説明

多結晶ダイヤモンド

少なくとも88体積%及び最大で99体積%のダイヤモンド粒12を含み、平均ダイヤモンド粒近接性が60.5%超である、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料10。PCD材料10は、地面のボーリングで特に使用されるがこれに限定するものではない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料と、その作製方法と、それを含む工具に関するもので、特に地面をボーリングするのに使用されるためのものであるが、これに限定するものではない。
【背景技術】
【0002】
多結晶ダイヤモンド(PCD)材料は、一塊の相互成長ダイヤモンド粒(a mass of inter−grown diamond grains)と、これらダイヤモンド粒の間の隙間とを含む。PCDは、ダイヤモンド粒の相互成長を促進させることができるコバルトなどの焼結助剤の存在下で、ダイヤモンド粒の凝集塊を高圧及び高温に曝すことによって作製してもよい。焼結助剤は、ダイヤモンドの触媒材料と呼んでもよい。焼結されたPCD材料内の隙間は、完全に又は部分的に、残留する触媒材料で満たされていてもよい。PCDは、PCDのコバルト触媒材料源を提供することができるコバルト接合炭化タングステン基材上に、形成されていてもよい。
【0003】
PCD材料は、岩石、金属、セラミックス、複合材、及び木材含有材料などの硬質又は研磨材料を切断し、機械加工し、穴を開け、又は分解するための、広く様々な工具で使用されてもよい。例えば、PCD材料を含む工具インサートは、石油ガス掘削産業で地面をボーリングするのに使用されるドリル用ビット内で、広く使用されている。これらの適用例の多くでは、PCD材料が岩石若しくはその他の工作物又は高エネルギーの物体と係合するにつれ、PCD材料の温度が高くなる可能性がある。残念ながら、耐摩耗性、硬度、及び強度などのPCD材料の機械的性質は、高温で悪化する傾向があるが、これは内部に残留する触媒材料によって促進される可能性がある。
【0004】
Akaishiらは、the Material Science and Engineering A(1988)、vol.05/106、No.1及び2、517から523頁において、細粒状の均一なミクロ構造を有する十分に焼結されたダイヤモンドを開示しており、このダイヤモンドは、1から5体積%のCo又はNi添加剤を有するダイヤモンド粉末を出発材料として使用した場合に7.7GPa及び2,000℃で合成されたものである。
【0005】
欧州特許公開EP1931594号は、算術平均焼結直後粒度が1ミクロン未満である多結晶ダイヤモンド(PCD)本体を生成するための方法であって、触媒金属がコバルトなどの鉄族金属を含んでおり且つ焼結圧力が約2.0GPaから7.0GPaの間である方法を開示している。
【0006】
米国特許出願公開第2005/0133277号は、65キロバール及び1,400℃の焼結圧力及び温度を使用して作製されたPCDを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高い耐摩耗性を有する多結晶ダイヤモンド材料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、約60%よりも高く、60.5%よりも高く、少なくとも約61.5パーセントであり、又はさらに少なくとも約65%の平均ダイヤモンド粒の近接性(mean diamond grain contiguity)を有するダイヤモンド粒を含む、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料を提供する。本発明のいくつかの実施形態では、ダイヤモンド粒が、最大で約80%又は最大で約77%の平均ダイヤモンド粒の近接性を有する。本発明の一実施形態では、平均ダイヤモンド粒の近接性が60.5%から約77%の範囲にあってもよく、一実施形態では、平均ダイヤモンド粒近接性が61.5%から約77%の範囲にあってもよい。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、ダイヤモンド粒近接性の標準偏差が最大で約4%の近接性、最大で約3%の近接性、又は最大で約2%の近接性であってもよい。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、PCD材料の体積は、少なくとも約0.5mm、少なくとも約75mm、少なくとも約150mm、又は少なくとも約300mmであってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態では、ダイヤモンド粒は、粒子の少なくとも約50%が約5ミクロン超の平均サイズを有するサイズ分布特性を有していてもよい。いくつかの実施形態では、粒子の少なくとも約15%又は少なくとも約20%が、約10ミクロンから約15ミクロンの範囲の平均サイズを有する。
【0012】
本発明の一実施形態では、PCD材料は、多峰サイズ分布を有するダイヤモンド粒を含んでいてもよい。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、ダイヤモンド粒は、0.5ミクロン超又は1ミクロン超の、そして最大で約60ミクロン、最大で約30ミクロン、最大で約20ミクロン、最大で約15ミクロン、又は最大で約7ミクロンの平均サイズを有していてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、PCD材料は、最大で約15ミクロン、約10ミクロン未満又は最大で約8ミクロンの平均サイズを有するダイヤモンド粒を含んでいてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、ダイヤモンド粒は、約0.5ミクロンから約20ミクロンの範囲、約0.5ミクロンから約10ミクロンの範囲、又は約1ミクロンから約7ミクロンの範囲の平均サイズを有していてもよい。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、PCD材料中のダイヤモンドの含量は、PCD材料の少なくとも約88体積%、少なくとも約90体積%、又は少なくとも約91体積%であってもよい。一実施形態では、ダイヤモンドの含量は、PCD材料の最大で約99体積%であってもよい。本発明のいくつかの実施形態では、PCD材料のダイヤモンド含量は、PCD材料の約88体積%から約99体積%の範囲、又は約90体積%から約96体積%の範囲であってもよい。
【0015】
