以上0.5[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。なお、酸化セリウムに加えて酸化スズ(SnO)をドープすることにより、酸化セリウムによるガラスの着色を抑えることができるため、酸化セリウムを組成比率5.0[mol%]以下までドープすることができる。この場合、酸化セリウムを組成比率0.5[mol%]以上ドープすれば313[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、この場合においても酸化セリウムを組成比率が5.0[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが失透してしまう。
【0101】
また、酸化亜鉛(ZnO)の場合は、組成比率2.0[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化亜鉛を組成比率20[mol%]より多くドープした場合、ガラスが失透してしまうおそれがあるため、酸化亜鉛を2.0[mol%]以上20[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。
【0102】
また、酸化鉄(Fe23)の場合は、組成比率0.01[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化鉄を組成比率2.0[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが着色してしまうため、酸化鉄を組成比率0.01[mol%]以上2.0[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。
【0103】
(2)赤外線透過係数について
ガラスバルブ501の材料であるガラス中の水分含有量を示す赤外線透過率係数は、0.3以上1.2以下の範囲、特に0.4以上0.8以下の範囲となるように調整することが好ましい。赤外線透過率係数が1.2以下であれば、長尺の冷陰極放電ランプ等の高電圧印加ランプに適用可能な低い誘電正接を得やすくなり、0.8以下であれば誘電正接が十分に小さくなって、さらに高電圧印加ランプに適用可能となる。
【0104】
なお、赤外線透過率係数(X)は下式で表すことができる。
【0105】
[数1]
X=(log(a/b))/t
a:3840[cm-1]付近の極小点の透過率[%]
b:3560[cm-1]付近の極小点の透過率[%]
t:ガラスの厚み
(3)軟質ガラスについて
ガラス部材401およびガラスバルブ501に用いる軟質ガラスは、酸化物換算で、SiO2が60[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、Li2Oが0[wt%]〜5[wt%]、K2Oが3[wt%]〜11[wt%]、Na2Oが3[wt%]〜12[wt%]、CaOが0[wt%]〜9[wt%]、MgOが0[wt%]〜9[wt%]、SrOが0[wt%]〜12[wt%]、BaOが0[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。この場合、鉛成分を含有せず、環境に優しい冷陰極放電ランプを提供することができる。さらには、ガラス部材401およびガラスバルブ501に用いる軟質ガラスは、酸化物換算で、SiO2が60[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、B23が0[wt%]〜3[wt%]、Li2Oが0[wt%]〜5[wt%]、K2Oが3[wt%]〜11[wt%]、Na2Oが3[wt%]〜12[wt%]、CaOが0[wt%]〜9[wt%]、MgOが0[wt%]〜9[wt%]、SrOが0[wt%]〜12[wt%]、BaOが0[wt%]〜12[wt%]の組成を有していることがより好ましい。
【0106】
また、ガラス部材401およびガラスバルブ501に用いる軟質ガラスは、酸化物換算で、SiO2が60[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、Li2Oが0.5[wt%]〜5[wt%]、K2Oが3[wt%]〜7[wt%]、Na2Oが5[wt%]〜12[wt%]、CaOが1[wt%]〜7[wt%]、MgOが1[wt%]〜7[wt%]、SrOが0[wt%]〜5[wt%]、BaOが7[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。この場合、ランプへの加工を行いやすく、かつ鉛成分を含有せず、環境に優しい冷陰極蛍光ランプを提供することができる。
【0107】
さらに、ガラス部材401およびガラスバルブ501に用いる軟質ガラスは、酸化物換算で、SiO2が65[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、B23が0[wt%]〜3[wt%]、Li2Oが0.5[wt%]〜5[wt%]、 K2Oが3[wt%]〜7[wt%]、Na2Oが5[wt%]〜12[wt%]、 CaOが2[wt%]〜7[wt%]、MgOが2.1[wt%]〜7[wt%]、SrOが0[wt%]〜0.9[wt%]、BaOが7.1[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。この場合、鉛成分を含有せず、照明用途に適した電気絶縁性を有し、かつ、失透を起こりにくくすることができる。さらには、ガラス部材401およびガラスバルブ501に用いる軟質ガラスは、酸化物換算で、SiO2が65[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜3[wt%]、B23が0[wt%]〜3[wt%]、Li2Oが1[wt%]〜3[wt%]、K2Oが3[wt%]〜6[wt%]、Na2Oが7[wt%]〜10[wt%]、CaOが3[wt%]〜6[wt%]、MgOが3[wt%]〜6[wt%]、SrOが0[wt%]〜0.9[wt%]、BaOが7.1〜10[wt%]の組成を有していることがより好ましい。
【0108】
(4)ガラスバルブ501の形状について
ガラスバルブ501の形状は、直管形状のものに限られず、例えばL字形状、U字形状、コの字形状、渦巻き形状等であってもよい。また、その管軸に対して略垂直に切った断面は、略円形状のものに限られず、例えばトラック形状や角丸形状のような扁平形状や楕円形状等であってもよい。
【0109】
2.蛍光体層の蛍光体について
