説明

大電流ケーブル

50/60HzTN−S本線用大電流ケーブル(1)は、好ましくは接地導体(2)を備え、その周りに3つの相導体(3、4、5)と少なくとも1つの中性線(6)が撚られている。接地導体(2)は、相導体(3、4、5)と中性線(6)よりも小さな断面としてもよく、また、直線としてもよい。この大電流ケーブル(1)は、確定されたケーブルリアクタンス、相導体全体にわたった均一な電流分布、誘導電流の回避といった特徴を有する。また、並列I&C導体中への干渉結合が事実上無い。低レベルのNIS放射しかなく、短絡強制力も無い。そして、敷設時の時間を節約できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、50/60HzTN−S本線用の大電流ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
TN−Sに従った一貫した配線は、電気屋内設備において接地電流の無い動作を保証すると信じられていたし、また信じられている。これは、建物の配電点から切り離して接地導体を導いているからであり、すなわち、動作中に接地導体には電流が無いようになっているからである。
【0003】
しかしながら、屋内設備の近くでの測定は、何度やっても、これとは逆を示す。すなわち、特に相導体、中性線、接地導体が互いに隣り合った単一導体として実装されたとき、TN−S実装にもかかわらず接地導体には大電流が流れることを示す。理論的および実際的な試験で示されるように、これらの接地導体電流は誘導によって引き起こされる。導体の断面に応じて、接地導体に誘起される電流は重大なレベル、すなわち最大相電流の10%から20%に達することがある。さらに、そのように実装されたケーブルは、ケーブル線や、空気管、給水管、ガス管、鉄補強材などの近くにある金属構造物中に電流を誘起する。その結果、原因不明の磁場の増加や、EMCおよび腐食の問題を生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この認識に基づいて、本発明は、上述の不利点を大幅に回避する50/60HzTN−S本線用大電流ケーブルを創作しようというものである。本発明の大電流ケーブルは、請求項1記載の特徴に従う。本発明のさらに有利な実施形態は、従属請求項から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、50/60HzTN−S本線用強電流ケーブルは、少なくとも1つの接地コネクタを備え、このコネクタの周りにいくつかの相コネクタと、少なくとも1つの中性コネクタが撚られている。
【0006】
引き続き、本発明の好ましい例示の実施形態が、図面を使ってより詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この例では、大電流ケーブル1は接地導体2を含み、接地導体2の周りに3つの相導体3、4、5と1つの中性線6が集められている。
【0008】
接地導体は、相導体3、4、5ならびに中性導体6よりも小さな断面を有するものとしてもよく、また直線としてもよい。相導体3、4、5は、可撓性であり、また遮蔽される必要が無い。大電流ケーブル1は、ストラップ7で巻き付けてもよい。
【0009】
大電流ケーブル1は、3つの相導体3、4、5ならびに中性導体6を外側の導体として接地導体2の周りに撚ることによって撚られている。したがって、図2から概略が明らかなように、接地導体2は連続的なケーブル芯線を形成する。中性導体6もまた接地導体2の周りに撚られる。外側の導体、すなわち相導体3、4、5ならびに中性導体6の撚り長さは、有利なことには<1mである。そうでなければ、まさにその撚り線は、本発明の一部でない。
【0010】
大電流ケーブル1のこの実施形態の1つの有利点は、このケーブル1が大きな導体断面であっても依然として可撓性であるので問題無く敷設可能であることである。したがって、大電流ケーブル1は、屋内敷設で容易に使用される。
【0011】
本発明の大電流ケーブルは、以下の非常に大きな有利点を提供する。すなわち、
−確定されたケーブルリアクタンス、
−相導体3、4、5全体にわたった均一な電流分布、
−外側の導体を介した、すなわち相導体3、4および5ならびに中性導体6を介した接地導体2への誘導電流が無いこと、
−近接した電力ケーブルから外側の導体への、すなわち相導体3、4、5ならびに中性導体6への誘導電流が無いこと、
−ケーブル線、ケーブル支持物、接地ループおよび、空気管、給水管、ガス管のような近接した金属構造物への誘導電流が無いこと、
−並列I&C導体中への干渉結合が事実上無いこと、
−低レベルのNIS放射、
−短絡強制力の無いこと、
−敷設時の時間節約、
−並列動作に適していること。
【0012】
大電流ケーブルの細部を概略図面の例示と異なって設計することは、本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】大電流ケーブルの断面を示す図である。
【図2】同じ大電流ケーブルを示す概略図である。
【符号の説明】
【0014】
1 大電流ケーブル
2 地導体
3 相導体
4 相導体
5 相導体
6 中性導体
7 ストラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの接地導体(2)を備え、接地導体(2)の周りに複数の相導体(3、4、5)および少なくとも1つの中性線(6)が撚られている50/60HzTN−S本線用大電流ケーブル。
【請求項2】
1つの接地導体(2)、3つの相導体(3、4、5)および1つの中性線(6)を備える、請求項1に記載の大電流ケーブル。
【請求項3】
前記接地導体(2)の周りの前記相導体(3、4、5)および前記中性線(6)の撚り長さが<1メートルであることを特徴とする請求項1または2に記載の大電流ケーブル。
【請求項4】
前記接地導体(2)が、前記相導体(3、4、5)および/または前記中性線(6)よりも小さな断面を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の大電流ケーブル。
【請求項5】
前記接地導体(2)を直線としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の大電流ケーブル。
【請求項6】
前記相導体(3、4、5)が、遮蔽されていないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の大電流ケーブル。
【請求項7】
前記相導体(3、4、5)が、可撓性であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の大電流ケーブル。
【請求項8】
ストラップ(7)が巻き付けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかにに記載の大電流ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−540513(P2009−540513A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514605(P2009−514605)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000229
【国際公開番号】WO2007/143865
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(508359653)