説明

多用途風呂敷

【課題】様々な形状・大きさの収容物を包んで持ち運ぶことができると共に、手提げ、肩掛け、背負い式のように多様な携帯の仕方を可能にした多用途風呂敷を提供する。
【解決手段】四隅部に把手2,3を形成した方形シート1と、該方形シート1の四辺に所定間隔を空けて複数設けた紐挿通部4,5と、前記方形シート1の隣接する二辺の紐挿通部4に挿通して設けた第一の吊紐6と、残りの二辺の紐挿通部5に挿通して設けた第ニの吊紐7とから構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運びに便利な多用途風呂敷に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー及び環境保護等の観点から、いわゆるレジ袋の削減が求められている。買い物客は、レジ袋に代わる買い物袋を持参する必要があるが、一般的に利用される手提げ袋等では購入量に応じて大きさの異なる袋を用意しなければならず不便である。また、日本古来の包装・運搬具である風呂敷は、様々な形状・大きさの収容物に対応でき、小さく折り畳んで持ち運ぶこともできて便利であるが、包み方を習得する必要があり、外国人や日本人でも若い世代には普及していない。
【0003】
また、収容物を簡単に包むことができ、吊り下げて持ち運ぶことができる風呂敷としては、風呂敷本体の四隅部又は対角の隅部に把手部を設けたもの(例えば、特許文献1,2参照)や、風呂敷本体の周囲に折り返し縁を形成してエンドレスの紐を挿通したもの(例えば、特許文献3,4参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3015622号公報
【特許文献2】特開昭63−44463号公報
【特許文献3】特開2002−114262号公報
【特許文献4】実開平7−35358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、引用文献1及び引用文献2に記載の風呂敷は、風呂敷本体の対角方向の隅部を寄せ集めて収容物を包み込むから、箱状の収容物を包むのに優れているが、風呂敷本体の対角方向にしか係止手段が無いために、形の不規則な収容物や小物を多数個包み込むときには荷崩れがおき易いという問題があった。
【0006】
また、引用文献3及び引用文献4に記載の風呂敷は、風呂敷本体の周囲に挿通した紐を引くことによって、風呂敷本体の各縁が絞られて袋状になるから、小物を多数個包み込むのに優れているが、箱のように角張った大きな収容物を包むのに適さないという問題があった。また、これらの風呂敷は、風呂敷本体の周囲にエンドレスの紐を挿通しているため、複数箇所で紐を引いたときに、均等に紐を引き出すのが困難である。
【0007】
そこで、本発明は、様々な形状・大きさの収容物を包んで持ち運ぶことができると共に、手提げ、肩掛け、背負い式のように多様な携帯の仕方を可能にした多用途風呂敷を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、四隅部に把手を形成した方形シートと、該方形シートの四辺に所定間隔を空けて複数設けた紐挿通部と、前記方形シートの隣接する二辺の紐挿通部に挿通して設けた第一の吊紐と、残りの二辺の紐挿通部に挿通して設けた第ニの吊紐とからなる多用途風呂敷を提供するものである。
【0009】
また、本発明の多用途風呂敷は、前記紐挿通部が前記方形シートの縁部に設けた挿通孔からなり、前記第一の吊紐及び第ニの吊紐が前記方形シートを縫うように挿通孔に通してある。
【0010】
また、本発明の多用途風呂敷は、前記第一の吊紐及び第ニの吊紐の両端部に脱落防止用ストッパーを設けてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の多用途風呂敷は、四隅部に把手を形成した方形シートと、該方形シートの四辺に所定間隔を空けて複数設けた紐挿通部と、前記方形シートの隣接する二辺の紐挿通部に挿通して設けた第一の吊紐と、残りの二辺の紐挿通部に挿通して設けた第ニの吊紐とからなる構成を有することにより、収容物を包むように方形シートの四隅部を寄せ集め、この集めた把手を纏めて持つことによって手提げ式の袋を簡単に形成することができるのみならず、第一の吊紐と第ニの吊紐の中央部を引くことによって、各縁が絞られて肩掛け又は背負い式の袋を簡単に形成することができ、様々な形状・大きさの収容物を包んで持ち運ぶことができる。また、第一の吊紐と第ニの吊紐を分けて設けたから、これらの吊紐を均等に引き出すことができ、吊紐を肩に掛けたり背負ったりしたときに吊紐が弛んで荷崩れを起こすのを防止することができる効果がある。
【0012】
