説明

婦人用体重管理装置

【課題】簡単な装置構成により月経周期を取得し情報を提示する。
【解決手段】体重体組成計3は、被測定者の体重を測定するための体重測定部30と、測定された体重と測定日時とが関連付けされた測定データを格納するための記憶部12と、記憶部12の測定データに基づき、被測定者の就寝から起床までのうち就寝側の第1タイミングで測定した就寝側体重値と、起床側の第2タイミングで測定した起床側体重値との差分を所定期間にわたって算出するための算出部と、算出された差分の変化に基づき、被測定者の月経周期を推定する周期推定部と、推定された月経周期に関する情報を出力するための出力部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は婦人用体重管理装置に関し、特に、測定体重に基づく月経周期に関する情報を提示する婦人用体重管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の体重管理システムでは、体重の変化をグラフで表示する機能、日内の体重変動を元に、体重の変化傾向を測る機能が提供されているが、女性の月経周期に起因した変化傾向を捉えることはできない。
【0003】
ここで、体重計に月経周期を入力する方法として、基礎体温の測定に基づき月経周期を取得し、体重計に入力する方法が知られているが、月経周期をあらかじめ取得しておき、体重計に入力する必要があるため手間がかかり、実用性に優れない。
【0004】
入力の手間を省いた方法として、特許文献1(特開2002−102196号公報)による方法が提案されている。この方法では、生体に電気を流し生体インピーダンスを算出し、算出したインピーダンスに基づき体の水分量を推定し、推定した水分量により月経周期を把握するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−102196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置は、体重測定機能とは別個に生体インピーダンス測定機能を備える必要があるため、構成が複雑になり、また装置自体が高価となる。
【0007】
それゆえに本発明の目的は、簡単な装置構成により月経周期を取得し情報を提示する婦人用体重管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、被測定者の体重を測定するための体重測定手段と、測定された体重と測定日時とが関連付けされた測定データを格納するための記憶手段と、記憶手段の測定データに基づき、被測定者の就寝から起床までのうち就寝側の第1タイミングで測定した就寝側体重値と、起床側の第2タイミングで測定した起床側体重値との差分を所定期間にわたって算出するための算出手段と、算出された差分の変化に基づき、被測定者の月経周期を推定する周期推定手段と、推定された月経周期に関する情報を出力するための出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、就寝側体重値と、起床側体重値との差分の変化に基づき、被測定者の月経周期を推定して出力するので、簡単な装置構成により月経周期を取得し情報を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る体重体組成計の外観図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る体重管理システムの構成図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る記憶部の内容例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る機能構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る処理フローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る夜間減少体重変化を模式的に示す図である。
【図7】夜間減少体重と月経周期を関連付けて示す図である。
【図8】(A)と(B)は表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては同一または対応する部分に図中同一の符号を付し、その説明は繰返さない。
【0012】
まず、用語を定義する。本実施の形態では体重測定に関する「朝時間」は、たとえば午前4時〜正午(昼の12時)の時間帯を指し、「晩時間」は、たとえば午後7時〜午前2時の時間帯を指す。「朝体重」は、朝時間に測定された体重を指し、「晩体重」は晩時間に測定された体重を指す。本実施の形態では、日内の起床側のあるタイミングで体重測定がされ、就寝側のあるタイミングで体重測定がされるとする。説明を簡単にするために、就寝するために床に入る直前に体重(晩体重)が測定され、起床の直後に体重(朝体重)が測定されると想定する。なお、「日内」とは、被測定者の起床時間から就寝時間までの一日を指す。
