説明

多孔性有機無機ハイブリッド膜を用いたガスセンサ及びその製造方法

【課題】多孔性有機無機ハイブリッド粒子を用いた水晶振動子(QCM)ガスセンサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】測定する対象ガスと多孔性有機無機ハイブリッド粒子との吸着特性を利用してVOCガス検知を行う水晶振動子ガスセンサであって、層状無機化合物の層間に有機残基が挿入、固定されている多孔性有機無機ハイブリッド粒子が水晶振動子電極上に検知膜として積層された構造を有するガスセンサ、及び上記多孔性有機無機ハイブリッド粒子の縣濁溶液を、水晶電極上に滴下、もしくは当該溶液中に電極を浸漬引き上げ後、乾燥することにより、多孔性有機無機ハイブリッド粒子を水晶振動子電極上に検知膜として積層する、水晶振動子ガスセンサの製造方法。
【効果】良好な応答回復性、再現性を有するVOCガスセンサに関する新技術を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性有機無機ハイブリッド膜を用いたガスセンサ及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、大気中の浮遊粒子状物質の形成の原因物質として知られる揮発性有機化合物を、その場で簡易的に測定することが可能で、センサ応答の回復性、再現性に優れている、多孔性有機無機ハイブリッド膜を用いたガスセンサ及びその製造方法に関するものである。本発明は、大気中の浮遊粒子状物質の形成の原因物質として法的な規制対象とされるVOCガスを、その場で簡易的に、かつ高感度に測定することを可能とする新しいガスセンサを提供するものであり、従来のVOCガスセンサと比較して、良好な感度を有し、しかも、多数回の繰り返し使用にも良好な応答回復性、再現性を有する水晶振動子(QCM)センサ素子を利用したVOCガスセンサに関する新技術・新製品を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
大気汚染の主原因となる浮遊粒子状物質の形成の原因物質として、揮発性有機化合物(VOC:volatile organic compounds)が知られている。このVOCは、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物の総称であり、トルエン、キシレン、アセトアルデヒド、酢酸エチルなどの物質が含まれる。また、該VOCは、シックハウス症候群などの健康被害を引き起こす物質として知られている。
【0003】
近年、これらVOCガスの排出施設である化学製品の製造事業所などに対して、法的な規制が実施されるようになり、工場内のVOC排出源におけるVOCガス排出濃度を管理することが必要となってきた。その管理のために、VOCガスを、その場で簡易的に測定可能なセンサが求められている。
【0004】
従来、VOCガスの濃度を簡易的に測定するためのVOCガスセンサとして、ガス検知管が知られている。しかしながら、ガス検知管では、測定値を、ガス検知管に印刷してある濃度目盛から直接読み取る必要があるため、測定精度が低く、更に、繰り返して測定することができないなどの問題があった。
【0005】
一般に、ガスセンサとして、酸化物半導体型センサや、干渉増幅反射法を用いた光学式センサがあるが、それぞれ対象物質が限られること、測定濃度範囲が狭いこと、などの問題点がある。その他のガスセンサとしては、水晶振動発振子(QCM)を用いたQCMガスセンサが知られている。
【0006】
このQCMガスセンサでは、水晶振動子電極上に被覆した検知膜に吸着したガス分子の重量を検知することによって、ガス濃度が測定される。得られる測定値は、電気信号から読み取るために、測定者によって読み取り値に差が生じることが少なく、また、ppmレベルのガス濃度を測定可能であり、装置の構成が簡素で、消費電力が小さく、可燃性ガスの測定においても、安全性が高い、などの利点がある。
【0007】
このQCMガスセンサの感度や応答特性は、検知膜の性能、具体的には、検知膜の均一性や膜厚、検知膜と測定ガスの吸脱着特性などに依存する。そこで、QCMガスセンサについては、測定するガスに応じて、良好な感度や応答感度を有するような検知膜の検討が行われている。
【0008】
VOCガスについては、高分子(ポリスチレン)を用いた検知膜により、トルエンガスの検出を評価した事例報告されている(非特許文献1)。しかしながら、このような高分子検知膜の場合、高分子中に吸収されたガス分子が容易に脱離しないため、初回使用後以降のセンサ応答の回復性、再現性に、問題があった。
【0009】
また、ガス脱離性を容易にするために、微小な空隙が存在する多孔性無機材料(ゼオライト)を検知膜に用いる検討が行われている(特許文献1)。しかしながら、ゼオライトは、従来、粒状粉体として得られるために、薄膜状に成形するのは困難であり、また、得られた膜厚が、厚くなるという問題があった。膜厚とセンサの応答性は、反比例の関係にあるため、膜厚が厚くなると、応答性が低下する。
