説明

安定性を高めるためにTISPまたはTIPPシステム内の複数のプリンタを制御する方法およびシステム

【課題】第1および第2のプリンタの実行する印刷役割の差に起因して、相対的印刷品質、性能、および効率の異なる全体状態の差異を低減。
【解決手段】複数プリンタ印刷システム50内のプリンタ安定性を向上させる方法は、印刷システム内の、第1の印刷役割を割り当てられた第1のプリンタ62の第1のプリンタストレス状態を決定することを含んでいる。また、印刷システム内の、第1の印刷役割とは異なる第2の印刷役割を割り当てられた第2のプリンタ64の第2のプリンタストレス状態を決定する。第1のプリンタストレス状態と第2のプリンタストレス状態とを比較して、第1のプリンタストレス状態が第2のプリンタストレス状態と異なる場合には、第2のプリンタに第1の印刷役割を再割り当てして、第1のプリンタに第2の印刷役割を再割り当てする印刷システムの提供。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在、高性能の、および他の利点を有する単一印刷システムを提供するためには、強固に統合された順次印刷(TISP)システム、または強固に統合された並列印刷(TIPP)システム内で2台以上のプリンタ(または「印刷エンジン」)を組み合わせている。このような既知のシステム内では、各プリンタに特定の専用の印刷役割を割り当てている。例えば、TISP/TIPP印刷システムの第1のプリンタには、ページの「第1の面の印刷」の第1の印刷役割を割り当てており、TISP/TIPP印刷システムの第2のプリンタには、ページの「第2の面の印刷」の第2の印刷役割を割り当てている。このような専用の役割印刷は利点を提供するが、しかしまた、問題も引き起こす可能性がある。特に、第1および第2のプリンタは、それらが実行する印刷役割の差に起因して、相対的印刷品質、性能、および効率の異なる全体状態(本明細書では「ストレス状態」と呼ばれる)に移行する場合が多い。上述の実施例では、第1の印刷役割を規定する第1の面の印刷負荷の方が、第2の印刷役割を規定する第2の面の印刷負荷と比較して生成されるプリント出力の量の点から見て、より要求が高い可能性がある。プリント出力の量のこのばらつきは、質、着色剤(インクまたはトナー)の補充、摩耗部品の残存耐用年数などの点で第1および第2のプリンタを互いに異なったものにしてしまう場合が多く、これはTISP/TIPPシステムの安定性の欠如と考えることができる。品質のいかなるばらつきも、ユーザにとっては非常に好ましくないものであり、着色剤の消費量、摩耗部品の耐用年数などに関する相違は、補給品使用および保守要件に関連して効率の悪さを引き起こす。したがって、安定性を高めるためにTISPまたはTIPPシステム内の複数のプリンタを制御するための、新しく、かつ改良された方法およびシステムに対する必要性が確認されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開発の第1の態様によれば、複数プリンタ印刷システム内のプリンタ安定性を向上させるための方法が、印刷システム内の、第1の印刷役割を割り当てられた第1のプリンタの第1のプリンタストレス状態を決定することを含んでいる。方法は、印刷システム内の、第1の印刷役割とは異なる第2の印刷役割を割り当てられた第2のプリンタの第2のプリンタストレス状態を決定することをさらに含んでいる。第1のプリンタストレス状態と第2のプリンタストレス状態とを比較して、第1のプリンタストレス状態が第2のプリンタストレス状態と異なる場合には、第2のプリンタに第1の印刷役割を再割り当てして、第1のプリンタに第2の印刷役割を再割り当てする。
【0003】
本開発の他の態様によれば、複数プリンタ印刷システム内のプリンタ安定性を向上させるためのシステムが、第1の印刷役割を割り当てられた第1のプリンタと、第1の印刷役割とは異なる第2の印刷役割を割り当てられた第2のプリンタと、含んでいる。システムは、印刷サイクルの完了後に、第2のプリンタに第1の印刷役割を再割り当てする手段と、第1のプリンタに第2の印刷役割を再割り当てする手段と、をさらに含んでいる。
【0004】
