説明

媒体処理装置及びその制御方法

【課題】媒体への処理を効率良く行うことが可能な媒体処理装置及びその制御方法を提供
する。
【解決手段】パブリッシャー1は、原版の媒体Mからのデータの読み取り及び処理対象媒
体に対するデータの書き込みを行う媒体ドライブ41と、原版の媒体の画像の読み取りを
行うスキャナー42と、処理対象の媒体Mに対して画像を印刷するレーベルプリンター1
1と、原版の媒体M及び処理対象の媒体Mを搬送する媒体搬送機構31とを備え、上方か
ら順に、媒体ドライブ41、スキャナー42及びレーベルプリンター11が配置されてい
る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDあるいはDVDなどの媒体に対して各種処理を行う媒体処理装置及びそ
の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数枚のブランクCDやDVDなどの媒体にデータの書き込みを行うディスクダ
ビング装置、データの書き込みとレーベル印刷を行って媒体を制作して発行可能なCD/
DVDパブリッシャーなどの媒体処理装置が用いられつつある。この種の媒体処理装置と
しては、媒体へデータを書き込むドライブ、媒体のレーベル面に印刷を施すプリンター及
びこれらドライブやプリンターに対して媒体を保持して搬送する媒体搬送機構を備えたも
のが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−202379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記媒体処理装置では、レーベル面に印刷を行うための印刷データを要する
ため、従来では、予め作成した画像や別個のスキャナーなどの画像読み取り装置で読み取
った画像を印刷データとして送信しなければならず、作業が煩雑であった。
したがって、より効率良く媒体へのデータの書き込み及び印刷を行うことが可能な媒体
処理装置が要求されている。
【0005】
本発明の目的は、媒体への処理を効率良く行うことが可能な媒体処理装置及びその制御
方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することのできる本発明の媒体処理装置は、原版媒体からのデータの読
み取り及び処理対象媒体に対するデータの書き込みを行うデータ処理部と、
原版媒体の画像の読み取りを行う画像読み取り部と、
処理対象媒体に対して画像を印刷する印刷処理部と、
原版媒体及び処理対象媒体を搬送する搬送部とを備え、
上方から順に、前記データ処理部、前記画像読み取り部及び前記印刷処理部が配置され
ていることを特徴とする。
【0007】
この構成の媒体処理装置によれば、画像読み取り部を備えているので、予め作成した画
像や別個のスキャナーなどで読み取った画像を印刷データとして送信するような煩雑な作
業をなくすことができ、媒体へのデータの書き込み及び印刷を効率良く行うことができる

また、上方から順に、データ処理部、画像読み取り部及び印刷処理部が配置されている
ので、媒体に対する処理を、データ処理部、画像読み取り部及び印刷処理部の順に行うこ
とで、搬送部による媒体の搬送経路の長さを最短にすることができ、合計の処理時間を短
縮させることができる。
【0008】
本発明の媒体処理装置において、前記データ処理部による原版媒体からのデータの読み
取り後に、前記画像読み取り部による原版媒体からの画像の読み取り及び前記データ処理
部による処理対象媒体に対する原版媒体から読み取ったデータの書き込みを並行処理させ
る制御部を備えることが好ましい。
この構成の媒体処理装置によれば、制御部が、データ処理部による原版媒体からのデー
タの読み取り後に、画像読み取り部による原版媒体からの画像の読み取り及びデータ処理
部による処理対象媒体に対する原版媒体から読み取ったデータの書き込みを並行処理させ
る。原版媒体からのデータの読み取り後に、比較的時間を要するデータの書き込みを並行
