多段階プロセスを行うための容器のキャップ
本発明の実施形態は、例えばネステッドPCT又はRT−PCRのような試料分析の多段階プロセスを実施するための容器用キャップを提供する。一実施形態では、該キャップが、容器に嵌合して容器内部を閉鎖するように構成された本体、試薬を保持するキャップキャビティ、並びに該キャップキャビティが閉鎖されて該容器内部から流体的に分離される第一段階位置と、該キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置の間で、本体を基準に調整が可能であるキャップキャビティ制御部分を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
該当なし。
【0002】
本願は一般的に、閉鎖状況下で1種以上の核酸の存在について試料を分析するシステム及び方法に関し、より具体的には、当該分析、特に核酸増幅反応、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施するために使用される容器のキャップに関する。
【背景技術】
【0003】
核酸増幅反応は、多くの研究、医療及び工業的用途において欠かせないものである。当該反応は、臨床的研究及び生物学的研究、感染病の検出及び監視、突然変異の検出、癌マーカーの検出、環境モニタリング、遺伝子による同定、生物テロ防御用途における病原体の検出等に使用されている(例えば、非特許文献1;非特許文献2)。特に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、前記の全領域に用途を見出しており、それらには、ウイルス及び細菌の検出、ウイルス負荷のモニタリング、稀な及び/又は培養が困難な病原体の検出、バイオテロ脅威の迅速な検出、癌患者の微小残存腫瘍の検出、食物の病原体検査、輸血用血液のスクリーニング等が含まれる(例えば、非特許文献3;非特許文献4)。PCRに関してこのように幅広く使用されている主な理由としては、その速度及び使い易さ(通常の場合、標準化キットと比較的簡素且つ低コストの器具を使用して数時間以内に実施)、その感度(多くの場合、試料中の標的配列の数十のコピーが検出可能)、並びにその頑健性(低品質試料、又は例えば法医学試料若しくは固定組織試料のような保存試料の分析が容易)がある(非特許文献5)。
【0004】
かかる幅広い用途に反映された核酸増幅技法の進歩にもかかわらず、特に感染病検出、微小残存腫瘍検出、生物テロ防御用途等の領域において、速度及び感度に更なる改善が今尚必要とされている。
【0005】
PCRの感度は、二段階増幅反応においてネステッドプライマーのセットを使用することで有意に改善されている(例えば、非特許文献6)。前記手法では、第一増幅反応の単位複製配列が、新しいプライマーセットを使用する第二増幅反応の試料となり、該プライマーセットの少なくとも一つが第一単位複製配列の内部位置に結合する。前記手法は、感度を増大させる一方で、試薬調製の増加、及び混入配列導入の危険性の増大を招き、偽陽性につながる可能性がある。
【0006】
反応を閉鎖環境内で実施することにより、感度及び偽陽性の低減において有意な改善が得られている。高感度増幅技法の欠点は、非標的配列の不適切な増幅によって偽陽性の試験結果が発生することである(例えば、非特許文献7)。非標的配列の存在は、反応における特異性の不在、又は前の反応からの混入物(即ち、「持ち越し」混入物)、又は周辺環境、例えば水、消耗品、試薬等からの混入物が原因となる場合がある。当該問題は、閉鎖容器内で増幅を実施し、一度試料及び試薬を添加し、容器を密閉したら、更なる反応物又は生成物の調製を行わないようにすることにより緩和することができる。当該操作は、反応混合物中の生成物の量を連続して報告するラベルを使用した「リアルタイム」増幅の出現により、大部分が可能となっている。
【0007】
ネステッドPCR等の幾つかのプロセスは、配列内で実施される二つのプロセスを要する。例えば、従来のネステッドPCRの手順は、外側プライマーを使用して延長した標的配列を増幅する第一ラウンド反応と、内部プライマーを使用して第一ラウンド反応の生成物から内部配列を増幅する第二ラウンド反応を含む、連続した二つの配列増幅プロセスを使用する。内部配列は、延長した配列の端部の一方と重なる場合もあれば、重ならない場合もある。ネステッドPCRの高感度は、所望の生成物の生成に好適であるように、第一及び第二増幅プロセスの反応条件を注意深く制御することにより達成される。不運なことに、ネステッドPCR手順により実現される高感度は、第二の増幅を調整するために、高濃度の第一単位複製配列を収容する反応管を開放して操作する必要があり、混入の可能性を招くことから、潜在的な偽陽性を代償として達成されている。そのため、これが偽陽性結果の有意な原因となっており、分析の信頼性を低下させている。
【非特許文献1】Schweitzerら,Current Opinion in Biotechnology,12:21−27(2001)
【非特許文献2】Koch,Nature Reviews Drug Discovery,3:749−761(2004)
【非特許文献3】Mackay,Clin.Microbiol.Infect.,10:190−212(2004)
【非特許文献4】Bernardら,Clinical Chemistry,48:1178−1185(2002)
【非特許文献5】StrachanおよびRead,Human Molecular Genetics 2(John Wiley&Sons,New York,1999)
【非特許文献6】Albertら,J.Clin.Microbiol.,28:1560−1564(1990)
【非特許文献7】Borstら,Eur.J.Clin.Microbiol.Infect.Dis.,23:289−299(2004)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、容器のキャップ、並びに二段階PCRプロセス、例えば、ネステッドPCRプロセス又は逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)のような試料分析のための多段階反応を実施する方法を提供する。キャップは、反応の各段階の間に容器を開放したり、又は内容物を外部環境に露出したりする必要なく多段階反応を実施して、汚染の危険性を有意に低減することを都合良く可能にする。
【0009】
一態様によれば、本発明は、容器内で試料を反応させる多段階プロセスを提供する。容器は、容器内部を閉鎖するキャップを受容するように構成されている。キャップには本体及びキャップキャビティが含まれ、又キャップは、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離される第一段階位置と、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置の間で調整が可能である。該方法は、第一段階反応を行うための第一段階試薬と混合した試料を容器内部に提供する工程、キャップの本体を容器に嵌合させる工程、並びに容器内部で試料と第一段階試薬との第一段階反応を行う工程を包含する。第一段階反応は、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離される、第一段階位置にキャップがある際に行われる。キャップは、第一段階反応が行われる時に、容器内部を閉鎖する。該方法は更に、キャップキャビティ内に保管された第二段階試薬を、第一段階反応の反応生成物に添加する工程を包含する。第二段階試薬は、キャップキャビティが容器内部から流体的に連結される第二段階位置にキャップを移動し、第二段階試薬を第一段階反応の反応生成物と混合することによって添加される。次に、容器内部において、第一段階反応の反応生成物と第二段階試薬により第二段階反応が行われる。第一段階位置から第二段階位置への移行中に、容器とキャップによる閉鎖系を維持することにより、汚染の危険性は低減される。
【0010】
幾つかの実施形態では、本体に閉鎖底部と開放頂部が含まれ、キャップキャビティが本体内に配置され、閉鎖底部が、第一段階位置において容器内部を閉鎖して、キャップキャビティを容器内部から流体的に分離する。キャップには、好ましくはスパイクに接続した頂部を有するスパイクキャップ部分が含まれ、キャップを第二段階位置に移動する工程は、好ましくは閉鎖底部をスパイクにより貫通して、キャップキャビティを容器内部から流体的に連結させることを包含する。第一段階位置では、スパイクは、好ましくは、閉鎖底部を貫通せずにキャップキャビティ内に配置され、スパイク頂部部分はキャップキャビティを閉鎖している。幾つかの実施形態では、スパイクにより閉鎖底部を貫通する工程が、キャップのドライバーキャップ部分の座面を、スパイクキャップ部分の頂部に押し付けることを包含する。幾つかの実施形態では、着脱式ストッパーが、第一段階位置においてスパイクキャップ部分に取り外し可能なように連結され、該着脱式ストッパーが、キャップキャビティを基準にスパイクキャップ部分を位置決めして、スパイクが第一段階位置において閉鎖底部を貫通しないようにする。着脱式ストッパーをスパイクキャップ部分から取り外すと、スパイクが第二段階位置において閉鎖底部を貫通できるようになる。
【0011】
幾つかの実施形態では、本体に開放キャップチャネルが含まれ、キャップが、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備え、開口部が、キャップキャビティ充填位置において開放されて、容器外部から第二段階試薬を導入する。幾つかの実施形態では、該開口部付きポケット部分が、第一段階位置において開口部が本体側面により閉鎖されて、キャップキャビティを容器内部及び容器外部から流体的に分離するまで、本体の開放キャップチャネル内に移動され、開口部付きポケット部分が、第一段階位置において容器内部を閉鎖している。幾つかの実施形態では、キャップを第二段階位置に移動する工程が、開口部が、第二段階位置において容器内部に露出されるまで、開口部付きポケット部分を第一段階位置から本体の開放キャップチャネル内に更に移動するプロセスを含み、第二段階位置において、開口部付きポケット部分は容器内部を閉鎖している。幾つかの実施形態では、着脱式ストッパーが第一段階位置において開口部付きポケット部分に取り外し可能なように連結され、該着脱式ストッパーが、開放キャップチャネルを基準に開口部付きポケット部分を位置決めして、開口部が第一段階位置において容器内部に露出されないようにする。着脱式ストッパーは、キャップを第二段階位置に移動して、第二段階位置において開口部付きポケット部分の開口部を容器内部に露出させる前に、開口部付きポケット部分から取り外される。
【0012】
幾つかの実施形態では、本体が、内部に第一開口部を含む第一底壁を有する基部を備え、キャップが更に、基部内に挿入される挿入部分を備え、キャップキャビティが挿入部分内に配置され、該挿入部分が、内部に第二開口部を含む第二底壁を有し、キャップを第二段階位置に移動する工程が更に、挿入部分を基部を基準に回転させて、第一開口部と第二開口部を整合し、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させることを包含する。該回転工程は、好ましくは挿入部分の頂部上のノブを捻ることを包含する。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、容器のキャップを提供する。キャップは、容器に嵌合して、容器内部を閉鎖するように構成されている。キャップは、容器に嵌合するように構成された本体、キャップキャビティ、並びにキャップキャビティが容器内部から流体的に分離される第一段階位置と、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置の間で、本体を基準に調整可能なキャップキャビティ制御部分を備える。
【0014】
幾つかの実施形態では、キャップキャビティが本体内に配置され、該本体が閉鎖底部と開放頂部とを有し、閉鎖底部が第一段階位置においてキャップキャビティを容器内部から流体的に分離している。キャップキャビティ制御部分は、好ましくは、スパイクに接続した頂部を有するスパイクキャップ部分を備え、スパイクキャップ部分は、好ましくは、第一段階位置においてスパイクが閉鎖底部を貫通せずにキャップキャビティ内に配置され、且つ頂部がキャップキャビティを閉鎖するように構成されている。幾つかの実施形態では、キャップが更に、本体から上方へ延びる上壁を備え、スパイクキャップ部分の頂部が第一段階位置において上壁の上端と実質的に整合している。上壁は、第一段階位置において、好ましくはスパイクキャップ部分の一部を包囲しており、又、上壁がスパイクキャップ部分を包囲していない開放領域を含んでいる。
【0015】
幾つかの実施形態では、キャップが更に、スパイクキャップ部分と本体の開放領域との間を接続する、例えば可撓性を有する長尺片等のスパイクキャップアームを備える。キャップは、好ましくは更に、スパイクキャップ部分の頂部に押し付けて、スパイクキャップ部分を第一段階位置から第二段階位置へ移動するように構成された座面を有するドライバーキャップ部分;並びに、第二段階位置において閉鎖底部を貫通して、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させるように構成されたスパイクを備える。幾つかの実施形態では、キャップが更に、ドライバーキャップ部分と上壁との間を接続する、例えば可撓性を有する長尺片等のドライバーキャップアームを備える。幾つかの実施形態では、キャップが更に、スパイクキャップ部分と本体との間を接続するスパイクキャップアームを備え、スパイクキャップアームとドライバーキャップアームは、互いにほぼ対向して配置されている。
【0016】
幾つかの実施形態では、キャップが更に、スパイクキャップ部分に取り外し可能なように連結された着脱式ストッパーを備え、該着脱式ストッパーが、キャップキャビティを基準にスパイクキャップ部分を位置決めして、スパイクが第一段階位置において閉鎖底部を貫通しないようにする。着脱式ストッパーをスパイクキャップ部分から取り外すと、スパイクが第二段階位置において閉鎖底部を貫通できるようになる。幾つかの実施形態では、キャップキャビティ制御部分が更に、該キャップキャビティが容器外部から試薬を受容するように該キャップキャビティが開放された充填位置に配置するように、本体を基準に調整が可能である。幾つかの実施形態では、キャップが更に、本体側部に連結された固定部材を備え、該固定部材が、本体を容器に固定するように構成されている。幾つかの実施形態では、キャップキャビティが、容器内部で第一段階反応が実施された後、第二段階反応を実施するための第二段階試薬(例えば、乾燥形態又は凍結乾燥形態の試薬)を収容する。
【0017】
幾つかの実施形態では、本体に開放キャップチャネルが含まれ、キャップキャビティ制御部分が、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備える。開口部付きポケット部分は、キャップキャビティ充填位置において、本体の開放キャップチャネル内に部分的に挿入され、ここで開口部は、容器外部から試薬を導入するために開放されている。開口部付きポケット部分は、第一段階位置において、開口部が本体側面により閉鎖されて、キャップキャビティを容器内部及び容器外部から流体的に分離するまで、キャップキャビティ充填位置から本体の開放キャップチャネル内に更に移動可能である。開口部付きポケット部分は、第二段階位置において、開口部が容器内部に露出されるまで、第一段階位置から本体の開放キャップチャネル内に更に移動可能である。幾つかの実施形態では、着脱式ストッパーが開口部付きポケット部分に取り外し可能なように連結され、該着脱式ストッパーが開放キャップチャネルを基準に開口部付きポケット部分を位置決めして、開口部が第一段階位置において容器内部に露出されないようにする。開口部付きポケット部分は、好ましくは、第一段階位置及び第二段階位置において容器内部を閉鎖するように構成されている。
【0018】
幾つかの実施形態では、本体が、内部に第一開口部を含む第一底壁を有する基部を備え、キャップキャビティ制御部分が、基部内に挿入される挿入部分を備え、キャップキャビティが挿入部分内に配置され、挿入部分が、内部に第二開口部を含む第二底壁を有し、挿入部分が、第一段階位置において第一開口部と第二開口部をずらして、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離されるように、又、第二段階位置において第一開口部と第二開口部を整合して、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結されるように、基部を基準に回転可能なように調整される。幾つかの実施形態では、キャップが更に、挿入部分の頂部の上に配置された、挿入部分を回転させるためのノブを備える。
