説明

多機能入力機器

【課題】電力駆動式車両の複数のシステムを操作するための多機能入力機器を提供すること。
【解決手段】入力機器の使用中にアクセス可能なタッチ表面6を含む回転要素4を有する、選択ユニット2を備え、操作選択が該回転要素の回転によって行われる、電力駆動式車両の複数のシステムを操作するための多機能入力機器1であって、該選択ユニットは、該入力機器の使用中にアクセス可能なタッチ表面5を有する主要部3を備え、該回転要素4が、該主要部に対して回転可能であることを特徴とする、入力機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルの特徴を有する、電力駆動式車両の複数のシステムを操作するための多機能入力機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な多機能入力機器は、特許文献1から公知である。入力機器は、軸に対して回転可能であり、旋回可能であり、軸方向に移動可能であるノブを備える。
【0003】
このような入力機器は、多くの車において提供されている。しかしながら、この入力機器は運転手のハンドリングに関する要望にはいずれにせよ適応していないようである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0893750号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、電力駆動式の車両の複数のシステムにおいて優れた選択機能を可能にするにもかかわらず単純に組み立てることができ、かつ容易に操作できるような多機能入力機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、独立請求項1の特徴を有する多機能入力機器によって解決される。
【0007】
驚くことに、本発明の入力機器は、複数部分による構造によって、運転手がアクセス可能であり、かつ相互に対して移動可能であるタッチ表面を提供するが、容易かつ正確に操作できるものである。運転手は、車両の複数のシステム機能において選択を行う間、交通に集中したままでいることが可能である。それにもかかわらず、主要部およびそれに対して回転可能な回転要素が単純な組み立てで実現できる。
【0008】
好ましい実施形態において、主要部はハンドレストを備える。ハンドレストによって、回転要素の快適な操作が可能となる。さらに、ハンドレストによって、入力機器を操作するための運転手の注意が軽減される。運転手の手が入力機器の上に場所を見出せた場合、運転手が手の位置を制御することはもはや必要ではない。
【0009】
好都合にも、主要部は少なくとも1つのボタンを備える。このことによって、主要部上の空間を効率よく利用することができ(すなわち、入力機器の入力要素のコンパクトな構成を実現することができ)、ボタンを容易に見つけることができる。
【0010】
特に好ましくは、回転要素は押ボタン様の方式で主要部に対して移動可能なものであり得る。このことによって、回転要素の回転位置による選択に加え、入力のさらなる可能性が提供される。すなわち、回転要素は統合された機能性を有する。
【0011】
好ましくは、回転要素はリング様、ディスク様またはバレル様の形状を有し得る。このような形状によって、回転要素および主要部の優れた統合性も可能にしつつ回転要素を操作するための快適なタッチ表面が提供される。
【0012】
好ましくは、回転要素は中心部の周辺を回転可能なものであり得る。中心部は、機能的に利用することができ、かつ/または、操作者のためのオリエンテーションとして利用することができる。
【0013】
特に好ましくは、中心部は少なくとも1つのボタンを備え得る。このことによって、中心部の空間を効率よく利用することができる。すなわち、優れたコンパクトさが可能である。さらに、回転要素を操作する手は触覚による方法で少なくとも1つのボタンを容易に見つけることができる。運転手は、上記の少なくとも1つのボタンを見つけようとして入力機器を見るのを控えることができる。
【0014】
好都合にも、中心部は主要部であり得る。このことによって、選択ユニット全体のコンパクトな構造が提供される。
【0015】
特に好ましくは、回転要素は主要部の中央に対して中心をずらして配置され得る。驚くことに、回転要素は、中心をずらして配置されているにもかかわらず容易に操作できる。
【0016】
