説明

媒体を移送するための管導管

【解決手段】 媒体を移送するための管導管は、銅合金から成る芯管体2、および、官能基を有するポリオレフィンのグループから成る合成物質から構成される被覆体5から成っている。この被覆体5の壁6の厚さD1と、この芯管体2の壁4の厚さDとの比は、2:1から14:1までであり、且つ、この芯管体2の壁4の厚さDのこの芯管体の内径IDに対する比率が0.01から0.05までである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念内における特徴による、媒体を移送するための管導管に関する。
【背景技術】
【0002】
このような管導管は、ヨーロッパ特許第762 041号明細書(特許文献1)によって、従来技術に属している。この金属的な芯管体は、この場合に銅から成っている。被覆体は、ポリエチレンのような熱可塑性の合成物質から形成されている。
この芯管体の壁厚は、10mmから22mmに至るまでの範囲内にある外径の場合、0.5mmから1mmまでの値である。この被覆体の壁厚は、0.3mmと1.5mmとの間である。
【0003】
この公知の管導管は、特に、床暖房システムのために使用される。
【0004】
公知の管導管が、実際に採用されてきたにもかかわらず、この管導管が横に折り曲がること無しに所望の半径でもって湾曲され得るために、この管導管には、芯管体が比較的に大きな壁厚を有しているべきであるという特性がある。許容される湾曲半径は、基本的に、この芯管体の壁厚のこの芯管体の外径に対する比率に依存している。この芯管体の壁厚は、その場合に、例えば、床暖房システムの場合に、高級な銅の大きな割合を結果として生み出し、このことによって、材料コストだけでなく、取り扱いされるべき、特にコイルとして準備される管導管の重量も著しく増大される。このようなコイルのハンドリングは困難であり、且つ、この管導管の湾曲が、それに加えて高い湾曲力を必要とする。
【0005】
公知の管導管の更に別の特性として、熱可塑性の被覆体が、芯管体をただ包囲しているだけであり、且つこの芯管体と付着した状態で結合されていないことはコメントされるべきである。2つの管導管の端部が結合されねばならない場合、ここでこの被覆体を除去することが必要である。特に、地面敷設された(erdverlegten)管導管の場合、その際にそれに加えて、この結合領域内においてこの芯管体と被覆体との間の湿気が、到達可能であり、且つこのことによって腐食を引き起こす。
【特許文献1】ヨーロッパ特許第762 041号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、この公知技術を出発点として、本発明の根底をなす課題は、その管導管の場合に、銅の使用が明確に低減され、且つ取扱い可能性がこの管導管の敷設の際に容易にされ得る、媒体を移送するための管導管を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴部において与えられた特徴でもって解決される。
【発明の効果】
【0008】
重要な構造的な特徴は、ここで、被覆体の形成のために、合目的に、官能基(funktionalen Gruppen)を有するポリオレフィンのグループから成る合成物質が使用されることにある。ポリオレフィンのような非極性の(unpolare)材料は、例えば金属のような他の材料と如何なる粘着性の結合も起こさない。高められた温度において、極性の(polarer)表面と反応し且つ高い化学的な結合力を形成する、適当な官能基の組み込みによって、この被覆体が、芯管体の表面との粘着性の結合を起こすことは達成される。この芯管体とのこの被覆体の力一体的な結合によって、管導管は、外側の機械的な作用に対する大きな抵抗力を有して、および、特に良好な湾曲可能性を有して形成される。それに加えて、このことによって、良好な熱伝達、並びに高い耐腐食性が保証される。
【0009】
被覆体および芯管体の合目的な壁厚寸法設定によって、および、この芯管体の壁の厚さのこの芯管体の内径に対する比率の調節によって、良好な湾曲特性が得られる。何故ならば、使用される材料の可塑的な挙動と弾性的な特性が、ある所定の釣合い状態にされるからである。0.15mmと0.5mmとの間の、この芯管体の壁の極めて僅かな厚さは、全重量明確な減少を誘起し、このことによって、大きなコイル長さが取扱い可能である。比較的に大きなコイル長さは、例えば床暖房システムを敷設する際に、比較的に僅かな結合位置、および従って同様に比較的に僅かな残余長さを意味する。管導管は、問題のない、しかも付加的な補助手段無しに、手動で、1つのコイルから展開される。この湾曲能力は、ただ僅かなだけの復帰力でもって優れている。
【0010】
壁の薄い管導管との被覆体の粘着性の結合は、更に、この管導管が、簡単な方法で、切断ペンチ(Trennzange)、または切断鋏(Trennschere)でもって、非切削状態で分割することを可能にする。断面積の変化を伴う圧潰は確実に阻止される。
【0011】
有利には、10mmと22mmとの間の外径、および、0.15mmと0.5mmとの間の壁厚を有する芯管体が使用される。被覆体は、この場合に、1.0mmと2.5mmとの間の壁厚を有している。
【0012】
要するに、本発明による管導管がリサイクル可能であることは更に引用されるべきである。何故ならば、如何なる架橋したポリオレフィンも使用されないからである。
【0013】
本発明による管導管は、飲料水管体、床用管体、または暖房用管体として、屋内配管の際に使用される。同様に給水設備のための使用も可能である。更に、この管導管は、熱交換器、蒸発器、および液化器において使用され得る。更に、この管導管を、ガス、水、油、または冷却剤の移送のため使用することは可能である。
【0014】
本発明の特に有利な更なる構成は、請求項2の特徴にある。この特徴に従って、被覆体の壁の厚さと芯管体の壁の厚さとの比は、3:1から7:1までである。
【0015】
