説明

安全カミソリのハンドル

【課題】 本発明は、カートリッジ替刃の構造は年々複雑になってコストが上がる傾向にあることに鑑み、カートリッジ替刃とハンドルとの結合構造を少しでも簡単にしてコストを下げることを課題とする。さらに本発明は、力の弱い女性であっても負担をかけることなくボタンを操作してハンドルに結合されているカートリッジ替刃を外せる安全カミソリを提供することを目的とする。
【解決手段】 底部に差込部を有するカートリッジ替刃を取り付けるための安全カミソリハンドルであって、該ハンドルは、前記差込部を差込むための開口部を上端に有し、開口部に差込まれた差込部を抜け出し不能に係止する手段が、開口部内に現に差込まれている差込部と開口部の間に介在し、且つこの係止を解除する操作部がハンドルに設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒゲや手足の毛を剃るときに使用する安全カミソリであって替刃式の安全カミソリのハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
替刃式安全カミソリであって、直線的な差込み構造によってカートリッジ替刃をハンドルに結合する安全カミソリは存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−313801号公報
【特許文献2】実公昭63−1977号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、カートリッジ替刃の構造は年々複雑になってコストが上がる傾向にあることに鑑み、結合構造を少しでも簡単にしてコストを下げることを課題とする。直線的な差込み構造によってカートリッジ替刃をハンドルに結合する替刃式安全カミソリでは、カートリッジ替刃とハンドルの結合構造はできるだけ簡単な構造であることが望ましい。構造が複雑になればコストが上昇してしまうからである。特に、カートリッジ替刃側の結合構造が簡単であることが望ましい。なぜならば、カートリッジ替刃は切れ味が落ちたら廃棄して新品と交換するものだから、ハンドルに対してカートリッジ替刃の販売数は圧倒的に多数である。したがって、ハンドルよりもカートリッジ替刃のコストを下げたほうが需要者にとって望ましい。結合構造を簡単にしてコストを少しでも下げれば需要者にとってカートリッジ替刃の交換を早めることができる。カートリッジ替刃の交換を早めれば、需要者は常に切れ味のよいカートリッジ替刃を使用することができる。
【0004】
特許文献1の替刃式安全カミソリは、ハンドルに差込部が設けられ、カートリッジ替刃側に開口部が設けられている構成である。差込部に種々の構成が考えられるが、一枚の板状の差込片に簡単な係止突部あるいは係止穴を設ければそれで足りる。したがって、差込部は構造を簡単にしてコストを下げる構成とすることができる。これに対して、開口部は差込部を差込むためのものであるから、開口部を設けることができるだけの外形を有する部分が必要である。また、開口部の中にカートリッジ替刃との結合部を形成しなければならない。しかも、結合を外す手段についても簡単な構造では済まない。したがって、同じ結合構造であっても、差込部よりも開口部の方がコストが高くなりやすい。
【0005】
特許文献1の替刃式安全カミソリは、カートリッジ替刃側に開口部を設けてあるために、カートリッジ替刃のコストが高くなるのである。そこで、本発明は、ハンドル側に開口部を設けカートリッジ替刃側に簡単な構造の差込部を設けることによって、カートリッジ替刃のコストを下げることを目的とする。特許文献2は、カートリッジ替刃に嵌合凸部を設けてあるが、カートリッジ替刃の係止装置はハンドルの開口部内で係止状態となるのではなく、開口部の外部で係止する。したがって、見た目が悪く、使用中に係止部分にクリームやヒゲかすなどが詰まるので不潔になりやすい。
【0006】
さらに、特許文献1ではハンドルに結合されているカートリッジ替刃を外すときに、ハンドルに設けられたボタンをカートリッジ替刃を外す方向に押して、カートリッジ替刃に直接的に力を加えて押し出す構成である。つまり、結合部分を強制的に押し広げてカートリッジ替刃を押出して結合を外す押出しの構成である。したがって押出しにかなりの力が必要である。使用者が男性であるときはそれで支障はないが、女性にとってはかなりの負担である。これは、カートリッジ替刃を押出す方向に力を加える構成だからである。そこで、本発明は、力の弱い女性であっても負担をかけることなくハンドルに結合されているカートリッジ替刃を外せる安全カミソリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の構成は、底部に差込部を有するカートリッジ替刃を取り付けるための安全カミソリハンドルであって、ハンドルは、差込部を差込むための開口部を上端に有し、開口部に差込まれた差込部が抜け出さないように係止する手段が、開口部内に現に差込まれている差込部の部分と開口部の間に介在し、且つこの係止を解除する操作部がハンドルに設けられている構成である。
