説明

多孔質担体、およびそれを用いた精製用吸着体、およびそれらの製造方法、およびそれらを用いた精製方法

【課題】本発明は、抗体等の精製を大スケール且つ高線速下で問題無く行える強度を有し、且つ精製目的物の吸着量が大きい多孔質担体、およびそれを用いた精製用吸着体、およびそれらの製造方法、およびそれらを用いた精製方法を簡便かつ安価に提供することを目的とする。
【解決手段】5%圧縮時の圧縮応力が0.01MPa以上1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.03MPa以上3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が0.06MPa以上5MPa以下である多孔質担体、およびそれを用いた精製用吸着体、およびそれらの製造方法、およびそれらを用いた精製方法を提供した。
好ましい形態として、2官能以上の長鎖架橋剤を作用させて多孔質担体の強度を大きくできる。本発明は抗体などの精製を大スケール、高速、及び低コストで行うことを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアフィニティークロマトグラフィー用吸着体、特に抗体医薬品精製用吸着体に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質担体は各種クロマトグラフィー用吸着体やアフィニティークロマトグラフィー用吸着体として広く用いられている。アフィニティークロマトグラフィー用吸着体は、効率よく目的物を精製、または不要物濃度を低減できることから(例えば非特許文献1参照)、抗体医薬品精製用吸着体として利用されてきている。抗体医薬品市場は近年大きく成長しており、これに伴って、抗体医薬品精製の大スケール化及び高線速化が積極的に行われている。精製の大スケール化及び高線速化に伴って、精製に用いられる吸着体、つまりは多孔質担体の強度を大きくする必要が生じる場合がある。強度が小さい多孔質担体では、大スケール且つ高線速下で使用すると、多孔質担体の圧密化が起こり、液が流れなくなってしまう等の問題が起こる場合がある。従来、強度の大きいゲルとしては、例えば特許文献1に示されるようなシリカゲル系多孔質担体、例えば特許文献2に示されるようなアガロース系架橋多孔質担体、例えば特許文献3に示されるようなセルロース系多孔質担体およびセルロース系架橋多孔質担体等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−281638
【特許文献2】特表2000−508361
【特許文献3】特開平1−217041
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】”アフィニティークロマトグラフィー”、笠井献一ら著、東京化学同人、1991年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シリカゲル系多孔質担体は精製目的物の吸着量が小さい傾向があり、またアルカリ条件で使用が困難な場合が多い。また、従来のアガロース系架橋多孔質担体は架橋方法が煩雑である場合が多く、また高価である場合が多い。また、セルロース系多孔質担体、およびセルロース系架橋多孔質担体は、ガラス系多孔質担体やアガロース系架橋多孔質担体のような短所は少ないものの、最近の抗体医薬品精製で主流となりつつあるスケール及び線速においては、圧密化が生じる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は従来の技術が有する上記課題に鑑みてなされたものであり、抗体等の精製を大スケール且つ高線速下で圧密化を生じること無く行える強度を有し、且つ精製目的物の吸着量が大きい多孔質担体、およびそれを用いた精製用吸着体、およびそれらの製造方法、およびそれらを用いた精製方法を簡便かつ安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、下記発明を提供した。
【0008】
即ち、5%圧縮時の圧縮応力が0.01MPa以上1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.03MPa以上3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が0.06MPa以上5MPa以下である多孔質担体を提供した。
【0009】
これによれば、抗体等の精製を大スケール且つ高線速下で問題無く行える強度を有し、且つ精製目的物の吸着量が大きい精製用吸着体が得られる。
【0010】
また、5%圧縮時の圧縮応力が0.02MPa以上1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.06MPa以上3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が0.1MPa以上5MPa以下である、多孔質担体を提供した。
【0011】
また、官能基数が2以上であり、最も離れている官能基間の原子数が6以上である架橋剤により架橋された、多孔質担体を提供した。
【0012】
また、架橋剤の官能基数が3以上であることを特徴とする、多孔質担体を提供した。
【0013】
また、架橋剤の官能基間に水酸基が存在していることを特徴とする、多孔質担体を提供した。
【0014】
また、架橋剤の水溶率が50%以上であることを特徴とする、多孔質担体を提供した。
【0015】
また、架橋剤の粘度が100mPa・s以上50000mPa・s以下であることを特徴とする、多孔質担体を提供した。
【0016】
また、架橋剤の官能基当量が100以上600以下であることを特徴とする、多孔質担体を提供した。
【0017】
また、架橋剤がグリシジルエーテル系化合物であることを特徴とする、多孔質担体を提供した。
【0018】
また、架橋剤の使用量が担体の体積の0.01倍以上10倍以下であることを特徴とする、多孔質担体を提供した。
【0019】
また、多孔質担体が多糖類を含有することを特徴とする、多孔質担体を提供した。
【0020】
また、多孔質担体がセルロースまたはセルロース誘導体を含有することを特徴とする、多孔質担体を提供した。
【0021】
また、ホルミル基を含有することを特徴とする多孔質担体を提供した。
【0022】
また、体積平均粒径が20μm以上300μm以下であることを特徴とする、多孔質担体を提供した。
【0023】
また、多孔質担体の製造方法を提供した。
【0024】
また、多孔質担体を用いた精製用吸着体を提供した。
【0025】
また、アフィニティーリガンドとしてプロテインAが導入されたことを特徴とする、精製用吸着体を提供した。
【0026】
また、アフィニティーリガンドの導入量が多孔質担体1mL当り、1mg以上1000mg以下であることを特徴とする、精製用吸着体を提供した。
【0027】
また、精製目的物の吸着量が精製用吸着体1mLあたり1mg以上であることを特徴とする、精製用吸着体を提供した。
【0028】
また、精製用吸着体の製造方法を提供した。
【0029】
また、精製用吸着体を用いた精製方法を提供した。
【0030】
また、直径2cm以上及び高さ5cm以上のカラムを用いることを特徴とする、精製方法を提供した。
【0031】
また、線速300cm/h以上で通液する工程を有することを特徴とする、精製方法を提供した。
【0032】
