説明

媒体収納繰出装置及び媒体処理装置

【課題】信頼性を格段に高め得るようにする。
【解決手段】一時保留部5は、第1上側リールに巻き付けられた第1上側テープと、当該第1上側テープに対し紙幣BLを挟んで設けられた第1の保持部とにより紙幣BLの右端部近傍を保持すると共に、第2上側リールに巻き付けられた第2上側テープと、当該第2上側テープに対し紙幣BLを挟んで設けられた第2の保持部とにより紙幣BLの左端部近傍を保持する。これにより一時保留部5は、空間SP部分を搬送する間に紙幣BLが切れ目から上方向又は下方向にめくれることを防ぎながら、搬送ガイド44まで搬送し、一時保留部5の外部に繰り出すことができる。かくして一時保留部5は、紙幣BLが搬送ガイド44に衝突してしまうことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体収納繰出装置及び媒体処理装置に関し、例えば現金等の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動預払機(ATM)等に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等で使用される現金自動預払機等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するようになされている。
【0003】
現金自動預払機としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金口と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、金種ごとに紙幣を格納する金種カセットとを有するものがある。
【0004】
この現金自動預払機は、入金取引において、顧客が紙幣入出金口に紙幣を投入すると、投入された紙幣を鑑別部で鑑別し、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部で保留する一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣を紙幣入出金口へ戻して顧客に返却する。続いて現金自動預払機は、顧客により入金金額が確定されると、一時保留部に保留した紙幣を鑑別部により金種を再鑑別し、鑑別された金種に応じて各金種カセットへ収納する。
【0005】
例えば図25に示す一時保留部705のように、上側リール727に巻かれた1本の上側テープ731及び下側リール735に巻かれた1本の下側テープ737の間に紙幣BLを短辺方向に沿って整列させるよう挟持し、可動ガイド40により紙幣BLの折れ曲がり等を防ぎながら円筒形状のドラム21に順次巻き付けることにより、多数の紙幣BLを収納するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また一時保留部705は、上側テープ731及び下側テープ737を上側リール727及び下側リール735にそれぞれ巻き取りながら、ドラム21を収納時とは反対方向に回転させることにより、収納している紙幣BLを放出し、可動ガイド40と対向して設けられた搬送ガイド44により当該紙幣BLの下側面をガイドし、外部に繰り出す。
【0007】
ドラム21に紙幣BLが巻き取られていく際は、図26に示すようにドラム21の見かけ上の外形が大きくなっていく。このため搬送ガイド44は、ドラム21の見かけ上の外形が最大となった状態においても当該ドラム21に接触しないよう、ドラム21との間に空間SPを空けて設けられている。
【0008】
図25(a)及び 図26(a)においてドラム21から紙幣BLを放出する状態を矢印B方向から見た矢視図を図27に示すように、紙幣BLの下側面は1本の下側テープ737により保持されつつ、ドラム21から搬送ガイド44へ搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−107824公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで図28に示すように、紙幣BLには、市場で流通する過程において端部から切れ目50が入ることがある。そのような紙幣BLをドラム21に一旦巻き取った後に放出する場合、図29に示すように、紙幣BLの搬送方向に直交する幅方向に切れ目50が下側テープ737からずれて位置した状態で紙幣BLが搬送されることがある。
【0011】
そのような紙幣BLが空間SP上方を通過する際、一時保留部705のように1本の上側テープ731及び1本の下側テープ737のみにより紙幣BLを挟持する構成の場合、空間SPには、紙幣BLの下側面をガイドする部品がない。このため紙幣BLは、切れ目50から幅方向の外側部分が図30に示すようにめくれて下に垂れてしまうことがある。
【0012】
その場合、紙幣BLにおいて垂れた部分が搬送ガイド44に接触し、切れ目50から外側のみが搬送ガイド44の下方向に反れてゆき、切れ目50の後端部で搬送ガイド44に引っかかり、ジャムを発生させてしまう恐れがある。
【0013】
また、仮に搬送ガイド44には衝突しなくとも、現金自動預払機内部に設けられた他の部品に紙幣BLの一部分が衝突し、ジャムを発生させてしまう恐れがある。
【0014】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、媒体のジャムを防ぎ、信頼性を格段に高め得る媒体収納繰出装置及び媒体処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するため本発明の媒体収納繰出装置においては、回転可能に設けられた第1の一側リールと、第1の一側リールに巻き付けられ、媒体における当該媒体の搬送方向に直交する媒体幅方向の長さである媒体幅よりも短いテープ幅でなり媒体の一側面に当接する第1の一側テープと、回転可能に設けられた第2の一側リールと、第2の一側リールに巻き付けられ、媒体幅よりも短いテープ幅でなり媒体幅方向に媒体幅よりも短い間隔を空けて第1の一側テープと並列に設けられ、媒体の一側面に当接する第2の一側テープと、回転可能に設けられ、一方向に回転して媒体を第1の一側テープ及び第2の一側テープと重ねて巻き取る一方、逆方向に回転して媒体を放出するドラムと、ドラムから放出された媒体を挟んで第1の一側テープと対向する位置に設けられ、媒体の他側面に当接し当該媒体を保持する第1の保持部と、ドラムから放出された媒体を挟んで第2の一側テープと対向する位置に設けられ、媒体の他側面に当接し当該媒体を保持する第2の保持部とを設けるようにした。
【0016】
この媒体収納繰出装置は、媒体の先端が搬送中にめくれることを防止できる。
【0017】
また本発明の媒体処理装置においては、媒体を搬送する媒体搬送路と、媒体搬送路から媒体を挿入されると共に媒体を繰り出す媒体入出口と、回転可能に設けられた第1の一側リールと、第1の一側リールに巻き付けられ、媒体における当該媒体の搬送方向に直交する媒体幅方向の長さである媒体幅よりも短いテープ幅でなり媒体の一側面に当接する第1の一側テープと、回転可能に設けられた第2の一側リールと、第2の一側リールに巻き付けられ、媒体幅よりも短いテープ幅でなり媒体幅方向に媒体幅よりも短い間隔を空けて第1の一側テープと並列に設けられ、媒体の一側面に当接する第2の一側テープと、回転可能に設けられ、一方向に回転して媒体入出口を介し挿入された媒体を第1の一側テープ及び第2の一側テープと重ねて巻き取る一方、逆方向に回転して媒体を巻き戻して放出し、媒体入出口を介して媒体搬送路に繰り出すドラムと、ドラムから放出された媒体を挟んで第1の一側テープと対向する位置に設けられ、媒体の他側面に当接し当該媒体を保持する第1の保持部と、ドラムから放出された媒体を挟んで第2の一側テープと対向する位置に設けられ、媒体の他側面に当接し当該媒体を保持する第2の保持部とを設けるようにした。
【0018】
この媒体処理装置は、媒体の先端が搬送中にめくれることを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、媒体の先端が搬送中にめくれることを防止でき、かくして本発明は、媒体のジャムを防ぎ、信頼性を格段に高め得る媒体収納繰出装置及び媒体処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1乃至第5の実施の形態による現金自動預払機の外観構成を示す略線的斜視図である。
【図2】第1乃至第5の実施の形態による現金自動預払機の内部構成を示す略線図である。
【図3】第1の実施の形態による一時保留部の構成を示す略線図である。
【図4】第1の実施の形態によるテープと紙幣の構成を示す略線的矢視図である。
【図5】テープと紙幣の切れ目との位置関係(1)を示す略線図である。
【図6】テープと紙幣の切れ目との位置関係(2)を示す略線図である。
【図7】テープと紙幣の切れ目との位置関係(3)を示す略線図である。
【図8】正常に搬送される紙幣を示す略線図である。
【図9】第1の実施の形態による一時保留部と従来との比較を示す略線図である。
【図10】テープと紙幣のスレッドとの位置関係(1)を示す略線図である。
【図11】テープと紙幣のスレッドとの位置関係(2)を示す略線図である。
【図12】第3の実施の形態による一時保留部の構成を示す略線図である。
【図13】スクレーパ及びテープと紙幣の構成を示す略線的矢視図である。
【図14】スクレーパと紙幣の切れ目との位置関係(1)を示す略線図である。
【図15】スクレーパと紙幣の切れ目との位置関係(2)を示す略線図である。
【図16】スクレーパと紙幣のスレッドとの位置関係(1)を示す略線図である。
【図17】スクレーパと紙幣のスレッドとの位置関係(2)を示す略線図である。
【図18】第5の実施の形態による一時保留部の構成を示す略線図である。
【図19】切れ目を2箇所有する紙幣を示す略線図である。
【図20】テープ間に2箇所の切れ目がある場合のテープと紙幣の構成を示す略線的矢視図である。
【図21】第5の実施の形態によるテープと紙幣の構成(1)を示す略線的矢視図である。
【図22】第5の実施の形態によるテープと紙幣の構成(2)を示す略線的矢視図である。
【図23】他の実施の形態による一時保留部の構成(1)を示す略線図である。
【図24】他の実施の形態による一時保留部の構成(2)を示す略線図である。
【図25】従来の一時保留部の構成(1)を示す略線図である。
【図26】従来の一時保留部の構成(2)を示す略線図である。
【図27】従来の一時保留部によるテープと紙幣の構成を示す略線的矢視図である。
【図28】切れ目を1箇所有する紙幣を示す略線図である。
【図29】従来の一時保留部によるテープと切れ目を有する紙幣の構成を示す略線的矢視図である。
【図30】従来の一時保留部による紙幣の垂れを示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
<1.第1の実施の形態>
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、顧客との間で現金に関する取引を行うようになされている。