【0013】
「夜間減少体重」とは、就寝時間から次の起床時間までの間における発汗などの代謝や、起床後に排泄によって減少する体重を指す。
【0014】
本実施の形態では、月経開始日(月経の初日)が月経周期の始まり(第1日目)であり、月経開始日から次の月経の直前までを、1つの月経周期としてカウントする。本実施の形態では、月経開始日を推定することによって、月経周期を推定する。
【0015】
本実施の形態では、体重管理装置として、体重だけでなく生体インピーダンスを測定することにより体脂肪率などの体組成情報も取得することができる体重体組成計を例示するが、単に体重のみを測定する機能を有した装置であってよい。
【0016】
本実施の形態では、被測定者は毎日、朝時間と晩時間に体重を測定する。そして、測定データに基づく夜間減少体重の変化の特徴に基づき、月経周期を推定する。つまり、女性は分泌されるホルモンの作用により、月経周期に伴って代謝量、および体内水分量が変動することが知られている。そのため、身体に蓄えられる水分量は月経周期に従って増減する。より具体的には、月経開始日前の略2週間の期間は、代謝量は低くなり、体内水分量が多くなることが知られている。
【0017】
発明者は、月経開始日前の略2週間の期間においては、夜間減少体重は他の期間に比べて少ないはずであるから、夜間減少体重変化の特徴に基づけば、被測定者毎に月経周期を推定することができるとの知見を得た。具体的には、後述の図7に示すように、被測定者の代謝量および体内水分量の変化による夜間減少体重の変化は、月経の周期と関連付けすることができるとの知見を得た。以下の説明では、月経開始日前の略2週間の期間を、“前2週間”と略称する。
【0018】
本実施の形態では、推定される月経周期に関する情報と、当該月経周期に基づく体重管理に関する情報とを出力する。具体的には、代謝量が低い前2週間においては、ダイエット(減量)をしても効果が期待できないので、ダイエットは控えることを促す旨のメッセージを出力し、これ以外の期間では、代謝量は戻るので、ダイエットの効果が期待できる旨のメッセージを出力する。これにより、被測定者毎に月経周期を推定し、推定した月経周期に照らした体重管理のための情報を提示することができる。
【0019】
図1には、婦人用体重管理装置の機能が搭載される体重体組成計3の外観が示されて、図2には体重管理システム1の構成が示される。
【0020】
図2の体重管理システム1は、体重体組成計3と、体重体組成計3と通信するサーバ(サーバコンピュータ)5を備える。図2では、説明を簡単にするために、サーバ5には1台の体重体組成計3が接続されるとしているが、複数台の体重体組成計3が接続されてもよい。図2では、体重体組成計3とサーバ5は無線または有線により通信する。なお、体重体組成計3とサーバ5との間でのデータの授受は通信によらず、記憶媒体を介して授受するようにしてもよい。
【0021】
図1を参照して、体重体組成計3は、被測定者が手で持つ第1の筐体である表示操作部10、被測定者が乗る第2の筐体である体重測定部30とを備える。
【0022】
表示操作部10は、図2に示すように通信部11、記憶部12、計時部13、操作部14、表示部15、定電流回路部16、電源部17、CPU(Central Processing Unit)181を有する制御部18、二重積分AD(Analog/Digital)部19、インピーダンス検知部20、および電極部21を含む。
【0023】
通信部11は、制御部18に接続されており、該制御部18からの制御信号に従ってサーバ5と通信する。なお、通信部11は、サーバ5に限らず、歩数計などの他の生体情報取得装置と通信する、あるいはパーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話機など)と通信するなど、適宜の装置と通信するとしてもよい。
【0024】
記憶部12は、不揮発性のメモリやハードディスクなどの情報を記憶できる装置を含む。記憶部12は、接続された制御部18から制御信号に従って情報の読出しと書き込みがされる。
【0025】
計時部13は、現在日時などの時刻を計時するタイマ・カウンタから構成される装置であり、必要に応じて時刻を制御部18へ出力する。
【0026】
操作部14は、押下などの操作がされる複数のボタン・スイッチなど(図1参照)を含む。被測定者は操作部14を操作することにより、ID、性別、年齢、身長、体重などの被測定者の個人情報・身体情報を入力することができる。入力されたこれら情報は、制御部18へ出力される。
【0027】
また、本実施の形態では、IDの入力とともに、操作部14の所定ボタンが操作されて婦人用体重管理機能が指定された場合にのみ、当該IDの被測定者に対して月経周期を判定するための機能が適用される。
【0028】
表示部15は、液晶画面(図1参照)などの表示装置によって構成され、制御部18から与えられる画像信号に従って文字や図形となどの画像を表示する。