本発明によれば、抗体医薬品等の精製を、大スケール、高速及び低コストで行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、抗体医薬品等の精製を大スケール、高速及び低コストで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例、比較例、参考例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、5%圧縮時の圧縮応力が0.01MPa以上1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.03MPa以上3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が0.06MPa以上5MPa以下である多孔質担体を提供する。
【0036】
本発明者らは、5%圧縮時の圧縮応力が0.01MPa以上1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.03MPa以上3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が0.06MPa以上5MPa以下である多孔質担体によって、大スケール、高線速で精製を行っても圧密化を生じない多孔質担体が得られることを見出した。
【0037】
多孔質担体の5%圧縮時の圧縮応力が0.01MPa以上、10%圧縮時の圧縮応力が0.03MPa以上、および15%圧縮時の圧縮応力が0.06MPa以上であれば、大スケール、高線速で精製を行っても圧密化を生じない多孔質担体が得られる。また、多孔質担体の5%圧縮時の圧縮応力が1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が5MPa以下であれば、脆性が向上し、微粒子発生が抑制できる。
【0038】
ここで、5%圧縮時の圧縮応力とは、多孔質担体が圧縮されて、初期体積より体積が5%減少した時の応力、10%圧縮時の圧縮応力とは、多孔質担体が圧縮されて、初期体積より体積が10%減少した時の応力、15%圧縮時の圧縮応力とは、多孔質担体が圧縮されて、初期体積より体積が15%減少した時の応力である。初期体積とは、多孔質担体を含むスラリーに振動を与えながら、多孔質担体の体積が減少しなくなるまで沈降させて充填した状態の体積である。圧縮時の圧縮応力は、以下の方法で測定しうるものである。
1) 内径15mmのガラス製メスシリンダーに多孔質担体の50vol%のスラリーを投入する。
2) ガラス製メスシリンダーに振動を与えながら、多孔質担体体積が減少しなくなるまで沈降させて充填し、多孔質担体体積が約4mLとなるよう多孔質担体量を調整する。この時の体積を初期体積とする。
3) 金属製ピストン(メスシリンダーの内壁と摩擦を生じず、且つ多孔質担体が漏れないように加工したもの)を、20N用ロードセルを装着したオートグラフ(SHIMADZU製EZ−TEST)に取り付ける。
4) 多孔質担体の120vol%に相当する位置にピストンの底面を合わせる。
5) 気泡が入らないように、試験速度5mm/minでピストンを下降させ、多孔質担体を圧縮して体積を減少させる。
6) 任意の点の圧縮応力を測定する。
【0039】
また、本発明の多孔質担体は、5%圧縮時の圧縮応力が0.01MPa以上1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.04MPa以上3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が0.06MPa以上5MPa以下であることがより好ましく、さらに、5%圧縮時の圧縮応力が0.01MPa以上1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.06MPa以上3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が0.07MPa以上5MPa以下であることが好ましい。特に、繰り返し使用に適しているという理由から、多孔質担体の5%圧縮時の圧縮応力が0.02MPa以上1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.06MPa以上3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が0.09MPa以上5MPa以下であることが特に好ましく、最も好ましくは、5%圧縮時の圧縮応力が0.02MPa以上1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.08MPa以上3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が0.11MPa以上5MPa以下である。また、コストの観点から、5%圧縮時の圧縮応力が0.5MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が1.5MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が2.5MPa以下であることが好ましく、5%圧縮時の圧縮応力が0.2MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.7MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が2MPa以下であることが好ましく、さらに5%圧縮時の圧縮応力が0.1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が2MPa以下であることが特に好ましい。
【0040】
多孔質担体の強度を大きくする方法としては、特に限定は無く、多孔質担体のマトリックス含量(例えば樹脂含量)を大きくする方法等が好ましいが、多孔質担体の細孔径が小さくなり難いという利点から、架橋剤を作用させて多孔質担体の強度を大きくすることがより好ましい。架橋剤や架橋反応条件に特に限定は無く、公知の技術を用いて行うことができる。例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ジクロロヒドリン等のハロヒドリンや、2官能性ビスエポキシド(ビスオキシラン)や、多官能性ポリエポキシド(ポリオキシラン)を挙げることができる。また、本発明者らは、官能基数が2以上であり、最も離れている官能基間の原子数が6以上である架橋剤により架橋された多孔質担体が、大スケール、高線速で精製を行っても圧密化を生じない多孔質担体として好ましいことを見出した。理由は定かではないが、驚くべきことに、架橋剤の官能基数が2以上であると、強度が大きくなりやすいことを本発明者らは発見した。また、理由は定かではないが、最も離れている官能基間の原子数が6以上であると、強度がより大きくなりやすいことを本発明者らは発見した。本発明で使用される、官能基数が2以上であり、最も離れている官能基間の原子数が6以上である架橋剤は特に限定は無いが、例えば、レソルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヒドロゲナートビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルオルトフタレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0041】
また、本発明に用いる架橋剤の官能基数は3以上であることが、多孔質担体の強度がより大きくなる傾向にあるため好ましい。官能基数が3以上である架橋剤は特に限定は無いが、例えば、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0042】
また、本発明に用いる架橋剤は、官能基間に水酸基が存在していることが好ましい。架橋剤の官能基間に水酸基が存在していると、多孔質担体の強度がより大きくなる傾向があるため好ましい。理由は定かではないが、驚くべきことに、架橋剤の官能基間に水酸基が存在していると、多孔質担体の強度がより大きくなりやすいことを、本発明者らは発見した。さらに、架橋剤の最も離れている官能基間に水酸基が存在していることが、より好ましい。理由は定かではないが、驚くべきことに、架橋剤の最も離れている官能基間に水酸基が存在していると、さらに強度が大きくなりやすいことを、本発明者らは発見した。
