説明

大便器装置

【課題】洗浄水のボウル外への飛び出しおよび飛び散りをなくし、ボウルの洗浄性能を向上させた大便器装置を提供する。
【解決手段】本発明は、大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル部11の後方側部より前方に洗浄水を供給するノズル21と、洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚14と、を備えた大便器装置1において、棚は、ボウル部の側部では略水平で、ボウル部の前方部ではボウル部中央に向かって傾斜し、ノズルから噴出した洗浄水が棚に沿って旋回する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大便器装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大便器装置のボウル洗浄は大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルにより洗浄水を吐水し、洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った均一な幅の棚を伝いながら、ボウル内へ洗浄水が流下することによって行われていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記した従来の大便器装置の場合、ボウルの内面形状が前方では曲率が大きく、したがって、洗浄水に遠心力がつきすぎ、洗浄水のボウル外への飛び出したり飛び散ったりという不具合があった。また、洗浄水を伝わせる棚が均一なため、ボウルの各部位で均一にボウルへ洗浄水を流下させることができず、ボウルを十分に洗えないという不具合があった。上記問題は、特に給水源を水道の圧力を利用した大便器の場合、水圧の変動により洗浄水の勢いが変動するため、さらに重大な問題となった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルを備えた大便器装置において、洗浄水のボウル外への飛び出しおよび飛散りをなくし、またボウルの各部位で均一にボウルへ洗浄水を流下させることを特徴とする大便器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の大便器装置は、大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルを備えた大便器装置において、ボウル上面開口部の間で構成されるリム幅を、側部より前方に行くにつれて大きくしたので、大便器装置のボウル内面前方部は曲率が小さくなり、洗浄水の遠心力が小さくなり、ボウル前方部での洗浄水のボウル外への飛び出しおよび飛散りを小さくすることができる。
【0006】
また、上記目的を達成するために本発明の大便器洗浄装置は、大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚の幅をボウル全周にわたって不均一にしたので、洗浄水のボウルへの流下量の制御を棚の幅をかえることでできる。つまり、ボウルへの洗浄水の流下が少なく洗浄が弱い個所でも、棚幅の変更で容易にボウル洗浄性能の改善が行える。
【0007】
また、上記目的を達成するために本発明の大便器洗浄装置は、大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚の幅をボウル前方側で最小にしたので、ボウル内面で曲率が比較的大きく洗浄水の遠心力が大きく、ボウルに洗浄水が流下し難い前方で、棚の幅が最小となることで、洗浄水が流下し易くなり、ボウル洗浄性能を改善できる。
【0008】
また、上記目的を達成するために本発明の大便器洗浄装置は、大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚をボウル前方側でなくしたので、ボウル内面で曲率が比較的大きく洗浄水の遠心力が大きく、ボウルに洗浄水が流下し難い前方で、棚の幅が最小となることで、洗浄水が流下し易くなり、ボウル洗浄性能を改善できる。
【0009】
また、上記目的を達成するために本発明の大便器洗浄装置は、大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚の幅を後方に側部より後方を小さくしたので、洗浄水の勢いが弱いボウル後方で積極的に洗浄水をボウルに流下し、ボウル洗浄性能を改善できる。
【0010】
さらに、上記目的を達成するために本発明の大便器洗浄装置は、大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚をボウル後方でなくしたので、洗浄水の勢いが弱いボウル後方で積極的に洗浄水をボウルに流下し、ボウル洗浄性能を改善できる。
【0011】
