説明

天候予測システム

【課題】局所的な気象大気データにおける局所的な変化の測定に依存する天候予測システムを提供する。
【解決手段】時間にわたって圧力の変化を記録するプロセッサに接続された、気圧センサを含む。GPSデバイスに接続され、高度の正確な測定を可能にし、気圧測定値が、一般的には平均海面に規格化され、センサの垂直移動の影響は効率的に除去され、その結果生じた傾向は、その後天候予測のために用いることができる絶対気圧を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、天候予測システムに関し、特に、局所的な気象大気データにおける局所的な変化の測定に依存する天候予測システムに関する。本発明は更に、そのような天候予測システムの実現に適用される信号処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の天候予測システムは、気圧、気温、及び湿度における変化を時間にわたって測定することに依存する。長時間にわたって気圧の変化を測定することにより、気圧の傾向は、不安定な気流や、悪天候の可能性が高いことを示す気圧の低下によって、短期間の天候パターンに関する予測をするために用いることができる。
【0003】
家庭用途の気圧計は、何世紀も前から利用可能であり、近年は、天候予測を自動化する電子気象局が市場に現れるようになった。それらは、気温、気圧、及び湿度のような気象上の大気データに基づいて、気象予測を自動的に生成することが知られている。
【0004】
天候の予測は、しばしば長時間にわたる気圧の傾向に依存する。気圧は、大気の密度と高度との関数であるので、高度に関して比較的安定したセンサが必要である。これら周知技術の1つの欠点は、気圧の傾向を追跡するために、長期間にわたって安定した場所に存在しなくてはならないという要件である。
【0005】
いくつかの製造業者がポータブル・ユニットをリリースし、近年、気圧センサは、時計、高度計、及びその他のポータブル機器内で、起こりそうな天候パターンを予測するためにそれらを用いる命令によって利用可能になった。しかしそのような機器は、高度の変化による気圧の変化に影響を及ぼされ、静止状態でなければ、信頼性のある自動予測を提供することができない。
【0006】
そのようなユニットは、高度の補償を欠くので、センサが水平面に対して安定していることが必要である。それにより、そのようなモバイル・センサは、通常使用中に天候予測のために用いることができない。一般に、例えば時計は、一晩静止されていたと仮定して、朝、予報を提供するために用いられるが、旅行の際は天候を予測するために用いられることができない。更に、既存の技術は、気圧の傾向においてしか動作することができず、天候予測は、海面に規格化された絶対大気圧の知識に依存することにもなる。
【0007】
従って、移動中も信頼性のある予測を生成することができるポータブル天候予測システムへのニーズがある。本発明は、そのようなシステムを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の更なる目的は、正確かつ経済的な方法で、天候予測と位置情報とを結びつけるポータブル・システムを提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明によると、これらの目的は、高度の影響を補償するために、衛星無線位置決めシステムによって生成された絶対高度測定値を用いて、モバイル環境における絶対大気圧の較正測定値を提供することによる、モバイル天候モニタリング及び予測システムによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、図によって示され、例として与えられる実施形態の説明により、より良く理解されるであろう。
【図1】図1は、国際大気モデルに従う、高度に依存する気圧の図を示す。
【図2】図2は、本発明のデバイスの可能な実現形態を、簡略化し概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2によると、本発明の1つの局面に従うポータブル・デバイスは、衛星無線位置決め受信機を備え、衛星無線位置決め受信機は、例えばGPS衛星、GLONASS衛星、又はGalileo衛星のような一群の測位衛星からの無線位置決め信号を受信し、それらを、例えばデジタル又はアナログ形式の搬送波剥離(carrier-stripped)信号や低IF信号のような、GNSSプロセッサ30のために適切な形式に調整するように構成されたRFフロントエンド20及びアンテナを含む。GNSSプロセッサ30は、無線位置決め信号を処理し、当該技術において知られるように、例えば緯度、経度のような平面座標と、高度データとの両方を備える位置データ35を抽出する。
【0012】
本発明の1つの局面によると、圧力読取りユニット40は、気圧センサ90からの入力を読み取り、例えばKPa又はmbar等の一般的な単位のデジタル圧力値として、圧力データ36を提供するように構成される。好適には、GNSSプロセッサ30及び圧力読取りユニット40は、例えば単一の集積回路といった単一の電子部品60によって実現され、気圧センサ90のための入力を含む。
【0013】
プロセッサ100は、圧力36における変化を時間にわたって記録し、更に、高度情報を含む位置データ35を提供するGNSSプロセッサ30に接続される。これによって、気圧測定値が、典型的には平均海面である標準高度に規格化されるようになる。図1は、この目的に用いることができる標準気圧曲線を表す。しかし、他の気圧曲線も利用可能である。
【0014】
プロセッサ100は、メモリ105内に格納されたプログラムを実行し、圧力を標準高度に規格化するソフトウェア・モジュールを含む汎用マイクロプロセッサであることができ、気圧傾向を識別し、出力ユニット120に表示される天気予報を提供することができる。
【0015】
衛星位置決めシステムから取得された高度データはしばしば、不安定な衛星の視界やマルチパスによる、例えばグリッチ等のアーティファクトを含む。これらアーティファクトの振幅は著しいが、それらの持続期間は通常、天気予報に関連する一般的な気象現象のタイム・スパンよりも大幅に短い。プロセッサ100は、例えば適切な期間にわたって高度データをバッファ及び平均化することにより、気圧データ36を規格化するために用いる前に、不必要なアーティファクトをフィルタして取り除くようにプログラムされる。圧力データ36は、好適にバッファされ、同程度の期間にわたって、平均化されなければならない。