【0019】
別の態様によれば、本発明は、容器のキャップを提供する。キャップは、容器に嵌合して容器内部を閉鎖するように構成されている。キャップは、容器に嵌合するように構成された本体、キャップキャビティ、及びキャップキャビティが閉鎖されて容器内部から流体的に分離される第一段階位置から、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置へ、キャップを切り替える制御手段を備える。キャップは、好ましくは更に、第一段階位置及び第二段階位置において容器内部を閉鎖するための手段を備える。
【0020】
幾つかの実施形態では、本体に閉鎖底部及び開放頂部が含まれ、キャップキャビティは本体内に配置されている。制御手段は、好ましくは、第一段階位置から第二段階位置へ移動して、閉鎖底部を貫通し、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させることが可能なスパイクを備える。キャップは又、好ましくは、キャップキャビティが開放して、容器外部から試薬を受容する充填位置に切り替わることも可能である。幾つかの実施形態では、キャップキャビティが、容器内部で第一段階反応が実施された後、第二段階反応を実施するための第二段階試薬(例えば、乾燥形態又は凍結乾燥形態の試薬)を収容する。
【0021】
幾つかの実施形態では、本体に開放キャップチャネルが含まれ、制御手段が、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備える。開口部付きポケット部分は、第一段階位置において、開口部が本体側面により閉鎖されて、キャップキャビティを容器内部及び容器外部から流体的に分離するまで、本体の開放キャップチャネル内に移動可能である。開口部付きポケット部分は、第二段階位置において、開口部が容器内部に露出されるまで、第一段階位置から本体の開放キャップチャネル内に更に移動可能である。幾つかの実施形態では、着脱式ストッパーが開口部付きポケット部分に取り外し可能なように連結され、該着脱式ストッパーが開放キャップチャネルを基準に開口部付きポケット部分を位置決めして、開口部が第一段階位置において容器内部に露出されないようにする。開口部付きポケット部分は、好ましくは、第一段階位置及び第二段階位置において容器内部を閉鎖するように構成されている。
【0022】
幾つかの実施形態では、本体が、内部に第一開口部を含む第一底壁を有する基部を備え、制御手段が、基部内に挿入される挿入部分を備え、キャップキャビティが挿入部分内に配置され、挿入部分が、内部に第二開口部を含む第二底壁を有し、挿入部分が、第一段階位置において第一開口部と第二開口部の位置をずらして、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離されるように、又、第二段階位置において第一開口部と第二開口部を整合して、キャップキャビティを容器内部に流体的と連結されるように、基部を基準に回転可能なように調整される。幾つかの実施形態では、キャップが更に、挿入部分の頂部上に配置された、挿入部分を回転させるためのノブを備える。
【0023】
本発明は、例えば、参照として本明細書に組み入れられる、同一出願人による同時係属の、2004年10月27日に出願され、「Closed−System Multi−Stage Nucleic Acid Amplification Reactions」と題された米国特許出願公開第60/622,393号に記載される、閉鎖系多段階核酸増幅反応の実施時に特に有用である。
【0024】
本明細書に使用される「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」は、DNA相補鎖の同時のプライマー伸張による、特定のDNA配列のインビトロでの増幅のための反応を意味する。換言すれば、PCRは、プライマー結合部位に隣接する標的核酸の多数のコピー即ち複製を生成するための反応であり、当該反応は、以下の工程の一つ以上の反復を含む:(i)標的核酸を変性する、(ii)プライマーをプライマー結合部位にアニーリングする、及び(iii)ヌクレオシドトリホスフェート存在下で、核酸ポリメラーゼによりプライマーを伸張する。通常、反応は、サーマルサイクラー機器内で、各工程に最適な異なる温度でサイクルされる。各工程における特定の温度、継続時間、及び工程間での変化率は、例えば参考文献:McPhersonら,editors,PCR:A Practical Approach(IRL Press,Oxford,1991)及びMcPhersonら,editors,PCR 2:A Practical Approach(IRL Press,Oxford,1995)により例示されている、当業者周知の多数の要因に依存する。例えばTaq DNAポリメラーゼを使用した従来のPCRでは、二本鎖の標的核酸は、90℃を超える温度で変性され、プライマーは50〜75℃の範囲内の温度でアニールされ、プライマーは72〜78℃の範囲内の温度で伸張され得る。「PCR」という用語は、非限定的にRT−PCR、リアルタイムPCR、ネステッドPCR、定量PCR、マルチプレックスPCR等を含む反応から派生した形態の反応を包含する。反応容積は、数百ナノリットル、例えば、200nLから、数百マイクロリットル、例えば、200μLの範囲にわたる。「逆転写PCR」又は「RT−PCR」は、標的RNAを相補的な一本鎖DNAに転換することが先行し、次に該DNAを増幅する、例えば参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,168,038号(Tecottら)の逆転写反応PCRを意味する。「リアルタイムPCR」は、反応の進行中に反応生成物、即ち単位複製配列の量が監視されるPCRを意味する。主として反応生成物の監視に使用される検出用化学物質が異なる、多数の形態のリアルタイムPCRが存在する(例えば、全体が参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,210,015号(Gelfandら)(「taqman」);米国特許第6,174,670号及び米国特許第6,569,627号(Wittwerら)(インターカレーション色素);米国特許第5,925,517号(Tyagiら)(分子指標))。リアルタイムPCRの検出用化学物質は、同様に参照として本明細書に組み入れられるMackayら,Nucleic Acids Research,30:1292−1305(2002)にて概説されている。「ネステッドPCR」は、第一PCRの単位複製配列が、新しいプライマーセットを使用する第二PCRの試料となり、該プライマーセットの少なくとも一つが第一単位複製配列の内部位置に結合する二段階PCRを意味する。ネステッド増幅反応に関連した「第一プライマー」は、第一単位複製配列の生成に使用されるプライマーを意味し、「第二プライマー」は、第二の、即ち入れ子状態の単位複製配列の生成に使用される1種以上のプライマーを意味する。「マルチプレックスPCR」は、複数の標的配列(又は一つの標的配列及び1種以上の基準配列)が、同一反応混合物中で同時に実施されるPCRを意味する(例えば、Bernardら,Anal.Biochem.,273:221−228(1999)(2色リアルタイムPCR))。通常、増幅される各配列には、異なるプライマーのセットが使用される。一般的に、マルチプレックスPCRの標的配列の数は、2〜10、又は2〜6、又はより一般的には、2〜4の範囲内にある。「定量PCR」は、試料又は標本中の多数の1種以上の特定の標的配列を測定するよう指定されたPCRを意味する。定量PCRは、当該標的配列の絶対定量及び相対定量の両方を含む。定量的測定は、標的配列とは別個に、又は一緒にアッセイし得る1種以上の基準配列を使用して実施される。基準配列は、試料又は標本の内部又は外部を起源とし得、後者の場合、1種以上の競合鋳型を含み得る。典型的な内因性基準配列は、以下の遺伝子の転写産物のセグメントを含む:β−アクチン、GAPDH、β2−ミクログロブリン、リボソームRNA等。定量PCRの技法は、参照として本明細書に組み入れられる以下の参考文献に例示されているように、当業者に周知である:Freemanら,Biotechniques,26:112−126(1999);Becker−Andreら,Nucleic Acids Research,17:9437−9447(1989);Zimmermanら,Biotechniques,21:268−279(1996);Diviaccoら,Gene,122:3013−3020(1992);Becker−Andreら,Nucleic Acids Research,17:9437−9446(1989);等。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
発明の詳細な説明
図1〜図5に、本発明の第一実施形態に基づくキャップ10を示す。キャップ10は、それが核酸分析装置に追加する機能及び性能により、ブースターキャップと称され得る。キャップ10は、キャップキャビティ16としての役割を果たす本体キャップキャビティを形成する、閉鎖底部14を有する本体12を備える。キャップキャビティ16は、試薬を受容する容器である。試薬は、液体形態(例えば、水溶液)、又は乾燥若しくは凍結乾燥形態(例えば、凍結乾燥ビーズの形態)であり得る。固定部材18が本体12の側部に配置され、本体12の側部から外側へ離間されたフック等として形成され得る。スパイクキャップ部分20は、スパイクキャップアーム22により本体12に接続されている。スパイクキャップ部分20には、閉鎖頂部24と、鋭い先端を有するスパイク26が含まれる。スパイクキャップアーム22は、スパイクキャップ部分20を図1の開放位置と、図4及び図5の位置の間で移動することを可能にする可撓性を有する長尺片である。ドライバーキャップ部分30は、ドライバーキャップアーム32により本体12に接続され、且つ座面34を含む。ドライバーキャップアーム32は、キャップ部分30を図1の開放位置と、図5の第二段階位置の間で移動することを可能にする可撓性を有する長尺片である。スパイクキャップアーム22及びドライバーキャップアーム32は、任意の適切な様式で本体12に接続され得る。図示する構成では、スパイクキャップアーム22は、本体12の上端に、ドライバーキャップアーム32は、ドライバーキャップアーム32は、本体12の上端から上方に延びる上壁36に接続されている。上壁36は、望ましくは、スパイクキャップアーム22が本体12に接続された領域において開放されている。ドライバーキャップアーム32は、スパイクキャップアーム22のほぼ反対側に配置されるが、アームの配向は、別の実施形態では異なり得る。
【0026】
図6〜図9に、閉鎖条件下で、試料を1種以上の核酸の存在について分析する多段階反応、特に例えばネステッドPCR、RT−PCR等を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような核酸増幅反応を実施するためのキャップ10を示す。一般的に、本発明のキャップは、容器内部(例えば、反応チャンバ)と、容器内部に試料及び試薬を添加するための開口部(例えば、孔)とを有する任意の種類の容器と共に使用するように構成され得る。本発明の方法及びキャップに適した様々な反応容器が当該技術分野で公知であり、及び/又は市販されている(例えば、試験管、反応管、カートリッジ、ガラス製キャピラリ管、プラスチック容器等)。特定の例示的実施形態では、容器50が、参照として開示内容が本明細書に組み入れられる、同一出願人による米国特許第6,369,893号「Multi−Channel Optical Detection System」に開示されている反応容器となる。本発明のキャップ及び方法に適切な、当該技術分野で公知及び/又は市販されている多数の他の種類の反応容器が存在し、本発明の範囲は、図示する特定の容器に限定されないことを理解すべきである。キャップは、容器に嵌合して、容器内部を閉鎖するように構成されているため、容器内部は、多段階反応中、容器の外部環境に対して閉鎖状態を維持する。好ましい実施形態では、キャップ10が、容器の孔内に挿入されるように構成された本体を有する。しかしながら、本発明のキャップ及び方法は、この好ましい実施形態に限定されないことを理解するべきである。以下の実施形態を含むが、これらに限定されない、キャップを容器に嵌合させて容器内部を閉鎖し得る多数の他の方法が存在する:キャップは、容器上又は容器内にねじ止めし得る。キャップは、容器内、容器上、又は容器の上部に圧入され得る。キャップは、容器上、容器内、又は容器と同一平面にスナップ嵌めされ得る。キャップは、容器上に付着、接着、融着され、又は容器内に融着され得る。
【0027】
図6において、容器50は、その内部へ至る開口部又は孔52と、キャップ10の固定部材18と係合するように構成された出っ張り又はフィン54を有する。多段階反応で分析される試料は、管58、注射器、ピペット等によって、孔52を経由して容器内部に導入される。試料は、容器内部に配置される前に、多段階反応の第一段階を行うための第一段階試薬と混合されても、又は容器内部で第一段階試薬と混合されてもよい。例えば、第一段階試薬は、液体、乾燥形態、又は凍結乾燥形態で容器内部に保管され得、従って試料を容器内部の試薬に添加して混合する必要があるのみである。何れの場合でも、第一段階試薬は、意図する第一段階反応を試料と共に実施する上で十分でなければならない。例えば、多段階反応がネステッドPCRの場合、第一段階試薬は、第一PCRの実施に必要な酵素及びプライマーを含む。別の例として、意図する多段階反応がRT−PCRの場合、第一段階試薬は、逆転写を実施する上で十分である。次に、図7に示すように、孔52をキャップ10で閉鎖して、容器内部に閉鎖系を提供する。好ましくは、キャップ10の固定部材18が容器50のフィン54と係合して、容器50にキャップ10を固定する。これは、キャップ10を押し付けて容器50の孔52に嵌合させ、ここで固定部材18とフィン54は、ずれた位置にあり(例えば、90°のずれ)、次いで固定部材18とフィン54が互いに係合するまでキャップ10を捻ることにより行い得る。場合により、ストッパーはキャップキャビティ16に配置し、キャップ10が容器10と連結された後に取り外して、キャップキャビティ16が露出される。図7に示すように、多段階反応の第二段階を行うための第二段階試薬は、容器50外部から、キャップキャビティ充填位置にあるキャップ10のキャップキャビティ16内に導入される。代替の実施形態では、第二段階試薬が、製造時にキャップキャビティ16内に配置され、エンドユーザは、試薬が予め充填されているため、試薬をキャップキャビティ16内に充填する工程を省略し得る。何れの場合でも、第二段階試薬は、意図する第二段階反応を第一段階反応の反応生成物と実施する上で十分である必要がある。例えば多段階反応がネステッドPCRの場合、第二段階試薬は、ネステッド核酸配列の増幅に必要な、第二段階反応酵素及びプライマーを含む。別の例として、意図する多段階反応がRT−PCRの場合、第二段階試薬は、第一段階の逆転写反応で生成したDNAのPCR増幅を実施する上で十分である。第二段階試薬は、液体、乾燥体、又は凍結乾燥形態であり得る。試薬が乾燥形態又は凍結乾燥形態の場合、エンドユーザは、緩衝液(例えば、水)をキャップキャビティ16に添加して、試薬を再構成し得る。図8において、キャップ部分20のスパイク26は、キャップキャビティ16内に押し付けられて、キャップキャビティ16を第一段階位置にて閉鎖している。第一段階位置において、キャップ部分20の頂部24は、上壁36の上端と概ね整合している。上壁36は、スパイクキャップ部分20の一部を、望ましくは周囲の半分を超えて(即ち、180°を超えて)包囲している。上壁36は、スパイク26が閉鎖底部14を貫通しないような位置にスパイクキャップ部分20の停止部24を配置する高さを有する。
【0028】
図9では、ドライバーキャップ部分30の座面34が、スパイクキャップ部分20の閉鎖頂部24と接触した状態で配置されて、スパイク26を押し付けて閉鎖底部14を容器内部に貫通させ、第二段階位置において、第二液体試薬を容器内部に導入する。ドライバーキャップ部分30は、スパイクキャップ部分26を第二段階位置に移動して、底部14を貫通できるようにする高さを有する。上壁36は、好都合なことに、該上壁がスパイクキャップアーム22に対面する領域において開放しているため、スパイクキャップ部分20及びスパイクキャップアーム22の下方向の動きを妨害しない。スパイクキャップ部分20は、図7のキャップキャビティ充填位置、図8の第一段階位置、及び図9の第二段階位置間で、本体12を基準に移動可能である。
【0029】