【0008】
請求項2は、操作部を移動して前記係止を解除するときに、前記操作部を移動させる力は、差込部が開口部から抜け出る推進力として作用しない要素が請求項1に付加された構成である。
【0009】
請求項3は、操作部を移動して前記係止を解除し差込部を開口部から外すときに、差込部が抜け出る方向が縦方向であるのに対して操作部の移動方向は横方向である要素が請求項1又は請求項2に付加された構成である。
【0010】
請求項4は、開口部の内壁から突出し開口部の内壁内に没入可能な係止装置が開口部内方向に弾性的に付勢されて装着されており、前記差込部を開口部に差込んだときに、差込部の側方に突出している係止突部が前記係止装置を開口部の内壁内に押し込みながら係止装置を越えて進み、その進んだときに係止突部の押圧から解除された係止装置が元の位置に弾性的に復帰し開口部内壁から突出して前記係止突部を係止し、前記係止装置の他方の端部はハンドルから突出する操作部を構成しており、該操作部を押すことにより係止が解除される要素が請求項3に付加された構成である。
【0011】
請求項5は、ハンドルがハンドル本体と回動体を含み、ハンドル本体の上端に回動体が回動可能に取り付けられ、該回動体に開口部が設けられ、該開口部に差込部が差込まれることによりカートリッジ替刃がハンドルに結合され、結合されたカートリッジ替刃の長さ方向と同じ方向に延びる回動軸線を中心に前記回動体は回動可能であり、且つ回動体の回動を所定の位置で固定できる手段を有している要素が請求項1乃至請求項4に付加された構成である。
【0012】
請求項6は、カートリッジ替刃のハンドルに対する結合態様が正しく行われないときは、差込部が開口部に差込むことができないように差込部と開口部の形状が形成されている要素が請求項1乃至請求項5に付加された構成である。
【0013】
請求項7は、差込部の差込み方向に延びる開口部のその延長線が回動体の回動中心から偏倚している要素が請求項5又は請求項6に付加された構成である。
【0014】
請求項8は、回動体の回動を所定の位置で固定する手段が、ハンドル本体に摺動可能に取り付けられた係止装置であって指で操作するためのボタンを有し、該係止装置に設けられた係止部によって回動体の回動を係止して固定する要素が請求項5乃至請求項7に付加された構成である。
【0015】
請求項9は、回動体が円筒形に形成され、その周面の周方向に少なくとも1つの係止凹部が形成され、係止装置に設けられている係止部がハンドル本体の上部から上方に突出して前記係止凹部に係合し回動体の回動を係止して固定する要素が請求項8に付加された構成である。
【0016】
請求項10は、係止装置の係止作用が解除された回動体の自由な回動を、回動体の係止凹部を使用することなく一定の範囲に制限するための手段が、係止装置を含めたハンドル本体と回動体との間に介在している要素が請求項9に付加された構成である
【発明の効果】
【0017】
請求項1は、ハンドルが、カートリッジ替刃の差込部を差込むための開口部をその上端に有し、開口部に差込まれた差込部が抜け出さないように係止する手段が、開口部内に現に差込まれている差込部の部分と開口部の間に介在し、且つこの係止を解除する操作部がハンドルに設けられている。したがって、差込部がカートリッジ替刃に設けられており、差込部は同じ結合構造としての開口部ほど製造コストがかからないので、カートリッジ替刃に開口部を設けるときよりもコストを下げることができる。また係止手段が、開口部内に現に差込まれている差込部の部分と開口部の間に介在している。現に差込まれている差込部の部分とは、開口部の中に埋まっている部分を指し、開口部からはみ出ている部分ではない。したがって、係止構造が外部から目視できないので体裁のよい安全カミソリとすることができる。
【0018】
請求項2は、操作部を移動して前記係止を解除するときに、前記操作部を移動させる力は、差込部が開口部から抜け出る推進力として作用しない構成である。したがって、係止を解除するために操作部のみを移動させるのであるからわずかな力で済む。また、移動した操作部を自動復帰させるためのバネを設けても、バネの反発力はわずかなものでよいからそのような構成にしてもわずかな力で済む。また、差込部の係止が解除されたカートリッジ替刃は自然落下などの方法でハンドルから取り外すことができる。
