説明

契約管理システム、契約管理方法、クライアント装置、サーバ装置、及びプログラム

【課題】データの保守状況が良好なユーザに対し、消失したデータを復旧する契約を管理する。
【解決手段】契約管理装置300の契約解除部304は、契約条件判定装置200の運用状況判定部202によって運用状況が契約条件に適合しないと判定された回数が多いユーザとの契約を解除する。そして、契約管理装置300の通知部305は、契約解除がなされていないユーザ、すなわちデータの保守状況が良好なユーザのクライアント装置100に対して、消失したデータの復旧処理を実行するよう、作業員に通知を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアント装置と、当該クライアント装置のデータを保障する契約を管理するサーバ装置とを備える契約管理システム、契約管理方法、クライアント装置、サーバ装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータで用いるデータは、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に保存される。
そのため、記録媒体の故障などによりデータが消失してしまった場合、ユーザは当該データを諦めるか、もしくは専門業者にデータの復元を依頼する必要があった。
【0003】
なお、特許文献1には、インターネットなどのネットワークを使用して保障すべきデータをサーバに送信し、データを保存することによってデータを保障する技術が開示されている。
また、特許文献2には、電子的に配信するコンテンツの再配信を保障する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−099457号公報
【特許文献2】特開2008−152775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、記録媒体からのデータの復元にかかる費用は、高額であることが多く、そのため、ユーザは消失したデータを諦めることが多かった。
また、特許文献1に記載の技術では、保険会社の管理サーバは、ユーザによるデータの保守状況の良否にかかわらず保障を行う。保守状況が劣悪であるほどデータが消失する可能性は高くなるため、保守状況が劣悪なユーザの利用により、保険会社の管理サーバに過剰な負荷がかかる惧れがある。
また、特許文献2に記載の技術では、度重なるコンテンツの紛失に対処するため、利用者によるコンテンツの再ダウンロードに際し、再ライセンス開始日及び再ライセンス回数上限が設けている。しかし、取り扱うコンテンツとしてバックアップデータのように膨大な容量のデータを適用した場合は、再ライセンス開始日及び再ライセンス回数上限を設けたとしても、管理サーバに過剰な負荷がかかってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、データの保守状況が良好なユーザに対し、消失したデータを復旧する契約を管理する契約管理システム、契約管理方法、クライアント装置、サーバ装置、及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、クライアント装置と、当該クライアント装置のデータを保障する契約を管理するサーバ装置とを備える契約管理システムであって、前記クライアント装置は、自装置における保守操作の履歴情報を記録する履歴記録部と、前記履歴記録部が記録した履歴情報を定期的に前記サーバ装置に送信する履歴送信部と前記サーバ装置にデータの復旧依頼を送信する依頼送信部とを備え、前記サーバ装置は、前記クライアント装置から前記履歴情報を受信する履歴受信部と、前記履歴受信部が受信した履歴情報に示される前記クライアント装置の運用状況が、前記契約で定められた条件を満たすか否かを判定する運用状況判定部と、前記運用状況判定部が前記条件を満たさないと判定した回数が所定の閾値を超えた場合に前記クライアント装置に関する契約を解除する契約解除部と、前記クライアント装置からデータの復旧依頼を受信する依頼受信部と前記契約解除部によって契約が解除されておらず、かつ前記依頼受信部がデータの復旧依頼を受信した場合に、作業者に前記クライアント装置に対するデータの復旧依頼を通知する依頼通知部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、クライアント装置と、当該クライアント装置のデータを保障する契約を管理するサーバ装置とを備える契約管理システムを用いた契約管理方法であって、前記クライアント装置の履歴記録部は、自装置における保守操作の履歴情報を記録し、前記クライアント装置の履歴送信部は、前記履歴記録部が記録した履歴情報を定期的に前