説明

学習支援装置

【課題】 学習結果を基にして学習したい問題を設定し、設定された問題は効率良く学習できるようにした学習装置を提供する。
【解決手段】 学習教材を格納する第一の記憶部と、前記第一の記憶部の出題等に関するプログラムを格納する第二の記憶部と、出題後所定の時間遅延して正解を出力する正解遅延手段と、前記所定の遅延時間内に解答操作が行われたか否かにより正解不正解の判断をする判断手段とを設けた学習装置において、学習結果を演算する手段を設け、学習する問題は前記演算手段により演算した結果を基にして設定し、前記設定された問題は第三の記憶部のプログラムに基づいて出題されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、問題,正解,解説などで構成される学習教材を学習する学習装置で、学習結果を基にして学習したい問題を設定し、設定された問題は効率良く学習できるようにした学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
学習が思うように進まない場合、あるいは学習が進んで最後の仕上げをしたい場合など、学習問題を限定して集中的に学習することにより、その問題だけは記憶及び理解を確実にしておきたい場合がある。入学試験,資格試験等の直前学習では、少ない時間を如何に有効に活用するかが肝要になる。また容易にできる問題や難しい問題は避けて学習したい場合もある。従来の学習では、膨大な問題集の中から出題頻度別,難易度別等にランク付けされている問題を参考にして学習したり、これまで学習してきた参考書,問題集などを復習したりするが、学習者個人にとって容易な問題と不得意な問題とが混在しているため効率よく学習することはできなかった。
【0003】
また、パソコンソフトなどを利用した学習では、予め難易度を設定して難易度の高い問題に関しては出題頻度を大きくしたり、正解不正解の回数を計数して不正解の多い問題は出題頻度を高くしたりして不得意な問題だけを重点的に対処することはできるが、出題頻度を高くすると解答直後の再出題が多くなり、完全に身に付いたかどうか分からなくなるという問題があった。また、出題頻度の少ない問題でも学習して長時間経過すると必ずしも習得しているとは限らないという問題があった。また、難易度の高い問題は避けて学習しようとしてもできなかった。
【0004】
また特願2000-220074のように、問題は周期的に出題するようにして学習直後,解答直後の正解はあり得ないようにした学習支援装置や、特願2003−100251のように出題後所定の時間遅延して正解を出力し、前記遅延時間内に解答操作が行われたか否かにより正解不正解の判断をする学習装置はあるが、学習結果を基にして学習したい問題を設定し、目的に合わせて効率的な学習をすることはできなかった。
【特許文献1】特願2000-220074
【特許文献2】特願2003−100251
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、学習者個人がこれまでの学習結果を基にして学習問題を設定することができ、目的に対して最適な学習ができるようにした学習装置を提供することにある。例えば、前記特願2003−100251のような学習支援装置において、問題ごとに不正解回数又は正解回数を計数してその正規分布を作成し、学習問題はその正規分布を参考にして設定できるようにする。学習問題を設定することにより試験直前学習の貴重な時間を多くの科目について効率的に学習ができるようにする。また前記学習問題は、新たなプログラムに基づいて学習ができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の学習支援装置においては、問題,正解,解説等の教材を格納する第一の記憶部と、前記第一の記憶部の出題等に関するプログラムを格納する第二の記憶部と、出題後所定の時間遅延して正解を出力する正解遅延手段と、前記所定の遅延時間内に解答操作が行われたか否かにより正解不正解の判断をする判断手段とを設けた学習装置において、学習結果を演算する手段を設け、学習する問題は前記演算手段により演算した結果を基にして設定し、前記設定された問題は第三の記憶部のプログラムに基づいて出題されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
不正解回数又は正解回数を基にして学習問題を設定し、不得意だった問題だけを優先的に学習して記憶及び理解を確実にしたり、時間に余裕があれば学習問題を得意な問題にまで広げ、落ちこぼれが無いようにしたりすることができる。また逆に不得意だった問題は避け得意な問題の学習を確実にするなど、学習者個人の目的に合わせて効率的な学習ができるようになる。
【0008】
また学校、塾などにおいては、個人的に不得意な問題を発見することにより、直接指導と本学習支援装置による学習により不得意な問題を克服させることができる。
【0009】
