説明

多段給紙ユニットの識別情報設定方式

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多段給紙ユニットを用いる装置における給紙ユニットの選択システムに関し、特に同一のオプション給紙ユニットを重ねて用いる際に有効な多段給紙ユニットの識別情報設定方式に関する。
【0002】
【従来の技術】オプション設定で、多段給紙ユニットをセットする場合に、同一サイズの受信が多量に想定されるファクシミリ装置等においては、同一の給紙ユニットを複数個積み重ねて構成する場合がある。この場合、各段が同一のため、システムは、何段目にどのユニットが当たるのかを選別(設定,選択)する必要がある。従来の多段給紙ユニットを備えた装置(システム)においては、このような場合に、予め定められた優先順序(例えば、上段のものから等)で、給紙ユニットの選択を行っていた。従来は、このような設定,選択は、装置から各給紙ユニットに伝達するシリアル入力データ内にアサインした選択ビットによって行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術では、各給紙ユニットに、予め、上述の選択ビットをアサインしておくことが必要であり、また、この動作を、ハードウェアで行うためには、このためのデータを下段に対して送るハーネスが必要となり、マシン構成が複雑化するという問題があった。本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、従来の技術における上述の如き問題を解消し、専用ハードウェアを設けることなしに、同一のオプション給紙ユニットを重ねて用いる際に有効な多段給紙ユニットの識別情報設定方式を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、数の給紙ユニットを多段に重ねて用いる多段給紙ユニットの識別情報設定方式であって、各給紙ユニットに、装置本体の制御部から送られる給紙ユニット識別情報の記憶手段を設け、装置の立上げ時に、各段の給紙ユニット識別情報をライトしたシリアル入力データを、上段の給紙ユニットから下段の給紙ユニットに向けて順次アクティブとなるイネーブル信号によって対応する給紙ユニットに取り込み、該シリアル入力データにライトされている給紙ユニット識別情報を給紙ユニットの記憶手段に記憶させることを特徴とする多段給紙ユニットの識別情報設定方式、また、前記イネーブル信号は、シリアル入力データにライトされている給紙ユニット識別情報を、対応する給紙ユニットの記憶手段に記憶させたときに、該給紙ユニットから出力され下段の給紙ユニットに送られる信号であることを特徴とする多段給紙ユニットの識別情報設定方式によって達成される。
【0005】
【作用】本発明に係る多段給紙ユニットの識別情報設定方式においては、装置の立上げ時に、上記各給紙ユニットに伝達するシリアル入力データ内に、各段の給紙ユニット識別情報をライトして、該識別情報を各給紙ユニット内の記憶手段内に記憶させるようにしたので、専用ハードウェアを設けることなしに、同一のオプション給紙ユニットを重ねて用いる際に有効な多段給紙ユニットの識別情報設定方式を実現できる。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図2は、本発明の一実施例を示す、多段給紙ユニツト付きファクシミリ装置の概要を示す図であり、1はファクシミリ装置本体、2a〜2dはそれぞれ第1段目〜第4段目の給紙ユニットを示している。なお、3a〜3dは、後述するジャムセンサを示している。図3は、上記装置の本体内部構成を示すブロック図である。図において、12はファクシミリ装置としての基本プログラムや本発明のプログラム等が格納されているROM、13はワークエリアが形成されて、ファクシミリ装置の制御に必要な種々のデータが記憶されるRAM、11は上述のROM内のプログラムに従ってファクシミリ装置の各部を制御し、本発明の処理を実行するCPU、14は原稿を読み取るスキャナ、15はユーザからの操作を入力し、また、情報をユーザに伝える操作・表示部、16は送受信画情報を蓄積するSAFメモリ、17はコピーや受信原稿の印刷を行うプロッタ等の記録部に出力する画情報を、一旦展開するためのページメモリを示している。また、18は通信回線の制御を行う網制御部20を介して、相手ファクシミリ装置との間でファクシミリ信号を交換し、ファクシミリ通信手順を実行する通信制御部、19は上述のプロツタの制御部、21は多段給紙制御部を示している。なお、22〜23は各段の給紙制御部を示している。
