説明

多重アンテナシステム内の送信信号のための方法および装置

【課題】多重アンテナシステム(MAS)内の送信信号のための方法および装置を提供すること。
【解決手段】その方法は:2つの分岐を形成するために共通チャネル信号の各グループにアラモウチ符号化を実行する段階と、異なる重みベクトルに対応するビームモードが無相関であって、その2つのビームモードの角度寸法のピーク対平均電力比が事前設定のしきい値よりも低く、異なる分岐に対して異なる重みベクトルを選択してビーム形成を実行し、各アンテナの各分岐の送信信号を取得する段階と、各アンテナのこれらの2つの分岐のその送信信号を重畳し、その重畳信号を送信する段階とを含む。本発明では、アラモウチ符号化が導入され、2つの仮想チャネルの独立性を利用することによって空間ダイバーシティ利得が生成される。従って、完全到達範囲内でのMASの性能は向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信分野に関し、具体的には、多重アンテナシステム内の送信信号に関する。
【背景技術】
【0002】
1990年代以降、無線通信産業は爆発的な成長を経験した。移動音声、データ、および映像サービスが増えるに従い、無線通信システムのために、より高い帯域幅が求められている。しかし、利用可能な周波数帯域リソースは徐々に不足している。従って、周波数スペクトル利用をいかに増やすかが、無線通信研究の重要な課題になっている。
【0003】
周波数スペクトル利用を増やすために使用可能な技術は、多重アクセス、信号検出、変調、およびチャネル符号化を含む。多重アンテナシステム(MAS)技術は、周波数スペクトル利用を増やす莫大な可能性をもっており、無線通信分野でますます重要な役割を果たす。
【0004】
スマートアンテナ(SA)は、MASの一種であり、アンテナ配列システム(AAS)とも呼ばれる。SAの配列要素間隔は、チャネルの可干渉距離よりも一般に小さい。アンテナ配列要素間の信号相関を利用することによって、ビームの形成が可能であり、高利得狭ビームを通信の移動端末に適応的に向けることが可能である。さらに、ヌルを干渉方向に向けることが可能である。
【0005】
図1は、標準的なSAの構造を示す。狭帯域信号のSA配列は、M (>1)個のアンテナ配列要素を含む。mは、M個のアンテナ配列要素の1つである。M個の受信アンテナはM個の受信チャネルに対応し、M個の送信チャネルはM個の送信アンテナに対応する。
【0006】
特定のユーザについて、到来方向(DOA)推定モジュールが、M個のアンテナ配列要素上の受信信号に従って、そのユーザのDOA情報を推定する。適用ビーム形成重み係数ジェネレータが、その特定のユーザのDOA情報に従って適用ビーム形成重み係数ジェネレータの重みベクトルを調整し、各送信チャネルに対する重み付き係数を生成する。各チャネルの重み係数チューナが、それ自体のチャネルの重み係数を使用することによって専用チャネル信号s(t)を(乗算によって)調整する。次に、M個のアンテナ配列要素の重み係数w1, w2,…,wMが、重みベクトルwを形成し、それによりその特定のユーザに対してポインティングビームが形成され、そのユーザの動きを適応的に追跡する。図1のアスタリスク“*”は、共役記号を表す。
【0007】
多入力多出力(MIMO)は、MASのもう1つの種類である。Foschiniが、周波数スペクトル利用の増大におけるMIMOの莫大な可能性を論理的に証明している。MIMOのチャネル容量は、アンテナの数に沿って直線的に増加する(送受信機のアンテナの最小数に比例して増える)。MIMO技術はSAであると考えることもできる。MIMOとSAの差異は、アンテナ配列要素の間隔にある。MIMOシステムアンテナの間には非相関が保たれるべきである。
【0008】
セルラ移動通信システムにおいて、基地局は、音声、データまたは映像サービスを運ぶために、1つのセルまたはセクタ内の各アクティブユーザに専用のチャネルを割り当てる。多重アンテナに基づく基地局は、特定のユーザに対する送信信号のための専用チャネルでビーム形成または事前符号化などの技術を使用することができ、他のユーザとの干渉を低減することができる。
【0009】
実際の移動通信システムにおいて、共通チャネルもまた、放送チャネル内のシステム情報、同期チャネル内の基準信号、ならびに下りアクセスチャネル(FACH)内のパイロット情報、ページング情報および共通制御情報などのすべての移動端末によって必要とされる共通情報を運ぶためにセルまたはセクタ内で必要とされる。共通チャネルおよび専用チャネルは、基地局の到達範囲に異なる要件をもつ。共通チャネルはセルまたはセクタ内のすべての移動端末が同時に信号を受信することを必要とする。従って、基地局は優れた完全到達範囲性能をもたなければならない。
【0010】
共通チャネル信号の送信時間がタイムスロットに分けられるアンテナ配列セル/セクタ到達範囲ソリューションが存在し、相補的アンテナパターンをもつ重みベクトルの一グループが選択され、連続するタイムスロットで相補的重みベクトルが順に使用される。従って、SAベースの完全なセル/セクタ到達範囲が実現される。
【0011】
前述のソリューションでは複数の相補的重みベクトルが順に使用されるが、重みベクトルの数量は限られており、また各重みベクトルに対応するアンテナパターンは固定されている。従って、多重アンテナパターンのアンテナ利得の平均値は完全に等しくはなく、近い方向にあるのみで、各方向でのビット誤り率(BER)に大きな差異を引き起こす。従って、完全到達範囲性能の改良が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の実施形態は、多重アンテナシステム(MAS)内の送信信号のための方法および装置を提供し、それにより完全到達範囲内のMASの性能を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