(1)紫外線吸収について
例えば、近年、液晶カラーテレビの大型化に伴って、バックライトユニットの開口を塞ぐ拡散板に寸法安定性の良いポリカーボネートが使用されるようになっている。このポリカーボネートは、水銀が発する313[nm]の波長の紫外線により劣化しやすい。このような場合には、波長313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体を利用すると良い。なお、313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体としては、以下のものがある。
【0110】
(a)青色
ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[Ba1-x-ySrxEuyMg1-zMnzAl1017]又は[Ba1-x-ySrxEuyMg2-zMnzAl1627
ここで、x,y,zはそれぞれ0≦x≦0.4、0.07≦y≦0.25、0≦z<0.1なる条件を満たす数であることが好ましい。
【0111】
このような蛍光体としては、例えば、ユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム[BaMg2Al1627:Eu2+]、[BaMgAl1017:Eu2+] (略号:BAM−B)や、ユーロピウム付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[(Ba,Sr)Mg2Al1627:Eu2+]、[(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+](略号:SBAM−B)等がある。
【0112】
(b)緑色
・マンガン付活マグネシウムガレート[MgGa24:Mn2+](略号:MGM)
・マンガン付活アルミン酸セリウム・マグネシウム・亜鉛[Ce(Mg,Zn)Al1119:Mn2+](略号:CMZ)
・テルビウム付活アルミン酸セリウム・マグネシウム[CeMgAl1119:Tb3+](略号:CAT)
・ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[Ba1-x-ySrxEuyMg1-zMnzAl1017]又は[Ba1-x-ySrxEuyMg2-zMnzAl1627
ここで、x,y,zはそれぞれ0≦x≦0.4、0.07≦y≦0.25、0.1≦z≦0.6なる条件を満たす数であり、zは0.4≦x≦0.5であることが好ましい。
【0113】
このような蛍光体としては、例えば、ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・マグネシウム[BaMg2Al1627:Eu2+,Mn2+]、[BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+](略号:BAM−G)や、ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[(Ba,Sr)Mg2Al1627:Eu2+,Mn2+]、[(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+,Mn2+](略号:SBAM−G)等がある。
【0114】
(c)赤色
・ユーロピウム付活リン・バナジン酸イットリウム[Y(P,V)O4:Eu3+](略号:YPV)
・ユーロピウム付活バナジン酸イットリウム[YVO4:Eu3+](略号:YVO)
・ユーロピウム付活イットリウムオキシサルファイド[Y22S:Eu3+](略号:YOS)
・マンガン付活フッ化ゲルマン酸マグネシウム[3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn4+](略号:MFG)
・ジスプロシウム付活バナジン酸イットリウム[YVO4:Dy3+](赤と緑の2成分発光蛍光体であり、略号:YDS)
なお、一種類の発光色に対して、異なる化合物の蛍光体を混合して用いても良い。例えば、青色にBAM−B(313[nm]を吸収する。)のみ、緑色にLAP(313[nm]を吸収しない。)とBAM−G(313[nm]を吸収する。)、赤色にYOX(313nmを吸収しない。)とYVO(313[nm]を吸収する。)の蛍光体を用いても良い。このような場合は、前述のように波長313[nm]を吸収する蛍光体が、総重量組成比率で50[%]より大きくなるように調整することで、紫外線がガラスバルブ外に漏れ出ることをほとんど防止できる。したがって、313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体を蛍光体層502に含む場合には、上記のバックライトユニットの開口を塞ぐポリカーボネート(PC)からなる拡散板等の紫外線による劣化が抑制され、バックライトユニットとしての特性を長時間維持することができる。
【0115】
ここで、「313[nm]の紫外線を吸収する」とは、254[nm]付近の励起波長スペクトル(励起波長スペクトルとは、蛍光体を波長変化させながら励起発光させ、励起波長と発光強度をプロットしたものである。)の強度を100[%]としたときに、313[nm]の励起波長スペクトルの強度が80[%]以上のものと定義する。すなわち、313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体とは、313[nm]の紫外線を吸収して可視光に変換できる蛍光体である。
【0116】
(2)高色再現について
液晶カラーテレビで代表される液晶表示装置では、近年における高画質化の一環としてなされる高色再現化に伴い、当該液晶表示装置のバックライトユニットの光源として用いられる冷陰極放電ランプや外部電極放電ランプにおいて、再現可能な色度範囲の拡大化の要請がある。
【0117】
このような要請に対して、例えば、以下の蛍光体を用いることで、実施の形態での蛍光体を用いる場合よりも、色度範囲の拡大を図ることができる。具体的には、CIE1931色度図において、高色再現用の当該蛍光体の色度座標値が、実施の形態で使用した3つの蛍光体の色度座標値を結んでできる三角形を含んで色再現範囲を広げる座標に位置する。
【0118】
(a)青色
・ユーロピウム付活ストロンチウム・クロロアパタイト[Sr10(PO46Cl2:Eu2+](略号:SCA)、色度座標:x=0.151、y=0.065