好ましくは、回転要素は主要部の縁またはその付近に配置され得る。この位置において、回転要素を指先で容易に操作することができる。
【0017】
好ましくは、回転要素のタッチ表面の外部寸法は入力機器に対して休んでいる手の指の操作範囲に対応し得る。このことによって、タッチ表面の任意の位置に指が到達し得る。このことは、指が回転要素に触れ続けることが可能である回転要素の全ての回転位置において回転要素が継続的に回転できるということを意味する。
【0018】
好都合には、回転要素のタッチ表面は約1cm〜9cmの範囲、好ましくは約1cm〜4cmの範囲の直径を有し得る。約1cm〜9cmの範囲の直径では、優れた正確性をもって回転要素を指で操作できる。約1cm〜4cmの範囲の直径では、特に快適な範囲の指の動きによってタッチ表面を操作することができる。
【0019】
特に好ましくは、主要部および回転要素は選択ユニットを支えるベースに対して共に移動可能であり得る。このことによって、回転要素の回転位置に従った選択に加え、さらなる選択を行うことができる。
【0020】
好都合にも、主要部および回転要素はベースに対して共に横方向にシフト可能であり得る。このことは、操作者による、回転要素の回転による選択動作とは明らかに異なる操作動作を可能にする。
【0021】
好都合には、主要部のタッチ表面は一般的なドーム様の形状、好ましくは球形の帽子様の形状を有し得る。このことによって、入力機器上で運転手の手をうまく方向づけることが提供される。
【0022】
特に好都合には、回転要素のタッチ表面は主要部のタッチ表面の形状を一般的に定義する形状を有し得る。このことによって、主要部と回転要素とは共に、入力機器上にある運転手の手をうまく方向付けることを提供する、一般的にはドーム様、好ましくは帽子様の形状を有する。
【0023】
特に好ましくは、回転要素の回転軸は一般的に主要部の外部形状の中央軸と一致するかそれに平行であり得る。そのことによって、主要部の外部形状は、特に操作者の手が回転要素を回転させるために回転されているか主要部上で休んでいて指が回転要素を回転させる円周に沿った動作を実行しているときに、回転要素の優れた操作性がサポートされる。
【0024】
好ましくは、回転要素の回転軸は主要部のタッチ表面の形状の中央軸に対して傾斜し得る。このことによって、特に、指先(指の操作範囲内で移動している)で回転要素を回転させているときに、回転要素の優れた操作性がサポートされる。
【0025】
好都合にも、回転軸は中央軸を横断するものであり得る。このことによって、特に指の長辺を利用することによって回転要素の優れた操作性が可能になる。
【0026】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
入力機器の使用中にアクセス可能なタッチ表面(6、66、66’、96)を含む回転要素(4、64、64’、94)を有する、選択ユニット(2、62、82、92)を備え、操作選択が該回転要素の回転によって行われる、電力駆動式車両の複数のシステムを操作するための多機能入力機器(1、41、61、81、91)であって、該選択ユニットは、該入力機器の使用中にアクセス可能なタッチ表面(5、45、65、65’、95)を有する主要部(3、43、63、63’)を備え、該回転要素(4、64、64’、94)が、該主要部に対して回転可能であることを特徴とする、入力機器。
(項目2)
上記主要部(3、43、63、63’)がハンドレスト(7、47、67、67’)を備えることを特徴とする、項目1に記載の入力機器。
(項目3)
上記主要部(3、43、63、63’)が少なくとも1つのボタン(12、13、14、53、55、56、57、58、59、60、72、73、72’、73’)を備えることを特徴とする、項目1または2に記載の入力機器。
(項目4)
上記回転要素(4、64、64’、94)が押ボタン様の方式で上記主要部(3、43、63、63’)に対して移動可能であることを特徴とする、項目1〜3の少なくとも一項に記載の入力機器。
(項目5)
上記回転要素がリング様、ディスク様、またはバレル様の形状を有することを特徴とする、項目1〜4の少なくとも一項に記載の入力機器。
(項目6)
上記回転要素(4、64、64’)が中心部(3、43、70、70’)の周囲を回転可能であることを特徴とする、項目1〜5の少なくとも一項に記載の入力機器。
(項目7)
上記中心部(3、43、70、70’)が少なくとも1つのボタンを備えることを特徴とする、項目1〜6の少なくとも一項に記載の入力機器。