図10は、図8に示した第一段階位置においてキャップ10で閉鎖容器50の断面図である。スパイクキャップ部分20のスパイク26は、キャップキャビティ16内に配置され、該キャップキャビティは、閉鎖底部14により容器内部60から流体的に分離されている。第一段階位置において、容器50は、容器内部60内にて、第一液体試薬と試料との間で、例えば第一段階PCR反応又はRT反応等の第一反応を進行させるために使用され得る。容器内で必要な反応温度を制御するための温度制御システム又は熱循環装置は、当該技術分野で周知である。
【0030】
図11は、図9に示した第二段階位置においてキャップ10で閉鎖容器50の断面図である。鋭い先端が本体12の閉鎖底部14を穿孔又は破壊して、容器内部60に入り込んでいる。これにより、第二段階位置において、第二段階試薬が容器内部60内に放出される。容器50は、通常スピナー又は遠心分離器内に配置されて、第二段階試薬が容器内部60の第一段階反応の反応生成物と混合される。次いで、容器50は、該容器50を温度制御システム(例えば、熱循環装置)と連結させることにより、閉鎖容器内部60で、例えば第二段階PCR反応等の第二反応を行うように使用され得る。容器内部60は、第一段階位置から第二段階位置へ移行する間、閉鎖系を維持するため、汚染の問題は存在しない。
【0031】
図12及び図13に示す別の実施形態では、キャップ110に、閉鎖底部114及びキャップキャビティ116の役割を果たす本体キャップキャビティを有する本体112が含まれる。本実施形態は、固定部材を図示していないが、固定部材を備えることもできる。スパイクキャップ部分120は、スパイクキャップアーム122により本体112に接続されている。スパイクキャップ部分120には、閉鎖頂部124と、鋭い先端を備えたスパイク126が含まれる。スパイクキャップアーム122は、スパイクキャップ部分120を、図14の開放位置と、図15及び図16の位置の間で移動させる可撓性長尺片である。スパイクキャップアーム122は、任意の適切な様式により本体12に接続され得る。図示する構成では、スパイクキャップアーム122は、本体112の上端に接続されている。着脱式ストッパー又はクリップ130は、カップリング部分132及びストッパー部分134を備える。カップリング部分132は、スパイクキャップ部分120に取り外し可能なように連結されている。図示する実施形態では、カップリング部分132がクリップであるが、他の実施形態では、その他の着脱式カップリング機構も使用される場合がある。
【0032】
図14〜図16に、閉鎖条件下で試料の1種以上の核酸の存在を分析する二段階プロセスを実施するためのキャップ110の使用を示す。再度、図6の容器50を参照すると、多段階反応で分析するべき試料は、管58、注射器、ピペット等により、孔52を介して容器内部に導入される。試料は、容器内部60に配置される前に、多段階反応の第一段階を実施するための第一段階試薬と混合されても、又は容器内部60で第一段階試薬と混合されてもよい。次に、図14に示すように、孔52をキャップ110により閉鎖して、容器内部60に閉鎖系を提供する。このキャップキャビティ充填位置では、第二段階試薬は、容器50外部からキャップキャビティ116内に導入される。図15において、スパイクキャップ部分120のスパイク126は、キャップキャビティ116内に押し付けられて、キャップキャビティ116を第一段階位置にて閉鎖している。着脱式ストッパー130は、スパイクキャップ部分120の頂部124を、キャップ110の本体112から離間させて、スパイクキャップ部分120が閉鎖底部114を貫通しないようにする。着脱式ストッパー130は、スパイクキャップ部分120が第一段階位置を達成する位置決めにおいて、利便性のよい安全な手段を提供する。着脱式ストッパー130は、使用者が着脱式ストッパー130を使用せずにスパイクキャップ部分120を第一段階位置に配置し、底部114の貫通を回避出来れば省略し得る。図16において、着脱式ストッパー130はスパイクキャップ部分120から取り外され、スパイクキャップ部分120が、第一段階位置から第二段階位置へと、更に容器内部60内に移動されている。第二段階位置において、スパイク126は、底部114を貫通して容器内部60へ押し付けられて、第二段階試薬を容器内部60に放出する。スパイクキャップ部分120は、本体112を基準に、図14のキャップキャビティ充填位置と、図15の第一段階位置と、図16の第二段階位置の間で移動可能である。
【0033】
図17は、図15に示した第一段階位置においてキャップ110で閉鎖された容器50の断面図である。スパイクキャップ部分120のスパイク126は、キャップキャビティ116内に配置され、該キャップキャビティは、閉鎖底部114により容器内部60から流体的に分離されている。第一段階位置において、容器50は、該容器50を温度制御システムに連結させることにより、閉鎖容器内部60内にて、第一液体試薬と試料との間で、例えば第一段階PCR反応等の第一反応を行うように使用することができる。
【0034】
図18は、図16に示した第二段階位置においてキャップ110で閉鎖された容器50の断面図である。スパイク126の鋭い先端が本体112の閉鎖底部114を穿孔又は破壊して、容器内部60に入り込んでいる。これにより、第二段階位置において、第二段階試薬が容器内部60内に放出される。容器50は、通常スピナー又は遠心分離器内に配置されて、第二段階試薬が容器内部60の第一段階反応の反応生成物と混合される。次に、容器50は、該容器50を温度制御システム(例えば、熱循環装置)と連結させることにより、閉鎖容器内部60で、例えば第二段階PCR反応等の第二段階反応を行うように使用することができる。容器内部60は、第一段階位置から第二段階位置へ移行する間、閉鎖系を維持する。
【0035】
図19に示す別の実施形態では、キャップ210に、開放キャップチャネル216を有する本体212が含まれる。本実施形態は、固定部材を図示していないが、固定部材を備えることもできる。開口部付きポケット部分220が、ポケットアーム222により本体212に接続されている。開口部付きポケット部分220は、閉鎖頂部224と、開口部付きポケット226とを有し、開口部228が側部に開放して、開口部付きポケット226内外への流体の移動を可能にする。本実施形態では、開口部付きポケット226が、キャップキャビティの役割を果たす。ポケットアーム222は、開口部付きポケット部分220を、図19の開放位置と、図20〜図22の閉鎖位置の間で移動させる可撓性長尺片である。ポケットアーム222は、任意の適切な様式により本体212に接続され得る。図示する構成では、ポケットアーム222は、本体212の上端に接続されている。着脱式ストッパー又はクリップ230は、図12に示した着脱式ストッパー130と類似し、カップリング部分232及びストッパー部分234を備える。カップリング部分232は、開口部付きポケット部分220に取り外し可能なように連結されている。
【0036】
図20〜図22に、閉鎖条件下で、試料の1種以上の核酸の存在を分析する二段階プロセスを実施するためのキャップ210の使用を示す。再度、図6の容器50を参照すると、多段階反応で分析するべき試料は、管58、注射器、ピペット等により、孔52を介して容器内部に導入される。試料は、容器内部60に配置される前に、多段階反応の第一段階を実施するための第一段階試薬と混合されても、又は容器内部60で第一段階試薬と混合されてもよい。次に、図20に示すように、孔52をキャップ210により閉鎖して、容器内部60に閉鎖系を提供する。図20のポケット即ちキャップキャビティ充填位置において、第二段階試薬が容器50外部から開口部付きポケット226内へ導入され得るように、開口部228が露出される。キャップキャビティとしての開口部付きポケット226は、その深さが開口部228に満たず、第二段階試薬を保持するため、該試薬が開口部228を介して流出しない。
【0037】
図21において、開口部付きポケット部分220は、チャネル216内へ更に押し付けられる。チャネル216の側面が開口部228を閉鎖するため、開口部付きポケット226は、第一段階位置において外部及び容器内部60から流体的に分離されている。着脱式ストッパー230は、開口部付きポケット部分220の閉鎖頂部224をキャップ210の本体212から離間させて、開口部付きポケット部分220が容器内部60に移動し過ぎることを防止する。着脱式ストッパー230は、使用者が着脱式ストッパー130を使用せずに、開口部付きポケット部分220を第一段階位置に配置し、容器キャップキャビティ60内への過度の移動を回避できれば省略し得る。
【0038】
図22において、着脱式ストッパー230は開口部付きポケット部分220から取り外され、開口部付きポケット部分220は、第一段階位置から第二段階位置へと、更に容器内部60内に移動されている。第二段階位置において、開口部228はもはやチャネル216の側部により閉鎖されず、開口部228が容器内部60の側面から離間しているため、容器内部60に露出されている。これにより、第二段階試薬が容器内部60へ導入される。図21の第一段階位置において、容器50は、閉鎖容器内部60内で、第一液体試薬と試料間で、例えば第一段階PCR反応等の第一反応を行うように使用され得る。第二段階位置において、容器50は、遠心分離器内に配置されて、第二段階試薬を容器内部60の第一段階反応の反応生成物と混合し得、次に閉鎖容器内部60内で第二反応、例えば第二段階PCR反応を行うように使用される。開口部付きポケット部分220は、図20のキャップキャビティ充填位置と、図21の第一段階位置と、図22の第二段階位置間で、本体212を基準に移動可能である。容器内部60は、第一段階位置から第二段階位置へ移行する間、閉鎖系を維持する。
【0039】
図23〜図24は、本発明の別の一実施形態である。キャップ310は、円筒状の基部312Aを備えた本体、及び基部312A内に挿入するように構成された挿入部分312B(図23〜図24では、基部312Aから分解されて示される)を有する。基部312Aは、容器50の孔52内に挿入するよう構成されている。基部は、内部に第一開口部318Aを有する底壁314Aを備える。同様に、挿入部分312Bは、内部に第二開口部318Bを有する底壁314Bを備える。キャップキャビティ316は、挿入部分312B内に配置されている。挿入部分312Bが基部312A内に挿入される際、挿入部分312Bは、基部312Bを基準に回転可能なように調整され、キャップキャビティ316が容器内部60から流体的に分離されるか(第一段階位置)、又は容器内部60と流体的に連結されるか(第二段階位置)を調節することができる。挿入部分312Bの頂部上に、挿入部分312Bを回転させ、又は捻るためのノブ324が存在することが好ましい。キャップキャビティの調節は、第一段階位置において、開口部318A及び開口部318Bが、もはや整合若しくは重なり合わず、底壁314A及び基部壁314Bが組み合わされて、キャップ310に閉鎖底部を提供するよう、挿入部分312Bを捻ることにより達成される。キャップ310を第二段階位置に移動するには、開口部318A及び開口部318Bが少なくとも部分的に整合して、キャップ310の底部に穴が設けられ、キャップキャビティ316が容器内部60と流体的に連結されるまで、挿入部分312Bを回転させる。
【0040】
キャップ310は、閉鎖状況下で、試料を1種以上の核酸の存在について分析する二段階プロセスの実施に使用される。多段階反応において分析すべき試料を、管、注射器、ピペット等を使用して、孔52を介して容器内部60内に導入する。試料は、容器内部60内に配置される前に、多段階反応の第一段階を実施するための第一段階試薬と混合しても、又は容器内部60内で第一段階試薬と混合してもよい。挿入部分312Bを基部312A内に挿入し、回転させて開口部318A及び318Bが整合する試薬充填位置にする。第二段階反応を行うための第二段階試薬を、開口部318A及び318Bを介してキャップキャビティ316内に配置する。次に、挿入部分312Bを、開口部318A及び318Bがもはや整合せず、重なり合わず、底壁314A及び314Bが組み合って一時的に閉鎖された底部をキャップ310に提供するまで捻る。キャップ310の基部312Aを、容器50の孔52内に挿入して、容器内部60を閉鎖する。開口部318A及び318Bが整合せず、キャップキャビティ316が容器内部60から流体的に分離されるこの第一段階位置において、例えばネステッドPCRの第一段階、又はRT−PCRの第一段階である逆転写反応等が、容器内部60で実施される。
【0041】
第一段階反応を実施した後、キャップ310は、挿入部分312Bを、開口部318A及び318Bが整合するまで捻ることにより、キャップキャビティが容器内部60と流体的に連結される第二段階位置に移動される。これにより、第二段階位置において第二段階試薬が容器内部60に放出される。容器50は、一般的に、スピナー又は遠心分離器内に配置されて、第二段階試薬が容器内部60の第一段階反応の反応生成物と混合される。次に、容器50は、該容器50を温度制御システム(例えば、熱循環装置)と連結することにより、閉鎖容器内部60で、例えば第二段階PCR反応等の第二段階反応を行うように使用することができる。容器内部60は、第一段階位置から第二段階位置へ移行する間、外部環境に対して閉鎖状態を維持するため、汚染物質が存在しない。
【0042】
上述したキャップは、任意の適切なプロセスを使用して、任意の適切な材料から製造され得る。一実施形態では、キャップが、射出成形等により、プラスチック材料から成形される。着脱式ストッパーを使用する構造のためには、着脱式ストッパーは、例えばプラスチック材料からの成形等により別個に成形される。
【0043】
上記の記載は、説明を目的とし、限定を意図するものではないことを理解すべきである。当業者には、上記の記載を再考することにより、多数の実施形態が明らかとなるであろう。例えば、代替の一実施形態では、第二段階試薬が、第一段階反応が完了した後までキャップキャビティに添加されない。従って、第二段階試薬は、第一段階反応に必要な温度に露出されない。これら、及び他の多数の実施形態が可能である。従って、本発明の範囲は、上記の説明を参照に決定するべきではなく、付随する特許請求の範囲のみを、それらの等価物の全範囲と伴に参照して決定するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に基づく、開放位置にあり、スパイクキャップ部分及びドライバーキャップ部分を有するキャップの上部斜視図。
【図2】図1のキャップの下部斜視図。
【図3】図1のキャップの断面図。
【図4】第一段階位置にある、図1のキャップの断面図。
【図5】第二段階位置にある、図1のキャップの断面図。
【図6】キャップ配置前の、容器内部への第一液体試薬の導入を示す、容器の斜視図。
【図7】キャップのキャップキャビティ内への第二液体試薬の導入を示す、図1のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図8】第一段階位置における、キャップのスパイクキャップ部分によるキャップキャビティの閉鎖を示す、図1のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図9】第二段階位置における、ドライバーキャップ部分を閉鎖することによる、キャップキャビティから容器内部への第二液体試薬の供給を示す、図1のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図10】図8に示した、第一段階位置においてキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図11】図9に示した、第二段階位置においてキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図12】本発明の別の実施形態に基づく、開放位置にあり、スパイクキャップ部分及び着脱式ストッパーを有するキャップの上部斜視図。
【図13】図12のキャップの断面図。
【図14】キャップのキャップキャビティ内への第二液体試薬の導入を示す、図12のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図15】第一段階位置において、着脱式ストッパーで支持されたキャップのスパイクキャップ部分によるキャップキャビティの閉鎖を示す、図12のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図16】着脱式ストッパーの取り外しと、スパイクキャップ部分の第二段階位置への押圧による、第二液体試薬のキャップキャビティから容器内部への供給を示す、図12のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図17】図15に示した、第一段階位置においてキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図18】図16に示した、第二段階位置においてキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図19】本発明の別の実施形態に基づく、開放位置にあり、開口部付きポケットを有するキャップの断面図。