MAS内の送信信号のための方法が本発明の一実施形態で提供される。その方法は以下を含む:
【0014】
2つの分岐を形成するために共通チャネル記号の各グループにアラモウチ(Alamouti)符号化を実行する段階と、異なる重みベクトルに対応するビームモードが無相関であって、2つのビームモードの角度寸法のピーク対平均電力比が事前設定のしきい値よりも低い、ビーム形成を実行するために、異なる分岐に対して異なる重みベクトルを選択し、各アンテナ上の各分岐の送信信号を取得する段階と、各アンテナで重畳信号を取得するために各アンテナ上のこれらの2つの分岐の送信信号を重畳し、その重畳信号を送信する段階。
【0015】
MAS内の送信信号のための装置が本発明の一実施形態で提供される。その装置は以下を含む:
【0016】
2つの分岐を形成するために共通チャネル記号の各グループにアラモウチ符号化を実行するように構成された、符号化モジュールと、
【0017】
異なる重みベクトルに対応するビームモードが無相関であって、2つのビームモードの角度寸法のピーク対平均電力比が事前設定のしきい値よりも低い、異なる重みベクトルを異なる分岐に対して選択するように構成された、重みベクトル取得モジュールと、
【0018】
その選択された重みベクトルに従って異なる分岐にビーム形成を実行し、各アンテナ上の各分岐の送信信号を取得するように構成された、ビーム形成モジュールと、
【0019】
各アンテナで重畳信号を取得するために、各アンテナ上の2つの分岐の送信信号を重畳し、その重畳信号を送信するように構成された、送信モジュール。
【0020】
本発明の実施形態の前述の技術ソリューションによると、アラモウチ符号化は送信側に導入され、2つの独立した仮想チャネルがMASを使用することによって生成される。これらの2つの仮想チャネルの独立性を利用することによって、空間ダイバーシティ利得が生じ、ビームが形成される。この方法で、すべての方向で受信される信号は同じ品質をもち、それにより完全到達範囲でのMASの性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、従来先行技術でのSAのビーム形成を図示した概略図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態でMAS内の送信信号のための方法の流れ図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態でMAS内の送信信号のための装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の技術ソリューションは、添付の図を参照して以下に詳述される。その実施形態は本発明のあくまで例示的な実施形態であり、本発明はこれらの実施形態に制限されないことは明らかである。本発明の実施形態に基づいて当業者が取得する他の実施形態もまた本発明の保護の範囲に含まれる。
【0023】
本発明の実施形態は送信信号のための方法および装置を提供し、それにより完全到達範囲での共通チャネルの性能がセルまたはセクタ全体で向上する。
【0024】
本発明の一実施形態における送信信号のための方法は以下を含む:
【0025】
(1)2つの分岐を形成するために、共通チャネル記号の各グループにアラモウチ符号化を実行する。
【0026】
この実施形態では、多重アンテナが共通チャネル信号を送り、その共通チャネル記号をグループに分け(各グループは2つの記号を含む)、そして各グループにアラモウチ符号化を実行して2つの分岐を形成する。
【0027】
(2)異なる分岐に対して異なる重みベクトルを選択する。
【0028】
アラモウチ符号化が実行された後、ビーム形成を実行するためにその2つの分岐に対して異なる重みベクトルが選択され、各アンテナ上の分岐の送信信号が取得される。各重みベクトルの寸法は送信アンテナの数量と同等である。さらに、その2つの異なる重みベクトルは、その2つのビームモードの角度寸法のピーク対平均電力比が事前設定のしきい値よりも低い無相関ビームモードに対応する。
【0029】
(3)ビーム形成を受ける2つの分岐記号を重畳し、その重畳記号を送る。
【0030】
各アンテナ上の2つの分岐の送信信号が重畳され、次に送信される。
【0031】
この実施形態では、2つの異なる重みベクトルは、2つの仮想アンテナと考えることができる。この2つの仮想アンテナは、通常は同方向に異なる利得をもつため、無相関の仮想アンテナと考えることができる。この実施形態で、アラモウチ符号化は送信側で導入され、2つの仮想アンテナはMASを使用することによって生成され、また、その2つの仮想アンテナの非相関性を利用することによって空間ダイバーシティ利得が得られる。従って、すべての方向で受信される信号は同じ品質をもち、完全到達範囲でのMASの性能は向上する。
【0032】
より深い理解のため、本発明の一実施形態によるMAS内の送信信号のための方法を添付の図を参照して以下に説明する。図2に示すとおり、その方法は以下を含む:
【0033】
ステップ201:共通チャネル記号を分ける。
【0034】
この実施形態では、共通チャネル内の信号が送信される必要があるとき、2つの共通チャネル記号ごとに1つのグループに入れることができる。各グループは
【0035】
【数1】