【0029】
定電流回路部16は、制御部18の制御に基づいて、電源部17から供給される高周波(交流)電流を電流印加用の電極部21に一方向に流す。
【0030】
電源部17は、制御部18を含む各部に動作電力を供給する。
制御部18は、CPU181、および図示のないROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を含むマイコン(マイクロコンピュータ)により構成されており、ROM等に記憶されているプログラムおよび各種データに従って各部の制御動作や演算動作を実行する。
【0031】
このプログラムおよびデータには、体重管理のためのプログラムおよびデータが含まれる。
【0032】
二重積分AD部19は、二重積分型のAD変換部である。動作においては、インピーダンス検知部20から出力されるアナログ信号(電圧信号)をデジタル信号に変換して制御部18に出力する。
【0033】
インピーダンス検知部20は、体重測定部30に設けられている電極部36と表示操作部10に設けられている電極部21との電位差に基づいて、被測定者の生体インピーダンスを検出する。
【0034】
電極部21は、被測定者が手で持つ表示操作部10のグリップ部分(図1参照)の表面に設けられる。電極部21は、グリップ部分を握っている被測定者の手のひらへ電源部17から供給される高周波(交流)電流を印加する。
【0035】
体重測定部30は、操作部31、電池32、荷重検知部33、および電極部36を含む。操作部31は、電源のON/OFFを切り替えるために操作される入力スイッチとして機能し、操作部31は操作されると操作に応じた入力信号を制御部18に出力する。
【0036】
電池32は、電源部17を中心に各部へ電力を供給する。
荷重検知部33は、複数のロードセル34を内蔵する。筐体の上面カバーを兼ね備える上面カバー部35(図1参照)の上に乗った被測定者の体重を測定する。測定された体重は、二重積分AD部19に出力される。
【0037】
電極部36は、被測定者が乗る体重測定部30の上面部分(図1参照)の表面に設けられており、被測定者の足裏から流れてくる電流を検出する電流測定用の電極である。電極部36は、被測定者の左足指側、左足踵側、右足指側、右足踵側に接触する4つの電極を含む。
【0038】
荷重検知部33のロードセル34のそれぞれは、体重測定部30の上面部分にかかる荷重を測定可能なように、ここでは、電極部36の各電極の下部に配置される。したがって、上面部分に被測定者が乗った場合に、生体インピーダンスと体重の両方を測定することができる。
【0039】
体重測定において、各ロードセル34には、被測定者の体重による荷重がかかる。各ロードセル34は、かけられる荷重に応じて変形する金属部材からなる歪体と、歪体に張られた歪ゲージとからなる。歪体が歪むと、歪ゲージが伸縮して歪ゲージの伸縮に応じて抵抗値が変化し、その抵抗変化は荷重信号出力として導出される。したがって、被測定者が上面部分に乗って、両足が各ロードセル34にかかった場合、ロードセル34にかけられる被測定者の体重により歪体が歪むと、上述の荷重信号出力の変化として体重が測定される。
【0040】
なお、荷重を検出するための荷重センサとして、本実施の形態では、ロードセル34を利用しているが、上面部へ加えられた力の量が検出できるものであれば、たとえば、ばね、ピエゾフィルムを利用したセンサ、圧縮を検出する素子、変位センサなどであってもよい。
【0041】
サーバ5は、通信部51、CPU521、ROM、RAMを有するコンピュータからなる制御部52、操作部53、表示部54、および記憶部55を含む。
【0042】
通信部51は、制御部52の制御に従って体重体組成計3とデータを送受信する。制御部52のCPU521は、ROMなどに記憶されているプログラムおよびデータに従って各部の動作を制御するとともに、各種の演算を実行する。
【0043】
操作部53は、キーボードやマウスなどを含む。オペレータにより操作されることにより入力された信号は、制御部52に出力される。
【0044】
表示部54は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどに相当する。表示部54は、制御部52から与えられる制御信号に従って絵・文字などの画像を表示する。
【0045】
記憶部55は、ハードディスクなどの固定の記憶装置、またはフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのCPU521のコンピュータが読取り可能な記録媒体に相当する。
【0046】
記憶部55は、体重体組成計3で測定したデータ(体組成情報、体重データ、測定日時データなど)、および被測定者の氏名(ID)や住所といった個人情報など、被測定者に関する種々のデータが記憶される。
【0047】