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置の履歴受信部は、前記クライアント装置から前記履歴情報を受信し、前記サーバ装置の運用状況判定部は、前記履歴受信部が受信した履歴情報に示される前記クライアント装置の運用状況が、前記契約で定められた条件を満たすか否かを判定し、前記サーバ装置の契約解除部は、運用状況判定部が前記条件を満たさないと判定した回数が所定の閾値を超えた場合に前記クライアント装置に関する契約を解除し、前記クライアント装置の依頼送信部は、前記サーバ装置にデータの復旧依頼を送信し、前記サーバ装置の依頼受信部は、クライアント装置からデータの復旧依頼を受信し、前記サーバ装置の依頼通知部は、前記契約解除部によって契約が解除されておらず、かつ前記依頼受信部がデータの復旧依頼を受信した場合に、作業者に前記クライアント装置に対するデータの復旧依頼を通知することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、サーバ装置が管理する契約によってデータを保障されるクライアント装置であって、自装置における保守操作の履歴情報を記録する履歴記録部と、前記履歴記録部が記録した履歴情報を定期的に前記サーバ装置に送信する履歴送信部と、前記サーバ装置にデータの復旧依頼を送信する依頼送信部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、クライアント装置のデータを保障する契約を管理するサーバ装置であって、前記クライアント装置から前記履歴情報を受信する履歴受信部と、前記履歴受信部が受信した履歴情報に示される前記クライアント装置の運用状況が、前記契約で定められた条件を満たすか否かを判定する運用状況判定部と、前記運用状況判定部が前記条件を満たさないと判定した回数が所定の閾値を超えた場合に前記クライアント装置に関する契約を解除する契約解除部と、前記クライアント装置からデータの復旧依頼を受信する依頼受信部と、前記契約解除部によって契約が解除されておらず、かつ前記依頼受信部がデータの復旧依頼を受信した場合に、作業者に前記クライアント装置に対するデータの復旧依頼を通知する依頼通知部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、サーバ装置が管理する契約によってデータを保障されるクライアント装置を、自装置における保守操作の履歴情報を記録する履歴記録部、前記履歴記録部が記録した履歴情報を定期的に前記サーバ装置に送信する履歴送信部、前記サーバ装置にデータの復旧依頼を送信する依頼送信部として機能させるためのプログラムである。
【0012】
また、本発明は、クライアント装置のデータを保障する契約を管理するサーバ装置を、前記クライアント装置から前記履歴情報を受信する履歴受信部、前記履歴受信部が受信した履歴情報に示される前記クライアント装置の運用状況が、前記契約で定められた条件を満たすか否かを判定する運用状況判定部、前記運用状況判定部が前記条件を満たさないと判定した回数が所定の閾値を超えた場合に前記クライアント装置に関する契約を解除する契約解除部、前記クライアント装置からデータの復旧依頼を受信する依頼受信部、前記契約解除部によって契約が解除されておらず、かつ前記依頼受信部がデータの復旧依頼を受信した場合に、作業者に前記クライアント装置に対するデータの復旧依頼を通知する依頼通知部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、サーバ装置は、運用状況が契約条件に適合しないと判定された回数が多いクライアント装置に関する契約を解除する。そして、契約解除がなされていないクライアント装置、すなわちデータの保守状況が良好なユーザのクライアント装置に対して、消失したデータの復旧処理を実行する。これにより、契約管理システムは、データの保守状況が良好なユーザに対し、消失したデータを復旧する契約を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による契約管理システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図2】契約条件判定装置の条件記憶部が記憶する契約条件を示す図である。
【図3】契約管理装置の記憶部が記憶するテーブルを示す図である。
【図4】契約管理システムの通常時の動作を示すシーケンス図である。
【図5】データ消失時の契約管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による契約管理システムの構成を示す概略ブロック図である。