一実施形態では、PCD材料はダイヤモンドの触媒材料を含んでいてもよく、一実施形態では、このダイヤモンドの触媒材料の含量は、PCD材料の最大で約9体積%であってもよい。一実施形態では、ダイヤモンドの触媒材料の含量は、PCD材料の少なくとも約1体積%であってもよい。本発明のいくつかの実施形態では、PCD材料は、このPCD材料の約1体積%から約10体積%の範囲、約1体積%から約8体積%の範囲、又は約1から約4体積%の範囲のダイヤモンドの触媒材料を含んでいてもよい。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、PCDは、最大で約1.5ミクロン、最大で約1.3ミクロン、又は最大で約1ミクロンの平均的な格子間平均自由行程を有していてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、PCDは、少なくとも約0.05ミクロン、少なくとも約0.1ミクロン、少なくとも約0.2ミクロン、又は少なくとも約0.5ミクロンの平均的な格子間平均自由行程を有していてもよい。いくつかの実施形態では、PCDは、0.05ミクロンから約1.3ミクロンの範囲、約0.1ミクロンから約1ミクロンの範囲、又は約0.5ミクロンから約1ミクロンの範囲の平均的な格子間平均自由行程を有していてもよい。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、平均自由行程の標準偏差は、約0.05ミクロンから約1.5ミクロンの範囲、又は約0.2ミクロンから約1ミクロンの範囲であってもよい。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、PCD材料は、少なくとも約0.5ミクロン、少なくとも約1ミクロン、又は少なくとも約1.5ミクロンの平均格子間サイズを有していてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、PCD材料は、最大で約3ミクロン又は最大で約4ミクロンの平均格子間サイズを有していてもよい。いくつかの実施形態では、サイズ分布の標準偏差は、最大で約3ミクロン、最大で約2ミクロン、又はさらに最大で約1ミクロンであってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態では、PCD材料は、式MxM’yCzの3元炭化物を含むフィルタ材料を含んでいてもよく、Mは、遷移金属及び希土類金属からなる群から選択された少なくとも1種の元素であり、M’は、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Ti、Mg、Zn、及びCdからなる群から選択された元素であり、xは、2.5から5.0の範囲であり、yは、0.5から3.0の範囲であり、zは、0.1から1.2の範囲であり、このPCDは、0.5ミクロンから10ミクロンの範囲の平均サイズを有するダイヤモンド粒を含んでいる。いくつかの実施形態では、Mは、Co、Fe、Ni、Mn、Cr、Pd、Pt、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Ce、Y、La、及びScからなる群から選択されてもよい。一実施形態では、xは3であってもよい。一実施形態では、yは1であってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、充填剤材料は、3元炭化物材料を少なくとも約30体積%又は少なくとも約40体積%含んでいてもよい。一実施形態では、充填剤材料は、唯一の3元炭化物材料と、遊離した又は結合していないMがこの充填剤材料中に存在しないように1種又は複数のその他の金属間化合物とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、充填剤材料は、遊離した若しくは未反応の触媒材料、又はCr、V、Nb、Ta、及び/又はTiと共に形成された他の炭化物、又は遊離した若しくは未反応の触媒材料及び他の炭化物の両方を、さらに含んでいてもよい。一実施形態では、充填剤材料は、少なくとも約40体積%又は少なくとも約50体積%のスズをベースにした金属間又は3元炭化物を含んでいてもよい。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、PCD材料は、少なくとも約800℃、少なくとも約900℃、又は少なくとも約950℃の酸化開始温度を有していてもよい。
【0022】
本発明によるPCD材料は、複数のダイヤモンド粒を凝集塊に形成するステップと、このダイヤモンド粒の凝集塊を、ダイヤモンドの金属触媒材料の存在下で、この触媒材料を融解するのに十分高い温度で、6.0GPa超、少なくとも約6.2GPa、又は少なくとも約6.5GPaの圧力で圧力処理に供するステップと、このダイヤモンド粒を焼結してPCD材料を形成するステップとを含む方法によって作製してもよく、この凝集塊中のダイヤモンド粒は、粒子の少なくとも50%が平均サイズ、即ち約5ミクロン超を有するサイズ分布特性を有している。いくつかの実施形態では、粒子の少なくとも約15%又は少なくとも約20%が、約10から約15ミクロンの範囲の平均サイズを有する。本発明のいくつかの実施形態では、圧力は、最大で約8GPaであり、7.7GPaよりも低く、最大で約7.5GPaであり、最大で約7.2GPaであり、又は最大で約7.0GPaである。この方法は、本発明の一態様である。
【0023】
本発明の一実施形態では、方法は、添加剤材料を凝集塊に導入するステップを含み、この添加剤材料は、V、Ti、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Si、Sn、又はAlから選択された少なくとも1種の元素を含有する。いくつかの実施形態では、添加剤材料は、V、Ti、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Si、Sn、又はAlから選択された少なくとも1種の元素を含有する化合物又は粒子を含んでいてもよい。
【0024】
本発明の一実施形態では、方法は、凝集塊内の細孔又は隙間に、ダイヤモンドの触媒材料以外の金属を導入するステップを含んでいてもよい。一実施形態では、金属は、ダイヤモンドの触媒でなくてもよい。一実施形態では、触媒材料はCoを含んでいてもよく、金属はSnであってもよい。
【0025】
方法の一実施形態では、触媒材料は、金属触媒材料であってもよい。いくつかの実施形態では、触媒材料は、Co、Fe、Ni、及びMnを含んでいてもよく、又はこれらのいずれかを含む合金を含んでいてもよい。
【0026】
方法のいくつかの実施形態では、PCD材料は、約1分から約30分の範囲、約2分から約15分の範囲、又は約2分から約10分の範囲の期間にわたり焼結してもよい。
【0027】
方法のいくつかの実施形態では、温度は、約1,400℃から約2,300℃の範囲、約1,400℃から約2,000℃の範囲、1,450℃から約1,700℃の範囲、又は約1,450℃から約1,650℃の範囲であってもよい。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、方法は、PCD材料を、少なくとも約500℃、少なくとも約600℃、又は少なくとも約650℃の温度で、少なくとも約30分間、熱処理に供するステップを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、温度は、最大で約850℃、最大で約800℃、又は最大で約750℃であってもよい。いくつかの実施形態では、PCD本体を、最長約120分間又は最長約60分間の熱処理に供してもよい。一実施形態では、PCD本体を、真空中での熱処理に供してもよい。
【0029】
本発明の方法の実施形態は、PCD材料を、少なくとも約2GPa、少なくとも約5GPa、又はさらに少なくとも約6GPaでさらなる圧力処理に供するステップを含む。いくつかの実施形態では、さらなる圧力処理を、少なくとも約10秒間又は少なくとも約30秒間の期間にわたり適用してもよい。一実施形態では、さらなる圧力処理を、最長約20分間の期間にわたり適用してもよい。