処理して行なうため、原版媒体のデータ及び画像を処理対象媒体に複製する処理にかかる
合計時間を極力短くすることができる。
また、印刷済みの媒体にデータを書き込む順序であると、データ処理部でのデータ書き
込みが失敗した場合に、その前に行った印刷に要した時間が無駄になる。上記構成では、
処理対象媒体に対して印刷前にデータの書き込みを行うので、データ書き込みが失敗した
としても、印刷に要した時間の無駄をなくすことができる。
【0009】
本発明の媒体処理装置において、前記制御部は、前記並行処理後に、前記印刷処理部に
よるデータの書き込み済みの処理対象媒体に対する原版媒体から読み取った画像の印刷及
び前記データ処理部による次の処理対象媒体に対する原版媒体から読み取ったデータの書
き込みを並行処理させることが好ましい。
この構成の媒体処理装置によれば、原版媒体のデータ及び画像を処理対象媒体に複製す
る処理にかかる合計時間をさらに短くすることができる。
【0010】
本発明の媒体処理装置の制御方法は、原版媒体からのデータの読み取り及び処理対象媒
体に対するデータの書き込みを行うデータ処理部と、原版媒体の画像の読み取りを行う画
像読み取り部と、処理対象媒体に対して画像を印刷する印刷処理部と、原版媒体及び処理
対象媒体を搬送する搬送部とを備えた媒体処理装置の制御方法であって、
前記データ処理部による原版媒体からのデータの読み取り後に、前記画像読み取り部に
よる原版媒体からの画像の読み取り及び前記データ処理部による処理対象媒体に対する原
版媒体から読み取ったデータの書き込みを並行処理させることを特徴とする。
【0011】
この媒体処理装置の制御方法によれば、原版媒体からのデータの読み取り後に、比較的
時間を要するデータの書き込みを並行処理して行なうため、原版媒体のデータ及び画像を
処理対象媒体に複製する処理にかかる合計時間を極力短くすることができる。
また、印刷済みの媒体にデータを書き込む順序であると、データ処理部でのデータ書き
込みが失敗した場合に、その前に行った印刷に要した時間が無駄になる。上記構成では、
処理対象媒体に対して印刷前にデータの書き込みを行うので、データ書き込みが失敗した
としても、印刷に要した時間の無駄をなくすことができる。
【0012】
本発明の媒体処理装置の制御方法において、前記並行処理後に、前記印刷処理部による
データの書き込み済みの処理対象媒体に対する原版媒体から読み取った画像の印刷及び前
記データ処理部による次の処理対象媒体に対する原版媒体から読み取ったデータの書き込
みを並行処理させることが好ましい。
この媒体処理装置の制御方法によれば、原版媒体のデータ及び画像を処理対象媒体に複
製する処理にかかる合計時間をさらに短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る媒体処理装置及びその制御方法の実施形態の例を、図面を参照しつ
つ説明する。
なお、本実施形態では、媒体処理装置としてのディスクパブリッシャーを例示して説明
する。
図1は各部を閉状態としたパブリッシャー(媒体処理装置)の外観斜視図、図2は各部
を開状態としたパブリッシャーの外観斜視図、図3はパブリッシャーのケースを外した状
態の前方上側から見た斜視図、図4はパブリッシャーに設置されたレーベルプリンター部
分の斜視図である。
【0014】
図1に示すように、パブリッシャー1は、例えばCDやDVD等の円板状の媒体(情報
記録媒体)へのデータの書き込みや媒体のレーベル面への印刷を行う媒体処理装置であり
、ほぼ直方体形状のケース2を備えている。このケース2の前面には、左右に開閉可能な
開閉扉3,4が取り付けられている。ケース2の上側左端部には、表示ランプ、操作ボタ
ン等が配列された操作面5が設けられており、また、ケース2の下端には、下方に突出す
るように載置用の脚部6が左右両側に設けられている。左右の脚部6の間位置には引出機
構7が設けられている。
【0015】
正面視右側の開閉扉3は、図2に示すように、パブリッシャー1の前面側の開口部8を
開閉するもので、例えば未使用(ブランク)の媒体Mを開口部8を介してセットする時、