本開発のさらなる他の態様によれば、複数プリンタ印刷システム内のプリンタ安定性を向上させるためのシステムが、印刷システム内の、第1の印刷役割を割り当てられた第1のプリンタの第1のプリンタストレス状態を決定する手段を含んでいる。システムは、印刷システム内の、第1の印刷役割とは異なる第2の印刷役割を割り当てられた第2のプリンタの第2のプリンタストレス状態を決定する手段をさらに含んでいる。また、システムは、第1のプリンタストレス状態と第2のプリンタストレス状態とを比較する手段と、第1のプリンタストレス状態が第2のプリンタストレス状態と異なるとき、第2のプリンタに第1の印刷役割を再割り当てして、第1のプリンタに第2の印刷役割を再割り当てする手段と、を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、従来のTISP/TIPP印刷システムを示す図である。
【図2】図2は、本開発に基づいて提供されるTISP/TIPP印刷システムを示す図である。
【図3】図3は、本開発のシステムおよび方法で使用するプリンタ・ストレス・パラメータの実施例を示す図である。
【図4】図4は、例示的実施形態の複数のプリンタの安定性を向上させるための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1に示すように、強固に統合された順次印刷(TISP)印刷システム30、および/または強固に統合された並列印刷(TIPP)印刷システム40として提供される複数プリンタ印刷システム22に印刷ジョブ20を入力する。印刷ジョブ20は第1および第2の印刷役割を含み、例えば、第1の印刷役割は各ページの第1の面を印刷するように規定され第2の印刷役割は各ページの第2の面を印刷するように規定され、または第1の印刷役割はテキストを印刷するように規定され第2の印刷役割は画像および図形を印刷するように規定され、または複数プリンタ印刷システム内の他の任意の役割区分を有している。
【0007】
TISP印刷システム30は、第2のプリンタ34(プリンタ番号2)から上流に位置する第1のプリンタ32(プリンタ番号1)が印刷ジョブ20の第1の印刷役割を実行するように構成されており、この第2のプリンタ34(プリンタ番号2)は第1のプリンタ32により実行される第1の印刷役割が完了した後に印刷ジョブ20の第2の印刷役割を実行する。第2のプリンタ34は、ハードコピー用紙のプリント出力を所望の物理的配列またはパッケージにするために印刷ジョブをプリント出力モジュール36に出力する。また、TISP印刷システム30は、第1および第2のプリンタ32、34への、ならびに第1および第2のプリンタ32、34からの、紙(または他の印刷記録媒体)の流れを制御するためにゲート、反転器、クロスオーバ、およびその種の他のものを含む用紙搬送路制御システム38を含んでいる。
【0008】
同様に、TIPP印刷システム40では、第2のプリンタ44(プリンタ番号2)と並列式に配置され作動する第1のプリンタ42(プリンタ番号1)が印刷ジョブ20の第1の印刷役割を実行し、この第2のプリンタ44(プリンタ番号2)は第1のプリンタ42により実行される第1の印刷役割と同時に印刷ジョブ20の第2の印刷役割を実行する。第1および第2のプリンタ42、44は、ハードコピー用紙のプリント出力を所望の物理的配列またはパッケージにするためにそれらの各印刷ジョブをプリント出力モジュール46に出力する。また、TIPP印刷システム40は、第1および第2のプリンタ42、44への、ならびに第1および第2のプリンタ42、44からの、紙(または他の印刷記録媒体)の流れを制御するためにゲート、反転器、クロスオーバ、およびその種の他のものを含む用紙搬送路制御システム48を含んでいる。
【0009】
上述のように、第1および第2のプリンタ32、34または42、44のストレス状態が、時間とともに互いに対して異なったものになることは多くの場合好ましくない。図2は、TISPまたはTIPP配置内に並べられた第1のプリンタ52(プリンタ番号1)と、第2のプリンタ54(プリンタ番号2)とを含む、本開発に基づいて提供されるTISPまたはTIPP印刷システム50を示している(図2の第1および第2のプリンタ52、54の相対的位置は、TISPまたはTIPPシステムのどちらかに限定するよう意図されていない)。図1のTISPおよびTIPPシステム30、40とは異なり、図2に示す複数プリンタシステム50は、第1のプリンタ52と第2のプリンタ54の間の安定性を高めて、ストレス状態のばらつきを低減するように構造化され、構成されている。