【0010】
膜厚を薄くするための試みとして、ゼオライト合成時に、水晶振動子上にゼオライト結晶を形成させることが行われている(特許文献2)。この方法により、厚みが比較的薄い膜状のゼオライト検知膜が得られるが、電極上に、ゼオライト結晶を形成するためには、煩雑な操作が必要であった。他方、本発明者らは、先に、芳香族化合物などの有機残基を層状無機化合物の層間に固定させた芳香族化合物−層状無機化合物多孔体を開発した(特許文献3)が、この層状無機化合物多孔体は、ガスセンサの検知膜として利用できるかどうかは全く未知であった。
【0011】
このようなことから、当技術分野においては、大気中の浮遊粒子状物質の形成の原因物質として法的な規制対象とされるVOCガスを、その場で簡易的に、かつ高感度に測定することを可能とする新しいガスセンサを開発することが強く要請されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平2−210802号公報
【特許文献2】特開平5−279014号公報
【特許文献3】特開2005−247682号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】M.Matsuguchi,T.Uno and M.Yoshida,SENSORS AND ACTUATORS B CHEMICAL Volume 131,652−659,2008年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、VOCガスを、その場で簡易的に測定することが可能で、センサ応答の回復性、再現性に優れている新しいガスセンサを開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、水晶振動子(QCM)ガスセンサの検知膜として、層状無機化合物を主成分とし、該層状無機化合物の層間に有機芳香族化合物などの有機残基を挿入した芳香族化合物−層状無機化合物多孔体などからなる多孔性有機無機ハイブリッド材料を検知膜材料として利用したQCMセンサ素子を開発することに成功し、本発明を完成するに至った。本発明は、幅広い濃度領域で、多数回の繰り返し使用にも良好な応答回復性、再現性を有するVOCガスセンサ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、層状無機化合物の層間に有機残基が挿入、固定されている多孔性有機無機ハイブリッド粒子が水晶振動子電極上に検知膜として積層された構造を有するガスセンサを提供することを目的とするものである。また、本発明は、測定する対象ガスが、トルエン、キシレン、ベンゼン、エタノール、メタノール、水又はアルデヒドであるガスセンサを提供するものである。更に、本発明は、測定する濃度が、100ppmから38000ppmの範囲である上記ガスセンサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)測定する対象ガスと層状無機化合物粒子との吸着特性を利用してVOCガス検知を行う水晶振動子(QCM)ガスセンサであって、層状無機化合物の層間に有機残基が挿入、固定されている多孔性有機無機ハイブリッド粒子が水晶振動子電極上に検知膜として積層された構造を有することを特徴とするガスセンサ。
(2)上記層状無機化合物が、アイラライト、マガディマイト、カネマイト、ケニアイト、マンガン酸化物、又はチタン酸化物であり、該層状無機化合物の層間に、芳香族化合物又は炭化水素化合物の有機残基が挿入、固定化されている、前記(1)に記載のガスセンサ。
(3)上記層状無機化合物が、層状ポリケイ酸塩のアイラライト、マガディマイト、カネマイト、又はケニアイトである、前記(1)又は(2)に記載のガスセンサ。
(4)上記有機残基が、メチル、エチル、プロピル、フェニル、アミノフェニル、又はアセチレン、エチレン、フェニレン、ビフェニレンの有機残基である、前記(1)に記載のガスセンサ。
(5)上記多孔性有機無機ハイブリッド粒子の比表面積が、7から1000m/gである、前記(1)に記載のガスセンサ。
(6)測定する対象ガスが、トルエン、キシレン、ベンゼン、エタノール、メタノール、水又はアルデヒドである、前記(1)から(5)のいずれかに記載のガスセンサ。
(7)測定する濃度が、100ppmから38000ppmの範囲である、前記(1)から(6)のいずれかに記載のガスセンサ。
(8)測定する対象ガスとして、トルエンガスに選択性を有する、前記(1)から(6)のいずれかに記載のガスセンサ。
(9)測定する対象ガスに対する層状無機化合物粒子の吸着特性を利用してVOCガス検知を行う水晶振動子ガスセンサを製造する方法であって、有機残基及び層状無機化合物を含む多孔性有機無機ハイブリッド粒子の縣濁溶液を、水晶電極上に滴下、もしくは当該溶液中に電極を浸漬引き上げ後、乾燥することによって、層状無機化合物粒子を水晶振動子電極上に検知膜として積層することを特徴とする水晶振動子ガスセンサの製造方法。