【0023】
筐体2は、その前面2A側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面2Aの上部から上面に渡る箇所に、接客部3が設けられている。
【0024】
接客部3は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、硬貨入出金口11、紙幣入出金口12、通帳挿入口13、カード挿入口14及び表示操作部15が設けられている。
【0025】
硬貨入出金口11及び紙幣入出金口12は、顧客が入金する硬貨及び紙幣がそれぞれ投入されると共に、顧客へ出金する硬貨及び紙幣がそれぞれ排出される部分である。また硬貨入出金口11及び紙幣入出金口12は、それぞれに設けられたシャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙で構成されており、市場で流通する過程において折り曲げられて扱われたり、形状がカールしていたりする場合もある。
【0026】
通帳挿入口13は、取引で使用される通帳が挿入され、取引が終了すると通帳が排出される部分である。この通帳挿入口13の奥部には、取引内容等を通帳に記録する通帳処理部(図示せず)が設けられている。
【0027】
カード挿入口14は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード挿入口14の奥部には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
【0028】
表示操作部15は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額などを入力するタッチパネルとが一体化されている。
【0029】
図2は、図1の現金自動預払機1を矢印A方向から見た側面図であり、当該現金自動預払機1の内部構成のうち主に紙幣の処理に関する部分を示している。同図に示したように、現金自動預払機1の内部には、上側に接客部3、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部4及び入金紙幣を一時的に保留する一時保留部5等が設けられており、下側に金種別のカセットでなる紙幣貯蔵部6等が設けられている。図中太線で示す搬送路7は、各部の間で紙幣を短辺方向に沿って搬送する。
【0030】
この現金自動預払機1は、制御部8により全体を統括制御するようになされている。制御部8は、顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、表示操作部15を介して所定の操作入力を受け付けた後、紙幣入出金口12のシャッタを開いて紙幣を投入させる。
【0031】
続いて制御部8は、投入された紙幣を搬送路7を介して鑑別部4へ搬送して鑑別させ、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部5へ搬送して一時的に保留する一方、取引すべきでないと鑑別されたリジェクト紙幣を紙幣入出金口12へ搬送して顧客に返却する。
【0032】
その後制御部8は、表示操作部15を介して顧客に入金金額を確定させ、一時保留部5に保留している紙幣を再び鑑別部4へ搬送して金種を再鑑別させて、鑑別された金種に応じて紙幣貯蔵部6の各カセットへ搬送し収納させるようになされている。
【0033】
ところで筐体2は、前面2A側やその反対側(すなわち背面側)等の一部の側面が開閉可能な扉により構成されている。すなわち筐体2は、顧客との間で現金に関する取引を行う取引動作時には、図1及び図2に示したように各扉を閉塞することにより、紙幣貯蔵部6等に格納している紙幣を保護する。一方筐体2は、作業者等が保守作業を行う保守作業時には、必要に応じて各扉を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得る。
【0034】
また現金自動預払機1は、この保守作業時に、背面の扉を開放した上で所定のスライド機構を介して一時保留部5を背面方向へ引き出す(図中破線で示す)と共に、その上面を背面方向へ向けるよう傾けることもできるようになされている。
【0035】
[1−2.一時保留部の構成]
図3及び図4に、第1の実施の形態による一時保留部5を示す。図3(a)の図中左側が現金自動預払機1の前面側(以下、単に前側とも呼ぶ)であり、図中右側が現金自動預払機1の後面側(以下、単に後側とも呼ぶ)である。また図3(b)は、図3(a)を後側から見た背面図である。さらに図4は、図3(a)を矢印B方向から見た矢視図である。
【0036】
一時保留部5の前側面には、当該一時保留部5内部への紙幣BLの出入り口となる紙幣入出口22が穿設されている。
【0037】
ドラム21は、円筒状に構成されており、一時保留部5のフレーム23に左右方向に沿って取り付けられたドラム軸25を中心に巻取方向R1又は巻戻方向R2へ回転する。
【0038】
第1上側リール27aは、糸巻き状に構成されており、ドラム21の上側に設けられ、ドラム軸25と平行にフレーム23に取り付けられたリール軸29を中心に回転する。この第1上側リール27aは、テープとしての第1上側テープ31aが巻き付けられている。
【0039】
第2上側リール27bは、第1上側リール27aと同様に糸巻き状に構成されており、当該第1上側リール27aの左側に紙幣BL幅方向の長さである紙幣幅よりも狭い間隔を空けて設けられ、リール軸29を中心に回転する。この第2上側リール27bは、第1上側テープ31aと同じテープ幅でなるテープとしての第2上側テープ31bが巻き付けられている。
【0040】
以下では、第1上側リール27a及び第2上側リール27bを上側リール27とも呼び、第1上側テープ31a及び第2上側テープ31bを上側テープ31とも呼ぶ。
【0041】
上側テープ31は、薄いフィルム状の樹脂でなり、その左右方向のテープ幅が紙幣BLの長辺よりも十分に短くなっている。
【0042】
このように第1上側テープ31aと第2上側テープ31bとは、左右方向に紙幣BLの紙幣幅よりもやや狭い間隔を空けて、並行に設けられている。
【0043】
上側リール27から見てドラム21よりも前側の紙幣入出口22付近には、ドラム軸25と平行な回転軸を中心に回転する上側アイドルプーリ33が左右方向に2つ並んで設けられている。
【0044】
第1上側リール27a及び第2上側リール27bから引き出された第1上側テープ31a及び第2上側テープ31bは、前方向へ渡された後、上側アイドルプーリ33を介して引き回されることにより後方向へ折り返される。さらに第1上側テープ31a及び第2上側テープ31bは、後述する可動ガイド40に設けられた従動ローラ42によりドラム21に押し当てられ、その先端部が当該ドラム21に固定されている。
【0045】
第1下側リール35aは、第1上側リール27aと同様に糸巻き状に構成されており、当該第1上側リール27aの下方、すなわちドラム21の下側に設けられ、ドラム軸25と平行にフレーム23に取り付けられたリール軸36を中心に回転する。この第1下側リール35aは、第1上側テープ31aと同じテープ幅でなるテープとしての第1下側テープ37aが巻き付けられている。
【0046】
第2下側リール35bは、第1下側リール35aと同様に糸巻き状に構成されており、第2上側リール27bの下方、すなわちドラム21の下側であり、当該第1下側リール35aの左側に紙幣BLの紙幣幅よりも狭い間隔を空けて設けられ、リール軸36を中心に回転する。この第2下側リール35bは、第2上側テープ31bと同じテープ幅でなるテープとしての第2下側テープ37bが巻き付けられている。
【0047】
以下では、第1下側リール35a及び第2下側リール35bを下側リール35とも呼び、第1下側テープ37a及び第2下側テープ37bを下側テープ37とも呼ぶ。また第1上側テープ31a及び第1下側テープ37aを第1テープ組と、第2上側テープ31b及び第2下側テープ37bを第2テープ組とも呼ぶ。
【0048】
下側テープ37は、上側テープ31と同様に樹脂でなり、その左右方向のテープ幅が紙幣BLの長辺よりも十分に短くなっている。
【0049】
このように第1下側テープ37aと第2下側テープ37bとは、左右方向に紙幣BLの紙幣幅よりもやや狭い間隔を空けて、並行に設けられている。
【0050】
また上側アイドルプーリ33の下方には、ドラム軸25と平行な回転軸を中心に回転する下側アイドルプーリ39が左右方向に2つ並んで設けられている。
【0051】
第1下側リール35a及び第2下側リール35bから引き出された第1下側テープ37a及び第2下側テープ37bは、前方向へ渡された後、下側アイドルプーリ39を介して引き回されることにより後方向へ向かう。
【0052】
さらに第1下側テープ37a及び第2下側テープ37bは、後述する可動ガイド40に設けられた従動ローラ42によりドラム21に押し当てられ、その先端部が当該ドラム21の周側面における右端部近傍及び左端部近傍にそれぞれ固定されている。
【0053】
また第1上側テープ31a及び第2上側テープ31bは、その先端がドラム21の周側面において第1下側テープ37a及び第2下側テープ37bの外周側にそれぞれ重なるように、右端部近傍及び左端部近傍に固定されている。
【0054】
一方可動ガイド40は、ドラム21の左右方向とほぼ同様の幅を有する板状に形成され、上側アイドルプーリ33近傍からドラム21の上部まで延びている。また可動ガイド40は、その前端にドラム軸25と平行に延びる回転軸45が設けられることにより、当該回転軸45を支点として回転可能に構成されると共に、図示しない弾性材により後端部がドラム21側(下側)へ付勢されている。
【0055】
さらに可動ガイド40の後端近傍には、従動ローラ42が取り付けられており、ドラム21の回転に従動して回転し、ドラム21に巻き取られた紙幣BLの外周面に当接する。
【0056】
下側アイドルプーリ39には、紙幣BLの幅方向よりも左右方向に広がり可動ガイド40に対向する位置に板状の搬送ガイド44が設けられている。この搬送ガイド44は、紙幣BLを一時保留部5から外部へ繰り出す際、当該BLを上側アイドルプーリ33と下側アイドルプーリ39との間に導くようガイドする。
【0057】
このように、可動ガイド40と、当該可動ガイド40に対向して設けられた搬送ガイド44との隙間及び当該可動ガイド40の下側面に渡って搬送路が形成されている。
【0058】
ここで、ドラム21にテープ及び紙幣BLが巻き取られていくと、巻き取られたテープ及び紙幣BLを含むドラム21の見かけ上の外径が増加していく。搬送ガイド44はドラム21の見かけ上の外径が最大となる際において、巻き取られたテープ及び紙幣BLに接触しない位置に設けられている。このため搬送ガイド44とドラム21との間には、ドラム21から巻き戻された下側テープ37の下方近傍に紙幣BLの下側面を保持する各種部品が設けられていない空間SPが存在する。
【0059】
紙幣BLを収納する際一時保留部5は、ドラム21を巻取方向R1へ回転させ、その周側面に下側テープ37及び上側テープ31を重ねるようにして巻き付けていく。
