説明

天板の接合構造

【課題】家具、カウンター、テーブル等の天板であって、天板が長尺であったり、L字状或いは凹状の直交した形状である場合、2枚の天板を平面方向に接合して容易に一体化でき、段差を解消し、これら天板上面の開きを有効に防止できる天板の接合構造を提供する。
【解決手段】連結される一の天板下面に取り付けられる第1接合具と他の下面に取り付けられる第2接合具とからなり、第1の接合具は、天板固定面に取付く辺部と、これに連続する垂直辺部を有し、第2の接合具は、他の天板固定面に取付く第1辺部と、これと直交する垂直な第2辺部と、第1辺部に平行な第3辺部と、第3辺部を挟み込み回動することで上下移動可能な挟持部を有する上下調整ボルトと、上下調整ボルトの上端は、第1の接合部の天板固定面に取り付く辺部と係合又は螺合可能で、第1及び第2接合具の対向する垂直片に開設されたボルト挿通孔に挿通され、両接合具同士を連結する連結ボルトで接合可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2枚の天板を平面方向に接合する接合構造に係り、特に、家具、カウンター、テーブル等の天板であって、天板が長尺であったり、L字状或いはコ字状の直交した形状である場合、2枚の天板を平面方向に接合して一体化したときに、これら天板上面の段差を有効に防止することができる天板の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の接合構造としては、例えば、特許文献1に示すものが知られている。この従来の接合構造は、2枚の天板の裏面にそれぞれ接合金具をビスや溶接などの手段で固着し、この固着された接合金具を互いにボルトナットで締め付けて接合金具を水平方向及び垂直方向に相対的に移動させることにより、接合される2枚の天板の水平出しと接合間隔の消失とを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平3−50767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来の天板の接合構造にあっては、縦横の締め付けボルトを相通する孔を互いに整合させつつ、第1、第2の2つの接合金具を天板に固着する必要があるため、接合金具の取り付けが非常に煩雑であり、特に、天板がキャビネットの天板である場合には、2枚の天板の段差や間隙が発生しないように調整するのが難しく、手間がかかるという問題を有していた。
【0005】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、家具、カウンター、テーブル等の天板であって、天板が長尺であったり、平面視でL字状或いはコ字状の直交した形状である場合、2枚の天板を平面方向に接合して容易に一体化することができ、段差を解消し、しかも、これら天板上面の開きを有効に防止することができる天板の接合構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この請求項1に記載の天板の接合構造にあっては、連結される天板のうちの一方の下面に取り付けられる天板接合具を構成する第1の接合具と他方の下面に取り付けられる第2の接合具とからなり、上記第1の接合具は、天板固定面に取付く辺部と、これに連続する垂直辺部を有して構成され、上記第2の接合具は、他方の天板の下面に取り付けられ該天板固定面に取付く第1辺部と、これと直行する垂直な第2辺部と、上記第1辺部に平行な第3辺部と、を有して略Z字状に形成され、上記第2の接合具の第3辺部を挟み込み回動することで上下移動可能な挟持部を有する上下調整ボルトと、該上下調整ボルトの上端は、上記第1の接合部の天板固定面に取り付く辺部と係合又は螺合可能で、上記代1及び第2接合具の対向する垂直片の略中央部に開設されたボルト挿通孔に挿通され、両接合具同士を連結する連結ボルトで接合可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明にあっては、請求項1に記載の天板の接合構造を技術的前提とし、前記第1の接合具の前記連結ボルト挿通部より下方に前記第1の接合具と前記第2の接合部の間隙を規制する規制手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明にあっては、請求項1または請求項2のいずれかに記載の天板の接合構造を技術的前提とし、前記規制手段は、滑らかな凸状であること特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明にあっては、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の天板の接合構造を技術的前提とし、前記上下調整ボルトは、第1接合具の天板固定面に取り付く辺部に着脱自在に取付け可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
