説明

子守帯

【課題】 種々の方向からの日差しが子供の顔に当たるのを防ぐことのできる子守帯を提供する。
【解決手段】 子守帯は、子供保持部材10と、装着ベルト20とを備える。子供保持部材10には、子供の頭部を覆う幌部材30が連結されている。幌部材30は、中央部分31と、この中央部分31の両側縁から下方に垂れ下がった1対の側面フラップ32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、子供を抱っこしたり、背負ったりするための子守帯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
子守帯は、子供を保持するための子供保持部材と、使用者が装着する装着ベルトとを備える。子守帯によって子供を抱っこしたり、背負ったりして戸外に出るとき、紫外線を含んだ強い直射日光が子供の顔に当たるのを避けたい。
【0003】
特開2004−248879号公報(特許文献1)は、日除けや風塵除けとして機能するつば部を設けたベビーキャリアを開示している。具体的には、ベビーキャリアは、幼児の背面側にあてがう本体部と、この本体部の頭部側周縁から立ち上がるガード部と、基端縁がガード部の上端縁に取付けられて起立可能なつば部とを備えている。
【特許文献1】特開2004−248879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2004−248879号公報に開示されたつば部は、子供の頭頂部のみを覆う大きさのものであり、種々の方向から子供の顔に向かって差し込んでくる日差しを十分に防ぐことができない。特に子供の顔の側方から差し込んでくる日差しを十分に防ぐことができない。
【0005】
この発明の目的は、種々の方向からの日差しが子供の顔に当たるのを防ぐことのできる子守帯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った子守帯は、子供を保持するための子供保持部材と、使用者が装着する装着ベルトとを備えるものであって、以下のことを特徴とする。装着ベルトは、肩ベルトを含む。子供保持部材には、子供の頭部を覆うための幌部材が連結されている。幌部材は、中央部分と、この中央部分の両側縁から下方に垂れ下がった1対の側面フラップとを備える。幌部材の中央部分は、その基端が子供保持部材に連結され、その先端に肩ベルトに取外し可能に接続される接続部を有する。
【0007】
上記構成の本発明によれば、幌部材は、子供保持部材から使用者の肩ベルトにまで延在しているので、大きな面積で子供の頭部を覆うことができる。さらに、幌部材の中央部分の両側縁から垂れ下がった1対の側面フラップは、側方からの光の入射を防ぐ。
【0008】
さらに、上記構成の幌部材は、子供の頭または顔の周囲を包囲するものであるので、子供の顔の周囲の環境を適度な明るさに調節できる。例えば、子守帯によって保持された子供が眠っているときには、幌部材で顔の周囲の明るさを適度に暗くすることができる。このような明るさの調整は、子供の頭部の上方に広い面積で延在する中央部分と、中央部分の両側縁から下方に垂れ下がった1対の側面フラップとによって顔の周囲の空間を包囲することによって実現可能となるものである。
【0009】
幌部材の側面フラップは、単に垂れ下がっているだけなので、簡単にめくり上げて幌部材の中央部分上に置いておくことができる。また、幌部材を使用しているときに親が子供の顔を覗き込みたいときには、単に側面フラップを動かすだけでよい。
【0010】
好ましくは、幌部材の中央部分は、上方に凸のアーチ形状をしている。このように上方に凸のアーチ形状の中央部分であれば、子供の頭部の空間にゆとりが生じるので、子供に窮屈な感覚を与えない。好ましくは、幌部材の中央部分の形状を適正に維持するために、幌部材の中央部分の両側縁には、補強リブが設けられている。
【0011】
好ましくは、子供保持部材は、折畳んだ状態の幌部材を収納しておくための収納空間を有している。このようにすれば、必要に応じて幌部材を取り出して使用することができる。
【0012】
好ましくは、幌部材は、光反射性素材で形成されている。なお、幌部材として、2重の幌布を備えるようにしてもよい。この場合、例えば外側の幌布を光反射性素材で形成し、内側の幌布を目の細かいメッシュ地で形成しておく。日差しが強くないときには、外側の幌布を基端部側に寄せて内側のメッシュ地の幌布を露出させる。内側のメッシュ地の幌布は、子供の顔の周囲の明るさを適度なものにする作用を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、幌部材を使用している状態を示す斜視図である。図2は、幌部材を折畳んで収納している状態を図解的に示す図であり、図3は、幌部材を使用している状態を図解的に示す図である。図4は、展開状態の幌部材を図解的に示す斜視図である。
【0014】
図示するように、子守帯1は、子供を保持するための子供保持部材10と、母親等の使用者が装着する装着ベルト20とを備える。子供保持部材10と装着ベルト20とは、複数の箇所で連結される。
【0015】
図示する実施形態では、装着ベルト20は、1対の肩ベルト21を含む。図1は、子供を前で抱っこしている状態を示しているが、子供を背中側に背負うようにすることも可能である。
【0016】
子供保持部材10は、子供の例えば背中側にあてられる背当て部11を含む。
【0017】
幌部材30は、図2に示すように、折畳んだ状態で背当て部11の中に収納される。背当て部11には開口12が設けられており、この開口12から幌部材30を外に取り出す。なお、開口12を閉鎖し得るファスナを設けておいてもよい。
【0018】