したがって、システム50は、印刷ジョブ20を規定するデータを受信するプリンタばらつき制御モジュール60を含んでいる。プリンタばらつき制御モジュール60は、印刷ジョブ20を、少なくとも第1の印刷役割62(印刷役割番号1)と、第2の印刷役割64(印刷役割番号2)と、に分割する。実線の矢印R1およびR2で示すように、第1の状態またはデフォルト状態では、プリンタばらつき制御モジュール60は、第1の印刷役割62に関連し、第1の印刷役割62を規定するデータを、第1のプリンタ52に出力し、第2の印刷役割64に関連し、第2の印刷役割64を規定するデータを、第2のプリンタ54に出力する。破線の矢印R1’およびR2’で示すように、第2の状態またはデフォルト状態では、プリンタばらつき制御モジュール60は、第1の印刷役割62に関連し、第1の印刷役割62を規定するデータを、第2のプリンタ54に出力し、第2の印刷役割64に関連し、第2の印刷役割64を規定するデータを、第1のプリンタ52に出力する。システム50は、プリンタばらつき制御モジュール60に動作可能なように接続されたプリンタ制御システム70を含んでいる。(例えば、プリンタばらつき制御モジュール60は、制御システム70それ自体の中に実現されるソフトウェアおよび/もしくはハードウェアにより提供でき、またはプリンタばらつき制御モジュール60は、個別のハードウェアおよび/もしくはソフトウェアモジュールである可能性がある)。プリンタ制御システム70とプリンタばらつき制御モジュール60とは、電子回路および/または他のハードウェアおよび/またはデジタル画像処理専用のソフトウェアにより提供され、および/または本明細書に開示する画像処理動作を実現するようにプログラムされた汎用コンピュータを含むことができる。
【0010】
プリンタ制御システム70により受信される入力に呼応して、または任意の、もしくは所定のスケジュールによって、プリンタ制御システム70はプリンタばらつき制御モジュール60に入力を提供して、実線の矢印R1、R2で示すようなそれの第1の状態か、または破線の矢印R1’、R2’で示すようなそれの第2の状態かのどちらかをプリンタばらつき制御モジュール60に選択させる。言い換えれば、プリンタ制御システム70は、プリンタばらつき制御モジュール60が、第2のプリンタ54に第1の印刷役割62を定期的に再割り当てするようにさせ、第1のプリンタ52に第2の印刷役割64を定期的に再割り当てするようにさせ、逆もまた同様である。また、プリンタ制御システム70は、後述の理由で、印刷ジョブ70を規定するデータの一部またはすべてを受信する。
【0011】
また、図2に示すように、システム50は、第1および第2のプリンタ52、54への、ならびに第1および第2のプリンタ52、54からの、紙(または他の印刷記録媒体)の流れを制御するためにゲート、反転器、クロスオーバ、およびその種の他のものを含む用紙搬送路制御システム58を含んでいる。用紙搬送路制御システム58はプリンタ制御システム70により制御されるとともに、また、制御システム58にフィードバックを提供する。システム50は、プリンタ制御システム70にセンサデータを提供するために、第1および第2のプリンタ52、54に関連する複数のセンサ59をさらに含んでいる。特に、第1のプリンタ52に関連するセンサ59は、プリンタ制御システム70に第1のプリンタ・ストレス・データ入力を提供する。第1のプリンタ・ストレス・データは、第1のプリンタのストレス状態を記述するとともに、それに関連している。第2のプリンタ54に関連するセンサ59は、プリンタ制御システム70に第2のプリンタ・ストレス・データ入力を提供する。第2のプリンタ・ストレス・データは、第2のプリンタのストレス状態を記述するとともに、それに関連している。センサ59の実施例と、それらのセンサによって出力されるプリンタ・ストレス・データとは、第1および第2のプリンタ52、54により実行中の印刷動作と、第1および第2のプリンタ52、54のストレス状態と、に関する情報をプリンタ制御システムに提供する(i)環境センサ(温度、湿度など)と、(ii)トナー使用量、トナー濃度、トナー容器データセンサと、(iii)感光体上のストリークを検出するためのストリークセンサと、(iv)現像電界、レーザ出力、帯電レベル、およびその種の他のものを測定するための電気センサと、を含んでいる。また、センサは、用紙搬送路内の用紙センサおよび他のセンサと、他の既知のセンサと、を含んでいる。