【0019】
請求項3は、操作部を移動して係止を解除し差込部を開口部から外すときに、差込部が抜け出る方向が縦方向であるのに対して操作部の移動方向は横方向である構成である。したがって、操作部を移動させることと、差込部が開口部から抜け出すことが連動せず、それぞれ独立させることができる。操作部の移動と差込部の抜け出しとが連動しなければ、係止の解除のみを操作部で行うことができる。この結果、小さな力で操作部を移動させることができるので力の弱い女性等に負担をかけることがない。
【0020】
請求項4は、開口部の内壁から突出し開口部の内壁内に没入可能な係止装置が開口部内方向に弾性的に付勢されて装着されており、差込部を開口部に差込んだときに、差込部の側方に突出している係止突部が前記係止装置を開口部の内壁内に押し込みながら係止装置を越えて進み、その進んだときに係止突部の押圧から解除された係止装置が元の位置に弾性的に復帰し開口部内壁から突出して係止突部を係止し、前記係止装置の他方の端部はハンドルから突出する操作部を構成しており、該操作部を押すことにより係止が解除される構成である。したがって、差込部を開口部に一杯に差込んだときに自動的に差込部は係止されカートリッジ替刃が抜け出ることがない。また、操作部を押すことによって係止が解除されるから、カートリッジ替刃を引っ張ることによりあるいはカートリッジ替刃を下に向けて自然落下させることによりカートリッジ替刃をハンドルから外すことができる。操作部を押す力は小さい力で済むから力の弱い女性などにも負担をかけない。
【0021】
請求項5は、ハンドルがハンドル本体と回動体を含み、ハンドル本体の上端に回動体が回動可能に取り付けられ、該回動体に開口部が設けられ、該開口部に差込部が差込まれることによりカートリッジ替刃がハンドルに結合され、結合されたカートリッジ替刃の長さ方向と同じ方向に延びる回動軸線を中心に前記回動体は回動可能であり、且つ回動体の回動を所定の位置で固定できる手段を有している要素が請求項1乃至請求項4に付加された構成である。したがって、ハンドルに対するカートリッジ替刃の傾きを選択的に変化できるから、顔や腕や足など種々の皮膚の毛を剃るときに対応できる。
【0022】
請求項6は、カートリッジ替刃のハンドルに対する結合態様が正しく行われないときは、差込部が開口部に差込むことができないように差込部と開口部の形状が形成されている。したがって、カートリッジ替刃をハンドルに逆に取り付けてしまうことがなく、逆に取り付けたときの危険性を回避できる。
【0023】
請求項7は、差込部の差込み方向に延びる開口部のその延長線が回動体の回動中心から偏倚している。したがって、開口部が回動体のいずれかの周面に寄るので、その周面に係止を解除するための操作部を設けることにより、操作部の開口部までの距離が短くなる。したがって、開口部を回動体の中心に設けたときよりも操作部を短くすることができる。
【0024】
請求項8は、回動体の回動を所定の位置で固定する手段が、ハンドル本体に摺動可能に取り付けられた係止装置であって指で操作するためのボタンを有し、該係止装置に設けられた係止部によって回動体の回動を係止して固定する構成である。したがって、ハンドルを握った手の指で操作部材を操作することにより回動体を容易に回動できる。
【0025】
請求項9は、回動体が円筒形に形成され、その周面の周方向に少なくとも1つの係止凹部が形成され、係止装置に設けられている係止部がハンドル本体の上部から上方に突出して前記係止凹部に係合し回動体の回動を係止して固定する構成である。回動体側の係止手段は円筒形の外周に形成した係止凹部であるから、係止手段が複雑でなく製造コストを低くすることができる。また、係止凹部に係止している係止装置の係止部を他方の係止凹部に係止するために回動体を回動しているときに、ボタンから指が外れて係止部が回動体に圧接しても、回動体は円筒形であるからそのまま回動体を回動すれば係止部は円筒形の表面を滑り、他方の係止凹部に係止できる。
【0026】
請求項10は、係止装置の係止作用が解除された回動体の自由な回動を、回動体の係止凹部を使用することなく一定の範囲に制限するための手段が、係止装置を含めたハンドル本体と回動体との間に介在している。したがって、回動体が自由に回動してカートリッジ替刃が実際に使用される角度からかけ離れた角度に回動し、使用者に不快感を与えることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。ハンドル1は、ハンドル本体2と、そのハンドル本体2の上端に回動可能に取り付けられた回動体3と、ハンドル2の正面に上下に移動可能に取り付けられた操作部材であるボタン4とを含む。