(項目8)
上記中心部分が上記主要部(3、43)であることを特徴とする、項目6または7に記載の入力機器。
(項目9)
上記回転要素(64、64’、94)が上記主要部(63,63’)の中央に対して中心をずらして配置されていることを特徴とする、項目1〜8の少なくとも一項に記載の入力機器。
(項目10)
上記回転要素(64、64’、94)が上記主要部(63,63’)の縁(68)またはその付近に配置されていることを特徴とする、項目1〜9の少なくとも一項に記載の入力機器。
(項目11)
上記回転要素(64、64’)の上記タッチ表面(66、66’)の外部寸法が上記入力機器に対して休んでいる手(8)の指(9、10)の操作範囲に対応することを特徴とする、項目1〜10の少なくとも一項に記載の入力機器。
(項目12)
上記回転要素(64、64’)の上記タッチ表面(66、66’)が1cm〜9cmの範囲、好ましくは1cm〜4cmの範囲の直径を有することを特徴とする、項目11に記載の入力機器。
(項目13)
上記主要部(3、43、63、63’)および上記回転要素(4、64、64’、94)が、上記選択ユニット(2、62、62’、82、92)を支えるベース(26)に対して共に移動可能であることを特徴とする、項目1〜12の少なくとも一項に記載の入力機器。
(項目14)
上記主要部(3、43、63、63’)および上記回転要素(4、64、64’、94)が上記ベース(26)に対して共に横方向にシフト可能であることを特徴とする、項目13に記載の入力機器。
(項目15)
上記主要部(3、43、63、63’)の上記タッチ表面(5、45、65、65’)が一般的なドーム様の形状、好ましくは球形の帽子様の形状を有することを特徴とする、項目1〜14の少なくとも一項に記載の入力機器。
(項目16)
上記回転要素(4、64、64’、94)の上記タッチ表面(6、66、66’、96)が、一般的に上記主要部の上記タッチ表面の形状を定義する形状を有していることを特徴とする、項目15に記載の入力機器。
(項目17)
上記回転要素(4)の回転軸(22)が一般的に上記主要部(3)の外部形状の中央軸(21)と一致するか平行であることを特徴とする、項目1〜16の少なくとも一項に記載の入力機器。
(項目18)
上記回転要素(64、64’、94)の上記回転軸が上記主要部(63、63’)の上記タッチ表面(65、65’)の形状の中央軸(21)に対して傾斜していることを特徴とする、項目1〜17の少なくとも一項に記載の入力機器。
(項目19)
上記回転軸(100)が上記中央軸(21)を横断することを特徴とする、項目18に記載の入力機器。
【0027】
(摘要)
本発明は、電力駆動式車両の複数のシステムを操作するための多機能入力機器であって、回転要素を有する選択ユニットを備え、回転要素の回転によって操作選択が行われる、多機能入力機器に関する。複数のシステムにおいて優れた選択機能を可能としながらも単純に構成でき、かつ容易に操作できるような多機能入力機器を提供するために、入力機器の使用中にアクセス可能であるタッチ表面を有する主要部を備え、同じく入力機器の使用中にアクセス可能であるタッチ表面を有する回転要素が、主要部に対して回転可能である、選択ユニットを提供することが提案される。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、電力駆動式の車両の複数のシステムにおいて優れた選択機能を可能にするにもかかわらず単純に組み立てることができ、かつ容易に操作できるような多機能入力機器が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、第1の実施形態による本発明の入力機器の平面図である。
【図2】図2は、図1の入力機器の側面図である。
【図3】図3は、図1および図2に示す入力機器の機能を概略的に示す。
【図4】図4は、第2の実施形態による本発明の入力機器の平面図である。
【図5】図5は、図4に示す入力機器の側面図である。
【図6】図6は、第3の実施形態による本発明の入力機器上の斜視図である。
【図7】図7は、使用中の図6の入力機器を示す。
【図8】図8は、第4の実施形態による本発明の入力器の平面図である。
【図9】図9は、第5の実施形態による本発明の入力機器の概略平面図である。
【図10】図10は、図9に示す入力機器の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態を図に示し、以下に説明する。図中には以下のものを示す。