上記以外に、ユーロピウム付活ストロンチウム・カルシウム・バリウム・クロロアパタイト[(Sr,Ca,Ba)10(PO46Cl2:Eu2+](略号:SBCA)も使用でき、上記波長313[nm]の紫外線も吸収できるSBAM−Bも高色再現用に使用できる。
【0119】
(b)緑色
・BAM−G、色度座標:x=0.139、y=0.574
・CMZ、色度座標:x=0.164、y=0.722
・CAT、色度座標:x=0.267、y=0.663
なお、これらは上述したように、波長313[nm]の紫外線も吸収でき、また、ここで説明した3つの蛍光体粒子以外にも、MGMも高色再現用に使用することもできる。
【0120】
(c)赤色
・YOS、色度座標:x=0.651、y=0.344
・YPV、色度座標:x=0.658、y=0.333
・MFG、色度座標:x=0.711、y=0.287
なお、これらは上述したように、波長313[nm]の紫外線も吸収でき、また、ここで説明した3つの蛍光体粒子以外にも、YVO、YDSも高色再現用に使用することもできる。
【0121】
また、上記で示した色度座標値は各々の蛍光体の粉体のみで測定した代表値であり、測定方法(測定原理)等に起因して、各蛍光体の粉体が示す色度座標値は、上掲した値と若干異なる場合があり得る。参考として上記実施の形態1の各蛍光体の粉体の色度座標値は、YOX(x=0.644、y=0.353)、LAP(x=0.351、y=0.585)、BAM−B(x=0.148、y=0.056)で構成されている。
【0122】
さらに、赤、緑、青の各色を発光させるために用いる蛍光体は各波長につき1種類に限らず、複数種類を組み合わせて用いることとしても良い。
【0123】
ここで、上記の高色再現用の蛍光体粒子を用いて蛍光体層を形成した場合について説明する。ここでの評価は、CIE1931色度図内においてNTSC規格の3原色の色度座標値を結ぶNTSC三角形(NTSCtriangle)の面積を基準とした、高色再現用の蛍光体を用いた場合の3つの色度座標値を結んできる三角形の面積の比(以下、NTSC比という。)で行なう。
【0124】
例えば、青色としてBAM−B、緑色としてBAM−G、赤色としてYVOを用いると(例1)NTSC比が92[%]となり、また、青色としてSCA、緑色としてBAM−G、赤色としてYVOを用いると(例2)NTSC比が100[%]となり、また、青色としてSCA、緑色としてBAM−G、赤色としてYOXを用いると(例3)、NTSC比が95[%]となり、例1及び2に比べて輝度を10[%]向上させることができる。
【0125】
なお、ここでの評価に用いた色度座標値は、ランプ等が組み込まれた液晶表示装置とした状態で測定したものである為、カラーフィルターとの組み合わせにより色再現範囲が上記値より前後する可能性がある。
【0126】
3.希ガスについて
冷陰極放電ランプ500のガラスバルブ501に封入される希ガスには、クリプトンが含まれていてもよい。この場合、冷陰極蛍光ランプの赤外線放射を抑制することができる。さらには、希ガスにクリプトンが0.5[mol%]以上5[mol%]以下の範囲内で含まれていることが好ましい。この場合、ランプ電圧を大きく変化させることなく、冷陰極蛍光ランプの赤外線放射を抑制することができる。例えば、アルゴンが0[mol%]以上9.5[mol%]以下の範囲内、ネオンが90[mol%]以上95.5[mol%]以下の範囲内、クリプトンが0.5[mol%]以上5[mol%]以下の範囲内である。さらには、希ガスにクリプトンが0.5[mol%]以上3[mol%]以下の範囲内で含まれていることがより好ましい。さらには、希ガスにクリプトンが1[mol%]以上3[mol%]以下の範囲内で含まれていることがさらにより好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、外部リード線、ランプ用リード線、電極構造体、冷陰極放電ランプ、照明装置および画像表示装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0128】
100 外部リード線
100a 芯線
100b 被覆部
200 ランプ用リード線
201 封着線
300、400 電極構造体
301 電極
500 冷陰極放電ランプ
600、700 照明装置
800 画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄(Fe)を主成分とする芯線と、前記芯線を被覆する被覆部とを有する冷陰極放電ランプ用の外部リード線であって、
前記被覆部は、鉄よりもイオン化傾向が小さい金属元素のうちいずれか1種以上を含むことを特徴とする外部リード線。
【請求項2】
前記被覆部は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)および金(Au)のうちいずれか1種以上を含むことを特徴とする外部リード線。
【請求項3】
炭素(C)、硫黄(S)、およびリン(P)の合計の含有量が0.001[wt%]以上0.2[wt%]以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の外部リード線。
【請求項4】
マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)およびアルミニウム(Al)の合計の含有量が0.001[wt%]以上3.0[wt%]以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の外部リード線。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の外部リード線の一端部に封着線の一端部が接続されていることを特徴とするランプ用リード線。
【請求項6】
請求項5に記載のランプ用リード線における封着線の他端部に電極が接続されたことを特徴とする電極構造体。
【請求項7】
請求項6に記載の電極構造体を備えることを特徴とする冷陰極放電ランプ。
【請求項8】
請求項7に記載の冷陰極放電ランプを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項8に記載の照明装置を備えることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−48999(P2012−48999A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190303(P2010−190303)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】