【0043】
官能基間に水酸基が存在している架橋剤としては、特に限定は無いが、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622等)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル((ナガセケムテックス社製デナコールEX−512、EX−521等)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−421等)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−313、EX−314等)を挙げることができる。
【0044】
また、本発明に用いる架橋剤の水溶率は50%以上であることが好ましい。架橋剤の水溶率が50%以上であると、多孔質担体の強度がより大きくなるため好ましい。特に架橋反応の溶媒に水を用いる場合において、架橋剤の水溶率が50%以上であると、強度がより大きくなる傾向がみられるため好ましい。理由は定かではないが、驚くべきことに、架橋剤の水溶率が50%以上であると、多孔質担体の強度が大きくなりやすいことを、本発明者らは発見した。また、架橋剤の水溶率は60%以上100%以内であることが特に好ましい。ここで、水溶率とは、室温にて水90部に架橋剤10部を溶解させる操作を行ったとき、水に実際に溶解した架橋剤の割合を指す。水溶率が50%以上の架橋剤としては特に限定は無いが、例えば、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−313、EX−314等)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−421等)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−512、EX−521等)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−614、EX−614B等)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−810、EX−811等)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−850、EX−851等)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−861、EX−911、EX−941、EX−920、EX−931等)を挙げることができる。
【0045】
また、本発明に用いる架橋剤の粘度は、100mPa・s以上50000mPa・s以下であることが好ましい。架橋剤の粘度がこの範囲にあると、多孔質担体の強度がより大きくなり、精製用吸着体に用いた場合に、精製目的物の吸着量がより大きくなるため好ましい。理由は定かではないが、驚くべきことに、架橋剤の粘度が100mPa・s以上であると、多孔質担体の強度が大きくなりやすいことを、本発明者らは発見した。また、理由は定かではないが、驚くべきことに、架橋剤の粘度が50000mPa・s以下であれば、多孔質担体を吸着体に用いた場合の精製目的物の吸着量が大きくなりやすいことを、本発明者らは発見した。また、粘度のより好ましい範囲は、100mPa・s以上30000mPa・s以下であり、さらに好ましくは150mPa・s以上25000mPa・s以下であり、特に好ましくは150mPa・s以上5500mPa・s以下である。粘度はヘップラー式またはB型粘度計で測定することができる。粘度が100mPa・s以上50000mPa・s以下である架橋剤としては特に限定は無いが、例えば、レソルシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−201等)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−211等)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−212等)、ヒドロゲナートビスフェノールAジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−252等)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−313、EX−314等)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−321等)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−411等)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−421等)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−512、EX−521等)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622等)、ジグリシジルテレフタレート(ナガセケムテックス社製デナコールEX−711等)、ジグリシジルオルト−フタレート(ナガセケムテックス社製デナコールEX−721等)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−810、EX−811等)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−850、EX−851等)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−861、EX−911、EX−941、EX−920、EX−931等)を挙げることができる。
【0046】
また、本発明に用いる架橋剤の官能基当量は100以上600以下であることが好ましい。架橋剤の官能基当量がこの範囲であると、多孔質担体の強度がより大きくなり、吸着体に用いた場合の精製目的物の吸着量がより大きくなるため好ましい。理由は定かではないが、驚くべきことに、官能基当量が100以上600以下であれば、多孔質担体の強度が大きくなり、精製目的物の吸着量も大きくなりやすいことを、本発明者らは発見した。本発明に用いる架橋剤の官能基当量のより好ましい範囲は100以上500以下であり、さらに好ましい範囲は100以上300以下であり、特に好ましくは130以上〜190以下である。ここで官能基当量とはweight per functional group equivalentであり、架橋剤の分子量÷官能基数で求めることができる。