本実施の形態では、被測定者の体重測定時に生体インピーダンスを測定することができる。これにより、体重とともに、生体インピーダンスに基づく生体情報(体脂肪率など)を算出して出力することができる。本実施の形態では、説明を簡単にするために、生体インピーダンスに基づく生体情報の算出および出力に関する処理の説明は略す。
【0048】
また、本実施の形態では、操作部14から入力されるIDに基づき被測定者毎に測定データを区別して収集・処理することにより、体重体組成計3を複数の被測定者により共用することができる。ここでは、説明を簡単にするために、体重体組成計3は、1人の女性被測定者により専用されていると想定する。
【0049】
また、本実施の形態では、操作部14の所定ボタンが操作されない場合には、通常の測定が行われる。すなわち月経周期に基づく体重管理情報の提示は省略されて、例えば測定体重のみが表示される測定が行なわれる。
【0050】
図3を参照して、記憶部12は、体重測定がされる毎に、測定データを記憶するための領域E1、変化量Vi(i=1、2、3、…、n)を格納するための領域E2、過去3日分のそれぞれについての差分DF1、DF2およびDF3を格納するための領域E3を有する。記憶部12は、閾値THおよび月経の周期日SDを格納する。ここでは、周期日SDは、月経開始日(開始予定日)を指す。差分DFj(j=1、2、3)については後述する。
【0051】
領域E1に格納される各測定データは、測定された体重のデータD1、計時部13の計時データに基づく測定日時のデータD2および体重測定が“朝時間”、“晩時間”およびその他の時間のいずれで実施されたか区別して示すためのデータD3を含む。
【0052】
領域E2の変化量Viは、夜間減少体重と、計時部13が出力する計時データに基づく日時データと、当該夜間減少体重に対応したフラグFとを含む。フラグFは、対応の夜間減少体重が前2週間において算出された場合には、“1”に設定され、それ以外では“0”に設定される。
【0053】
閾値THは、前2週間に該当するか否かを判定するために参照される閾値であり、予め実験などにより取得されて工場出荷時に記憶部12に格納される。周期日SDは、推定される月経開始日を指す。
【0054】
図4には、CPU181の機能構成が示される。これらの各機能は、プログラムにより、またはプログラムと回路の組合せにより実現される。プログラムは、予め記憶部12の所定領域に格納されており、CPU181がこれらプログラムの命令コードを記憶部12から読出し実行することにより、各部の機能が実現される。
【0055】
CPU181は、月経の周期(より特定的には月経開始日および前2週間)を推定するための周期取得部182、各種の演算処理を行なうための演算部183、測定日時が周期日SD以前の日であるか、または周期日SDよりも後の日であるかを判定するための周期判定部184、および表示部15に情報を出力するための出力処理部185を含む。
【0056】
周期取得部182は、被測定者の体重を算出するための体重算出部186、差分DFjを算出するための差分算出部187、および変化量Viを算出するための変化量算出部188を含む。
【0057】
差分算出部187は、晩体重の測定時に、過去3ヶ月分の前2週間に該当する夜間減少体重の平均値と、今回の体重測定によって得られた夜間減少体重との差分を算出する。算出される差分は、計時部13が出力する計時データに基づく日時データとが関連付けされて、差分DFjとして領域E3に格納される。
【0058】
領域E3には、最大3日分の差分DFj、すなわち差分DF1〜DF3が格納可能である。したがって、差分が算出される毎に、領域E3の3個の差分DF1〜DF3のうち、関連付けされている日時データが最も古い(最も過去の日時を指す)差分DFjが、今回算出された差分DFjにより上書きされて更新される。
【0059】
図5を参照して、本実施の形態に係る体重測定時の処理について説明する。この処理は、操作部14を介して電源部17のON操作と所定ボタン操作がされると開始される。処理が終了すると、CPU181により電源はOFFされる。
【0060】
まず、被測定者(女性)が体重測定部30上に乗ると、ロードセル34の出力に基づき体重算出部186により体重が算出される(ステップS3)。算出された体重のデータD1と、計時部13の計時データに基づく測定日時のデータD2と、測定時間が朝時間および晩時間のいずれに該当するかのデータD3とが関連付けられた測定データが、記憶部12の領域E1に格納される(ステップS5)。ここで、朝および晩の別を示すデータD3は、測定日時のデータD2と、朝時間(たとえば午前4時〜正午(昼の12時)の時間帯)および晩時間(たとえば午後7時〜午前2時の時間帯)との比較結果に基づき決定される(ステップS7)。
【0061】
なお、データD3は、被測定者が操作部14を操作することにより入力する、朝時間および晩時間を区別するデータに基づき決定するとしてもよい。
【0062】