図4から明らかなように、幌部材30は、中央部分31と、この中央部分31の両側縁から下方に垂れ下がった1対の側面フラップ32とを備える。幌部材30の中央部分31は、その基端が子供保持部材10の開口12の内側に接続されている。また、幌部材30の中央部分31の先端には、肩ベルト21に取外し可能に接続される接続部35が設けられている。接続部35の下面には面ファスナ34が取付けられ、それに対応して、肩ベルト21にも面ファスナ22が取付けられている。両面ファスナ34、35を接合すれば、幌部材30の中央部分31は、子供の頭部の上部空間を広い面積で覆うようになる。
【0019】
幌部材30の中央部分31と肩ベルト21とを取外し可能に接続する手段としては、面ファスナに限られず、止めボタンや止め紐などを用いることも可能である。
【0020】
子供の頭部の空間にゆとりを持たせるために、幌部材30の中央部分31は、上方に凸のアーチ形状を有している。このような中央部分31の形状を適正に保つようにするために、中央部分31の両側縁には、補強リブ33が設けられている。
【0021】
1対の側面フラップ32は、幌部材30の中央部分31の両側縁から下方に垂れ下がっているので、側方からの光の入射を遮ることができる。また、側面フラップ32は単に下方に垂れ下がっているだけなので、簡単に動かすことができる。例えば、母親が子供の顔を覗き込みたいときには、側面フラップ32を動かして子供の顔の側面の空間を露出させる。また、光が一方の側面から入射するような場合には、この一方の側面に位置する側面フラップ32だけを下方に垂らし、風通しを良くするために反対側の側面に位置する側面フラップ32をめくり上げて中央部分31の上に置くようにしてもよい。
【0022】
なお、側面フラップ32の先端と肩ベルト21とを取外し可能に接続してもよい。
【0023】
幌部材30の役割は、光の入射を遮るということのみならず、子供の顔の周囲の明るさを適度に調節するという機能も併せ持つ。このような明るさ調節機能は、子供の頭部の上方に広い面積で延在する中央部分31と、中央部分31の両側縁から下方に垂れ下がった1対の側面フラップ32とによって子供の顔の周囲の空間を包囲することによって実現可能となるものである。
【0024】
幌部材30を形成する素材として、例えば光反射性素材が使用される。適度な通気性を維持するために、目の細かいメッシュ地で幌部材30を形成してもよい。
【0025】
図示していないが、幌部材30を、2重に重なった内外の幌布で構成するようにしてもよい。この場合、例えば、外側の幌布を光反射性素材で形成し、内側の幌布を目の細かいメッシュ地で形成する。外側の幌布は、内側の幌布上で自由に畳めるようにしておくのが好ましい。日差しが強くないときには、外側の幌布を基端部側に寄せて内側の幌布を露出させる。
【0026】
上述した実施形態では、幌部材30を使用していないときには、幌部材30を折畳んで子供保持部材10の背当て部11内に収納するようにしていたが、他の実施形態として、使用していない幌部材を背当て部11の背面に露出させておくようにしてもよい。
【0027】
また、図示した実施形態では、子供を母親の前で抱っこしている状態を示したが、子供を背中側で背負うような子守帯に対してもこの発明を適用することが可能である。
【0028】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明は、子供に対して快適な使用環境を与える子守帯として有利に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の一実施形態に係る子守帯の使用状態を示す斜視図である。
【図2】幌部材を折畳んで収納している状態を図解的に示す図である。
【図3】幌部材を展開して使用している状態を図解的に示す図である。
【図4】展開状態の幌部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 子守帯、10 子供保持部材、11 背当て部、12 開口、20 装着ベルト、21 肩ベルト、22 面ファスナ、30 幌部材、31 中央部分、32 側面フラップ、33 補強リブ、34 面ファスナ、35 接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
子供を保持するための子供保持部材と、使用者が装着する装着ベルトとを備えた子守帯において、
前記装着ベルトは、肩ベルトを含み、
前記子供保持部材には、子供の頭部を覆うための幌部材が連結されており、
前記幌部材は、その基端が前記子供保持部材に連結され、その先端に前記肩ベルトに取外し可能に接続される接続部を有する中央部分と、前記中央部分の両側縁から下方に垂れ下がった1対の側面フラップとを有することを特徴とする、子守帯。
【請求項2】
前記幌部材の中央部分は、上方に凸のアーチ形状をしている、請求項1に記載の子守帯。
【請求項3】
前記幌部材の中央部分の両側縁には、補強リブが設けられている、請求項1または2に記載の子守帯。
【請求項4】
前記子供保持部材は、折畳んだ状態の前記幌部材を収納しておくための収納空間を有している、請求項1〜3のいずれかに記載の子守帯。
【請求項5】
前記幌部材は、光反射性素材で形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の子守帯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−271859(P2006−271859A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99003(P2005−99003)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)