【0028】
回動体3は円筒形に形成され、ハンドル本体2の上端に形成されたアーム5,5の間にジャーナル結合によって回動可能に取り付けられている。回動体3はあらかじめ組み立ててからアーム5,5に取り付けられる。回動体3の上面には内部に延びる開口部6が設けられている。開口部6の延長線は回動体3の中心を通っておらず、中心よりも背面側に偏倚している。開口部6の延長線が中心よりも正面側に偏倚してもよく、偏倚せずに中心を通ってもよい。カートリッジ替刃7の差込部8が開口部6に差込まれてカートリッジ替刃7はハンドル1に結合される。差込部8にはその下端から側方に突出する係止突部9が一体に形成されている。係止突部9は図4に示すように三角形に形成され、傾斜面17が形成されている。開口部6の一方の内面にこの係止突部9を通すための切欠き部10が形成されている。開口部6の他方の内面に切欠き部10がないので、差込部8を逆に差込むことができない。図5に示すようにカートリッジ替刃7は回動体3に対して揺動できないが、カートリッジ替刃7を上下2つの部分に分けてジャーナル結合させ、カートリッジ替刃7の上方部分を揺動可能としてもよい。
【0029】
図5に示すように、回動体の内部に、回動体3の径方向に移動可能な係止構造であるピストン11が装着されている。ピストン11の端部は回動体3から突出して押しボタン12を構成している。ピストン11はコイルバネ13によって外に突出する方向に付勢されているが、係止手段によって外に飛び出すことはない。ピストン11の側部から係止部14が延び、その端部から開口部6内に突出する突起15が一体に形成されている。突起15の先端には傾斜面16が形成されている。押しボタン12を押すことによりピストン11は回動体3の内方に移動し、これによって開口部6内に突出していた突起15は開口部6の内壁内に没入し、開口部6内に突出しない。
【0030】
次に、カートリッジ替刃7の回動体3への取り付け及び取り外しについて説明する。カートリッジ替刃7を取り付けるときは、その差込部8を回動体3に設けられた開口部6に差込む。開口部6は底に向かって真っ直ぐに延びているので、差込部8の移動は直線的である。差込部8を差込むことによって、差込部8の係止突部9の傾斜面17が突起15の傾斜面16に接しながらこれを押し、突起15を開口部6の内壁内に押し込む。このとき、当然であるがピストン11も一体的に移動する。これによって、差込部8は開口部6内に完全に差込まれる。完全に差込まれると、係止突部9は突起15を超えて開口部6の底に到達し、突起15は係止突部9による押圧から解除されて元の位置に自動的に復帰する。自動的に復帰するのは、コイルバネ13の付勢による。
【0031】
カートリッジ替刃7を取り外すときは、押しボタン12を押す。押しボタン12を押すことによりピストン11は回動体3の内方に移動し、これによって開口部6内に突出していた突起15は開口部6の内壁内に没入し、開口部6内に突出しない。したがって、突起15と差込部8の係止突部9との係止状態が解除されるので、この状態でカートリッジ替刃7を引けば開口部6からカートリッジ替刃7を抜くことができる。あるいは、カートリッジ替刃7を下側に向ければ自然に落下する。いずれにしても、カートリッジ替刃7が抜け出る方向が縦方向であるのに対して、押しボタン12の移動方向は横方向である。横方向というのは、図面で示したようにハンドルの前後方向を指すがこの方向に限定されるものではなく、その前後方向と直交する方向、すなわちハンドルの左右方向も含まれる。さらに、それらハンドルの前後方向と左右方向の間を延びる方向も含まれる。このように、押しボタン12を押すことによって係止状態が解除されるが、押しボタン12を押してもこれがカートリッジ替刃7を開口部6から押出すように作用することがない。すなわち、押しボタン12は係止状態を解除するだけであるから小さな力で係止状態を解除できる。係止が解除されたカートリッジ替刃7を抜く他の方法としては、装着されたカートリッジ替刃の差込部8を弾性的に押圧する弾性部材を回動体3に装着しておく。これにより、カートリッジ替刃7は手で引き抜かなくても弾性部材によって飛び出る。なお、図4に示すカートリッジ替刃7は刃体を有する刃装置18に皮膚接触部材19がシーソーのように揺動可能になるように取り付けられたものである。
【0032】
