説明

妊娠検査具

血液、血漿、血清、及び/又は尿サンプルから選択される女性から採取される体液サンプル中のホルモンhPL又はそれらのフラグメントの量を定量化するステップと、これに対応する妊娠の段階を確立するステップと、を具える妊娠段階(妊娠期間)を決定する方法を開示している。本開示は、更に妊娠段階を確立するために女性から採取した、血液、血漿、血清、及び/又は尿サンプルから選択される体液サンプル中のhPL又はそのフラグメントのレベル/量を検出するのに適した器具にまで及ぶものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本開示は、女性の体液サンプル中のヒト胎盤性ラクトゲン(hPL)又はそれに関するフラグメントの濃度の確立に基づき、女性のおよその妊娠段階(妊娠期間)を確立するための方法及び器具に関する。本開示はまた、妊娠段階を特定するための抗−hPL抗体の使用に関するものである。
【0002】
妊娠検査具は、医療従事者や個人によって広く使用されている。妊娠検査具は、長年にわたりスーパーマーケットや薬局で市販されてきた。最も有名なブランドの一つはCLEARBLUE(登録商標)である。後者の検査具は、個人が自宅で容易に使用することができて、ものの数分で結果が示されるという簡単で丈夫な器具(例えばEP0291194を参照)である。この検査は、関連の女性の尿中のホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の検出の有無に基づくものである。
【0003】
伝統的に検査の結果は、陽性か陰性か、すなわち妊娠しているか否かを示すものであった。しかし近年では、個人が妊娠1−2、2−3、又は3/3+週であるかどうかを確認するhCGの濃度を用いる、より精巧な検査が開始されている。この検査は、出願公開WO2006/100415に記載されている。
【0004】
この新しい検査は有用であるものの、妊娠期間が3週を超えた場合に提供される情報は、非常に限定されたものとなっている。すなわち、単に妊娠期間が3週以上であることを示すに過ぎないのである。
【0005】
例えば不完全又は不正確な情報であるため、妊婦自身が提供する情報からは妊娠の段階が計算できないときの、妊娠周期を定める唯一別の方法は、現時点では超音波スキャンである。妊娠の段階を決定する超音波スキャンの精度は、一般に非常に高く、誤差は3、4日であるものの、妊娠13週未満でスキャンをすると、その精度は低下してしまう。更に、医療制度におけるリリースへの影響と負担のため、定期的に超音波スキャンを用いて妊娠段階を決定することは実行不可能である。現時点では、スキャンの需要は非常に高く、妊娠中の合併症が疑われる場合を除いて、妊娠13週頃に最初の超音波スキャンがなされる。
【0006】
超音波スキャンに頼らずに、好ましくは簡単な非侵襲的検査を用いて、妊娠周期を定めることができるのは有用である。
【0007】
本発明者は、妊娠段階がヒト胎盤性ラクトゲンホルモン濃度と関連付けができることを発見した。
【0008】
そのホルモン自体は、何年も知られており、例えば米国特許7,235,359を参照のとおり、特に子癇前症や胎児染色体異数性などの妊娠中及び/又は胎児の異常のバイオマーカーとして提示されている。
【0009】
しかし、我々が知る限り、それは正常妊娠の段階を決定するために有用であると提示されたことはない。
【0010】
従って、一態様では、血液、血漿、血清、及び/又は尿サンプルから選択される女性から採取される体液サンプル中のhPLの濃度を定量化するステップと、これに対応する妊娠の段階を確立するステップと、を具える妊娠の段階を決定する方法を提供している。
【0011】
hPLは、絨毛性ソマトマンモトロピンホルモン1又はコリオマンモトロピンラクトゲンとしても知られている。ユニプロット(UniProt)は、配列番号No.1に示すように、そのペプチドが217個のアミノ酸の長さであることを示しているが、190個又は191個のアミノ酸の長さの形でも存在しているらしい。このホルモンは、二つのサブユニットを有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、妊娠周期の関数として、nmol/LにおけるhPLの分泌プロファイルを示している。
【図2】図2は、妊娠の段階を示すのに適した検査配列の簡単な実施例を示している。
【図3】図3は、デジタルディスプレイユニットを具えた器具の色々な配置を示している。