続いて、周期取得部182は、記憶部12の周期日SDが格納されているか否かを判定する(ステップS7)。ここで、工場出荷時など未だ周期日SDが推定されていない状態においては、記憶部12の周期日SDには空データ“NULL”が設定されている。したがって、周期日SDが“NULL”である場合には、周期日SDがないと判定される。周期日SDがないと判定されると(ステップS7でNO)、出力処理部185は、ステップS3で測定された体重を表示部15に表示して(ステップS41)、その後、処理は終了する。
【0063】
一方、周期日SDが“NULL”ではないと判定されると(ステップS5でYES)、周期判定部184は、計時部13の計時データと晩時間(たとえば午後7時〜午前2時の時間帯)とを比較し、比較結果に基づき、測定時間が“晩時間”に該当するか、その他の時間に該当するかを判定する(ステップS9)。この判定は、ステップS5で記憶部12に格納されたデータD3に基づきなされてもよい。
【0064】
測定時間が“晩時間”に該当すると判定されると(ステップS9で“晩”)、周期判定部184は、計時部13の計時データが指す日時が、記憶部12の周期日SDが指す日以前を指すか否かを判定する(ステップS11)。以前の日時を指すと判定されると(ステップS11でYES)、出力処理部185により、記憶部12から読出された周期日SDと、ステップS3で測定された体重の情報とが表示部15に表示される(ステップS13)。その後処理は終了する。
【0065】
ステップS13における表示の一例が、図8の(A)に示される。図8の(A)では、測定体重とともに被測定者の月経周期に関する情報と、当該月経周期に基づく体重管理に関する情報(“2週間前の期間です。ダイエットの効果は期待できないので控えましょう”)が表示されている。この表示では、周期日SDの日時から計時部13の計時データが指す日時を差引くことにより、月経開始日までの日数(たとえば、10日)を、月経周期に関する情報として提示している。提示する月経周期に関する情報は、これに限定されない。たとえば、月経開始日までの日数に代替して周期日SDを表示してもよく、または月経開始日までの日数と周期日SDとを表示してもよい。
【0066】
周期日SDより後の日時を指すと判定されると(ステップS11でNO)、出力処理部185により、ステップS3で測定された体重の情報が表示部15に表示される(ステップS15)。その後処理は終了する。
【0067】
ステップS15における表示の一例が、図8の(B)に示される。図8の(B)では、測定体重とともに当該月経周期に基づく体重管理に関する情報(“次回周期日まで2週間以上あります。ダイエットの効果が期待できます”)が表示される。
【0068】
ステップS9において、測定時間が“朝時間”に該当すると判定されると(ステップS9で“朝”)、変化量算出部188は、領域E1から直前の“晩時間”の測定データの体重、すなわち前日の晩体重のデータD1を読出して取得する(ステップS17)。
【0069】
続いて、変化量算出部188は、夜間減少体重を取得し、記憶部12の領域E2に、変化量Viとして格納する(ステップS18)。すなわち、変化量算出部188は、ステップS17で取得された晩体重から、ステップS3で取得された朝体重を減算することにより夜間減少体重を算出し、算出した夜間減少体重と計時部13が出力する計時データに基づく日時データを関連付けた変化量Viとして、領域E2に格納する。このとき変化量ViのフラグFは“0”にセットされる。
【0070】
次に、周期判定部184は、計時部13の出力する計時データが示す日時と、記憶部12の周期日SDが指す日時とを比較し、比較結果に基づき現在の日時が、周期日SDが指す日よりも後を指すか否か、すなわち過ぎているか否かを判定する(ステップS19)。周期日SDを過ぎていない、すなわち次の月経開始予定日以前の日であると判定されると(ステップS19でNO)、変化量算出部188は、ステップS18で格納した変化量ViのフラグFを“1”に更新する(ステップS20)。その後、出力処理部185により、図8の(B)の表示がされて(ステップS21)、処理は終了する。
【0071】
このように、後述のステップS37において、前2週間の開始が検出されることにより周期日SDが更新されると、その後、当該周期日SDが過ぎるまでの期間(すなわち、前2週間)において取得される変化量ViのフラグFは“1”にセットされる。これにより、領域E2の変化量Viのうちから、前2週間に該当する期間で取得された変化量ViをフラグFの値に基づき識別することができる。
【0072】
一方、今回の測定日時が、周期日SDが指す日時よりも後を指すと判定されると(ステップS19でYES)、変化量算出部188は、変化量平均を取得する(ステップS25)。具体的には、領域E2に格納されている過去3ヶ月間の変化量ViのうちフラグFが“1”である変化量Viの夜間減少体重のすべてを加算し、その加算結果に基づいた平均を算出する。
【0073】
