説明

姿勢制御方法及び姿勢制御プログラム

【課題】 自動的にレベル調整を行うことにより、速やかに被制御対象を目標の姿勢にすることのできる姿勢制御方法及び姿勢制御プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】 被制御対象を下方から支持する複数の支持点にかかる荷重をそれぞれ調節することにより、被制御対象を目標姿勢に近づける姿勢制御方法であって、各支持点に所定の力を順次与え、そのときの被制御対象の姿勢の変位量を検出し、この変位量を用いて、被制御対象の姿勢変化に係る行列を作成し、この行列を用いて、被制御対象を目標姿勢にするために各支持点に与える各荷重を算出し、算出した荷重を各支持点に与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被制御対象の姿勢を速やかに目標姿勢に近づけることのできる姿勢制御方法及び姿勢制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、大型工作機械などの据付を行う際には、これらの装置が水平に設置されるように、レベル調整が行われる。従来、このようなレベル調整を行う場合には、ジャッキボルトやレベリングブロックが使用されている(例えば、特開平10−36087号公報参照)。
【特許文献1】特開平10−36087号公報(第2−3頁、第1−3図及び第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のレベル調整においては、作業員が据付を行う装置のレベルを目視により確認しながらレベリングブロックなどを制御していたため、装置を水平に保つためには熟練の技が必要となる上、非常に長い時間及び労力を要するという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、自動的にレベル調整を行うことにより、速やかに被制御対象を目標の姿勢にすることのできる姿勢制御方法及び姿勢制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、被制御対象を下方から支持する複数の支持点にかかる荷重をそれぞれ調節することにより、前記被制御対象を目標姿勢に近づける姿勢制御方法であって、前記被制御対象の変形特性を表す行列を用いて、前記被制御対象を目標姿勢にするために各前記支持点に与える各荷重を算出する荷重算出過程と、算出した前記荷重を各前記支持点に与える荷重調節過程とを具備する姿勢制御方法を提供する。
【0006】
上記姿勢制御方法によれば、被制御対象の変形特性を表す行列、換言すると、各支持点に対して与えた外力と、これら外力が与えられたときの被制御対象の姿勢変化との関係を表した行列を用いて、被制御対象を目標姿勢にするために各支持点に与える荷重を算出する。これにより、任意の力を支持点に与えたときに、どのように被制御対象の姿勢が変化するのか、或いは、被制御対象を目標姿勢とするには、どのような力を各支持点に与えれば良いのかを容易に求めることが可能となり、迅速に、且つ、容易に、被制御対象を目標姿勢にすることができる。
【0007】
上記記載の姿勢制御方法は、前記荷重調節過程後における前記被制御対象の姿勢が前記目標姿勢の許容誤差範囲内であるか否かを判定する判定過程を備え、前記被制御対象の姿勢が前記目標姿勢の許容誤差範囲内であると判定されるまで、前記荷重算出過程及び荷重調節過程を繰り返し行うと良い。
【0008】
このように、被制御対象の姿勢が目標姿勢の許容誤差範囲内となるまで、荷重の調整が行われるので、被制御対象を確実に目標姿勢に近づけることが可能となる。
【0009】
上記記載の姿勢制御方法において、前記被制御対象の変形特性を表す行列は、例えば、有限要素法による解析により求められた行列である。
【0010】
このように、有限要素法(FEM:finite element
method)による解析により、被制御対象の変形特性を表す行列を求めるので、演算処理により迅速に且つ容易に行列を導出することが可能となる。
【0011】
上記記載の姿勢制御方法において、前記被制御対象の変形特性を表す行列は、例えば、各前記支持点に所定の力を順次与え、そのときの前記被制御対象の姿勢の変位量を検出し、その変位量に基づいて作成された行列である。
【0012】
このように、各支持点に対して外力を与え、その外力により生じた結果としての現象、つまり、被制御対象の姿勢の変位量に基づいて、被制御対象の変形特性を表す行列が作成される。これにより、各支持点に対して与えた外力と、これら外力が与えられたときの被制御対象の姿勢変化との関係が行列によって表されることとなるので、この行列を用いることにより、被制御対象を目標姿勢にするために各支持点に与える荷重を高い精度で算出することが可能となる。特に、上述の有限要素法による解析により求めた行列の信頼性が低かった場合には、この手法により行列を導出することにより、信頼性の高い行列を得ることが可能となる。