官能基当量が100以上500以下である架橋剤としては特に限定は無いが、例えば、レソルシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−201等)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−211等)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−212等)、ヒドロゲナートビスフェノールAジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−252等)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−313、EX−314等)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−321等)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−411等)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−421等)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−512、EX−521等)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622等)、ジグリシジルテレフタレート(ナガセケムテックス社製デナコールEX−711等)、ジグリシジルオルト−フタレート(ナガセケムテックス社製デナコールEX−721等)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−810、EX−811等)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−850、EX−851等)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−861、EX−911、EX−941、EX−920、EX−931等)を挙げることができる。
【0047】
また、本発明の架橋剤は、グリシジルエーテル系化合物であることが好ましい。グリシジルエーテル系は産業的に容易に得ることができ、効率よく架橋反応が進行するため好ましい。グリシジルエーテル系化合物を含有する架橋剤としては特に限定は無いが、例えば、レソルシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−201等)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−211等)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−212等)、ヒドロゲナートビスフェノールAジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−252等)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−313、EX−314等)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−321等)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−411等)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−421等)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−512、EX−521等)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622等)、ジグリシジルテレフタレート(ナガセケムテックス社製デナコールEX−711等)、ジグリシジルオルト−フタレート(ナガセケムテックス社製デナコールEX−721等)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−810、EX−811等)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−850、EX−851等)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製デナコールEX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−861、EX−911、EX−941、EX−920、EX−931等)を挙げることができる。
【0048】
また、本発明の架橋剤の使用量は多孔質担体の体積の0.01倍以上10倍以下であるであることが好ましい。架橋剤の使用量が担体の体積の0.01倍以上であれば、架橋反応により強度が大きくなりやすいため好ましく、また10倍以下であれば、コストや予期せぬ過激な反応を抑制でき、さらに多孔質担体を吸着体に用いた場合の精製目的物の吸着量が大きくなりやすいため好ましい。また架橋剤の使用量のより好ましい範囲は多孔質担体の体積の0.05倍以上5倍以下、さらに好ましくは0.1倍以上3倍以下、特に好ましくは0.3倍以上2倍以下であり、最も好ましくは0.3倍以上1倍以下である。
【0049】
これら架橋剤を用いて、多孔質担体の強度を大きくする方法は特に限定は無いが、反応効率の観点から、これら架橋剤をアルカリ条件下で担体に作用させることが好ましい。架橋剤の投入方法には特に限定は無く、全使用量を反応初期から投入しても良いし、複数回に分けて反応を繰り返しても良く、また滴下ロート等を用いて、少量ずつ架橋剤を投入しても良く、また架橋剤が投入された反応容器に多孔質担体を投入しても良い。架橋反応の溶媒については特に限定は無いが、水、ヘプタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン等の汎用有機溶媒や、エタノール、メタノール、プロパノール等のアルコールや、これらの2種以上の混合溶媒を用いることができる。また、反応効率を高めるため、ソディウムボロヒドリド等の還元剤を共存させることがより好ましい。架橋反応時の温度については特に限定は無いが、反応速度的に有利であるという理由から0℃以上であることが好ましく、および/または安全性や多孔質担体へのダメージの観点から100℃以下であることが好ましく、官能基が失活し難いという理由から70℃以下であることがより好ましい。架橋反応は攪拌または振とうしながら行うことが好ましく、その1分間当りの回転数または回数は、均一攪拌が可能で、且つ多孔質担体に物理的なダメージが加わらないという理由から50回〜1000回であることが好ましく、より好ましくは100〜500回であるが、各原料の比重の差や多孔質担体の強度に合わせて調整することが特に好ましい。架橋反応時間については、特に限定は無いが、官能基の失活や担体へのダメージが少ないという理由から、ハロヒドリンを用いる場合は、1時間以上8時間以下、ビスエポキシド(ビスオキシラン)やポリエポキシド(ポリオキシラン)を用いる場合は、2時間以上、15時間未満であることが好ましく、架橋剤の反応性や、アルカリの強さや、反応温度に合わせて調整することがより好ましい。
【0050】
本発明の多孔質担体の材質に特に限定は無いが、例えば、多糖類、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、およびこれらの誘導体等を挙げることができる。これらは、ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシ基を有する高分子材料やポリエチレンオキサイド鎖を有する単量体と他の重合性単量体との共重合のようなグラフト共重合体等のコーティング層を有していてもよい。これらの中で多糖類や、ポリビニルアルコール等が、担体表面に活性基を導入しやすいため、好ましく用いることができる。
【0051】
なかでも、本発明の多孔質担体は多糖類を含有することがより好ましい。多糖類は産業的に容易に得ることが可能であり、また生体に対する安全性が高いため好ましい。本発明の多孔質担体に用いることができる多糖類に特に限定は無いが、例えば、アガロース、セルロース、デキストリン、キトサン、キチン、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。
【0052】
また、本発明の多孔質担体は、セルロースまたはセルロース誘導体を含有することがより好ましい。セルロースまたはセルロース誘導体を含有する多孔質担体は、機械的強度が比較的高く、強靱であるため破壊されたり微粒子を生じたりすることが少なく、カラムに充填した場合に液を高線速で流しても比較的圧密化し難いため好ましい。また、強度やコストの観点から本発明の多孔質担体の材質に最も好ましいのはセルロースである。