【0060】
紙幣入出口22を介して挿入された紙幣BLは、上側テープ31及び下側テープ27により上下から挟まれた状態で搬送され、ドラム21の周側面に巻き付けられる。
【0061】
ドラム21は、多数の紙幣BLが順次巻き付けられるに連れて、見かけ上の外径が増加していく。これに応じて可動ガイド40は、回転軸45を支点としてドラム21により上方向へ徐々に持ち上げられる。
【0062】
これにより可動ガイド40は、ドラム21に巻き取られた紙幣BLに従動ローラ42を常に当接させることができる。このため可動ガイド40は、ドラム21が回転する際に、長辺方向に折れ曲がる恐れを有しながらも上側テープ31及び下側テープ37により挟持された紙幣BLを、長辺方向に伸ばしながら当該ドラム21の周側面に押し付けるようガイドすることができる。
【0063】
一方紙幣BLを繰り出す際一時保留部5は、ドラム21を巻戻方向R2へ回転させると共に、上側リール27を図中時計回りに、下側リール35を図中反時計回りにそれぞれ回転させることにより、上側テープ31を上側リール27の周側面に、下側テープ37を下側リール35の周側面に巻き付けていく。
【0064】
これにより紙幣BLは、ドラム21から放出され、上側テープ31と下側テープ37との間を搬送されながら空間SPの上方を通過し、搬送ガイド44によりガイドされて搬送入出口22から一時保留部5の外部に繰り出される。
【0065】
このとき、図4に示すように、紙幣BLにおける幅方向のほぼ中央部に、繰り出される際の搬送方向の先端から後ろ方向へ向かって切れ目50が存在したとする。
【0066】
第1上側テープ31a及び第1下側テープ37aは、紙幣BLにおける切れ目50の右側を上下方向から挟持する。また第2上側テープ31b及び第2下側テープ37bは、紙幣BLにおける切れ目50の左側を上下方向から挟持する。
【0067】
すなわち一時保留部5は、紙幣BLの切れ目50の左右両側の上側面と下側面とを挟持する。このため一時保留部5は、紙幣BLが空間SPの上方を通過する際に、紙幣BLの一部が切れ目50から垂れ下がることを防止できる。
【0068】
[1−3.テープ幅及びテープ位置の条件]
ところで一時保留部5を含む現金自動預払機1においては、図5に示すように紙幣BLが搬送される搬送路において、紙幣BLの搬送幅51が予め決められている。
【0069】
この搬送幅51は、右側搬送限界ライン52aと左側搬送限界ライン52bとの間の距離を示している。右側搬送限界ライン52aは、紙幣BLが搬送される際に当該紙幣BLが通過する右端のラインであり、現金自動預払機1においてそれ以上右側に紙幣BLが位置しないよう設定されている。紙幣BLは、右側搬送限界ライン52aよりも右側に位置ずれしないよう、例えば紙幣入出金口12(図1)の幅方向の長さの設定等により物理的にその位置が規制されている。
【0070】
左側搬送限界ライン52bは、紙幣BLが搬送される際に当該紙幣BLが通過する左端のラインである。紙幣BLは、左側搬送限界ライン52bよりも左側に位置ずれしないよう、例えば紙幣入出金口12の幅方向の長さの設定等により物理的にその位置が規制されているため、左側搬送限界ライン52bを超えて位置ずれすることはない。
【0071】
現金自動預払機1は、紙幣BLを搬送する際に障害となる各種部品を、右側搬送限界ライン52aと左側搬送限界ライン52bとの間を避けるように配置している。
【0072】
また搬送幅51は、当該現金自動預払機1において取り扱われる紙幣BLのうちの最大の紙幣幅よりも大きく設計されている。
【0073】
これにより、紙幣BLが左右方向にずれたり、傾いてスキューしたりしても、現金自動預払機1は、当該現金自動預払機1内部の部品等に紙幣BLを衝突させることなく、正常に搬送することができる。
【0074】
本実施の形態における一時保留部5は、第1上側テープ31a及び第1下側テープ37a(第1テープ組)の右端と、第2上側テープ31b及び第2下側テープ37b(第2テープ組)の左端との間に紙幣BLの切れ目50が位置している場合、すなわち切れ目50の左右にテープが配置されている場合、紙幣BLの垂れ下がりを防止できる。
【0075】
逆に第1上側テープ31a及び第1下側テープ37aよりも右側、若しくは第2上側テープ31b及び第2下側テープ37bよりも左側、すなわちテープの左右の外側に紙幣BLの切れ目50が位置している場合、当該切れ目50の外側部分はテープにより保持されないため、垂れ下がってしまう。
【0076】
これに対応するため、第1上側テープ31a及び第1下側テープ37aを可能な限り右側に、第2上側テープ31b及び第2下側テープ37bを可能な限り左側に配置すれば良いとも考えられる。
【0077】
しかしながらその場合、例えば紙幣BLが左側に位置ずれした際、当該紙幣BLの右端が、第1上側テープ31a及び第1下側テープ37aの左端よりも左側に位置してしまう可能性がある。
【0078】
そのような場合、紙幣BLは第1上側テープ31a及び第1下側テープ37aにより挟持されないため、第2上側テープ31b及び第2下側テープ37bのみにより挟持される状態になる。
【0079】
この状態では、従来の一時保留部705(図25)と同様に、上下から1本ずつのテープのみにより紙幣BLの一側面及び他側面が挟持されることになってしまうため、紙幣BLが切れ目50からたわみ、搬送ガイド44に衝突してしまう可能性がある。
【0080】
このため本実施の形態による一時保留部5においては、紙幣BLにおける切れ目50を左右両側からテープにより保持しつつ、紙幣BLが左右に位置ずれした場合においても紙幣BLを左右2組のテープにより常に挟持するようにテープ幅及びテープ位置等が設定されている。
【0081】
具体的には、図6に示すように、右端が右側搬送限界ライン52a上に位置した状態の紙幣を紙幣BLRと、左端が左側搬送限界ライン52b上に位置した状態の紙幣を紙幣BLLとする。なお、図6において第2下側テープ37bは省略している。
【0082】
また、右側搬送限界ライン52aからそれぞれ、紙幣BLRの切れ目50までの距離を距離L1、第1下側テープ37aの右端までの距離を距離L2、紙幣BLLの右端までの距離を距離L3とする。さらに第1下側テープ37aのテープ幅を長さL4としたとき、(1)式が成り立つようにする。
【0083】
(数1)
L2<L1……(1)
【0084】
(1)式は、紙幣BLRの切れ目50よりも第1下側テープ37aの右端の方が右側(外側)に位置する条件を表している。これにより一時保留部5は、紙幣BLが最も右側に位置ずれした状態(紙幣BLR)においても、第1下側テープ37aにより紙幣BLRの切れ目50の外側を保持することができる。
【0085】
さらに一時保留部5は、(2)式が成り立つようにしている。
【0086】
(数2)
L2>L3−L4……(2)
【0087】
(2)式は、紙幣BLLの右端よりも第1下側テープ37aの左端の方が左側(内側)に位置することを表している。これにより一時保留部5は、紙幣BLが最も左側に位置ずれした状態(紙幣BLL)においても、第1下側テープ37aにより紙幣BLLを保持することができる。
【0088】
(1)式と(2)式とを組み合わせると、下記(3)式が成り立つ。すなわち一時保留部5においては、(3)式が成り立つように、紙幣BLの位置及び切れ目50の位置に対する第1下側テープ37a(すなわち第1テープ組)のテープ位置及びテープ幅が設定されている。
【0089】
(数3)
L3−L4<L2<L1……(3)
【0090】
ところで上述したように、紙幣BLは市場で流通する過程において折り目を付けて折り曲げられて扱われることがある。同じ折り目から折り曲げられることを繰り返されると、紙幣BLはその折り目から切れやすくなる。
【0091】
また、紙幣BLは長辺方向に2つ折り又は4つ折りにされることが多いため、紙幣BLの長手方向の中央部分、又は長手方向の両端から長手方向長さの1/4だけ内側部分が、特に切れ目が入りやすい。
【0092】
そこで一時保留部5は、上述した切れ目50を、紙幣BLの右端から紙幣幅の1/4だけ左側に寄った位置と設定している。また、紙幣BLの長手方向の中央部分もまた切れやすいが、当該中央部分は、紙幣BLが左右に位置ずれしたとしても、通常はテープにより外側を挟持されるため、上述した条件においては、紙幣BLの右端から紙幣幅の1/4だけ左側に寄った位置に切れ目50が存在することとした。
【0093】
このとき、紙幣BLの紙幣幅を長さLa、搬送幅51を長さLbとすると、距離L1はLa/4、距離L3はLb−Laとなるので、この距離L1と距離L3とを(3)式に代入すると、(4)式が成り立つ。
【0094】
(数4)
Lb−La−L4<L2<La/4……(4)
【0095】
このように、一時保留部5においては、紙幣の端から紙幣幅の1/4の位置に存在する可能性が高い切れ目に対応するため、現金自動預払機1において取り扱われる紙幣BLの紙幣幅の長さLa及び搬送幅の長さLbに対し、(4)式を満たすように第1下側テープ37aのテープ位置及びテープ幅が設定されている。
【0096】
ところで、現金自動預払機1においては、複数種類のサイズの紙幣が取り扱われる。紙幣幅の長さLaが短い紙幣の場合、その分距離L1もまた短くなるため、第1下側テープ37aを右側に位置させる必要がある。一方紙幣幅の長さLaが短くなると、その分距離L3は長くなるため、第1下側テープ37aを過度に右側に位置させると当該第1下側テープ37aが紙幣自体を挟持できなくなる。
【0097】
このように、紙幣幅の長さLaが短くなると、(4)式を満足させることが厳しくなっていくが、一時保留部5においては、そのような紙幣幅の長さLaが最も短い紙幣であっても、(4)式を満たすように設定されている。
【0098】
これにより一時保留部5は、当該一時保留部5において取り扱う全ての種類の紙幣を、常に左右2組のテープで挟持しつつ、紙幣に生じた切れ目の左右両側を左右2組のテープで挟持することにより、紙幣の一部をたわませることなく、搬送することができる。
【0099】
以上においては、紙幣BLにおける右端から紙幣幅の1/4の距離に切れ目50が存在する紙幣BLと第1下側テープ37a(すなわち第1テープ組)のテープ位置及びテープ幅との関係について述べたが、図7に示すように、紙幣BLにおける左端から紙幣幅の1/4の距離に切れ目50が存在する紙幣BLと第2下側テープ37b(すなわち第2テープ組)とについては、上述した説明における左右方向を反転して設定すれば良い。
【0100】
具体的には、左側搬送限界ライン52bからそれぞれ、紙幣BLLの切れ目50までの距離を距離L11、第2下側テープ37bの左端までの距離を距離L12、紙幣BLRの左端までの距離を距離L13とする。さらに第2下側テープ37bのテープ幅を長さL14とする。
【0101】
そして、上述した距離L1、L2、L3及び長さL4を距離L11、L12、L13及び長さL14に置き換えて、(1)〜(4)式が成り立つようにすれば良い。
【0102】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、一時保留部5は、紙幣BLを繰り出す際、回転可能に設けられた第1の一側リールとしての第1上側リール27aの周側面に、紙幣BLの一側面としての上側面に当接する第1の一側テープとしての第1上側テープ31aを巻き付けていく。
【0103】
また一時保留部5は、回転可能に設けられた第2の一側リールとしての第2上側リール27bの周側面に、左右方向に紙幣幅よりも短い間隔を空けて第1の上側テープ31aと並列に設けられ、紙幣BLの上側面に当接する第2の一側テープとしての第2上側テープ31bをそれぞれ巻き付けていく。
【0104】
それと共に一時保留部5は、回転可能に設けられた第1の他側リールとしての第1下側リール35aの周側面に、紙幣BLを挟んで第1の上側テープ31aと対向する位置に設けられ、紙幣BLの他側面としての下側面に当接する第1の他側テープとしての第1下側テープ37aを巻き付けていく。
【0105】
また一時保留部5は、回転可能に設けられた第2の他側リールとしての第2下側リール35bの周側面に、紙幣BLを挟んで第2の上側テープ31bと対向する位置に設けられ、紙幣BLの下側面に当接する第2の他側テープとしての第2下側テープ37bを巻き付けていく。
【0106】
これにより紙幣BLは、ドラム21から放出され、上側テープ31と下側テープ37との間を搬送されながら空間SPの上方を通過し、搬送ガイド44によりガイドされて搬送入出口22から一時保留部5の外部に繰り出される。
【0107】
このとき一時保留部5は、第1上側テープ31aと第1下側テープ37aとにより紙幣BLの右端部近傍を上下方向から挟持すると共に、第2上側テープ31bと第2下側テープ37bとにより紙幣BLの左端部近傍を上下方向から挟持する。
【0108】
このため一時保留部5は、紙幣BLの切れ目50が、第1テープ組の右端と第2テープ組の左端との間に位置する場合、この切れ目50の左右部分をそれぞれ上下方向から挟持することができる。
【0109】
これにより一時保留部5は、図8に示すように空間SP部分を搬送する間に紙幣BLが切れ目から上方向又は下方向にめくれることを防ぎながら、搬送ガイド44まで搬送し、一時保留部5の外部に繰り出すことができる。かくして一時保留部5は、紙幣BLが搬送ガイド44に衝突してしまうことを防止することができる。
【0110】
ところで、図9(b)に示すように、紙幣BLの下側面を2本のテープにより保持し、当該下側面の2本のテープとは紙幣の厚み方向に重複しない位置で、紙幣BLの上側面を1本のテープにより保持する紙幣収納繰出装置(例えば特開2008−123093)が提案されている。
【0111】
しかしながらこの紙幣収納繰出装置の場合、紙幣BLに対しテープが1本しか設けられていない上側面に関しては、従来と同程度にしか紙幣BLを保持できない。
【0112】
また図9(b)下図に示すように、紙幣BLの長辺方向(図中左右方向)の中央部がたわむようにカールしている紙幣BLについては、そのような構成の3本のテープでは挟持することができない。このため紙幣BLは垂れ下がり、搬送ガイド等に衝突してしまう可能性がある。
【0113】
これに対し本実施の形態による一時保留部5は、左右方向に並行して設けられた第1上側テープ31a及び第2上側テープ31bと、当該第1上側テープ31a及び第2上側テープ31bに対向する第1下側テープ37a及び第2下側テープ37bとを設けている。
【0114】
これにより図9(a)に示すように一時保留部5は、カールしている紙幣BLの左右部分を上下方向からそれぞれ挟持することができる。このため一時保留部5は、紙幣BLの左右方向の中央部分の垂れ下がりを抑止することができる。
【0115】
以上の構成によれば、一時保留部5は、第1上側テープ31aと第1下側テープ37aとにより紙幣BLの右端部近傍を上下方向から挟持すると共に、第2上側テープ31bと第2下側テープ37bとにより紙幣BLの左端部近傍を上下方向から挟持する。
【0116】
このため一時保留部5は、紙幣BLにおける切れ目50の左右両側を挟持することができる。
【0117】
これにより一時保留部5は、紙幣BLの先端が搬送中にめくれることを防止することができる。かくして現金自動預払機1は、紙幣BLのジャムを防ぎ、信頼性を格段に高めることができる。
【0118】
<2.第2の実施の形態>
[2−1.一時保留部の構成]
図1及び図2に示す第2の実施の形態による現金自動預払機101は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比べて、一時保留部105が一時保留部5と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0119】
第2の実施の形態による現金自動預払機101は、現金自動預払機1とは異なり、図10に示す紙幣BL1を取り扱っている。
【0120】
紙幣BL1は、その長辺の一端から他端まで短辺方向に沿って直線状に織り込まれた薄型帯状でなるセキュリティ用のスレッド60を有している。
【0121】
このスレッド60は、紙幣BL1の紙部分62とは異なる材質でなり、一般的に紙部分62よりも固く形成されている。スレッド60と紙部分62との境目は、材質の違いにより、切れ目が入りやすい傾向にある。
【0122】
このため紙幣BL1は、そのような切れ目から当該紙幣BL1の一部が搬送中にめくれてしまう可能性がある。
【0123】
第2の実施の形態による一時保留部105においては、スレッド60を有する紙幣BL1に対し、切れ目の入りやすいスレッド60と紙部分62との境目を左右両側からテープにより保持しつつ、紙幣BL1が左右に位置ずれした場合においても紙幣BL1を左右2組のテープにより常に挟持するようにテープ幅及びテープ位置等が設定されている。
【0124】
[2−2.スレッドに対するテープ幅及びテープ位置の条件]
具体的には、図10に示したように、右端が右側搬送限界ライン52a上に位置した状態の紙幣を紙幣BL1Rと、左端が左側搬送限界ライン52b上に位置した状態の紙幣を紙幣BL1Lとする。なお、図10において第2下側テープ137bは省略している。
【0125】
また、右側搬送限界ライン52aからそれぞれ、紙幣BL1Rにおけるスレッド60の右端までの距離を距離L5、第1下側テープ137aの右端までの距離を距離L6、紙幣BL1Lの右端までの距離を距離L7とする。さらに第1下側テープ137aのテープ幅を長さL8したとき、(5)式が成り立つようにする。
【0126】
なおスレッド60の左端は右端よりも内側に位置しており、当該スレッド60の右端の外側を第1下側テープ137aで保持できていれば、スレッド60の左端の外側を保持できていることになるため、左端については条件から省略する。
【0127】
(数5)
L7<L6……(5)
【0128】
(5)式は、紙幣BL1Rにおけるスレッド60の右端よりも第1下側テープ137aの右端の方が右側(外側)に位置する条件を表している。これにより一時保留部105は、紙幣BL1が最も右側に位置ずれした状態(紙幣BL1R)においても、第1下側テープ137aにより紙幣BL1Rにおけるスレッド60の右端を保持することができる。
【0129】
さらに一時保留部105は、(6)式が成り立つようにしている。
【0130】
(数6)
L6>L7−L8……(6)
【0131】
(6)式は、紙幣BL1Lの右端よりも第1下側テープ137aの左端の方が左側(内側)に位置することを表している。これにより一時保留部105は、紙幣BL1が最も左側に位置ずれした状態(紙幣BL1L)においても、第1下側テープ137aにより紙幣BLLを保持することができる。
【0132】
(5)式と(6)式とを組み合わせると、下記(7)式が成り立つ。すなわち一時保留部105においては、(7)式が成り立つように、紙幣BL1の位置及びスレッド60の位置に対する第1下側テープ137a(すなわち第1テープ組)のテープ位置及びテープ幅が設定されている。
【0133】
(数7)
L7−L8<L6<L5……(7)
【0134】
第1の実施の形態と同様、現金自動預払機101においては、複数種類のサイズの紙幣が取り扱われる。一時保留部105は、そのような紙幣のうち、紙幣幅の長さLaが最も短い紙幣であっても、(7)式を満たすように設定されている。
【0135】
また現金自動預払機101においては、紙幣の種類によって、紙幣における長辺方向の様々な位置にスレッドが設けられている。
【0136】
紙幣の右端からスレッドの右端までの距離が短い紙幣の場合、その分距離L5もまた短くなるため、第1下側テープ137aを右側に位置させる必要がある。しかしながら第1下側テープ137aを過度に右側に位置させると当該第1下側テープ137aが紙幣自体を挟持できなくなる。
【0137】
一時保留部105は、取り扱う複数種類の紙幣のうち、最もスレッドが外側に寄って設けられている紙幣であっても、(7)式を満たすように設定されている。
【0138】
これにより一時保留部105は、当該一時保留部105において取り扱う全ての種類の紙幣を、常に左右2組のテープで挟持しつつ、紙幣に設けられたスレッド60と紙部分62との境目において発生する恐れのある切れ目の位置の両側を左右2組のテープで保持することにより、紙幣の一部をたわませることなく、搬送することができる。
【0139】
以上においては、紙幣BL1における右端寄りにスレッド60が設けられている場合について述べたが、図11に示すように、紙幣BL1における左端寄りにスレッド60が設けられている場合においては、上述した説明における左右方向を反転して設定すれば良い。
【0140】
具体的には、左側搬送限界ライン52bからそれぞれ、紙幣BL1Lにおけるスレッド60の左端までの距離を距離L15、第2下側テープ137bの左端までの距離を距離L16、紙幣BL1Rの左端までの距離を距離L17とする。さらに第2下側テープ137bのテープ幅を、長さL18とする。
【0141】
そして、上述した距離L5、L6、L7及び長さL8を距離L15、L16、L17及び長さL18に置き換えて、(5)〜(7)式が成り立つようにすれば良い。
【0142】
以上の構成によれば、一時保留部105は、スレッド60が設けられた紙幣BL1を常に左右2組のテープで挟持しつつ、切れ目が発生する恐れのある、紙幣BL1に設けられたスレッド60と紙部分62との境目部分の両側をテープで保持することにより、紙幣の一部を反らせることなく、搬送することができる。
【0143】
<3.第3の実施の形態>
[3−1.一時保留部の構成]
図1及び図2に示す第3の実施の形態による現金自動預払機201は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比べて、一時保留部205が一時保留部5と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0144】
一時保留部205は、図12と、図12(a)を矢印B方向から見た矢視図を図13に示すように、一時保留部5(図3及び図4)と比べて下側リール35及び下側テープ37を有していない一方、スクレーパ70が設けられている。