【0013】
本発明は、被制御対象を下方から支持する複数の支持点にかかる荷重をそれぞれ調節することにより、前記被制御対象を目標姿勢に近づける姿勢制御方法であって、各前記支持点に所定の力を順次与え、そのときの前記被制御対象の姿勢の変位量を検出する変位量検出過程と、前記変位量を用いて、前記被制御対象の変形特性を表す行列を作成する行列作成過程と、前記行列を用いて、前記被制御対象を目標姿勢にするために各前記支持点に与える各荷重を算出する荷重算出過程と、算出した前記荷重を各前記支持点に与える荷重調節過程とを具備する姿勢制御方法を提供する。
【0014】
上記姿勢制御方法によれば、各支持点に対して外力を与え、その外力により生じた結果としての現象、つまり、被制御対象の姿勢の変位量に基づいて、前記被制御対象の変形特性を表す行列が作成される。これにより、この行列を用いれば、任意の力を支持点に与えたときに、どのように被制御対象の姿勢が変化するのか、或いは、被制御対象を目標姿勢とするには、どのような力を各支持点に与えれば良いのかを演算により求めることができる。更に、上記行列には、入力と出力との間に介在する様々な事象が含まれることとなるため、入力と出力の間に介在する様々な事象をブラックボックス化することが可能となる。これにより、煩雑な計算を行うことなく、比較的簡便な演算処理により、姿勢制御を行うことが可能となる。
【0015】
本発明は、基礎部材と、前記基礎部材の長手方向に間隔をあけて配置される複数の支持部材と、前記支持部材により支持される被制御対象とを備える構造モデルにおいて、各前記支持部材の支持点にかかる荷重を調節することにより、前記被制御対象を目標姿勢に近づける姿勢制御方法であって、前記被制御対象の変形特性を表す行列を用いて、前記被制御対象を目標姿勢にするために、各前記支持点に与える各荷重を算出する荷重算出過程と、算出した前記荷重を各前記支持点に与える荷重調節過程とを具備する姿勢制御方法を提供する。
【0016】
上記姿勢制御方法によれば、被制御対象の変形特性を表す行列、換言すると、各支持点に対して与えた外力と、これら外力が与えられたときの被制御対象の姿勢変化との関係を表した行列を用いて、被制御対象を目標姿勢にするために各支持点に与える荷重を算出する。これにより、任意の力を支持点に与えたときに、どのように被制御対象の姿勢が変化するのか、或いは、被制御対象を目標姿勢とするには、どのような力を各支持点に与えれば良いのかを容易に求めることが可能となり、被制御対象を迅速に目標姿勢にすることができる。
【0017】
本発明は、除振台と、前記除振台の長手方向又は/及び幅方向に間隔をあけて配置される複数の支持部材と、前記支持部材により支持される印刷機とを備える印刷装置において、各前記支持部材の支持点にかかる荷重を調節することにより、前記印刷機の上面を水平に近づける姿勢制御方法であって、前記印刷機の変形特性を表す行列を用いて、前記印刷機の上面を水平にするために各前記支持点に与える各荷重を算出する荷重算出過程と、算出した前記荷重を各前記支持点に与える荷重調節過程とを具備する姿勢制御方法を提供する。
【0018】
上記姿勢制御方法によれば、印刷機の上面の変形特性を表す行列、換言すると、各支持点に対して与えた外力と、これら外力が与えられたときの印刷機の上面の姿勢変化との関係を表した行列を用いて、印刷機の上面を水平にするために各支持点に与える荷重を算出する。これにより、任意の力を支持点に与えたときに、どのように印刷機の上面が変化するのか、或いは、印刷機の上面を目標姿勢とするには、どのような力を各支持点に与えれば良いのかを容易に求めることが可能となり、迅速に、且つ、容易に、印刷機の上面を水平にすることができる。
【0019】
本発明は、除振台と、前記除振台の長手方向に間隔をあけて配置される複数の支持部材と、前記支持部材により支持される印刷機とを備える印刷装置において、各前記支持部材の支持点にかかる荷重を調節することにより、前記印刷機の上面を水平に近づける姿勢制御方法であって、各前記支持点に所定の力を順次与え、そのときの前記印刷機の上面の変位量をそれぞれ検出する変位量検出過程と、前記変位量を用いて、前記印刷機の上面の変形特性を表す行列を作成する行列作成過程と、前記行列を用いて、前記印刷機の上面を水平にするために各前記支持点に与える各荷重を算出する荷重算出過程と、算出した前記荷重を各前記支持点に与える荷重調節過程とを具備する姿勢制御方法を提供する。
【0020】
上記姿勢制御方法によれば、各支持点に対して外力を与え、その外力により生じた結果としての現象、つまり、印刷機の上面の変位量に基づいて、行列が作成される。これにより、入力と出力との相関関係を、行列を用いて表すことが可能となるため、この行列を用いれば、任意の力を支持点に与えたときに、どのように印刷機の上面が変化するのか、或いは、印刷機の上面を水平状態とするには、どのような力を各支持点に与えれば良いのかを演算により求めることができる。