それ故、請求項1に記載の天板の接合構造にあっては、一対の天板の接合端部裏面に固着された接合具が、両天板の高さ方向の位置調整機能と間隔調節機能を独立した2種類のボルトで行えるため、両天板の接合調整個所が少なくてすみ、また、上下調整ボルトで両天板の高さ調整を、連結ボルトで前後位置および間隔調整を行えるので、調整作業が行い易いと共に、上下調整ボルトは、第2の接合具の一片を挟み込んでいるため、天板の上下調整位置が狂いにくく、また挟持部の回転方向により上下の調整方向がきまるため調整しやすい。
【0011】
また、請求項2に記載の天板の接合構造にあっては、天板仮面の両端部に接合具の垂直辺部を連結ボルトで両方の接合具を固定する場合、当接させて取付固定しても、間隙規制手段により間隔が設けられているため、ボルトを締めた際に接合具の上端部間隙が減少し、連結ボルトを締めていった際に天板接合部間隙が逆に開いていってしまうことを抑制できる。
【0012】
さらに、請求項3に記載の天板の接合構造にあっては、規制手段の形状が滑らかであるため、抵抗が小さく前後調整などのずらし調整が容易である。
【0013】
また、請求項4に記載の天板の接合構造にあっては、上下調整ボルトは、第1の接合具に着脱自在なため、第1、2接合具を天板に取付けた後から、ボルトを取り付けることができ、作業がしやすい等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態となる天板接合具を示す斜視図である。
【図2】同天板接合具の第2の接合具の平面図である。
【図3】同第2の接合具の正面図である。
【図4】同第2の接合具の右側面図である。
【図5】同天板接合具の第1の接合具の平面図である。
【図6】同第1の接合具の正面図である。
【図7】同第1の接合具の右側面図である。
【図8】同天板接合具に用いられる上下調整ボルト挟持部の平面図である。
【図9】同上下調整ボルト挟持部の右側面図である。
【図10】同上下調整ボルトの六角穴付き止めネジを示す平面図である。
【図11】同六角穴付き止めネジの側面図である。
【図12】同天板接合具の連結ボルト用ワッシャーの正面図である。
【図13】同ワッシャーの側面図である。
【図14】同連結ボルトの正面図である。
【図15】同連結ボルトの側面図である。
【図16】同上下調整ボルトの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態例を詳細に説明する。
【0016】
この発明の一実施形態例に係る天板の接合具は、図1に示すように、連結される天板のうちの一方の下面に取り付けられる第1の接合具10と、他方の天板の下面に取り付けられる第2の接合具20と、から構成されている。
【0017】
そして、上記第1の接合具10は、図5乃至図7に示すように、天板固定面に取付く辺部11と、これに連続する垂直辺部12を有して構成されていると共に、上記第1の接合具10の垂直辺部12の下端であって前記連結ボルト挿通部13より下方に、前記第1の接合具10と前記第2の接合部20の間隙を規制する規制突起14,14が滑らかな凸状に打ち出し形成され、さらに、上記天板固定面に取り付く辺部11には、上下調整ボルト30の受ナット15が溶接固定されている。尚、図中符号16,16,16は天板固定用のビス孔である。
【0018】
また、上記第2の接合具20は、図2乃至図4に示すように、他方の天板の下面に取り付けられ該天板固定面に取付く第1辺部21と、これと直行する垂直な第2辺部22と、上記第1辺部21に平行で上記第1辺部21とは逆方向に延びる第3辺部23と、該第3辺部23の先端部に形成された山型のガイド辺部25,25と、該ガイド辺部25,25の間に形成された被挟持部26と、を有して構成されている。尚、図中符号27,27,27は天板固定用のビス孔である。
【0019】
図8乃至図11は、上下調整ボルト30を構成する要素を示しており、ナット31が溶接固定されてなるワッシャー32と、該ワッシャー32と前記被挟持部26が嵌合可能な間隙を有して配設された座ワッシャー33を有する挟持部39と、上記ナット31に螺合されるねじ部34と、から構成され、該ねじ部34の一端部には六角ねじ孔35が形成されており、前記ねじ部34に上記挟持部39を螺装してから、前記ねじ部34の他端部を前記第1の接合具10のナット15に螺合固定できる。次いで、第2接合具20のガイド辺部25,25内の被挟持部26を前記ワッシャー32,33間に位置させ、上記挟持部39を回動させることで、天板の高さ方向の上下を調整する。
【0020】