【0031】
本記載では、同一の参照記号を様々な実施形態において類似の部分に対して用いる。
【0032】
図1は、第1の実施形態による本発明の多機能入力機器1を平面図にて示す。入力機器1は、図示されていない電力駆動式車両の複数のシステムを操作するように機能する。複数のシステムは、たとえば空調システム、ナビゲーションシステム、ボードコンピュータ、通信システム(たとえば携帯電話システム)、エンターテインメントシステム(たとえばオーディオシステム)等を含み得る。
【0033】
入力機器1は選択ユニット2を備える。この選択ユニット2を用いて運転手は複数のシステムのオプションおよび機能において選択を行うことができる。選択ユニット2は、主要部3と、主要部3に対して回転可能である回転要素4とを備える。主要部3のそれぞれと回転要素4とは、入力機器1の使用中にアクセス可能であるタッチ表面5および6を備える。すなわち、回転要素4のタッチ表面6は、主要部3のタッチ表面5に対して回転可能である。このことは、ユーザにとってアクセス可能な、複数部分による構造を本発明の入力機器が有することを意味する。
【0034】
主要部3はハンドレスト7を有する。図2に示すように、手8は入力機器を操作しながらハンドレスト7上で休み得る。このことによって、指9および10ならびにそれに関連する腕11が手や腕の重みを支えることを軽減されるため、入力機器の快適な使用が提供される。このことによって、リラックスして入力機器を操作することが可能になる。
【0035】
主要部分全体はハンドレストとして機能し得る。すなわち、ハンドレストのタッチ表面全体が主要部のタッチ表面全体であり得る。しかしながら、主要部3が少なくとも1つのさらなる部分(たとえば少なくとも1つのボタン)を備えることが可能である。本発明の第1の実施形態では、主要部3は3つのボタン12、13、14を備えている。これらのボタンはハンドレスト7付近、つまりハンドレスト7と回転要素4との間に配置されている。ハンドレスト7の部分に囲まれるように1つ以上のボタンを配置することも可能である。
【0036】
少なくとも1つのボタンは主要部3の領域内に配置され得る。入力機器1が操作されているとき、主要部3には手8のうちの少なくとも1つの指9および10が置かれている。第1の実施形態では、ボタン12、13、14は全て指9および10がカバーし得る領域内に配置されている。このことによってボタンを容易に操作することが可能であり、それに関連する指9および10のわずかな動作しか必要とされない。
【0037】
本発明の第1の実施形態では、回転要素4がリング様の形状を有している。回転要素4のタッチ表面6は主要部3のタッチ表面5を囲むように配置されている。主要部3は中心部として機能し、回転要素4はその周囲で回転可能である。
【0038】
入力機器は、少なくとも1つのさらなるボタンを有し得、このボタンは選択ユニットの付近に配置される。図1に示すように、第1の実施形態では、6つのさらなるボタン15〜20が回転要素を部分的に囲むように設けられている。
【0039】
主要部3のタッチ表面5は一般的なドーム様の形状を有し得る。図2に示す第1の実施形態では、タッチ表面5は球形の帽子様の形状を有している。回転要素4のタッチ表面6は、主要部3のタッチ表面5の形状を一般的に定義する外形を有する。すなわち、主要部3と回転要素4とは一般的にドーム様の外形を共に有する。第1の実施形態では、その形状は球形の帽子様の形状である。
【0040】
主要部3の外形は中央軸21を有し、回転要素4は回転軸22を有する。第1の実施形態では、中央軸21と回転軸22とが互いに一致している。これらの軸を互いに平行に設けることも可能である。
【0041】
一般的にドーム様である主要部の外形を提供することによって、手が主要部によってうまく支えられる。特に、ドーム様の外形は手のくぼみにも、手のリラックスした姿勢にも対応するためである。
【0042】
ドーム様の外形と、軸21および22が平行または一致していることとによって、回転要素を回転させる際に主要部に対して手を回転させるときに、手がうまく導かれる。
【0043】
図2に示すものよりも実質的により平坦な外形を有する主要部を設けることも可能である。
【0044】
入力機器の機能性を概略的に図3に示す。回転要素4は、矢印23および24で示すように2方向に回転可能であり、好ましくは、回転要素3は連続して360°以上回転させることができる。