【0036】
で表すことができる。共通チャネル記号は、チャネル符号化、インターリービング、およびコンステレーションマッピングを受けるブロードキャストまたはマルチキャストビットでよい。
【0037】
ステップ202:アラモウチ符号化を実行する。
【0038】
具体的には、アラモウチ符号化は記号の各グループ
【0039】
【数2】

【0040】
を次のように変換することになる:
【0041】
【数3】

【0042】
(.)*は共役を表す。行列Sの各横列は空間定義域のアンテナ配列要素に対応し、行列Sの各縦列は時間周波数定義域の送信時間周波数リソースブロックに対応する。この実施形態では、第1の横列[s1 -s2*]は第1の空間分岐、すなわち仮想アンテナに対応する。同様に、第2の横列[s2 s1*]は第2の空間分岐に対応する。送信記号
【0043】
【数4】

【0044】
については、s1およびs2が第1の時間周波数リソースブロックで送信され、また-s2*およびs1*は第2の時間周波数リソースブロックで送信される。2つの時間周波数リソースブロックの各アンテナのチャネル応答値は高度に相関し、同じになると想定される。1つのアラモウチ符号ブロックは各時間周波数ブロックに記号を2つだけもつため、各時間周波数リソースブロックは同時に複数のアラモウチ符号ブロックを送信することができる。送信されるアラモウチ符号ブロックの数量は、時間周波数リソースブロックのサイズにより変わる。
【0045】
ステップ203:基本重みベクトルを取得する。
【0046】
この実施形態で、基本重みベクトル
【0047】
【数5】

【0048】
が設計される。基本重みベクトルは、
【0049】
【数6】

【0050】
としてラベル付けされる、M個の重み係数を含む。M個の重み係数は、Mが1より大きい整数である、M個の送信チャネル、すなわちM個のアンテナに対応する。
【0051】
【数7】