【図20】開口部付きポケット充填位置における第二液体試薬の開口部付きポケット内への導入を示す、図19のキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図21】着脱式ストッパーで支持された、第一段階位置における開口部付きポケットの閉鎖を示す、図19のキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図22】着脱式ストッパーの取り外しと、開口部付きポケット部分の第二段階位置への押圧による、第二液体試薬の開口部付きポケットから容器内部への供給を示す、図19のキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図23】本発明の別の実施形態に基づく、容器のキャップの展開斜視図。
【図24】図23のキャップ及び容器の展開正面図。
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
該当なし。
【0002】
本願は一般的に、閉鎖状況下で1種以上の核酸の存在について試料を分析するシステム及び方法に関し、より具体的には、当該分析、特に核酸増幅反応、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施するために使用される容器のキャップに関する。
【背景技術】
【0003】
核酸増幅反応は、多くの研究、医療及び工業的用途において欠かせないものである。当該反応は、臨床的研究及び生物学的研究、感染病の検出及び監視、突然変異の検出、癌マーカーの検出、環境モニタリング、遺伝子による同定、生物テロ防御用途における病原体の検出等に使用されている(例えば、非特許文献1;非特許文献2)。特に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、前記の全領域に用途を見出しており、それらには、ウイルス及び細菌の検出、ウイルス負荷のモニタリング、稀な及び/又は培養が困難な病原体の検出、バイオテロ脅威の迅速な検出、癌患者の微小残存腫瘍の検出、食物の病原体検査、輸血用血液のスクリーニング等が含まれる(例えば、非特許文献3;非特許文献4)。PCRに関してこのように幅広く使用されている主な理由としては、その速度及び使い易さ(通常の場合、標準化キットと比較的簡素且つ低コストの器具を使用して数時間以内に実施)、その感度(多くの場合、試料中の標的配列の数十のコピーが検出可能)、並びにその頑健性(低品質試料、又は例えば法医学試料若しくは固定組織試料のような保存試料の分析が容易)がある(非特許文献5)。
【0004】
かかる幅広い用途に反映された核酸増幅技法の進歩にもかかわらず、特に感染病検出、微小残存腫瘍検出、生物テロ防御用途等の領域において、速度及び感度に更なる改善が今尚必要とされている。
【0005】
PCRの感度は、二段階増幅反応においてネステッドプライマーのセットを使用することで有意に改善されている(例えば、非特許文献6)。前記手法では、第一増幅反応の単位複製配列が、新しいプライマーセットを使用する第二増幅反応の試料となり、該プライマーセットの少なくとも一つが第一単位複製配列の内部位置に結合する。前記手法は、感度を増大させる一方で、試薬調製の増加、及び混入配列導入の危険性の増大を招き、偽陽性につながる可能性がある。
【0006】
反応を閉鎖環境内で実施することにより、感度及び偽陽性の低減において有意な改善が得られている。高感度増幅技法の欠点は、非標的配列の不適切な増幅によって偽陽性の試験結果が発生することである(例えば、非特許文献7)。非標的配列の存在は、反応における特異性の不在、又は前の反応からの混入物(即ち、「持ち越し」混入物)、又は周辺環境、例えば水、消耗品、試薬等からの混入物が原因となる場合がある。当該問題は、閉鎖容器内で増幅を実施し、一度試料及び試薬を添加し、容器を密閉したら、更なる反応物又は生成物の調製を行わないようにすることにより緩和することができる。当該操作は、反応混合物中の生成物の量を連続して報告するラベルを使用した「リアルタイム」増幅の出現により、大部分が可能となっている。
【0007】
ネステッドPCR等の幾つかのプロセスは、配列内で実施される二つのプロセスを要する。例えば、従来のネステッドPCRの手順は、外側プライマーを使用して延長した標的配列を増幅する第一ラウンド反応と、内部プライマーを使用して第一ラウンド反応の生成物から内部配列を増幅する第二ラウンド反応を含む、連続した二つの配列増幅プロセスを使用する。内部配列は、延長した配列の端部の一方と重なる場合もあれば、重ならない場合もある。ネステッドPCRの高感度は、所望の生成物の生成に好適であるように、第一及び第二増幅プロセスの反応条件を注意深く制御することにより達成される。不運なことに、ネステッドPCR手順により実現される高感度は、第二の増幅を調整するために、高濃度の第一単位複製配列を収容する反応管を開放して操作する必要があり、混入の可能性を招くことから、潜在的な偽陽性を代償として達成されている。そのため、これが偽陽性結果の有意な原因となっており、分析の信頼性を低下させている。
【非特許文献1】Schweitzerら,Current Opinion in Biotechnology,12:21−27(2001)
【非特許文献2】Koch,Nature Reviews Drug Discovery,3:749−761(2004)
【非特許文献3】Mackay,Clin.Microbiol.Infect.,10:190−212(2004)
【非特許文献4】Bernardら,Clinical Chemistry,48:1178−1185(2002)
【非特許文献5】StrachanおよびRead,Human Molecular Genetics 2(John Wiley&Sons,New York,1999)
【非特許文献6】Albertら,J.Clin.Microbiol.,28:1560−1564(1990)
【非特許文献7】Borstら,Eur.J.Clin.Microbiol.Infect.Dis.,23:289−299(2004)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、容器のキャップ、並びに二段階PCRプロセス、例えば、ネステッドPCRプロセス又は逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)のような試料分析のための多段階反応を実施する方法を提供する。キャップは、反応の各段階の間に容器を開放したり、又は内容物を外部環境に露出したりする必要なく多段階反応を実施して、汚染の危険性を有意に低減することを都合良く可能にする。
【0009】
一態様によれば、本発明は、容器内で試料を反応させる多段階プロセスを提供する。容器は、容器内部を閉鎖するキャップを受容するように構成されている。キャップには本体及びキャップキャビティが含まれ、又キャップは、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離される第一段階位置と、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置の間で調整が可能である。該方法は、第一段階反応を行うための第一段階試薬と混合した試料を容器内部に提供する工程、キャップの本体を容器に嵌合させる工程、並びに容器内部で試料と第一段階試薬との第一段階反応を行う工程を包含する。第一段階反応は、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離される、第一段階位置にキャップがある際に行われる。キャップは、第一段階反応が行われる時に、容器内部を閉鎖する。該方法は更に、キャップキャビティ内に保管された第二段階試薬を、第一段階反応の反応生成物に添加する工程を包含する。第二段階試薬は、キャップキャビティが容器内部から流体的に連結される第二段階位置にキャップを移動し、第二段階試薬を第一段階反応の反応生成物と混合することによって添加される。次に、容器内部において、第一段階反応の反応生成物と第二段階試薬により第二段階反応が行われる。第一段階位置から第二段階位置への移行中に、容器とキャップによる閉鎖系を維持することにより、汚染の危険性は低減される。
【0010】
幾つかの実施形態では、本体に閉鎖底部と開放頂部が含まれ、キャップキャビティが本体内に配置され、閉鎖底部が、第一段階位置において容器内部を閉鎖して、キャップキャビティを容器内部から流体的に分離する。キャップには、好ましくはスパイクに接続した頂部を有するスパイクキャップ部分が含まれ、キャップを第二段階位置に移動する工程は、好ましくは閉鎖底部をスパイクにより貫通して、キャップキャビティを容器内部から流体的に連結させることを包含する。第一段階位置では、スパイクは、好ましくは、閉鎖底部を貫通せずにキャップキャビティ内に配置され、スパイク頂部部分はキャップキャビティを閉鎖している。幾つかの実施形態では、スパイクにより閉鎖底部を貫通する工程が、キャップのドライバーキャップ部分の座面を、スパイクキャップ部分の頂部に押し付けることを包含する。幾つかの実施形態では、着脱式ストッパーが、第一段階位置においてスパイクキャップ部分に取り外し可能なように連結され、該着脱式ストッパーが、キャップキャビティを基準にスパイクキャップ部分を位置決めして、スパイクが第一段階位置において閉鎖底部を貫通しないようにする。着脱式ストッパーをスパイクキャップ部分から取り外すと、スパイクが第二段階位置において閉鎖底部を貫通できるようになる。
【0011】
幾つかの実施形態では、本体に開放キャップチャネルが含まれ、キャップが、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備え、開口部が、キャップキャビティ充填位置において開放されて、容器外部から第二段階試薬を導入する。幾つかの実施形態では、該開口部付きポケット部分が、第一段階位置において開口部が本体側面により閉鎖されて、キャップキャビティを容器内部及び容器外部から流体的に分離するまで、本体の開放キャップチャネル内に移動され、開口部付きポケット部分が、第一段階位置において容器内部を閉鎖している。幾つかの実施形態では、キャップを第二段階位置に移動する工程が、開口部が、第二段階位置において容器内部に露出されるまで、開口部付きポケット部分を第一段階位置から本体の開放キャップチャネル内に更に移動するプロセスを含み、第二段階位置において、開口部付きポケット部分は容器内部を閉鎖している。幾つかの実施形態では、着脱式ストッパーが第一段階位置において開口部付きポケット部分に取り外し可能なように連結され、該着脱式ストッパーが、開放キャップチャネルを基準に開口部付きポケット部分を位置決めして、開口部が第一段階位置において容器内部に露出されないようにする。着脱式ストッパーは、キャップを第二段階位置に移動して、第二段階位置において開口部付きポケット部分の開口部を容器内部に露出させる前に、開口部付きポケット部分から取り外される。
【0012】
幾つかの実施形態では、本体が、内部に第一開口部を含む第一底壁を有する基部を備え、キャップが更に、基部内に挿入される挿入部分を備え、キャップキャビティが挿入部分内に配置され、該挿入部分が、内部に第二開口部を含む第二底壁を有し、キャップを第二段階位置に移動する工程が更に、挿入部分を基部を基準に回転させて、第一開口部と第二開口部を整合し、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させることを包含する。該回転工程は、好ましくは挿入部分の頂部上のノブを捻ることを包含する。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、容器のキャップを提供する。キャップは、容器に嵌合して、容器内部を閉鎖するように構成されている。キャップは、容器に嵌合するように構成された本体、キャップキャビティ、並びにキャップキャビティが容器内部から流体的に分離される第一段階位置と、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置の間で、本体を基準に調整可能なキャップキャビティ制御部分を備える。
【0014】
幾つかの実施形態では、キャップキャビティが本体内に配置され、該本体が閉鎖底部と開放頂部とを有し、閉鎖底部が第一段階位置においてキャップキャビティを容器内部から流体的に分離している。キャップキャビティ制御部分は、好ましくは、スパイクに接続した頂部を有するスパイクキャップ部分を備え、スパイクキャップ部分は、好ましくは、第一段階位置においてスパイクが閉鎖底部を貫通せずにキャップキャビティ内に配置され、且つ頂部がキャップキャビティを閉鎖するように構成されている。幾つかの実施形態では、キャップが更に、本体から上方へ延びる上壁を備え、スパイクキャップ部分の頂部が第一段階位置において上壁の上端と実質的に整合している。上壁は、第一段階位置において、好ましくはスパイクキャップ部分の一部を包囲しており、又、上壁がスパイクキャップ部分を包囲していない開放領域を含んでいる。
【0015】
幾つかの実施形態では、キャップが更に、スパイクキャップ部分と本体の開放領域との間を接続する、例えば可撓性を有する長尺片等のスパイクキャップアームを備える。キャップは、好ましくは更に、スパイクキャップ部分の頂部に押し付けて、スパイクキャップ部分を第一段階位置から第二段階位置へ移動するように構成された座面を有するドライバーキャップ部分;並びに、第二段階位置において閉鎖底部を貫通して、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させるように構成されたスパイクを備える。幾つかの実施形態では、キャップが更に、ドライバーキャップ部分と上壁との間を接続する、例えば可撓性を有する長尺片等のドライバーキャップアームを備える。幾つかの実施形態では、キャップが更に、スパイクキャップ部分と本体との間を接続するスパイクキャップアームを備え、スパイクキャップアームとドライバーキャップアームは、互いにほぼ対向して配置されている。
【0016】
幾つかの実施形態では、キャップが更に、スパイクキャップ部分に取り外し可能なように連結された着脱式ストッパーを備え、該着脱式ストッパーが、キャップキャビティを基準にスパイクキャップ部分を位置決めして、スパイクが第一段階位置において閉鎖底部を貫通しないようにする。着脱式ストッパーをスパイクキャップ部分から取り外すと、スパイクが第二段階位置において閉鎖底部を貫通できるようになる。幾つかの実施形態では、キャップキャビティ制御部分が更に、該キャップキャビティが容器外部から試薬を受容するように該キャップキャビティが開放された充填位置に配置するように、本体を基準に調整が可能である。幾つかの実施形態では、キャップが更に、本体側部に連結された固定部材を備え、該固定部材が、本体を容器に固定するように構成されている。幾つかの実施形態では、キャップキャビティが、容器内部で第一段階反応が実施された後、第二段階反応を実施するための第二段階試薬(例えば、乾燥形態又は凍結乾燥形態の試薬)を収容する。
【0017】
幾つかの実施形態では、本体に開放キャップチャネルが含まれ、キャップキャビティ制御部分が、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備える。開口部付きポケット部分は、キャップキャビティ充填位置において、本体の開放キャップチャネル内に部分的に挿入され、ここで開口部は、容器外部から試薬を導入するために開放されている。開口部付きポケット部分は、第一段階位置において、開口部が本体側面により閉鎖されて、キャップキャビティを容器内部及び容器外部から流体的に分離するまで、キャップキャビティ充填位置から本体の開放キャップチャネル内に更に移動可能である。開口部付きポケット部分は、第二段階位置において、開口部が容器内部に露出されるまで、第一段階位置から本体の開放キャップチャネル内に更に移動可能である。幾つかの実施形態では、着脱式ストッパーが開口部付きポケット部分に取り外し可能なように連結され、該着脱式ストッパーが開放キャップチャネルを基準に開口部付きポケット部分を位置決めして、開口部が第一段階位置において容器内部に露出されないようにする。開口部付きポケット部分は、好ましくは、第一段階位置及び第二段階位置において容器内部を閉鎖するように構成されている。
【0018】
