説明

媒体収納カセットおよび媒体処理装置

【課題】取っ手5を持上げたときにストッパ9と取っ手5が当接して発生する取っ手支点部6に働く外力の発生をなくし、取っ手支点部6および篏合穴10の変形、磨耗或いは一部破損をなくし、カセット3をセットしたときに取っ手が必ずストッパ9と反対方向に倒れるようにする。
【解決手段】紙幣を収納する紙幣収納部11と、下部に回動可能な取っ手支点部6を有し取っ手支点部6により紙幣収納部11を持ち上げる取っ手5と、取っ手支点部6と篏合する篏合穴を有する取っ手取付け部7と、前記取っ手の一方方向への回動を抑制するストッパ9と、を備え、前記取っ手5により着脱可能な媒体収納カセット3において、前記篏合穴10は、上側ほど前記ストッパ9から離れ下側が前記ストッパ9より奥に入り込む斜めの長穴とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣等の媒体の補充や回収などを行うための着脱可能な媒体収納カセットを備えた媒体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の媒体処理装置、例えば、紙幣入出金機では、図5に示したように、図示しない操作モニタや入出金口、操作部等が設けられた操作カバー部12と、後述のカセット収納庫2を内蔵した金庫ユニット15とを備え、装置内部側面には図6に示したようにスライドレール6が備えられており、図7に示したように金庫ユニット15を矢印Aのように前面側へ引き出してカセット収納庫2内の紙幣収納カセット(以下「カセット」という)を着脱して紙幣の補充や回収などを行うことができるようになっている。
【0003】
金庫ユニット15の上部には紙幣をカセット103に搬入または搬出するための搬送ユニット4が設けられており、カセット収納庫2内のカセット103の着脱の際に、支点4aを支軸として図6矢印Cのように回動して上部を開き、後述の取っ手5を持ってカセット103の媒体収納部としての紙幣収納部11を図7矢印Bのように引き出すことができるようになっている。
【0004】
そして、紙幣収納部11の上部には着脱や運搬のための取っ手5が設けられており、図8(c)に示したように、取っ手5の取っ手支点部6と篏合する篏合穴20を取っ手取付け部17に設けている。
【0005】
そして、着脱や運搬の際には、図8(a)に示したように取っ手5を立ち上げた状態にして使用し、紙幣入出金機1にセットするときは、図8(b)に示したように取っ手5を倒れた状態にした後、図7(b)矢印H方向に搬送ユニット4を回動して閉じて、金庫ユニット15を紙幣入出金機1内に戻せるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
ところで、取っ手5が立ち上がった状態のまま、搬送ユニット4を閉じたり、金庫ユニット15を紙幣集出金機1内に戻す操作を行うと、搬送ユニット4と取っ手5が衝突したり、搬送ユニット4が紙幣入出金機の筐体に衝突したりして、これらを破損してしまうことがあった。
【0007】
上記のような操作ミスによる搬送ユニット4および取っ手5の破損を防ぐために、従来の紙幣入出金機1のカセット103では、取っ手5の上部を倒れる方向に突出させて重心をずらし、図8(a)矢印Eのように発生する重力により矢印F方向に倒れて図8(b)のように取っ手5を収納するようにするとともに、倒れる方向とは反対側に取っ手5が回動しないようにストッパ9を設けた構造としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平02−012592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の媒体処理装置のカセット103では、カセット103を持ち上げたときに取っ手5がストッパ9に当接して当該当接位置を中心とした回転力が発生して篏合孔20と取っ手支点部6に外力が掛かかり、これを繰り返すことにより、篏合穴20または取っ手支点部6が変形したり、磨耗したり一部が破損したりして、取っ手5が倒れなくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述の課題を解決するために次の構成を採用する。すなわち、媒体を収納する媒体収納部と、下部に回動可能な支点を有し当該支点により前記媒体収納部を持ち上げる取っ手と、前記取っ手の支点と篏合する篏合穴を有する取っ手取付け部と、前記取っ手の一方方向への回動を抑制するストッパと、を備え、前記取っ手により着脱可能な媒体収納カセットにおいて、前記篏合穴は、上側ほど前記ストッパから離れ下側が前記ストッパより奥に入り込む斜めの長穴とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動取引装置によれば、以上のように構成したので、取っ手を持上げたときにストッパと取っ手が当接して発生する取っ手支点部に働く外力の発生をなくし、当該外力による取っ手支点部および篏合穴の変形、磨耗或いは一部破損をなくし、カセットをセットしたときに取っ手が必ずストッパと反対方向に倒れるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の紙幣入出金機のカセットの構成および動作説明図である。
【図2】実施例1の紙幣入出金機のカセットの要部構成および動作説明図である。
【図3】実施例1の紙幣入出金機のカセットの要部構成および動作説明図である。
【図4】実施例1の変形例のカセットの要部構成図である。
【図5】紙幣入出金機の外観斜視図である。
【図6】紙幣入出金機およびカセットの構成図である。
【図7】紙幣入出金機およびカセットの構成および動作説明図である。
【図8】従来の紙幣入出金機のカセットの構成および動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明では、金融機関等に設置され紙幣を取扱う紙幣入出金機を例として説明するが、硬貨を取扱う硬貨処理装置などにも本発明を適用することができる。
【実施例1】
【0014】
(構成)