(10)層状無機化合物の層間に、有機残基が挿入、固定されている多孔性有機無機ハイブリッド粒子の縣濁溶液を用いる、前記(9)に記載の水晶振動子ガスセンサの製造方法。
【0016】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、測定する対象ガスと層状無機化合物粒子との吸着特性を利用してVOCガス検知を行う水晶振動子(QCM)ガスセンサであって、層状無機化合物の層間に有機残基が挿入、固定されている、層状無機化合物を含む多孔性有機無機ハイブリッド粒子が、水晶振動子電極上に検知膜として積層された構造を有することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明は、測定する対象ガスと層状無機化合物粒子との吸着特性を利用してVOCガス検知を行う水晶振動子ガスセンサを製造する方法であって、層状無機化合物の層間に有機残基が挿入、固定されている、層状無機化合物を含む多孔性有機無機ハイブリッド粒子の縣濁溶液を、水晶電極上に滴下、もしくは当該溶液中に電極を浸漬引き上げ後、乾燥することによって、層状無機化合物を含む多孔性有機無機ハイブリッド粒子を水晶振動子電極上に検知膜として積層することを特徴とするものである。
【0018】
まず、本発明で使用する多孔性有機無機ハイブリッド材料について詳細に説明すると、本発明では、QCMガスセンサの検知膜の材料として、層状無機化合物の層間に有機残基を挿入した多孔性有機無機ハイブリッド粒子が用いられる。層状無機化合物としては、層状構造を有し、粒子の形態が、板状もしくはフィルム状である無機化合物であれば、如何なるものでもよく、また、天然物でも人工合成物でも利用可能である。
【0019】
本発明では、上記層状無機化合物として、特に、陽イオン交換性を有する陽イオン交換性層状無機化合物が好適に使用される。しかし、本発明の多孔性有機無機ハイブリッド材料には、陽イオン交換性層状無機化合物以外のものも用いられる。当該陽イオン交換性層状無機化合物としては、例えば、アイラライト、マガディアイト、カネマイト、ケニアイトなどの層状ポリケイ酸塩、バーネサイトなどのマンガン酸化物、チタン酸化物が挙げられる。
【0020】
上記層状無機化合物には、その層間に有機残基が挿入、固定される。この有機残基は、1つもしくは2つの架橋部位を介して層状無機化合物の層間に固定され得る有機化合物の残基であればよく、その種類は、特に限定されるものではない。当該有機残基としては、好適には、メチルやエチル、プロプルなどのアルカン類、及びフェニル、アミノフェニル、アセチレン、エチレン、フェニレン、ビフェニレンなどの芳香族化合物が例示される。
【0021】
この有機残基は、層状無機化合物の層間にランダムに散在していてもよく、局所的に存在していてもよく、また、一様に分布していてもよく、その存在形態については、特に限定するものではない。上述の架橋部位とは、層状無機化合物を構成する単位層と有機残基とを結合させるための部位であり、これらを結合し、固定できるものであれば、如何なるものでもよく、例えば、当該架橋部位として、−O−Si−が例示される。
【0022】
以上の架橋部位を形成させる物質として、例えば、有機残基を含むクロロシランもしくはアルコキシラン、更には、有機残基を含むビスクロロシリル化合物、ビスアルコキシシリル化合物が挙げられる。
【0023】
層状無機化合物への有機残基の固定化について説明すると、層状無機化合物への有機残基の固定化は、基本的に、有機残基を有する有機化合物を含む溶液と、層状無機化合物を混合することによって実施される。有機残基の固定化を促進するために、層状無機化合物の層間イオンをプロトンに交換することが望ましい。プロトン交換の方法については、特に制限はないが、例えば、塩酸溶液と層状無機化合物を混合する方法が例示される。
【0024】
有機残基の分子体積が大きく、混合撹拌では、有機残基の分子が無機層状化合物の層間に入らない場合、予め層間を拡張した層状無機化合物を用いることが望ましい。予め層間を拡張した層状無機化合物は、層間に有機カチオンやアルキルアミンなどのインターカラント(挿入物質)を挿入することによって作製することができる。
【0025】
この場合、有機カチオンとしては、アルキルアンモニウムイオンが好ましい。また、これらインターカラントに含まれるアルキル基は、炭素数が6以上30以下の長鎖アルキル基が望ましい。インターカラントが、アルキルアミンである場合は、層状無機化合物の層間イオンをプロトンに交換することが望ましい。
【0026】
有機残基と層状無機化合物を混合する方法は、加熱又は冷却、あるいは撹拌を行うことによって実施される。また、混合時間は、反応が十分に進行する程度の時間であれば、特に制限はないが、例えば、1時間〜7日、好ましくは5時間から3日の範囲である。また、上記固定化反応を促進するために、混合終了後、溶液を分離し、固体成分を乾燥させてもよく、また、乾燥時にマイクロ波を照射してもよい。