【図4】図4は、デジタルディスプレイユニットを具えた器具の色々な配置を示している。
【図5】図5は、結果読み取り器具の配置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
興味深いことに、胎盤の質量と存在するhPLの量の間には相関関係があり、各々の絨毛細胞は一日あたり一定のhPL量を合成し、絨毛細胞の数が増加するにつれて合成及び分泌されるhPLの量も増加すると仮定されている。このような理由からhPLは、特に妊娠第三期の30−35週の期間で、妊娠中の特定の異常を検出する有効なマーカーとして推奨されている。6週未満では、hPLは非常に低いレベルのみ分泌される。6週以降に分泌される量は、濃度曲線が平らになり始める約24週まで指数関数的に増加する(図1参照)。
【0014】
ここで用いている妊娠段階は、例えば妊娠週の数を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、3、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42週又はその範囲といった時点を妊娠に関連付けて示すことを意図している。二元法の結果、すなわち陽性か陰性か、妊娠しているか否かを、単に示すことを意図してはいない。
【0015】
ここで言及しているhPL又はその他のホルモンの量の定量化は、単位体積当たりの質量、単位体積当たりのモル数(ナノモル等)、又は単位体積当たりの国際単位での絶対量とすることができ、これには例えば標準を参照することにより相対量を確立することも含まれる。一実施例において用いられている方法は半定量的である。
【0016】
ここで用いているフラグメントは、存在するhPLの実際の量に対応する検出可能なフラグメントを指しており、a−サブユニットのようなサブユニットを含むこともある。
【0017】
一実施例における方法は、以下の妊娠の時間ポイント:6週以前、6−9週、10−12週、13−15週、16−18週、19−21週、及び/又は21−24週を識別することができる。
【0018】
6週未満の段階は、2nmol/L以下のhPL濃度に特徴づけられる。6週から最大9週の段階は、2nmol/Lより高く約9nmol/Lまでの範囲の濃度に特徴づけられる。10週から12週の段階は、9nmol/Lより高く約34nmol/Lまでの範囲の濃度に特徴づけられる。13週から15週の段階は、80nmol/Lより高く約95nmol/Lまでの範囲の濃度に特徴づけられる。16週から18週の段階は、95nmol/Lより高く約105nmol/Lまでの範囲の濃度に特徴づけられる。19週から21週の段階は、105nmol/Lより高く約200nmol/Lまでの範囲の濃度に特徴づけられる。22週から24週の段階は、200nmol/Lより高く約225nmol/Lまでの範囲の濃度に特徴づけられる。
【0019】
一実施例における方法は、以下の妊娠の段階:6週以下、7/8週、9週、10/11週、11/12週、12/13週、14/15/16週、17/18週、19/20週、21週、22週、23週、及び/又は24週とそれ以上を識別する。
【0020】
0.04mg/L以下のhPL濃度は妊娠6週以下であることを示している。0.04−0.05mg/Lの範囲のhPL濃度は、妊娠7/8週であることを示している。0.1−0.2mg/Lの範囲のhPL濃度は、妊娠9週であることを示している。0.25−0.35mg/Lの範囲のhPL濃度は、妊娠10/11週であることを示している。0.3−0.5mg/Lの範囲のhPL濃度は、妊娠11/12週であることを示している。0.65−0.7mg/Lの範囲のhPL濃度は、妊娠12/13週であることを示している。
【0021】
約0.9mg/LのhPL濃度は妊娠14/15/16週であることを示している。約1.5mg/LのhPL濃度は妊娠17/18週であることを示している。約2.5mg/LのhPL濃度は妊娠19/20週であることを示している。
【0022】
上記の特定された数値は、血清中のhPLの量に基づいている。hPLは血清中で半減期が短いが、ペプチドの大きさにより、少なくともいくつかのhPLは、糸球体から尿中に濾過される。尿中に入ると、hPLは分解から又は更なる分解から保護される。従って、例え尿中のhPLの絶対量は血清中に観察されるものよりも少なくても、尿中のhPLの分泌プロファイルは、血清で観察されたものと同一の曲線をとると思われる。しかし、ELISA分析のような感度分析法は、24時間以上かけて妊娠約8週で約10μgの尿中のhPLの量を検出し定量化することができる。
