説明

官能化ジルコニアナノ粒子及びそれから作製される高屈折率膜

本開示は、表面修飾ジルコニアナノ粒子、それを作製及び使用するための方法、並びにそれから作製される高屈折率の膜に関する。提供されるジルコニアナノ粒子は、N−ヒドロキシ尿素官能基を含む配位子で表面修飾される。提供される配位子は、提供される表面修飾ジルコニアナノ粒子が有機マトリックスに組み込まれることを可能にする相溶化基も含有し得る。高屈折率膜は、これらの有機マトリックスを用いて作製され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面修飾ジルコニアナノ粒子、それを作製及び使用するための方法、並びにそれから作製される高屈折率の膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ジルコニアナノ粒子は、高屈折率を有し、有機マトリックスにおいてマトリックスの光学特性を変更するのに有用である。例えば、ジルコニアナノ粒子は、有機マトリックスの屈折率を増大させるため、あるいは光透過性を保持しながらX線不透過性を増大させるために使用されている。有機マトリックスのX線不透過性及び/又は屈折率が増大され得る範囲は、有機マトリックス中のジルコニアの充填率、並びに結晶化度率、結晶構造、一次粒径、及び一次粒子間の会合の程度等のジルコニア粒子の特徴に依存する。
【0003】
ジルコニアナノ粒子の表面修飾は、粒子凝集作用を阻止及び減少させ、かつ有機マトリックス内のナノ粒子の相溶性を改良するために使用され得る。結果的に、ジルコニアナノ粒子は、例えば、カルボン酸及び/又はシラン等の多種多様な表面修飾剤で処理されている。これらの従来の表面修飾剤は欠点を有する。例えば、アクリル酸由来の残基を含有する有機マトリックスは、ジルコニア結合カルボン酸基をアクリル酸由来の基に置換する。シラン官能化ジルコニアナノ粒子は、熱力学的に好ましくなく、かつ実験的に調製するのが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジルコニアナノ粒子に強力に付着し、かつ従来の表面修飾剤の欠点に悩まされない表面修飾剤の必要性が存在する。多種多様の有機マトリックスと相溶性のある表面修飾ジルコニアナノ粒子の必要性も存在する。有機マトリックス中に分散された表面修飾ジルコニアナノ粒子を含む、高屈折率又はx線不透過性等の改善された光学特性を伴う複合材料を有する更なる必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、ジルコニアナノ粒子と、少なくとも1つのN−ヒドロキシ尿素官能基を含む少なくとも1つの非金属有機誘導体とを含む表面修飾ナノ粒子が提供され、非金属有機誘導体のうちの少なくともいくつかは、ジルコニアナノ粒子のうちの少なくともいくつかに付着される。
【0006】
別の態様では、アセテート官能化ジルコニアナノ粒子の水性ゾルを、少なくとも1つのN−ヒドロキシ尿素官能基を含む少なくとも1つの非金属有機誘導体、又はその溶液と合わせて、混合物を形成する工程と、水及び置換酢酸を混合物から除去して、表面修飾ナノ粒子を形成する工程と、を含む、表面修飾ナノ粒子を作製する方法が提供される。
【0007】
更に別の態様では、有機マトリックスと、有機マトリックスの少なくとも一部に付着される表面修飾ジルコニアナノ粒子とを含む組成物が提供され、表面修飾ナノ粒子は、少なくとも1つのN−ヒドロキシ尿素官能基を含む少なくとも1つの非金属有機誘導体を含む。
【0008】
最後に、別の態様では、以下を含む配位子が提供される。
【化1】

【0009】
本開示において、
「高屈折率」は、約1.47を超える屈折率の実成分を有する材料を指す。
「N−ヒドロキシ尿素官能基」は、少なくとも1つのN−ヒドロキシ尿素基を指し、かつプロトン化したN−ヒドロキシ尿素又は脱プロトン化したN−ヒドロキシ尿素を指し得る。
「(メタ)アクリル」は、メタクリル酸及び/又はアクリル酸の両方の誘導体を指す。
「非金属」は、シリコン等の金属元素又は半金属元素を一切含有しない化合物を指す。
「N−ヒドロキシ尿素官能基を含有する非金属有機誘導体」は、誘導体内にあるか、あるいは誘導体の主鎖内に付着される金属を一切含有しないが、N−ヒドロキシ尿素の金属塩を含み得る、N−ヒドロキシ尿素の誘導体を指す。