幾つかの実施形態では、本体が、内部に第一開口部を含む第一底壁を有する基部を備え、キャップキャビティ制御部分が、基部内に挿入される挿入部分を備え、キャップキャビティが挿入部分内に配置され、挿入部分が、内部に第二開口部を含む第二底壁を有し、挿入部分が、第一段階位置において第一開口部と第二開口部をずらして、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離されるように、又、第二段階位置において第一開口部と第二開口部を整合して、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結されるように、基部を基準に回転可能なように調整される。幾つかの実施形態では、キャップが更に、挿入部分の頂部の上に配置された、挿入部分を回転させるためのノブを備える。
【0019】
別の態様によれば、本発明は、容器のキャップを提供する。キャップは、容器に嵌合して容器内部を閉鎖するように構成されている。キャップは、容器に嵌合するように構成された本体、キャップキャビティ、及びキャップキャビティが閉鎖されて容器内部から流体的に分離される第一段階位置から、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置へ、キャップを切り替える制御手段を備える。キャップは、好ましくは更に、第一段階位置及び第二段階位置において容器内部を閉鎖するための手段を備える。
【0020】
幾つかの実施形態では、本体に閉鎖底部及び開放頂部が含まれ、キャップキャビティは本体内に配置されている。制御手段は、好ましくは、第一段階位置から第二段階位置へ移動して、閉鎖底部を貫通し、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させることが可能なスパイクを備える。キャップは又、好ましくは、キャップキャビティが開放して、容器外部から試薬を受容する充填位置に切り替わることも可能である。幾つかの実施形態では、キャップキャビティが、容器内部で第一段階反応が実施された後、第二段階反応を実施するための第二段階試薬(例えば、乾燥形態又は凍結乾燥形態の試薬)を収容する。
【0021】
幾つかの実施形態では、本体に開放キャップチャネルが含まれ、制御手段が、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備える。開口部付きポケット部分は、第一段階位置において、開口部が本体側面により閉鎖されて、キャップキャビティを容器内部及び容器外部から流体的に分離するまで、本体の開放キャップチャネル内に移動可能である。開口部付きポケット部分は、第二段階位置において、開口部が容器内部に露出されるまで、第一段階位置から本体の開放キャップチャネル内に更に移動可能である。幾つかの実施形態では、着脱式ストッパーが開口部付きポケット部分に取り外し可能なように連結され、該着脱式ストッパーが開放キャップチャネルを基準に開口部付きポケット部分を位置決めして、開口部が第一段階位置において容器内部に露出されないようにする。開口部付きポケット部分は、好ましくは、第一段階位置及び第二段階位置において容器内部を閉鎖するように構成されている。
【0022】
幾つかの実施形態では、本体が、内部に第一開口部を含む第一底壁を有する基部を備え、制御手段が、基部内に挿入される挿入部分を備え、キャップキャビティが挿入部分内に配置され、挿入部分が、内部に第二開口部を含む第二底壁を有し、挿入部分が、第一段階位置において第一開口部と第二開口部の位置をずらして、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離されるように、又、第二段階位置において第一開口部と第二開口部を整合して、キャップキャビティを容器内部に流体的と連結されるように、基部を基準に回転可能なように調整される。幾つかの実施形態では、キャップが更に、挿入部分の頂部上に配置された、挿入部分を回転させるためのノブを備える。
【0023】
本発明は、例えば、参照として本明細書に組み入れられる、同一出願人による同時係属の、2004年10月27日に出願され、「Closed−System Multi−Stage Nucleic Acid Amplification Reactions」と題された米国特許出願公開第60/622,393号に記載される、閉鎖系多段階核酸増幅反応の実施時に特に有用である。
【0024】
本明細書に使用される「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」は、DNA相補鎖の同時のプライマー伸張による、特定のDNA配列のインビトロでの増幅のための反応を意味する。換言すれば、PCRは、プライマー結合部位に隣接する標的核酸の多数のコピー即ち複製を生成するための反応であり、当該反応は、以下の工程の一つ以上の反復を含む:(i)標的核酸を変性する、(ii)プライマーをプライマー結合部位にアニーリングする、及び(iii)ヌクレオシドトリホスフェート存在下で、核酸ポリメラーゼによりプライマーを伸張する。通常、反応は、サーマルサイクラー機器内で、各工程に最適な異なる温度でサイクルされる。各工程における特定の温度、継続時間、及び工程間での変化率は、例えば参考文献:McPhersonら,editors,PCR:A Practical Approach(IRL Press,Oxford,1991)及びMcPhersonら,editors,PCR 2:A Practical Approach(IRL Press,Oxford,1995)により例示されている、当業者周知の多数の要因に依存する。例えばTaq DNAポリメラーゼを使用した従来のPCRでは、二本鎖の標的核酸は、90℃を超える温度で変性され、プライマーは50〜75℃の範囲内の温度でアニールされ、プライマーは72〜78℃の範囲内の温度で伸張され得る。「PCR」という用語は、非限定的にRT−PCR、リアルタイムPCR、ネステッドPCR、定量PCR、マルチプレックスPCR等を含む反応から派生した形態の反応を包含する。反応容積は、数百ナノリットル、例えば、200nLから、数百マイクロリットル、例えば、200μLの範囲にわたる。「逆転写PCR」又は「RT−PCR」は、標的RNAを相補的な一本鎖DNAに転換することが先行し、次に該DNAを増幅する、例えば参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,168,038号(Tecottら)の逆転写反応PCRを意味する。「リアルタイムPCR」は、反応の進行中に反応生成物、即ち単位複製配列の量が監視されるPCRを意味する。主として反応生成物の監視に使用される検出用化学物質が異なる、多数の形態のリアルタイムPCRが存在する(例えば、全体が参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,210,015号(Gelfandら)(「taqman」);米国特許第6,174,670号及び米国特許第6,569,627号(Wittwerら)(インターカレーション色素);米国特許第5,925,517号(Tyagiら)(分子指標))。リアルタイムPCRの検出用化学物質は、同様に参照として本明細書に組み入れられるMackayら,Nucleic Acids Research,30:1292−1305(2002)にて概説されている。「ネステッドPCR」は、第一PCRの単位複製配列が、新しいプライマーセットを使用する第二PCRの試料となり、該プライマーセットの少なくとも一つが第一単位複製配列の内部位置に結合する二段階PCRを意味する。ネステッド増幅反応に関連した「第一プライマー」は、第一単位複製配列の生成に使用されるプライマーを意味し、「第二プライマー」は、第二の、即ち入れ子状態の単位複製配列の生成に使用される1種以上のプライマーを意味する。「マルチプレックスPCR」は、複数の標的配列(又は一つの標的配列及び1種以上の基準配列)が、同一反応混合物中で同時に実施されるPCRを意味する(例えば、Bernardら,Anal.Biochem.,273:221−228(1999)(2色リアルタイムPCR))。通常、増幅される各配列には、異なるプライマーのセットが使用される。一般的に、マルチプレックスPCRの標的配列の数は、2〜10、又は2〜6、又はより一般的には、2〜4の範囲内にある。「定量PCR」は、試料又は標本中の多数の1種以上の特定の標的配列を測定するよう指定されたPCRを意味する。定量PCRは、当該標的配列の絶対定量及び相対定量の両方を含む。定量的測定は、標的配列とは別個に、又は一緒にアッセイし得る1種以上の基準配列を使用して実施される。基準配列は、試料又は標本の内部又は外部を起源とし得、後者の場合、1種以上の競合鋳型を含み得る。典型的な内因性基準配列は、以下の遺伝子の転写産物のセグメントを含む:β−アクチン、GAPDH、β2−ミクログロブリン、リボソームRNA等。定量PCRの技法は、参照として本明細書に組み入れられる以下の参考文献に例示されているように、当業者に周知である:Freemanら,Biotechniques,26:112−126(1999);Becker−Andreら,Nucleic Acids Research,17:9437−9447(1989);Zimmermanら,Biotechniques,21:268−279(1996);Diviaccoら,Gene,122:3013−3020(1992);Becker−Andreら,Nucleic Acids Research,17:9437−9446(1989);等。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
発明の詳細な説明
図1〜図5に、本発明の第一実施形態に基づくキャップ10を示す。キャップ10は、それが核酸分析装置に追加する機能及び性能により、ブースターキャップと称され得る。キャップ10は、キャップキャビティ16としての役割を果たす本体キャップキャビティを形成する、閉鎖底部14を有する本体12を備える。キャップキャビティ16は、試薬を受容する容器である。試薬は、液体形態(例えば、水溶液)、又は乾燥若しくは凍結乾燥形態(例えば、凍結乾燥ビーズの形態)であり得る。固定部材18が本体12の側部に配置され、本体12の側部から外側へ離間されたフック等として形成され得る。スパイクキャップ部分20は、スパイクキャップアーム22により本体12に接続されている。スパイクキャップ部分20には、閉鎖頂部24と、鋭い先端を有するスパイク26が含まれる。スパイクキャップアーム22は、スパイクキャップ部分20を図1の開放位置と、図4及び図5の位置の間で移動することを可能にする可撓性を有する長尺片である。ドライバーキャップ部分30は、ドライバーキャップアーム32により本体12に接続され、且つ座面34を含む。ドライバーキャップアーム32は、キャップ部分30を図1の開放位置と、図5の第二段階位置の間で移動することを可能にする可撓性を有する長尺片である。スパイクキャップアーム22及びドライバーキャップアーム32は、任意の適切な様式で本体12に接続され得る。図示する構成では、スパイクキャップアーム22は、本体12の上端に、ドライバーキャップアーム32は、ドライバーキャップアーム32は、本体12の上端から上方に延びる上壁36に接続されている。上壁36は、望ましくは、スパイクキャップアーム22が本体12に接続された領域において開放されている。ドライバーキャップアーム32は、スパイクキャップアーム22のほぼ反対側に配置されるが、アームの配向は、別の実施形態では異なり得る。
【0026】
図6〜図9に、閉鎖条件下で、試料を1種以上の核酸の存在について分析する多段階反応、特に例えばネステッドPCR、RT−PCR等を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような核酸増幅反応を実施するためのキャップ10を示す。一般的に、本発明のキャップは、容器内部(例えば、反応チャンバ)と、容器内部に試料及び試薬を添加するための開口部(例えば、孔)とを有する任意の種類の容器と共に使用するように構成され得る。本発明の方法及びキャップに適した様々な反応容器が当該技術分野で公知であり、及び/又は市販されている(例えば、試験管、反応管、カートリッジ、ガラス製キャピラリ管、プラスチック容器等)。特定の例示的実施形態では、容器50が、参照として開示内容が本明細書に組み入れられる、同一出願人による米国特許第6,369,893号「Multi−Channel Optical Detection System」に開示されている反応容器となる。本発明のキャップ及び方法に適切な、当該技術分野で公知及び/又は市販されている多数の他の種類の反応容器が存在し、本発明の範囲は、図示する特定の容器に限定されないことを理解すべきである。キャップは、容器に嵌合して、容器内部を閉鎖するように構成されているため、容器内部は、多段階反応中、容器の外部環境に対して閉鎖状態を維持する。好ましい実施形態では、キャップ10が、容器の孔内に挿入されるように構成された本体を有する。しかしながら、本発明のキャップ及び方法は、この好ましい実施形態に限定されないことを理解するべきである。以下の実施形態を含むが、これらに限定されない、キャップを容器に嵌合させて容器内部を閉鎖し得る多数の他の方法が存在する:キャップは、容器上又は容器内にねじ止めし得る。キャップは、容器内、容器上、又は容器の上部に圧入され得る。キャップは、容器上、容器内、又は容器と同一平面にスナップ嵌めされ得る。キャップは、容器上に付着、接着、融着され、又は容器内に融着され得る。
【0027】
図6において、容器50は、その内部へ至る開口部又は孔52と、キャップ10の固定部材18と係合するように構成された出っ張り又はフィン54を有する。多段階反応で分析される試料は、管58、注射器、ピペット等によって、孔52を経由して容器内部に導入される。試料は、容器内部に配置される前に、多段階反応の第一段階を行うための第一段階試薬と混合されても、又は容器内部で第一段階試薬と混合されてもよい。例えば、第一段階試薬は、液体、乾燥形態、又は凍結乾燥形態で容器内部に保管され得、従って試料を容器内部の試薬に添加して混合する必要があるのみである。何れの場合でも、第一段階試薬は、意図する第一段階反応を試料と共に実施する上で十分でなければならない。例えば、多段階反応がネステッドPCRの場合、第一段階試薬は、第一PCRの実施に必要な酵素及びプライマーを含む。別の例として、意図する多段階反応がRT−PCRの場合、第一段階試薬は、逆転写を実施する上で十分である。次に、図7に示すように、孔52をキャップ10で閉鎖して、容器内部に閉鎖系を提供する。好ましくは、キャップ10の固定部材18が容器50のフィン54と係合して、容器50にキャップ10を固定する。これは、キャップ10を押し付けて容器50の孔52に嵌合させ、ここで固定部材18とフィン54は、ずれた位置にあり(例えば、90°のずれ)、次いで固定部材18とフィン54が互いに係合するまでキャップ10を捻ることにより行い得る。場合により、ストッパーはキャップキャビティ16に配置し、キャップ10が容器10と連結された後に取り外して、キャップキャビティ16が露出される。図7に示すように、多段階反応の第二段階を行うための第二段階試薬は、容器50外部から、キャップキャビティ充填位置にあるキャップ10のキャップキャビティ16内に導入される。代替の実施形態では、第二段階試薬が、製造時にキャップキャビティ16内に配置され、エンドユーザは、試薬が予め充填されているため、試薬をキャップキャビティ16内に充填する工程を省略し得る。何れの場合でも、第二段階試薬は、意図する第二段階反応を第一段階反応の反応生成物と実施する上で十分である必要がある。例えば多段階反応がネステッドPCRの場合、第二段階試薬は、ネステッド核酸配列の増幅に必要な、第二段階反応酵素及びプライマーを含む。別の例として、意図する多段階反応がRT−PCRの場合、第二段階試薬は、第一段階の逆転写反応で生成したDNAのPCR増幅を実施する上で十分である。第二段階試薬は、液体、乾燥体、又は凍結乾燥形態であり得る。試薬が乾燥形態又は凍結乾燥形態の場合、エンドユーザは、緩衝液(例えば、水)をキャップキャビティ16に添加して、試薬を再構成し得る。図8において、キャップ部分20のスパイク26は、キャップキャビティ16内に押し付けられて、キャップキャビティ16を第一段階位置にて閉鎖している。第一段階位置において、キャップ部分20の頂部24は、上壁36の上端と概ね整合している。上壁36は、スパイクキャップ部分20の一部を、望ましくは周囲の半分を超えて(即ち、180°を超えて)包囲している。上壁36は、スパイク26が閉鎖底部14を貫通しないような位置にスパイクキャップ部分20の停止部24を配置する高さを有する。
【0028】