更に、上記行列には、入力と出力との間に介在する様々な事象が含まれることとなるため、入力と出力の間に介在する様々な事象をブラックボックス化することが可能となる。これにより、煩雑な計算を行うことなく、比較的簡便な演算処理により、印刷機の上面を水平状態にすることが可能となる。
【0021】
本発明は、被制御対象を下方から支持する複数の支持点の鉛直方向における位置をそれぞれ調節することにより、前記被制御対象を目標姿勢に近づけるためのコンピュータ実行可能な姿勢制御プログラムであって、前記被制御対象の変形特性を表す行列を用いて、前記被制御対象を目標姿勢にするために、各前記支持点に与える各荷重を算出する荷重算出ステップと、算出した前記荷重を各前記支持点に与えるための制御指令を生成し、出力する出力ステップとをコンピュータに実行させるための姿勢制御プログラムを提供する。
【0022】
上記姿勢制御プログラムによれば、被制御対象の変形特性を表す行列、換言すると、各支持点に対して与えた外力と、これら外力が与えられたときの被制御対象の姿勢変化との関係を表した行列を用いて、被制御対象を目標姿勢にするために各支持点に与える荷重を算出する。これにより、任意の力を支持点に与えたときに、どのように被制御対象の姿勢が変化するのか、或いは、被制御対象を目標姿勢とするには、どのような力を各支持点に与えれば良いのかを演算により求めることができる。
【0023】
本発明は、被制御対象を下方から支持する複数の支持点の鉛直方向における位置をそれぞれ調節することにより、前記被制御対象を目標姿勢に近づけるためのコンピュータ実行可能な姿勢制御プログラムであって、各前記支持点に所定の力を順次与えたときの各前記支持点の変位量を入力情報として取得する入力情報取得ステップと、前記変位量を行列として表現する行列作成ステップと、前記行列を用いて、前記被制御対象を目標姿勢にするための各前記支持点の位置を算出する位置算出ステップと、算出した前記荷重を各前記支持点に与えるための制御指令を生成し、出力するステップとをコンピュータに実行させるための姿勢制御プログラムを提供する。
【0024】
上記姿勢制御プログラムによれば、各支持点に対して外力を与え、その外力により生じた結果としての現象、つまり、被制御対象の姿勢の変位量に基づいて、行列が作成される。これにより、入力と出力との相関関係を、行列を用いて表すことが可能となるため、この行列を用いることにより、任意の力を支持点に与えたときに、どのように被制御対象の姿勢が変化するのか、或いは、被制御対象を目標姿勢とするには、どのような力を各支持点に与えれば良いのかを演算により求めることができる。
更に、上記行列には、入力と出力との間に介在する様々な事象が含まれることとなるため、入力と出力の間に介在する様々な事象をブラックボックス化することが可能となる。これにより、煩雑な計算を行うことなく、比較的簡便な演算処理により、姿勢制御を行うことが可能となる。
【0025】
本発明は、被制御対象を下方から支持する複数の支持点の鉛直方向における位置を調節することにより、前記被制御対象を目標姿勢に近づける姿勢制御方法であって、前記被制御対象の変形特性を表す行列を用いて、前記被制御対象を目標姿勢にするための各前記支持点の移動量を算出する移動量算出過程と、算出した前記移動量に基づいて、各前記支持点を鉛直方向に移動させる位置調節過程とを具備する姿勢制御方法を提供する。
【0026】
上記姿勢制御方法によれば、被制御対象の変形特性を表す行列、換言すると、各支持点の鉛直方向における移動量と、このような移動量が与えられたときの被制御対象の姿勢変化との関係を表した行列を用いて、被制御対象を目標姿勢にするための各支持点の移動量を算出する。これにより、支持点を所定量、移動させたときに、どのように被制御対象の姿勢が変化するのか、或いは、被制御対象を目標姿勢とするには、どのように、各支持点を鉛直方向に移動させれば良いのかを容易に求めることが可能となり、迅速に、且つ、容易に、被制御対象を目標姿勢にすることができる。
【0027】
上記記載の姿勢制御方法は、前記位置調節過程後における前記被制御対象の姿勢が前記目標姿勢の許容誤差範囲内であるか否かを判定する判定過程を備え、前記被制御対象の姿勢が前記目標姿勢の許容誤差範囲内であると判定されるまで、前記移動量算出過程及び位置調節過程を繰り返し行うと良い。
【0028】
このように、被制御対象の姿勢が目標姿勢の許容誤差範囲内となるまで、移動量の調整が行われるので、被制御対象を確実に目標姿勢に近づけることが可能となる。
【0029】
上記記載の姿勢制御方法において、前記被制御対象の変形特性を表す行列は、例えば、有限要素法による解析により求められた行列である。
【0030】
このように、有限要素法(FEM:finite element
method)による解析により、被制御対象の変形特性を表す行列を求めるので、演算処理により迅速に且つ容易に行列を導出することが可能となる。
【0031】