【0023】
この方法は、妊娠24週を超える妊娠段階を決定するために適用することができる。妊娠終期に向かって、血清中のhPLの量は、5−7mg/Lのレベルに達する。
【0024】
少なくとも表1に示すように、尿中のhPLの量が同定される。
【表1】

【0025】
サンプルから検出及び/又は抽出されるhPLの絶対量は、まさに用いる方法に依存する。より感度の高い技術であれば、最終的により高い値が検出されるだろう。従って、表1のレベルは用いられる方法に応じて高くなることがある。
【0026】
本開示は、女性が妊娠第1期又は第2期のときの妊娠段階を確立するのに特に適している。
【0027】
一実施例では、この方法は特に7−28週の妊娠期間で、ある妊娠週を別の妊娠週と識別するのに適している。
【0028】
本開示の使用に適するホルモン(分析物)及びアルゴリズムに基づいて妊娠段階を確立する方法は、WO2006/100415に記載されている(特に11ページから16ページを参照)。
【0029】
サンプルとして尿を使用して側方流動法に基づき妊娠段階を確立することができるのは非常に便利である。従って、ここに記載される方法は、関連する技術分野の当業者により容易に実施され、広く適用される可能性がある。
【0030】
当然ながら、女性の妊娠を認定するhCGレベルに基づいた検査をした後に、上記の検査をしてもよい。6週未満ではhPLにのみ基づいた検査では妊娠を確定することができないので、これは妊娠が未確定の初期段階で重要である。従って一実施例では、例えばCLEARBLUE EASY(登録商標)は、hPL濃度を検査する器具が、hCGレベルを検査する別個の器具と共に一のキットで提供されている。
【0031】
本開示の方法の一実施例では、ホルモンレベルの組み合わせ、例えばhPLとhCGの濃度は、同じ器具(又は別の器具)内で同時に又は連続して測定される。これは、hPLのみを使用して認定しうる段階に加え、妊娠段階を1−2週、2−3週、又は3−6週として確立することができるので、妊娠6週未満の段階において特に有用である。
【0032】
これは、2、3、又は4といった別個の複数の分析ストリップを具える単一の器具を使用することにより達成することができる。
【0033】
代替的又は付加的に、この方法はリラキシン濃度も検査できる。このホルモンはhCGと同じく、着床後の極く短期間に分泌されるので、例えば妊娠6週まではhPLのみを使用し認定しうる段階に追加して、リラキシンとhPLを組み合わせて妊娠段階を確認するのに使用することができる。
【0034】
一実施例では、関連する女性から採取されるサンプルが、その関連する女性が妊娠しているかどうかを示す検査の分析にリラキシンが用いられ、その後の検査は、妊娠の段階を確立するために、hPLレベルを決定するため行われる。
【0035】
リラキシンのレベルは、約10−12週で最高レベルに達する。従って、少なくともhPL及び例えばここに記載されるその他のホルモンと任意に組み合わせると、リラキシンは10−12週の段階の妊娠を識別するのに特に有用である。
【0036】
非抱合型エストラジオールのレベルは、妊娠13週付近で著しく高くなるので、適切な妊娠段階を識別するために、少なくともhPL及び特にここに記載されるその他のホルモンと組み合わせて用いることができる。エストラジオールとhPLの組み合わせは、特に13週の段階の妊娠を識別するのに有用である。
【0037】
更に本開示によると、方法/器具内で分析されるホルモンは、黄体形成ホルモン及び/卵胞刺激ホルモンを含んでいる。
【0038】
この方法の一実施例は、6−28週の範囲の妊娠、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22若しくは23週、又はこれらの組み合わせといった7−24週などの段階を同定するのに適している。
【0039】
代替の実施例では、例えば少なくとも二つのホルモン類(検体)を伴う妊娠段階の分析で、1−2、2−3、3−6週の範囲を同定することができ、残りの段階は、ここに記載される実施例のうちのいずれかによって同定されうる。
【0040】