【0012】
プリンタ制御システム70はセンサ59からのデータを受信して、また、プリンタ制御システム70は印刷ジョブ20を規定して記述するデータを使用して、第1のプリンタ52のストレス状態を記述したり、または示したりする第1のプリンタ・ストレス・パラメータを計算したり、または他の方法で導出したりするとともに、および第2のプリンタ54のストレス状態を記述したり、または示したりする第2のプリンタ・ストレス・パラメータを計算したり、または他の方法で導出したりする。図3は、第1のプリンタ・ストレス・パラメータFP1〜FP7と、対応する第2のプリンタ・ストレス・パラメータSP1〜SP7と、の実施例を示す図である。それぞれの第1のプリンタ・ストレス・パラメータFP1〜FP7は、それぞれ、対応する第2のプリンタ・ストレス・パラメータSP1〜SP7に関連している。したがって、プリンタ制御システム70は、第1および第2のプリンタ・ストレス・パラメータFP1〜FP7およびSP1〜SP7のそれぞれの対応する対の間の各ストレスパラメータ差すなわち「デルタ」Δ1〜Δ7を計算したり、または他の方法で決定したりする。本開発を図3に記載の第1および第2のプリンタ・ストレス・パラメータに限定することを意図していない。本開発はこれら、および/または他のプリンタ・ストレス・パラメータを含むことを意図しており、本明細書に開示する特定のストレスパラメータに限定されるべきではないことを当業者は認識するであろう。
【0013】
各プリンタ・ストレス・パラメータFP1〜FP7、SP1〜SP7の説明を以下に提供する。
トナー年齢(FP1、SP1)
このパラメータは、トナー(または他の着色剤)が現像ハウジング/サンプ内に存在している時間に関してトナー(または他の着色剤)の年齢を記述し、「平均滞留時間」に関して通常記述される。プリンタ制御システム70は、トナー年齢パラメータを計算するために既知の時間の間の現像ハウジングの固定サイズと、現像ハウジングに投入されたトナー量と、現像ハウジングから消費されたトナー量と、を使用する。第1のプリンタ52と第2のプリンタ54の間のトナー年齢のばらつきが、プリンタ・ストレス・レベルのばらつきを示している。
トナー濃度(FP2、SP2)
このパラメータは、2成分現像ハウジングまたはサンプ内のキャリアビーズまたは他のキャリア材料に対するトナー濃度を記述する。トナー濃度はセンサ59のうちの1つで測定され、プリント出力の画像濃度を調節するためにプリンタ制御システム70によりリアルタイムで制御される。第1のプリンタ52と第2のプリンタ54の間のトナー濃度のばらつきが、プリント出力のばらつきに起因するプリンタ・ストレス・レベルのばらつきを示している。
領域被覆率(FP3、SP3)
このパラメータは、トナーまたは他の着色剤により覆われる領域に関して各プリンタ52、54により出力中のトナー量を記述する。プリンタ制御システム70は、印刷ジョブ20を規定するデータから領域被覆率パラメータを導出する。第1のプリンタ52と第2のプリンタ54の間の領域被覆率のばらつきが、プリンタ・ストレス・レベルのばらつきを示している。
ストリーク(FP4、SP4)
このパラメータは、全幅配列センサにより検出されるような、プリンタの感光体上のストリークの検出を記述する。プリンタ52、54のうちの一方には関連するが、もう一方には関連しないストリークの検出が、プリンタ・ストレス・レベルのばらつきを示している。
現像電界(FP5、SP5)
このパラメータは、磁気ローラを含む静電写真電界の電圧と他の電気特性とを記述する。現像電界はセンサ59により測定され、および/またはプリンタ制御システム70により把握され、制御される。第1のプリンタ52と第2のプリンタ54の間の現像電界の差が、プリンタストレスのばらつきを示している。
レーザ出力/ROS(FP6、SP6)
消費されたレーザ(ラスタ出力スキャナ(ROS))出力がプリンタ制御システム70により把握される。所望の画像濃度を維持するにはより大きい出力を必要とすることをレーザ出力消費の増加が示している。したがって、第1のプリンタ52と第2のプリンタ54の間のレーザ出力のばらつきが、異なるレベルのプリンタストレスを示している。
帯電レベル(FP7、SP7)