【0030】
本発明の一実施形態では、方法は、ダイヤモンドの金属触媒材料を、PCD材料のダイヤモンド粒の間の隙間から除去するステップを含んでいてもよい。
【0031】
本発明の実施形態は、ある体積の、本発明の態様によるPCD材料の一実施形態を含む、PCD構造の少なくとも一部を、切断し、本体をボーリングし、又は本体を分解するためのPCD構造を提供する。いくつかの実施形態では、PCD材料の体積の少なくとも一部は、約3.5mmから約12.5mmの範囲、又は約4mmから約7mmの範囲の厚さを有していてもよい。
【0032】
本発明の一実施形態では、PCD構造は、ダイヤモンドの触媒材料を最大で約2体積%含む、表面に隣接する領域、及びダイヤモンドの触媒材料を約2体積%超含む、表面から離れた領域を有していてもよい。いくつかの実施形態では、表面に隣接する領域は、表面から少なくとも約20ミクロン、少なくとも約80ミクロン、少なくとも約100ミクロン、又はさらに少なくとも約400ミクロンの深さまで延びていてもよい。一実施形態では、表面に隣接する領域の少なくとも一部は、一般的な形の層又は階層であってもよい。
【0033】
本発明の実施形態は、本発明の態様によるPCD構造の実施形態を含む、本体を切断し、本体をボーリングし、又は本体を分解するための工具又は工具構成要素を提供する。いくつかの実施形態では、工具又は工具構成要素は、切断し、粉砕し、研削し、穴を開け、地面をボーリングし、削岩し、又はその他の研磨の適用例、例えば金属を切断し機械加工するためのものであってもよい。一実施形態では、工具構成要素は、石油ガス掘削産業で使用される、地面をボーリングするための、回転剪断切断ビットなどのドリル用ビットのインサートであってもよい。一実施形態では、工具は、地面をボーリングするための回転ドリル用ビットであってもよい。
【0034】
一実施形態では、インサートは、本発明によるPCD材料の実施形態を含み、この材料は接合炭化物基材に結合され、インサートは地面をボーリングするためのドリル用ビットに用いられる。
【0035】
本発明の一実施形態では、工具構成要素は、界面で接合炭化物基材に結合されたPCD構造の実施形態を含んでいてもよい。一実施形態では、PCD構造は、接合炭化物基材と一体的に形成されていてもよい。一実施形態では、界面は実質的に平面であってもよい。一実施形態では、界面は、実質的に非平面であってもよい。
【0036】
次に非限定的な実施形態について、図面を参照しながら記述する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】PCD材料の実施形態の、ミクロ構造の概略図を示す。
【図2】PCD材料の実施形態の、研磨切片の顕微鏡写真の処理画像を示す図である。
【図3】PCD材料の実施形態のダイヤモンド粒近接性の度数分布であって、適合正規曲線をこの分布上に重ね合わせた状態を示す図である。
【図4】PCD材料の実施形態に関する、水平軸上に示された円相当径(ECD)粒度の数頻度グラフを示す図である。
【図5】地面をボーリングするための回転ドリル用ビットのインサートの、実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
全ての図面において、同じ符号は同じフィーチャを指す。
【0039】
本明細書で使用される「多結晶ダイヤモンド」(PCD)材料は、一塊のダイヤモンド粒であって、そのかなりの部分が互いに直接相互結合しており且つダイヤモンドの含量がこの材料の少なくとも約80体積%であるものを含む。PCD材料の一実施形態では、ダイヤモンド粒の間の隙間は、ダイヤモンドの触媒を含む結合材料で少なくとも部分的に満たされていてもよい。本明細書で使用される「隙間」又は「格子間領域」は、PCD材料のダイヤモンド粒の間の領域である。PCD材料の実施形態では、隙間又は格子間領域は、ダイヤモンド以外の材料で実質的に又は部分的に満たされていてもよく、又は実質的に空であってもよい。PCD材料の実施形態は、触媒材料が隙間から除去されてダイヤモンド粒の間に格子間空隙を残している、少なくとも1つの領域を含んでいてもよい。
【0040】
定量的ステレオグラフィーの分野では、特に接合炭化物材料に適用されるように、「近接性」は相間接触の定量的尺度と理解される。「近接性」は、実質的に2相のミクロ構造における、同じ相の粒子と共有される相の内部表面積と定義される(Underwood,E.E.、「定量的ステレオグラフィー(Quantitative Stereography)」、Addison−Wesley、Reading MA 1970;German,R.M.、「液相焼結ミクロ構造の近接性(The Contiguity of Liquid Phase Sintered Microstructures)」、Metallurgical Transactions A、Vol.16A、1985年7月、1247〜1252頁)。本明細書で使用される「ダイヤモンド粒の近接性」は、ダイヤモンド同士の接触若しくは結合、又はPCD材料内での接触及び結合の組合せの尺度である。
【0041】
本明細書で使用される「金属」材料は、非合金又は合金形態にあり且つ高伝導率などの金属の特徴的性質を有する金属を含むと理解される。
【0042】
ダイヤモンド用の溶媒/触媒材料と呼んでもよい、本明細書で使用されるダイヤモンドの「触媒材料」は、ダイヤモンドの成長又はダイヤモンド粒の間の直接的なダイヤモンド間相互成長を、ダイヤモンドが熱力学的に安定な圧力及び温度条件で促進させることが可能な材料を意味する。
【0043】
充填剤材料は、多結晶構造内の細孔、隙間、又は格子間領域を全体的に又は部分的に満たす材料を意味すると理解される。
【0044】
粒子のサイズは、円相当径(ECD)という用語で表してもよい。本明細書で使用される、粒子の「円相当径」(ECD)は、粒子内を通る断面と同じ面積を有する円の直径である。複数の粒子のECDサイズ分布及び平均サイズは、個々の結合されていない粒子ごとに又は本体内に一まとめに結合された粒子に関して、本体内を通る断面又は本体の表面の画像解析を用いて測定してもよい。
【0045】
本明細書で使用される「平均(average)」及び「平均(mean)」という単語は、同じ意味を有し、互いに交換可能である。
【0046】
図1及び図2を参照すると、PCD材料10の実施形態は、60.5%超の平均ダイヤモンド粒の近接性を有するダイヤモンド粒12を含む。ダイヤモンド粒12は、これら粒子の間の隙間又は格子間領域14を画定する骨格塊を形成する。PCD材料の切片内でダイヤモンド粒の間の全ての結合又は接触界面16上に存在する全ての点を通過する線を合わせた長さを合計して、ダイヤモンドの周の長さを決定し、PCD材料の切片内でダイヤモンドと格子間領域の間の全ての界面18上に存在する全ての点を通過する線を合わせた長さを合計して、結合剤の周の長さを決定する。
【0047】
本明細書で使用される「ダイヤモンド粒近接性」κは、PCD材料の研磨切片の画像解析から得られたデータを使用して、下式により計算される。
κ=100×[2×(δ−β)]/[(2×(δ−β))+δ]
(式中、δはダイヤモンドの周の長さであり、βは結合剤の周の長さである)。
【0048】