ホルモンレベルの測定方法は、タンパク質配列、HPLC(高速液体クロマトグラフ)、SDS−Page、ウェスタンブロッティング、及び免疫学的測定法を含む。免疫学的測定法には異なる形式があり、例えば酵素及び/又は蛍光を用いたものがある。免疫学的測定法の特に感度の高い形式の一つは、サンドイッチ測定と呼ばれることもあるELISA測定(酵素結合免疫測定法)である。同じターゲットに向けられた二つの異なる抗体を用いることによって測定の精度/特異性が向上する。
【0041】
本開示の実施に適する技術は、EP0219194に記載されており、特に検査ストリップが記載されているページの14−23行、典型的な器具が記載されている2ページの37−36行、更に多孔質の固相、“サンドイッチ”、及び競合法が記載されている2ページの37−55行、ラベル/粒子の許容動作に照らし、ニトロセルロースなどの多孔質担体の適切な特性について説明する3ページの34−39行を参照するとよい。文章の後半で適切なラベルは一般に0.05−0.5ミクロンの大きさであることも説明されている。
【0042】
適切なラベルは更に、特に検出ゾーンでシグナル/結果を提供するために蓄積する、例えばレイテックス(laytex)などの金溶液、染料液、又は着色ポリマーなどの材料の着色粒子を含む。EP0219194の5ページの2−15行に金溶液、染色液の調整、12ページに着色粒子、及び13ページの10−19行に前記ラベルの一つに対する抗体結合について記載されている。
【0043】
代替として、専門家により行われる検査で、免疫学的測定法で使用される抗体上のラベルには、例えば放射性ラベルがある。
【0044】
代替として、例えばQPCRを用いて血液サンプル中のmRNAのレベルを測定して、間接的にhPLのレベルを確立することができる。
【0045】
一実施例では、サンプルは血液、血清、又は血漿である。
【0046】
一実施例では、サンプルは尿サンプルである。
【0047】
一般に、方法、検査及び/又は器具は、10、15、20、25、30、35、40、又は45IU/Lなど50IU/L(リットルあたりの国際単位)の感度を有する必要がある。
【0048】
ターゲット分子に特異な抗体が不溶性ビーズ(色つきの場合もある)又は表面に固定されている点で、ELISA測定の原理は単純である。次いで検査サンプルが導入され、ターゲット分子が存在していれば、抗体はそれらに結合する。最後に、検出できるようにラベルされている第二次抗体が導入され(又は検査容器に存在している場合もある)、第一次抗体とは異なる部位でターゲット分子と結合し、それによってターゲットのサンドイッチを形成する。あるいは、第二次抗体は第一次抗体に向けられてもよい。結合すると、ラベルが活性化して、必要に応じて検出、測定、及び定量化が可能となる。
【0049】
一実施例では、器具は、例えばニトロセルロースなどの多孔質担体である液体輸送手段を具える側方流動器具である。
【0050】
第一世代の妊娠検査のようないくつかの簡単な検査では、陽性の結果は、単に検査ウィンドウに表示される青の線であった。本開示の簡単な実施例では、必要な薬剤を具えた検査ストリップは、時間ポイントの形式で提供され、図2に示すように対応する妊娠段階がラベルされる。これは、EP291194に記載されているような技術を、WO2006/100415に記載されている定量化の手法を用いる。このような検査からの読み出しは非常に簡単である。従って、一実施例では、器具は複数の結果ウィンドウを具え、例えば各々の結果ウィンドウには時間ポイントがラベルされおり、使用者はいかなる説明も必要としないでそこから容易に結果を読み取り、段階を確立することができる。関連するウィンドウ内の着色ビーズの蓄積が結果を表示する。
【0051】
しかし、例えばWO2007/017648に記載されているように、光学濃度表示は、実験室又は携帯用使い捨て器具のどちらでもデジタル装置となりうる。本開示の一実施例では、図3又は4に示すように、器具は長さが約12cmと2cmである。器具は、例えば不透明なプラスチック材料から構成されたハウジング(2)を具えている。ハウジングの一端に狭い開口が設けられており、ここを通って液体の輸送口又は運搬口がハウジングを超えて突出してサンプル液に接触することができる。
【0052】
使用者に情報を表示するディスプレイ(6)が、分析結果が出た後に器具から除去することができるように、取り外し可能に器具に取り付けられている。変形可能なクリップ(8)に下向きに圧をかけると容易に取り外せる。ディスプレイ上の結果とその他のあらゆる情報は、将来の参考のために器具からディスプレイを除去した後も保持されてもよい。
【0053】