「ジルコニア」は、ジルコニウム酸化物、最も典型的には、ZrOの種々の化学量論を指し、酸化ジルコニウム又は二酸化ジルコニウムとしても既知であり得る。ジルコニアは、最大30重量パーセント(重量%)の、例えば、Y等の他の化学部分及び有機材料を含有し得る。
【0010】
提供される表面修飾ジルコニアナノ粒子、方法、及びそれから作製される組成物は、高屈折率の透明な膜を提供し得る。これらの膜は、約1.6を超えるか、あるいは更に高い屈折率を有し得る。
【0011】
上記の要約は、本発明の全ての実施の開示された各実施形態を記載することを意図しない。図面の簡単な説明及び後に続く発明を実施するための形態は、説明に役立つ実施形態をより詳しく例示する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】提供される組成物の一実施形態の概略図。
【図2】提供される組成物の別の実施形態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明において、本明細書の説明の一部を構成しいくつかの特定の実施形態が例として示される添付の一連の図面を参照する。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定する意味で理解すべきではない。
【0014】
他に指示がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される特徴サイズ、量、物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。終点による数の範囲の使用は、その範囲内(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)の全ての数及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0015】
ジルコニアナノ粒子を含む表面修飾ナノ粒子が提供される。ジルコニアナノ粒子は、複数の単結晶ジルコニア粒子を含むジルコニアゾルから得ることができる。いくつかの実施形態では、これらの粒子は、20ナノメートル(nm)未満の平均一次粒子寸法を有する。これらのゾルは、実質的に会合されず、高度に結晶性であり得、約0.65以上の結晶化度を呈する。結晶相のうち、約70%以上が、結晶相安定剤なしに、合わせられた立方及び正方結晶格子構造内に存在し得る。例示のジルコニアゾルは、熱水法を介して得ることができる。ジルコニアゾル及びそれを作製する方法は、例えば、米国特許第6,376,590号(Kolbら)、同第7,241,437号、及び同第7,429,422号(両方ともDavidsonら)に記載される。これらの実施形態のゾル中のジルコニアナノ粒子は、ジルコニア粒子中の無機酸化物の重量に基づいて、約0.1重量%〜8重量%の量のイットリウムを含有し得る。粒子は、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、又はそれらの組み合わせ等のカルボン酸を含む水性媒体中に分散され得る。
【0016】
ジルコニア含有ゾルは、典型的には、澄んでいる。ジルコニア含有ゾルは、多くの場合、ゾル中の1次ジルコニア粒子の小さな寸法及び非会合の形態に起因して、高い光透過率を有する。ゾルの高い光透過率は、透明な又は半透明な複合材料の調製において望ましい場合がある。本明細書において使用されるとき、「光透過率」は、試料(例えば、ジルコニア含有ゾル)を通過する光の量を試料に入射する光の合計量で割ったものを指す。光透過率パーセントは以下の式により算出し得る。
100(I/I
【0017】
式中、Iは試料を通過する光の強度であり、Iは試料に入射する光の強度である。光透過率は、1cmの路長で600nmの波長に設定された紫外/可視分光光度計を用いて決定され得る。光透過率はゾル中のジルコニアの量に依存する。約1重量%のジルコニアを有するジルコニア含有ゾルについて、光透過率は、典型的には、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%である。約10重量%のジルコニアを有するジルコニア含有ゾルについて、光透過率は、典型的には、少なくとも20%、少なくとも50%、又は少なくとも70%である。