上記記載の姿勢制御方法において、前記被制御対象の変形対象を表す行列は、例えば、各前記支持点を所定の変位量、鉛直方向に移動させ、そのときの前記被制御対象の姿勢の変位量を検出し、その変位量に基づいて作成された行列である。
【0032】
このように、各支持点を所定量、鉛直方向に移動させ、そのときにおける被制御対象の姿勢の変位量に基づいて、被制御対象の変形特性を表す行列が作成される。これにより、各支持点の移動量と、その移動に伴う被制御対象の姿勢変化との相関関係が行列によって表されることとなるので、この行列を用いることにより、被制御対象を目標姿勢にするための各支持点の移動量を高い精度で算出することが可能となる。特に、上述の有限要素法による解析により求めた行列の信頼性が低かった場合には、この手法により行列を導出することにより、信頼性の高い行列を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の姿勢制御方法及び姿勢制御プログラムによれば、速やかに、且つ、自動で制御対象を目標の姿勢にすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、本発明に係る姿勢制御方法の実施形態について、〔第1の実施形態〕、〔第2の実施形態〕の順に、図面を参照して説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る姿勢制御方法が適用される印刷装置をモデル化して表したものであり、印刷装置を側面から見たときの図である。
図1において、符号10は、例えば、床の上に配置されている床支持部材である。この床支持部材10の上面には、空気ばね或いは防振ゴムなどの部材を介して除振台(基礎部材)11が配置されている。この除振台11には、除振台11の長手方向(水平方向)Lに間隔をあけて、鉛直方向に伸縮可能な複数のジャッキボルト(支持部材)J1乃至Jnが配置されている。ここで、上記空気ばね、或いは防振ゴムなどの部材は、除振台11への外部振動の伝達を低減するために設けられている。
【0035】
上記各ジャッキボルトJ1乃至Jnの上部には、印刷機13が配置されている。換言すると、印刷機13は、複数のジャッキボルトJ1乃至Jnにより下方から支持されている。なお、本実施形態においては、各ジャッキボルトJ1乃至Jnと、印刷機13の下面との接点を支持点K1乃至Knとする。
【0036】
上記各ジャッキボルトJ1乃至Jnの制御は、アクチュエータ(図示略)を介して接続される制御装置15により行われる。制御装置15は、被制御対象である印刷機13を目標姿勢にするべく、各ジャッキボルトJ1乃至Jnを鉛直方向に伸縮させることにより、各ジャッキボルトJ1乃至Jn、換言すると、各支持点K1乃至Knにかかる荷重を調節する。
【0037】
制御装置15は、例えば、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、後述する姿勢制御方法に関する一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、後述の各ステップが実行される。
具体的には、制御装置15は、CPU(中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えており、ROMなどに記録されている姿勢制御プログラムをRAMなどの主記憶装置に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種処理を実現させる。
【0038】
なお、上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0039】
次に、上述したような印刷装置の構造モデルにおける姿勢制御方法について、図を用いて説明する。本実施形態では、被制御対象である印刷機13の上面が水平となるように、姿勢制御が行われる。
まず、前提として、被制御対象である印刷機13の姿勢を評価するための評価点P1乃至Pjを、印刷機13の姿勢が評価できる位置に設定する。本実施形態では、印刷機13の上面を水平とすることが目標となるので、各評価点P1乃至Pjは、上面の様子を評価できる位置、つまり、印刷機13の上面に設定されることとなる。
評価点P1乃至Pjの設定数については、姿勢制御の精度に応じて適宜増減することが可能である。
【0040】
このような印刷装置において、印刷機13の上面を水平にするべく、制御装置15は、以下の処理を実行する。
まず、制御装置15は、印刷装置を初期状態にする(図2のステップSA1)。具体的には、各支持点K1乃至Knに対する荷重が均等になるように、各アクチュエータを制御する。
続いて、制御装置15は、上記初期状態において、各評価点P1乃至Pjの鉛直方向における位置を検出し、この位置を初期値として内部の記憶装置(例えば、RAM)に記録する(図2のステップSA2)。
【0041】
続いて、制御装置15は、各支持点K1〜Knに、順番に所定の力を与え、そのときの各評価点P1乃至Pjの鉛直方向に対する変位量を求める(図2のステップSA3:変化量検出過程)。