本明細書で使用されるダイヤモンドの周の長さは、その他のダイヤモンド粒に接触しているダイヤモンド粒表面の一部である。この値は、全体的なダイヤモンド間接触面積を、全体的なダイヤモンド粒表面積で割った値として、所与の体積に関して測定される。結合剤の周の長さは、その他のダイヤモンド粒に接触していないダイヤモンド粒表面の一部である。実際に、近接性の測定は、研磨切片の表面の画像解析によって実施される。解析切片において全てのダイヤモンド間界面上に存在する全ての点を通過する線を合わせた長さを合計して、ダイヤモンドの周の長さを決定し、結合剤の周の長さに関しても同様に行う。
【0049】
画像解析に使用される画像は、後方散乱電子信号を使用して撮影された、走査型電子顕微鏡写真(SEM)を用いて得られるべきである。光学電子顕微鏡写真は、十分な焦点深度を有していなくてもよく、実質的に異なるコントラストを与えてもよい。ダイヤモンド粒近接性を測定する方法では、互いに接触し又は結合している全く異なるダイヤモンド粒を、単一のダイヤモンド粒とは区別することができる必要がある。ダイヤモンド粒とこれらダイヤモンド粒間の境界領域との間の適切なコントラストは、近接性の測定で重要である可能性があるが、それは粒子間の境界をグレースケールコントラストに基づいて特定できるからである。ダイヤモンド粒間の境界領域は、粒子間の境界の特定を支援することができる触媒材料などの含まれた材料を含有していてもよい。
【0050】
図2は、PCD材料10の研磨切片の処理されたSEM画像の例を示し、ダイヤモンド粒12の間の境界16が示されている。これらの境界線16は、画像解析ソフトウェアによって得られ、ダイヤモンドの周の長さを測定し引き続きダイヤモンド粒近接性を計算するのに使用された。非ダイヤモンド領域14は暗色領域として示され、結合剤の周の長さは、ダイヤモンド12と非ダイヤモンド又は格子間領域14との間の境界18の累積長さから得られた。
【0051】
図3を参照すると、その処理画像が図2に示されている、PCD材料の実施形態に関して測定された平均ダイヤモンド粒近接性は、約62%である。測定されたデータを、正規又はガウス曲線に当て嵌めた状態が示されており、そこからダイヤモンド粒近接性の標準偏差を決定することができる。
【0052】
PCDなどの隙間又は格子間領域を含んだ内部構造を含む多結晶材料内の、本明細書で使用される「格子間平均自由行程」は、格子間の周の長さ上の異なる点の間のそれぞれの格子間を横断する平均距離を意味すると理解される。平均的な平均自由行程は、研磨サンプル断面の顕微鏡写真上に描かれた多くの線の長さを平均することによって決定される。平均自由行程の標準偏差は、これらの値の標準偏差である。ダイヤモンド平均自由行程は、同様に画定され測定される。
【0053】
PCD構造の均質性又は均一性は、研磨切片の多数の顕微鏡写真を使用して統計的評価を実施することにより定量することができる。次いで電子顕微鏡法を使用してダイヤモンド相の分布と容易に区別することが可能な充填剤相の分布を、EP0974566(WO2007/110770も参照)に開示されているものと同様の方法で測定することができる。この方法は、ミクロ構造内を通るいくつかの任意に描かれた線に沿った結合剤相の、平均厚さの統計的評価を可能にする。この結合剤の厚さ測定は、当業者から「平均自由行程」とも呼ばれる。類似した全体組成又は結合剤含量及び平均ダイヤモンド粒度の2種の材料の場合、より小さな平均厚さを有する材料は、より均質になる傾向があるが、それはダイヤモンド相の結合剤がより微細なスケールの分布を示唆しているからである。さらに、この測定の標準偏差が小さくなるほど、構造はより均質になる。大きな標準偏差は、結合剤の厚さがミクロ構造全体にわたって広く変化することを示唆し、即ち構造が均等ではなく、広く異なる構造タイプを含むことを示唆する。
【0054】
例示のため、多峰粒度分布の1つの非限定的な例を示す図4を参照すると、一塊の粒子の多峰サイズ分布は、粒子が複数のピーク20を有しており、各ピーク20はそれぞれの「モード」に対応しているサイズ分布を有することを意味すると理解される。多峰性多結晶(multimodal polycrystalline)本体は、典型的には、複数の粒子の複数の供給源を提供するステップであって、各供給源が実質的に異なる平均サイズを有する粒子を含んでいるステップと、この供給源からの粒子(複数可)を一緒にブレンドするステップとによって作製される。ブレンドされた粒子のサイズ分布の測定は、全く異なるモードに対応する全く異なるピークを明らかにすることができる。粒子が一緒に焼結されて多結晶本体を形成する場合、そのサイズ分布は、粒子が互いに圧縮され破砕されるにつれてさらに変化し、その結果、粒子のサイズが全体的に縮小する。それにも関わらず、粒子の多峰性は、焼結物品の画像解析から、依然として明らかに示すことができる。
【0055】
本明細書で特に指示しない限り、PCD材料内の粒子及び隙間に関するサイズ、距離、周の長さ、ECD、及び平均自由行程などの寸法、並びに粒子の近接性は、PCD材料を含む本体の表面又は本体内を通る切片で測定された寸法を指し、立体写真補正は適用されなかった。例えば、図4に示されるダイヤモンド粒のサイズ分布は、研磨表面で実施された画像解析を用いて測定し、Saltykov補正は適用しなかった。
【0056】
粒子の近接性などの、量の平均値及び偏差の測定、又は画像解析を用いて測定されたその他の統計的パラメータの測定では、表面又は切片の異なる部分のいくつかの画像を使用して、統計の信頼性及び精度を高める。所与の量又はパラメータを測定するのに使用される画像の数は、少なくとも約9又はさらに約36までであってもよい。使用される画像の数は、約16であってもよい。画像の解像度は、粒子間及び相間境界が明らかに表示されるように十分高いことが必要である。統計的解析では、PCD材料を含む本体の表面上の種々の領域で、典型的には16の画像が撮影され、統計的解析は、各画像上並びに全画像に渡って実施される。各画像は、少なくとも約30のダイヤモンド粒を含有すべきであるが、より多くの粒子であればより信頼性があり且つ正確な統計的画像解析が可能になる。
【0057】
触媒材料は、当技術分野で公知の方法のいずれかで焼結するために、ダイヤモンド粒の凝集塊に導入されていてもよい。1つの方法は、凝集塊への圧密化を形成する前に水溶液から沈殿させることによって、複数のダイヤモンド粒の表面上に金属酸化物を堆積するステップを含む。そのような方法は、PCT公開番号WO2006/032984及びWO2007/110770にも開示されている。別の方法は、粉末形態にあるコバルト−スズ合金などのダイヤモンドの触媒材料を含む金属合金を調製し又は提供するステップと、凝集塊にこれらを圧密化する前に、粉末と複数のダイヤモンド粒とをブレンドするステップとを含む。ブレンドするステップは、ボールミルを用いて実施してもよい。その他の添加剤を、凝集塊にブレンドしてもよい。
【0058】
一実施形態では、導入されていてもよい任意の触媒材料粒子又は添加剤材料粒子を含むダイヤモンド粒の凝集塊が、結合されていない又は緩く結合されている構造に形成されていてもよく、これを接合炭化物基材上に配置してもよい。接合炭化物基材は、コバルトなどの、ダイヤモンドの触媒材料の供給源を含有してもよい。凝集塊及び基材のアセンブリは、超高圧炉装置に適したカプセルであって6GPaよりも高い圧力の下に置くことが可能なカプセルに包封されていてもよい。ベルト、トロイド形、立方体、及び四角形のマルチアンビルシステムを含めた様々な種類の超高圧装置は公知であり、使用することができる。カプセルの温度は、触媒材料供給源が融解するように十分高く、且つダイヤモンドから黒鉛への実質的な変換が回避されるように十分低くあるべきである。時間は、焼結が完了するように十分長く、しかし生産性を最大限にしコストを低減させるため可能な限り短くあるべきである。