あるいは作成済みの媒体Mを、開口部8を介して取り出すときに、開閉する扉である。
また、正面視左側の開閉扉4は、図3に示すレーベルプリンター11のインクカートリ
ッジ12の入れ換え時に開閉するためのものであり、この開閉扉4を開けると、鉛直方向
に配列された複数のカートリッジホルダ13を有するカートリッジ装着部14が露出する
ようになっている。
【0016】
図2及び図3に示すように、パブリッシャー1のケース2の内部には、データ書き込み
処理が行われていない複数枚(例えば50枚)の未使用の媒体Mをスタック可能な媒体保
管部としての媒体スタッカー21と、複数枚(例えば50枚)の未使用の媒体Mあるいは
作成済み媒体Mが保管される媒体保管部としての媒体スタッカー22とが保管される媒体
Mの中心軸線が同一となるように上下に配置されている。媒体スタッカー21及び媒体ス
タッカー22は、それぞれ所定位置に対して着脱自在である。
【0017】
上側の媒体スタッカー21は、左右一対の円弧状の枠板24,25を備えており、これ
により、媒体Mを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能な構成をなしている
。媒体スタッカー21に媒体Mを収容あるいは補充する作業は、開閉扉3を開けて媒体ス
タッカー21を取り出すことにより、簡単に行うことが可能となっている。
【0018】
下側の媒体スタッカー22も同一構造となっており、左右一対の円弧状の枠板27,2
8を備え、これによって、媒体Mを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能な
スタッカーが構成されている。
【0019】
図3に示すように、媒体スタッカー21及び媒体スタッカー22の後側には、媒体搬送
機構31が配置されている。媒体搬送機構31は、本体フレーム30とシャーシ32の天
板33との間に垂直に架け渡されている垂直ガイド軸35を有している。この垂直ガイド
軸35に搬送アーム36が昇降及び旋回可能な状態で支持されている。搬送アーム36は
、駆動モーター37によって垂直ガイド軸35に沿って昇降可能であるとともに、垂直ガ
イド軸35を中心に左右に旋回可能である。
【0020】
上下のスタッカー21,22及び媒体搬送機構31の側方の後方の部位には、媒体ドラ
イブ(データ処理部)41とスキャナー(画像読み取り部)42とが上下に積層されて配
置されている。媒体ドライブ41は、スキャナー42の上方に配置されている。さらに、
これら媒体ドライブ41とスキャナー42との下側にレーベルプリンター(印刷処理部)
11が配置されている。
【0021】
媒体ドライブ41は、媒体Mへのデータ書き込み位置と媒体Mの受け取り及び受け渡し
を行う媒体受け渡し位置との間を移動可能な媒体トレイ41aを有している。
スキャナー42も、媒体Mからの読み取り位置と媒体Mの受け取り及び受け渡しを行う
媒体受け渡し位置との間を移動可能な媒体トレイ42aを有している。
【0022】
また、レーベルプリンター11は、媒体Mのレーベル面へのレーベル印刷可能な印刷位
置と媒体Mの受け取り及び受け渡しを行う媒体受け渡し位置との間を移動可能な媒体トレ
イ45を有している。
【0023】
図3では、媒体ドライブ41及びスキャナー42の媒体トレイ41a,42aが手前に
引き出されて、媒体受け渡し位置にある状態、及び下側のレーベルプリンター11の媒体
トレイ45が手前側の媒体受け渡し位置にある状態が示されている。また、レーベルプリ
ンター11はインクジェットプリンターであり、インク供給機構60として各色(本実施
形態ではブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの6色
)のインクカートリッジ12が用いられる。これらのインクカートリッジ12がカートリ
ッジ装着部14の各カートリッジホルダ13に前方から装着されている。
【0024】
ここで、媒体スタッカー21の左右一対の枠板24,25の間及び媒体スタッカー22
の左右一対の枠板27,28の間には、媒体搬送機構31の搬送アーム36が昇降可能な
隙間が形成されている。また、これら上下の媒体スタッカー21と媒体スタッカー22と
の間には、媒体搬送機構31の搬送アーム36が水平に旋回して、媒体スタッカー22の
真上に位置できるように隙間が開いている。さらに、媒体トレイ41aを媒体ドライブ4
1に押し込み、媒体トレイ42aをスキャナー42に押し込むと、媒体搬送機構31の搬
送アーム36を下降させて、媒体受け渡し位置にある媒体トレイ45にアクセス可能とな
っている。
【0025】
媒体搬送機構31の搬送アーム36は、媒体ドライブ41の媒体トレイ41aをデータ
書き込み位置に位置させ、スキャナー42の媒体トレイ42aを読み取り位置に位置させ
、さらに、媒体トレイ45を奥側の印刷位置に位置させた状態で、媒体トレイ45の高さ
位置よりもさらに下側まで下降可能となっている。そして、媒体トレイ45の媒体受け渡
し位置の下方には、搬送アーム36がこの位置まで下降してリリースした媒体Mが通過す
るガイド穴であって、後述する媒体スタッカー(別体スタッカー)が装着されるガイド穴
65が形成されている。
【0026】
図2及び図3に示すように、引出機構7は、本体フレーム30の下側に、本体フレーム
30から引き出して開いたり、収納して閉じたりすることが可能な引出トレイ70を有し
ている。引出トレイ70には、スタッカー部71が下方に凹んで設けられている。引出ト
レイ70が収納位置(閉位置)にあるとき、スタッカー部71は、ガイド穴65の下方に
位置し、スタッカー部71の中心部は、受け渡し位置にある媒体トレイ41a、媒体トレ
イ42a及び媒体トレイ45の中心軸線が同一となるように位置されている。このスタッ
カー部71は、ガイド穴65を介して投入される媒体Mを受け入れ、この媒体Mを比較的
少量(例えば5枚〜10枚程度)だけ収容する。スタッカー部71は、媒体Mを上側から
受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能となっている。
【0027】
収納状態にある引出トレイ70のスタッカー部71及びガイド穴65には、スタッカー
部71よりも媒体Mの収容量が多い媒体スタッカー(別体スタッカー)72が着脱可能と
なっている(図3参照)。この媒体スタッカー72も、一対の円弧状の枠板73,74を
備えており、これによって、媒体Mを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で複数枚(
例えば50枚)収容可能となっている。一対の円弧状の枠板73,74の間には、媒体搬
送機構31の搬送アーム36が昇降可能な隙間が形成されている。また、一方の枠板74
の上部には着脱時にユーザーによって把持される取っ手75が設けられている。
【0028】
そして、媒体スタッカー72を取り付けた状態とすれば、下側の媒体スタッカー22か
ら未使用の媒体Mを取り出し、媒体ドライブ41でのデータ記録及びレーベルプリンター
11での印刷を行った後に、媒体スタッカー72に収容することができる。
また、例えば、上側の媒体スタッカー21及び下側の媒体スタッカー22にそれぞれの
最大収容枚数(50枚+50枚)の未使用の媒体Mを装填し、下側の媒体スタッカー22
の全枚数(50枚)の媒体Mを順次処理して媒体スタッカー72に収容し、次に、上側の
媒体スタッカー21の全枚数(50枚)の媒体Mを順次処理して、空となった下側の媒体
スタッカー22に収容する。このようにして、上側の媒体スタッカー21及び下側の媒体
スタッカー22の最大収容枚数(50枚+50枚)の媒体Mを一度に処理する(バッチ処
理モード)。
【0029】
また、媒体スタッカー72を取り外した状態とすれば、上側の媒体スタッカー21ある
いは下側の媒体スタッカー22から未使用の媒体Mを取り出し、媒体ドライブ41及びレ
ーベルプリンター11でデータ記録及び印刷を行った後に、収納状態にある引出トレイ7
0のスタッカー部71に収容することができる。
【0030】
これにより、その後、引出トレイ70を引き出すことでスタッカー部71から処理が完
了した媒体Mを取り出すことができる。つまり、媒体Mへの処理中であっても、開閉扉3
を閉じたまま、処理が完了した媒体Mから順に1枚ずつあるいは複数枚ずつ取り出すこと
ができる(外部排出モード)。
【0031】
ここで、媒体搬送機構31の搬送アーム36の昇降及び左右への旋回の組み合わせ動作
によって、媒体Mは、媒体スタッカー21、媒体スタッカー22、引出トレイ70のスタ
ッカー部71(または媒体スタッカー72)、媒体ドライブ41の媒体トレイ41a、ス
キャナー42の媒体トレイ42a及びレーベルプリンター11の媒体トレイ45間で適宜
搬送される。
【0032】
図4に示すように、レーベルプリンター11はインク吐出用のノズル(図示省略)を備
えたインクジェットヘッド61を有するキャリッジ62を備えており、このキャリッジ6
2は、キャリッジモーターの駆動力でキャリッジガイド軸に沿って水平方向に往復移動す
る(図示省略)。
【0033】
レーベルプリンター11は、インクカートリッジ12が装着されるカートリッジ装着部
14を有するインク供給機構60を備えている。このインク供給機構60は、縦型構造を
有しており、パブリッシャー1の本体フレーム30上に立設されて鉛直方向に配設されて
いる。このインク供給機構60には、可撓性を有するインク供給チューブ63の一端が接
続されており、このインク供給チューブ63の他端は、キャリッジ62に接続されている

【0034】
そして、インク供給機構60に装着されるインクカートリッジ12のインクは、インク
供給チューブ63を介してキャリッジ62に供給され、このキャリッジ62に設けられた
ダンパユニット及び背圧調整ユニット(図示省略)を経てインクジェットヘッド61に供
給されインクノズル(図示省略)から吐出される。
なお、インク供給機構60には、その上部に主部を配置するように加圧機構64が設け
られており、この加圧機構64は、圧縮空気を送り出してインクカートリッジ12内を加
圧し、インクカートリッジ12内のインクパックに貯留しているインクを送り出す。
【0035】
また、キャリッジ62のホームポジション(図4に示す位置)における下方側には、ヘ
ッドメンテナンス機構81が設けられている。
このヘッドメンテナンス機構81は、ホームポジションに配置されたキャリッジ62の
下面に露出するインクジェットヘッド61のインクノズルを覆うヘッドキャップ82と、
インクジェットヘッド61のヘッドクリーニング動作やインク充填動作によってヘッドキ
ャップ82に排出されたインクを吸引する廃インク吸引ポンプ83とを備えている。
【0036】
そして、このヘッドメンテナンス機構81の廃インク吸引ポンプ83によって吸引され
たインクは、チューブ84を介して、廃インク吸収タンク85へ送り込まれる。
この廃インク吸収タンク85は、ケース86内に図示しない吸収材を配設したもので、
その上面は、複数の通気孔87を有するカバー88によって覆われている。
なお、ヘッドメンテナンス機構81の下方には、廃インク吸収タンク85の一部である
廃インク受け部89が設けられ、ヘッドメンテナンス機構81から滴下したインクを受け
止め、吸収材によって吸収するようになっている。
【0037】
図5に示すように、パブリッシャー1の制御部200には、コンピューター201が接
続され、このコンピューター201から処理指令が制御部200に送信される。
制御部200は、指令部202を有しており、この指令部202から、媒体搬送機構3
1、媒体ドライブ41、スキャナー42及びレーベルプリンター11に駆動指令が送信さ
れる。
【0038】
そして、上記パブリッシャー1では、コンピューター201から複製処理指令が送信さ
れると、原版の媒体Mのデータ及び画像を未処理の媒体Mに対して書き込み及び印刷して
複製する複製処理を行う。
次に、この複製処理における制御部200による制御について説明する。
図6は複製処理の制御の流れを示すフローチャートである。
なお、媒体スタッカー21に、未処理の媒体Mと、その最上部に配置された原版の媒体