【0145】
スクレーパ70は、第1上側テープ31aの下部において紙幣BLを挟んで当該第1上側テープ31aと対向する位置に設けられた第1スクレーパ70aと、第2上側テープ31bの下部において紙幣BLを挟んで当該第2上側テープ31bと対向する位置に設けられた第2スクレーパ70bとから構成されている。
【0146】
すなわち、第1スクレーパ70aと第2スクレーパ70bとは互いに、第1上側テープ31aと第1上側テープ31bとの間の距離と同じ間隔を空けて、第1上側テープ31a及び第2上側テープ31bの下部にそれぞれ設けられている。
【0147】
また第1スクレーパ70a及び第2スクレーパ70bは、下側アイドルプーリ39の回転軸を軸として互いに独立して回転可能に設けられ、ドラム21まで伸びており、図示しない弾性材により後方端部がドラム21側(下側)へ付勢されている。
【0148】
また第1スクレーパ70a及び第2スクレーパ70bは、前端部から後端部に向かうに連れて左右方向の幅が細くなっており、ドラム21に巻かれたテープに接触する後端部が、最も幅が狭い最小幅部分となっている。さらに第1スクレーパ70a及び第2スクレーパ70bは、後端部の幅が上側第1テープ31a及び上側第2テープ31bのテープ幅よりもそれぞれ短く構成されている。
【0149】
これにより第1スクレーパ70aの後端部は、ドラム21に巻かれた第1上側テープ31aの外周面に常時接触する。同様に第2スクレーパ70bの後端部は、ドラム21に巻かれた第2上側テープ31bの外周面に常時接触する。
【0150】
紙幣BLを収納する際、一時保留部205は、ドラム21を巻取方向R1へ回転させると、その周側面に上側テープ31を巻き付けていく。
【0151】
紙幣入出口22を介して挿入された紙幣BLは、上側テープ31により外周側から抑えられるようにして、ドラム21の周側面に巻き付けられる。
【0152】
可動ガイド40は、紙幣BLが順次巻き付けられるに連れて見かけ上の外径が増加していくドラム21によって回転軸45を支点として上方向へ徐々に持ち上げられることにより従動ローラ42を常にドラム21に当接させ、上側テープ31により抑えられた紙幣BLをドラム21の周側面に押し付けるようガイドする。
【0153】
一方紙幣BLを繰り出す際、一時保留部205は、ドラム21を巻戻方向R2へ回転させると共に、上側リール27を図中時計回りに回転させることにより、上側テープ31を上側リール27の周側面に巻き付けていく。
【0154】
これにより紙幣BLは、ドラム21における上側テープ31からスクレーパ70により剥離され、空間SPの上方を通過し、搬送ガイド44によりガイドされて搬送入出口22から一時保留部5の外部に繰り出される。
【0155】
このとき、図13に示したように、紙幣BLにおける幅方向のほぼ中央部に、先端から後ろ方向へ向かって切れ目50が存在したとする。
【0156】
第1スクレーパ70a及び第2スクレーパ70bは、紙幣BLにおける切れ目50の右側及び左側の下側面に設けられ、当該紙幣BLを下側から保持することにより、紙幣BLの一部が切れ目50から垂れることを防止することができる。
【0157】
[3−2.スクレーパ幅及びテープ位置の条件]
本実施の形態における一時保留部205は、第1スクレーパ70aの最小幅部分における右端と、第2スクレーパ70bの最小幅部分における左端との間に紙幣BLの切れ目50が位置している場合、すなわち切れ目50の左右にスクレーパ70が配置されている場合、紙幣BLの垂れ下がりを防止できる。
【0158】
しかしながら第1スクレーパ70aの最小幅部分よりも右側、若しくは第2スクレーパ70bの最小幅部分よりも左側、すなわちスクレーパ70の左右の外側に紙幣BLの切れ目50が位置している場合、当該切れ目50の外側部分はスクレーパ70により保持されないため、垂れ下がってしまう。
【0159】
これに対応するため、第1スクレーパ70aを可能な限り右側に、第2スクレーパ70bを可能な限り左側に配置すれば良いとも考えられる。
【0160】
しかしながらその場合、例えば紙幣BLが左側に位置ずれした際、当該紙幣BLの右端が、第1スクレーパ70aの最小幅部分における左端よりも左側に位置してしまう可能性がある。
【0161】
そのような場合、紙幣BLは第1スクレーパ70aにより保持されないため、第2スクレーパ70bのみにより保持される状態になる。
【0162】
この状態では、上側面からは1本のテープのみで、下側面からは1つのスクレーパのみで保持されるだけになってしまうため、紙幣BLが切れ目50からたわみ、搬送ガイド44に衝突してしまう可能性がある。
【0163】
このため本実施の形態による一時保留部205においては、紙幣BLにおける切れ目50を左右両側の下方からスクレーパ70により保持しつつ、紙幣BLが左右に位置ずれした場合においても紙幣BLを左右2つのスクレーパ70により常に保持するようにスクレーパ70の最小幅部分の幅(以下では、スクレーパ幅とも呼ぶ)及びスクレーパ位置等が設定されている。
【0164】
具体的には、図14に示すように右側搬送限界ライン52aからそれぞれ、紙幣BLRの切れ目50までの距離を距離L21、第1スクレーパ70aの最小幅部分における右端までの距離を距離L22、紙幣BLLの右端までの距離を距離L23とする。さらに第1スクレーパ70aのスクレーパ幅を長さL24としたとき、(8)式が成り立つようにする。なお、図14において第2スクレーパ70bは省略している。
【0165】
(数8)
L22<L21……(8)
【0166】
(8)式は、紙幣BLRの切れ目50よりも第1スクレーパ70aの最小幅部分における右端の方が右側(外側)に位置する条件を表している。これにより一時保留部205は、紙幣BLが最も右側に位置ずれした状態(紙幣BLR)においても、第1スクレーパ70aにより紙幣BLRの切れ目50の外側を保持することができる。
【0167】
さらに一時保留部205は、(9)式が成り立つようにしている。
【0168】
(数9)
L22>L23−L24……(9)
【0169】
(9)式は、紙幣BLLの右端よりも第1スクレーパ70aの最小幅部分における左端の方が左側(内側)に位置することを表している。これにより一時保留部205は、紙幣BLが最も左側に位置ずれした状態(紙幣BLL)においても、第1スクレーパ70aにより紙幣BLLを保持することができる。
【0170】
(8)式と(9)式とを組み合わせると、下記(10)式が成り立つ。すなわち一時保留部205においては、(10)式が成り立つように、紙幣BLの位置及び切れ目50の位置に対する第1スクレーパ70aのスクレーパ位置及びスクレーパ幅が設定されている。
【0171】
(数10)
L23−L24<L22<L21……(10)
【0172】
ところで上述したように、紙幣BLは長辺方向に2つ折り又は4つ折りにされることが多いため、紙幣BLの長手方向の中央部分、又は長手方向の両端から長手方向長さの1/4だけ内側部分が、特に切れ目が入りやすい。
【0173】
そこで一時保留部205は、上述した切れ目50を、紙幣BLの右端から紙幣幅の1/4だけ左側に寄った位置と設定している。また、紙幣BLの長手方向の中央部分もまた切れやすいが、当該中央部分は、紙幣BLが左右に位置ずれしたとしても、通常はスクレーパにより外側を保持されるため、上述した条件においては、紙幣BLの右端から紙幣幅の1/4だけ左側に寄った位置に切れ目50が存在することとした。
【0174】
このとき、紙幣BLの紙幣幅を長さLa、搬送幅51を長さLbとすると、距離L21はLa/4、距離L23はLb−Laとなるので、この距離L21と距離L23とを(10)式に代入すると、(11)式が成り立つ。
【0175】
(数11)
Lb−La−L24<L22<La/4……(11)
【0176】
このように、一時保留部205においては、紙幣の端から紙幣幅の1/4の位置に存在する可能性が高い切れ目に対応するため、現金自動預払機201において取り扱われる紙幣BLの紙幣幅の長さLa及び搬送幅の長さLbに対し、(11)式を満たすように第1スクレーパ70aのスクレーパ位置及びスクレーパ幅が設定されている。
【0177】
ところで、現金自動預払機201においては、複数種類のサイズの紙幣が取り扱われる。紙幣幅の長さLaが短い紙幣の場合、その分距離L21もまた短くなるため、第1スクレーパ70aを右側に位置させる必要がある。一方紙幣幅の長さLaが短くなると、その分距離L23は長くなるため、第1スクレーパ70aを過度に右側に位置させると第1スクレーパ70aが紙幣自体を保持できなくなる。
【0178】
このように、紙幣幅の長さLaが短くなると、(11)式を満足させることが厳しくなっていくが、一時保留部205においては、そのような紙幣幅の長さLaが最も短い紙幣であっても、(11)式を満たすように設定されている。
【0179】
これにより一時保留部205は、当該一時保留部205において取り扱う全ての種類の紙幣を、常に左右2つのスクレーパ70で保持しつつ、紙幣に生じた切れ目の左右両側を左右2つのスクレーパ70で保持することにより、紙幣の一部をたわませることなく、搬送することができる。
【0180】
以上においては、紙幣BLにおける右端から紙幣幅の1/4の距離に切れ目50が存在する紙幣BLと第1スクレーパ70aのスクレーパ位置及びスクレーパ幅との関係について述べたが、図15に示すように、紙幣BLにおける左端から紙幣幅の1/4の距離に切れ目50が存在する紙幣BLと第2スクレーパ70bとについては、上述した説明における左右方向を反転して設定すれば良い。
【0181】
具体的には、左側搬送限界ライン52bからそれぞれ、紙幣BLLの切れ目50までの距離を距離L31、第2スクレーパ70bの最小幅部分における左端までの距離を距離L32、紙幣BLRの左端までの距離を距離L33とする。さらに第2スクレーパ70bの最小幅部分におけるスクレーパ幅を長さL34とする。
【0182】
そして、上述した距離L21、L22、L23及び長さL24を距離L31、L32、L33及び長さL34に置き換えて、(8)〜(11)式が成り立つようにすれば良い。
【0183】
[3−3.動作及び効果]
以上の構成において、一時保留部205は、紙幣BLを繰り出す際、回転可能に設けられた第1の一側リールとしての第1上側リール27aの周側面に、紙幣BLの一側面としての上側面に当接する第1の一側テープとしての第1上側テープ31aを巻き付けていく。
【0184】
また一時保留部205は、回転可能に設けられた第2の一側リールとしての第2上側リール27bの周側面に、左右方向に紙幣幅よりも短い間隔を空けて第1の上側テープ31aと並列に設けられ、紙幣BLの上側面に当接する第2の一側テープとしての第2上側テープ31bをそれぞれ巻き付けていく。
【0185】
これにより紙幣BLは、ドラム21における第1上側テープ31a及び第2上側テープ31bからそれぞれ第1スクレーパ70a及び第2スクレーパ70bにより剥がされ、空間SPの上方を通過し、搬送ガイド44によりガイドされて搬送入出口22から一時保留部205の外部に繰り出される。