また、本発明の多用途風呂敷は、前記紐挿通部が前記方形シートの縁部に設けた挿通孔からなり、前記第一の吊紐及び第ニの吊紐が前記方形シートを縫うように挿通孔に通したことにより、方形シートの各縁がアコーデオン式に絞られるから、第一の吊紐及び第ニの吊紐を引くだけで簡単且つ確実に袋を形成することができると共に、形成された袋の形が崩れるのを防止することができる効果がある。
【0013】
また、本発明の多用途風呂敷は、前記第一の吊紐及び第ニの吊紐の両端部に脱落防止用ストッパーを設けたことにより、第一の吊紐及び第ニの吊紐が紐挿通部から脱落するのを防止することができると共に、ストッパーと紐挿通部が係合して方形シートの各縁を絞ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図示する実施例に基づいて説明する。
本発明に係る多用途風呂敷は、四隅部に把手2,3を形成した方形シート1と、該方形シート1の四辺に所定間隔を空けて複数設けた紐挿通部4,5と、前記方形シート1の隣接する二辺の紐挿通部4に挿通して設けた第一の吊紐6と、残りの二辺の紐挿通部5に挿通して設けた第ニの吊紐7とから構成してある。
【実施例1】
【0015】
図1乃至図3に示す実施例において、方形シート1は、柔軟性を有する布、紙、合成皮革、合成樹脂フィルム等の正方形シートからなり、この正方形シートの四隅部に把手2,3を形成してある。方形シート1は、表面と裏面を布と合成皮革のように異なった素材で形成して、用途に応じて裏返して使用可能な構成にすることも可能である。図示の実施例において、方形シート1は、一方の面を布地で形成し、他方の面を合成皮革で形成してあり、通常は布地を内側にして使用することができ、生鮮食料品等の濡れ易い物を包むときは合成皮革を内側にして使用することができる。
【0016】
また、方形シート1は、布や紙製のシートに面ファスナーで合成皮革や合成樹脂等の防水性シートを着脱自在に貼り合わせた構成にすることも可能である。通常使用時には、方形シート1から防水性シートを取り外して方形シート1の柔軟性を維持することができると共に、生鮮食料品等の濡れ易い物を包むときには、方形シート1に防水性シートを貼り付けて方形シート1に防水性を付与することができる。
【0017】
図示の実施例において、把手2,3は、方形シート1の四隅を円弧状に丸めた把手縁部と、この把手縁部の内側に開けた半円状の把持用孔部とからなる。また、把手2,3には、把持用孔部の周囲に合成皮革や合成樹脂シート等の補強部材を接着して設けてある。なお、把手2,3は、実施例のように方形シート1と一体的に設けた構成に限らず、例えば合成樹脂で成形した把手部材を方形シート1の四隅部に接着又は挟持して設けることも可能である。
【0018】
図1に示すように、対角に向き合った把手3,3には、一方の把手3の内側に雄面ファスナー9を設け、他方の把手3の内側に雌面ファスナー10を設けてある。図4に示すように、方形シート1で収容物12を包んで対向する把手3,3を合わせたときに、雄面ファスナー9が雌面ファスナー10に係止して、対向する把手3,3を固定することができるように構成してある。同様に、対角に向き合った把手2,2には、一方の把手2の内側に雄面ファスナー9を設け、他方の把手2の内側に雌面ファスナー10を設けてある。
【0019】
図1乃至図3に示すように、紐挿通部4は、方形シート1の隣接するニ辺の縁部1aに所定間隔で開けた複数個の挿通孔にハト目を設けてなり、第一の吊紐6が方形シート1を縫うように挿通孔に通してある。同様に、紐挿通部5は、方形シート1の残りの二辺の縁部1bに所定間隔で開けた複数個の挿通孔にハト目を設けてなり、第ニの吊紐7が方形シート1を縫うように挿通孔に通してある。なお、紐挿通部4,5は、図示の実施例に限らず、方形シート1の周囲に所定間隔で環状のベルトを設けた構成にすることも可能である。
【0020】
第一の吊紐6及び第ニの吊紐7の両端部には、紐挿通部4,5より大きく形成した脱落防止用のストッパー8を設けてあり、このストッパー8が対向する把手3の近傍に位置するようにしてある。また、第一の吊紐6及び第ニの吊紐7の中央部には、肩当て部11を設けてあり、この肩当て部11が対向する把手2の近傍に位置するように構成してある。
【0021】
次に、本発明に係る多用途風呂敷の使用方法を説明する。
図4に示すように、方形シート1の中央に収容物12を載せ、収容物12を包むように対向する把手3,3を引き寄せ、雄面ファスナー9を雌面ファスナー10に係止させて把手3,3を合わせる。そして、対向する把手2,2を矢印の方向に引き、余った方形シート1で収容物12を包み込み、図5に示すように、把手2,2を把手3,3の外側に重ね合わせると、把手2,3を把持して収容物12を持ち運ぶことができる。
【0022】