【0016】
平均海面での一般的な大気圧は、1013.25mbar(101.325KPa)である。この気圧は一般に穏やかな天候に関するが、これを著しく下回る気圧は、強風及び不安定な天候に関する。既存のモバイル局は、高度が手動で入力されなければ、絶対気圧を測定することができないが、このことは旅行者にはほとんど知られていない。その結果、モバイル局は、自身の場所における絶対気圧を示すが、そこから現在の大気の状態が「低気圧」系の一部であるか「高気圧」系の一部であるかを知ることは不可能である。
【0017】
海面での一般的な大気圧は、990mbarから1030mbarの範囲内であり、これは、+/−約200メートルの高度の変化に等しい。そのため、高度が不明確であると、現在の解決策では補償することができない、測定値における著しい誤差が生ずる。
【0018】
更に、気圧及び気温における急速な変化はしばしば、暴風雨が急接近すると生ずる。一般的に数mbarのこれらの短期間の急速な変化は、数十メートルの高度の変化に等しく、激しい暴風雨の急接近や、例えば竜巻といったその他の気象上の危険について警告するために用いることができる。これは、それらの急速な変化が高度の影響に対してまだ小さいために、高度の変化の影響が補償される場合のみ、可能である。
【0019】
本発明の変形例によると、プロセッサ100は、例えばPDA、モバイル電話、又はポータブル・コンピュータのような、GPS及び天候ユニット200へのアクセスを有するホスト・システムのプロセッサであることができる。アクセスは、物理的及び電気的な接続によって、又は、例えばブルートゥース(登録商標)・リンク等何らかの適切な無線データ・ネットワークによって実現されうる。メモリ105は、ユーザのGPS位置の表示や、ナビゲーションの支援等を行う他のソフトウェア・モジュールも含むことができる。
【0020】
別の変形例によると、圧力読取りユニット40が、計算のうちのいくらかを引き受け、それによってプロセッサ100を休ませることができる。例えば、高度の平均化及び圧力の規格化が圧力読取りユニットにおいて実行され、圧力読取りユニットが、既に標準高度に規格化された圧力データ36を提供することができる。
【0021】
測定値が規格化されると、センサの垂直移動の影響は実質的に除去され、その結果生じた傾向は、その後天候予測のために用いられることができる絶対大気圧を示す。
【0022】
平均測定値は、メモリ内でバッファされ、定期的に格納される。その期間は、固定又は可変である。また平均測定値は、ミスされた測定値の訂正を可能とするためにタイムスタンプされることもできる。
【0023】
データ格納は定期的に、規格化された気圧の変化の割合及び絶対値を決定するために処理される。これらはその後、起こりそうな天候、及び特に暴風の急接近に関してその兆しを示す任意の変化を予測するために用いられる。この処理は、データ管理処理の一部としてサンプルが追加/破棄されると、又はユーザが現在の予報を要求した場合等の必要に応じて、通常の予報アルゴリズムの一部として、自動的にスケジュールされうる。
【0024】
あるいは、平均データは、高度に対する補償より前に格納され、処理されたように補償されうるが、これは、テーブルが分析される度に処理される必要があるので、最適ではない。
【0025】
更に、GPS座標は、各サンプル・セットとともに格納されることができ、これによって、天候システムに関するユーザの水平移動によって生じた絶対圧力における明らかな変化をフィルタできるようになる。数百キロメートルにわたる水平移動は、天候システムにおける水平方向の圧力勾配によって、安定した天候システムにおいてでさえ明らかな圧力変化を生じうる。
【0026】
天気予報モードに加えて、本発明のデバイスは、例えば位置決め及びナビゲーション情報、速度、中間地点の距離及び方角、推定された到着時間、トラック・グラフ等といった、GPSユニットの通常の機能を提供する位置決めモードを好適に有することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気圧センサと、
衛星無線位置決めユニットとを備えたポータブル天候予測デバイスであって、
システムが、前記衛星無線位置決めユニットによって生成された位置データと、前記気圧センサによって生成された気圧データとに基づいて、標準高度に換算された圧力データを取得するように構成されたポータブル天候予測デバイス。
【請求項2】
前記衛星無線位置決めユニットは、無線位置決め衛星から受信した無線位置決め信号に基づいて位置決めデータを生成するように動作可能に構成され、前記位置決めデータは、高度情報を含み、前記ポータブル天候予測デバイスは、前記高度情報の時間平均に基づいて前記標準高度に換算された圧力データを計算するようにプログラムされた、請求項1に記載のポータブル天候予測デバイス。
【請求項3】
前記標準高度に換算された圧力データの時間変化に基づいて、天候予測を表示するように動作可能に構成された出力ユニットを更に備える請求項1に記載のポータブル天候予測デバイス。
【請求項4】
潜在的に危険な気象状況を検出すると、警告信号を発するように更にプログラムされた、請求項1に記載のポータブル天候予測デバイス。
【請求項5】
前記出力ユニット上で、位置及び/又は情報ナビゲーションを提供するように構成された、位置決め/ナビゲーション・モードを更に備える請求項1乃至4の何れかに記載のポータブル天候予測デバイス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−47686(P2013−47686A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−223066(P2012−223066)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2010−510729(P2010−510729)の分割
【原出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED