説明

子供用衣服

【課題】オムツを着用している一人歩きできない乳幼児に着せる場合でも乳幼児を寝かせたまま容易に着せることができ、着用状態におけるずれ落ちを防止できるようにした子供用衣服を提供する。
【解決手段】前身頃1の股上よりも上部部分1aの左右両側と後身頃2の左右両側に設けた持ち出し部分3a,3bとの間を上下方向複数箇所において面ファスナー4により開閉自在に結合させ、さらに前身頃1の内側において前記後身頃2の左右両側に設けた持ち出し部分3a,3bを腹の中心部まで延長させ、一方の持ち出し部分3aの先端と他方の持ち出し部分3bの先端とを面ファスナー10により脱着自在に結合させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に一人歩きできない乳幼児用として好適な子供用衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の子供用衣服としては例えば特許文献1に開示されているようなオーバーオールタイプの衣服が知られている。このオーバーオールタイプの衣服は、ズボンの前部の両側にそれぞれ胸当の下側部から裾部の間に裁断線を入れここが開閉できるように止具を付し、後身頃の上端部に紐を付し止具を持って胸当に適宜着脱できるように作られている。
【特許文献1】実公昭37−4688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているような子供用衣服は、着用状態により乳幼児の動きによって紐と胸当を止めている止具の係止が外れ、それにより衣服(ズボン)がずれ落ちて脱げるという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、オムツを着用している一人歩きできない乳幼児に着せる場合でも乳幼児を寝かせたまま容易に着せることができ、着用状態におけるずれ落ちを防止できるようにした子供用衣服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の子供用衣服は、前身頃の股上よりも上部部分の左右両側と後身頃の左右両側に設けた持ち出し部分との間を上下方向複数箇所において面ファスナーやホックなどの結合手段により開閉自在に結合させ、さらに前身頃の内側において前記後身頃の左右両側に設けた持ち出し部分を腹の中心部まで延長させ、一方の持ち出し部分の先端と他方の持ち出し部分の先端とを面ファスナーやホックなどの結合手段により脱着自在に結合させるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明の子供用衣服をオムツを着用している一人歩きできない乳幼児に着せる場合、前記面ファスナーやホックなどの結合手段の部分で前身頃の股上よりも上部部分を前方に大きく開き、また前身頃の内側に位置する一方の持ち出し部分の先端と他方の持ち出し部分の先端との結合部の面ファスナーやホックなどの結合手段を開いた状態で子供用衣服を床などの上に置き、この子供用衣服の上に乳幼児を寝かせたまま置き、乳幼児の脚を股下部分に通し、前記一方の持ち出し部分の先端と他方の持ち出し部分の先端とを互いに近づくように引き寄せて面ファスナーやホックなどの結合手段で結合させ、前記前身頃の上部部分の左右両側を面ファスナーやホックなどの結合手段で閉じることにより乳幼児を寝かせたまま容易に着せることができる。また、この子供用衣服を着た乳幼児が激しく動いても、先端同士が互いに近づくように引き寄せられた状態を面ファスナーやホックなどの結合手段で保持された一方の持ち出し部分と他方の持ち出し部分とにより乳幼児のおなかの部分が適度に締められているので子供用衣服がずれ落ちるということもなく、着用状態を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。
先ず、図1〜図6に示す第1の実施の形態について説明すると、この第1の実施の形態の子供用衣服は乳幼児に好適なオーバーオールの形態を呈し、オーバーオールの前身頃1の股上よりも上部部分1aの左右両側と後身頃2の左右両側に設けた持ち出し部分3a,3bとの間を上下方向複数箇所において面ファスナー4で開閉自在に結合させ、前身頃1の上部部分1aのほぼ上半分で形成される胸当5の上端には釦孔6が形成され、後身頃2の上部の背当7の上端部に肩紐8を取り付け、この肩紐8の先端に設けた釦9を前記釦孔6に掛け止めできるように構成され、さらに前身頃1の内側において前記後身頃2の左右両側に設けた持ち出し部分3a,3bを腹の中心部まで延長させ、一方の持ち出し部分3aの先端と他方の持ち出し部分3bの先端とを面ファスナー10で脱着自在に結合させるようになっている。
【0008】
なお、この実施の形態のオーバーオールは股下部分11の左右の内側がホック12により一体的に開閉できるように作られている。