【0018】
一次粒子間の会合の程度は、流体力学的粒径から求めることができる。流体力学的粒径は、光子相関分光法を用いて測定され得、かつPCT国際特許公開第WO 2009/085926号(Kolbら)により詳細に記載される。用語「流体力学的粒径」及び「体積平均粒径」は、本明細書では交換可能に使用される。ジルコニアの粒子が会合している場合、流体力学的粒径は、ジルコニアゾル中の一次粒子の凝集体及び/又は集塊の寸法の測定値を提供する。ジルコニア粒子が会合していない場合、流体力学的粒径は、一次粒子の寸法の測定値を提供する。
【0019】
ジルコニアゾル中の1次粒子間の会合度の定量的測定は分散インデックスである。本明細書において使用されるとき、「分散インデックス」は流体力学的粒径を1次粒径で割ったものと定義される。一次粒径(例えば、加重量平均結晶子寸法)は、X線回折技術を用いて決定され得、流体力学的粒径(例えば、体積平均粒径)は、光子相関分光法を用いて決定される。ゾル中の一次粒子間の会合が減少する際、分散インデックスは、1の値に近づくが、それよりもいくらか高くてもよい。ジルコニア含有ナノ粒子は、通常は、約1〜5、約1〜4、約1〜3、約1〜2.5、又は約1〜2の分散インデックスを有する。
【0020】
光子相関分光法は、ゾル中のジルコニア粒子を更に特徴づけるために使用することができる。例えば、粒子により散乱された光の強度は、粒子直径の6乗に比例する。したがって、光強度分布は、より小さい粒子よりも、より大きい粒子に対してより敏感である傾向がある。光子相関分光法により得られる強度に基づく寸法の1つの種類は、Z平均寸法である。これは、キュムラント解析を用いて散乱光の強度における変動から算出される。この解析は、粒径分布の幅の程度である、多分散性指数と呼ばれる値も提供する。
【0021】
ジルコニア粒子は、70ナノメートル以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、35nm以下、又は30nm以下のZ平均寸法を有する傾向がある。多分散性指数は、多くの場合、0.5未満、0.4未満、0.3未満、0.2未満、又は0.1未満である。0.5近傍の多分散性指数は、多くの場合、幅広い粒径分布を示し、一方、0.1近傍の多分散性指数は、多くの場合、幅の狭い粒径分布を示す。
【0022】
Z平均寸法及び多分散性指数に加えて、光子相関分光法を用いる解析中に、完全光強度分布を得ることができる。これは、球状粒子の体積分布算出のために、更に粒子の屈折率及び懸濁媒体の屈折率と組み合わされることができる。体積分布は、所定の寸法範囲の粒子に相当する粒子の合計体積の百分率を与える。体積平均寸法は、体積分布の平均に相当する粒子の寸法である。粒子の体積が直径の三乗に比例するため、この分布は、強度に基づく寸法よりも大きい粒子にあまり影響されない。即ち、体積平均寸法は、通常は、Z平均寸法よりも小さな値となる。ジルコニアゾルは、典型的には、50nm以下、40nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、又は15nm以下の体積平均寸法を有する。体積平均寸法は、分散指数の計算に使用される。
【0023】
ジルコニア含有ナノ粒子は任意にイットリウムを含み得る。存在する任意のイットリウムは、通常は、酸化イットリウムの形態である。ジルコニア含有ナノ粒子中のイットリウムの存在は、通常、単斜相よりはむしろ立方相/正方相の形成を促進する。立方相及び正方相は、単斜相と比較してより高い屈折率及びX線に対する不透明性を有する傾向があるため、多くの場合、好適である。これらの相は、より対称的である傾向もあり、有機マトリックスの粘度に最小の影響しか与えないために、ジルコニア含有ナノ粒子が有機マトリックス中に懸濁又は分散されるいくつかの用途において有利であり得る。更に、立方相及び正方相では充填率がより高くなり得る。
【0024】
ジルコニア含有ナノ粒子中での、ジルコニウムに対するイットリウムのモル比(即ち、イットリウムのモル数÷ジルコニウムのモル数)は、多くの場合、最大0.25、最大0.22、最大0.20、最大0.16、最大0.12、最大0.08である。例えば、ジルコニウムに対するイットリウムのモル比は、0〜0.25、0〜0.22、0.01〜0.22、0.02〜0.22、0.04〜0.22、0.04〜0.20、0.04〜0.16、又は0.04〜0.12の範囲であり得る。