【0053】
本発明の多孔質担体は、精製用吸着体に用いることができる。精製用吸着体として利用するためには、アフィニティーリガンドを多孔質担体に固定化することが多い。アフィニティーリガンドを固定化する方法は、例えば非特許文献1の表8・1や図8・15に示される臭化シアン法、トリクロロトリアジン法、エポキシ法、トレシルクロリド法等の、様々な固定化法の中から選択することができる。中でも、アミノ基を有するアフィニティーリガンドを固定化する場合において、安全性の観点や、固定化反応の容易さ、比較的容易な方法で産生されたタンパク質リガンドが使用できる等の理由から、担体のホルミル基と、アフィニティーリガンドのアミノ基との反応を固定化に用いることが、産業上好ましい。これらの観点から、本発明の多孔質担体は、ホルミル基を含有することが好ましい。ホルミル基を担体に導入する方法としては、例えば、ビシナルの水酸基を持つ多糖類を過ヨウ素酸酸化法によって酸化し、糖鎖上にホルミル基を生成させる方法(以下糖鎖開裂型と略す)が挙げられる。この方法を介して得られた吸着体は、リガンドの漏れ(リーク)が少ないため好ましい。また、非特許文献1の図8・15に示されるような、グルタルアルデヒドを作用させる方法や、エポキシ基の開環により得られるグリセリル基に過ヨウ素酸塩を作用させる方法等により得られる、各種スペーサーを介してホルミル基を導入する方法(以下、スペーサー型と略す)が挙げられる。このスペーサー型ホルミル基含有担体を用いた吸着体は、比較的、精製目的物質の吸着量が大きい傾向にあり好ましい。また、本発明者らが最近独自に見出した発明によれば、グルコサミン等に代表されるアミノ糖を、スペーサーとして導入し、次いでこのスペーサー上に過ヨウ素酸酸化法によりホルミル基を含有させた多孔質担体を用いることにより、リガンドの漏れが少なく、且つ精製目的物の吸着量も大きい吸着体が得られやすいことが判明している。よってこの本発明者らの最近の発明を、本発明の強度が大きい多孔質担体に応用し、ホルミル基を含有する強度が大きい多孔質担体を得ることが特に好ましい。これら多孔質担体のホルミル基含量は、多孔質担体1mLあたり1μmol以上100μmol以下であることが好ましい。ホルミル基含量が多孔質担体1mLあたり1μmol以上であれば、アフィニティーリガンドを効率よく固定化でき、精製用吸着体として用いた場合に、精製目的物の吸着量が大きくなるため好ましい。また、理由は定かではないが、驚くべきことに、ホルミル基含量が多孔質担体1mLあたり100μmol以下であれば、精製目的物の吸着量が大きくなりやすいことを、本発明者らは発見した。ホルミル基含量のより好ましい範囲は多孔質担体1mLあたり2μmol以上50μmol以下であり、さらに好ましくは2μmol以上40μmol以下であり、特に好ましくは4μmol以上30μmol以下であり、最も好ましくは、5μmol以上25μmol以下である。ホルミル基含量は、pH8の0.1Mリン酸バッファーで置換した多孔質担体2mLと、フェニルヒドラジンを溶解したpH8の0.1Mリン酸バッファー溶液2mLとを接触させ、40℃で1時間攪拌し、UV測定により反応液の上清の278nm付近の吸収極大の吸光度を測定し、これにより得られたフェニルヒドラジンの多孔質担体への吸着量として、見積もっている。この時、フェニルヒドラジンの投入量は予想ホルミル基含量の2倍モルとし、フェニルヒドラジンの投入量に対して、多孔質担体への吸着量が25%以下、または75%以上であった場合は、フェニルヒドラジンの投入量を見直し、再度測定を行うものとしている。
【0054】
また、本発明の多孔質担体は、体積平均粒径が20μm以上300μm以下であることが好ましい。多孔質担体の体積平均粒径が20μm以上であれば、圧密化が起こり難いため好ましく、300μm以下であれば精製用吸着体に用いた場合の精製目的物の吸着量が大きくなるため好ましい。多孔質担体の体積平均粒径のより好ましい範囲は、40μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは60μm以上150μm以下であり、特に好ましくは75μm以上100μm以下であり、最も好ましくは80μm以上95μm以下である。体積平均粒径は、ランダムに選んだ100個の多孔質担体の粒径を測定して求めることができる。個々の多孔質担体の粒径は、個々の多孔質担体の顕微鏡写真を撮影して電子データーとして保存し、粒径測定ソフトウェア(メディアサイバーネティックス社製イメージプロプラス)を用いて、測定することができる。
【0055】
また、本発明者らは以上に述べた本発明の多孔質担体を用いた精製用吸着体をも提供する。本発明の多孔質担体は精製用吸着体に用いることができる。本発明の多孔質担体を用いることができる精製用吸着体としては特に限定は無く、例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー用の吸着体を挙げることができる。本発明の多孔質担体を精製用吸着体として利用するためには、アフィニティーリガンドを多孔質担体に固定化することが多い。固定化できるアフィニティーリガンドに特に限定は無く、所望のアフィニティーリガンドを固定化するために活性化された多孔質担体を用いて、様々なアフィニティーリガンドを固定化することができる。例えば非特許文献1の表8・1、表8・2、図8・15に示されるような、臭化シアン法、トリクロロトリアジン法、エポキシ法、トレシルクロリド法、過ヨウ素酸酸化法、ジビニルスルホン酸法、ベンゾキノン法、カルボニルジイミダゾール法、アシルアジド法等を用いてアミノ基含有リガンドを固定化する方法、エポキシ法、ジアゾカップリング法等を用いて水酸基含有リガンドを固定化する方法、エポキシ法、トレシルクロリド法、ジビニルスルホン酸法等を用いて、チオール基含有リガンドを固定化する方法、アミノ化担体にカルボン酸含有リガンドやホルミル基含有リガンドを固定化する方法等の様々な固定化法を挙げることができる。
【0056】
抗体医薬品精製用吸着体等に用いられる場合のアフィニティーリガンドとしては、特に限定は無いが、例えば、抗体に特異性の高い抗原やタンパク質や、プロテインG、Lやその変異体、抗体結合活性を有するペプチド等を挙げることができる。特に、免疫グロブリン(IgG)を特異的に吸着、溶出できる吸着体として、プロテインAをアフィニティーリガンドとして担体に固定化した吸着体が注目されている。また、抗体医薬精製の分野においては、大スケール、高速、及び低コストが望まれている。このような観点から、本発明の吸着体は、アフィニティーリガンドとしてプロテインAが導入された精製用吸着体であることが好ましい。本発明に用いることができるプロテインAには特に限定は無く、天然物、遺伝子組み換え物等を制限なく使用することができる。また、抗体結合ドメイン及びその変異体を含むもの、融合蛋白質等であってもよい。また、菌体抽出物もしくは培養上清より、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー及び膜分離技術を用いた分子量分画、分画沈殿法等の手法から選択される精製法を組合せ、および/または繰り返すことにより製造された、プロテインAを用いることもできる。特に、国際公開特許公報WO2006/004067や米国特許公報US5151350に記載されている方法で得られたプロテインAであることが好ましい。
【0057】
プロテインAをアフィニティーリガンドとして多孔質担体に導入する方法としては、前述の様々な固定化方法から選択することができるが、より好ましいのは多孔質担体が含有するホルミル基と、プロテインAのアミノ基との反応を利用して固定化を行う方法であり、特に好ましくは、グルコサミン等に代表されるアミノ糖を、スペーサーとして導入し、次いでこのスペーサー上に過ヨウ素酸酸化法によりホルミル基を含有させた多孔質担体を用いて、アフィニティーリガンドとしてプロテインAが導入された精製用吸着体を得る方法である。