【0186】
このとき一時保留部205は、第1スクレーパ70aにより紙幣BLの右端部近傍を下方向から保持すると共に、第2スクレーパ70bにより紙幣BLの左端部近傍を下方向から保持する。
【0187】
このため一時保留部205は、紙幣BLの切れ目50が、第1スクレーパ70aの最小幅部分における右端と第2スクレーパ70bの最小幅部分における左端との間に位置する場合、この切れ目50の左右部分をそれぞれ下方向から保持することができる。
【0188】
これにより一時保留部205は、空間SP部分を搬送する間に紙幣BLが切れ目から下方向にめくれることを防ぎながら、搬送ガイド44まで搬送し、一時保留部205の外部に繰り出すことができる。かくして一時保留部205は、紙幣BLが搬送ガイド44に衝突してしまうことを防止することができる。
【0189】
ところで一時保留部205においては、ドラム21に収納する紙幣BLの厚みが不均一であった等の場合、第1上側テープ31aがドラム21に巻かれている部分と、第2上側テープ31bがドラム21に巻かれている部分との見かけ上の外径が異なってしまう場合がある。
【0190】
そのような場合においても、第1スクレーパ70a及び第2スクレーパ70bは互いに独立して回動するようにしたため、それぞれがドラム21に巻かれた第1上側テープ31a及び第2上側テープ31bの外周面に常時当接することができ、ドラム21から紙幣を剥がすことができる。
【0191】
<4.第4の実施の形態>
[4−1.一時保留部の構成]
図1及び図2に示す第4の実施の形態による現金自動預払機301は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比べて、一時保留部305が一時保留部5と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0192】
第4の実施の形態による現金自動預払機301は、現金自動預払機1とは異なり、第2の実施の形態において述べた、スレッド60を有する図16に示す紙幣BL1を取り扱っている。
【0193】
第4の実施の形態による一時保留部305においては、スレッド60を有する紙幣BL1に対し、切れ目の入りやすいスレッド60と紙部分62との境目の左右両側をスクレーパ170により保持しつつ、紙幣BL1が左右に位置ずれした場合においても紙幣BL1を左右2つのスクレーパ170により常に保持するようにスクレーパ幅及びスクレーパ位置等が設定されている。
【0194】
[4−2.スレッドに対するスクレーパ幅及びスクレーパ位置の条件]
具体的には、図16に示したように、右側搬送限界ライン52aからそれぞれ、紙幣BL1Rにおけるスレッド60の右端までの距離を距離L25、第1スクレーパ170aの最小幅部分における右端までの距離を距離L26、紙幣BL1Lの右端までの距離を距離L27とする。さらに第1スクレーパ170aのスクレーパ幅を長さL28したとき、(12)式が成り立つようにする。なお、図16において第2スクレーパ170bは省略している。
【0195】
なおスレッド60の左端は右端よりも内側に位置しており、当該スレッド60の右端の外側を第1スクレーパ170aで保持できていれば、スレッド60の左端の外側を保持できていることになるため、左端については条件から省略する。
【0196】
(数12)
L27<L26……(12)
【0197】
(12)式は、紙幣BL1Rにおけるスレッド60の右端よりも第1スクレーパ170aの最小幅部分における右端の方が右側(外側)に位置する条件を表している。これにより一時保留部305は、紙幣BL1が最も右側に位置ずれした状態(紙幣BL1R)においても、第1スクレーパ170aにより紙幣BL1Rにおけるスレッド60の右端を保持することができる。
【0198】
さらに一時保留部305は、(13)式が成り立つようにしている。
【0199】
(数13)
L26>L27−L28……(13)
【0200】
(13)式は、紙幣BL1Lの右端よりも第1スクレーパ170aの最小幅部分における左端の方が左側(内側)に位置することを表している。これにより一時保留部305は、紙幣BL1が最も左側に位置ずれした状態(紙幣BL1L)においても、第1スクレーパ170aにより紙幣BLLを保持することができる。
【0201】
(12)式と(13)式とを組み合わせると、下記(14)式が成り立つ。すなわち一時保留部305においては、(14)式が成り立つように、紙幣BL1の位置及びスレッド60の位置に対する第1スクレーパ170aのスクレーパ位置及びスクレーパ幅が設定されている。
【0202】
(数14)
L27−L28<L26<L25……(14)
【0203】
第1の実施の形態と同様、現金自動預払機301においては、複数種類のサイズの紙幣が取り扱われる。一時保留部305は、そのような紙幣のうち、紙幣幅の長さLaが最も短い紙幣であっても、(14)式を満たすように設定されている。
【0204】
また現金自動預払機301においては、紙幣の種類によって、紙幣における長辺方向の様々な位置にスレッドが設けられている。
【0205】
一時保留部305は、取り扱う複数種類の紙幣のうち、最もスレッドが外側に寄って設けられている紙幣であっても、(14)式を満たすように設定されている。
【0206】
これにより一時保留部305は、当該一時保留部305において取り扱う全ての種類の紙幣を、常に左右2つのスクレーパ170で保持しつつ、紙幣に設けられたスレッド60と紙部分62との境目において発生する恐れのある切れ目の位置の両側を左右2つのスクレーパ170で保持することにより、紙幣の一部をたわませることなく、搬送することができる。
【0207】
以上においては、紙幣BL1における右端寄りにスレッド60が設けられている場合について述べたが、図17に示すように、紙幣BL1における左端寄りにスレッド60が設けられている場合においては、上述した説明における左右方向を反転して設定すれば良い。
【0208】
具体的には、左側搬送限界ライン52bからそれぞれ、紙幣BL1Lのスレッド60の左端までの距離を距離L35、第2スクレーパ170bの最小幅部分における左端までの距離を距離L36、紙幣BL1Rの左端までの距離を距離L37とする。さらに第2スクレーパ170bのスクレーパ幅を長さL38とする。
【0209】
そして、上述した距離L25、L26、L27及び長さL28を距離L35、L36、L37及び長さL38に置き換えて、(12)〜(14)式が成り立つようにすれば良い。
【0210】
以上の構成によれば、一時保留部305は、スレッド60が設けられた紙幣BL1を、常に左右2つのスクレーパ170で保持しつつ、切れ目が発生する恐れのある、紙幣BL1に設けられたスレッド60と紙部分62との境目部分の両側を左右2つのスクレーパ70で保持することにより、紙幣の一部を反らせることなく、搬送することができる。
【0211】
<5.第5の実施の形態>
[5−1.一時保留部の構成]
図1及び図2に示す第5の実施の形態による現金自動預払機401は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比べて、一時保留部405が一時保留部5と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0212】
第5の実施の形態による一時保留部405は、図18に示すように、第1上側リール27aと第2上側リール27bとの中間位置に第3上側リール27cが設けられると共に、第1上側テープ31aと第2上側テープ31bとの中間位置に、第3上側リール27cに巻かれ第1上側テープ31a及び第2上側テープ31bと同じテープ幅を有する第3上側テープ31cが設けられている。
【0213】
また一時保留部405は、第1下側リール35aと第2下側リール35bとの中間位置に第3下側リール35cが設けられている。
【0214】
さらに一時保留部405は、第1下側テープ37aと第2下側テープ37bとの中間位置に、第3下側リール35cに巻かれ第1下側テープ37a及び第2下側テープ37bと同じテープ幅を有し、紙幣BLを挟んで第3上側テープ31cに対向する位置に第3下側テープ37cが設けられている。
【0215】
[5−2.動作及び効果]
上述したように、紙幣BLは長辺方向に2つ折り又は4つ折りにされることが多いため、図19に示すように、紙幣BLの長手方向の中央部分に切れ目50bが、長手方向の両端から長手方向長さの1/4だけ内側部分に切れ目50aが入り、合計2箇所に切れ目が入ることがある。
【0216】
第1の実施の形態による一時保留部5(図3)においてそのような切れ目の入った紙幣を取り扱うと、第1下側テープ37a及び第2下側テープ37bは、紙幣BLの左右方向の外端部近傍に配置されているため、図20に示すように、第1下側テープ37aと第2下側テープ37bとの間に、2本の切れ目50a及び50bが共に位置してしまう可能性がある。
【0217】
そのような場合、第1下側テープ37aと第2下側テープ37b(すなわち第1テープ組と第2テープ組)とは、どちらも紙幣BLにおける切れ目50aと50bとの間部分を保持することができない。このため、紙幣BLにおける切れ目50aと50bとの間部分が、搬送中に垂れ下がってしまう恐れがある。
【0218】
これに対し本実施の形態による一時保留部405は、図18及び図21に示すように、それぞれ第1上側テープ31aと第2上側テープ31bとの間に第3上側テープ31cを、第1下側テープ37aと第2下側テープ37bとの間に第3下側テープ37cを、すなわち第1テープ組と第2テープ組との間に、第3テープ組を設けるようにした。これにより、一時保留部405は、切れ目50b部分を第3テープ組により挟持することができる。
【0219】
また、図22に示すように紙幣BLが例えば左側に位置ずれしたとしても、切れ目50aの左右両側には第3下側テープ37cと第1下側テープ37aとが、切れ目50bの左右両側には第2下側テープ37bと第3下側テープ37cとがそれぞれ設けられている。
【0220】
これにより一時保留部405は、それぞれ切れ目50a及び50bの左右両側をテープにより挟持することができる。
【0221】
このように、一時保留部405は、3本以上のテープ組を設けることにより、隣り合うテープ組同士の間に紙幣BLにおける2本以上の切れ目が位置しない限り、紙幣BLが切れ目から垂れ下がってしまうことを防止できる。
【0222】
<6.他の実施の形態>
なお上述した第1の実施の形態においては2組のテープ組を、第5の実施の形態においては3組のテープ組を左右方向に並べて配置したが、本発明はこれに限らず、4組以上のテープ組を左右方向に並べて配置して良い。
【0223】
この場合、テープ組同士の間隔が狭まるため、テープ組同士の間に切れ目が2本以上位置する可能性を下げることができる。
【0224】
また上述した第3の実施の形態においては、2つのスクレーパ70を左右方向に並べて配置したが、本発明はこれに限らず、3つ以上の上側テープを設け、当該上側テープに対応させて3つ以上のスクレーパを設けても良い。