【0025】
酸化物として別に表現すると、ジルコニア含有ナノ粒子は、多くの場合、無機酸化物のモル(即ち、YとZrOとの合計)に基づいて、最大11モルパーセント(モル%)のYを含有する。例えば、ジルコニア含有ナノ粒子は、無機酸化物のモルに基づいて、最大10モルパーセント、最大8モルパーセント、最大6モル%、又は最大4モル%のYを含有し得る。いくつかのジルコニア含有ナノ粒子は、無機酸化物のモルに基づいて、0〜11モル%、0〜10モル%、1〜10モル%、1〜8モル%、又は2〜8モル%のYを含有する。
【0026】
更に別の様式で表現すると、ジルコニア含有ナノ粒子は、多くの場合、無機酸化物の重量(即ち、YとZrOの合計)に基づいて、最大20重量パーセント(重量%)のYを含有する。例えば、ジルコニア含有ナノ粒子は、無機酸化物の重量に基づいて、最大18重量%、最大16重量%、最大12重量%、最大10重量%、又は最大6重量%のYを含有し得る。いくつかのジルコニア含有ナノ粒子は、無機酸化物の重量に基づいて、0〜20重量%、0〜18重量%、2〜18重量%、2〜16重量%、又は2〜10重量%のYを含有する。
【0027】
ジルコニア含有ナノ粒子は、多くの場合、無機酸化物に加えて少なくともいくつかの有機材料を含有する。この有機材料はジルコニア粒子の表面に付着されることができ、多くの場合、原材料中に含まれるカルボン酸塩種(アニオン、酸、又は両方)に由来するか、又は加水分解及び縮合反応の副生物として形成される。即ち、有機材料は、多くの場合、ジルコニア含有ナノ粒子の表面に吸着される。ジルコニア粒子は、多くの場合、粒子の重量に基づいて、最大15重量%、最大12重量%、最大10重量%、最大8重量%、又は最大6重量%の有機材料を含有する。
【0028】
ジルコニア含有ナノ粒子は、多くの場合、ナノ粒子中の1gのジルコニウム当たり、3mg未満の、ナトリウム、カリウム、又はリチウムなどのアルカリ金属を含有する。例えば、アルカリ金属の量は、1グラムのジルコニウム当たり2ミリグラム(mg)未満、1グラムのジルコニウム当たり1mg未満、1グラムのジルコニウム当たり0.6mg未満、1グラムのジルコニウム当たり0.5mg未満、1グラムのmg当たり0.3mg未満、1グラムのジルコニウム当たり0.2mg未満、又は1グラムのジルコニウム当たり0.1mg未満であり得る。
【0029】
同様に、ジルコニア含有ナノ粒子は、多くの場合、ナノ粒子中の1グラムのジルコニウム当たり、3mg未満の、カルシウム、マグネシウム、バリウム、又はストロンチウム等のアルカリ土類を含有する。例えば、アルカリ土類の量は、1グラムのジルコニウム当たり2mg未満、1グラムのジルコニウム当たり1mg未満、1グラムのジルコニウム当たり0.6mg未満、1グラムのジルコニウム当たり0.5mg未満、1グラムのジルコニウム当たり0.3mg未満、1グラムのジルコニウム当たり0.2mg未満、又は1グラムのジルコニウム当たり0.1mg未満であり得る。
【0030】
ジルコニア含有ナノ粒子は、実質的に結晶性であり得る。結晶性ジルコニアは、非晶質ジルコニアと比較して、より高い屈折率及びより高いX線散乱能を有する傾向がある。X線回折を用いて小粒子の立方及び正方結晶構造を別々に定量化することの困難さに起因する(即ち、立方ジルコニアの(111)ピークは、多くの場合、正方ジルコニアの(101)ピークと重なり合う)。イットリウムが存在する場合、X線回折走査の合計ピーク面積の少なくとも70%は、立方構造、正方構造、又はそれらの組み合わせに起因し、残りは単斜構造である。例えば、いくつかのX線回折走査の合計ピーク面積の少なくとも75%、少なくとも80%、又は少なくとも85%は、立方結晶構造、正方結晶構造、又はそれらの組み合わせに起因し得る。立方及び正方結晶構造は、電子顕微鏡下で観察したときに、立方体様の形状を有する低アスペクト比の1次粒子の形成を促進する傾向がある。
【0031】
ジルコニア粒子は、通常、50nm以下、40nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、又は10nm以下の平均一次粒径を有する。ジルコニア粒子の会合していない粒径を指す一次粒径は、x線回折によって決定され得る。