【0052】
は、転置された
【0053】
【数8】

【0054】
を表す。たとえば、行列[w1 w2…wM]Tは、転置された行列[w1 w2…wM]を表す。
【0055】
ビーム形成を受ける基本重みベクトルによって生成されるビームの到達範囲角度は、事前設定のしきい値に達するべきである。ビーム平坦度は事前設定のしきい値に達するべきであり、2つのビームモードの角度寸法のピーク対平均電力比は事前設定のしきい値より低い。すなわち、ビームは、幅のある到達範囲角度、平坦性、および低いピーク対平均電力比などの特徴をもつべきである。角度寸法に関するピーク対平均電力比は、角度寸法に関する電力平均によって分けられる角度寸法に関する最大電力に等しい。
【0056】
コストを削減し、各電力増幅器が確実に効率的に使用されるようにするために、各アンテナの送信電力は同等に設定されうる。すなわち、基本重みベクトルの各重み係数の絶対値は等しく、|w1|=|w2|=...=|wM|である。
【0057】
ステップ204:重みベクトルを取得する。
【0058】
第1の空間分岐に対して、0から2πの間の位相値ф1が選択される。第1の分岐の重みベクトルは、基本重みベクトルwに従って式(2)を使用することにより計算される:
【0059】
【数9】

【0060】
第2の空間分岐に対して、0から2πの間の位相値ф22≠ф1)が選択される。第2の分岐の重みベクトルは、基本重みベクトル
【0061】
【数10】

【0062】
に従って式(3)を使用することにより計算される:
【0063】
【数11】

【0064】
さらに、その2つの分岐の重みベクトルは、tが分岐シーケンス番号を表す、式(4)で表すことができる:
【0065】
【数12】

【0066】
実際の適用例では位相を使用することにより基本ベクトルを重みベクトルに変換するためのより多くの方法が使用可能であることは理解されている。具体的な方法はこの実施形態に限定されない。
【0067】
ステップ205:各分岐に対してビームを形成し、各アンテナ上の分岐の送信信号を取得する。
【0068】
2つの分岐に対応する重みベクトルによって生成されるビームは、方向において相補的であることが必要である。たとえば、線形配列について、無相関のビームは次のように表すことができる:
【0069】
【数13】

【0070】
【数14】

【0071】
はここでアンテナ配列の方向ベクトルを表し、M次元の列ベクトルであり、θは信号とアンテナ配列の間の方向角を表し、2つのビームモードの角度寸法のピーク対平均電力比は事前設定のしきい値よりも低く、Mはアンテナの数量を表し、wmは第mのアンテナ上の重み係数を表し、wm*はwm(t)の共役を表し、dは配列要素間隔を表し、また
【0072】
【数15】

【0073】
である。
【0074】
ステップ206:2つの分岐でビーム形成を受ける信号を重畳し、その重畳信号を送信する。
【0075】
各アンテナ上の2つの分岐の送信信号が追加され、それによって各アンテナ上の送信信号が取得される。
【0076】
形成モデル1および2によって選択される位相値をф1およびф2とすると、アラモウチ時空間周波数符号化によるデータは、
【0077】
【数16】

【0078】
である。この場合、基本重みベクトルに従って取得される2つの重みベクトルは次のとおりである:
【0079】
【数17】

【0080】
符号ブロック内の各時間周波数リソースブロックの2つの記号、たとえば[s1,s2]Tについて、2つのM次元ベクトルを取得するために、その2つの構成要素にM個の要素を含む2つの重みベクトルを乗じる。これらの2つのベクトルは、M個の送信アンテナに送られるM次元ベクトルを形成するために追加される。M次元ベクトルの各要素は、MASのアンテナに対応する。すなわち、
【0081】
【数18】

【0082】
その後、各アンテナ上の送信信号は、直交周波数分割多重(OFDM)を受けた後に送信可能である。
【0083】
1つのアラモウチ符号は、各分岐に同じ重み係数が使用される2つの時間周波数ブロックを含む。すなわち、2つの時間周波数ブロック上の2つの仮想アンテナの形成モードは変わらないままである(ビーム形成ともいう)。説明の便宜上、2つの時間周波数ブロックはフレームを形成し、時間周波数次元に関してアラモウチ時空間周波数符号の2つの符号出力記号を送信すると仮定する。重みベクトルの同一グループが2つの異なる重みベクトルф1およびф2を含む場合、その重みベクトルの同一グループが同一フレーム内で使用される。そのフレームは、従来の時間フレームを時間周波数次元に広げる、広い意味でのフレームである。連続する送信記号はフレームにグループ分けされる。より多くのフレームが利用可能である場合、次のフレームの位相は現在の位相およびフレーム間増分位相値を使用することによって取得可能である。詳細は次のとおりである:
【0084】
фp(k)= фp+k・δ, p=1,2 (9)
【0085】
次のフレームは、時間周波数に関して現在のフレームに隣接する。上述の式で、kは送信信号のフレームの数を表し、pは2つの異なる形成モードを表し、そしてδは、最初のフレームに対応する選択されたフレーム間増分位相値を表す。第1のフレーム内の2つの相補的移行位相は次のとおりである:фp(1)=фp+δ, p=1,2。
【0086】
式(8)で取得された送信ベクトルである
【0087】
【数19】