契約管理システム1は、クライアント装置100、契約条件判定装置200(サーバ装置)、契約管理装置300(サーバ装置)、保険会社端末400を備える。それぞれの装置は、インターネットなどのネットワークを介して接続している。なお、契約条件判定装置200、契約管理装置300は、保守会社が所有するコンピュータ、保険会社端末400は、保険会社が所有するコンピュータである。
本実施形態において、クライアント装置100の所有者であるユーザは、保守会社とデータ保守契約を締結している。データ保守契約とは、ユーザが保守会社に対価を支払うことで、クライアント装置100が記憶するデータが消失した場合に、保守会社の作業員によって当該データを復元する契約である。
また、保守会社は、保険会社とデータ消失保険契約を締結している。データ消失保険契約とは、保守会社が対価を支払うことで、保守会社がデータ保守契約を締結しているユーザのクライアント装置100のデータが消失した場合に、保険会社がデータ復元にかかる費用を支払う契約である。
【0016】
クライアント装置100は、保守会社とのデータ保守契約により、契約条件判定装置200に定期的に保守操作の履歴情報を送信するプログラムがインストールされている。また、クライアント装置100は、自装置が記憶するデータが消失した場合、ユーザの操作により、契約管理装置300にデータ復元依頼を通知する。
契約条件判定装置200は、クライアント装置100から履歴情報を受信し、保険の適用条件に適合するか否かを判断する。
契約管理装置300は、契約条件判定装置200による保守状況の良否判断に基づいて契約を継続するか解約するかを判断する。また、契約管理装置300は、クライアント装置100からのデータ復元依頼を作業員及び保険会社端末400に通知する。
保険会社端末400は、契約管理装置300からデータ復元依頼を受ける。
【0017】
クライアント装置100は、プログラムを実行することで、履歴記録部101、履歴記憶部102、操作部103、通信部104(履歴送信部、依頼送信部)として機能する。
履歴記録部101は、ユーザによるクライアント装置100の保守操作の履歴情報を履歴記憶部102に記録する。保守操作とは、例えば、ハードディスクのデータバックアップ操作、重要なデータとして指定したデータのバックアップ操作、バックアップした記録媒体の世代管理などが挙げられる。
履歴記憶部102は、履歴記録部101によって記録された保守操作の履歴情報を記憶する。
操作部103は、自装置が記憶するデータが消失したときに、ユーザの操作によりデータ復元依頼を通信部104に出力する。
通信部104は、履歴記憶部102が記憶する履歴情報を定期的に契約条件判定装置200に送信する。また、操作部103からデータ復元依頼を入力し、契約管理装置300にデータ復元依頼を送信する。
【0018】
契約条件判定装置200は、通信部201(履歴受信部、不適合通知部)、運用状況判定部202、条件記憶部203を備える。
通信部201は、クライアント装置100から保守操作の履歴情報を受信する。また、受信した履歴情報と、運用状況判定部202によって判定された運用状況の判定結果とを契約管理装置300に送信する。
運用状況判定部202は、条件記憶部203が記憶する運用状況の判定条件と、通信部201が受信した履歴情報とに基づいて、クライアント装置100の運用状況が契約条件に適合しているか否かを判定する。
条件記憶部203は、契約条件を記憶する。
【0019】
図2は、条件記憶部が記憶する契約条件を示す図である。
条件記憶部203は、図2に示すように、条件区分と契約条件とを関連付けて記憶する。条件区分とは、契約条件を特定する識別番号である。条件記憶部203は、条件区分毎に異なる契約条件を記憶している。これは、クライアント装置100の記録媒体の経年劣化の度合いや契約の種類などにより、契約条件を変えて判定を行うためである。
なお、契約条件としては、例えば、ハードディスク全体のデータバックアップの頻度、重要なデータとして指定したデータのバックアップの頻度、バックアップした記録媒体の世代管理を行っているか否かなどが挙げられる。
【0020】
契約管理装置300は、通信部301(依頼受信部)、登録部302、記憶部303、契約解除部304、通知部305(依頼通知部)、操作部306を備える。
通信部301は、契約条件判定装置200から、クライアント装置100の運用状況の判定結果と保守操作の履歴情報とを受信する。また、通信部301は、クライアント装置100からデータ復元依頼を受信する。また、通信部301は、操作部306を介して作業員からバックアップデータによる復旧の成否の入力を受け付け、復旧に失敗した場合に、保険会社端末400に保険適用を申請する。
登録部302は、通信部301が受信した判定結果と履歴情報とを記憶部303に登録する。
記憶部303は、ユーザとの契約情報を格納する契約テーブルと、クライアント装置100の運用状況を格納する履歴テーブルとを記憶する。