図9では、ドライバーキャップ部分30の座面34が、スパイクキャップ部分20の閉鎖頂部24と接触した状態で配置されて、スパイク26を押し付けて閉鎖底部14を容器内部に貫通させ、第二段階位置において、第二液体試薬を容器内部に導入する。ドライバーキャップ部分30は、スパイクキャップ部分26を第二段階位置に移動して、底部14を貫通できるようにする高さを有する。上壁36は、好都合なことに、該上壁がスパイクキャップアーム22に対面する領域において開放しているため、スパイクキャップ部分20及びスパイクキャップアーム22の下方向の動きを妨害しない。スパイクキャップ部分20は、図7のキャップキャビティ充填位置、図8の第一段階位置、及び図9の第二段階位置間で、本体12を基準に移動可能である。
【0029】
図10は、図8に示した第一段階位置においてキャップ10で閉鎖容器50の断面図である。スパイクキャップ部分20のスパイク26は、キャップキャビティ16内に配置され、該キャップキャビティは、閉鎖底部14により容器内部60から流体的に分離されている。第一段階位置において、容器50は、容器内部60内にて、第一液体試薬と試料との間で、例えば第一段階PCR反応又はRT反応等の第一反応を進行させるために使用され得る。容器内で必要な反応温度を制御するための温度制御システム又は熱循環装置は、当該技術分野で周知である。
【0030】
図11は、図9に示した第二段階位置においてキャップ10で閉鎖容器50の断面図である。鋭い先端が本体12の閉鎖底部14を穿孔又は破壊して、容器内部60に入り込んでいる。これにより、第二段階位置において、第二段階試薬が容器内部60内に放出される。容器50は、通常スピナー又は遠心分離器内に配置されて、第二段階試薬が容器内部60の第一段階反応の反応生成物と混合される。次いで、容器50は、該容器50を温度制御システム(例えば、熱循環装置)と連結させることにより、閉鎖容器内部60で、例えば第二段階PCR反応等の第二反応を行うように使用され得る。容器内部60は、第一段階位置から第二段階位置へ移行する間、閉鎖系を維持するため、汚染の問題は存在しない。
【0031】
図12及び図13に示す別の実施形態では、キャップ110に、閉鎖底部114及びキャップキャビティ116の役割を果たす本体キャップキャビティを有する本体112が含まれる。本実施形態は、固定部材を図示していないが、固定部材を備えることもできる。スパイクキャップ部分120は、スパイクキャップアーム122により本体112に接続されている。スパイクキャップ部分120には、閉鎖頂部124と、鋭い先端を備えたスパイク126が含まれる。スパイクキャップアーム122は、スパイクキャップ部分120を、図14の開放位置と、図15及び図16の位置の間で移動させる可撓性長尺片である。スパイクキャップアーム122は、任意の適切な様式により本体12に接続され得る。図示する構成では、スパイクキャップアーム122は、本体112の上端に接続されている。着脱式ストッパー又はクリップ130は、カップリング部分132及びストッパー部分134を備える。カップリング部分132は、スパイクキャップ部分120に取り外し可能なように連結されている。図示する実施形態では、カップリング部分132がクリップであるが、他の実施形態では、その他の着脱式カップリング機構も使用される場合がある。
【0032】
図14〜図16に、閉鎖条件下で試料の1種以上の核酸の存在を分析する二段階プロセスを実施するためのキャップ110の使用を示す。再度、図6の容器50を参照すると、多段階反応で分析するべき試料は、管58、注射器、ピペット等により、孔52を介して容器内部に導入される。試料は、容器内部60に配置される前に、多段階反応の第一段階を実施するための第一段階試薬と混合されても、又は容器内部60で第一段階試薬と混合されてもよい。次に、図14に示すように、孔52をキャップ110により閉鎖して、容器内部60に閉鎖系を提供する。このキャップキャビティ充填位置では、第二段階試薬は、容器50外部からキャップキャビティ116内に導入される。図15において、スパイクキャップ部分120のスパイク126は、キャップキャビティ116内に押し付けられて、キャップキャビティ116を第一段階位置にて閉鎖している。着脱式ストッパー130は、スパイクキャップ部分120の頂部124を、キャップ110の本体112から離間させて、スパイクキャップ部分120が閉鎖底部114を貫通しないようにする。着脱式ストッパー130は、スパイクキャップ部分120が第一段階位置を達成する位置決めにおいて、利便性のよい安全な手段を提供する。着脱式ストッパー130は、使用者が着脱式ストッパー130を使用せずにスパイクキャップ部分120を第一段階位置に配置し、底部114の貫通を回避出来れば省略し得る。図16において、着脱式ストッパー130はスパイクキャップ部分120から取り外され、スパイクキャップ部分120が、第一段階位置から第二段階位置へと、更に容器内部60内に移動されている。第二段階位置において、スパイク126は、底部114を貫通して容器内部60へ押し付けられて、第二段階試薬を容器内部60に放出する。スパイクキャップ部分120は、本体112を基準に、図14のキャップキャビティ充填位置と、図15の第一段階位置と、図16の第二段階位置の間で移動可能である。
【0033】
図17は、図15に示した第一段階位置においてキャップ110で閉鎖された容器50の断面図である。スパイクキャップ部分120のスパイク126は、キャップキャビティ116内に配置され、該キャップキャビティは、閉鎖底部114により容器内部60から流体的に分離されている。第一段階位置において、容器50は、該容器50を温度制御システムに連結させることにより、閉鎖容器内部60内にて、第一液体試薬と試料との間で、例えば第一段階PCR反応等の第一反応を行うように使用することができる。
【0034】
図18は、図16に示した第二段階位置においてキャップ110で閉鎖された容器50の断面図である。スパイク126の鋭い先端が本体112の閉鎖底部114を穿孔又は破壊して、容器内部60に入り込んでいる。これにより、第二段階位置において、第二段階試薬が容器内部60内に放出される。容器50は、通常スピナー又は遠心分離器内に配置されて、第二段階試薬が容器内部60の第一段階反応の反応生成物と混合される。次に、容器50は、該容器50を温度制御システム(例えば、熱循環装置)と連結させることにより、閉鎖容器内部60で、例えば第二段階PCR反応等の第二段階反応を行うように使用することができる。容器内部60は、第一段階位置から第二段階位置へ移行する間、閉鎖系を維持する。
【0035】
図19に示す別の実施形態では、キャップ210に、開放キャップチャネル216を有する本体212が含まれる。本実施形態は、固定部材を図示していないが、固定部材を備えることもできる。開口部付きポケット部分220が、ポケットアーム222により本体212に接続されている。開口部付きポケット部分220は、閉鎖頂部224と、開口部付きポケット226とを有し、開口部228が側部に開放して、開口部付きポケット226内外への流体の移動を可能にする。本実施形態では、開口部付きポケット226が、キャップキャビティの役割を果たす。ポケットアーム222は、開口部付きポケット部分220を、図19の開放位置と、図20〜図22の閉鎖位置の間で移動させる可撓性長尺片である。ポケットアーム222は、任意の適切な様式により本体212に接続され得る。図示する構成では、ポケットアーム222は、本体212の上端に接続されている。着脱式ストッパー又はクリップ230は、図12に示した着脱式ストッパー130と類似し、カップリング部分232及びストッパー部分234を備える。カップリング部分232は、開口部付きポケット部分220に取り外し可能なように連結されている。
【0036】
図20〜図22に、閉鎖条件下で、試料の1種以上の核酸の存在を分析する二段階プロセスを実施するためのキャップ210の使用を示す。再度、図6の容器50を参照すると、多段階反応で分析するべき試料は、管58、注射器、ピペット等により、孔52を介して容器内部に導入される。試料は、容器内部60に配置される前に、多段階反応の第一段階を実施するための第一段階試薬と混合されても、又は容器内部60で第一段階試薬と混合されてもよい。次に、図20に示すように、孔52をキャップ210により閉鎖して、容器内部60に閉鎖系を提供する。図20のポケット即ちキャップキャビティ充填位置において、第二段階試薬が容器50外部から開口部付きポケット226内へ導入され得るように、開口部228が露出される。キャップキャビティとしての開口部付きポケット226は、その深さが開口部228に満たず、第二段階試薬を保持するため、該試薬が開口部228を介して流出しない。
【0037】
図21において、開口部付きポケット部分220は、チャネル216内へ更に押し付けられる。チャネル216の側面が開口部228を閉鎖するため、開口部付きポケット226は、第一段階位置において外部及び容器内部60から流体的に分離されている。着脱式ストッパー230は、開口部付きポケット部分220の閉鎖頂部224をキャップ210の本体212から離間させて、開口部付きポケット部分220が容器内部60に移動し過ぎることを防止する。着脱式ストッパー230は、使用者が着脱式ストッパー130を使用せずに、開口部付きポケット部分220を第一段階位置に配置し、容器キャップキャビティ60内への過度の移動を回避できれば省略し得る。
【0038】
図22において、着脱式ストッパー230は開口部付きポケット部分220から取り外され、開口部付きポケット部分220は、第一段階位置から第二段階位置へと、更に容器内部60内に移動されている。第二段階位置において、開口部228はもはやチャネル216の側部により閉鎖されず、開口部228が容器内部60の側面から離間しているため、容器内部60に露出されている。これにより、第二段階試薬が容器内部60へ導入される。図21の第一段階位置において、容器50は、閉鎖容器内部60内で、第一液体試薬と試料間で、例えば第一段階PCR反応等の第一反応を行うように使用され得る。第二段階位置において、容器50は、遠心分離器内に配置されて、第二段階試薬を容器内部60の第一段階反応の反応生成物と混合し得、次に閉鎖容器内部60内で第二反応、例えば第二段階PCR反応を行うように使用される。開口部付きポケット部分220は、図20のキャップキャビティ充填位置と、図21の第一段階位置と、図22の第二段階位置間で、本体212を基準に移動可能である。容器内部60は、第一段階位置から第二段階位置へ移行する間、閉鎖系を維持する。
【0039】
図23〜図24は、本発明の別の一実施形態である。キャップ310は、円筒状の基部312Aを備えた本体、及び基部312A内に挿入するように構成された挿入部分312B(図23〜図24では、基部312Aから分解されて示される)を有する。基部312Aは、容器50の孔52内に挿入するよう構成されている。基部は、内部に第一開口部318Aを有する底壁314Aを備える。同様に、挿入部分312Bは、内部に第二開口部318Bを有する底壁314Bを備える。キャップキャビティ316は、挿入部分312B内に配置されている。挿入部分312Bが基部312A内に挿入される際、挿入部分312Bは、基部312Bを基準に回転可能なように調整され、キャップキャビティ316が容器内部60から流体的に分離されるか(第一段階位置)、又は容器内部60と流体的に連結されるか(第二段階位置)を調節することができる。挿入部分312Bの頂部上に、挿入部分312Bを回転させ、又は捻るためのノブ324が存在することが好ましい。キャップキャビティの調節は、第一段階位置において、開口部318A及び開口部318Bが、もはや整合若しくは重なり合わず、底壁314A及び基部壁314Bが組み合わされて、キャップ310に閉鎖底部を提供するよう、挿入部分312Bを捻ることにより達成される。キャップ310を第二段階位置に移動するには、開口部318A及び開口部318Bが少なくとも部分的に整合して、キャップ310の底部に穴が設けられ、キャップキャビティ316が容器内部60と流体的に連結されるまで、挿入部分312Bを回転させる。
【0040】
キャップ310は、閉鎖状況下で、試料を1種以上の核酸の存在について分析する二段階プロセスの実施に使用される。多段階反応において分析すべき試料を、管、注射器、ピペット等を使用して、孔52を介して容器内部60内に導入する。試料は、容器内部60内に配置される前に、多段階反応の第一段階を実施するための第一段階試薬と混合しても、又は容器内部60内で第一段階試薬と混合してもよい。挿入部分312Bを基部312A内に挿入し、回転させて開口部318A及び318Bが整合する試薬充填位置にする。第二段階反応を行うための第二段階試薬を、開口部318A及び318Bを介してキャップキャビティ316内に配置する。次に、挿入部分312Bを、開口部318A及び318Bがもはや整合せず、重なり合わず、底壁314A及び314Bが組み合って一時的に閉鎖された底部をキャップ310に提供するまで捻る。キャップ310の基部312Aを、容器50の孔52内に挿入して、容器内部60を閉鎖する。開口部318A及び318Bが整合せず、キャップキャビティ316が容器内部60から流体的に分離されるこの第一段階位置において、例えばネステッドPCRの第一段階、又はRT−PCRの第一段階である逆転写反応等が、容器内部60で実施される。
【0041】
第一段階反応を実施した後、キャップ310は、挿入部分312Bを、開口部318A及び318Bが整合するまで捻ることにより、キャップキャビティが容器内部60と流体的に連結される第二段階位置に移動される。これにより、第二段階位置において第二段階試薬が容器内部60に放出される。容器50は、一般的に、スピナー又は遠心分離器内に配置されて、第二段階試薬が容器内部60の第一段階反応の反応生成物と混合される。次に、容器50は、該容器50を温度制御システム(例えば、熱循環装置)と連結することにより、閉鎖容器内部60で、例えば第二段階PCR反応等の第二段階反応を行うように使用することができる。容器内部60は、第一段階位置から第二段階位置へ移行する間、外部環境に対して閉鎖状態を維持するため、汚染物質が存在しない。
【0042】
上述したキャップは、任意の適切なプロセスを使用して、任意の適切な材料から製造され得る。一実施形態では、キャップが、射出成形等により、プラスチック材料から成形される。着脱式ストッパーを使用する構造のためには、着脱式ストッパーは、例えばプラスチック材料からの成形等により別個に成形される。
【0043】
上記の記載は、説明を目的とし、限定を意図するものではないことを理解すべきである。当業者には、上記の記載を再考することにより、多数の実施形態が明らかとなるであろう。例えば、代替の一実施形態では、第二段階試薬が、第一段階反応が完了した後までキャップキャビティに添加されない。従って、第二段階試薬は、第一段階反応に必要な温度に露出されない。これら、及び他の多数の実施形態が可能である。従って、本発明の範囲は、上記の説明を参照に決定するべきではなく、付随する特許請求の範囲のみを、それらの等価物の全範囲と伴に参照して決定するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に基づく、開放位置にあり、スパイクキャップ部分及びドライバーキャップ部分を有するキャップの上部斜視図。
【図2】図1のキャップの下部斜視図。
【図3】図1のキャップの断面図。
【図4】第一段階位置にある、図1のキャップの断面図。
【図5】第二段階位置にある、図1のキャップの断面図。
【図6】キャップ配置前の、容器内部への第一液体試薬の導入を示す、容器の斜視図。
【図7】キャップのキャップキャビティ内への第二液体試薬の導入を示す、図1のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図8】第一段階位置における、キャップのスパイクキャップ部分によるキャップキャビティの閉鎖を示す、図1のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図9】第二段階位置における、ドライバーキャップ部分を閉鎖することによる、キャップキャビティから容器内部への第二液体試薬の供給を示す、図1のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図10】図8に示した、第一段階位置においてキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図11】図9に示した、第二段階位置においてキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図12】本発明の別の実施形態に基づく、開放位置にあり、スパイクキャップ部分及び着脱式ストッパーを有するキャップの上部斜視図。
【図13】図12のキャップの断面図。
【図14】キャップのキャップキャビティ内への第二液体試薬の導入を示す、図12のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図15】第一段階位置において、着脱式ストッパーで支持されたキャップのスパイクキャップ部分によるキャップキャビティの閉鎖を示す、図12のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図16】着脱式ストッパーの取り外しと、スパイクキャップ部分の第二段階位置への押圧による、第二液体試薬のキャップキャビティから容器内部への供給を示す、図12のキャップで閉鎖された容器の斜視図。