次に回動体3を回動し固定する構成について説明する。図5に示すように、回動体3の表面に2つの係止凹部20,21が形成されている。また、ハンドル本体2に係止構造であるプランジャー22が上下に摺動可能に装着されている。プランジャー22にはこれと一体に摺動するボタン4が係合されている。この係合はボタン4の一体に形成された係合部23,23をピストン22の内面に係合することにより行われる。これによって、ボタン4はハンドル本体2から外れない。ボタン4の操作を楽にするために表面に大き目の突起28が一体に形成されている。
【0033】
プランジャー22の上端に係止部24が設けられハンドル本体2の上面から突出している。係止突部24が回動体の係止凹部20又は係止凹部21に係止することによって回動体3を固定する。回動体3の中心から係止凹部20と係止凹部21に引いた線のなす角度は約30度である。本発明はこの角度に限定されるものでなく、両係止凹部20,21のなす角度を10度〜90度にしてもよい。プランジャー22の内部にコイルバネ25が装着され、このコイルバネ25の弾性力によってプランジャー22が常に上方に押されるように付勢されている。したがって、係止突部24と係止凹部20又は係止凹部21の係止は自然に外れないので回動体3を確実に固定できる。係止突部24を正面側の係止凹部20に係止したときにカートリッジ替刃7はかなり前傾するので、例えば足のすねなどのように手を伸ばさなければならない部分に使用するときに便利である。背面側の係止凹部21に係止したときは二の腕など腕を畳んで毛を剃るときに便利である。
【0034】
図5は、係止突部24が回動体3の正面側の係止凹部20に係止している状態である。係止突部24を背面側の係止凹部21と係止するときは、ボタン4を下方に摺動することによって係止突部24をハンドル本体2の中に没入させる。そして、回動体3を背面側に回動した後で、ボタン4から指を外して没入していた係止突部24を係止凹部21内に突出させればよい。なお、係止凹部20,21の隣に突起26,27が形成されており、これらがハンドル本体2の上面に当たることによって、回動体3を必要以上に回動させることを防止できる。
【0035】
図1に示すように、ハンドル本体2には鯨の尾びれの形状をしたハンドル下端部29が形成されている。図2に示すようにハンドル下端部29を凸レンズ状の形状にすれば、ハンドル下端部29を透明な材料で形成したときにレンズの役目を果たす。ハンドル下端部29は前方向に弧状に曲がっているので、使用中に下端部29を手の平に宛がって使用すると作業が安定する。また、ハンドル本体2の長さ方向に稜線30が形成されている。稜線30を境としてその背面側に当たるハンドル背面31の表面はつるつるの鏡面に形成されている。稜線30を境としてその側面乃至正面側に当たるハンドル前面32は微細な凹凸を形成したざらざら面に形成されている。つるつるの鏡面は指との接触面積が大きくむしろ滑りづらい。ざらざら面は指との接触面積が小さいので指との接触はむしろさらさらしている。ハンドル本体2は、前述したハンドル下端部29の部分で横幅が最大で、ハンドル下端部29の上方にしぼり部が形成されている。しぼり部から上端に行くに従って、横幅及び前後の厚みが増加する形状に形成されている。ボタン4のやや下方で横幅と厚みは一杯となる。その一杯の部分で横幅は約30mmであり、人差し指を余裕をもって宛がうことができる。また、その一杯の部分で前後の厚みは約28mmであり、親指の指先腹部を全面的に宛がうことができる。図6に示すようにハンドル本体2の背面で両アーム5,5の間に凹面部33が形成されている。使用時にその凹面部33に人差し指等の指先を宛がうことができる。
【0036】
図6及び図7は本発明の収納状態を示したものである。これらの図に示すようにハンドル1は、カートリッジ替刃7を取り付けた状態でトレー34に収納できる。トレー34の下部にハンドル下端部29を保持するための保持部36が設けられている。ハンドル1をトレー34に収納するときは、ハンドル下端部29をこの保持部36に挿入するとハンドル29は保持部36により正面と背面から挟まれるように保持される。カートリッジ替刃7にはキャップ35を装着できる。図7に示すように、トレー34に替刃ケース37も着脱自在に装着することができる。替刃ケース37はそれぞれ蓋41を有する2つの替刃収納部が一体に結合されている。トレー34の長さ方向のほぼ中央にL字形の引っ掛け部39が設けられている。替刃ケー37の2つの替刃収納部の仕切り部に舌片40が一体に設けられていて、この舌片40が引っ掛け部39に引っ掛かって替刃ケース37はトレー34に装着される。また、替刃ケース37トレー34の端部に吸盤38も着脱自在に取り付けることができる。吸盤38によって、浴室の壁に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の正面図