【0027】
インターカラントにより予め層間を拡張した層状無機化合物を利用した場合、乾燥後、更に、インターカラントを除去するために、例えば、水、アルコール、酸水溶液、酸アルコールなどを用いて処理する。
【0028】
以上の処理により、無機層状化合物の層間に有機残基が固定化される。その結果、無機層状化合物の層間が拡張され、有機残基によって占められていない部分が細孔となる。細孔の形成によって得られる当該反応生成物の多孔性能は、比表面積にして、7から1000m/gの範囲である。本発明において、無機層状化合物の層間に有機残基が固定化された層状無機化合物粒子及びその製造方法については、公知文献(特許文献3など)に記載された公知技術を利用することができる。
【0029】
有機残基が層間に存在する層状無機化合物の評価について説明すると、上述のようにして得られる反応生成物の構造評価については、X線回折法による層間距離の測定、及び回折パターン分析による層状構造の解析、もしくはガス吸着法による比表面積や細孔測定によって評価する。当該反応生成物の粒子形態の評価については、電子顕微鏡観察によって評価することが可能である。
【0030】
次に、水晶振動発振子センサ及び測定の詳細について説明する。QCMガスセンサの構成について説明すると、本発明におけるQCMガスセンサの装置構成は、従来のQCMガスセンサ装置の構成、すなわち、基本的に、水晶振動子、検知膜、周波数測定装置から構成される装置を利用することができる。
【0031】
水晶振動子に対する検知膜の坦持については、層状無機化合物からなる検知膜は、当該層状無機化合物粒子を水晶振動子上に坦持することによって行われる。水晶振動子は、検知膜に吸脱着した物質によって生じた質量の変化を、水晶振動子の発振周波数の変化として、電気的に検出するセンサである。そのため、測定精度を向上させるために、一定量の検知膜を、再現性よく、水晶振動子に坦持する必要がある。
【0032】
このような水晶振動子に対する検知膜の坦持を達成する方法として、当該層状無機化合物粒子と、例えば、水、アルコール、ジメチルホルムアミドなどの溶媒からなる縣濁液を作製し、その縣濁液を、スプレー法、キャスト法、ディップ法、スピンコート法により水晶振動子電極の表面に均一に塗布後、乾燥することによって坦持する方法が挙げられる。
【0033】
また、通常用いられる水晶振動子電極は、撥水性であり、親水性の当該層状無機化合物粒子を坦持するのが困難な場合がある。この際は、電極表面に、親水化処理を施すことが望ましい。電極を親水化する方法として、例えば、メルカプト(もしくはチオール)基を有機残基として有する有機化合物、もしくはシラン化合物を用いて処理する方法が挙げられる。
【0034】
測定する対象ガスとしては、揮発性有機化合物ガスであれば特に限定されないが、本発明は、具体的には、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、トリクロロエチレン、アセトアルデヒド、エタノール、メタノール、水などの測定に対して好適に用いられる。加えて、層間に固定化する有機残基の種類を変更することにより、吸着させたい物質を選択的に吸着することも可能である。
【0035】
測定ガスの濃度については、VOCガスの濃度は、代表的な揮発性有機化合物であるトルエン、トリクロロエチレンや、あるいは測定場所で使用する溶剤を用いて、キャリブレーションを行うことで、求めることができる。本発明におけるQCMガスセンサの測定濃度の範囲は、トルエンガスに換算して38000ppmから10ppmの範囲である。
【0036】
本発明のガスセンサの繰り返し測定の性能、感度再生方法については、検知膜へのVOCの吸着及び脱着は、自発的かつ可逆的に起きるので、VOCガスの濃度の増加及び減少に追従した応答が得られる。そのため、本発明のガスセンサは、何回でも繰り返して用いることができ、加えて、高濃度の試料の測定や、長期間にわたる使用の際に、吸着したVOCが検知膜に残存蓄積し、感度低下が生じた場合でも、センサあるいは検知膜を加熱し、VOCを脱着させることで、容易に感度を再生することが可能である。
【0037】
本発明は、層状無機化合物の層間に有機残基を挿入、固定することで、層状無機化合物の層間が拡張され、有機残基によって占められていない部分が細孔として存在する構造を有する多孔性有機無機ハイブリッド粒子を作製し、これを、水晶振動子電極上に検知膜として担持させることを基本原理としている。したがって、上記構造を形成するものであれば、層状無機化合物及び有機残基の種類とその組み合わせは任意であり、これらは、特に制限されない。
【0038】