【0045】
破線の矢印25で示すように、回転要素4を、押ボタン様の方法で主要部3に対して移動可能なように設けることができる。このことによって、回転要素4の回転によって行われる選択の他にも入力の機能性が提供される。「オーケイ」機能として回転要素4の押ボタン様の可動性を利用することも可能である。しかしながら、設けられている場合、12〜20のうちの1つを「オーケイ」機能に利用することも可能であり、好ましくは、主要部3のボタン12〜14のうちの1つを利用することが可能である。好都合には、これらのボタンの中心にあるボタン13はそのために利用される。
【0046】
押しボタン様の動きは、たとえば回転要素の回転軸22を横断するか回転軸22に沿う横方向のシフト移動、および/または回転軸22とは異なる軸の周囲での回動移動であり得る。
【0047】
主要部3と回転要素4とは、選択ユニット2を支えるベース26に対して共に移動可能であり得る。少なくとも1方向へのさらなる移動が可能である。図3の矢印27〜34で示すように、第1の実施形態では、主要部と回転要素とは共に8方向へ移動可能である。各方向への動きによって選択が行われる。
【0048】
第1の実施形態では、主要部と回転要素とは共にベース26に対して横方向にシフトできるように移動可能である。
【0049】
図4および図5に本発明の第2の実施形態による多機能入力機器41を示す。第1の実施形態による入力機器に対するこの入力機器41の違いを以下に説明する。
【0050】
入力機器41は、段のついたタッチ表面45を有する主要部43を備える。図5に示すように、主要部43のハンドレスト47は主要部の残りの外表面から外側へ突出している。
【0051】
主要部43は、複数のボタン53、55、56、57、58、59および60を備える。図4に示すように、そのうちの1つのボタン53はハンドレスト47に囲まれている。残りのボタン55、56、57、58、59および60は、ハンドレストの付近、すなわちハンドレスト47と回転要素4との間に配置されている。ボタンは対称に配置され、3つのボタン55,56および57がハンドレスト47の片側に配置され、さらに3つのボタン58、59および50がハンドレスト47の他の片側に配置されている。この配置によってボタンのグルーピングが提供される。
【0052】
ボタン53をハンドレスト47に囲まれるように設けることによって、ボタンが誤って押されるのを防ぐ。したがって、ボタン53は、たとえば他の選択要素を用いて行われる選択と関連して利用される機能のような特別な機能のために用いられる。このような特別機能は「オーケイ」機能であり得る。
【0053】
リング様の回転要素4の外部に、入力機器41は2つのさらなるボタン62および54を備える。
【0054】
図5に示すように、ハンドレスト47に対して距離がある手のくぼみによって入力機器を操作することが可能である。このことはその他の実施形態についても有効である。
【0055】
図6および図7に、本発明の第3の実施形態による多機能入力機器61を示す。第1の実施形態の入力機器に対するこの入力機器61の違いを以下に説明する。
【0056】
第3の実施形態の入力機器61は、主要部63と回転要素64とを有する選択ユニット62を備える。回転要素64は主要部63の中央に対して中心をずらして配置されている。この入力機器では、図6に示すように、回転要素64は、主要部63の縁68の付近に配置されており、回転要素64は主要部63のタッチ表面65に囲まれている。回転要素64を主要部63の外縁69に整列するように配置するか、またはこの外縁69から突出するように配置することも可能である。
【0057】
回転要素64の回転軸(図示せず)は主要部63の中央軸21に対して傾斜している。
【0058】
回転要素64はリング様の形状を有し、中心部70に対して回転可能である。中心部70は1つ以上のボタンを備え得る。第3の実施形態では、中心部70はリング様の形状の回転要素64で囲まれた領域を一般的にカバーする1つのボタン71を備える。好ましくは、ボタン71は「オーケイ」機能のような特別な機能を有する。このことによって、選択を行うために回転要素64を回転させる指はわずかな動きで容易にボタン71を押すことができる。
【0059】
図7は使用中の入力機器61を示す。手8は一般的に、入力機器61を操作するために意図する位置にある。手8の向きに対して、回転要素64は選択ユニット62の前部に配置されている。好ましくは、手の中指および/またはその付近の指で回転要素64を操作することができる。