具体的には、全てのジャッキボルトJ1乃至Jnの端部を印刷機13に接続させた状態において、図3に示すように、力を与える支持点Kiを備えるジャッキボルトJiのみ、その端部を切り離す。これにより、このジャッキボルトJiの支持点Kiによっては、印刷機13が支持されない状態とする。続いて、支持点Kiにおいて、除振台11及び印刷機13に対して所定の力Fを与える。このとき除振台11に与える力fと印刷機13に対して与える力fとは、向きが反対の同じ大きさの力とする。なお、力fの単位については、特に制限されない。そして、この状態において、各評価点P1〜Pjの位置を検出し、検出したこの位置と、ステップSA2にて記録した初期値との差分を算出することにより、各評価点P1乃至Pjの鉛直方向に係る変位量を算出する。このようにして、各評価点P1乃至Pjの変位量が得られると、ジャッキボルトJiの端部を印刷機13と接続するとともに、次のジャッキボルトJi+1の端部を印刷機13から切り離し、この支持点Ki+1について同様の作業を行う。
【0042】
このようにして、各支持点K1乃至Knに対して、所定の力を順次加えていったときの各評価点P1乃至Pjの変位量をそれぞれ求めると、制御装置15は、この変位量を用いて、印刷機13の変形特性を表す行列Fを作成する(図2のステップSA4:行列作成過程)。なお、この行列Fの作成手法については、例えば、除振解析などを行う場合と同様の手法を用いることが可能であり、周知の手法により作成することが可能となる。
【0043】
続いて、この行列Fを用いて、入力と出力との相関関係を示す数式(1)を作成する。
【数1】

【0044】
次に、上述したような行列Fを用いた入力と出力とを示す数式が作成されると、続いて、印刷機13の上面を水平にするべく、上記数式(1)を用いたジャッキボルトJ1乃至Jnの調節処理が実際に行われることとなる。
ジャッキボルトの調節処理は、以下の手順に従って行われる。
【0045】
まず、制御装置15は、上述した図2のステップSA1と同様、各支持点K1乃至Knに対する荷重が均等になるように、各アクチュエータを制御する(図4のステップSB1)。
続いて、このような初期状態において、各評価点P1乃至Pjの位置を検出し、この位置P1乃至Pjを内部の記憶装置に記録する(図4のステップSB2)。ここで検出された各評価点P1乃至Pjの初期位置の一例を図5に実線で示す。図5において、横軸は、水平方向(長手方向)における評価点P1乃至Pjの位置、縦軸は、鉛直方向における評価点P1乃至Pjの位置を表している。なお、図5において、縦軸は、初期状態における評価点P1(ここでは、図1における左端の評価点をP1としている)の位置を基準「ゼロ」としている。
【0046】
続いて、ステップSB2において検出した各評価点P1乃至Pjの初期位置と、目標姿勢における各評価点P1乃至Pjの位置との差分を算出することにより、各評価点P1乃至Pjにおける目標変位量を算出する(図4のステップSB3)。本実施形態における目標姿勢は、各評価点P1乃至Pjが同じ位置、例えば、全ての評価点P1乃至Pjの鉛直方向における位置が「ゼロ」となる姿勢なので、制御装置15は、各評価点P1乃至Pjの初期位置を「ゼロ」から減算することにより目標変位量を算出する。これにより、図5に示した各評価点P1乃至Pjの目標変化量は、図5において、点線で示されるものとなる。
【0047】
続いて、上記目標変位量を図2のステップSA4において算出した行列Fを用いた数式(1)に導入することにより、各ジャッキボルトJ1乃至Jnに与える荷重を算出する(図4のステップSB4:荷重算出過程)。
具体的には、上記数式(1)は、以下の数式(2)のように表すことができる。
【0048】
【数2】

【0049】
そして、上記数式(2)のxに、各評価点P1乃至Pjにおける各目標変位量を代入し、各ジャッキボルトJ1乃至Jnに与えるべき荷重f1〜fnを、例えば、有限要素法などを用いることにより算出する。図6に、このステップSB4にて得られる荷重fの一例を示す。この図において、横軸は、水平方向における位置、縦軸は、ジャッキボルトの軸力、つまり、ジャッキボルトに与える力を示している。なお、本実施形態では、ジャッキボルトJ1乃至Jnにかかる荷重は、ジャッキボルトJ1乃至Jnの各支持点K1乃至Knにかかる荷重と等しいことを前提にしている。
【0050】
続いて、制御装置15は、ステップSB5において算出した各荷重を各ジャッキボルトJ1乃至Jnに加えるべく、アクチュエータを制御する(図4のステップSB5:荷重調節過程)。これにより、各ジャッキボルトJ1乃至Jnは、荷重に応じて伸縮することとなり、所定の位置で固定される。このときの各ジャッキボルトJ1乃至Jnの伸縮量の一例を図7に示す。図7は、図6に示した荷重を各ジャッキボルトJ1乃至Jnに与えたときの各ジャッキボルトJ1乃至Jnの伸縮量を示したものである。この図において、横軸は、水平方向の位置、縦軸は、各ジャッキボルトの伸縮量である。