【0058】
また、本発明の精製用吸着体のアフィニティーリガンドの導入量は、多孔質担体1mL当り、1mg以上1000mg以下であることが好ましい。アフィニティーリガンドの導入量が多孔質担体1mL当り1mg以上であれば、精製目的物に対する吸着量が大きくなるため好ましく、1000mg以下であれば、製造コストを抑制できるため好ましい。より好ましいアフィニティーリガンドの導入量は、多孔質担体1mL当り2mg以上120mg以下であり、さらに好ましくは3mg以上60mg以下であり、特に好ましくは4mg以上30mg以下であり、最も好ましくは5mg以上15mg以下である。アフィニティーリガンドの導入量は、固定化反応後の反応液上清中のアフィニティーリガンド由来の吸光度を測定することによって求めることができる。また、元素分析法を用いて、アフィニティーリガンドの導入量を求めることができる。例えば、アミノ基含有アフィニティーリガンドであれば、精製用吸着体のN含量分析を行うことにより、アフィニティーリガンドの導入量を測定することができる。
【0059】
また、本発明の精製用吸着体の、精製目的物の吸着量は、精製用吸着体1mLあたり1mg以上であることが好ましい。精製目的物の吸着量が、精製用吸着体1mLあたり1mg以上であれば、効率よく精製が行えるため好ましい。また精製目的物の吸着量が、精製用吸着体1mLあたり1000mg以下であれば、吸着した精製目的物を精製用吸着体から溶出しやすいため好ましい。より好ましい精製用吸着体の、精製目的物の吸着量は、精製用吸着体1mLあたり5mg以上500mg以下であり、さらに好ましくは10mg以上250mg以下であり、特に好ましくは20mg以上150mg以下であり、最も好ましくは30mg以上80mg以下である。精製目的物の吸着量は、pH7.4のリン酸バッファー(シグマ社製)で置換した精製用吸着体0.5mLに対し、70mgの精製目的物を35mLのpH7.4のリン酸バッファー(シグマ社製)に溶解させた溶液を接触させ、25℃で2時間攪拌した後、上清中の精製目的物の減少量を測定することにより求めることができる。
【0060】
本発明の精製用吸着体は、前述したとおり、様々なアフィニティーリガンド固定化反応の中から、適切なものを都度選択して製造することができる。アフィニティーリガンドとしてタンパク質を用いる場合は、タンパク質が失活し難いという観点から、反応温度は反応液の融点以上100℃以下が好ましく、より好ましくは融点以上70℃以下、さらに好ましくは融点以上50℃以下、特に好ましくは融点以上30℃以下、最も好ましくは融点以上15℃以下である。また、アフィニティーリガンドとしてタンパク質を用いる場合の反応液のpHは、タンパク質が失活し難いという観点から、pH2以上13未満であることが好ましく、より好ましくは、pH3以上12未満、さらに好ましくは、pH4以上11以下、特に好ましくは、pH5以上11以下、最も好ましくは、pH6以上11以下である。一方、pHが大きくなるとアフィニティーリガンドの固定化量が大きくなりやすいという観点も加味すれば、反応液のpHは、pH7以上11以下が好ましく、より好ましくは、pH8以上11以下、さらに好ましくはpH9以上11以下、特に好ましくはpH10以上11以下である。アフィニティーリガンドの投入方法には特に限定は無く、全使用量を反応初期から投入しても良いし、複数回に分けて反応を繰り返しても良く、また滴下ロート等を用いて、少量ずつアフィニティーリガンドを投入しても良く、またアフィニティーリガンドが投入された反応容器に多孔質担体を投入しても良い。アフィニティーリガンド固定化反応の溶媒については特に限定は無いが、水、ヘプタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン等の汎用有機溶媒や、エタノール、メタノール、プロパノール等のアルコールや、これらの2種以上の混合溶媒を用いることができる。また、反応効率を上げる目的や、pHの変動を抑制する等の目的で、炭酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩等の少なくとも1種以上を加えることも好ましい。これら塩類の反応液における好ましい濃度は0.001M以上10M以下、より好ましくは0.01M以上5M以下、さらに好ましくは0.05M以上1M以下、特に好ましくは0.1M以上0.5M以下である。また、タンパク質等の高分子化合物をアフィニティーリガンドとして用いる場合、多孔質担体とアフィニティーリガンド間の多点結合を抑制する目的で、食塩等の塩類を加えることも好ましい。これら食塩等の塩類の反応液における好ましい濃度は0.001M以上10M以下、より好ましくは0.01M以上5M以下、さらに好ましくは0.05M以上1M以下、特に好ましくは0.1M以上0.5M以下である。また、ホルミル基含有多孔質担体を用いる場合は、ソディウムボロヒドリドやトリメチルアミンボラン、ジメチルアミンボラン、ピコリンボラン、ピリジンボラン、ソディウムシアノボロヒドリド、ソディウムトリアセトキシボロヒドリド等の還元剤をアフィニティーリガンド固定化反応終了後に添加、または固定化反応時に共存させて、固定化を安定させることが好ましい。また、アフィニティーリガンドの固定化終了後に、多孔質担体上に残存した活性基を不活性化させる目的で、封止剤を作用させることも好ましい。封止剤としては特に限定は無いが、多孔質担体上の活性基と反応する官能基を含有する低分子化合物であることが好ましく、例えば、多孔質担体上の活性基がエポキシ基やホルミル基の場合は、アミノ基を含有する低分子化合物を用いることが好ましく、これの一例として、グリシンやモノエタノールアミン、トリス等を挙げることができる。アフィニティーリガンド固定化反応およびこれに関連する反応(例えば、還元反応や封止反応)は、攪拌または振とうしながら行うことが好ましく、その1分間当りの回転数または回数は、均一攪拌が可能で、且つ多孔質担体に物理的なダメージが加わらないという理由から1回以上1000回以下であることが好ましく、より好ましくは10回以上500回以下、さらに好ましくは25回以上300回以下、特に好ましくは50回以上150回以下であるが、各原料の比重の差や多孔質担体の強度に合わせて調整することが特に好ましい。アフィニティーリガンド固定化反応時間については、特に限定は無いが、アフィニティーリガンドの失活や担体へのダメージが少ないという理由から、0.1時間以上1000時間以下であることが好ましく、より好ましくは0.5時間以上100時間以下、さらに好ましくは1時間以上50時間以下、特に好ましくは1.5時間以上24時間以下、最も好ましくは3時間以上12時間以下であるが、反応性や、pHや、反応温度に合わせて調整することがより好ましい。
【0061】
本発明の精製用吸着体は、アフィニティークロマトグラフィーを用いた各種精製目的物の精製や、非特許文献1に示されるような各種精製方法に利用することができる。さらに、本発明の精製用吸着体は、精製目的物の精製を大スケール、高速及び低コストで行うことを可能とする。
【0062】
よって、本発明の精製用吸着体を用いた精製方法は、直径2cm以上及び高さ5cm以上のカラムを用いることが好ましい。直径が2cm以上及び高さ5cm以上であれば、精製を効率よく行うことができる。また、精製の精度や効率の観点から、カラムの大きさは直径2000cm以下及び高さ5000cm以下であることが好ましい。より好ましいカラムの大きさは直径4cm以上200cm以下、高さ7cm以上300cm以下であり、さらに好ましくは直径8cm以上100cm以下及び高さ9cm以上150cm以下であり、特に好ましくは直径16cm以上85cm以下及び高さ12cm以上85cm以下であり、最も好ましくは直径25cm以上85cm以下及び高さ14cm以上35cm以下である。