また上記設定された問題は、目標に合わせた新たなプログラムに基づいて当該問題だけを集中的に学習することができるので、更に学習効率を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明を構成するための一実施例ブロック図で、学習教材6の問題,正解,解説等を格納する第一の記憶部1と、前記第一の記憶部1の出題,正解等に関するプログラムを格納する第二の記憶部2と、出題後所定の時間遅延して正解を出力する正解遅延手段8と、中央処理装置CPU4に出題後所定の時間内に操作部11の解答スイッチ(図示していない)による解答操作が行われたか否かにより正解不正解の判断をする判断手段5とを設けた学習装置において、正解と判断された問題は当該問題の正解用計数器9の正解回数を1カウントプラスさせ、不正解と判断された問題は当該問題の不正解用計数器10の不正解回数を1カウントプラスさせる。本実施例ではこれらの計数器は第三の記憶部3に格納させ、各問題の正解回数または不正解回数を基にして学習する問題は設定部12の学習問題設定スイッチ(図示していない)で設定し、前記設定された問題は、第三の記憶部3のプログラムに基づいて出題されるようにする。出力装置7は、問題または正解及び演算結果等を表示で出力したり音声で出力したりすることができる。
【実施例1】
【0011】
以下図面を用いて説明する。図1の第二の記憶部2は、第一の記憶部1の問題を一週間周期で出題するプログラムが組まれており、図2は正解不正解の回数を記憶する各計数器の動作を説明するフローチャートで、一週間内のある一日(本実施例では月曜日)について、正解と判断された問題と不正解と判断された問題の各計数器の動作を説明する。なお、各計数器の正解,不正解のカウントは当日最初の出題に対してのみカウントするようになっており、復習のための出題に対してはカウントしない。
【0012】
図2のS101で、操作部11の電源スイッチ(図示していない)を投入することにより本学習支援装置をスタートさせる。月曜日にスタートすれば、当該曜日である月曜日の問題が選択され(S102)、S103にて操作部11の解答スイッチの操作により出題順位1番の問題が出力装置7から出題される(S104)。そして所定の時間を置いて正解が出力装置7から出力されるが、正解が出力される前に前記解答スイッチによる解答操作が行われた場合は、S105にて判断手段5は当該問題は正解と判断し、S106にて正解用計数器9を1カウント加算させ、S107にて当該問題は月曜日の問題から除外して月曜日の次の問題を出題する。除外された問題はS109にて待機問題にされる。前記正解が出力されたあと前記解答操作が行われた場合または正解が出力されても解答操作が行われない場合は、S105にて判断手段5は当該問題は不正解と判断し、S108にて不正解用計数器10を1カウント加算させ、当該問題は月曜日の問題に止められ解答操作が行われた時点で次の問題を出題する。待機問題とは、月曜日から日曜日に出題されるために待機している問題で、既に月曜日から日曜日のいずれかに出題されることが確定している問題を除いた問題で、待機問題には待機順位が付されている。前記正解することにより月曜日の問題から除外された問題は、待機問題となり待機順位の最後の番号が付けられる。待機問題は、例えばその日に除外された問題と同数の問題がその日の出題用に回されたり、学習した日は一定数の問題が出題用に回されたりするので、各問題は出題と待機間を循環させられることになる。
【0013】
図3は、学習問題を設定して学習する場合のフローチャートである。設定部12の学習問題設定スイッチは第一の記憶部1のすべての問題に対して設定することができ、設定することにより該当する問題が選択されて新たなプログラムに基づいて出題される。前記学習問題設定スイッチは、例えば不正解の回数がワースト上位10%以上の問題とか10回以上の問題とか種々の設定ができるようになっている。
【0014】
図3のS201で操作部11の電源スイッチを投入することにより本学習装置をスタートさせる。S202にて学習問題を設定すると、S203にて第一の記憶部のすべての問題は設定問題に該当するかどうかが判定され、該当する問題が選択され出題順位等が付けられる(S204)。S205にて前記解答スイッチによる解答操作が行われると、前記出題順位の最初の問題が当日の問題として出題される(S206)。所定の時間を置いて正解が出力装置7から出力されるが、正解が出力される前に前記解答スイッチによる解答操作が行われた場合は、S207にて判断手段5は当該問題は正解と判断し、S208にて当該問題は当日の問題から除外され次の問題が出題される。正解が出力された後に前記解答操作が行われた場合または何も操作しない場合は、S207にて前記判断手段5は当該問題は不正解と判断して当日の問題として残し、解答操作が行われた時点で次の問題を出題する。不正解と判断された問題は、当日は何回でも繰り返し復習することができるが、当日再出題された問題は正解しても当日の問題からは除外されることはない。このように、設定した問題であっても正解した問題は当日の問題からは除外し、不正解の問題を狭めていくことにより効率的な学習ができるようになる。
【0015】