【0051】
続いて、制御装置15は、荷重を与えた後における、各評価点P1乃至Pjの鉛直方向における位置を検出し、検出した各評価点P1乃至Pjの位置と、目標姿勢における目標位置とに基づいて、各評価点P1乃至Pjの誤差を算出する。そして、この誤差が予め登録されている許容範囲内であるか否かを判定する(図4のステップSB6:判定過程)。この結果、各評価点P1乃至Pjの位置が、許容範囲内であった場合には(図4のステップSB6において「YES」)、被制御対象が略目標姿勢であると判断し、つまり、印刷機13の上面が略水平であると判断し、当該姿勢制御処理を終了する。
【0052】
一方、上記誤差が許容範囲内でなかった場合には(図4のステップSB6において「NO」)、上述したステップSB3に戻り、現在の姿勢に対する目標変位量を算出する。そして、この目標変位量に基づいて、上述のステップSB4乃至ステップSB5の処理が行われる。このようにして、誤差が許容範囲内となるまで、ステップSB3乃至ステップSB6を繰り返し行うことにより、被制御対象の姿勢を目標姿勢に収束させることが可能となる。つまり、印刷機13の上面を水平な状態に収束させることが可能となる。
【0053】
ここで、図8に、上記図4に示した姿勢制御処理を終了したときの各評価点P1乃至Pjの位置の一例を示す。図8において、実線は、処理終了時における誤差、点線は、初期状態に対する処理終了時の各評価点P1乃至Pjの変位量を示している。この図に示すように、姿勢制御処理を終了したときには、全ての評価点P1乃至Pjにおいて、誤差がゼロとなり、印刷機13の上面が水平に保たれていることがわかる。
【0054】
なお、図9に、上述した姿勢制御処理を終了したときの除振台位置を、図10に空気ばねと防振ゴムの反力変動を示す。図9において、横軸は水平方向の位置であり、縦軸は鉛直方向における位置、つまり、除振台の上面の位置を示している。
また、図10において、横軸は、水平方向の位置であり、縦軸は、除振台11へ及ぼされる反力変動である。この図において、斜線でハッチングされている棒グラフは、床支持部材10と除振台11との間に介在する部材に、防振ゴムを採用した場合における除振台11の反力変動を表したものであり、白抜きの棒グラフは、床支持部材10と除振台11との間に介在する部材に、空気ばねを採用した場合における除振台11の反力変動を示したものである。
【0055】
以上説明してきたように、本実施形態に係る姿勢制御方法によれば、各支持点K1乃至Knに対して外力を与え、その外力により生じた結果としての現象、つまり、被制御対象である印刷機13の姿勢の変位量に基づいて、行列Fを作成し、この行列Fを用いて各ジャッキボルトJ1乃至Jnに加える荷重を演算により求めるので、速やかに且つ簡便に被制御対象である印刷機13を所望の姿勢にすることが可能となる。
また、入力と出力との相関関係を表す行列Fを一旦求めてしまえば、その後の姿勢制御においては、この行列Fを再利用することにより、非常に容易に姿勢制御を実施することが可能となる。
【0056】
なお、上述した実施形態においては、被制御対象である印刷機13の長手方向に沿う各点の水平レベルの調節しか行っていないが、印刷機13の長手方向と直交する印刷機13の幅方向に沿う各点の水平レベルについても同様の手法により姿勢制御を実施することにより、印刷機13の上面全面を水平にすることが可能となる。但し、この場合には、幅方向においてもジャッキボルトを備えている必要がある。
【0057】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る姿勢制御方法について説明する。上述した第1の実施形態においては、各支持点に所定の荷重を与え、そのときの各評価点の変位を検出することにより、行列Fを求めていた。つまり、行列Fは、各支持点に与える荷重と、その荷重を与えたときの被制御対象の姿勢の変位量との関係を表す行列であった。
ところで、上述したように、アクチュエータなどを用いる場合には、荷重に基づいて、姿勢制御を自動的に行うことは可能であるが、作業員などが手動でジャッキボルトを操作することにより、姿勢制御を行う場合には、各支持点に作用している荷重を調節するのは難しく、荷重に代わる何らかの情報に基づいてジャッキボルトの操作を行う必要が生ずる。そこで、第2の実施形態に係る姿勢制御方法では、荷重に代わって、鉛直方向における変位量を用いることにより、視認できる形で、姿勢制御を行うことを目的としている。
【0058】
具体的には、荷重を求める行列Fに代わって、支持点の鉛直方向における移動量を求める行列を導出し、この行列を用いて、被制御対象を目標姿勢にするための各支持点の鉛直方向における移動量を算出することにより、姿勢制御を実現する。ここで、本実施形態において使用する行列は、上述した第1の実施形態に示した行列Fの導出過程と同様に、例えば、以下の手法によって得ることができる。
【0059】