Mとが収容された状態から、未処理の媒体Mにデータ書き込み及び印刷を施して媒体スタ
ッカー22に収容する場合を例示して説明する。
【0039】
複製処理の制御が開始されると、まず、媒体搬送機構31が媒体スタッカー21から最
上部の原版の媒体Mを受け取り上段の媒体ドライブ41へ搬送し、媒体ドライブ41にお
ける原版の媒体Mからのデータの読み取りを開始する(ステップS01)。
原版の媒体Mからのデータの読み取りが終了すると、媒体ドライブ41及びスキャナー
42での並行処理ステップが開始される(ステップS02)。
【0040】
この並行処理ステップ(ステップS02)では、まず、媒体搬送機構31が原版の媒体
Mを媒体ドライブ41から受け取って中段のスキャナー42へ搬送し、さらに、媒体スタ
ッカー21から未処理の処理対象の媒体Mを受け取り媒体ドライブ41へ搬送する。
そして、スキャナー42においては、原版の媒体Mからの画像の読み取りを行う。また
、媒体ドライブ41においては、原版の媒体Mから読み取ったデータを、処理対象の媒体
Mに対して書き込む。
なお、原版の媒体Mからの画像の読み取り後は、媒体搬送機構31がスキャナー42か
ら原版の媒体Mを受け取り媒体スタッカー22に搬送して収容させる。
【0041】
上記の並行処理ステップ(ステップS02)後、既に処理済みの媒体Mと処理途中の媒
体Mとの合計処理枚数と、コンピューター201からの複製処理指令によって指定された
複製枚数とが比較され、合計処理枚数が指定複製枚数に達しているか否かが判定される(
ステップS03)。すなわち、既に複製処理が行われた媒体M及び現在複製処理を行って
いる媒体M以外にも複製処理する媒体Mがあるか否かが判定される。
この判定処理において、さらに複製処理する媒体Mがあるために、合計処理枚数が指定
複製枚数に達していないと判定されると(ステップS03:No)、媒体ドライブ41及
びレーベルプリンター11での並行処理ステップが開始される(ステップS04)。
【0042】
この並行処理ステップ(ステップS04)では、まず、媒体搬送機構31がデータ書き
込み済みの処理対象の媒体Mを媒体ドライブ41から受け取りレーベルプリンター11へ
搬送し、さらに、媒体スタッカー21から未処理の次の処理対象の媒体Mを受け取り媒体
ドライブ41へ搬送する。
そして、レーベルプリンター11においては、原版の媒体Mから読み取った画像をデー
タ書き込み済みの媒体Mに印刷する。また、媒体ドライブ41においては、原版の媒体M
から読み取ったデータを、次の処理対象の媒体Mに対して書き込む。
なお、レーベルプリンター11による印刷後は、媒体搬送機構31がレーベルプリンタ
ー11から複製済みの媒体Mを受け取り媒体スタッカー22に搬送して収容させる。
【0043】
指定複製枚数か否かの判定(ステップS03)において、合計処理枚数が指定複製枚数
に達している場合は(ステップS03:Yes)、最後に複製処理を行うデータ書き込み
処理済みの処理対象の媒体Mに対して、レーベルプリンター11によって原版の媒体Mか
ら読み取った画像を印刷する(ステップS05)。
なお、レーベルプリンター11による印刷後は、媒体搬送機構31がレーベルプリンタ
ー11から複製済みの媒体Mを受け取り媒体スタッカー22に搬送して収容させる。
【0044】
図7に、原版の媒体Mに基づいて2枚の複製の媒体Mを作製する場合における処理時間
を示すチャート図を示す。なお、図7(a)は本実施形態であり、図7(b)及び(c)
は、本実施形態と比較する例である。
本実施形態に係るパブリッシャー1においては、図7(a)に示すように、最上部に配
置された媒体ドライブ41から処理し、順に下方に配置されているスキャナー42及びレ
ーベルプリンター11における処理を行い、さらに、データの書き込みと画像の読み取り
とを並行処理することにより、複製処理にかかる合計時間を極力短くすることができる。
【0045】
通常、媒体ドライブ41による処理(読み取り、書き込み)時間は、スキャナー42に