【0088】
が無線チャネルを通過した後、受信側について、受信信号は次のように表すことができる:
【0089】
r1=(g1s1+g2s2)h+n1
【0090】
r2=(g2s1*-g1s2*)h+n2 (10)
【0091】
ここで、n1、n2はゼロ平均値および分散δ2をもつガウス形雑音値を示す。
【0092】
チャネル減衰値はビーム形成値で重畳される。gn、n=1,2は互いに独立しているため、2つの独立した仮想チャネルが生成可能であり、
【0093】
【数20】

【0094】
によって表すことができる。受信信号ベクトルが、
【0095】
【数21】

【0096】
として定義され、雑音ベクトルが
【0097】
【数22】

として定義される場合、前述の式は次の行列で表すことができる:
【0098】
【数23】

【0099】
チャネル応答行列は次のように定義される:
【0100】
【数24】

【0101】
最小平均2乗誤差(MMSE)復調が受信信号に実行される場合、アラモウチ符号化の空間ダイバーシティ利得が取得可能である。復調式は次のとおりである:
【0102】
【数25】

【0103】
この実施形態では、アラモウチ符号化が送信側で導入され、MASを使用することによって2つの無相関の仮想アンテナおよび空間ダイバーシティ利得が生成可能である。従って、完全到達範囲のMASの性能は向上する。
【0104】
本発明の一実施形態でMAS内の送信信号のための装置を以下に説明する。実際の適用例では、この装置は送信側に、たとえば基地局に、設置可能である。図3に示すとおり、この装置は以下を含む:
【0105】
その共通チャネル記号が共通チャネル内で送信されるデータ記号、たとえば、
【0106】
【数26】

【0107】
でよい、共通チャネル記号の各グループにアラモウチ符号化を実行して2つの分岐を形成するように構成された、符号化モジュール301と、
【0108】
異なる重みベクトルに対応するビームモードが無相関であって、2つのビームモードの角度寸法のピーク対平均電力比が事前設定のしきい値よりも低い、異なる重みベクトルを異なる分岐に対して選択するように構成された、重みベクトル取得モジュール302と、
【0109】
選択された重みベクトルに従って異なる分岐にビームを形成し、各アンテナ上の各分岐の送信信号を取得するように構成された、ビーム形成モジュール303と、
【0110】
各アンテナ上のその2つの分岐の送信信号を重畳し、その重畳信号を送信するように構成された、送信モジュール304。
【0111】
この装置は前述の方法に対応する。重みベクトル取得モジュール302は、各分岐に対して位相ф(t)を選択し、次の式を使用して基本重みベクトルwに従って重みベクトルを取得するように構成されている:
【0112】
【数27】