感光体上の帯電レベルはプリンタ制御システム70により認知され、および/またはセンサ59により測定される。第1のプリンタ52と第2のプリンタ54の間の帯電レベルのばらつきが、部品摩耗または他の理由に起因する異なるレベルのプリンタストレスを示している。
【0014】
図4は、図2のTISP/TIPPシステム50または他の複数プリンタ印刷システムを用いた、例示的実施形態の複数のプリンタの安定性を向上させるための方法を示している。ステップS1では、プリンタ制御システム70は、第1および第2のプリンタ・ストレス・データ、すなわち、第1および第2のプリンタ・ストレス・パラメータ、ならびに/または第1および第2のプリンタ・ストレス・パラメータを導出するのに必要なデータ、を受信する。ステップS2では、制御システム70は、上述のように、ステップS1で受信したプリンタ・ストレス・データと、入力された印刷ジョブ20からのデータと、制御システム70が利用できる他のプリンタ・ストレス・パラメータと、を使用して、第1のプリンタ52に対する第1のプリンタストレス状態と、第2のプリンタ54に対する第2のプリンタストレス状態と、を計算する。ステップS3では、制御システム70は、第1のプリンタストレス状態と第2のプリンタストレス状態とを比較する。ステップS4では、第1および第2のストレス状態の間の差が選択閾値よりも大きいとき、制御システム70は、上述のように、第1および第2のプリンタ52、54の印刷役割を交換するようにプリンタばらつき制御モジュール60を制御する。したがって、第1および第2のストレス状態の間の差が選択閾値よりも大きい場合において、
・第1の印刷役割が第1のプリンタ52により実行中であり、かつ第2の印刷役割が第2のプリンタ54により実行中であるときには、ステップS4は、第1の印刷役割が第2のプリンタ54により実行されるとともに、第2の印刷役割が第1のプリンタ52により実行され、
・第1の印刷役割が第2のプリンタ54により実行中であり、かつ第2の印刷役割が第1のプリンタ52により実行中であるときには、ステップS4は、第1の印刷役割が第1のプリンタ52により実行されるとともに、第2の印刷役割が第2のプリンタ54により実行されるであろう。
その後、印刷システム50が作動している間、ステップS1〜S4を連続的に繰り返す。
【0015】
一実施形態では、ストレスパラメータのデルタΔ1〜Δ7のうちのいずれか1つがゼロではないとき、ステップS4で使用する選択閾値を超えている。他の実施形態では、ストレスパラメータのデルタΔ1〜Δ7のうちのいずれか1つが、ストレスパラメータのデルタΔ1〜Δ7を計算するのに使用するそれぞれ対応する第1および第2のプリンタ・ストレス・パラメータFP1〜FP7、SP1〜SP7のどちらかと10%以上異なるとき、すなわち、第2のプリンタ・ストレス・パラメータが第1のストレスパラメータと10%以上異なるとき、または逆に、第1のプリンタ・ストレス・パラメータが第2のストレスパラメータと10%以上異なるとき、ステップS4で使用する選択閾値を超えている。言い換えれば、ストレスパラメータのデルタΔ1〜Δ7のそれぞれに±10%の許容差範囲を割り当てて、各ストレスパラメータのデルタΔ1〜Δ7が許容差範囲から外れている場合にだけ、各ストレスパラメータのデルタΔ1〜Δ7はプリンタストレスのばらつきを示すと見なされる。また、1つの、2つ以上の、またはすべての利用できるストレスパラメータのデルタΔ1〜Δ7が許容差範囲から外れている場合、ステップS4で使用する閾値を超えていると見なすことができる。したがって、利用できるストレスパラメータのデルタΔ1〜Δ7の選択最小数が許容差範囲から外れて、プリンタストレスのばらつきが許容範囲の外にあることを示すようになるまで、ストレスパラメータのデルタΔ1〜Δ7のうちのいずれか1つ以上により示されたプリンタストレスのばらつきを無視できる。
【0016】
第1および第2のプリンタ52、54の各ストレス状態の間のばらつきを許容限度内に保持することが、ステップS4に基づく第1のプリンタ52と第2のプリンタ54の間の第1および第2の印刷役割の上述の交換によって確保されるであろうことを当業者は認識されたい。
【0017】