【0032】
ジルコニアナノ粒子等のナノ粒子は、典型的には凝集し、水性又は有機媒体等の媒体中でそれらの良好な分散を達成するのは困難であり得る。具体的には、ナノ粒子は凝集体に会合する傾向があるため、ポリマーマトリックス内に分散されたナノ粒子を得るのは困難であり得る。したがって、凝集作用が熱力学的に好ましくなくなるように、ナノ粒子の表面を修飾することは有利であり得る。表面修飾は、ジルコニア粒子を、ジルコニアナノ粒子の表面に付着し、かつジルコニア粒子の表面特徴を修飾する表面修飾剤又は表面修飾剤の組み合わせと反応させる工程を伴う。
【0033】
表面修飾剤は、式A−Bによって表されることができ、式中、A基は、ジルコニア粒子の表面に付着することができ、Bは相溶化基である。A基は、吸収、イオン結合の形成、共有結合の形成、又はそれらの組み合わせによって表面に付着され得る。A基の好適な例としては、例えば、N−ヒドロキシ尿素が挙げられる。相溶化基Bは、反応性又は非反応性であり得、かつ極性又は非極性部分であり得る。極性相溶化基には、ヒドロキシル基、カルボン酸基、アミン基、チオール基、エポキシド基、アジリジン基、アジド基、ハロゲン化物基、アルキン基、オレフィン基、アクリレート基、メタクリレート基、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0034】
非極性相溶化基には、アルキル基、アルキレン基、ヘテロアルキル基、アリール基、アリーレン基、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。ポリマー系と相溶性のある相溶化基(B)を有する表面修飾剤が特に重要である。例えば、(メタ)アクリレート相溶化基を有する表面修飾剤は、(メタ)アクリルポリマー系中にジルコニアナノ粒子を分散するのに有用であり得る。これらの表面修飾剤は、例えば、ジルコニアナノ粒子に結合し得る(メタ)アクリレート官能化N−ヒドロキシ尿素を得るために、ヒドロキシルアミンをイソシアネート官能化(メタ)アクリレート化合物と反応させることによって得ることができる。
【0035】
N−ヒドロキシ尿素は、よく研究された部類の化合物であるヒドロキサム酸に構造的及び化学的に類似している。ヒドロキサム酸は、J.P.Folkersら、「Self−Assembled Monolayers of Long−Chain Hydroxamic Acids on Native Oxides of Metals」、Langmuir,11,813(1998)によって説明されるように、金属の天然酸化物上に自己組織化単層を形成することで既知である。N−ヒドロキシ尿素及びヒドロキサム酸は両方とも、薬化学用途において使用されている。例えば、N−ヒドロキシ尿素は、プロテアーゼ、ウレアーゼ、オキシゲナーゼ、ヒドロラーゼ、及びペルオキシダーゼを含む多くの酵素を阻害することができ、かつ植物に抗菌、抗真菌、及び殺虫保護を提供することができる。合成的に、N−ヒドロキシ尿素は、ヒドロキシルアミンと、イソシアネート又は塩化カルバミル等のカルボニル系求電子物質との間の反応によって得ることができる。N−ヒドロキシ尿素は、例えば、英国特許第921,536号(Steinbrunn)に開示されるように、イソシアネート又は塩化カルバミルをヒドロキシルアミンと反応させることによって作製され得る。あるいは、ヒドロキシルアミンとカルバミン酸との間のカップリング反応は、アミドの合成において有用であるカップリング剤及び/又は活性化剤を用いて直接実行することができる。これらの作用物質には、例えば、カルボジイミドが含まれる。
【0036】
提供される表面修飾ナノ粒子は、上述のように、少なくとも1つのN−ヒドロキシ尿素を含む少なくとも1つの非金属有機誘導体を含む。いくつかの実施形態では、表面修飾ナノ粒子は、以下の式を有する少なくとも1つの非金属有機誘導体を含む。
【0037】
【化2】

【0038】