図1は、実施例1の紙幣入出金機1のカセット3の構成図を示す。同図に示したように、実施例1の紙幣入出金機1のカセット3は、従来のカセット103の取っ手取付け部17に設けた丸穴の篏合穴20に替えて、斜めの長穴の篏合穴10をカセット3の媒体収納部としての紙幣収納部11の上部の取っ手取付け部7に設けている。
【0015】
この篏合穴10は、取っ手5を持ってカセット3を持上げたときに取っ手5とストッパ9が当接して発生する外力をなくすために、取っ手5を持上げたときに取っ手支点部6がストッパ9から離れる方向、すなわち矢印Dのように傾斜しており、ストッパ9の下側に入り込むように配置されている。
【0016】
なお、篏合穴10は、取っ手付け部7の両側面を所定の深さにて設けた穴形状の長穴としてもよいし、貫通した長孔としてもよい。その他の構成は従来の紙幣入出金機1のカセット3と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0017】
(動作)
以上の構成により実施例1の紙幣入出金機1のカセット3は以下のように動作する。この動作を、前出図6、図7の紙幣入出金機の動作説明図、前出図1および図2、図3の実施例1のカセットの動作説明図を用いて以下詳細に説明する。なお、図1は取っ手5を持ってカセット3を持ち上げた状態であり、図2は取っ手5を離し取っ手5が倒れ始めた状態であり、図3は取っ手5が倒れた状態を示している。
【0018】
まず、紙幣の補充や回収などを行うときは、図6(a)の矢印Aのように紙幣入出金機1から金庫ユニット15を引き出し、図6(b)の矢印Cのように支点4aを支点として搬送ユニット4を回動して開いた後、取っ手5を持って図7の矢印Bのようにカセット3を取り出す。
【0019】
すると、取っ手5は、図1(a)に示すように立ち上がった状態となり、取っ手支点部6は矢印Dのように篏合穴10内を移動し篏合穴10の上部に当接し、カセット3が持ち上がる。
【0020】
このとき、篏合穴10の上部にて取っ手支点部6が当接するので、ストッパ9と取っ手5は当接することがなく、図8のように従来のカセット103にて発生していたストッパ9と取っ手5の当接による取っ手支点部6に働く外力は発生せず、篏合穴10および取っ手支点部6の変形、磨耗や一部の破損の発生が抑制される。
【0021】
一方、紙幣入出金機1にカセット3をセットするときは、取っ手5を持ってカセット収納部2にカセット3をセットして、取っ手5を放すと、図2に示したように取っ手支点部6が矢印Gのように篏合穴10に沿って下降し篏合穴10の下面に当接する。
【0022】
このとき、取っ手5の上部がストッパ9とは反対方向に突出した形状となっており重心のずれにより矢印Eの力が作用し矢印F方向に倒れ、図3に示したように、取っ手取付け部7に収納される。
【0023】
そして、図7(b)矢印H方向に搬送ユニット4を回動して閉じて、金庫ユニット15を紙幣入出金機1内に戻す。
【0024】
なお、以上の実施例の説明では、取っ手5に取っ手支点部6を設け、取っ手取付け部7側に篏合穴10を設けるように説明したが、図4の変形例に示したように、取っ手5側に穴または孔を備え篏合穴10xとし、取っ手取付け部7側に突起部を備え取っ手支点部6xとするようにしてもよい。
【0025】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の紙幣入出金機のカセットによれば、媒体を収納する媒体収納部と、下部に回動可能な支点を有し当該支点により前記媒体収納部を持ち上げる取っ手と、前記取っ手の支点と篏合する篏合穴を有する取っ手取付け部と、前記取っ手の一方方向への回動を抑制するストッパと、を備え、前記取っ手により着脱可能な媒体収納カセットにおいて、前記篏合穴は、上側ほど前記ストッパから離れる斜めの長穴としたので、ストッパと取っ手が当接して発生する取っ手支点部に働く外力の発生をなくし、当該外力による取っ手支点部および篏合穴の変形、磨耗或いは一部破損をなくし、カセットをセットしたときに取っ手が必ずストッパと反対方向に倒れるようにすることができる。
【0026】
また、下側が前記ストッパより奥に入り込む斜めの長穴としたので、取っ手が倒れたときに、ストッパの奥に取っ手が移動し、取っ手先端が紙幣収納部の外に飛び出すこともない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上述べたように、本発明は、紙幣等の媒体の補充や回収などを行うための着脱可能な媒体収納カセットを備えた媒体処理装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 紙幣入出金機
2 カセット収納庫
3、103 カセット
4 搬送ユニット
5 取っ手
6、6x 取っ手支点部
7、17 取っ手取付け部
8 スライドレール
9 ストッパ
10、10x、20 篏合穴
11 紙幣収納部
15 金庫ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を収納する媒体収納部と、下部に回動可能な支点を有し当該支点により前記媒体収納部を持ち上げる取っ手と、前記取っ手の支点と篏合する篏合穴を有する取っ手取付け部と、前記取っ手の一方方向への回動を抑制するストッパと、を備え、前記取っ手により着脱可能な媒体収納カセットにおいて、
前記篏合穴は、上側ほど前記ストッパから離れ下側が前記ストッパより奥に入り込む斜めの長穴としたことを特徴とする媒体収納カセット。
【請求項2】
前記篏合穴は前記取っ手に備え、前記回動可能な支点は前記取っ手付け部に備えるようにしたことを特徴とする請求項1記載の媒体収納カセット。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の媒体収納カセットを搭載したことを特徴とする媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−48313(P2012−48313A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187484(P2010−187484)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】