【0059】
PCT公開番号WO2009/027948は、ダイヤモンド相及び充填剤材料を含む多結晶ダイヤモンド材料であって、充填剤材料が3元炭化物を含んでいる材料について記述しており、PCT公開番号WO2009/027949は、相互成長ダイヤモンド粒と、金属触媒と共に形成されたスズをベースにした金属間又は3元炭化物化合物を含む充填剤材料とを含む、多結晶ダイヤモンド材料について記述している。
【0060】
本発明によるPCD材料には、耐摩耗性を高める利点がある。この材料は、強度を高め且つ熱安定性を高める利点を有していてもよい。これらの利点のいずれか又は全ては、PCD材料の高いダイヤモンド近接性から得ることができる。平均ダイヤモンド粒の近接性が約60%よりもかなり低い場合、高い耐摩耗性、強度、若しくは熱安定性、又はこれらの性質の組合せを、示すことができない。本発明のいくつかの実施形態では、高いダイヤモンド粒近接性は、粒度分布特性が本発明の実施形態により選択される多峰サイズ分布を有するダイヤモンド粒の使用から、得ることができる。ダイヤモンド粒近接性の標準偏差が、約4%の近接性よりもかなり高い場合、高い平均粒近接性を有することから生じる利点は、かなり低減される可能性がある。ダイヤモンド粒近接性が、約80%よりもかなり高く又はさらに約77%よりも高い場合、PCD材料の耐破壊性は低すぎる可能性がある。PCD材料の体積が約0.5mmよりもかなり少ない場合、ある切断操作又は穴を開ける操作で実際に使用するのに小さすぎる可能性がある。
【0061】
本発明の実施形態は、高い強度、耐摩耗性、及び熱安定性を有する。高い近接性及び粒子間結合は、高い強度、耐摩耗性、及び熱安定性をもたらすことができる。理論に拘泥するものではないが、高い熱安定性又は耐熱性は、ミクロ構造内の触媒材料とダイヤモンドとの間の狭い界面領域に起因する可能性がある。
【0062】
本発明によるPCD材料の実施形態は、高いダイヤモンド近接性及び高い粒子間結合、ダイヤモンド粒のより均質な空間分布、低い多孔率及びより少ない全触媒含量を示し、これら全ては、概して有益であると見なすことができる。改善された均質性は、使用中のPCDの性能に少ないばらつきをもたらす可能性がある。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態では、一方では高い近接性及び/又は高い均質性及び/又はPCD内の金属触媒の低い含量と、他方では少なくとも2つのピーク若しくはモード、又は少なくとも3つのピーク若しくはモードを含むサイズ分布との組合せが、PCDの耐摩耗性及びその他の性質の実質的な改善をもたらすことができ、その結果、削岩又は地面のボーリングの適用例、特に剪断切断による削岩において、多結晶ダイヤモンド要素の高い使用寿命及び切断又は貫入速度をもたらすことができる。この特徴の組合せは、相乗的である可能性がある。
【0064】
ダイヤモンド用の金属触媒材料は、優れた粒子間ダイヤモンド結合及び焼結をもたらすことができ、その結果、高い耐摩耗性及び強度を有するPCD材料をもたらすことができる。しかし、残留する金属触媒材料は、焼結したPCD内に在り続け、ダイヤモンド粒間の隙間に位置付けられている可能性があり、PCD材料の熱安定性を低下させる可能性がある。「熱安定性」は、温度の関数として、特に約700℃まで又はさらに約800℃までの温度の関数として、耐摩耗性や強度などのPCD材料の重要な機械的性質の相対強度を指す。6.0GPa超の圧力を使用したPCD材料の焼結は、金属充填剤材料を含むPCDの熱安定性を高め易くなる可能性がある。焼結PCD中の少量の触媒材料は、熱安定性を高める可能性がある。これは触媒材料が、使用中に典型的には主に用いられる高い温度及び周囲圧力で、ダイヤモンドから黒鉛への再変換を促進させることができるからである。そのような再変換は、PCD材料を著しく弱める可能性がある。さらに、金属触媒材料は一般に、ダイヤモンドよりもさらに高い熱膨張係数を有し、その存在によって、温度が上昇し又は低下するにつれてPCD内の内部応力が増大する可能性があり、それが材料を弱くする可能性がある。金属触媒材料は、酸化も受け易い可能性があり、したがってさらに内部応力が増大する可能性がある。
【0065】
本発明による工具の実施形態は、高い性能を有する。特に、高いダイヤモンド粒近接性を有し且つ6GPa超の圧力を使用して焼結されたPCDを含むインサートを備えた、地面をボーリングするドリル用ビットは、石油ガス掘削の適用例で優れた性能を示すことができる。同様の利益は、その他の触媒材料が使用される場合にも得ることができる。
【0066】
PCD材料を焼結するのに使用される圧力が約6GPa未満である場合、ダイヤモンド粒近接性は十分に高くない可能性があり、耐摩耗性、熱安定性、及び強度などのある機械的性質は、実質的に高くない可能性がある。本発明の方法の実施形態では、より大きな反応体積を使用して、その結果より大きな物品を焼結することができるようにするために、圧力は、できる限り低いが依然として6GPa超であることがより望ましいと考えられる。より低い圧力の使用は、コスト及び設計政策の複雑さを低減させることができる。ダイヤモンド粒が1ミクロン以下の平均サイズを有する本発明の方法のいくつかの実施形態では、約7.0GPa超の焼結圧力によって、サブミクロンダイヤモンド粒の焼結を改善することができる。
【0067】
本発明の方法の実施形態は、焼結によってより高い温度を使用してPCD材料を形成することができるという利点を有し、これは材料の性質に、特に使用される充填剤材料及び/又は触媒材料が比較的高い融点を有する場合に有益となり得る可能性がある。
【0068】
本発明の方法の実施形態は、多結晶ダイヤモンド材料が3元炭化物材料を含んだ充填剤材料を含む場合、特に有益となり得るものであり、特にPCD材料の熱安定性を高くすることができる。これは3元金属炭化物がダイヤモンドに対して比較的不活性である可能性があることにより生ずると考えられる。本発明の方法の実施形態は、ダイヤモンドの金属触媒と共に形成されたスズをベースにした金属間又は3元炭化物化合物を含んだ充填剤材料を含むタイプのPCD材料にとって、特に有益となり得る。本発明の方法の実施形態は、コバルト及びスズを含む充填剤材料を有するPCD材料であって、平均ダイヤモンド粒度が約10ミクロン未満であり且つ充填剤材料の少なくとも一部が浸透によって導入されている材料を作製する場合に、特に有益となり得る。本発明の方法の実施形態は、PCD構造の上面付近で生じ易い不十分な焼結に伴う欠陥の発生を、実質的に低減させるという利点を有する。その結果、より少ないPCD要素が拒絶され、改善されたプロセスの経済性をもたらすことができる。PCD材料は、高い強度、耐摩耗性、及び熱安定性を、耐酸化性も含めて有する傾向があると考えられる。
【0069】
本発明によるPCD材料の実施形態の熱安定性、特に、熱重量分析(TGA)を用いて測定される酸化開始温度は、かなり高めることができる。このような実施形態は、熱的に安定にすることができ、石油ガス掘削などの適用例で優れた性能を示すことができ、PCDカッター要素の温度は、約700℃よりも高い温度に到達することができる。酸化開始温度は、当技術分野で公知のように、酸素の存在下で熱重量分析(TGA)を用いて測定される。