さらに、上記目的を達成するために本発明の大便器洗浄装置は、大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚にはボウル中央付近を向くように線状の突起形状を設けたので、洗浄水のボウルへの流下量の制御を線状の凸形状の位置高さをかえることでできる。つまり、ボウルへの洗浄水の流下が少なく洗浄が弱い個所でも、線状の凸形状を設け、積極的に洗浄水をボウルへ流下させるようにすることで、容易にボウル洗浄性能の改善が行える。
【0012】
さらに、上記目的を達成するために本発明の大便器洗浄装置は、大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚はボウル中央へ向かって傾斜しており、傾斜角度をボウル全周にわたって不均一にしたので、洗浄水のボウルへの流下量の制御を棚の傾斜角度をかえることでできる。つまり、ボウルへの洗浄水の流下が少なく洗浄が弱い個所でも、棚の傾斜角度を大きくすることで容易にボウル洗浄性能の改善が行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例の大便器装置の洗浄水の流れを示した図である。
【図2】本発明の実施例の大便器装置のリム部断面図である。
【図3】本発明の第一実施例の大便器装置の図である。
【図4】本発明の第二実施例の大便器装置の図である。
【図5】本発明の第二実施例の大便器装置のボウル前方部のリム部断面図である。
【図6】本発明の実施例の大便器装置の別のリム部断面図である。
【図7】本発明の実施例の大便器装置の別のリム部断面図である。
【図8】本発明の第三実施例の大便器装置の図である。
【図9】本発明の第三実施例の大便器装置のボウル側部のリム部断面図である。
【図10】本発明の第三実施例の大便器装置のボウル前方部および後方部のリム部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係わる第一の実施形態について説明する。
図1は第一の実施例の大便器装置をボウル洗浄時の洗浄水の流れを示した図である。大便器装置1には、大便器のリム15直下でボウル部11の内面に沿って略水平にボウル部11の側部より前方に洗浄水を供給するノズル21が取付けられ、前記ノズル21は給水源である水道管23に接続され、水道管23からノズル21までの間に開閉バルブ22が設けられている。開閉バルブ22は電気式・メカ式いずれでも良く、電気式の場合は開閉バルブの開閉を制御する制御部(図示せず)へと接続されている。本実施例では給水源は、水道圧を利用したものとしているが、タンク式でも加圧ポンプ式でも何であっても良い。
【0015】
また、ボウル部11のノズル21が取付けられている高さより若干したの位置には、ノズル21より吐水された洗浄水をボウル部11へ全周へ導くための棚14を設け、棚の上方には棚14を覆うようなリム形状15が形成されている(図2)。また、この棚形状およびリム形状は、図6のようなタイプのリム形状でも良い。さらに、本実施例では、図3に示す如く大便器装置外形形状12とボウル内面形状13の間のリム15の幅を、側部より前方に行くにつれて大きくなるように構成されている。
【0016】
本発明に係わる第一の実施例によると、大便器装置1のボウル内面13の前方部は通常曲率が大きく、洗浄水の流速エネルギを損失してしまうが、本実施例では曲率が小さくなり、洗浄水がスムーズに伝わるようになり、その結果給水源の圧力が低圧の場合でも、ボウル後端部まで洗浄水が伝わり、ボウル洗浄を行うことができる。また、大便器装置1のボウル内面13の前方部は通常曲率が大きく、なおかつ流速が非常に速いため、洗浄水が飛び出す可能性があるが、本実施例では曲率が小さくなり、洗浄水の遠心力が小さくなり、ボウル前方部での洗浄水のボウル外への飛び出しおよび飛散りを小さくすることができる。
【0017】
本発明に係わる第二の実施形態について説明する。
図4は第二の実施例の大便器装置をボウル洗浄時の洗浄水の流れを示した図である。大便器装置1には、大便器のリム15直下でボウル部11の内面に沿って略水平にボウル部11の側部より前方に洗浄水を供給するノズル21が取付けられ、前記ノズル21は給水源である水道管23に接続され、水道管23からノズル21までの間に開閉バルブ22が設けられている。開閉バルブ22は電気式・メカ式いずれでも良く、電気式の場合は開閉バルブの開閉を制御する制御部(図示せず)へと接続されている。本実施例では給水源は、水道圧を利用したものとしているが、タンク式でも加圧ポンプ式でも何であっても良い。
【0018】
また、ボウル部11のノズル21が取付けられている高さより若干したの位置には、ノズル21より吐水された洗浄水をボウル部11へ全周へ導くための棚14を設けており、棚の上方には棚を覆うようなリム形状15が形成されている(図2)。また、この棚形状およびリム形状は、図6のようなタイプのリム形状でも良い。本実施例では、前記棚14を図5の如く、前方部でなくした構成とする。また、図7に示すようなタイプのリム形状で棚14をなくして構成しても良い。