器具のハウジングは、二のLED及び二のフォトダイオード(14)を支持する回路基板(12)を具えたラベルされた分析アッセンブリ(10)を具え、二のLED及び二のフォトダイオードは液体輸送口又は運搬口のサンプリング部分(4)と流体連通するニトロセルロースストリップである側方流動ストリップ(16)の検査領域と整列している。検査領域は、対象である分析物の存在(又は、必要に応じて不在)に、ラベルされた試薬が蓄積する領域である。この蓄積は、その反射率や透過率、LED/フォトダイオードの配列により測定することができる特性など、検査ストリップ(16)の光学特性に影響を与える。この構成は出力電流を生じ、その大きさは検査領域に蓄積されたラベルの量に関連する。
【0054】
分析アセンブリ(10)は、また、ハウジング(2)に取り付けたときにディスプレイ(6)に電力を供給する電力源(ボタン電池18)を具えている。
【0055】
ハウジングの頂部に、 ディスプレイ(6)部分のわずかに広がった部分に適合する溝(20)が設けられている。ディスプレイ(6)は、ハウジング内で適切に形成され寸法付けられた開口部内に、クリップ(8)により保持されている。正しく配置されると、ディスプレイ上の電気コネクタは、ハウジングに設けられた電気コネクタ(22)に接触し、これにより、ディスプレイ(6)と分析アセンブリ(10)間の電気的接続が確実になる。
【0056】
分析部材(10)は、データ保存バッファ、アナログ−デジタル変換器(ADC)、及びマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを具えるシグナル変換要素(24)を具えている。ディスプレイ(6)は、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラからの出力に応答する。
【0057】
分析結果を決定するための流れの検出が、米国特許出願公開2005/037511に記載されている。分析器具及び方法は、米国特許出願公開2008/213875に教示されている。
【0058】
一実施例では、本開示は、例えばここに記載される一又は複数の要素を具える、サンプル中の少なくともhPLの濃度からおおよその妊娠段階を確立するのに適した器具を提供する。器具は例えばhCGに基づいて、必要に応じ妊娠に関する陽性又は陰性の結果を提供することができる。この実施例では、使用される器具は、hPL及びhCGの分析用の試薬を具えてもよい。
【0059】
都合のよいことに、妊娠が進行し胎児が成長している証拠を提供するために、異なる時点で繰り返し分析をすることができる。
【0060】
一実施例では、結果は、例えばデジタルディスプレイのウィンドウ内に数値又は範囲として表示される。
【0061】
一実施例では、器具は、例えば使い捨て携帯器具のような携帯器具である。
【0062】
一態様では、器具は、例えばモノクローナル抗体のような抗ヒト胎盤性ラクトゲン抗体を具えている。抗体は、例えば上記のように必要に応じてラベルされてもよい。
【0063】
一実施例では、器具は、例えばモノクローナル抗体など更なる別個の胎盤性ラクトゲン抗体を具え、当該更なる抗体は、hPL又はそれらに関連するフラグメントへの結合を検出できるようにラベルされている。
【0064】
代替として、使用される第二次抗体は、抗抗体抗体でもよく、例えば第一次抗体のFc領域に向けられてもよい。この第二次抗体はラベルされていてもよい。
【0065】
第一次及び第二次抗体は使用されるところで、各々の抗体はラベルされてもよい。
【0066】
ここで用いられる抗ヒト胎盤性ラクトゲン抗体は、前記抗原(hPL)に特異的な抗体であることが予定されている。
【0067】
一実施例では、例えば混合されたモノクローナル抗体のような抗体の組み合わせが使用され、検査対象の特異的なホルモンに導かれる。
【0068】
一実施例では、使用される抗体は蛍光ラベルを有する。一実施例では、例えば異なるホルモンに対しては、最初の蛍光ラベルされた抗体とは異なる波長の光を発生する蛍光ラベルがなされた更なる抗体が使用されている。
【0069】
例えば薬局やスーパーマーケットの店頭で器具が一般に販売されている場合、その中の分析は、エンドユーザーに接して結果を提供するのに適した、関連ホルモンの濃度の適切な範囲を処理するのに充分に丈夫でなければならない。
【0070】
女性から渡されるその日最初の尿サンプルについて検査を行うのが望ましい場合がある。従って、一実施例では、器具には後者を説明する説明書が添付されている。