また、図4は、本開発の複数のプリンタの安定性を向上させる方法の他の実施形態を示している。方法はステップT1を含み、このステップT1では、所定の一定の印刷サイクル、または任意に可変の印刷サイクルの完了後に、制御システム70は、上述のように、第1および第2のプリンタ52、54の印刷役割を交換するようにプリンタばらつき制御モジュール60を制御する。印刷サイクルは、時間、シート枚数、トナー使用量、印刷されるデータ、ならびに/またはシステム50の時間および/もしくは印刷活動に関連する他の任意のパラメータに関して規定される。本開発によれば、印刷サイクルは、上述のように、任意の所望の方法で規定でき、プリンタ間のストレスのばらつきを低減するために第1および第2のプリンタ52、54がユーザにとって途切れのない方法でプリンタ制御システム70により制御されるように定期的に役割を交換するようになっている。印刷サイクルは、印刷システム50の活動に関連する印刷ジョブ、ページ、時間(分、時間、日など)、または他の基準の選択個数として規定できる。ステップT2で示すように、印刷システム50が作動している間、プロセスを繰り返す。したがって、ステップT1によれば、
・第1の印刷役割が第1のプリンタ52により実行中であり、かつ第2の印刷役割が第2のプリンタ54により実行中であるときには、ステップT1は、第1の印刷役割が第2のプリンタ54により実行されるとともに、第2の印刷役割が第1のプリンタ52により実行され、
・第1の印刷役割が第2のプリンタ54により実行中であり、かつ第2の印刷役割が第1のプリンタ52により実行中であるときには、ステップT1は、第1の印刷役割が第1のプリンタ52により実行されるとともに、第2の印刷役割が第2のプリンタ54により実行されるであろう。
第1および第2のプリンタ52、54の各プリンタストレス状態の間のばらつきを所要の範囲内に保持するように制御することが、第1のプリンタ52と第2のプリンタ54の間の第1および第2の印刷役割のこの定期的交換によって確保されるであろう。
【0018】
本開発は、どちらか一方のプリンタ52、54のトナー年齢FP1、SP1が高くなる可能性を低減することによりトナー消費を低減するであろう。既知のシステム30、40では、トナー年齢が最大許容レベルに達すると、トナー年齢を許容レベルまで低下させるために、システムはMAC(最小領域被覆率)パッチおよび/またはトナー・パージ・ルーチンを実行して、感光体上に着色剤パッチを印刷して、その後、そのパッチを拭き取って廃棄トナーホッパーの中に入れることにより、浪費目的でトナーを使用するであろう。本開発のシステム50および方法は、両方のプリンタを互いに対して同じ方法で使用することになるため、どちらかのプリンタ内のトナー年齢が最大許容レベルに達するであろう可能性を低減する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システム内の、第1の印刷役割を割り当てられた第1のプリンタの第1のプリンタストレス状態を決定するステップと、
前記印刷システム内の、前記第1の印刷役割とは異なる第2の印刷役割を割り当てられた第2のプリンタの第2のプリンタストレス状態を決定するステップと、
前記第1のプリンタストレス状態と前記第2のプリンタストレス状態とを比較するステップと、
前記第1のプリンタストレス状態が前記第2のプリンタストレス状態と異なるとき、前記第2のプリンタに前記第1の印刷役割を再割り当てして、前記第1のプリンタに前記第2の印刷役割を再割り当てするステップと、を含む、
複数プリンタ印刷システム内のプリンタ安定性を向上させる方法。
【請求項2】
前記第2のプリンタに前記第1の印刷役割を再割り当てして、前記第1のプリンタに前記第2の印刷役割を再割り当てする前記ステップが、
前記第1の印刷役割を規定する印刷データを前記第2のプリンタに送信するステップと、
前記第2の印刷役割を規定する印刷データを前記第1のプリンタに送信するステップと、を含む、
請求項1に記載のプリンタ安定性を向上させる方法。
【請求項3】
前記第2のプリンタに前記第1の印刷役割を再割り当てして、前記第1のプリンタに前記第2の印刷役割を再割り当てする前記ステップが、
前記第1のプリンタと前記第2のプリンタの間の用紙搬送路を、前記第1のプリンタが紙シートの第1の面上に印刷し、前記第2のプリンタが前記紙シートの第2の面上に印刷する第1の状態から、前記第1のプリンタが前記紙シートの第2の面上に印刷し、前記第2のプリンタが前記紙シートの第1の面上に印刷する第2の状態に変化させるステップをさらに含む、