【0225】
さらに上述した実施の形態においては、長辺方向端から紙幣幅の1/4だけ内側の位置の切れ目に対応させてテープ位置及びテープ幅、並びにスクレーパ位置及びスクレーパ幅を設定したが、本発明はこれに限らず、現金自動預払機等の媒体処理装置で取り扱われる、商品券、各種チケット等の媒体の種類毎に切れ目が入る可能性が高い位置に対応させても良い。
【0226】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣BLを短辺方向に沿って搬送する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、長辺方向に沿って搬送しても良い。その場合、例えば短辺方向に2つ折りされた場合を想定し、短辺方向の中央部分に切れ目がある場合に対応させてテープ位置及びテープ幅、並びにスクレーパ位置及びスクレーパ幅を設定すれば良い。また、スレッドが設けられた紙幣を長辺方向に沿って搬送するときは、紙幣の短辺の一端から他端まで長辺方向に沿って直線状に織り込まれたスレッドと、紙部分との境目に対応させれば良い。
【0227】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣に切れ目が入りやすい箇所として、スレッドと紙部分との境目を挙げたが、本発明はこれに限らず、要は媒体において異なる材質が組み合わされた境目であれば良い。また、例えば切符等の端部がパンチで穴あけされたことにより切れ易くなった部分であっても良い。
【0228】
さらに上述した実施の形態においては、第1上側テープ31a、第2上側テープ31b、第1下側テープ37a及び第2下側テープ37bを同じテープ幅としたが、本発明はこれに限らず、異なるテープ幅としても良い。
【0229】
さらに上述した第1の実施の形態においては、図3に示したように、搬送される紙幣BLの上側に可動ガイド40を、下側に搬送ガイド44を設ける場合について述べた。
【0230】
しかしながら本発明はこれに限らず、図23に示す一時保留部505のように、紙幣BLの下側に可動ガイド40を、上側に搬送ガイド44を設けるようにしても良い。このような構成の場合、紙幣BLの下側面は可動ガイド40により保持されるため、紙幣BLに切れ目が入っていたとしても、当該紙幣BLの搬送方向の先端部は下側には垂れにくくなっている。しかしながら、紙幣BLを繰り出す際に搬送される勢いにより、紙幣BLが空間SPを通過する際、紙幣BLの一部が切れ目から上側に反り、搬送ガイド44に衝突する可能性がある。
【0231】
これに対し一時保留部505においては、紙幣BLの左右両端部を2組のテープにより挟持しているため、紙幣BLが上方向へ反ることを抑止し、搬送ガイド44に衝突してしまうことを防ぐことができる。
【0232】
さらに上述した第3の実施の形態においては、図12に示したように、搬送される紙幣BLの上側に可動ガイド40を、下側に搬送ガイド44及びスクレーパ70を設ける場合について述べた。
【0233】
しかしながら本発明はこれに限らず、図24に示す一時保留部605のように、紙幣BLの下側に可動ガイド40を、上側に搬送ガイド44及びスクレーパ70を設けるようにしても良い。このような構成の場合、紙幣BLの下側面は可動ガイド40により保持されるため、紙幣BLに切れ目が入っていたとしても、当該紙幣BLの搬送方向の先端部は下側には垂れにくくなっている。しかしながら、紙幣BLを繰り出す際に搬送される勢いにより、紙幣BLが空間SPを通過する際、紙幣BLの一部が切れ目から上側に反り、搬送ガイド44に衝突する可能性がある。
【0234】
これに対し一時保留部605においては、紙幣BLの上側面の左右両端部を2つのスクレーパ70により保持しているため、紙幣BLが上方向へ反ることを抑止し、搬送ガイド44に衝突してしまうことを防ぐことができる。
【0235】
さらに上述した第3の実施の形態においては、図13に示したように、第1スクレーパ70a及び第2スクレーパ70bがそれぞれ独立して回動する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば第1スクレーパ70a及び第2スクレーパ70bが、前方向側で一体化していてもよい。
【0236】
さらに上述した実施の形態においては、2組のテープ組における紙幣の切れ目又はスレッドに対するテープ幅及びテープ位置の条件を設定した。
【0237】
本発明はこれに限らず、3組以上のテープ組における紙幣の切れ目又はスレッドに対するテープ幅及びテープ位置の条件を設定しても良い。その場合、複数組のテープ組のうち、左右方向において最も外側に位置するテープ組が、上述した条件を満たすようにすれば良い。
【0238】
さらに上述した実施の形態においては、2つのスクレーパにおける紙幣の切れ目又はスレッドに対するスクレーパ幅及びスクレーパ位置の条件を設定した。
【0239】
本発明はこれに限らず、3つ以上のスクレーパにおける紙幣の切れ目又はスレッドに対するスクレーパ幅及びスクレーパ位置の条件を設定しても良い。その場合、複数個のスクレーパのうち、左右方向において最も外側に位置するスクレーパが、上述した条件を満たすようにすれば良い。
【0240】
さらに上述した第3の実施の形態においては、紙幣BLR(図14)の切れ目50よりも第1スクレーパ70aの最小幅部分における右端の方が右側に位置する場合について述べた。
【0241】
本発明はこれに限らず、第1スクレーパ70aの前端部における最大幅部分の右端の方が紙幣BLRの切れ目50よりも右側に位置する条件にしても良い。その場合、第1スクレーパ70aの最小幅部分の右端やや外側の位置に紙幣BLRの切れ目50が存在していると、当該切れ目50から紙幣BLの一部が垂れる可能性はあるが、前方向に向かって幅が広がる第1スクレーパ70aにより、紙幣BLが前方向に搬送されるに従い当該紙幣BLを保持していくことができる。
【0242】
さらに上述した第3の実施の形態においては、紙幣BLL(図14)の右端よりも第1スクレーパ70aの最小幅部分における左端の方が左側に位置する場合について述べた。
【0243】
本発明はこれに限らず、第1スクレーパ70aの前端部における最大幅部分の左端の方が紙幣BLLの右端よりも左側に位置する条件にしても良い。その場合、第1スクレーパ70aの最小幅部分の左端やや内側の位置に紙幣BLLの右端が存在していると、当該紙幣BLLは第1スクレーパ70aにより保持されない可能性はあるが、前方向に向かって幅が広がる第1スクレーパ70aにより、紙幣BLが前方向に搬送されるに従い当該紙幣BLを保持していくことができる。
【0244】
さらに上述した実施の形態においては、現金を取引する現金自動預払機の一時保留部5において紙幣を収納し繰り出す際に本発明を適用する場合について述べた。
【0245】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣貯蔵部6等においても適用して良い。要は、ドラムとリール間でテープを巻き取ると共に巻き戻すことより、紙状の媒体を収納すると共に繰り出す装置であれば良い。
【0246】
さらに上述した実施の形態においては、媒体として紙幣について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券、小切手、証書、切符等のような薄い紙状の媒体であれば良い。
【0247】
さらに上述した実施の形態においては、第1の一側リールとしての第1上側リール27aと、第1の一側テープとしての第1上側テープ31aと、第2の一側リールとしての第2上側リール27bと、第2の一側テープとしての第2上側テープ31bと、ドラムとしてのドラム21と、第1の保持部としての第1下側リール35a及び第1下側テープ37aと、第2の保持部としての第2下側リール35b及び第2下側テープ37bとによって媒体収納繰出装置としての一時保留部を構成する場合について述べた。
【0248】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1の一側リールと、第1の一側テープと、第2の一側リールと、第2の一側テープと、ドラムと、第1の保持部と、第2の保持部とによって媒体収納繰出装置を構成するようにしても良い。
【0249】
さらに上述した実施の形態においては、媒体搬送路としての搬送路7と、媒体入出口としての紙幣入出口22と、第1の一側リールとしての第1上側リール27aと、第1の一側テープとしての第1上側テープ31aと、第2の一側リールとしての第2上側リール27bと、第2の一側テープとしての第2上側テープ31bと、ドラムとしてのドラム21と、第1の保持部としての第1下側リール35a及び第1下側テープ37aと、第2の保持部としての第2下側リール35b及び第2下側テープ37bとによって媒体処理装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。
【0250】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる媒体搬送路と、媒体入出口と、第1の一側リールと、第1の一側テープと、第2の一側リールと、第2の一側テープと、ドラムと、第1の保持部と、第2の保持部とによって媒体処理装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0251】
本発明は、搬送された紙幣等の紙状の媒体を収納すると共に繰り出す種々の装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0252】
1、101、201、301、401……現金自動預払機、2……筐体、3……接客部、5、105、205、305……一時保留部、7……搬送路、12……紙幣入出金口、21……ドラム、23……フレーム、25……ドラム軸、27a……第1上側リール、27b……第2上側リール、27c……第3上側リール、29……リール軸、31a……第1上側テープ、31b……第2上側テープ、31c……第3上側テープ、33……上側アイドルプーリ、35a……第1下側リール、35b……第2下側リール、35c……第3下側リール、37a……第1下側テープ、37b……第2下側テープ、37c……第3下側テープ、39……下側アイドルプーリ、40……可動ガイド、42……従動ローラ、44……搬送ガイド、45……回転軸、50……切れ目、51……搬送幅、52a……右側搬送限界ライン、52b……左側搬送限界ライン、60……スレッド、70a、170a……第1スクレーパ、70b、170b……第2スクレーパ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられた第1の一側リールと、
上記第1の一側リールに巻き付けられ、媒体における当該媒体の搬送方向に直交する媒体幅方向の長さである媒体幅よりも短いテープ幅でなり上記媒体の一側面に当接する第1の一側テープと、
回転可能に設けられた第2の一側リールと、