図6には、変化量Viの平均の算出手順が模式的に示されている。図示されるように、晩体重から朝体重を差引いた夜間減少体重(ただし、対応のフラグFが“1”)を一定期間分(たとえば、過去3ヶ月間)加算し、その平均値を算出する。
【0074】
ここでは、領域E2には、十分な件数の変化量Viが、たとえば過去3ヶ月分の変化量Viが既に格納されているものとするが、変化量Viの件数は過去3ヶ月分に限定されるものではなく、月経周期を推定が可能な件数であればよい。次の月経開始日前の略2週間を推定するために、この所定期間は、好ましくは、少なくとも前の月経開始日前の略2週間を含む期間である。
【0075】
なお、月経周期を推定可能な十分な件数の変化量Viが未だ格納されていない場合には、所定値を変化量平均とする。この所定値は、一般的な複数の女性から取得された3ヶ月間内における前2週間分の夜間減少体重の平均値である。この所定値は、記憶部12に予め格納されている。
【0076】
続いて、差分算出部187は、ステップS25で取得された変化量の平均と、ステップS18で取得された夜間減少体重との差分を取得する。そして、取得した差分と計時部13が出力する計時データに基づく日時を関連付けた差分DFjを領域E3に格納する(ステップS27)。
【0077】
周期取得部182は、領域E2に、3日分の差分DF1〜DF3が格納されているか否かを判定する(ステップS29)。3日分の差分が格納されていないと判定すると(ステップS29で“なし”)、ステップS31で、メッセージと、ステップS3で測定された体重の情報が表示される(図8の(B)参照)。その後、処理を終了する。
【0078】
一方、ステップS29において3日分の差分DF1〜DF3が格納されていると判定されると(ステップS29で“有り”)、周期取得部182は、差分DF1〜DF3と、記憶部12の閾値THとを比較する。比較結果に基づき、差分DF1〜DF3それぞれについて(差分≧TH)の条件式が成立するか否かを判定する(ステップS33)。差分DF1〜DF3のいずれかについて当該条件式が成立しないと判定すると(ステップS33でNO)、ステップS31の表示処理が行なわれる。ステップS31では、図8の(B)の情報が表示される。
【0079】
差分DF1〜DF3の全てについて、上述の条件式が成立すると判定されると(ステップS33でYES)、周期取得部182は、周期日SDを算出する(ステップS35)。具体的には、差分DF1〜DF3から最も古い(過去の)日時を特定し、特定した日時から2週間後の日を算出し、算出した日を次回の月経開始日である周期日SDとして、記憶部12に格納する(ステップS37)。
【0080】
その後、出力処理部185により、記憶部12の周期日SDと、ステップS3で測定された体重とを用いて、図8の(A)の画面が表示される(ステップS39)。その後、処理を終了する。
【0081】
ここでは、前2週間に入るか否かを判定するために、ステップS33で3日分の差分DF1〜DF3と閾値THを比較しているが、比較される差分DFjの数は、3日分に限定されない。ただし、前2週間に入るか否かの判定を正確に行なうためには、連続した複数日分の差分DFjを用いるのが望ましい。
【0082】
このように、変化量Viが示す夜間減少体重の変化に基づき、周期日SDと、前2週間とを推定し、推定したこれら月経周期の情報を報知することができる。また、推定した月経周期に基づきダイエットの効果が期待できる・できないなど減量に向きまたは不向きの期間である旨の体重管理に関する情報を報知することができる。
【0083】
本実施の形態における上述した体重管理の方法は、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、制御部18または制御部52のコンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(compact disk read only memory)、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0084】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされてCPU181(または521)により読出されて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0085】
(変形例)
記憶部12に格納された情報をサーバ5に送信し、サーバ5で、受信したデータを処理することにより、図8の情報を表示部54により表示するようにしてもよい。
【0086】
図8では、月経周期に関する情報として、推定された周期日SDまでの猶予期間を表示したが、併せて推定された周期日SDを表示してもよい。また、表示部15には、図7に示すように、測定日、月経周期/代謝量の変化、および測定した夜間減少体重の変化を関連付けて表示してもよい。
【0087】
本実施の形態では、体重測定がされると図8に示すように月経周期に関する情報を提示したが、体重測定が行なわれなくとも、操作部14の操作に応じて、記憶部12の周期日SDに基づく月経周期に関する情報を表示するようにしてもよい。