【図17】図15に示した、第一段階位置においてキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図18】図16に示した、第二段階位置においてキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図19】本発明の別の実施形態に基づく、開放位置にあり、開口部付きポケットを有するキャップの断面図。
【図20】開口部付きポケット充填位置における第二液体試薬の開口部付きポケット内への導入を示す、図19のキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図21】着脱式ストッパーで支持された、第一段階位置における開口部付きポケットの閉鎖を示す、図19のキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図22】着脱式ストッパーの取り外しと、開口部付きポケット部分の第二段階位置への押圧による、第二液体試薬の開口部付きポケットから容器内部への供給を示す、図19のキャップで閉鎖された容器の断面図。
【図23】本発明の別の実施形態に基づく、容器のキャップの展開斜視図。
【図24】図23のキャップ及び容器の展開正面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器のキャップであって、前記キャップが、容器に嵌合して容器内部を閉鎖するように構成され、前記キャップが、
a)容器に嵌合するように構成された本体;
b)キャップキャビティ;及び
c)キャップキャビティが容器内部から流体的に分離される第一段階位置と、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置の間で、本体を基準に調整が可能なキャップキャビティ制御部分を備えるキャップ。
【請求項2】
前記キャップキャビティが本体内に配置され、前記本体が閉鎖底部及び開放頂部を有し、前記閉鎖底部が第一段階位置においてキャップキャビティを容器内部から流体的に分離する、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記キャップキャビティ制御部分がスパイクに接続された頂部を有するスパイクキャップ部分を備え、第一段階位置においてスパイクが閉鎖底部を貫通することなくキャップキャビティ内に配置され、且つ前記頂部がキャップキャビティを閉鎖するように、前記スパイクキャップ部分が構成されている、請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
本体から上方に延びる上壁を更に備え、第一段階位置において、スパイクキャップ部分の頂部が前記上壁の上端と実質的に整合する、請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
前記上壁が、第一段階位置においてスパイクキャップ部分の一部を包囲し、且つ上壁がスパイクキャップ部分を包囲しない開放領域を含む、請求項4に記載のキャップ。
【請求項6】
スパイクキャップ部分と本体の開放領域との間を接続するスパイクキャップアームを更に備える、請求項5に記載のキャップ。
【請求項7】
前記スパイクキャップアームが、可撓性を有する長尺片を備える、請求項6に記載のキャップ。
【請求項8】
スパイクキャップ部分の頂部を押し付けてスパイクキャップ部分を第一段階位置から第二段階位置に移動するように構成された座面を有するドライバーキャップ部分を更に備え、スパイクが、第二段階位置において閉鎖底部を貫通して、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させるように構成されている、請求項3に記載のキャップ。
【請求項9】
ドライバーキャップ部分と上壁との間を接続するドライバーキャップアームを更に備える、請求項8に記載のキャップ。
【請求項10】
前記ドライバーキャップアームが、可撓性を有する長尺片を備える、請求項9に記載のキャップ。
【請求項11】
スパイクキャップ部分と本体との間を接続するスパイクキャップアームを更に備え、前記スパイクキャップアームとドライバーキャップアームは互いにほぼ対向して配置されている、請求項9に記載のキャップ。
【請求項12】
スパイクキャップ部分に取り外し可能なように連結された着脱式ストッパーを更に備え、前記着脱式ストッパーが、スパイクキャップ部分をキャップキャビティを基準に位置決めして、スパイクが第一段階位置において閉鎖底部を貫通しないようにする、請求項3に記載のキャップ。
【請求項13】
前記着脱式ストッパーをスパイクキャップ部分から取り外すと、スパイクが第二段階位置において閉鎖底部に貫通できるようになる、請求項12に記載のキャップ。
【請求項14】
前記キャップキャビティ制御部分が更に、前記キャップキャビティが容器外部から試薬を受容するように開放された充填位置に前記キャップキャビティを配置するように、本体を基準に調整が可能である、請求項1に記載のキャップ。
【請求項15】
前記本体に開放キャップチャネルが含まれ、キャップキャビティ制御部分が、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備える、請求項1に記載のキャップ。
【請求項16】
キャップキャビティ充填位置において、開口部が開放して容器外部から試薬が導入されるように、前記開口部付きポケット部分の一部が本体の開放キャップチャネル内に挿入される、請求項15に記載のキャップ。
【請求項17】
第一段階位置において、開口部が本体側面により閉鎖され、キャップキャビティを容器内部及び容器外部から流体的に分離するまで、前記開口部付きポケット部分がキャップキャビティ充填位置から本体の開放キャップチャネル内へ更に移動可能である、請求項16に記載のキャップ。
【請求項18】
第二段階位置において、前記開口部付きポケット部分が、開口部が容器内部に露出されるまで、第一段階位置から本体の開放キャップチャネル内へ更に移動可能である、請求項17に記載のキャップ。
【請求項19】
開口部付きポケット部分に取り外し可能なように連結された着脱式ストッパーを更に備え、前記着脱式ストッパーが、開口部付きポケット部分を開放キャップチャネルを基準に位置決めして、第一段階位置において開口部が容器内部に露出されることを防止する、請求項15に記載のキャップ。
【請求項20】
前記開口部付きポケット部分が、第一段階位置及び第二段階位置において、容器内部を閉鎖するように構成されている、請求項15に記載のキャップ。
【請求項21】
本体側部に連結された固定部材を更に備え、前記固定部材が、本体を容器に固定するように構成されている、請求項1に記載のキャップ。
【請求項22】
前記本体が、内部に第一開口部を含む第一底壁を有する基部を備え、前記キャップキャビティ制御部分が、前記基部内に挿入される挿入部分を備え、前記キャップキャビティが前記挿入部分内に配置され、挿入部分が、内部に第二開口部を含む第二底壁を有し、挿入部分が、第一段階位置において第一開口部と第二開口部をずらして、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離されるように、そして第二段階位置において、第一開口部と第二開口部を整合させて、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結されるように、基部を基準に回転可能なように調整可能である、請求項1に記載のキャップ。
【請求項23】
挿入部分の頂部上に、挿入部分を回転させるためのノブを更に備える、請求項22に記載のキャップ。
【請求項24】
前記キャップキャビティが、容器内部で第一段階反応が実施された後に、第二段階反応を実施するための第二段階試薬を収容する、請求項1に記載のキャップ。
【請求項25】
前記試薬が、キャップキャビティ内で乾燥又は乾燥凍結形態にある、請求項24に記載のキャップ。
【請求項26】
容器のキャップであって、前記キャップが、容器に嵌合して容器内部を閉鎖するように構成され、前記キャップが、
a)容器に嵌合するように構成された本体;
b)キャップキャビティ;及び
c)キャップキャビティが閉鎖されて容器内部から流体的に分離される第一段階位置から、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置へ、キャップを切り替える制御手段を備えるキャップ。
【請求項27】
第一段階位置及び第二段階位置において容器内部を閉鎖する手段を更に備える、請求項26に記載のキャップ。
【請求項28】
前記本体が閉鎖底部及び開放頂部を含み、前記キャップキャビティが本体内に配置されている、請求項26に記載のキャップ。
【請求項29】
前記制御手段が、第一段階位置から第二段階位置へ移動して閉鎖底部を貫通し、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させることが可能なスパイクを備える、請求項26に記載のキャップ。
【請求項30】
前記制御手段が、キャップキャビティが開放して容器外部から試薬を受容する充填位置へ、キャップを切り替える手段を備える、請求項26に記載のキャップ。
【請求項31】
前記キャップキャビティが、容器内部で第一段階反応が実施された後に第二段階反応を実施するための、第二段階試薬を収容する、請求項26に記載のキャップ。
【請求項32】
前記試薬が、キャップキャビティ内で乾燥形態又は凍結乾燥形態にある、請求項31に記載のキャップ。
【請求項33】
容器内で試料を反応させる多段階プロセスであって、前記容器が、容器内部を閉鎖するキャップを受容するように構成され、前記キャップが本体及びキャップキャビティを含み、そして前記キャップが、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離される第一段階位置とキャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置の間で調整可能であり、前記プロセスが、
a)第一段階反応を実施するために、容器内部に第一段階試薬と混合した試料を提供する工程;
b)キャップを容器に嵌合して容器内部を閉鎖する工程;
c)容器内部で試料と第一段階試薬との第一段階反応を行う工程であって、ここで前記第一段階反応が、キャップが、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離されている第一段階位置にある状態で行われる、工程;
d)キャップキャビティ内に保管された第二段階試薬を第一段階反応の反応生成物に添加する工程であって、ここで前記第二段階試薬が、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置にキャップを移動することにより添加され、第二段階試薬が第一段階反応の反応生成物と混合される、工程;
e)容器内部で第一段階反応の反応生成物と第二段階試薬との第二段階反応を行う工程、を包含するプロセス。
【請求項34】
前記本体が閉鎖底部及び開放頂部を含み、前記キャップキャビティが本体内に配置され、第一段階位置において、閉鎖底部が、容器内部を閉鎖し、キャップキャビティを容器内部から流体的に分離する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記キャップが、スパイクに接続された頂部を有するスパイクキャップ部分を含み、キャップを第二段階位置に移動する前記工程が、閉鎖底部をスパイクで貫通させて、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させることを包含する、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
第一段階位置において、スパイクが、閉鎖底部を貫通することなくキャップキャビティ内に配置され、スパイク頂部部分はキャップキャビティを閉鎖する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記スパイクで閉鎖底部を貫通する工程が、キャップのドライバーキャップ部分の座面を、スパイクキャップ部分の頂部に押し付けることを包含する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項38】
第一段階位置において着脱式ストッパーがスパイクキャップ部分に取り外し可能なように連結され、前記着脱式ストッパーが、スパイクキャップ部分をキャップキャビティを基準に位置決めして、第一段階位置において、スパイクが閉鎖底部を貫通することを防止する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項39】
前記着脱式ストッパーをスパイクキャップ部分から取り外すと、スパイクが第二段階位置において閉鎖底部に貫通できるようになる、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
キャップ本体を容器の孔内に挿入した後、キャップキャビティ内に第二段階試薬を配置する工程を更に含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項41】
前記本体が開放キャップチャネルを含み、キャップが、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備え、前記開口部が、キャップキャビティ充填位置において開放して、容器外部から第二段階試薬が導入される、請求項40に記載のプロセス。
【請求項42】
前記本体に開放キャップチャネルが含まれ、キャップが、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備え、前記開口部付きポケット部分が、第一段階位置において開口部が本体側面により閉鎖されて、キャップキャビティを容器内部及び容器外部から流体的に分離するまで、本体の開放キャップチャネル内に移動され、開口部付きポケット部分が、第一段階位置において容器内部を閉鎖する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項43】
前記キャップを第二段階位置に移動する工程が、開口部が、第二段階位置において、容器内部に露出されるまで、開口部付きポケット部分を、第一段階位置から本体の開放キャップチャネル内へ更に移動することを包含し、開口部付きポケット部分が、第二段階位置において容器内部を閉鎖する、請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
第一段階位置において着脱式ストッパーが開口部付きポケット部分に取り外し可能なように連結され、前記着脱式ストッパーが開放キャップチャネルを基準に開口部付きポケット部分を位置決めして、開口部が第一段階位置において容器内部に露出されないようにする、請求項43に記載のプロセス。
【請求項45】
前記着脱式ストッパーが、キャップを第二段階位置に移動する前に、開口部付きポケット部分から取り外され、第二段階位置において開口部付きポケット部分の開口部を容器内部に露出させる、請求項44に記載のプロセス。
【請求項46】
前記本体が、内部に第一開口部を含む第一底壁を有する基部を備え、キャップが更に、基部内に挿入される挿入部分を備え、キャップキャビティが前記挿入部分内に配置され、挿入部分が、内部に第二開口部を含む第二底壁を有し、前記キャップを第二段階位置に移動する工程が、挿入部分を基部を基準に回転させて、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結されるように、第一開口部と第二開口部を整合することを包含する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項47】
前記回転工程が、挿入部分の頂部のノブを捻ることを包含する、請求項46に記載のプロセス。
【請求項48】
前記第一段階反応が第一段階ポリメラーゼ連鎖反応を含み、第二段階反応が第二段階ポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項49】
前記第一段階反応及び第二段階反応が、ネステッドPCRプロセスの第一段階反応及び第二段階反応である、請求項33に記載のプロセス。
【請求項50】
前記第一段階反応が逆転写反応を含み、第二段階反応がポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項51】
前記第二段階試薬が、乾燥形態又は凍結乾燥形態でキャップ内に保管される、請求項33に記載のプロセス。