測定する対象ガスに対する層状無機化合物粒子の吸着特性を利用してVOCガス検知を行う水晶振動子ガスセンサは、層状無機化合物の層間に有機残基が挿入、固定されている層状無機化合物粒子を含む多孔性有機無機ハイブリッド粒子の縣濁溶液を、水晶電極上に滴下、もしくは当該溶液中に電極を浸漬引き上げ後、乾燥することによって、層状無機化合物粒子を水晶振動子電極上に検知膜として積層することで製造することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)層状無機化合物を含む多孔性有機無機ハイブリッド粒子が、水晶振動子電極上に積層された構造を有するQCMセンサ素子を利用したVOCガスセンサを提供することができる。
(2)本発明により得られる、層間に有機残基が存在する層状無機化合物からなる検知膜は、有機残基が固定化することにより、層間に有機親和的な空隙が生成しているため、VOC分子を、その空隙に捕集することが可能である。
(3)本発明のVOCガスセンサは、測定ガス非暴露時には、捕集したVOC分子を容易に脱離させることができるため、良好な応答再現性を発揮することが可能である。
(4)層状無機化合物は、板状の形態を有することから、その検知膜は、水晶振動上に均一な膜状の形態を形成し、かつ電極と密着して坦持され、良好な感度を発揮する。
(5)多数回の繰り返し使用にも、良好な応答再現性を有するVOCガスセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】芳香族化合物−層状無機化合物多孔体を検知膜材料として利用したQCMセンサ素子を含むセンサ装置の一例を示す。図中、aはトルエン、bは試験管、cは水晶振動子、dは周波数測定装置、である。
【図2】試験管内に、水晶振動子を出し入れした際の周波数の変化を示す。
【図3】香族化合物−層状無機化合物多孔体を検知膜材料として利用したQCMセンサ素子を含むセンサ装置を用いた、トルエンガス流通装置の一例を示す。図中、aは水晶振動子、bは測定セル、cは流量調節装置、dは周波数測定装置、である。
【図4】芳香族化合物−層状無機化合物多孔体を検知膜材料として利用したQCMセンサ素子における周波数の変化を示す。
【図5】スチレン高分子を検知膜材料として利用したQCMセンサ素子における周波数の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、実施例及び比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0042】
プロトン交換したプロトン交換型アイラライト200mgを、テフロン(登録商標)製の遠心管に入れ、へキシルアミン1.2mlを添加した後、該遠心管を封入して、2日間放置した。2日間の後、4,4’−ビス(トリエトキシシリル)ビフェニル0.5mlを、n−へキサン10mlに溶解した溶液を調製し、テフロン(登録商標)製の遠心管に注入し、300rpmの撹拌速度で、7日間撹拌した。
【0043】
撹拌後、溶液を除去し、5日間、室温乾燥した。乾燥後、1mol/lの塩酸エタノール溶液30mlを、テフロン(登録商標)製の遠心管に注入し、該遠心管を密封した後、5日間放置した。放置後、ろ過処理し、得られた白色沈殿を、50℃の乾燥器で、1日、乾燥し、合成物を得た。以下、該合成物を、Biphenylene−ileriteと称する。
【0044】
合成物のX線回折測定を行ったところ、合成物の層間距離は、1.61nmであった。アイラライトの層間距離は、0.74nmであることから、アイラライトの層間に、ビフェニルが固定化されていることが分かった。また、合成物の電子顕微鏡観察を行ったところ、合成物の粒子形状は、アイラライトと同じ板状形態を有していた。また、合成物の窒素ガス吸着測定を行ったところ、そのBET比表面積は、508m/gであった。
【0045】
得られた合成物0.001gを、蒸留水1gに縣濁し、その縣濁液0.025gを、金電極を有する水晶振動子表面に滴下した。滴下後、35℃にて、一晩乾燥した。乾燥後、滴下した表面と反対側の面に対しても同様の処理を行い、水晶振動子の両面に合成物を坦持した芳香族化合物−層状無機化合物多孔体を検知膜材料として利用したQCMセンサ素子を作製した。
【0046】
図1に、芳香族化合物−層状無機化合物多孔体を検知膜材料として利用したQCMセンサ素子を含むセンサ装置の一例を示す。この装置は、トルエンa、試験管b、水晶振動子c、周波数測定装置dにより構成されている。更に、試験管内に、トルエン飽和蒸気を生成させ、その試料管内に、水晶振動子を出し入れすることにより、その際の発振周波数の変化を調べた。その周波数変化を、図2に示す。
【0047】
水晶振動子を試験管内に入れた際に、周波数は急激に減少するが、その後、周波数は、一定となった。これは、検知膜にトルエン分子が吸着し、かつ吸着平衡に達したことを意味する。この際、周波数が一定となるまでに要する時間(吸着平衡時間)は、約300秒であった。更に、水晶振動子を試験管から取り出すと、周波数は増加し、その後、周波数は、一定となった。これは、検知膜からトルエン分子が脱離したことを意味する。この際、脱離に要した時間は、約600秒であった。この操作を6回繰り返したところ、ほぼ同じ周波数応答が観察された。