よる処理(画像の読み取り)時間やレーベルプリンター11による処理(印刷)時間より
も長い。上記実施形態によれば、媒体ドライブ41による処理の間に、スキャナー42に
よる処理及びレーベルプリンター11による処理を実行しているので、単純なロジックで
、かつトータル作業時間を短縮させることができる。
【0046】
これに対して、上方側から順にスキャナー42、媒体ドライブ41及びレーベルプリン
ター11を配置した場合では、図7(b)に示すように、最上部に配置されたスキャナー
42から処理し、順に下方に配置されている媒体ドライブ41及びレーベルプリンター1
1における処理を行う。さらに、データの読み取りと印刷とを並行処理したとしても、媒
体搬送機構31による媒体Mの搬送経路が長くなり、複製処理にかかる合計時間が長くな
ってしまう。
【0047】
また、媒体ドライブ41でデータの書き込みに失敗した場合、その前に行った印刷に要
した時間が無駄になってしまう。つまり、媒体ドライブ41は、レーザーの寿命や媒体品
質等でデータ書き込みに失敗することが多いため、適切な順序とはいえない。
【0048】
また、印刷終了後、媒体搬送機構31が媒体Mを媒体ドライブ41から媒体スタッカー
22へ搬送中である可能性がある。このため、印刷が終了した媒体Mを媒体ドライブ41
へ搬送する際に、媒体ドライブ41から媒体スタッカー22へ媒体Mを搬送している媒体
搬送機構31の搬送作業の終了を待たねばならず、無駄な時間を要してしまう。
【0049】
そこで、データの書き込みの失敗による印刷時間の無駄及び媒体搬送機構31の待ち時
間の無駄をなくすため、図7(c)に示すように、複製処理の順序を、媒体ドライブ41
によるデータの書き込み後、レーベルプリンター11による印刷を行なうことが考えられ
る。しかし、この場合、原版の媒体Mからのデータ及び画像の読み込みと処理対象の媒体
Mに対するデータ書き込み及び印刷とを並行に行うことができないので、複製処理に係る
合計時間が大幅に長くなってしまう。
【0050】
以上説明したように、本発明に係る上記実施形態によれば、スキャナー42を備えてい
るので、予め作成した画像や別個のスキャナーなどで読み取った画像を印刷データとして
送信するような煩雑な作業をなくすことができ、媒体Mへのデータの書き込み及び印刷を
効率良く行うことができる。
また、上方から順に、媒体ドライブ41、スキャナー42及びレーベルプリンター11
が配置されているので、媒体Mに対する処理を、媒体ドライブ41、スキャナー42及び
レーベルプリンター11の順に行うことで、媒体搬送機構31による媒体Mの搬送経路の
長さを最短にすることができ、合計の処理時間を短縮させることができる。
【0051】
また、媒体ドライブ41による原版の媒体Mからのデータの読み取り後に、スキャナー
42による原版の媒体からの画像の読み取り及び媒体ドライブ41による処理対象の媒体
Mに対する原版の媒体Mから読み取ったデータの書き込みを並行処理させる。原版媒体か
らのデータの読み取り後に、比較的時間を要するデータの書き込みを並行処理して行なう
ため、原版の媒体Mのデータ及び画像を処理対象の媒体Mに複製する処理にかかる合計時
間を極力短くすることができる。
また、印刷済みの媒体Mにデータを書き込む順序であると、媒体ドライブ41でのデー
タ書き込みが失敗した場合に、その前に行った印刷に要した時間が無駄になるが、処理対
象の媒体Mに対して印刷前にデータの書き込みを行うので、データ書き込みが失敗したと
しても、印刷に要した時間の無駄をなくすことができる。
【0052】
さらに、レーベルプリンター11によるデータの書き込み済みの処理対象の媒体Mに対
する原版の媒体Mから読み取った画像の印刷及び媒体ドライブ41による次の処理対象の
媒体Mに対する原版の媒体Mから読み取ったデータの書き込みを並行処理させるので、原
版の媒体Mのデータ及び画像を処理対象の媒体に複製する処理にかかる合計時間をさらに
短くすることができる。
【0053】
なお、本発明で用いられる媒体は、上記実施形態の媒体Mのような円板状の媒体に限定