【0113】
ここでtは分岐シーケンス番号を表し、Mはアンテナの数量を表し、diag[.]は大括弧内の要素が対角行列を形成することを表し、基本重みベクトルwの各構成要素の絶対値は等しく、2つのビームモードの角度寸法のピーク対平均電力比は事前設定のしきい値よりも低い。
【0114】
この装置で、アラモウチ符号化が導入され、MASを使用することによって2つの独立した仮想チャネルが生成され、その2つの仮想チャネルの独立性を利用することによって空間ダイバーシティ利得が生成される。従って、完全到達範囲内のMASの性能は向上する。
【0115】
本発明の実施形態による方法のステップのすべてまたは一部がプログラム命令の関連ハードウェアによって実装可能であることが当業者には理解できるであろう。そのプログラムは、ROM、RAM、磁気ディスク、または光ディスクなどのコンピュータ可読の記憶媒体に格納されうる。
【0116】
上述は、本発明の実施形態でMAS内の送信信号のための方法および装置の詳細な説明である。本発明はいくつかの例示的な実施形態を介して説明されているが、本発明はこれらの実施形態に制限されない。当業者が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本発明のさまざまな修正形態および変更形態を作成することができることは明らかである。本発明は、添付の特許請求の範囲またはそれに相当するものによって定義される保護の範囲に含まれることを条件としてその修正形態および変更形態を包含するものとする。
【符号の説明】
【0117】
301 符号化モジュール
302 重みベクトル取得モジュール
303 ビーム形成モジュール
304 送信モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重アンテナシステム(MAS)内の送信信号のための方法であって、
共通チャネル記号の各グループにアラモウチ符号化を実行して2つの分岐を形成する段階と、
前記2つの分岐に対して2つの異なる重みベクトルを選択してビーム形成を実行する段階と、
前記2つの重みベクトルに対応するビームモードが無相関であり、前記2つのビームモードの角度寸法のピーク対平均電力比が事前設定のしきい値よりも低い、各アンテナ上の各分岐の送信信号を取得する段階と、
各アンテナ上の前記2つの分岐の前記送信信号を重畳して各アンテナ上の前記重畳信号を取得し、前記重畳信号を送信する段階と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記2つの分岐に対して異なる重みベクトルを選択する段階が、
各分岐に位相ф(t)を選択する段階と、次の式:
【数1】

を使用することによって、基本重みベクトル
【数2】

に基づく重みベクトル
【数3】

を取得する段階とを含み、
前記tが分岐シーケンス番号を表し、前記Mがアンテナの数量を表し、前記diag[.]が大括弧内の要素が対角行列を形成することを表し、そして、角度寸法に関する前記基本重みベクトル
【数4】

に対応するビームモードのピーク対平均電力比が事前設定のしきい値よりも低い、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基本重みベクトルの各構成要素の絶対値が等しいことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、各アンテナ上の前記2つの分岐の前記送信信号を重畳した後に、さらに、
各フレームが時間周波数次元に関してアラモウチ符号化の2つの符号出力記号を送信する2つの時間周波数ブロックを含み、連続する共通チャネル記号を前記フレームにグループ化する段階
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
重みベクトルの各グループが2つの異なる重みベクトルを含む重みベクトルの同一のグループを使用することによって、各フレームにビーム形成を実行する段階
をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
時間周波数次元に関して現在のフレームに次のフレームが隣接し、前記次のフレームの位相が前記現在のフレームの位相およびフレーム間増分位相に従って取得されること
をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
多重アンテナシステム(MAS)内の送信信号のための装置であって、その方法が、
2つの分岐を形成するために共通チャネル記号の各グループにアラモウチ符号化を実行するように構成された、符号化モジュールと、
2つの重みベクトルに対応するビームモードが無相関であって、前記2つのビームモードの角度寸法のピーク対平均電力比が事前設定のしきい値よりも低い、前記2つの分岐に対して前記2つの異なる重みベクトルを選択するように構成された、重みベクトル取得モジュールと、
前記選択された重みベクトルに従って前記2つの分岐にビーム形成を実行し、各アンテナ上の各分岐の送信信号を取得するように構成された、ビーム形成モジュールと、
各アンテナ上の前記2つの分岐の前記送信信号を重畳して各アンテナ上の前記重畳信号を取得し、前記重畳信号を送信するように構成された、送信モジュールと
を含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
前記重みベクトル取得モジュールが各分岐に対して位相ф(t)を選択し、基本重みベクトルwによる重みベクトルを次の式を使用することによって取得するよう構成され:
【数5】

前記tは分岐シーケンス番号を表し、前記Mはアンテナの数量を表し、前記diag[.]はその大括弧内の要素が対角行列を形成することを表し、また、角度寸法の前記基本重みベクトル
【数6】

に対応するビームモードの前記ピーク対平均電力比が前記事前設定のしきい値よりも低い、
ことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記基本重みベクトルの各構成要素の絶対値が等しいことを特徴とする、請求項8に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−45042(P2011−45042A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126736(P2010−126736)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(504277388)▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司 (220)
【Fターム(参考)】