【0048】
水晶振動子の1回の出し入れによる周波数の変動量は、約500Hzであった。25℃におけるトルエンの飽和蒸気圧下における濃度は、約38000ppmであることから、周波数の変動量から見積もられる感度は、76ppm/Hzであることが確認された。
【実施例2】
【0049】
実施例1と同様の条件にて、テフロン(登録商標)製の遠心管に、プロトン交換したプロトン交換型アイラライト200mgと、へキシルアミン1.2mlを添加した後、該遠心管を封入して、2日間放置した。2日間の後、4,4’−ビス(トリエトキシシリル)エタン0.5mlを、n−へキサン10mlに溶解した溶液を調製し、テフロン(登録商標)製の遠心管に注入し、300rpmの撹拌速度で、7日間撹拌した。撹拌後、溶液を除去し、5日間、室温乾燥した。
【0050】
乾燥後、1mol/lの塩酸エタノール溶液30mlを、テフロン(登録商標)製の遠心管に注入し、該遠心管を密封した後、5日間放置した。放置後、ろ過処理し、得られた白色沈殿を、50℃の乾燥器で、1日乾燥し、合成物を得た。以下、該合成物を、Ethylene−ilerite−1と称する。X線回折測定から、Ethylene−ilerite−1の層間距離は、2.37nmであり、窒素吸着測定から、その比表面積は、968m/gであった。
【0051】
Ethylene−ilerite−1 0.001gを、ジメチルホルムアミド1gに縣濁し、これに、超音波を15分照射した。その後、その縣濁液0.025gを、金電極を有する水晶振動子表面に滴下した。滴下後、40℃にて、一晩乾燥することにより、水晶振動子の片面に合成物を坦持したQCMセンサ素子を作製した。
【0052】
そのQCMセンサ素子を、図1のセンサ装置に接続し、25℃において、トルエン飽和蒸気圧下(38000ppm)で、周波数応答測定を行った。また、試験管を、氷水にて、0℃に冷却し、該試験管内に、0℃のエタノール飽和蒸気圧を生成させ、0℃において、エタノール飽和蒸気圧下で、周波数応答測定を行った。
【実施例3】
【0053】
アルコキシランとして、メチルトリエトキシシラン0.5mlを用い、それ以外は、実施例1と同じ条件にて、メチル基により架橋された合成物を得た。以下、該合成物を、Methyl−ileriteと称する。X線回折測定から、Methyl−ileriteの層間距離は、1.66nmであり、窒素吸着測定から、その比表面積は、596m/gであった。
【0054】
Methyl−ilerite0.001gを、ジメチルホルムアミド1gに縣濁し、これに、超音波を15分照射した。その後、その縣濁液0.025gを、金電極を有する水晶振動子表面に滴下した。滴下後、40℃にて、一晩乾燥することにより、水晶振動子の片面に合成物を坦持したQCMセンサ素子を作製した。
【0055】
そのQCMセンサ素子を、図1のセンサ装置に接続し、25℃において、トルエン飽和蒸気圧下(38000ppm)で、周波数応答測定を行った。また、試験管を、氷水にて、0℃に冷却し、該試験管内に、0℃のエタノール飽和蒸気圧を生成させ、0℃において、エタノール飽和蒸気圧下で、周波数応答測定を行った。
【実施例4】
【0056】
プロトン交換したプロトン交換型アイラライト200mgを、テフロン(登録商標)製の遠心管に入れ、へキシルアミン1.2mlを添加した後、該遠心管を封入して、2日間放置した。2日間の後、アミノフェニルトリメトキシシラン0.25gを、ジクロロメタン13gに溶解した溶液を調製し、テフロン(登録商標)製の遠心管に注入し、300rpmの撹拌速度で、7日間撹拌した。
【0057】
撹拌後、溶液を除去し、5日間、室温乾燥した。乾燥後、エタノール15.8gを、テフロン(登録商標)製の遠心管に注入し、該遠心管を密封した後、70℃で1日間放置した。放置後、ろ過処理し、得られた沈殿を、40℃の乾燥器で、1日、乾燥し、合成物を得た。以下、該合成物を、Aminophenyl−ileriteと称する。X線回折測定から、Aminophenyl−ileriteの層間距離は、1.66nmであり、窒素吸着測定から、その比表面積は、7m/gであった。
【0058】
金電極を有する水晶振動子を、アセトンに浸積して、30分間超音波照射し、その後、蒸留水に浸積して、10分間超音波照射を行った。蒸留水による超音波処理を、更に繰り返した。水晶振動子を、メタノールで洗浄した後、1×10−3mol/lの3−(メルカプトプロピル)トリメトキシシラン/メタノール溶液中に、水晶振動子を、室温で、3時間浸積し、その後、0.1モル/lの塩酸水溶液に、15分浸積し、蒸留水で洗浄した後、40℃で、一晩乾燥した。以上の処理を、親水処理と称する。
【0059】
Aminophenyl−ilerite 0.01gを、蒸留水7gとエタノール5gの混合溶液に縣濁し、これに、超音波を60分照射した。その後、その縣濁液0.025gを、親水処理を施した水晶振動子表面に滴下した。滴下後、40℃にて、一晩乾燥することにより、水晶振動子の片面に合成物を坦持したQCMセンサ素子を作製した。