【0060】
回転要素のタッチ表面66の外部寸法は、タッチ表面を操作する指に関連する操作範囲に対応する。このことによって、回転要素64を回転させる指は、たとえば360°以上連続的に回転要素64を回転させる間、そのタッチ表面66に留まることができる。
【0061】
好ましくは、回転要素64のタッチ表面66は実用的な寸法である約1cm〜9cmの範囲の直径を有し得る。より好ましくは、タッチ表面66は約1cm〜4cmの範囲の直径を有し得る。この寸法は、回転要素64を正確に位置づけることを可能にしつつ回転要素64の快適な操作を可能にする。
【0062】
回転要素をディスク様の形状にすることも可能である。回転要素は、第1の実施形態に関連して記述されたように押しボタン様の方法で、特に、回転軸に沿った方法で移動可能であり得る。このことによって、回転要素はリング様の形状の回転要素64に関連するボタン71の機能を実行することが可能である。リング様の形状の回転要素64を押ボタン様の方法で移動可能なように設けることも可能である。
【0063】
主要部63は、回転要素に隣接して回転要素の両側に配置された2つのさらなるボタン72および73を備える。これらのボタンは、回転要素64を操作する指またはこの指の付近にある指によって容易に操作され得る。
【0064】
図8は本発明の第4の実施形態の多機能入力機器81を示す。この入力機器81に対しては、回転要素およびそれに関連するボタンの配置以外を除き、第3の実施形態の入力機器61に関して概略を述べたのと同じ内容を適用する。そのため、回転要素およびボタンの配置を除く、第3の実施形態に類似した部分についてはアポストロフィのついた参照番号で示している。
【0065】
回転要素64’およびその関連ボタン71’、72’および73’は、図7に示す手8の親指10の領域内の位置に配置されている。すなわち、親指10は回転要素とボタンとを親指の領域内で操作することができる。
【0066】
図9および図10は、本発明の第5の実施形態による多機能入力機器91を概略的に示す。第3の実施形態の入力機器61に対するこの入力機器91の違いを以下に説明する。
【0067】
リング様またはディスク様の形状の回転要素に代えて、第5の実施形態の入力機器91は、主要部63に対して回転可能であるバレル様、好ましくはシリンダー様の形状の回転要素94を有する選択ユニット92を備える。回転要素94のこの周面がそのタッチ表面96である。
【0068】
図10に矢印97および98で示すように、回転要素94は2方向へ連続的に回転させることができる。さらに、回転要素94は、矢印98で示すように押ボタン様の方法で移動可能である。押ボタン様の動きによって、たとえば「オーケイ」機能といった特別な機能を実現することができる。
【0069】
回転要素94の回転軸100も、主要部63の中央軸21に対して傾斜している。好ましくは、回転軸100は中央軸を横断する。
【0070】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【符号の説明】
【0071】
6,66,66’,96 タッチ画面
4,64,64’,94 回転要素
2,62,82,92 選択ユニット
1,41,61,81,91 多機能入力機器
5,45,65,65’,95 タッチ画面
3,43,63,63’ 主要部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力機器の使用中にアクセス可能なタッチ表面(6、66、66’、96)を含む回転要素(4、64、64’、94)を有する、選択ユニット(2、62、82、92)を備え、操作選択が該回転要素の回転によって行われる、電力駆動式車両の複数のシステムを操作するための多機能入力機器(1、41、61、81、91)であって、該選択ユニットは、該入力機器の使用中にアクセス可能なタッチ表面(5、45、65、65’、95)を有する主要部(3、43、63、63’)を備え、該回転要素(4、64、64’、94)が、該主要部に対して回転可能であることを特徴とする、入力機器。
【請求項2】
前記主要部(3、43、63、63’)がハンドレスト(7、47、67、67’)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の入力機器。
【請求項3】