【0070】
本発明によるPCD材料を含む工具は、PCD材料の高い熱安定性及び耐熱性により、金属の切断又は機械加工に特に有利となる可能性がある。
【実施例】
【0071】
本発明の実施形態について、本発明を限定するものではない以下の例を参照しながら、より詳細に記述する。
【0072】
(例1)
約8ミクロンの平均サイズを有するダイヤモンド粒の凝集塊は、約1ミクロンから約4ミクロンの範囲及び約7ミクロンから約15ミクロンの範囲の平均粒度をそれぞれ有する2つの供給源から得たダイヤモンド粉末をブレンドすることによって、形成した。ブレンドされたダイヤモンド粒を酸で処理して、存在していた可能性のある表面の不純物を除去した。炭化バナジウム(VC)粉末及びコバルト(Co)粉末を、遊星形ボールミルを使用してVC及びCoの粒子とダイヤモンド粉末とをブレンドすることにより、ダイヤモンド粉末中に導入した。VC粒子の平均サイズが約4ミクロンであり、凝集塊中のVCの含量は約3重量%であった。次いで凝集塊を、Co接合炭化タングステン(WC)を含む基材上の層に形成し、カプセル内に包封し超高圧炉に入れて、焼結前アセンブリを形成し、次いで当技術分野で公知のように、真空中でガス抜きをして、ダイヤモンド粒から表面の不純物を除去した。基材の直径は、約13mmよりも少し大きく、高さは約10mmであった。
【0073】
焼結前アセンブリを、超高圧炉内で約6.8GPaの圧力及び約1,600℃の温度の下に置いて、ダイヤモンド粒を焼結し、炭化物基材と一体的に形成されたPCD材料の層を含むPCD圧縮体を形成した。PCD層は、約2mmの厚さであった。焼結プロセス中、基材から得られ且つ溶解したW若しくはWC又はその両方を溶液状態で含有する融解コバルトは、ダイヤモンド粒の凝集塊内に浸透した。
【0074】
PCD材料から切片を切断し、切片の表面を研磨した。微視的領域の16のデジタル画像を、後方散乱電子信号を使用する走査型電子顕微鏡写真(SEM)を用いて、この切片表面上のそれぞれ異なる位置で得た。画像の解像度は、1画素当たり0.04717μmであった。画像のそれぞれに画像解析を行って、平均ダイヤモンド粒近接性、平均ダイヤモンド粒ECD、平均格子間ECD、ダイヤモンド粒平均自由行程、及び格子間平均自由行程、並びにこれらの量のそれぞれの標準偏差を測定した。次いでこれらの量を、全ての画像に関して得られた量全体を通して平均した。ダイヤモンド粒及び格子間ECDサイズ測定の場合、サイズ分布は、以下に記述されるようにより十分に特徴付けた。画像解析を行う際、ダイヤモンド粒と、ダイヤモンド粒間の境界領域との間のコントラストは、グレースケールコントラストを基にして粒子間の境界が強調されるように調節した。
【0075】
画像解析は、Soft Imaging System(登録商標)GmbHからの商標名analySIS Pro(Olympus Soft Imaging Solutions GmbHの商標)を有するソフトウェアを使用して行った。このソフトウェアは、操作マニュアルによれば分離される構造が密閉構造である場合に満足のいく結果をもたらす、「Separate Grains」フィルタを有する。したがって、このフィルタを適用する前に、あらゆる穴を充填することが重要である。例えば「Morph.Close」コマンドを使用してもよく、又は「Fillhole」モジュールから助けを得てもよい。このフィルタの他、「Separator」は、粒子分離に利用可能なもう1つの強力なフィルタである。このセパレータは、操作マニュアルによれば、カラー及びグレー値画像に適用することもできる。
【0076】
画像解析の結果を、表1及び2にまとめる。ダイヤモンドの含量は約90.8体積%であることが測定され、ダイヤモンド粒近接性は約68.4%であり、焼結ダイヤモンド粒の平均サイズは、円相当径に関して約6.3ミクロンであった。PCD材料の平均的な格子間平均自由行程は、約0.52(±0.46)ミクロンであった。
【0077】
データは、走査型電子顕微鏡写真の画像解析から得られた2次元測定に関連し、3次元に合わせて補正されていないものである。例えば、引用された平均ダイヤモンド粒度は、ダイヤモンド粒の断面積に対応する平均サイズである。ダイヤモンド及び格子間サイズは、断面積を決定し且つその面積を有する円の直径を計算することによって、円相当径(ECD)として計算される。統計的パラメータd10、d50、d75、及びd90は、それぞれ粒子の10%、50%、75%、及び90%がその値未満であるサイズ(ECD)を指す。最大サイズは、それよりも大きい粒子が実質的にないサイズである。パラメータ「低(95%)」及び「上(95%)」は、それぞれ粒子の5%がその値未満でありまたその値を超えるサイズ値を指す。
【表1】


【表2】

【0078】
(例2)
約10ミクロンの平均サイズを有するダイヤモンド粒の凝集塊を、約0.5ミクロンから約3ミクロンの範囲、約2ミクロンから約5ミクロンの範囲、約4ミクロンから約9ミクロンの範囲、約7ミクロンから約15ミクロンの範囲、及び約10ミクロンから約30ミクロンの範囲の平均粒度をそれぞれ有する5つの供給源から得たダイヤモンド粉末をブレンドすることによって形成した。ブレンドされたダイヤモンド粒を酸で処理して、存在している可能性のある表面不純物を除去した。炭化バナジウム(VC)粉末及びコバルト(Co)粉末を、遊星形ボールミルを使用してVC及びCoの粒子とダイヤモンド粉末とをブレンドすることにより、ダイヤモンド粉末中に導入した。VC粒子の平均サイズは約4ミクロンであり、凝集塊中のVCの含量は約3重量%であった。次いで凝集塊を、Co接合炭化タングステン(WC)を含む基材上の層に形成し、超高圧炉用にカプセル内に包封して焼結前アセンブリを形成し、次いで当技術分野で公知のように、これを真空中でガス抜きしてダイヤモンド粒から表面不純物を除去した。基材の直径は約13mmよりも少し大きく、高さは約2mmであった。
【0079】
焼結前アセンブリを、超高圧炉内で約8GPaの圧力及び約1,700℃の温度の下に置いて、ダイヤモンド粒を焼結し、炭化物基材と一体的に形成されたPCD材料の層を含むPCD圧縮体を形成した。PCD層は、約2mmの厚さであった。焼結プロセス中、基材から得られ且つ溶解したW若しくはWC又はその両方を溶液状態で含有する融解コバルトは、ダイヤモンド粒の凝集塊内に浸透した。
【0080】
PCD材料のSEM画像は、画像の解像度が1画素当たり0.09434μmであったこと以外、例1に記述されるように得られた。画像の画像解析の結果を、以下の表3及び表4に示す。ダイヤモンドの含量は約90.7体積%であり、ダイヤモンド粒近接性は約70.3%であり、焼結ダイヤモンド粒の平均サイズは、円相当径に関して約7.4ミクロンであった。
【表3】


【表4】

【0081】
PCD圧縮体を加工して試験PCDカッターインサートを形成し、これに摩耗試験を行った。摩耗試験では、このインサートを垂直タレットミリング装置で使用して、このインサートが破断し又は過剰に摩耗して故障するまで、花崗岩を含むある長さの工作物材料を切断した。インサートが故障したと見なされる前に工作物を通して切断された距離は、使用中の予測される使用寿命を示すことができる。試験インサートで実現された切断距離は、約5.5GPaの圧力で焼結され且つVC添加剤を含有しない対照PCDカッターインサートを使用して実現された距離よりも、約75%長かった。試験カッターインサートの耐摩耗性は、かなり高められたことが観察された。