【0007】図4は、各段の給紙ユニットに設けられる給紙制御部(22,23,・・・・)の入力側の構成を示すブロック図である。図に示す如く、各給紙制御部22,23,・・・・は、クロック(CLK)の1/8分周回路31,シリアル/パラレル変換レジスタ32,ラッチ33,D−フリップフロップ(F/F)34から構成されており、図の左側はファクシミリ装置本体または前段の給紙制御部に、また、図の右側は次段の給紙制御部に接続される。図5は、上記給紙制御部22,23,・・・・の出力側の構成を示すブロック図である。図に示す如く、給紙制御部21,22,・・・・の出力側は、D−フリップフロップ(F/F)41,パラレル/シリアル変換レジスタ42から構成されており、図の左側は入力側に、また、図の右側は本体のCPU11に接続される。図1に、上述の接続状態を示す。図1中の1段目,2段目と示されている部分が、図4に示した給紙制御部である。図1および図4に示す如く、ファクシミリ装置本体から各オプション給紙ユニットに対して、クロック(CLK),シリアルインプットデータ(SID),ラッチパルス(LATB),リセットパルス(RESB)が入力され、給紙ユニットからは、シリアルアウトプットデータ(SOD)が出力される。
【0008】各信号のタイミングは、図6に示す通りであり、1アクセスをCLK8パルスで行うものとし、8ビットのデータをシリアル入出力する。以下、上述の如く構成された本実施例の動作を説明する。ファクシミリ装置本体から、例えば、電源オン時にリセットパルス(RESB)を入力した後、各段給紙ユニットへのライトモード動作を実行する。ライトモードでは、シリアルインプットデータ(SID)のID0をレベルにセットし、まず、給紙ユニット1段目に対し、SEL0,1,2=(0,0,0)ID1〜3により入力する。このときには、2段目以降の給紙ユニットでは、各enable信号はオフ(レベル)になっているため、前記シリアルインプットデータ(SID),クロック(CLK)は入力されず、2段目以降の給紙ユニットは動作しない。給紙ユニット1段目への書き込みが終了すると、ラッチパルス(LATB)によりD−フリップフロップ(F/F)34がレベルになる。これにより、enable信号がレベルになってフィードバックされ、オアゲート35を介して、ラッチ33への新たな入力がマスクされる。この状態で、給紙ユニット2段目に対して、次のシリアルインプットデータ(SID)のSEL0,1,2=(0,0,1)を入力すると、給紙ユニット1段目には受付けられず、給紙ユニット2段目にのみ入力される。
【0009】上述の動作を繰り返すことにより、SEL0,1,2=(0,0,0)〜(1,1,1)までの、最大8段のうち、いずれに相当するかがセット(ライト)される。なお、各段の給紙ユニットからは、ライトモードにおけるセット完了をシリアルアウトプットデータ(SOD)のOD7により報告する。これにより、システムは、給紙ユニットが何段目までセットされているかを検知できる。また、システムのセットアップが完了し、システムを動作させ、給紙ユニットを選択する際には、シリアルインプットデータ(SID)のID0をレベルにセットし、ID1〜3を各段の給紙ユニットにラッチされているSEL0,1,2と比較することにより、一致したもののみが選択され、動作する。上記実施例によれば、各段給紙ユニットに対し、選択データをシステム・イニシャル時にライトするようにしたので、ハードウェアで行うよりも簡単に、システムが給紙ユニットをセット,選択することが可能になる。なお、上記実施例は本発明の一例を示したものであり、本発明はこれに限定されるべきものではないことは言うまでもないことである。
【0010】次に、上述の如き多段給紙ユニットを有するファクシミリ装置において、いずれかの給紙ユニットにジャム等の障害があった場合の処置について説明する。従来、一部では、このような場合に、SAF(Store And Forword)メモリにより代行受信させるような処置をとっていたが、SAFメモリには容量の制約があり、残量がない場合には受信不可になってしまう。ここでは、ジャム等の障害が発生している給紙ユニット以外の給紙ユニットを用いて受信出力を行う方法を提供するものである。すなわち、ファクシミリ装置本体側には、図2に示す如く、ジャムセンサ3a〜3dを設けておく。以下、本装置の動作を、図7に示すフローチャートに従って説明する。CPU11は、受信データから用紙サイズを決定し、これに対応するサイズの給紙ユニットを選択する(ステップ51)。これを、N段目の給紙ユニットとする。次に、1段目〜N段目までの給紙ユニットにジャムが発生しているか否かをチェックする(ステップ52)。