契約解除部304は、記憶部303が記憶する判定結果と履歴情報とに基づいてユーザとの契約を解除するか否かを判定する。
通知部305は、通信部301がクライアント装置100からデータ復元依頼を受信した場合に、作業員に対して当該依頼を通知する。
操作部306は、作業員からバックアップデータによる復旧の可否の入力を受け付ける。
【0021】
図3は、記憶部が記憶するテーブルを示す図である。
契約テーブルは、図3(a)に示すように、ユーザコード、システム構成、契約区分、条件区分、不適合回数を関連付けて格納する。ここで、ユーザコードは、契約者であるユーザを特定する識別情報である。また、システム構成は、ユーザが保有するクライアント装置100のシステム構成を示す情報である。また、契約区分は、ユーザとの締結した契約の区分を示す情報である。具体的には、契約区分としては、HDDの復元の有無、データのバックアップ実行の有無などが挙げられる。また、条件区分は、上述したように、契約条件判定装置200で判定する契約条件を特定する識別番号である。不適合回数は、契約条件判定装置200が契約条件に適合しないと判定した回数を示す。
【0022】
履歴テーブルは、図3(b)に示すように、ユーザコード、日時、履歴情報、適合フラグを関連付けて格納する。ここで、履歴情報は、契約条件判定装置200から受信した、クライアント装置100の保守操作の履歴を示す情報である。また、適合フラグは、契約条件判定装置200による当該履歴情報の判定結果を示す。
【0023】
保険会社端末400は、通信部401、表示部402、操作部403を備える。
通信部401は、契約管理装置300から保険適用の申請を受信する。また、通信部401は、契約管理装置300に保険適用の可否を示す情報を送信する。
判定部402は、受信した保険適用の申請と記憶部403が記憶する情報とに基づいて保険適用の可否を判定する。
契約情報記憶部403は、保守会社との契約情報を記憶する。
【0024】
そして、このような構成を有する契約管理システム1において、クライアント装置100の履歴記録部102は、自装置における保守操作の履歴情報を記録し、通信部104は、履歴記録部102が記録した履歴情報を定期的に契約条件判定装置200に送信する。
次に、契約条件判定装置200の通信部201は、クライアント装置100から履歴情報を受信し、運用状況判定部202は、通信部201が受信した履歴情報に示されるクライアント装置100の運用状況が、データ保守契約で定められた条件を満たすか否かを判定する。そして、契約管理装置300の契約解除部304は、運用状況判定部202が条件を満たさないと判定した回数が所定の閾値を超えた場合にクライアント装置100に関する契約を解除する。
【0025】
また、クライアント装置100の通信部104は、契約管理装置300にデータの復旧依頼を送信する。次に、契約管理装置300の通信部301は、クライアント装置100からデータの復旧依頼を受信し、通知部305は、契約解除部304によって契約が解除されておらず、かつ通信部305がデータの復旧依頼を受信した場合に、作業者にクライアント装置100に対するデータの復旧依頼を通知する。
これにより、契約管理システム1は、データの保守状況が良好なユーザに対し、消失したデータを復旧する契約を管理する。
【0026】
次に、本実施形態における契約管理システム1の動作を説明する。
図4は、契約管理システムの通常時の動作を示すシーケンス図である。
クライアント装置100の履歴記録部101は、ユーザが自装置に対して保守操作を実行したか否かを判定する(ステップS101)。上述したように、保守操作とは、例えば、ハードディスクのデータバックアップ操作、重要なデータとして指定したデータのバックアップ操作、バックアップした記録媒体の世代管理などが挙げられる。
履歴記録部101は、ユーザが保守操作を実行したと判定した場合(ステップS101:YES)、当該保守操作の情報を履歴情報として、履歴記憶部102に登録する(ステップS102)。
【0027】
履歴記録部101が、ユーザが保守操作を実行していないと判定した場合(ステップS101:NO)、または、ユーザが保守操作を実行したと判定して履歴情報を登録した場合、通信部104は、現在の日付及び時刻が、履歴情報を送信する所定の周期(例えば、30日)を経過したか否かを判定する(ステップS103)。
通信部104は、所定の周期を経過していないと判定した場合(ステップS103:NO)、ステップS101に戻り、履歴情報の収集を継続する。他方、通信部104は、所定の周期を経過したと判定した場合(ステップS103:YES)、履歴記憶部102が記憶する履歴情報を、契約条件判定装置200に送信する(ステップS104)。
【0028】