上記第2の一側リールに巻き付けられ、上記媒体幅よりも短いテープ幅でなり上記媒体幅方向に上記媒体幅よりも短い間隔を空けて上記第1の一側テープと並列に設けられ、上記媒体の上記一側面に当接する第2の一側テープと、
回転可能に設けられ、一方向に回転して上記媒体を上記第1の一側テープ及び上記第2の一側テープと重ねて巻き取る一方、逆方向に回転して上記媒体を放出するドラムと、
上記ドラムから放出された上記媒体を挟んで上記第1の一側テープと対向する位置に設けられ、上記媒体の他側面に当接し当該媒体を保持する第1の保持部と、
上記ドラムから放出された上記媒体を挟んで上記第2の一側テープと対向する位置に設けられ、上記媒体の上記他側面に当接し当該媒体を保持する第2の保持部と
を有する媒体収納繰出装置。
【請求項2】
上記第1の保持部は、
回転可能に設けられた第1の他側リールと、
上記第1の他側リールに巻き付けられ上記媒体幅よりも短いテープ幅でなり上記媒体を挟んで上記第1の一側テープと対向して上記媒体の上記他側面に当接する第1の他側テープと
からなり、
上記第2の保持部は、
回転可能に設けられた第2の他側リールと、
上記第2の他側リールに巻き付けられ上記媒体幅よりも短いテープ幅でなり上記媒体を挟んで上記第2の一側テープと対向して上記媒体の上記他側面に当接する第2の他側テープと
からなる
請求項1に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項3】
上記第2の他側テープから上記媒体幅方向に沿って上記第1の他側テープへ向かう方向を第1方向、当該第1方向の逆方向を第2方向としたとき、
上記媒体が搬送される際に当該媒体の第2方向の端部が通過する最も第2方向側のラインである第2方向搬送限界ラインに上記媒体の第2方向端部が位置した際、上記第1の他側テープの第2方向端部は、上記媒体の第1方向端部よりも第2方向側に位置する
請求項2に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項4】
上記媒体が搬送される際に当該媒体の第1方向の端部が通過する最も第1方向側のラインである第1方向搬送限界ラインに上記媒体の第1方向端部が位置した際、上記第1の他側テープの第1方向端部は、上記媒体における切れ目よりも第1方向側に位置する
請求項3に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項5】
上記第1の他側テープの第1方向端部は、上記媒体における第1方向端部から上記媒体幅の1/4の長さだけ第2方向側の位置に存在する切れ目よりも第1方向側に位置する
請求項4に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項6】
上記媒体収納繰出装置において取り扱われる上記媒体のうち上記媒体幅が最小の媒体の第2方向端部が上記第2方向搬送限界ラインに位置した際、上記第1の他側テープの第2方向端部は、当該媒体の第1方向端部よりも第2方向側に位置する
請求項3に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項7】
上記媒体収納繰出装置において取り扱われる上記媒体のうち上記媒体幅が最小の媒体の第1方向端部が上記第1方向搬送限界ラインに位置した際、上記第1の他側テープの第1方向端部は、当該媒体における切れ目よりも上記第1方向側に位置する
請求項4に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項8】
上記媒体が搬送される際に当該媒体の第1方向の端部が通過する最も第1方向側のラインである第1方向搬送限界ラインに上記媒体の第1方向端部が位置した際、上記第1の他側テープの第1方向端部は、上記媒体におけるスレッドの第1方向端部よりも上記第1方向側に位置する
請求項3に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項9】
上記媒体収納繰出装置において取り扱われる上記媒体のうち、上記媒体の第1方向端部から上記スレッドの第1方向端部までの長さが最小の媒体における第1方向端部が上記第1方向搬送限界ラインに位置した際、上記第1の他側テープの第1方向端部は、当該媒体における上記スレッドの第1方向端部よりも上記第1方向側に位置する
請求項8に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項10】
回転可能に設けられた第3の一側リールと、
上記第3の一側リールに巻き付けられ、上記媒体幅よりも短いテープ幅でなり、上記媒体幅方向に上記媒体幅よりも短い間隔を空けて上記第1の一側テープ及び上記第2の一側テープと並列に設けられ、上記媒体の上記一側面に当接する第3の一側テープと、
回転可能に設けられた第3の他側リールと、
上記第3の他側リールに巻き付けられ、上記媒体幅よりも短いテープ幅でなり、上記媒体を挟んで上記第3の一側テープと対向して上記媒体の上記他側面に当接する第3の他側テープと
をさらに有する
請求項2に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項11】
上記第1の保持部は、
上記媒体を挟んで上記第1の一側テープと対向する位置に設けられ、上記ドラムに巻き付いた上記第1の一側テープの外周面に追従して当接し、当該ドラムから上記媒体を剥離させる第1のスクレーパでなり、
上記第2の保持部は、
上記媒体を挟んで上記第2の一側テープと対向する位置に設けられ、上記ドラムに巻き付いた上記第2の一側テープの外周面に追従して当接し、当該ドラムから上記媒体を剥離させる第2のスクレーパでなる
請求項1に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項12】
上記第2のスクレーパから上記媒体幅方向に沿って上記第1のスクレーパへ向かう方向を第1方向、当該第1方向の逆方向を第2方向としたとき、
上記媒体が搬送される際に当該媒体の第2方向の端部が通過する最も第2方向側のラインである第2方向搬送限界ラインに上記媒体の第2方向端部が位置した際、上記第1のスクレーパの第2方向端部は、上記媒体の第1方向端部よりも第2方向側に位置する
請求項11に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項13】
上記媒体が搬送される際に当該媒体の第1方向の端部が通過する最も第1方向側のラインである第1方向搬送限界ラインに上記媒体の第1方向端部が位置した際、上記第1のスクレーパの第1方向端部は、上記媒体における切れ目よりも第1方向側に位置する
請求項12に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項14】
上記第1のスクレーパの第1方向端部は、上記媒体における第1方向端部から上記媒体幅の1/4の長さだけ第2方向側の位置に存在する切れ目よりも第1方向側に位置する
請求項13に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項15】
上記媒体収納繰出装置において取り扱われる上記媒体のうち上記媒体幅が最小の媒体の第2方向端部が上記第2方向搬送限界ラインに位置した際、上記第1のスクレーパの第2方向端部は、当該媒体の第1方向端部よりも第2方向側に位置する
請求項12に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項16】
上記媒体収納繰出装置において取り扱われる上記媒体のうち上記媒体幅が最小の媒体の第1方向端部が上記第1方向搬送限界ラインに位置した際、上記第1のスクレーパの第1方向端部は、当該媒体における切れ目よりも上記第1方向側に位置する
請求項13に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項17】
上記媒体が搬送される際に当該媒体の第1方向の端部が通過する最も第1方向側のラインである第1方向搬送限界ラインに上記媒体の第1方向端部が位置した際、上記第1のスクレーパの第1方向端部は、上記媒体におけるスレッドの第1方向端部よりも上記第1方向側に位置する
請求項12に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項18】
上記媒体収納繰出装置において取り扱われる上記媒体のうち、上記媒体の第1方向端部から上記スレッドの第1方向端部までの長さが最小の媒体における第1方向端部が上記第1方向搬送限界ラインに位置した際、上記第1のスクレーパの第1方向端部は、当該媒体における上記スレッドの第1方向端部よりも上記第1方向側に位置する
請求項17に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項19】
回転可能に設けられた第3の一側リールと、
上記第3の一側リールに巻き付けられ、上記媒体幅よりも短いテープ幅でなり、上記媒体幅方向に上記媒体幅よりも短い間隔を空けて上記第1の一側テープ及び上記第2の一側テープと並列に設けられ、上記媒体の上記一側面に当接する第3の一側テープと、
上記媒体を挟んで上記第3の一側テープと対向する位置に設けられ、上記ドラムに巻き付いた上記第3の一側テープの外周面に追従して当接し、当該ドラムから上記媒体を剥離させる第3のスクレーパと
をさらに有する
請求項11に記載の媒体収納繰出装置。
【請求項20】
媒体を搬送する媒体搬送路と、
上記媒体搬送路から上記媒体を挿入されると共に上記媒体を繰り出す媒体入出口と、
回転可能に設けられた第1の一側リールと、
上記第1の一側リールに巻き付けられ、媒体における当該媒体の搬送方向に直交する媒体幅方向の長さである媒体幅よりも短いテープ幅でなり上記媒体の一側面に当接する第1の一側テープと、
回転可能に設けられた第2の一側リールと、
上記第2の一側リールに巻き付けられ、上記媒体幅よりも短いテープ幅でなり上記媒体幅方向に上記媒体幅よりも短い間隔を空けて上記第1の一側テープと並列に設けられ、上記媒体の上記一側面に当接する第2の一側テープと、
回転可能に設けられ、一方向に回転して上記媒体入出口を介し挿入された上記媒体を上記第1の一側テープ及び上記第2の一側テープと重ねて巻き取る一方、逆方向に回転して上記媒体を巻き戻して放出し、上記媒体入出口を介して上記媒体搬送路に繰り出すドラムと、
上記ドラムから放出された上記媒体を挟んで上記第1の一側テープと対向する位置に設けられ、上記媒体の他側面に当接し当該媒体を保持する第1の保持部と、
上記ドラムから放出された上記媒体を挟んで上記第2の一側テープと対向する位置に設けられ、上記媒体の上記他側面に当接し当該媒体を保持する第2の保持部と
を有する媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−25706(P2013−25706A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162419(P2011−162419)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】