【0011】ステップ52におけるチェックの結果、ジャム等の障害がなければ、N段目の給紙ユニットを用いて受信を行う(ステップ57)が、障害がある場合には、前述のSAFメモリの容量を調べて(ステップ53)、メモリ残量があれば、代行受信を行う(ステップ58)。また、メモリ残量がない場合には、出力データを、N段目より上段の給紙ユニット(これを、n段目とする)に出力すべく、必要により変倍操作を行い、n段目の給紙ユニットを用いて出力動作を行う(ステップ54,55)。なお、受信データに対応するサイズの給紙ユニットがない場合には、別途処理を行う(ステップ56)。このように構成することにより、SAFメモリの残量がない場合にも、ジャム等の障害が発生している給紙ユニット以外の給紙ユニットを用いて受信出力を行うことが可能になる。この技術は、前述の多段給紙ユニットの選択機能を有するファクシミリ装置に組み合せることも可能である。
【0012】
【発明の効果】以上、詳細に説明した如く、本発明によれば、専用ハードウェアを設けることなしに、同一のオプション給紙ユニットを重ねて用いる際に有効な多段給紙ユニットの識別情報設定方式を実現できるという顕著な効果を奏するものである。
【0013】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である、多段給紙ユニット付きファクシミリ装置の給紙制御部の接続状況を説明する図である。
【図2】実施例の、多段給紙ユニット付きファクシミリ装置の概要を示す図である。
【図3】実施例の、装置本体の内部構成を示すブロック図である。
【図4】各段の給紙ユニットに設けられる給紙制御部の入力側の構成を示すブロック図である。
【図5】各段の給紙ユニットに設けられる給紙制御部の出力側の構成を示すブロック図である。
【図6】実施例の、各信号のタイミング関係を説明するタイミングチャートである。
【図7】本発明の適用が可能な、ジャムセンサを設けた多段給紙ユニット付きファクシミリ装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11:CPU、12:ROM、13:RAM、14:スキャナ、15:操作・表示部、16:SAFメモリ、17:ページメモリ、18:通信制御部、19:プロッタの制御部、20:網制御部、21:多段給紙制御部、22〜23:各段の給紙制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の給紙ユニットを多段に重ねて用いる多段給紙ユニットの識別情報設定方式であって、前記各給紙ユニットに、装置本体の制御部から送られる給紙ユニット識別情報の記憶手段を設け、装置の立上げ時に、前記各段の給紙ユニット識別情報をライトしたシリアル入力データを、上段の給紙ユニットから下段の給紙ユニットに向けて順次アクティブとなるイネーブル信号によって対応する給紙ユニットに取り込み、該シリアル入力データにライトされている給紙ユニット識別情報を前記給紙ユニットの記憶手段に記憶させることを特徴とする多段給紙ユニットの識別情報設定方式。
【請求項2】 前記イネーブル信号は、前記シリアル入力データにライトされている給紙ユニット識別情報を、対応する給紙ユニットの記憶手段に記憶させたときに、該給紙ユニットから出力され下段の給紙ユニットに送られる信号であることを特徴とする請求項1記載の多段給紙ユニットの識別情報設定方式。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図3】
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【図7】
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【特許番号】特許第3204411号(P3204411)
【登録日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【発行日】平成13年9月4日(2001.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−66685
【出願日】平成4年3月25日(1992.3.25)
【公開番号】特開平5−276305
【公開日】平成5年10月22日(1993.10.22)
【審査請求日】平成11年2月23日(1999.2.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【参考文献】
【文献】特開 昭63−264769(JP,A)
【文献】特開 昭63−39496(JP,A)
【文献】特開 平3−232633(JP,A)
【文献】特開 平1−116567(JP,A)
【文献】特開 平2−236614(JP,A)