そして、接合する2枚の天板の高さ方向を水平に調整した後、上記第1及び第2接合具10,20の対向する垂直辺部12及び第2辺部22に開設されたボルト挿通孔13,24に、図12乃至図15に示すワッシャー36とボルト37からなる連結ボルト38をボルト挿通孔24側から挿通孔13側に通して連結する。
【0021】
上記連結ボルト38で両接合具10,20を固定する場合、間隙規制手段14,14により、ボルトを締めた際に、前記第2編部22が間隙規制手段14,14に当接後、接合具10,20の上端部間隙が減少し、連結ボルトを締めていった際の天板接合部間隙が逆に開いていってしまうことを抑制できる。
【0022】
次に、前後方向への調整について説明する。前後調整は、前記ボルト挿通孔24はボルトの軸径に対して大きいことから、前記連結ボルト38を緩めた状態で両天板を相対的に移動させることで調整できる。このとき、前記第1の接合具10と前記第2の接合具20の間隙を規制する規制手段14,14が滑らかであるため、抵抗が軽減され調整を容易に行うことができる。
【0023】
前記上下調整ボルト30のねじ部34の他端部を前記第1の接合具10の受けナット15に螺合固定が可能としたが、該上下調整ボルト30のねじ部34の他端部の外周を全周に渡り凹状の挟持構造とし、更に前記第1の接合具10の天板固定面に取り付く辺部11を凹状に切り欠き、且つ該凹状切欠き部とその周辺を下方に膨出させ被挟持構造とすることで、前記上下調整ボルト30のねじ部34の他端部の凹状の挟持部と、前記第1の接合具10の天板固定面に取り付く辺部11を凹状に切り欠いた被挟持部とが係合及び取外し自在とできるので、前記第1、第2の接合具10,20を天板に固定した後から、該上下調整ボルト30の凹状挟持部を、前記第1の接合具10の凹状切り欠き部に係合させられるという、同様の効果を発揮できる。
【0024】
以上、この発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施形態によるこの発明の開示の一部をなす記述及び図面によりこの発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全てこの発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
10:第1の接合具
11:天板固定面に取付く辺部
12:垂直辺部
13:連結ボルト挿通部
14,14:規制手段
15:受ナット
20:第2の接合具
21:第1辺部
22:第2辺部
23:第3辺部
26:被挟持部
30:上下調整ボルト
36:ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結される天板のうちの一方の下面に取り付けられる天板接合具を構成する第1の接合具と他方の下面に取り付けられる第2の接合具とからなり、上記第1の接合具は、天板固定面に取付く辺部と、これに連続する垂直辺部を有して構成され、上記第2の接合具は、他方の天板の下面に取り付けられ該天板固定面に取付く第1辺部と、これと直行する垂直な第2辺部と、上記第1辺部に平行な第3辺部と、を有して略Z字状に形成され、上記第2の接合具の第3辺部を挟み込み回動することで上下移動可能な挟持部を有する上下調整ボルトと、該上下調整ボルトの上端は、上記第1の接合部の天板固定面に取り付く辺部と係合又は螺合可能で、上記代1及び第2接合具の対向する垂直片の略中央部に開設されたボルト挿通孔に挿通され、両接合具同士を連結する連結ボルトで接合可能に構成されていることを特徴とする天板の接合構造。
【請求項2】
前記第1の接合具の連結ボルト挿通部より下方に前記第1の接合具と前記第2の接合部の間隙を規制する規制手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の天板の接合構造。
【請求項3】
前記規制手段は、滑らかな凸状であること特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の天板の接合構造。
【請求項4】
前記上下調整ボルトは、第1接合具の天板固定面に取り付く辺部に着脱自在に取付け可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の天板の接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−130990(P2011−130990A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295004(P2009−295004)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)