まず、図3において、各支持点K1乃至Knを、所定の変化量、鉛直方向に順番に移動させ、そのときの各評価点P1乃至Pjの鉛直方向に対する変位量を求める。
具体的には、全てのジャッキボルトJ1乃至Jnの端部を印刷機13に接続させた状態において、図3に示すように、所定の変位量、移動させる支持点Kiを備えるジャッキボルトJiのみ、その端部を切り離す。これにより、このジャッキボルトJiの支持点Kiによっては、印刷機13が支持されない状態とする。続いて、支持点Kiにおいて、除振台11及び印刷機13に、向きが反対、且つ、同じ大きさの荷重を与えていくことにより、支持点Kiを鉛直方向に所定の変位量分、移動させる。なお、移動させる変位量については、特に制限されない。そして、この状態において、各評価点P1〜Pjの位置を検出し、検出したこの位置と、除振台11及び印刷機13に変位を与える前の位置との差分を算出することにより、各評価点P1乃至Pjの鉛直方向に係る変位量を算出する。このようにして、各評価点P1乃至Pjの変位量が得られると、ジャッキボルトJiの端部を印刷機13と接続するとともに、次のジャッキボルトJi+1の端部を印刷機13から切り離し、この支持点Ki+1について同様の作業を行う。そして、上述の第1の実施形態に係る行列Fの導出手法と同様に、入力を変化量とした行列を導出する。
【0060】
上述したように第2の実施形態に係る姿勢制御方法によれば、印刷機の変形特性を表す行列、換言すると、各支持点の鉛直方向における移動量と、このような移動量が与えられたときの被制御対象の姿勢変化との関係を表した行列を用いて、被制御対象を目標姿勢にするための各支持点の移動量を算出する。これにより、各支持点を任意の変位量分、鉛直方向に移動させたときに、どのように被制御対象の姿勢が変化するのか、或いは、被制御対象を目標姿勢とするには、各支持点を鉛直方向にどの程度、移動させれば良いのかを容易に求めることが可能となり、迅速に、且つ、容易に、被制御対象を目標姿勢にすることができる。
【0061】
また、上述した行列を導出する代わりに、第1の実施形態に係る行列Fを用いて、以下のように、ジャッキボルトを操作するようにしても良い。
例えば、第1の実施形態に係る行列Fを用いて、各支持点に与える荷重を算出し、その後、算出された荷重を移動量に換算する。そして、この換算された移動量に基づいて、各ジャッキボルトの支持点を鉛直方向に移動させる。ここで、荷重から移動量への換算については、例えば、荷重と移動量との相関関係を示すテーブルや、換算式などを予め求めておくことにより可能である。
このように、被制御対象を目標姿勢とするために、各支持点に与える荷重を演算した後、この荷重を変位量に換算し、この変位量に基づいて、各支持点の鉛直方向における位置を移動させることにより、行列Fを用いても、手動によって容易にジャッキボルトの調節を行うことが可能となる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
第1に、上記行列Fの算出手法においては、上述した実施形態に示した手法に限定されない。例えば、被制御対象の設計モデル、例えば、有限要素法モデルを用いて、作成することが可能である。このように、有限要素法モデルを用いることにより、迅速に且つ簡便に行列Fを導出することが可能となる。同様に、第2の実施形態に係る行列も有限要素法モデルなどを用いて導出するようにしても良い。
【0063】
第2に、上述した実施形態では、制御装置15によってアクチュエータを制御することにより、各支持点に与える荷重を自動的に調整していたが、これに代わって、作業員などの人手により、ジャッキボルトを操作して、各支持点に与える荷重を手動で調整するようにしても良い。
【0064】
第3に、本発明の姿勢制御方法及び姿勢制御プログラムは、上述したような印刷装置だけでなく、様々な部材、装置に広く適用することが可能である。更に、水平に設置することに限られず、そのときの状況に応じた所望の姿勢に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷装置の構造モデルを示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る姿勢制御方法を実現させるための手順を示した図である。
【図3】図2のステップSA3において行う処理を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る姿勢制御方法を実現させるための手順を示した図である。
【図5】目標変位量の算出する過程を説明するための図である。
【図6】ジャッキボルトに与える荷重の一例を示した図である。
【図7】ジャッキボルトの伸縮量の一例を示した図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る姿勢制御を終了したときの印刷機の上面の様子を示した図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る姿勢制御を終了したときの除振台の上面の位置を示した図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る姿勢制御を終了したときの反力変動を示した図である。 図である。