請求項1に記載のプリンタ安定性を向上させる方法。
【請求項4】
前記第1のプリンタストレス状態を決定する前記ステップが、
第1のプリンタのトナー年齢と、第1のプリンタのトナー濃度と、第1のプリンタの領域被覆率と、第1のプリンタのストリークと、第1のプリンタの現像電界と、第1のプリンタのレーザ出力と、第1のプリンタの帯電レベルと、のうちの少なくとも2つを含む複数の第1のプリンタ・ストレス・パラメータに関連するデータを含む第1のプリンタ・ストレス・データを前記第1のプリンタから受信するステップを含む、
請求項1に記載のプリンタ安定性を向上させる方法。
【請求項5】
前記第1のプリンタ・ストレス・データが、第1のプリンタのトナー年齢と、第1のプリンタのトナー濃度と、第1のプリンタの領域被覆率と、第1のプリンタのストリークと、第1のプリンタの現像電界と、第1のプリンタのレーザ出力と、第1のプリンタの帯電レベルと、のそれぞれを含む前記第1のプリンタ・ストレス・パラメータに関連する、請求項4に記載のプリンタ安定性を向上させる方法。
【請求項6】
前記第2のプリンタストレス状態を決定する前記ステップが、
第2のプリンタのトナー年齢と、第2のプリンタのトナー濃度と、第2のプリンタの領域被覆率と、第2のプリンタのストリークと、第2のプリンタの現像電界と、第2のプリンタのレーザ出力と、第2のプリンタの帯電レベルと、のうちの少なくとも2つを含む複数の第2のプリンタ・ストレス・パラメータに関連するデータを含む第2のプリンタ・ストレス・データを前記第2のプリンタから受信するステップを含む、
請求項4に記載のプリンタ安定性を向上させる方法。
【請求項7】
前記第2のプリンタ・ストレス・データが、第2のプリンタのトナー年齢と、第2のプリンタのトナー濃度と、第2のプリンタの領域被覆率と、第2のプリンタのストリークと、第2のプリンタの現像電界と、第2のプリンタのレーザ出力と、第2のプリンタの帯電レベルと、のそれぞれを含む前記第2のプリンタ・ストレス・パラメータに関連する、請求項6に記載のプリンタ安定性を向上させる方法。
【請求項8】
前記第1のプリンタストレス状態と前記第2のプリンタストレス状態とを比較する前記ステップが、
前記第1のプリンタ・ストレス・パラメータのうちの少なくとも1つと、前記第2のプリンタ・ストレス・パラメータのうちの対応する1つとの間の差を計算するステップと、
前記差と、対応する選択プリンタパラメータ閾値とを比較して、前記差が前記対応する選択プリンタパラメータ閾値を超えているとき、前記第1のプリンタストレス状態が前記第2のプリンタストレス状態と異なると判断するステップと、を含む、
請求項6に記載のプリンタ安定性を向上させる方法。
【請求項9】
前記第1のプリンタストレス状態と前記第2のプリンタストレス状態とを比較する前記ステップが、
前記対応する第1および第2のプリンタ・ストレス・パラメータのそれぞれの間の差を計算するステップと、
それぞれの前記差と、対応する選択プリンタパラメータ閾値とを比較するステップと、
前記差のうちの少なくとも1つがそれの対応する選択プリンタパラメータ閾値を超えているとき、前記第1のプリンタストレス状態が前記第2のプリンタストレス状態と異なると判断するステップと、を含む、
請求項6に記載のプリンタ安定性を向上させる方法。
【請求項10】
前記第1のプリンタストレス状態と前記第2のプリンタストレス状態とを比較する前記ステップが、
前記対応する第1および第2のプリンタ・ストレス・パラメータのそれぞれの間の差を計算するステップと、
それぞれの前記差と、対応する選択プリンタパラメータ閾値とを比較するステップと、
前記差のうちの選択個数よりも多い個数が、それの対応する選択プリンタパラメータ閾値を超えているとき、前記第1のプリンタストレス状態が前記第2のプリンタストレス状態と異なると判断するステップと、を含む、
請求項6に記載のプリンタ安定性を向上させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−15832(P2013−15832A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141676(P2012−141676)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】