【0063】
また、本発明の精製用吸着体を用いた精製方法は、線速300cm/h以上で通液する工程を有することが好ましい。線速300cm/h以上で通液する工程を有していれば、精製を効率よく行うことができるため好ましい。また精製の精度や精製装置の耐久性の観点から、本発明の精製用吸着体を用いた精製は、線速10000cm/h以下で行うことが好ましい。より好ましい精製の線速は400cm/h以上5000cm/h以下、さらに好ましくは500cm/h以上2500cm/h以下、特に好ましくは600cm/h以上1500cm/h以下、最も好ましくは700cm/h以上1200cm/h以下である。
【0064】
本発明の多孔質担体、およびそれを用いた精製用吸着体、およびそれらの製造方法、およびそれらを用いた精製方法は、本発明を用いない場合に比べて、精製のスケール、速度及びコストが著しく改善できる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
体積平均粒径が92μm、樹脂含量が6%、排除限界分子量が5000万の多孔質セルロース担体(チッソ社製CK−A)とRO水の1:1スラリーを、グラスフィルター(TOP社製17G-2)上で15分間吸引ろ過(サクションドライ)した。得られたサクションドライ済みの多孔質セルロース担体を27.4gをポリ容器(サンプラテック社製100mL)に投入し、これに0.6M水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業社製水酸化ナトリウムとRO水で調整)27.4mLを加え、40℃で30分加温した。液温が40℃に加温された後、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬工業社製)を54.8mg、架橋剤としてグリセロールポリグリシジルエーテルを含有するデナコールEX−314(ナガセケムテックス社製)27.4mLの順に加え、恒温振とう機(トーマス科学社製サーモスタティックウォーターバスT−25)を用いて、40℃で5時間、100回/分で振とうしながら反応させた。反応終了後、グラスフィルター(TOP社製17G-2)上で吸引ろ過しながら、多孔質担体の20倍体積量のRO水で洗浄し、目的とする多孔質担体を得た。
【0067】
(実施例2)
架橋剤にトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルを含有するデナコールEX−321(ナガセケムテックス社製)を用いた他は、実施例1と同様の方法で、目的とする多孔質担体を得た。
(実施例3)
架橋剤にジグリセロールポリグリシジルエーテルを含有するデナコールEX−421(ナガセケムテックス社製)を用いた他は、実施例1と同様の方法で、目的とする多孔質担体を得た。
【0068】
(実施例4)
実施例1で作製した多孔質担体を、オートクレーブ(サクラ社製 高圧滅菌器ネオクレーブ)を用いて120℃で40分間加温し、室温まで放冷した後、グラスフィルター(TOP社製17G-2)上で多孔質担体の5倍体積量のRO水で洗浄した。この洗浄後の多孔質担体について、実施例1と同様の方法で更に架橋反応を行い、目的とする多孔質担体を得た。
【0069】
(実施例5)
実施例2で作製した多孔質担体を、オートクレーブ(サクラ社製 高圧滅菌器ネオクレーブ)を用いて120℃で40分間加温し、室温まで放冷した後、グラスフィルター(TOP社製17G-2)上で多孔質担体の5倍体積量のRO水で洗浄した。この洗浄後の多孔質担体について、実施例2と同様の方法で更に架橋反応を行い、目的とする多孔質担体を得た。
【0070】
(実施例6)
実施例3で作製した多孔質担体を、オートクレーブ(サクラ社製 高圧滅菌器ネオクレーブ)を用いて120℃で40分間加温し、室温まで放冷した後、グラスフィルター(TOP社製17G-2)上で多孔質担体の5倍体積量のRO水で洗浄した。この洗浄後の多孔質担体について、実施例3と同様の方法で更に架橋反応を行い、目的とする多孔質担体を得た。
【0071】
(実施例7)
実施例4で作製した多孔質担体を、オートクレーブ(サクラ社製 高圧滅菌器ネオクレーブ)を用いて120℃で40分間加温し、室温まで放冷した後、グラスフィルター(TOP社製17G-2)上で多孔質担体の5倍体積量のRO水で洗浄した。洗浄後の多孔質担体10mLとRO水2.6mLを遠沈管(岩城硝子社製50mL)に入れ、さらに2M水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業社製水酸化ナトリウムとRO水で調整)3.7mLをこれに加えて、40℃で30分加温した。液温が40℃に加温された後、エピクロロヒドリン(和光純薬工業社製)を1.3mL加えて、恒温振とう機(トーマス科学社製サーモスタティックウォーターバスT−25)を用いて、40℃で2時間、100回/分で振とうしながら反応させた。反応終了後、グラスフィルター(TOP社製17G-2)上で、多孔質担体の20倍体積量のRO水で洗浄し、エポキシ化多孔質担体を得た。このエポキシ化多孔質担体をグラスフィルター(TOP社製17G-2)上で、pH10の0.5M炭酸バッファー(和光純薬工業社製の炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムと、RO水で調整)30mLを用いて置換した。置換後のエポキシ化多孔質担体10mLとpH10の0.5M炭酸バッファー10mLを遠沈管(岩城硝子社製50mL)に入れ、さらにD(+)−グルコサミン塩酸塩(和光純薬工業社製)を95mg加え、恒温振とう機(トーマス科学社製サーモスタティックウォーターバスT−25)を用いて、50℃で4時間、100回/分で振とうし、次いで室温で12時間静置して反応させた。反応後、グラスフィルター(TOP社製17G-2)上で、多孔質担体の20倍体積量のRO水で洗浄し、グルコサミン化多孔質担体を得た。得られたグルコサミン化多孔質担体8.5mLとRO水4.3mLを遠沈管(岩城硝子社製50mL)に入れた。次に98mgの過ヨウ素酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を8.5mLのRO水に溶解させ、この過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を遠沈管に加えて、インキュベーター(イワキガラス社製インキュベーターLOW−TEMP ICB−151L)中で、ミックスローター(井内盛栄堂社製バリアブルミックスローターVMR−5)を用いて、25℃で1時間、100回/分で振とうしながら反応させた。反応後、グラスフィルター(TOP社製17G-2)上で、多孔質担体の20倍体積量のRO水で洗浄し、ホルミル基含有多孔質担体を得た。得られたホルミル基含有多孔質担体のホルミル基含量を前述の方法で測定した結果、ホルミル基含量は多孔質担体1mLあたり56μmolであった。このホルミル基含有多孔質担体7.4mLをグラスフィルター(TOP社製17G-2)上で、pH10の0.5Mリン酸+0.15M食塩バッファー(和光純薬工業社製リン酸水素2ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、RO水を用いて調整)30mLで置換した。置換後のホルミル基含有多孔質担体7.4mLとpH10の0.5Mリン酸+0.15M食塩バッファー4.9mLを遠沈管(岩城硝子社製50mL)に入れ、国際公開特許公報WO2006/004067に記載の方法で作製されたプロテインAの濃度が、52.6mg/mLのプロテインA含有溶液(カネカ社製PNXL28)を1.13mL加え、インキュベーター(イワキガラス社製インキュベーターLOW−TEMP ICB−151L)中で、ミックスローター(井内盛栄堂社製バリアブルミックスローターVMR−5)を用いて、4℃で12時間、100回/分で振とうしながら反応させた。反応後の反応液のpHが8になるように4M塩酸(和光純薬工業社製塩酸とRO水で調整)を用いて調整した後、水素化ホウ素ナトリウムを21mg加えて、4℃で1時間、ゆるやかに振とうしながら反応させた。反応後、反応液の277nm付近の吸収極大の吸光度を測定した結果、アフィニティーリガンドであるプロテインAの導入量が、多孔質担体1mL当り、8mgであることがわかった。反応後の多孔質担体をグラスフィルター(TOP社製17G-2)上で、多孔質担体の50倍体積量のRO水で洗浄し、目的とするプロテインA固定化精製用吸着体を得た。得られた精製用吸着体の精製目的物であるIgGの吸着量を前述の方法で求めた結果、精製用吸着体1mLあたり、26mgであることが分かった。