クライアント装置100が履歴情報を送信すると、契約条件判定装置200の通信部201は、当該履歴情報を受信する(ステップS105)。次に、運用状況判定部202は、条件記憶部203からユーザとの契約に基づく条件区分に対応付けられた契約条件を読み出し、受信した履歴情報が示すクライアント装置100の運用状況が、当該契約条件に適合するか否かを判定する(ステップS106)。
【0029】
運用状況判定部202が、クライアント装置100の運用状況が契約条件に適合しないと判定した場合(ステップS106:YES)、通信部201は、クライアント装置100に不適合通知を発する(ステップS107)。
運用状況判定部202が、クライアント装置100の運用状況が契約条件に適合すると判定した場合(ステップS106:NO)、または、契約条件に適合しないと判定して不適合通知を発した場合、通信部201は、ステップS105で受信した履歴情報とステップS106における適合可否の判定結果とを契約管理装置300に送信する(ステップS108)。
【0030】
契約条件判定装置200が履歴情報と適合可否の判定結果とを送信すると、契約管理装置300の通信部301は、履歴情報と適合可否の判定結果とを受信する(ステップS109)。次に、登録部302は、記憶部303に受信した情報を登録する(ステップS110)。すなわち、登録部302は、記憶部303の履歴テーブルのユーザコードにクライアント装置100のユーザを示すユーザコードを登録し、日時に現在の時刻を登録し、履歴情報に受信した履歴情報を登録し、受信した適合可否の判定結果に基づいて適合フラグを登録する。また、適合可否の判定結果が、「不適合」を示す場合、登録部302は、記憶部303の契約テーブルのうち、クライアント装置100のユーザを示すユーザコードに関連付けられた不適合回数に1を加算する。
【0031】
登録部302が記憶部303に情報を登録すると、契約解除部304は、記憶部303の契約テーブルを参照し、クライアント装置100のユーザのユーザコードに関連付けられた不適合回数が、契約解除の条件となる所定の不適合回数(例えば、3回)を超過しているか否かを判定する(ステップS111)。
契約解除部304が、不適合回数が所定の不適合回数を超過していないと判定した場合(ステップS111:NO)、契約管理装置300は、処理を終了する。
【0032】
他方、契約解除部304は、不適合回数が所定の不適合回数を超過したと判定した場合(ステップS111:YES)、記憶部303の契約テーブルのうち、クライアント装置100のユーザを示すユーザコードに関連付けられた情報を削除することで、当該ユーザとの契約を解除する(ステップS112)。なお、ユーザコードに関連付けられた情報の削除とは、実際にデータベースのレコードを削除することによって行っても良いが、例えば、当該レコードの削除フラグをONにすることで、論理的に削除することによって行っても良い。次に、通信部301は、クライアント装置100に契約解除通知を発し(ステップS113)、処理を終了する。
契約管理システム1は、このように動作することにより、データの保守状況が良好なユーザのみデータ保守契約を継続することができる。
【0033】
図5は、データ消失時の契約管理システムの動作を示すシーケンス図である。ここでは、保守会社とユーザとの間のデータ保守契約として、データのバックアップ実行及びHDDの復元を行う契約を締結しているものとする。
クライアント装置100にデータ消失が発生すると、クライアント装置100の操作部103は、ユーザからデータ復元依頼の入力を受け付ける(ステップS201)。次に、通信部104は、操作部103が入力を受け付けたデータ復元依頼を、契約管理装置300に送信する(ステップS202)。
【0034】
クライアント装置100がデータ復元依頼を送信すると、契約管理装置300の通信部301は、当該データ復元依頼を受信する(ステップS203)。次に、通知部305は、記憶部303の契約テーブルを読み出し、クライアント装置100のユーザを示すユーザコードが当該契約テーブルに記憶されているか否かを判定する。すなわち、通知部305は、ユーザとのデータ保守契約が継続されているか否かを判定する(ステップS204)。
通知部305は、ユーザとのデータ保守契約が解除されていると判定した場合(ステップS204:NO)、処理を終了する。
【0035】
他方、通知部305は、ユーザとのデータ保守契約が継続されていると判定した場合(ステップS204:YES)、作業員に対してクライアント装置100からのデータ復元依頼を通知する(ステップS205)。データ復元依頼の通知は、契約管理装置300の画面に表示することで行っても良いし、音声を出力することで行っても良いし、作業員の端末装置にメッセージを送信することで行っても良い。
【0036】