図4は本学習装置で問題としてスペイン語の単語を学習する例で、(a)(b)(c)は学習結果を基にして学習問題を設定し、学習に至るまでの経緯を説明するメモリテーブルである。図4(a)は前記図2におけるS101のスタートにより月曜日に覚える問題5語が第一の記憶部から第二の記憶部に出題用として回された状態(S102)で、学習を開始する前の状態を示している。各問題には第二の記憶部のプログラムに基づいて当日の曜日と出題順位が付けられる。また第二の記憶部に回されていない第一の記憶部の問題はすべて待機問題で待機順位が付けられており、翌日火曜日に学習する場合は待機順位の若い問題5語が回されるようになっている。このようにして、学習した日は毎回第一の記憶部から待機順位の若い問題5語が出題用として回される。そして解答操作により出題順位一番目の問題が出題され、正解が出力される前に解答操作が行われた場合は正解として第三の記憶部の正解計数器9の当該問題の正解回数を1カウントプラスさせ、次の問題を出題する。同時に当該問題は第二の記憶部から除外され、第一の記憶部で待機順位の最後の番号が付けられる。問題が出題されてから正解が出力された後に解答操作が行われた場合及び解答操作が行われない場合は、当該問題は第二の記憶部に止められ、第三の記憶部の不正解計数器10の当該問題の不正解回数を1カウントプラスさせ、解答操作が行われた時点で次の問題を出題する。
【0016】
図4(b)は、上記学習がかなり進んだ状態を示している。即ち、一週間周期で当該曜日の問題を学習し、正解した問題は当該問題の正解計数器を1カウントプラスさせて待機問題に回し、不正解だった問題は当該問題の不正解計数器を1カウントプラスさせて当該曜日の問題に止められる。これにより、覚えにくい問題は何週間も同じ曜日に止められて不正解計数器の回数を多くする。従って、第二の記憶部の出題順位は当初の順位とは次第に異なっていくことになる。また第一の記憶部の待機番号は、最後の問題が出題された後は、正解により待機問題として戻されてきた問題が、戻されてきた順番に待機番号を踏襲していくので待機順位は当初の順位とは大きく異なることになる。図4(b)は第一の記憶部の問題は出題と待機間を何回も循環した状態を示し、覚え難かった問題は不正解計数器の回数を多くしていることを示している。
【0017】
図4(c)は、本発明により不正解の回数が13回以上の問題のみを学習するように設定した状態を示している。第一の記憶部に格納されている問題は、これまで第二の記憶部のプログラムに基づいて出題されたが、学習問題が設定されると、設定により選択された問題は第三の記憶部のプログラムに基づいて出題されることを説明するメモリテーブルである。図(c)は不正解回数が13回以上の問題について、学習周期は1日(毎日)と設定された例である。
【0018】
図4(c)を第3図のフローチャートを用いて説明する。操作部11の電源スイッチを操作して本学習装置をスタートさせ(S201)、設定部12の学習問題設定スイッチにより、学習問題は不正解回数が13回以上の問題に設定すると(S202)、図4(c)のように第一記憶部のすべての問題の中から不正解回数13回以上の問題が該当問題として選択され、第三の記憶部3には学習周期と出題順位が付けられる(S204)。解答操作により出題順位一番目の問題「abajo」が出題され、正解「下方に」が出力する前に正解「下方に」をイメージすることができ、かつ解答操作をすることができたら、S207にて当該問題は正解として扱われ、当日覚える問題からは除外される(S208)。正解「下方に」が出力したあと解答操作が行われた場合は不正解として扱われ、当該問題は当日覚える問題から除外されず、設定された問題が一巡したあと再び出題される。第三のプログラムではこの学習を毎日繰り返すことができ、覚えた問題は除外されていくので、覚えにくい残された問題のみが集中的に覚えられるようになる。また、除外された問題でも再び問題側に戻して循環させることもできる。
【0019】
このように、第二の記憶部による基本学習プログラムに加えて新たに第三の記憶部を設け、学習結果を基にして学習問題を設定し、新たな学習周期を設定することにより、学習者個人の目的に合わせて効率よく学習をすることができるようになる。上記の例では第二の記憶部は一週間周期、第三の記憶部は一日周期と設定したが、これに限定されるものではなく目標に合わせて設定することができる。また学習教材の問題及び正解は、活字,音声に限定されるものではなく、写真、音楽、イラスト等、問題と正解形式になっていれば何でも可能であることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を構成するための一実施例ブロック図である。
【図2】各計数器の動作を説明するフローチャートである。
【図3】学習問題を設定し学習するフローチャートである。
【図4】学習問題を設定し学習に至るまでの経緯を説明するメモリテーブルである。
【符号の説明】
【0021】
1 第一の記憶部
2 第二の記憶部
3 第三の記憶部
4 CPU
5 判断手段
6 学習教材
7 出力装置
8 正解遅延手段
9 正解用計数器
10 不正解用計数器
11 操作部
12 設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
問題,正解,解説等の教材を格納する第一の記憶部と、前記第一の記憶部の出題等に関するプログラムを格納する第二の記憶部と、出題後所定の時間遅延して正解を出力する正解遅延手段と、前記所定の遅延時間内に解答操作が行われたか否かにより正解不正解の判断をする判断手段とを設けた学習装置において、学習結果を演算する手段を設け、学習する問題は前記演算手段により演算した結果を基にして設定し、前記設定された問題は第三の記憶部のプログラムに基づいて出題されるようにしたことを特徴とする学習支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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