【0060】
そのQCMセンサ素子を、図1のセンサ装置に接続し、25℃において、トルエン飽和蒸気圧下(38000ppm)で、周波数応答測定を行った。また、温度調節器を、0℃に設定し、試験管内に、0℃のエタノール飽和蒸気圧を生成させ、0℃において、エタノール飽和蒸気圧下で、周波数応答測定を行った。
【実施例5】
【0061】
ジケイ酸ナトリウム2gを、蒸留水100ml中に懸濁し、3時間静置した。その後、遠心分離により、固形分を回収し、更に、その操作を1回繰り返した。固形分を、40℃で、一晩乾燥することにより、カネマイトを得た。セチルトリメチルアンモニウム塩化物1.6gを、蒸留水50mlに懸濁し、これに、カネマイト600mgを加えた後、40℃で、1日間撹拌した。
【0062】
撹拌後、遠心分離した。遠心分離後の固形分に、蒸留水50mlを加え、振とうした後、再度、遠心分離を行い、上澄み液を除去した。これを1回繰り返した。これに、エタノール50mlを加えて、振とうした後、再度、遠心分離して、固形分を回収し、60℃の乾燥器で、一晩乾燥した。以下、合成物を、CTA−kanemiteと称する。
【0063】
窒素ガスにて置換したグローブバック中にて、ジクロロメタン10ml、ピリジン2mlを、テフロン(登録商標)遠心管に移し、これに、ビストリクロロシリルエタン0.4mlを加えた。その後、CTA−ilerite0.2gを加え、上記遠心管を密栓した後、アルゴン雰囲気中、室温で、1日撹拌した。撹拌後、遠心分離により、固形分を回収した。
【0064】
その後、ジクロロメタン、アセトン、1mol/lの塩酸水、エタノールを用いて、上記固形分の洗浄操作を行った後、該固形分を乾燥し、合成物を得た。以下、該合成物を、Ethylene−kanemiteと称する。X線回折測定から、Ethylene−kanemiteの層間距離は、1.54nmであり、窒素吸着測定から、その比表面積は、576m/gであった。
【0065】
Ethylene−kanemite 0.01gを、蒸留水7gとエタノール5gの混合溶液に縣濁し、これに、超音波を60分照射した。その後、その縣濁液0.025gを、親水処理を施した水晶振動子表面に滴下した。滴下後、40℃にて、一晩乾燥することにより、水晶振動子の片面に合成物を坦持したQCMセンサ素子を作製した。そのQCMセンサ素子を、図1のセンサ装置に接続し、25℃において、トルエン飽和蒸気圧下(38000ppm)で、周波数応答測定を行った。
【実施例6】
【0066】
実施例1により得られたBiphenylene−ilerite 0.01gを、蒸留水7gとエタノール5gの混合溶液に縣濁し、これに、超音波を60分照射した。その後、その縣濁液0.025gを、親水処理を施した水晶振動子表面に滴下した。滴下後、40℃にて、一晩乾燥することにより、水晶振動子の片面に合成物を坦持したQCMセンサ素子を作製した。
【0067】
そのQCMセンサ素子を、図1のセンサ装置に接続し、25℃において、トルエン飽和蒸気圧下(38000ppm)で、周波数応答測定を行った。以下の表に、実施例2から6までに得られたセンサ素子のトルエン感度とエタノール感度を示す。
【0068】
【表1】

【0069】
定義した感度[ppm/Hz]においては、値が小さい方が感度は高い。トルエン感度について、実施例2から6のセンサ素子について比較すると、biphenylene−ileriteを坦持したセンサ素子が最も感度が高かった。また、実施例2と3について、エタノールとトルエンの感度を比較すると、両者とも、トルエンに対する感度の方が高かった。
【実施例7】
【0070】
トルエンガス濃度100ppmにおけるセンサ素子の応答試験を行った。この場合、図3に示したトルエンガス流通装置を用いた。図中、aは水晶振動子、bは測定セル、cは流量調節器、dは周波数測定装置、を示す。実施例1で用いたbiphenylene−ileriteを坦持したセンサ素子を用い、これを、図3中の測定セル内に固定し、測定を行った。図4に、その結果を示す。
【0071】
乾燥窒素ガスを、4時間供給し、周波数が安定したのを確認した後、窒素ガスにより100ppmに希釈されたトルエンガスを、測定セル内に供給した。トルエンガス導入後、速やかにセンサ素子が応答し、周波数が減少した。周波数が安定した後、トルエンガス供給を停止し、窒素ガスの供給を行ったところ、センサ素子中のトルエンが脱着することにより、周波数は増加し、一定となった。その際、トルエンガス供給停止から、周波数が一定となるまで、1時間であった。
【0072】
[比較例1]