前記主要部(3、43、63、63’)が少なくとも1つのボタン(12、13、14、53、55、56、57、58、59、60、72、73、72’、73’)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の入力機器。
【請求項4】
前記回転要素(4、64、64’、94)が押ボタン様の方式で前記主要部(3、43、63、63’)に対して移動可能であることを特徴とする、請求項1〜3の少なくとも一項に記載の入力機器。
【請求項5】
前記回転要素がリング様、ディスク様、またはバレル様の形状を有することを特徴とする、請求項1〜4の少なくとも一項に記載の入力機器。
【請求項6】
前記回転要素(4、64、64’)が中心部(3、43、70、70’)の周囲を回転可能であることを特徴とする、請求項1〜5の少なくとも一項に記載の入力機器。
【請求項7】
前記中心部(3、43、70、70’)が少なくとも1つのボタンを備えることを特徴とする、請求項1〜6の少なくとも一項に記載の入力機器。
【請求項8】
前記中心部分が前記主要部(3、43)であることを特徴とする、請求項6または7に記載の入力機器。
【請求項9】
前記回転要素(64、64’、94)が前記主要部(63,63’)の中央に対して中心をずらして配置されていることを特徴とする、請求項1〜8の少なくとも一項に記載の入力機器。
【請求項10】
前記回転要素(64、64’、94)が前記主要部(63,63’)の縁(68)またはその付近に配置されていることを特徴とする、請求項1〜9の少なくとも一項に記載の入力機器。
【請求項11】
前記回転要素(64、64’)の前記タッチ表面(66、66’)の外部寸法が前記入力機器に対して休んでいる手(8)の指(9、10)の操作範囲に対応することを特徴とする、請求項1〜10の少なくとも一項に記載の入力機器。
【請求項12】
前記回転要素(64、64’)の前記タッチ表面(66、66’)が1cm〜9cmの範囲、好ましくは1cm〜4cmの範囲の直径を有することを特徴とする、請求項11に記載の入力機器。
【請求項13】
前記主要部(3、43、63、63’)および前記回転要素(4、64、64’、94
)が、前記選択ユニット(2、62、62’、82、92)を支えるベース(26)に対して共に移動可能であることを特徴とする、請求項1〜12の少なくとも一項に記載の入力機器。
【請求項14】
前記主要部(3、43、63、63’)および前記回転要素(4、64、64’、94)が前記ベース(26)に対して共に横方向にシフト可能であることを特徴とする、請求項13に記載の入力機器。
【請求項15】
前記主要部(3、43、63、63’)の前記タッチ表面(5、45、65、65’)が一般的なドーム様の形状、好ましくは球形の帽子様の形状を有することを特徴とする、請求項1〜14の少なくとも一項に記載の入力機器。
【請求項16】
前記回転要素(4、64、64’、94)の前記タッチ表面(6、66、66’、96)が、一般的に前記主要部の前記タッチ表面の形状を定義する形状を有していることを特徴とする、請求項15に記載の入力機器。
【請求項17】
前記回転要素(4)の回転軸(22)が一般的に前記主要部(3)の外部形状の中央軸(21)と一致するか平行であることを特徴とする、請求項1〜16の少なくとも一項に記載の入力機器。
【請求項18】
前記回転要素(64、64’、94)の前記回転軸が前記主要部(63、63’)の前記タッチ表面(65、65’)の形状の中央軸(21)に対して傾斜していることを特徴とする、請求項1〜17の少なくとも一項に記載の入力機器。
【請求項19】
前記回転軸(100)が前記中央軸(21)を横断することを特徴とする、請求項18に記載の入力機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−63773(P2013−63773A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−269859(P2012−269859)
【出願日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【分割の表示】特願2007−29720(P2007−29720)の分割
【原出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(504147933)ハーマン ベッカー オートモーティブ システムズ ゲーエムベーハー (165)