【符号の説明】
【0066】
11 除振台
13 印刷機
15 制御装置
J1乃至Jn ジャッキボルト
K1乃至Kn 支持点
P1乃至Pj 評価点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制御対象を下方から支持する複数の支持点にかかる荷重をそれぞれ調節することにより、前記被制御対象を目標姿勢に近づける姿勢制御方法であって、
前記被制御対象の変形特性を表す行列を用いて、前記被制御対象を目標姿勢にするために各前記支持点に与える各荷重を算出する荷重算出過程と、
算出した前記荷重を各前記支持点に与える荷重調節過程と
を具備する姿勢制御方法。
【請求項2】
前記荷重調節過程後における前記被制御対象の姿勢が前記目標姿勢の許容誤差範囲内であるか否かを判定する判定過程を備え、
前記被制御対象の姿勢が前記目標姿勢の許容誤差範囲内であると判定されるまで、前記荷重算出過程及び荷重調節過程を繰り返し行う請求項1に記載の姿勢制御方法。
【請求項3】
前記被制御対象の変形特性を表す行列は、有限要素法による解析により求められた行列である請求項1又は請求項2に記載の姿勢制御方法。
【請求項4】
前記被制御対象の変形対象を表す行列は、
各前記支持点に所定の力を順次与え、そのときの前記被制御対象の姿勢の変位量を検出し、その変位量に基づいて作成される行列である請求項1又は請求項2に記載の姿勢制御方法。
【請求項5】
基礎部材と、前記基礎部材の長手方向に間隔をあけて配置される複数の支持部材と、前記支持部材により支持される被制御対象とを備える構造モデルにおいて、各前記支持部材の支持点にかかる荷重を調節することにより、前記被制御対象を目標姿勢に近づける姿勢制御方法であって、
前記被制御対象の変形特性を表す行列を用いて、前記被制御対象を目標姿勢にするために、各前記支持点に与える各荷重を算出する荷重算出過程と、
算出した前記荷重を各前記支持点に与える荷重調節過程と
を具備する姿勢制御方法。
【請求項6】
除振台と、前記除振台の長手方向に間隔をあけて配置される複数の支持部材と、前記支持部材により支持される印刷機とを備える印刷装置において、各前記支持部材の支持点にかかる荷重を調節することにより、前記印刷機の上面を水平に近づける姿勢制御方法であって、
前記印刷機の変形特性を表す行列を用いて、前記印刷機の上面を水平にするために各前記支持点に与える各荷重を算出する荷重算出過程と、
算出した前記荷重を各前記支持点に与える荷重調節過程と
を具備する姿勢制御方法。
【請求項7】
被制御対象を下方から支持する複数の支持点の鉛直方向における位置をそれぞれ調節することにより、前記被制御対象を目標姿勢に近づけるためのコンピュータ実行可能な姿勢制御プログラムであって、
前記被制御対象の変形特性を表す行列を用いて、前記被制御対象を目標姿勢にするために、各前記支持点に与える各荷重を算出する荷重算出ステップと、
算出した前記荷重を各前記支持点に与えるための制御指令を生成し、出力するステップと
をコンピュータに実行させるための姿勢制御プログラム。
【請求項8】
被制御対象を下方から支持する複数の支持点の鉛直方向における位置を調節することにより、前記被制御対象を目標姿勢に近づける姿勢制御方法であって、
前記被制御対象の変形特性を表す行列を用いて、前記被制御対象を目標姿勢にするための各前記支持点の移動量を算出する移動量算出過程と、
算出した前記移動量に基づいて、各前記支持点を鉛直方向に移動させる位置調節過程と
を具備する姿勢制御方法。
【請求項9】
前記位置調節過程後における前記被制御対象の姿勢が前記目標姿勢の許容誤差範囲内であるか否かを判定する判定過程を備え、
前記被制御対象の姿勢が前記目標姿勢の許容誤差範囲内であると判定されるまで、前記移動量算出過程及び位置調節過程を繰り返し行う請求項8に記載の姿勢制御方法。
【請求項10】
前記被制御対象の変形特性を表す行列は、有限要素法による解析により求められた行列である請求項8又は請求項9に記載の姿勢制御方法。
【請求項11】
前記被制御対象の変形対象を表す行列は、各前記支持点を所定の変位量、鉛直方向に移動させ、そのときの前記被制御対象の姿勢の変位量を検出し、その変位量に基づいて作成された行列である請求項8又は請求項9に記載の姿勢制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−232487(P2006−232487A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50506(P2005−50506)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)