このとき、把手2には、重ね合わせた把手2,3に巻き回して束ねる帯状の係止具を設けてあることが好ましい。また、係止具は、把手2と把手3の合わせ面にマグネット、面ファスナー、又はフックを設けた構成にすることも可能である。
【0023】
図6に示すように、多用途風呂敷は、第一の吊紐6及び第ニの吊紐7を引き出すことにより、肩当て部11を肩に掛けて持ち運ぶこともできる。このとき、第一の吊紐6又は第ニの吊紐7の一方を引き出して使用することも可能である。
【0024】
図7乃至図9は、多用途風呂敷の別の使用方法を示している。
図7に示すように、方形シート1の中央に収容物12を載せ、収容物12を包むように対向する把手3,3を交互に引き寄せて、収容物12の上で把手3,3を重ね合わせる。図8に示すように、下側になる把手3又は方形シート1の上面部分に雌面ファスナー10を設けて、他方の把手3に設けた雄面ファスナー9と係合するようにしてあることが好ましい。
【0025】
図9に示すように、対向する把手2,2を引き寄せ、余った方形シート1で収容物12を包み込み、雄面ファスナー9を雌面ファスナー10に係止させて把手2,2を合わせて固定する。そして、第一の吊紐6及び第ニの吊紐7を引き出し、それぞれの吊紐に腕を通すことにより、収容物12を包んだ風呂敷を背負って持ち運ぶこともできる。
【0026】
図10は、多用途風呂敷のさらに別の使用方法を示している。
方形シート1の中央に収容物12を載せ、第一の吊紐6及び第ニの吊紐7を上方に引き出すことにより、方形シート1は縁部1a,1bが第一の吊紐6及び第ニの吊紐7によってアコーデオン式に絞られ、巾着状の袋を形成することができる。多用途風呂敷は、肩当て部11を把持し、又は肩に掛けて収容物12を持ち運ぶことができる。
【0027】
本発明に係る多用途風呂敷は、第一の吊紐6と第ニの吊紐7を分けて設けたから、これらの吊紐を迅速且つ均等に引き出すことができ、簡単に誰でも巾着状の袋を形成することができ、形の不規則な収容物や小物を多数個包み込んで容易に持ち運ぶことができる。なお、多用途風呂敷は、4つの把手2,3を面ファスナー、フック等で係合させて、蓋として使用することができるように構成することも可能である。
【実施例2】
【0028】
また、多用途風呂敷は、方形シート1の一部を二重シートに形成し、この二重シートの間に、方形シート1を折り畳んだときに収納する収納カバーを設けた構成にすることも可能である。
【実施例3】
【0029】
また、多用途風呂敷は、方形シート1の3辺にコ字状にファスナーを設け、該ファスナーで2枚の方形シート1を接合して、収容物12を収容する袋を形成することができるように構成にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の多用途風呂敷の一実施例を示す平面図。
【図2】その一実施例を示す底面図。
【図3】その一実施例を示すA−A線断面図。
【図4】その一実施例の使用状態を示す斜視図。
【図5】その一実施例の使用状態を示す斜視図。
【図6】その使用状態の他の態様を示す斜視図。
【図7】その一実施例の別の使用状態を示す斜視図。
【図8】その一実施例の別の使用状態を示す断面図。
【図9】その一実施例の別の使用状態を示す斜視図。
【図10】その一実施例のさらに別の使用状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0031】
1 方形シート
1a,1b 縁部
2,3 把手
4,5 紐挿通部
6 第一の吊紐
7 第ニの吊紐
8 ストッパー
9 雄面ファスナー
10 雌面ファスナー
11 肩当て部
12 収容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四隅部に把手を形成した方形シートと、該方形シートの四辺に所定間隔を空けて複数設けた紐挿通部と、前記方形シートの隣接する二辺の紐挿通部に挿通して設けた第一の吊紐と、残りの二辺の紐挿通部に挿通して設けた第ニの吊紐とからなる多用途風呂敷。
【請求項2】
前記紐挿通部が前記方形シートの縁部に設けた挿通孔からなり、前記第一の吊紐及び第ニの吊紐が前記方形シートを縫うように挿通孔に通してある請求項1に記載の多用途風呂敷。
【請求項3】
前記第一の吊紐及び第ニの吊紐の両端部に脱落防止用ストッパーを設けた請求項1又は2に記載の多用途風呂敷。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−12830(P2009−12830A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178149(P2007−178149)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(507230898)
【Fターム(参考)】