本発明に係わる第二の実施例によると、ボウル11内面で曲率が比較的大きく洗浄水の遠心力が大きくボウル11に洗浄水が流下し難い前方で、棚14の幅が最小となることで、洗浄水が流下し易くなり、ボウル洗浄性能を改善できる。
【0019】
本発明に係わる第三の実施形態について説明する。
図8は第三の実施例の大便器装置をボウル洗浄時の洗浄水の流れを示した図である。大便器装置1には、大便器のリム15直下でボウル部11の内面に沿って略水平にボウル部11の側部より前方に洗浄水を供給するノズル21が取付けられ、前記ノズル21は給水源である水道管23に接続され、水道管23からノズル21までの間に開閉バルブ22が設けられている。開閉バルブ22は電気式・メカ式いずれでも良く、電気式の場合は開閉バルブの開閉を制御する制御部(図示せず)へと接続されている。本実施例では給水源は、水道圧を利用したものとしているが、タンク式でも加圧ポンプ式でも何であっても良い。
【0020】
また、ボウル部11のノズル21が取付けられている高さより若干したの位置には、ノズル21より吐水された洗浄水をボウル部11へ全周へ導くための棚14を設けており、棚の上方には棚を覆うようなリム形状15が形成されている(図9)。また、この棚形状およびリム形状は、図6のようなタイプのリム形状でも良い。さらに本実施例では、前記棚14は側部では図9の如く略水平であり、また、前方部および後方部ではボウル中央に向かって傾斜させた構成とする。さらに、本実施例では、前記棚14には前方部および後方部に、ボウル中央付近を向くように線状の凸形状を設けた構成とする(図8、図10)。
【0021】
本発明に係わる第三の実施例によると、ボウル11内面で曲率が比較的大きく洗浄水の遠心力が大きくボウル11に洗浄水が流下し難い前方部および後方部でも、棚14をボウル中央に向かって傾斜させた構成とし、さらに棚14にボウル中央付近を向くように凸形状を設けた構成としたため、洗浄水が流下し易くなり、ボウル洗浄性能を改善できる。
【符号の説明】
【0022】
1 大便器装置
11 ボウル部
12 大便器装置外形形状
13 ボウル内面形状
14 棚
15 リム
16 洗浄水
17 線状の凸形状
21 ノズル
22 開閉バルブ
23 水道管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルを備えた大便器装置において、大便器装置外形形状とボウル上面開口部の間で構成されるリム幅を、側部より前方に行くにつれて大きくすることを特徴とする大便器装置。
【請求項2】
大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚の幅をボウル全周にわたって不均一にしたことを特徴とする大便器装置。
【請求項3】
大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚の幅をボウル前方側で最小にしたことを特徴とする大便器装置。
【請求項4】
大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚をボウル前方側でなくしたことを特徴とする大便器装置。
【請求項5】
大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚の幅を側部より後方側を小さくしたことを特徴とする大便器装置。
【請求項6】
大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚をボウル後方側でなくしたことを特徴とする大便器装置。
【請求項7】
前記棚にはボウル中央付近を向くように線状の凸形状を設けたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか記載の大便器装置。
【請求項8】
大便器のリム直下でボウル内面に沿って略水平にボウル側部より前方に洗浄水を供給するノズルと洗浄水をボウル全周に導くボウル内面に沿った棚とを備えた大便器装置において、前記棚はボウル中央へ向かって傾斜しており、前記棚の傾斜角度をボウル全周にわたって不均一にしたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか記載の大便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−58362(P2011−58362A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288117(P2010−288117)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【分割の表示】特願2001−93420(P2001−93420)の分割
【原出願日】平成13年3月28日(2001.3.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】