作業員は、契約管理装置300からの通知を受けると、クライアント装置100がバックアップした記録媒体を用いてクライアント装置100のデータの復元を試みる。このとき、クライアント装置100の記録媒体のみならず、バックアップデータも故障している場合など、不慮の事故により復旧ができないことがある。
次に、契約管理装置300の操作部306は、作業員からのバックアップデータによるデータの復元の可否の入力を受け付ける(ステップS206)。操作部306は、作業員からデータの復元ができたことを示す入力を受け付けた場合(ステップS206:YES)、処理を終了する。他方、操作部306は、作業員からデータの復元ができなかったことを示す入力を受け付けた場合(ステップS206:YES)、通信部301は、保険会社端末400に保険適用の申請を送信する(ステップS207)。
【0037】
契約管理装置300が保険適用の申請を行うと、保険会社端末400の通信部401は、当該保険適用の申請を受信する(ステップS208)。次に、判定部402は、契約情報記憶部403を参照し、保険を適用するか否かを判定する(ステップS209)。なお、ここでは、保守会社と保険会社とは、データ消失保険契約を締結しているため、判定部402は、保険を適用すると判定することとなる。
そして、通信部401は、当該判定結果を契約管理装置300に送信する(ステップS210)。
【0038】
保険会社端末400が判定結果を送信すると、契約管理装置300の通信部301は、当該判定結果を受信する(ステップS211)。次に、通知部305は、作業員に記録媒体の修復の実行を指示する(ステップS212)。そして作業員は、記録媒体の修復を実行することで、クライアント装置100のデータを復元する。
【0039】
このように、本実施形態によれば、契約管理装置300は、運用状況が契約条件に適合しないと判定された回数が多いユーザとの契約を解除する。そして、契約解除がなされていないユーザ、すなわちデータの保守状況が良好なユーザに対して、消失したデータの復旧処理を実行する。これにより、契約管理システム1は、データの保守状況が良好なユーザに対し、消失したデータを復旧する契約を管理することができる。
【0040】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、契約条件判定装置200と契約管理装置300とを別個に備える場合を説明したが、これに限られず、それぞれの機能を有するサーバ装置を備える構成としても同様の効果を得ることができる。
【0041】
また、本実施形態では、クライアント装置100は、インストールされたプログラムを実行することで、ユーザが実行した保守操作を監視し、当該保守操作の履歴を記録する動作を実行する場合を説明したが、これに限られず、例えば、インストールされたプログラムを実行することで、クライアント装置100が保守操作を実行し、当該保守操作の履歴を記録するようにしても良い。つまり、保守操作は必ずしもユーザが行う必要は無く、クライアント装置100が自動で行っても良い。
【0042】
上述のクライアント装置100、契約条件判定装置200、契約管理装置300は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0043】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0044】
1…契約管理システム 100…クライアント装置 101…履歴記録部 102…履歴記憶部 103…操作部 104…通信部 200…契約条件判定装置 201…通信部 202…運用状況判定部 203…条件記憶部 300…契約管理装置 301…通信部 302…登録部 303…記憶部 304…契約解除部 305…通知部 306…操作部 400…保険会社端末 401…通信部 402…判定部 403…契約情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置と、当該クライアント装置のデータを保障する契約を管理するサーバ装置とを備える契約管理システムであって、
前記クライアント装置は、
自装置における保守操作の履歴情報を記録する履歴記録部と、
前記履歴記録部が記録した履歴情報を定期的に前記サーバ装置に送信する履歴送信部と
前記サーバ装置にデータの復旧依頼を送信する依頼送信部と
を備え、
前記サーバ装置は、
前記クライアント装置から前記履歴情報を受信する履歴受信部と、
前記履歴受信部が受信した履歴情報に示される前記クライアント装置の運用状況が、前記契約で定められた条件を満たすか否かを判定する運用状況判定部と、
前記運用状況判定部が前記条件を満たさないと判定した回数が所定の閾値を超えた場合に前記クライアント装置に関する契約を解除する契約解除部と、
前記クライアント装置からデータの復旧依頼を受信する依頼受信部と