【図2】本発明の側面図
【図3】カートリッジ替刃を装着した本発明の側面図
【図4】カートリッジ替刃の側面図
【図5】回動体とカートリッジ替刃の結合状態を示す断面図
【図6】本発明をトレーに収納した状態の斜視図
【図7】本発明をトレーに収納した状態を裏から見た斜視図
【符号の説明】
【0038】
1 ハンドル
2 ハンドル本体
3 回動体
4 ボタン
5 アーム
6 開口部
7 カートリッジ替刃
8 差込部
9 係止突部
10 切欠き部
11 ピストン
12 押しボタン
13 コイルバネ
14 係止部
15 突起
16 傾斜面
17 傾斜面
18 刃装置
19 皮膚接触部材
20 係止凹部
21 係止凹部
22 プランジャー
23 係合部
24 係止部
25 コイルバネ
26 突起
27 突起
28 突起
29 ハンドル下端部
30 稜線
31 ハンドル背面
32 ハンドル正面
33 凹面部
34 トレー
35 キャップ
36 保持部
37 替刃ケース
38 吸盤
39 引っ掛け部
40 舌片
41 蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に差込部を有するカートリッジ替刃を取り付けるための安全カミソリハンドルであって、該ハンドルは、前記差込部を差込むための開口部を上端に有し、開口部に差込まれた差込部が抜け出さないように係止する手段が、開口部内に現に差込まれている差込部の部分と開口部の間に介在し、且つこの係止を解除する操作部がハンドルに設けられていることを特徴とするハンドル。
【請求項2】
操作部を移動して前記係止を解除するときに、前記操作部を移動させる力は、差込部が開口部から抜け出る推進力として作用しない請求項1記載のハンドル。
【請求項3】
操作部を移動して前記係止を解除し差込部を開口部から外すときに、差込部が抜け出る方向が縦方向であるのに対して操作部の移動方向は横方向である請求項1又は請求項2記載のハンドル。
【請求項4】
開口部の内壁から突出し開口部の内壁内に没入可能な係止装置が開口部内方向に弾性的に付勢されて装着されており、前記差込部を開口部に差込んだときに、差込部の側方に突出している係止突部が前記係止装置を開口部の内壁内に押し込みながら係止装置を越えて進み、その進んだときに係止突部の押圧から解除された係止装置が元の位置に弾性的に復帰し開口部内壁から突出して前記係止突部を係止し、前記係止装置の他方の端部はハンドルから突出する操作部を構成しており、該操作部を押すことにより係止が解除される請求項3記載のハンドル。
【請求項5】
ハンドルはハンドル本体と回動体を含み、ハンドル本体の上端に回動体が回動可能に取り付けられ、該回動体に開口部が設けられ、該開口部に差込部が差込まれることによりカートリッジ替刃がハンドルに結合され、結合されたカートリッジ替刃の長さ方向と同じ方向に延びる回動軸線を中心に前記回動体は回動可能であり、且つ回動体の回動を所定の位置で固定できる手段を有している請求項1乃至請求項4記載のハンドル。
【請求項6】
カートリッジ替刃のハンドルに対する結合態様が正しく行われないときは、差込部が開口部に差込むことができないように差込部と開口部の形状が形成されている請求項1乃至請求項5記載のハンドル。
【請求項7】
差込部の差込み方向に延びる開口部のその延長線は回動体の回動中心から偏倚している請求項5又は請求項6記載のハンドル。
【請求項8】
回動体の回動を所定の位置で固定する手段は、ハンドル本体に摺動可能に取り付けられた係止装置であって指で操作するためのボタンを有し、該係止装置に設けられた係止部によって回動体の回動を係止して固定する請求項5乃至請求項7記載のハンドル。
【請求項9】
回動体は円筒形に形成され、その周面の周方向に少なくとも1つの係止凹部が形成され、係止装置に設けられている係止部がハンドル本体の上部から上方に突出して前記係止凹部に係合し回動体の回動を係止して固定する請求項8記載のハンドル。
【請求項10】
係止装置の係止作用が解除された回動体の自由な回動を、回動体の係止凹部を使用することなく一定の範囲に制限するための手段が、係止装置を含めたハンドル本体と回動体との間に介在している請求項9記載のハンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−204669(P2006−204669A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22662(P2005−22662)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)