【0082】
(例3)
試験及び対照PCD材料サンプルを、それぞれ6.8GPa及び5.5GPaの焼結圧力を使用して調製した。全てのその他の点において、試験及び対照サンプルは同じ方法で作製した。原材料ダイヤモンド粉末は、それぞれの供給源が異なる平均粒度分布を有する3つの供給源から得たダイヤモンド粒を、ブレンドすることによって調製した。得られたブレンド済み粉末中の粒子のサイズ分布は、粒子の9.8重量%が5ミクロン未満の平均粒度を有し、粒子の7.6重量%が5ミクロンから10ミクロンの範囲の平均粒度を有し、粒子の82.6重量%が10ミクロン超の平均粒度を有するサイズ分布特性を有していた。ブレンドされたダイヤモンド粒は、約20ミクロンの平均サイズを有していた。
【0083】
コバルト及びスズを、ダイヤモンド粒の表面に堆積したが、このとき水溶液からその表面に酸化コバルト及び酸化スズを堆積するステップを含む方法を用いた。コバルト−スズは、コーティングされたダイヤモンド塊の約7.5%を占め、ナノスケールの形成体として粒子表面全体に分散していることが見出された。
【0084】
コバルト−スズでコーティングされたダイヤモンド粒を、コバルト接合炭化タングステン基材の表面で凝集塊に形成し、このアセンブリを、耐火性金属ジャケット内に包封して圧縮前アセンブリを形成し、そこから空気を実質的に除去した。圧縮前アセンブリを、高圧高温炉用のカプセル内に投入した。
【0085】
試験材料を、約6.8GPaの圧力及び1,550℃の温度の下に約9分間置いて、炭化タングステン基材に結合された焼結PCD塊を含む圧縮体を形成した。
【0086】
対照材料を、従来から使用されている約5.5GPaの圧力及び約1,450℃の温度の下に約9分間置いて、炭化タングステン基材に結合された焼結PCD塊を含む圧縮体を形成した。
【0087】
圧縮体は、その形状が実質的に円筒形であり、約16mmの直径を有していた。圧縮体は、コバルト接合炭化タングステン(WC)基材上に一体的に結合されたPCDの層を含んでおり、このPCD層は厚さ2.2mmであった。PCD層のダイヤモンド含量は、約92体積%であり、残りはコバルトと、WCなどの少量の沈殿相とであった。このように生成されたPCD内のダイヤモンド粒は、粒子の34.7重量%が5ミクロン未満の平均粒度を有し、粒子の40.4重量%が5ミクロンから10ミクロンの範囲の平均サイズを有し、粒子の24.9重量%が10ミクロン超の平均粒度を有するという特徴を有する多峰サイズ分布であった。焼結PCDの粒度分布は、焼結プロセス中に通常生じる、より粗い粒度に向けたシフトに加え、高圧での粒子の相互破砕による入力粒子の粒度分布とは異なっている。
【0088】
対照及び試験圧縮体を分析した。両方とも、隙間に存在する下記の相、即ちCoSn、CoSnC0.7、CoSn、Co、及びWCを有するPCDを含むことがわかった。主な相はCoSnC0.7であり、この相は、PCDの熱安定性の改善において主要な役割を演じると考えられる。その他の相は、微量で存在した。
【0089】
画像解析は、ダイヤモンド粒の相互成長、並びにPCD内でのその空間分布の均質性を解析するのに使用した。対照圧縮体内の場合よりも高い程度のダイヤモンド粒相互成長が、試験圧縮体のPCD内で観察された。粒子の相互成長及び接触は、ダイヤモンド粒近接性として表すことができ、試験PCDの平均近接性は、対照PCDの平均近接性が59.2%(±1.4%)であるのに比べて62.0%(±1.9%)であり、括弧内の数値は標準偏差である。統計的に、近接性のこの絶対的な差である0.8%は、95%の信頼区間に相当するため、この絶対的な差である2.8%はかなりの値となり得る。
【0090】
試験PCDの平均的な格子間平均自由行程は、対照PCD平均が1.50(±2.53)μmであるのに比べて約0.74(±0.62)ミクロンであった。
【0091】
対照PCDの場合よりも多くのコバルトが試験PCD中に存在し、追加のコバルトは、コバルト含有基材から浸透してきたと考えられる。この結果、対照PCDの場合よりも高い含量のCOSnCO0.7を有する試験PCDが得られた。さらに、WCの含量は、試験PCDにおいてより高く、基材との界面付近に多量の再結晶WC「プルーム」形成体を含有していた。
【0092】
試験材料の画像解析の結果を、表5及び6にまとめる。データは、走査型電子顕微鏡写真の画像解析から得られた2次元測定値に関し、3次元用に補正されていない。表中のパラメータは、例1で述べたものと同じ意味を有する。
【表5】


【表6】

【0093】
対照及び試験サンプルの両方を加工して、岩石ボーリングに適したインサートを形成し、このインサートに摩耗試験を行ったが、この試験では、垂直タレットミリング装置に取り付けられた花崗岩ブロックを機械加工するためにインサートを使用した。この試験では、何回ものパスを通して花崗岩ブロックを機械加工し、花崗岩に対する摩損の結果としてPCDに形成された摩耗の傷跡のサイズを測定した。50回のパスの後の、試験PCDの摩耗の傷跡は、対照PCDの場合よりも約30%小さく、作動条件で少なくともさらに100回のパスを継続した。
【0094】
いくつかのより多くの試験及び対照PCDサンプルを製造した場合、試験PCDの品質は対照PCDの品質よりもさらにより一貫していることがわり、不良率はさらに低かった。
【0095】
本発明の第1の態様による方法の使用は、厚いPCD構造を焼結させることがわかった。より厚いPCD構造は、より薄いPCD構造よりも大きな強度を有し、その他の全ては同じである。
【0096】
(例4)
接合炭化物基材上に焼結されたCo−SnベースのPCDのいくつかのサンプルを、調製した。それぞれの場合において、スズ粉末をコバルト金属粉末と予備反応させて、特定の原子比1:1のCoSn合金/金属間化合物を生成した。次いでこの予備反応させた供給源を、予備合成混合又はin situ浸透によって未焼結ダイヤモンド粉末塊に導入した。1:1のCoSn予備反応粉末混合物は、遊星形ボールミル内でCo及びSn粉末を一緒にミリングすることにより、調製した。次いで粉末混合物を、真空炉内(600℃から800℃)で熱処理して、反応済みCoSn材料を製造した。次いでこの予備反応させた材料をさらに破砕し/ミリングして凝集体を分解し、粒度を低減させた。ダイヤモンド粉末サイズ分布は、約10ミクロン未満の平均粒度を有していた。次いで選択された量のこのCoSn材料(ダイヤモンド粉末塊の重量%として表される)を、超高圧炉反応容積内で未焼結ダイヤモンド粉末に接触させた。これは、ダイヤモンド粉末塊に隣接した個別の粉末層としてであり(融解後の超高圧処理中にダイヤモンドに浸透する可能性があり、即ちin situ浸透である)、又はキャニスタに投入する前にCoSn材料をダイヤモンド粉末混合物に直接混合した。次いでダイヤモンド粉末/CoSnアセンブリを接合炭化物基材に隣接させて配置し、それによって超高圧条件での接合炭化物基材からの追加のコバルトの浸透により結合剤の金属的性質がさらに増大するようにした。アセンブリを、約6.8GPaの圧力及びコバルトの融点よりも高い温度の下に置いた。このように、ある範囲のCo:Sn比の結合剤系、及び結果的に生じたPCD材料が生成された。
【0097】
(例5)