前記契約解除部によって契約が解除されておらず、かつ前記依頼受信部がデータの復旧依頼を受信した場合に、作業者に前記クライアント装置に対するデータの復旧依頼を通知する依頼通知部と
を備えることを特徴とする契約管理システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、
前記運用状況判定部が前記条件を満たさないと判定した場合に、前記条件に適合していないことを示す不適合通知を前記クライアント装置に通知する不適合通知部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の契約管理システム。
【請求項3】
クライアント装置と、当該クライアント装置のデータを保障する契約を管理するサーバ装置とを備える契約管理システムを用いた契約管理方法であって、
前記クライアント装置の履歴記録部は、自装置における保守操作の履歴情報を記録し、
前記クライアント装置の履歴送信部は、前記履歴記録部が記録した履歴情報を定期的に前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置の履歴受信部は、前記クライアント装置から前記履歴情報を受信し、
前記サーバ装置の運用状況判定部は、前記履歴受信部が受信した履歴情報に示される前記クライアント装置の運用状況が、前記契約で定められた条件を満たすか否かを判定し、
前記サーバ装置の契約解除部は、運用状況判定部が前記条件を満たさないと判定した回数が所定の閾値を超えた場合に前記クライアント装置に関する契約を解除し、
前記クライアント装置の依頼送信部は、前記サーバ装置にデータの復旧依頼を送信し、
前記サーバ装置の依頼受信部は、クライアント装置からデータの復旧依頼を受信し、
前記サーバ装置の依頼通知部は、前記契約解除部によって契約が解除されておらず、かつ前記依頼受信部がデータの復旧依頼を受信した場合に、作業者に前記クライアント装置に対するデータの復旧依頼を通知する
ことを特徴とする契約管理方法。
【請求項4】
サーバ装置が管理する契約によってデータを保障されるクライアント装置であって、
自装置における保守操作の履歴情報を記録する履歴記録部と、
前記履歴記録部が記録した履歴情報を定期的に前記サーバ装置に送信する履歴送信部と、
前記サーバ装置にデータの復旧依頼を送信する依頼送信部と
を備えることを特徴とするクライアント装置。
【請求項5】
クライアント装置のデータを保障する契約を管理するサーバ装置であって、
前記クライアント装置から前記履歴情報を受信する履歴受信部と、
前記履歴受信部が受信した履歴情報に示される前記クライアント装置の運用状況が、前記契約で定められた条件を満たすか否かを判定する運用状況判定部と、
前記運用状況判定部が前記条件を満たさないと判定した回数が所定の閾値を超えた場合に前記クライアント装置に関する契約を解除する契約解除部と、
前記クライアント装置からデータの復旧依頼を受信する依頼受信部と、
前記契約解除部によって契約が解除されておらず、かつ前記依頼受信部がデータの復旧依頼を受信した場合に、作業者に前記クライアント装置に対するデータの復旧依頼を通知する依頼通知部と
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項6】
サーバ装置が管理する契約によってデータを保障されるクライアント装置を、
自装置における保守操作の履歴情報を記録する履歴記録部、
前記履歴記録部が記録した履歴情報を定期的に前記サーバ装置に送信する履歴送信部、
前記サーバ装置にデータの復旧依頼を送信する依頼送信部
として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
クライアント装置のデータを保障する契約を管理するサーバ装置を、
前記クライアント装置から前記履歴情報を受信する履歴受信部、
前記履歴受信部が受信した履歴情報に示される前記クライアント装置の運用状況が、前記契約で定められた条件を満たすか否かを判定する運用状況判定部、
前記運用状況判定部が前記条件を満たさないと判定した回数が所定の閾値を超えた場合に前記クライアント装置に関する契約を解除する契約解除部、
前記クライアント装置からデータの復旧依頼を受信する依頼受信部、
前記契約解除部によって契約が解除されておらず、かつ前記依頼受信部がデータの復旧依頼を受信した場合に、作業者に前記クライアント装置に対するデータの復旧依頼を通知する依頼通知部
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−180996(P2011−180996A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46855(P2010−46855)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)