【0072】
(実施例8)
実施例6で作製した多孔質担体を用いて、実施例7と同様の方法で、ホルミル基含量が多孔質担体1mLあたり58μmolのホルミル基含有多孔質担体を得た。次いで実施例7と同様の方法で、アフィニティーリガンドであるプロテインA導入量が多孔質担体1mL当り8mgで、精製目的物であるIgGの吸着量が、精製用吸着体1mLあたり25mgの精製用吸着体を得た。
【0073】
(比較例1)
体積平均粒径が92μm、樹脂含量が6%、排除限界分子量が5000万の多孔質セルロース担体(チッソ社製CK−A)を本発明の比較として用いた。
【0074】
(比較例2)
CK−Aの約1.7倍の樹脂含量を示す多孔質セルロース担体(チッソ社製CK−C)を本発明の比較として用いた。
【0075】
(比較例3)
架橋剤にエピクロロヒドリン(和光純薬工業社製)を用いた他は、実施例1と同様の方法で、多孔質担体を得た。
【0076】
(参考例1)
多孔質アガロース担体に、アフィニティーリガンドとしてプロテインAが導入されている、rProtein A Sepharose Fast Flow(GE Healthcare Bio Sciences AB社製)を参考に用いた。
【0077】
(参考例2)
多孔質アガロース架橋担体に、アフィニティーリガンドとしてプロテインAが導入されている、MabSelect(GE Healthcare Bio Sciences AB社製)を参考に用いた。
【0078】
(圧縮応力測定)
各多孔質担体または精製用吸着体の圧縮応力測定を前述の方法により行った。結果を表1と図1に示す。
【0079】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明はアフィニティークロマトグラフィー分野、特に抗体医薬品精製の分野に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5%圧縮時の圧縮応力が0.01MPa以上1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.03MPa以上3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が0.06MPa以上5MPa以下である多孔質担体。
【請求項2】
5%圧縮時の圧縮応力が0.02MPa以上1MPa以下、10%圧縮時の圧縮応力が0.06MPa以上3MPa以下、および15%圧縮時の圧縮応力が0.1MPa以上5MPa以下である、請求項1に記載の多孔質担体。
【請求項3】
官能基数が2以上であり、最も離れている官能基間の原子数が6以上である架橋剤により架橋された、請求項1または2のいずれか一項に記載の多孔質担体。
【請求項4】
官能基数が3以上である架橋剤により架橋されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質担体。
【請求項5】
官能基間に水酸基が存在している架橋剤により架橋されたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質担体。
【請求項6】
水溶率が50%以上である架橋剤により架橋されたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質担体。
【請求項7】
粘度が100mPa・s以上50000mPa・s以下である架橋剤により架橋されたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多孔質担体。
【請求項8】
官能基当量が100以上600以下である架橋剤により架橋されたことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多孔質担体。
【請求項9】
グリシジルエーテル系化合物である架橋剤により架橋されたことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の多孔質担体。
【請求項10】
架橋剤により架橋された多孔質担体であり、架橋剤の使用量が担体の体積の0.01倍以上10倍以下であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の多孔質担体。
【請求項11】
多孔質担体が多糖類を含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の多孔質担体。
【請求項12】
多孔質担体がセルロースまたはセルロース誘導体を含有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の多孔質担体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の多孔質担体が、ホルミル基を含有することを特徴とする多孔質担体。
【請求項14】
体積平均粒径が20μm以上300μm以下であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の多孔質担体。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の多孔質担体の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の多孔質担体を用いた精製用吸着体。
【請求項17】
アフィニティーリガンドとしてプロテインAが導入されたことを特徴とする、請求項16に記載の精製用吸着体。
【請求項18】
アフィニティーリガンドの導入量が多孔質担体1mL当り、1mg以上1000mg以下であることを特徴とする、請求項16または17のいずれか一項に記載の精製用吸着体。
【請求項19】
精製目的物の吸着量が精製用吸着体1mLあたり1mg以上であることを特徴とする、請求項16〜18のいずれか一項に記載の精製用吸着体。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれか一項に記載の精製用吸着体の製造方法。
【請求項21】
請求項16〜19のいずれか一項に記載の精製用吸着体を用いた精製方法。
【請求項22】
直径2cm以上及び高さ5cm以上のカラムを用いることを特徴とする、請求項21に記載の精製方法。
【請求項23】
線速300cm/h以上で通液する工程を有することを特徴とする、請求項21または22のいずれか一項に記載の精製方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−252929(P2011−252929A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193297(P2011−193297)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【分割の表示】特願2007−125820(P2007−125820)の分割
【原出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】