請求項3に従い、芯管体が銅、または銅合金から成る場合、銅およびポリオレフィンの材料ペアリングによって、僅かな熱伝達抵抗が与えられ、従って、管導管の使用は、熱伝達の目的のために極めて効果的である。この芯管体は、有利には、シームレスに引抜き加工されている。
【0016】
更なる構成は、請求項4の特徴に記載されている。この請求項4に従って、銅、または銅合金から成る芯管体は、この芯管体の外側の表面上で錫めっきされている。これと共に、強固に且つ継続的に付着する、被覆体と芯管体との間の粘着のために必要な、特別に良好な前提条件は提供される。
【0017】
表面粘着は、芯管体の外側の表面が酸洗および引き続いての不動態化によって前処理される(請求項5)ことによっても改善される。
【0018】
この関連において、請求項6に応じて、有利には、ベンゾトリアゾールをベースとする反応剤が使用される。
【0019】
請求項7の特徴に従い、しかしながら同様に、芯管体が特殊鋼から成ることも可能である。
【0020】
請求項8に記載されているように、同様に別の実施例も可能であり、この実施例において、芯管体はこの芯管体の内側の表面上で錫メッキされている。この内側の表面の上で錫メッキされた管体は、請求項10により同様に、長手方向溶接されている。
【0021】
請求項9に従い、同様に内側錫メッキされていない芯管体実施形が、長手方向溶接されて構成されていることも可能である。
【0022】
次に、図に示された実施例に基づいて、本発明を詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
管導管1の縦断面図が図示されており、この管導管は、床暖房の配管のために使用される。
【0024】
この管導管1は、銅合金から成る芯管体2を備えている。この芯管体2の外側の表面3は錫めっきされている。
【0025】
芯管体2の壁4の厚さDは、0.3mmである。この芯管体の外径ADは、12mmに達し、従って、内径IDは11.4mmの値である。
【0026】
芯管体2の上に、被覆体5が載置されており、この被覆体は、官能基を有するポリオレフィンのグループから成る合成物質から形成されている。このことによって、この被覆体5は、芯管体2の外側の表面3と、粘着性の結合をする。この被覆体5の壁6の厚さD1は、2mmである。
【0027】
これら寸法に基づいて、被覆体5の壁6の厚さD1と芯管体2の壁4の厚さDとの比は、6.7:1であり、これに対して、この芯管体2の壁4の厚さDのこの芯管体の内径IDに対する比率は0.03である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態による管導管の図である。
【符号の説明】
【0029】
1 管導管
2 参照符号1の管導管の芯管体
3 参照符号2の芯管体の表面
4 参照符号2の芯管体の壁
5 被覆体
6 参照符号5の被覆体の壁
D 参照符号4の壁の厚さ
AD 参照符号2の芯管体の外径
ID 参照符号2の芯管体の内径
D1 参照符号6の壁の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属的な芯管体(2)、および熱可塑性の合成物質から成る被覆体(5)から構成されている、媒体を移送するための管導管において、
被覆体(5)が、官能基を有するポリオレフィンのグループから成る合成物質から形成されており、その際、
この被覆体(5)の壁(6)の厚さ(D1)と、この芯管体(2)の壁(4)の厚さ(D)との比が、2:1から14:1までであり、且つ、この芯管体(2)の壁(4)の厚さ(D)のこの芯管体の内径(ID)に対する比率が0.01から0.05までであることを特徴とする管導管。
【請求項2】
被覆体(5)の壁(6)の厚さ(D1)と芯管体(2)の壁(4)の厚さ(D)との比は、3:1から7:1までであることを特徴とする請求項1に記載の管導管。
【請求項3】
芯管体(2)は、銅、または銅合金から成ることを特徴とする請求項1または2に記載の管導管。
【請求項4】
銅、または銅合金から成る芯管体(2)は、この芯管体の外側の表面(3)上で錫めっきされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の管導管。
【請求項5】
金属から成る芯管体(2)は、この芯管体の外側の表面(3)の上で、金属表面に対する連結を改善する反応剤でもって前処理されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の管導管。
【請求項6】
反応剤のベースは、ベンゾトリアゾールであることを特徴とする請求項5に記載の管導管。
【請求項7】
芯管体(2)は、特殊鋼から成ることを特徴とする請求項1または2に記載の管導管。
【請求項8】
芯管体(2)は、この芯管体の内側の表面上で錫メッキされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の管導管。
【請求項9】
芯管体(2)は、長手方向溶接されていることことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の管導管。
【請求項10】
芯管体(2)は、長手方向溶接されていることを特徴とする請求項8に記載の管導管。

【図1】
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【公表番号】特表2008−504191(P2008−504191A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518445(P2007−518445)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001152
【国際公開番号】WO2006/005297
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(391011951)ケイエムイー・ジャーマニー・アクチエンゲゼルシャフト (9)