【0088】
また、本実施の形態では、ステップS37で周期日SDが推定される毎に、記憶部12の周期日SDを更新するようにしたが、新たな周期日SDが推定される毎に、記憶部12に追加格納するようにしてもよい。この場合には、各月経周期の周期日SDと、領域E2の変化量Viとを測定日時に基づき関連付けて表示することにより、図7のような履歴表示が可能となる。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
1 体重管理システム、3 体重体組成計、5 サーバ、10 表示操作部、11,51 通信部、12,55 記憶部、13 計時部、14,31,53 操作部、15,54 表示部、30 体重測定部、182 周期取得部、184 周期判定部、185 出力処理部、186 体重算出部、187 差分算出部、188 変化量算出部、SD 周期日、TH 閾値、Vi 変化量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の体重を測定するための体重測定手段と、
測定された体重と測定日時とが関連付けされた測定データを格納するための記憶手段と、
前記記憶手段の前記測定データに基づき、被測定者の就寝から起床までのうち就寝側の第1タイミングで測定した就寝側体重値と、起床側の第2タイミングで測定した起床側体重値との差分を所定期間にわたって算出するための算出手段と、
算出された差分の変化に基づき、前記被測定者の月経周期を推定する周期推定手段と、
推定された前記月経周期に関する情報を出力するための出力手段と、を備える、婦人用体重管理装置。
【請求項2】
前記周期推定手段は、
前記体重測定手段により前記第2タイミングで体重が測定されるとき、前記第1タイミングで測定した就寝側体重値と、当該第2タイミングで測定した起床側体重値とについての差分を算出するための差分算出手段を、含み、
前記算出手段により算出された前記所定期間の差分の平均と、前記差分算出手段により算出された前記差分との差に基づき、前記被測定者の月経周期を推定する、請求項1に記載の婦人用体重管理装置。
【請求項3】
前記出力手段は、
前記月経周期に関する情報と、被測定者の体重管理に関する情報を出力する、請求項1または2に記載の婦人用体重管理装置。
【請求項4】
前記周期推定手段は、
前記体重測定手段により前記第2タイミングで体重が測定される時が、次の月経開始日前の略2週間に該当するか否かを推定する、請求項1から3のいずれかに記載の婦人用体重管理装置。
【請求項5】
前記体重管理に関する情報は、
前記月経周期に関する情報に基づいた情報であって、減量に向きまたは不向きの期間を示す情報を含む、請求項4に記載の婦人用体重管理装置。
【請求項6】
前記所定期間は、以前の月経開始日前の略2週間を含む、請求項4または5に記載の婦人用体重管理装置。
【請求項7】
コンピュータを用いて被測定者の体重を管理する婦人用体重管理方法であって、
プロセッサが、測定された被測定者の体重測定値と、測定日時とが関連付けされた測定データを取得するステップと、
プロセッサが、前記測定データをメモリに格納するステップと、
プロセッサが、前記メモリの前記測定データに基づき、被測定者の就寝から起床までのうち就寝側の第1タイミングで測定した就寝側体重値と、起床側の第2タイミングで測定した起床側体重値との差分を所定期間にわたって算出するステップと、
プロセッサが、算出された差分の変化に基づき、前記被測定者の月経周期を推定するステップと、
プロセッサが、推定された前記月経周期に関する情報を出力するステップと、を備える、婦人用体重管理方法。
【請求項8】
コンピュータに婦人用体重管理方法を実行させるためのプログラムであって、
前記婦人用体重管理方法は、
プロセッサが、測定された被測定者の体重測定値と、測定日時とが関連付けされた測定データを取得するステップと、
プロセッサが、前記測定データをメモリに格納するステップと、
プロセッサが、前記メモリの前記測定データに基づき、被測定者の就寝から起床までのうち就寝側の第1タイミングで測定した就寝側体重値と、起床側の第2タイミングで測定した起床側体重値との差分を所定期間にわたって算出するステップと、
プロセッサが、算出された差分の変化に基づき、前記被測定者の月経周期を推定するステップと、
プロセッサが、推定された前記月経周期に関する情報を出力するステップと、を備える、コンピュータに婦人用体重管理方法を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−55558(P2012−55558A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203063(P2010−203063)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)