実施例7と同様の試験を、スチレン高分子を坦持したセンサ素子により行った。その結果を、図5に示す。窒素ガスを供給して安定化させた後、トルエンガスを供給した。センサ素子が応答し、周波数が減少したが、周波数が一定となるまで、4時間を要した。また、トルエンガス供給を停止し、窒素ガスの供給を行なったところ、センサ素子中のトルエンガスの脱着により、周波数が増加し、一定となった。その際、トルエンガス供給停止から、周波数が一定となるまで、3時間を要した。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上詳述したように、本発明は、多孔性有機無機ハイブリッド膜を用いたガスセンサ及びその製造方法に係るものであり、本発明により、層状無機化合物を含む多孔性有機無機ハイブリッド粒子が水晶振動子電極上に積層された構造を有するVOCガスセンサを提供することができる。本発明により得られる、層間に有機残基が存在する層状無機化合物からなる検知膜は、有機残基が固定化することにより、有機親和的な空隙が層間に生成しているため、VOC分子を、その空隙に捕集することが可能であり、また、測定ガス非暴露時には、捕集したVOC分子を容易に脱離させることができるため、良好な応答再現性を示す。上記層状無機化合物は、板状の形態を有するため、その検知膜は、水晶振動上に均一な膜状の形態を形成し、かつ電極と密着して坦持され、良好な感度を発揮する。本発明は、多数回の繰り返し使用にも、良好な応答再現性を示すQCMセンサ素子を利用したVOCガスセンサを提供するものとして有用である。
【符号の説明】
【0074】
(図1の符号)
a:トルエン
b:試験管
c:水晶振動子
d:周波数測定装置
(図2の符号)
a:水晶振動子
b:測定セル
c:流量調節器
d:周波数測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定する対象ガスと層状無機化合物粒子との吸着特性を利用してVOCガス検知を行う水晶振動子(QCM)ガスセンサであって、層状無機化合物の層間に有機残基が挿入、固定されている多孔性有機無機ハイブリッド粒子が水晶振動子電極上に検知膜として積層された構造を有することを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
上記層状無機化合物が、アイラライト、マガディマイト、カネマイト、ケニアイト、マンガン酸化物、又はチタン酸化物であり、該層状無機化合物の層間に、芳香族化合物又は炭化水素化合物の有機残基が挿入、固定化されている、請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
上記層状無機化合物が、層状ポリケイ酸塩のアイラライト、マガディマイト、カネマイト、又はケニアイトである、請求項1又は2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
上記有機残基が、メチル、エチル、プロピル、フェニル、アミノフェニル、又はアセチレン、エチレン、フェニレン、ビフェニレンの有機残基である、請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項5】
上記多孔性有機無機ハイブリッド粒子の比表面積が、7から1000m/gである、請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項6】
測定する対象ガスが、トルエン、キシレン、ベンゼン、エタノール、メタノール、水又はアルデヒドである、請求項1から5のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項7】
測定する濃度が、100ppmから38000ppmの範囲である、請求項1から6のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項8】
測定する対象ガスとして、トルエンガスに選択性を有する、請求項1から6のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項9】
測定する対象ガスに対する層状無機化合物粒子の吸着特性を利用してVOCガス検知を行う水晶振動子ガスセンサを製造する方法であって、有機残基及び層状無機化合物を含む多孔性有機無機ハイブリッド粒子の縣濁溶液を、水晶電極上に滴下、もしくは当該溶液中に電極を浸漬引き上げ後、乾燥することによって、層状無機化合物粒子を水晶振動子電極上に検知膜として積層することを特徴とする水晶振動子ガスセンサの製造方法。
【請求項10】
層状無機化合物の層間に、有機残基が挿入、固定されている多孔性有機無機ハイブリッド粒子の縣濁溶液を用いる、請求項9に記載の水晶振動子ガスセンサの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−80983(P2011−80983A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198055(P2010−198055)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)