【請求項52】
前記混合工程が、容器及びキャップを回転又は遠心分離することを包含する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項53】
前記混合工程が、容器及びキャップを振盪することを包含する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項1】
容器のキャップであって、前記キャップが、容器に嵌合して容器内部を閉鎖するように構成され、前記キャップが、
a)容器に嵌合するように構成された本体;
b)キャップキャビティ;及び
c)キャップキャビティが容器内部から流体的に分離される第一段階位置と、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置の間で、本体を基準に調整が可能なキャップキャビティ制御部分を備えるキャップ。
【請求項2】
前記キャップキャビティが本体内に配置され、前記本体が閉鎖底部及び開放頂部を有し、前記閉鎖底部が第一段階位置においてキャップキャビティを容器内部から流体的に分離する、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記キャップキャビティ制御部分がスパイクに接続された頂部を有するスパイクキャップ部分を備え、第一段階位置においてスパイクが閉鎖底部を貫通することなくキャップキャビティ内に配置され、且つ前記頂部がキャップキャビティを閉鎖するように、前記スパイクキャップ部分が構成されている、請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
本体から上方に延びる上壁を更に備え、第一段階位置において、スパイクキャップ部分の頂部が前記上壁の上端と実質的に整合する、請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
前記上壁が、第一段階位置においてスパイクキャップ部分の一部を包囲し、且つ上壁がスパイクキャップ部分を包囲しない開放領域を含む、請求項4に記載のキャップ。
【請求項6】
スパイクキャップ部分と本体の開放領域との間を接続するスパイクキャップアームを更に備える、請求項5に記載のキャップ。
【請求項7】
前記スパイクキャップアームが、可撓性を有する長尺片を備える、請求項6に記載のキャップ。
【請求項8】
スパイクキャップ部分の頂部を押し付けてスパイクキャップ部分を第一段階位置から第二段階位置に移動するように構成された座面を有するドライバーキャップ部分を更に備え、スパイクが、第二段階位置において閉鎖底部を貫通して、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させるように構成されている、請求項3に記載のキャップ。
【請求項9】
ドライバーキャップ部分と上壁との間を接続するドライバーキャップアームを更に備える、請求項8に記載のキャップ。
【請求項10】
前記ドライバーキャップアームが、可撓性を有する長尺片を備える、請求項9に記載のキャップ。
【請求項11】
スパイクキャップ部分と本体との間を接続するスパイクキャップアームを更に備え、前記スパイクキャップアームとドライバーキャップアームは互いにほぼ対向して配置されている、請求項9に記載のキャップ。
【請求項12】
スパイクキャップ部分に取り外し可能なように連結された着脱式ストッパーを更に備え、前記着脱式ストッパーが、スパイクキャップ部分をキャップキャビティを基準に位置決めして、スパイクが第一段階位置において閉鎖底部を貫通しないようにする、請求項3に記載のキャップ。
【請求項13】
前記着脱式ストッパーをスパイクキャップ部分から取り外すと、スパイクが第二段階位置において閉鎖底部に貫通できるようになる、請求項12に記載のキャップ。
【請求項14】
前記キャップキャビティ制御部分が更に、前記キャップキャビティが容器外部から試薬を受容するように開放された充填位置に前記キャップキャビティを配置するように、本体を基準に調整が可能である、請求項1に記載のキャップ。
【請求項15】
前記本体に開放キャップチャネルが含まれ、キャップキャビティ制御部分が、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備える、請求項1に記載のキャップ。
【請求項16】
キャップキャビティ充填位置において、開口部が開放して容器外部から試薬が導入されるように、前記開口部付きポケット部分の一部が本体の開放キャップチャネル内に挿入される、請求項15に記載のキャップ。
【請求項17】
第一段階位置において、開口部が本体側面により閉鎖され、キャップキャビティを容器内部及び容器外部から流体的に分離するまで、前記開口部付きポケット部分がキャップキャビティ充填位置から本体の開放キャップチャネル内へ更に移動可能である、請求項16に記載のキャップ。
【請求項18】
第二段階位置において、前記開口部付きポケット部分が、開口部が容器内部に露出されるまで、第一段階位置から本体の開放キャップチャネル内へ更に移動可能である、請求項17に記載のキャップ。
【請求項19】
開口部付きポケット部分に取り外し可能なように連結された着脱式ストッパーを更に備え、前記着脱式ストッパーが、開口部付きポケット部分を開放キャップチャネルを基準に位置決めして、第一段階位置において開口部が容器内部に露出されることを防止する、請求項15に記載のキャップ。
【請求項20】
前記開口部付きポケット部分が、第一段階位置及び第二段階位置において、容器内部を閉鎖するように構成されている、請求項15に記載のキャップ。
【請求項21】
本体側部に連結された固定部材を更に備え、前記固定部材が、本体を容器に固定するように構成されている、請求項1に記載のキャップ。
【請求項22】
前記本体が、内部に第一開口部を含む第一底壁を有する基部を備え、前記キャップキャビティ制御部分が、前記基部内に挿入される挿入部分を備え、前記キャップキャビティが前記挿入部分内に配置され、挿入部分が、内部に第二開口部を含む第二底壁を有し、挿入部分が、第一段階位置において第一開口部と第二開口部をずらして、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離されるように、そして第二段階位置において、第一開口部と第二開口部を整合させて、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結されるように、基部を基準に回転可能なように調整可能である、請求項1に記載のキャップ。
【請求項23】
挿入部分の頂部上に、挿入部分を回転させるためのノブを更に備える、請求項22に記載のキャップ。
【請求項24】
前記キャップキャビティが、容器内部で第一段階反応が実施された後に、第二段階反応を実施するための第二段階試薬を収容する、請求項1に記載のキャップ。
【請求項25】
前記試薬が、キャップキャビティ内で乾燥又は乾燥凍結形態にある、請求項24に記載のキャップ。
【請求項26】
容器のキャップであって、前記キャップが、容器に嵌合して容器内部を閉鎖するように構成され、前記キャップが、
a)容器に嵌合するように構成された本体;
b)キャップキャビティ;及び
c)キャップキャビティが閉鎖されて容器内部から流体的に分離される第一段階位置から、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置へ、キャップを切り替える制御手段を備えるキャップ。
【請求項27】
第一段階位置及び第二段階位置において容器内部を閉鎖する手段を更に備える、請求項26に記載のキャップ。
【請求項28】
前記本体が閉鎖底部及び開放頂部を含み、前記キャップキャビティが本体内に配置されている、請求項26に記載のキャップ。
【請求項29】
前記制御手段が、第一段階位置から第二段階位置へ移動して閉鎖底部を貫通し、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させることが可能なスパイクを備える、請求項26に記載のキャップ。
【請求項30】
前記制御手段が、キャップキャビティが開放して容器外部から試薬を受容する充填位置へ、キャップを切り替える手段を備える、請求項26に記載のキャップ。
【請求項31】
前記キャップキャビティが、容器内部で第一段階反応が実施された後に第二段階反応を実施するための、第二段階試薬を収容する、請求項26に記載のキャップ。
【請求項32】
前記試薬が、キャップキャビティ内で乾燥形態又は凍結乾燥形態にある、請求項31に記載のキャップ。
【請求項33】
容器内で試料を反応させる多段階プロセスであって、前記容器が、容器内部を閉鎖するキャップを受容するように構成され、前記キャップが本体及びキャップキャビティを含み、そして前記キャップが、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離される第一段階位置とキャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置の間で調整可能であり、前記プロセスが、
a)第一段階反応を実施するために、容器内部に第一段階試薬と混合した試料を提供する工程;
b)キャップを容器に嵌合して容器内部を閉鎖する工程;
c)容器内部で試料と第一段階試薬との第一段階反応を行う工程であって、ここで前記第一段階反応が、キャップが、キャップキャビティが容器内部から流体的に分離されている第一段階位置にある状態で行われる、工程;
d)キャップキャビティ内に保管された第二段階試薬を第一段階反応の反応生成物に添加する工程であって、ここで前記第二段階試薬が、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結される第二段階位置にキャップを移動することにより添加され、第二段階試薬が第一段階反応の反応生成物と混合される、工程;
e)容器内部で第一段階反応の反応生成物と第二段階試薬との第二段階反応を行う工程、を包含するプロセス。
【請求項34】
前記本体が閉鎖底部及び開放頂部を含み、前記キャップキャビティが本体内に配置され、第一段階位置において、閉鎖底部が、容器内部を閉鎖し、キャップキャビティを容器内部から流体的に分離する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記キャップが、スパイクに接続された頂部を有するスパイクキャップ部分を含み、キャップを第二段階位置に移動する前記工程が、閉鎖底部をスパイクで貫通させて、キャップキャビティを容器内部と流体的に連結させることを包含する、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
第一段階位置において、スパイクが、閉鎖底部を貫通することなくキャップキャビティ内に配置され、スパイク頂部部分はキャップキャビティを閉鎖する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記スパイクで閉鎖底部を貫通する工程が、キャップのドライバーキャップ部分の座面を、スパイクキャップ部分の頂部に押し付けることを包含する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項38】
第一段階位置において着脱式ストッパーがスパイクキャップ部分に取り外し可能なように連結され、前記着脱式ストッパーが、スパイクキャップ部分をキャップキャビティを基準に位置決めして、第一段階位置において、スパイクが閉鎖底部を貫通することを防止する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項39】
前記着脱式ストッパーをスパイクキャップ部分から取り外すと、スパイクが第二段階位置において閉鎖底部に貫通できるようになる、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
キャップ本体を容器の孔内に挿入した後、キャップキャビティ内に第二段階試薬を配置する工程を更に含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項41】
前記本体が開放キャップチャネルを含み、キャップが、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備え、前記開口部が、キャップキャビティ充填位置において開放して、容器外部から第二段階試薬が導入される、請求項40に記載のプロセス。
【請求項42】
前記本体に開放キャップチャネルが含まれ、キャップが、開口部を含むキャップキャビティを有する開口部付きポケット部分を備え、前記開口部付きポケット部分が、第一段階位置において開口部が本体側面により閉鎖されて、キャップキャビティを容器内部及び容器外部から流体的に分離するまで、本体の開放キャップチャネル内に移動され、開口部付きポケット部分が、第一段階位置において容器内部を閉鎖する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項43】
前記キャップを第二段階位置に移動する工程が、開口部が、第二段階位置において、容器内部に露出されるまで、開口部付きポケット部分を、第一段階位置から本体の開放キャップチャネル内へ更に移動することを包含し、開口部付きポケット部分が、第二段階位置において容器内部を閉鎖する、請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
第一段階位置において着脱式ストッパーが開口部付きポケット部分に取り外し可能なように連結され、前記着脱式ストッパーが開放キャップチャネルを基準に開口部付きポケット部分を位置決めして、開口部が第一段階位置において容器内部に露出されないようにする、請求項43に記載のプロセス。
【請求項45】
前記着脱式ストッパーが、キャップを第二段階位置に移動する前に、開口部付きポケット部分から取り外され、第二段階位置において開口部付きポケット部分の開口部を容器内部に露出させる、請求項44に記載のプロセス。
【請求項46】
前記本体が、内部に第一開口部を含む第一底壁を有する基部を備え、キャップが更に、基部内に挿入される挿入部分を備え、キャップキャビティが前記挿入部分内に配置され、挿入部分が、内部に第二開口部を含む第二底壁を有し、前記キャップを第二段階位置に移動する工程が、挿入部分を基部を基準に回転させて、キャップキャビティが容器内部と流体的に連結されるように、第一開口部と第二開口部を整合することを包含する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項47】
前記回転工程が、挿入部分の頂部のノブを捻ることを包含する、請求項46に記載のプロセス。
【請求項48】
前記第一段階反応が第一段階ポリメラーゼ連鎖反応を含み、第二段階反応が第二段階ポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項49】
前記第一段階反応及び第二段階反応が、ネステッドPCRプロセスの第一段階反応及び第二段階反応である、請求項33に記載のプロセス。
【請求項50】
前記第一段階反応が逆転写反応を含み、第二段階反応がポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項51】
前記第二段階試薬が、乾燥形態又は凍結乾燥形態でキャップ内に保管される、請求項33に記載のプロセス。
【請求項52】
前記混合工程が、容器及びキャップを回転又は遠心分離することを包含する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項53】
前記混合工程が、容器及びキャップを振盪することを包含する、請求項33に記載のプロセス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2008−524987(P2008−524987A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547025(P2007−547025)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/046131
【国際公開番号】WO2006/066245
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(500027334)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/046131
【国際公開番号】WO2006/066245
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(500027334)
【Fターム(参考)】
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