単峰性PCD試験材料を、遊星形ボールミルを用いてコバルト粉末とダイヤモンド粒とをブレンドし、ブレンドした混合物を7.7GPaの圧力及び2,100℃の温度で約60秒間にわたり焼結することによって調製した。ダイヤモンド粒は、3ミクロンから6ミクロンの範囲の平均サイズを有していた。ブレンドされた粉末混合物中のコバルトとダイヤモンドとの重量比は、18:82であった。直径13.7mm及び高さ4mmの独立した支持されていない焼結PCDサンプルを生成した。
【0098】
対照PCD材料は、i)コバルトを、従来通り接合炭化タングステン基材からの浸透によって導入することによりコバルトとダイヤモンドとの重量比を26:74にし、ii)5.5GPaの焼結圧力及び約1,450℃の温度を使用したこと以外、試験材料と同様に作製した。
【0099】
焼結した試験PCDの研磨切片の走査型電子顕微鏡写真を、後方散乱電子を使用して得、画像解析をこの顕微鏡写真に関して実施した。試験材料の画像解析の結果を表7及び8にまとめ、これらのパラメータは、例1で定義した意味と同じ意味を有する。
【表7】


【表8】

【0100】
試験及び対照サンプルを、従来の処理によって切断インサートに形成し、花崗岩のミリングを行う摩耗試験を行った。1mmの深さの切断深さを使用した。摩耗試験の結果は、カッターが故障したと見なされる前にミリングされた花崗岩の距離である、切断長さである。試験PCDの切断長さは約5,100mmであり、この長さは約1,200mmである対照PCD切断長さよりも著しく大きい。これは、試験PCDの耐摩損性が、対照PCDの場合よりも数倍大きいことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも88体積%、最大で99体積%のダイヤモンド粒を含み、平均ダイヤモンド粒の近接性が60%超である、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料。
【請求項2】
前記ダイヤモンド粒の近接性が最大で80%である、請求項1に記載のPCD材料。
【請求項3】
前記ダイヤモンド粒近接性の標準偏差が最大で4%の近接性である、請求項1又は2に記載のPCD材料。
【請求項4】
少なくとも0.5mmの体積を有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載のPCD材料。
【請求項5】
前記ダイヤモンド粒が、前記粒子の少なくとも50%が5ミクロン超の平均サイズを有するサイズ分布特性を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載のPCD材料。
【請求項6】
多峰サイズ分布を有するダイヤモンド粒を含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載のPCD材料。
【請求項7】
最大で15ミクロンの平均サイズを有するダイヤモンド粒を含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載のPCD材料。
【請求項8】
最大で1.5ミクロンの平均的な格子間平均自由行程を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載のPCD材料。
【請求項9】
前記格子間平均自由行程の標準偏差が、0.05ミクロンから1.5ミクロンの範囲にある、請求項1から8までのいずれか一項に記載のPCD材料。
【請求項10】
少なくとも0.5ミクロン及び最大で4ミクロンの平均格子間ECDサイズを有する、請求項1から9までのいずれか一項に記載のPCD材料。
【請求項11】
式MxM’yCzの3元炭化物を含んだフィルタ材料を含み、Mが、遷移金属及び希土類金属からなる群から選択された少なくとも1種の元素であり、M’が、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Ti、Mg、Zn、及びCdからなる群から選択された元素であり、xが2.5から5.0の範囲にあり、yが0.5から3.0の範囲にあり、zが0.1から1.2の範囲にある、請求項1から10までのいずれか一項に記載のPCD材料。
【請求項12】
Mが、Co、Fe、Ni、Mn、Cr、Pd、Pt、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Ce、Y、La、及びScからなる群から選択される、請求項11に記載のPCD材料。
【請求項13】
少なくとも800℃の酸化開始温度を有する、請求項1から12までのいずれか一項に記載のPCD材料。
【請求項14】
ダイヤモンドの触媒材料を最大で2体積%含む、表面に隣接した領域と、ダイヤモンドの触媒材料を2体積%超含む、表面から離れた領域とを有する、請求項1から13までのいずれか一項に記載のPCD材料。
【請求項15】
接合炭化物基材に結合された、地面をボーリングするためのドリル用ビットである、請求項1から14までのいずれか一項に記載のPCD材料を含むインサート。
【請求項16】
ダイヤモンド粒の凝集塊を、ダイヤモンドの金属触媒材料の存在下、前記触媒材料が融解するのに十分高い温度で、6.0GPa超の圧力の圧力処理に供するステップと、前記ダイヤモンド粒を焼結してPCD材料を形成するステップとを含み、前記凝集塊中のダイヤモンド粒は、粒子の少なくとも50%が5ミクロン超の平均サイズを有し且つ粒子の少なくとも20%が10から15ミクロンの範囲の平均サイズを有するサイズ分布特性を有する、請求項1から14までのいずれか一項に記載のPCD材料を作製する方法。
【請求項17】
前記PCD材料を、少なくとも2GPaの圧力でさらなる圧力処理に供するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ダイヤモンドの金属触媒材料を、前記ダイヤモンド粒と前記PCD材料との間の隙間から除去するステップを含む、請求項16又は請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記PCD材料を、少なくとも500℃の温度の熱処理に少なくとも5分間供するステップを含む、請求項16から請求項18までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
添加剤材料を前記凝集塊に導入するステップを含み、前記添加剤材料が、V、Ti、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Si、Sn、又はAlから選択された少なくとも1種の元素を含有する、請求項16から請求項19までのいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−528780(P2012−528780A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513715(P2012−513715)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052418
【国際公開番号】WO2010/140108
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(512123086)エレメント シックス アブラシヴェス エス.エー. (1)
【Fターム(参考)】