上記構成において、オーバーオールをオムツを着用している一人歩きできない乳幼児に着せる場合、肩紐8の釦9を釦孔6から外した状態で前記面ファスナー4の部分で前身頃1の股上よりも上部部分1aを前方に大きく開き、また前身頃1の内側に位置する一方の持ち出し部分3aの先端と他方の持ち出し部分3bの先端との結合部の面ファスナー10を開き、さらに前記ホック12の部分で股下部分11を大きく開いた状態でオーバーオールを床などの上に置き、このオーバーオールの上に乳幼児を寝かせたまま置き、乳幼児の脚を前記開かれた股下部分11に通し、股下部分11のホック12を閉じるとともに前記一方の持ち出し部分3aの先端と他方の持ち出し部分3bの先端とを互いに近づくように引き寄せて面ファスナー10で結合させ、前記前身頃1の上部部分1aの左右両側を面ファスナー4で閉じ、肩紐8の釦9を釦孔6に掛け止めすることにより乳幼児を寝かせたまま容易に着せることができる。
【0009】
そして、このオーバーオールを着た乳幼児が激しく動いて肩紐8の釦9が釦孔6から外れても、先端同士が互いに近づくように引き寄せられた状態を面ファスナー10で保持された一方の持ち出し部分3aと他方の持ち出し部分3bとにより乳幼児のおなかの部分が適度に締められているのでオーバーオールがずれ落ちるということもなく、着用状態を安定させることができる。
【0010】
以上オーバーオールの形態を呈する第1の実施の形態の子供用衣服について説明したが、次に図7〜図10に示すズボンの形態を呈する第2の実施の形態の子供用衣服について説明する。この第2の実施の形態のズボンにおいても前身頃1の股上よりも上部部分1aの左右両側と後身頃2の左右両側に設けた持ち出し部分3a,3bとの間を上下方向複数箇所において面ファスナー4で開閉自在に結合させ、さらに前身頃1の内側において前記後身頃2の左右両側に設けた持ち出し部分3a,3bを腹の中心部まで延長させ、一方の持ち出し部分3aの先端と他方の持ち出し部分3bの先端とを面ファスナー10で脱着自在に結合させるようになっている。
【0011】
従って、このズボンをオムツを着用している一人歩きできない乳幼児に着せる場合、前記面ファスナー4の部分で前身頃1の股上よりも上部部分1aを前方に大きく開き、また前身頃1の内側に位置する一方の持ち出し部分3aの先端と他方の持ち出し部分3bの先端との結合部の面ファスナー10を開いた状態でズボンを床などの上に置き、このズボンの上に乳幼児を寝かせたまま置き、乳幼児の脚を股下部分11に通し、前記一方の持ち出し部分3aの先端と他方の持ち出し部分3bの先端とを互いに近づくように引き寄せて面ファスナー10で結合させ、前記前身頃1の上部部分1aの左右両側を面ファスナー4で閉じることにより乳幼児を寝かせたまま容易に着せることができる。
【0012】
なお、前記各部を閉じるために面ファスナーやホックを用いたが、全体を面ファスナーで統一しても良く、あるいはホックで統一しても良い。また、前身頃1の股上よりも上部部分1aの左右両側と後身頃2の左右両側に設けた持ち出し部分3a,3bとの間を開閉する上下方向複数箇所の面ファスナー4の上端に位置する面ファスナー4をホックとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるオーバーオールの正面図である。
【図2】同オーバーオールの背面図である。
【図3】同オーバーオールの股下部分を開いた状態を示す斜視図である。
【図4】同オーバーオールを乳幼児に着せるために前身頃の股上よりも上部部分を前方に開いた状態を示す斜視図である。
【図5】同オーバーオールを乳幼児に着せる途中の状態を示す平面図である。
【図6】同オーバーオールを乳幼児に着せ終わった状態を示す平面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるズボンの正面図である。
【図8】同ズボンを乳幼児に着せるために前身頃の股上よりも上部部分を前方に開いた状態を示す斜視図である。
【図9】同ズボンを乳幼児に着せる途中の状態を示す平面図である。
【図10】同ズボンを乳幼児に着せ終わった状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 前身頃
1a 上部部分
2 後身頃
3a,3b 持ち出し部分
4 面ファスナー
5 胸当
6 釦孔
7 背当
8 肩紐
9 釦
10 面ファスナー
11 股下部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃の股上よりも上部部分の左右両側と後身頃の左右両側に設けた持ち出し部分との間を上下方向複数箇所において面ファスナーやホックなどの結合手段により開閉自在に結合させ、さらに前身頃の内側において前記後身頃の左右両側に設けた持ち出し部分を腹の中心部まで延長させ、一方の持ち出し部分の先端と他方の持ち出し部分の先端とを面ファスナーやホックなどの結合手段により脱着自在に結合させるように構成したことを特徴とする子供用衣服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−9359(P2007−9359A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190812(P2005−190812)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(503080327)株式会社寳屋 (1)