されるものではなく、矩形状等の多角形状や楕円状の媒体にも適用可能であり、また、そ
の記録方式も、光記録方式、光磁気記録方式等、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るパブリッシャー(媒体処理装置)の外観斜視図である。
【図2】各部を開状態としたパブリッシャーの外観斜視図である。
【図3】パブリッシャーのケースを外した状態の前方上側から見た斜視図である。
【図4】パブリッシャーに設置されたレーベルプリンター部分の斜視図である。
【図5】パブリッシャーを制御する制御系の概略ブロック図である。
【図6】複製処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】原版の媒体に基づいて2枚の複製の媒体を作製する場合における処理時間を示すチャート図である。
【符号の説明】
【0055】
1…パブリッシャー(媒体処理装置)、11…レーベルプリンター(印刷処理部)、3
1…媒体搬送機構(搬送部)、41…媒体ドライブ(データ処理部)、42…スキャナー
(画像読み取り部)、200…制御部、M…媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原版媒体からのデータの読み取り及び処理対象媒体に対するデータの書き込みを行うデ
ータ処理部と、
原版媒体の画像の読み取りを行う画像読み取り部と、
処理対象媒体に対して画像を印刷する印刷処理部と、
原版媒体及び処理対象媒体を搬送する搬送部とを備え、
上方から順に、前記データ処理部、前記画像読み取り部及び前記印刷処理部が配置され
ていることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体処理装置であって、
前記データ処理部による原版媒体からのデータの読み取り後に、前記画像読み取り部に
よる原版媒体からの画像の読み取り及び前記データ処理部による処理対象媒体に対する原
版媒体から読み取ったデータの書き込みを並行処理させる制御部を備えたことを特徴とす
る媒体処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の媒体処理装置であって、
前記制御部は、前記並行処理後に、前記印刷処理部によるデータの書き込み済みの処理
対象媒体に対する原版媒体から読み取った画像の印刷及び前記データ処理部による次の処
理対象媒体に対する原版媒体から読み取ったデータの書き込みを並行処理させることを特
徴とする媒体処理装置。
【請求項4】
原版媒体からのデータの読み取り及び処理対象媒体に対するデータの書き込みを行うデ
ータ処理部と、
原版媒体の画像の読み取りを行う画像読み取り部と、
処理対象媒体に対して画像を印刷する印刷処理部と、
原版媒体及び処理対象媒体を搬送する搬送部とを備えた媒体処理装置の制御方法であっ
て、
前記データ処理部による原版媒体からのデータの読み取り後に、前記画像読み取り部に
よる原版媒体からの画像の読み取り及び前記データ処理部による処理対象媒体に対する原
版媒体から読み取ったデータの書き込みを並行処理させることを特徴とする媒体処理装置
の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の媒体処理装置の制御方法であって、
前記並行処理後に、前記印刷処理部によるデータの書き込み済みの処理対象媒体に対す
る原版媒体から読み取った画像の印刷及び前記データ処理部による次の処理対象媒体に対
する原版媒体から読み取ったデータの書き込みを並行処理させることを特徴とする媒体処
理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−153009(P2010−153009A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332965(P2008−332965)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)