【0071】
とは言うものの、器具が病院や医師に提供される場合には、妊娠9週未満、12週未満、18週未満、21週及び/又は24週なのかを極めて正確に知ることが重要である。この場合には、検査、キット、器具及び/又は試薬は、関連する各時点に対して個別に最適化したものが提供される。
【0072】
最適化には、使用される試薬及び/又は使用されるホルモンの組み合わせの濃度を変更することが含まれる。
【0073】
更なる実施例では、本書記載の方法は、流産又は胎児の死亡を監視する手段として、女性のhPLレベルの低下を検出するのに適合してもよい。後者の適切な監視は、医療の専門家にとって厄介であることがある。従って、hPLのレベルの低下を識別するための定期検査は、非常に有用である。
【0074】
一実施例では、本開示は、妊娠段階を推定する目的で、血、血清、血漿、又は尿サンプルなどの体液サンプル中のhPLの定量化に使用するため、例えばネズミ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ラクダ、ラット、ウサギ、又はその他の抗体のようなモノクローナル抗体などの抗hPL抗体の使用を提供する。
【0075】
一又は複数の実施例では、使用される抗体としてhPLのa−サブユニットに関するものが開示されている。
【0076】
例えばマウス抗−ヒト胎盤性ラクトゲン(エピトープ2)モノクローナル抗体、Abcam社の非抱合型のクローンINN−hPL−37、マウス抗−ヒト胎盤性ラクトゲンモノクローナル抗体、AbD Serotec社の非抱合型のクローンINN−hPL−5、マウス抗−胎盤性ラクトゲン(hPL)モノクローナル抗体、及びAcris Antibodies GmbH社の非抱合型のクローンLIP−603など多くのモノクローナル抗体が市販されている。
【0077】
代替として、モノクローナル抗体を含む抗体は、例えばオボアルブミンなどの適切な担体に結合するhPLで宿主を免疫することにより、関連する技術分野における慣例技術で容易に調製することができる。使用される抗体は、例えば1%以下の又は状況に応じた適切な交差反応性を有するなど、hPLに特異的である必要がある。
【0078】
一実施例では、本開示は、妊娠段階を確立する目的で女性から採取される体液サンプル中のhPL濃度を検査する器具及び/又は試薬を具えるキットを提供する。
【0079】
一実施例では、流産又は胎児の死亡後のhPLレベルの低下を識別するのに適したキットが提供されている。
【0080】
ここに記載された検査は、胎盤の質量とhPLの分泌濃度の間の相関関係を利用しており、女性が双子又は多胎児を妊娠している場合に、本方法は実際よりも遅い妊娠段階を結果として提示してしまう可能性がある。そうは言っても、多胎児を妊娠する可能性はわずか3%を占めるに過ぎないので、本開示の検査/方法/器具及び方法は、個人に便利で、費用対効果の高い、効率的な方法を提供する実用的なステップを示している。
【0081】
ここに記載される一以上の実施例は、技術的に適切であれば組み合わせてもよいことを想定している。
【0082】
本明細書の文脈の中で、“具える”は、“含む”として解釈されるべきである。
【0083】
特定の要素を具える開示の態様も、関連する要素“〜から成る”又は“本質的に〜から成る”など、代替の実施例に拡張することを意図している。
【0084】
ここで言及された全ての文献はそれらの全体が参照により組み込まれる。
【実施例】
【0085】
“共有”光検知器と“通常読み取り”領域の両方を有する分析結果読み取り器具の実施例を、図5に示している。読み取り器具は、長さが約12cm、幅が約2cmで一般に指又は煙草の形状をしている。
【0086】
好ましい実施例では、ハウジングは長さが約12cm以内、幅が約2.5cm以内で、高さが約2.2cm以内である。しかし、クレジットカード形状のリーダーのような、任意の便利な形状を使用してもよい。この器具は光不透過性の合成プラスチック材料(例えば、炭素などの適切な遮光性顔料を含む、ポリカーボネート、ABS、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリスチロールなど)から形成されたハウジング1を具える。読み取り器具の一端部は、検査ストリップ(図示せず)がリーダーに挿入できるように狭いスロット又は開口3となっている。
【0087】
リーダーの上面には、二つの楕円形状の開口がある。
【0088】
一方の開口は、分析の結果など定性的に又は定量的に使用者に情報を提示する液晶ディスプレイ5の画面を収容している。他方の開口は、挿入された分析器具を、作動時に強制的に分析読み取り器具から放出するイジェクト機構のアクチュエータ7(チルドボタンの形式で)を収容している。
【0089】
読み取り器具で使用する検査ストリップは、例えば米国特許第6,156,271号、米国特許第5,504,013号、欧州特許第728309号、又は欧州特許第782707号に開示されているような一般的に従来型の側流検査スティックである。検査ストリップと、当該検査ストリップが挿入されるリーダー内のスロットの表面は、検査ストリップがリーダー内に適切な方向に上手く挿入されるようにのみ形成及び寸法付けられている。分析器具と当該分析器具が挿入されるリーダー内のスロットの表面もまた、リーダーが正確に三次元配置され、正確にリーダーを読み取って分析結果を得ることを確実にするように形成及び寸法付けられている。
【0090】
検査ストリップが正確にリーダーに挿入されると、エネルギー消費を減少すべくリーダーがとる通常の状態である“休眠”状態から、リーダーを活性化させるスイッチが閉じられる。
【0091】
リーダーのハウジング内(従って図5では見えない)には、三つのLEDを具えたリーダーを含む、更なる多くの部品がある。検査ストリップがリーダーに挿入されると、各LEDは検査ストリップのそれぞれの領域と整列する。第一のLEDは、検査領域と整列し、第二のLEDは、参考領域と整列し、及び第三のLEDは、制御領域と整列する。二つのフォトダイオードが、様々な領域から反射光を検出し、フォトダイオードに入射した光の量に比例する大きさの電流を発生させる。電流は電圧に変換され、バッファにより緩衝され、アナログ−デジタル変換器(ADC)に供給される。
【0092】
得られたデジタル信号は、マイクロコントローラーによって読み取られる。
【0093】
いくつかの実施例では、別々のフォトダイオードが、各領域から検出するために提供されている(すなわち、フォトダイオードの数は反射光測定がされる数に等しい)。
【0094】
別の実施例では、フォトダイオードの数は領域の数より少ない。一のフォトダイオードが、検査領域からの反射光と参照領域からの反射光の一部を検出する。他のフォトダイオードが、参照領域からの光反射の一部と制御領域からの光反射の一部を検出する。マイクロコントローラーはLEDを一ずつスイッチを入れ、任意の与えられた時間に三つの領域の一つのみが照明される。この方法により、それぞれの領域からの反射光により発生された信号は、時間に基づいて判別することができる。
【0095】
分析器具をリーダーに挿入することによりスイッチが閉じられ、マイクロコントローラーを作動させる。器具は更に、電源(通常はボタン電池又は二つのボタン電池)と、マイクロコントローラーからの出力に応じる液晶表示器具を具える。
【0096】
使用にあたり、乾いた検査ストリップ(すなわちサンプルに接触する前)がリーダーに挿入され、スイッチが閉じてリーダーが作動し、次いで初期キャリブレーションが行われる。さまざまなLEDからの光出力の強度は滅多に同じではない。同様に、光検出器は、同一の感度を持っていることもない。そのような差が分析読み取りに影響を与える可能性があるので、初期キャリブレーションが行われ、マイクロコントローラーが、三つのLEDの各々の点灯している時間の長さを調整し、これにより三つの領域(検査、参考及び制御)の各々から測定された信号がだいたい等しくなり、(さまざまな領域からの反射光の強度の差が信号に直接に比例する変化をもたらすように)システムの応答プロファイルの線形領域で適切な動作位置となる。
【0097】
初期キャリブレーションを行った後、器具は更により細かいキャリブレーションを行う。これは、検査ストリップが乾いている間の各領域の反射光の強度の測定(「校正値」)を取り、次の測定(「検査値」)について、それぞれの領域の校正値を参照して正規化することを含む(すなわち、正規化された値=検査値/校正値)。
【0098】
分析を行うため、検査ストリップのサンプル受け部分を液体サンプルに接触させる。例えばこの場合尿サンプルについて、サンプル受け部分を尿の流れの中で保持してもよいし、尿サンプルを容器の中に採取して、サンプル受け部分をそのサンプルに一時的(約5−10秒)に浸してもよい。検査ストリップがリーダーに挿入されている時に、サンプリングを行うことができ、それほど好ましいことではないが、サンプリングのために、ストリップを一時的にリーダーから取り外し、その後リーダーに再導入してもよい。
【0099】
一般に検査ストリップをリーダーに挿入した後の特定の時間間隔の後に、一以上の領域(好ましくは三つ全部)からの反射光の強度の測定が次いで開始される。測定は、一定の間隔(例えば1−10秒間隔、好ましくは1−5秒間隔で)で行われるのが望ましい。測定は、領域ごとに交互に多くの配列を短期間(10ミリ秒以下)で連続的に読み取って行われ、それによりリーダーのハウジング内部を貫通する周囲の光強度の変化に起因するあらゆる影響を最小限に抑えることができる。
【0100】
〔参考文献〕
Sorenson他(1995)ヒトの生殖 10:453−458頁
Kaplan他(1965)科学 147:751頁
Josimovich他(1964)Am J.産科学と婦人科学 88:867−879頁



【特許請求の範囲】
【請求項1】
妊娠段階を決定する方法であって、血液、血漿、血清、及び/又は尿サンプルから選択される女性から採取される体液サンプル中のホルモンhPL又はそのフラグメントの量を定量化するステップと、これに対応する妊娠の段階を確立するステップと、を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
さらに、第二のホルモンの量を定量化するステップを具えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二のホルモンが、hCG、非抱合型エストラジオール、リラキシン、又はこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記定量化が、各ホルモンに特異的な一又はそれ以上の抗体を用いて、一又は複数のホルモンの存在を検出することを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
妊娠段階を確立するために女性から採取される、血液、血漿、血清、及び/又は尿サンプルから選択される体液サンプル中のhPL又はそのフラグメントのレベル/量を検出するのに適することを特徴とする器具。
【請求項6】
前記器具が、尿サンプル中のhPLのレベル/量を検出するのに適することを特徴とする請求項5に記載の器具。
【請求項7】
前記器具が、サンプルの分析結果を提示するためのディスプレイを具えることを特徴とする請求項5又は6に記載の器具。
【請求項8】
前記ディスプレイが、デジタルであることを特徴とする請求項7に記載の器具。
【請求項9】
妊娠段階を確立するために、女性から採取される体液サンプル中のhPLの濃度を検査するための器具及び/又は試薬を具えることを特徴とするキット。
【請求項10】
血液、血漿、血清及び/又は尿サンプルから選択されるサンプル中のhPLの量を分析する器具と、サンプル中のhCGの量を分析する器具とを具えることを特徴とする請求項9に記載のキット。
【請求項11】
妊娠段階を決定するための抗hPL抗体の使用。
【請求項12】
前記抗hPL抗体が、モノクローナルであることを特徴とする請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記抗hPL抗体が、抗−hCG、抗−リラキシン及び/又は抗−非抱合型エストラジオールから選択される抗体と組み合わせて用いられることを特徴とする請求項11又は12に記載の使用。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−508892(P2012−508892A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543820(P2011−543820)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051548
【国際公開番号】WO2010/055355
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511118780)ガイ’ズ アンド エスティー.トーマス’ズ エヌエイチエス ファウンデイション トラスト (1)
【氏名又は名称原語表記】GUY’S AND ST.THOMAS’S NHS FOUNDATION TRUST
【出願人】(511118791)
【氏名又は名称原語表記】MENON−JOHANSSON,Anatole Sebastian
【Fターム(参考)】