式中、Rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルアリール基、アルキルヘテロアリール基、及びヘテロシクロアルキル基であり得る。R及びRは、独立して、アルキル、アルキレン、ヘテロアルキル、アリール、アリーレン、及びそれらの組み合わせから選択される部分を含み得る。典型的には、アルキル基は、約1〜約20個の炭素原子を有し、分枝状又は非分枝状であり得る。シクロアルキル基は、典型的には、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、又はシクロドデシル基等の5〜12員環を含む。アリール基は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル(phenanthenyl)、ビフェニル、又は任意の他のアリール環系を含む。Rは、アルキル、アルキレン、ヘテロアルキル、アリール、アリーレン、又はそれらの組み合わせであり得る。加えて、Rは、ヒドロキシル、アミノ、チオエーテル、チオール、カルボキシ、カルボニル、アルキルエーテル、アルキニル、アルケニル、ハロゲン、(メタ)アクリレート又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含み得る。Rは、更にN−ヒドロキシ尿素基も含み得る。
【0039】
提供される表面修飾ジルコニアナノ粒子を作製するために、アセテート官能化ジルコニアナノ粒子の水性ゾルが上述のように提供される。溶液は、少なくとも1つのN−ヒドロキシ尿素官能基を含む少なくとも1つの非金属有機誘導体を含むゾルと混合される。次に、混合物は任意で加熱され、水及び置換酢酸が混合物から除去されて、粉末又はスラリーとして単離され得る表面修飾ジルコニアナノ粒子を形成する。あるいは、提供される表面修飾ジルコニアナノ粒子は、以下の実施例の項でより完全に説明されるように、1つのポット内で、2−イソシアナトエチルメタクリレート、ヒドロキシルアミン、及びアセテート安定化ジルコニアナノ粒子から作製され得る。
【0040】
別の態様では、有機マトリックス及び有機マトリックスの少なくとも一部に付着される表面修飾ジルコニアナノ粒子を含む組成物が提供される。表面修飾ジルコニアナノ粒子は、少なくとも1つのN−ヒドロキシ尿素官能基を含む少なくとも1つの非金属有機誘導体を含む。有機マトリックスは、任意のポリマー又はコポリマーマトリックスであり得る。ポリマー又はコポリマーマトリックスは、モノマー、オリゴマー、コポリマー、又はそれらの組み合わせに由来し得る。例示のポリマーには、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ、ビニルポリマー、(メタクリル化)ポリエステル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。表面修飾ジルコニアナノ粒子ゾルはまた、他の種類のポリマー、例えば、ポリオレフィン、ポリカーボネート、及びポリイミドと合わせられてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、表面修飾ジルコニアナノ粒子が分散され、光学的に透明な有機マトリックス内に結合されて、高屈折率複合体を生成することができる。例えば、カルボキシレート又はシランで表面修飾されたジルコニアナノ粒子が、紫外線硬化性モノマーを含有する有機マトリックスに組み込まれて、1.47を超える屈折率を有する材料を形成することができる。提供されるN−ヒドロキシ尿素官能化ジルコニアナノ粒子が同様にこれらの系の中でも相溶性であることが考えられる。
【0042】
表面修飾ジルコニアナノ粒子は、小さい有機配位子がナノ粒子に付着されて生成され得る。典型的には、約1.45〜1.65の屈折率を有する全ての有機膜は、芳香族基、ハロゲン、又は高い密度及び誘電率を有する他の基を組み込むことによって生成され得る。しかしながら、1.65よりもはるかに高い屈折率を有する光学的に透明なポリマー膜を作製するのは非常に困難である。例えば、2−イソシアナトエチルメタクリレート及びヒドロキシルアミンから作製されるもの等の低分子量のN−ヒドロキシ尿素によって表面修飾されたジルコニアナノ粒子は、アクリル膜に組み込まれることができ、それは硬化後、1.65を超える、更には1.70を超える屈折率を有する透明な膜を生成することができる。これらの高屈折率膜は、光学表示素子又は低反射(例えば、反射防止特性)を有する他の光学素子を作製するのに有用であり得る。
【0043】
図1は、有機マトリックスに組み込まれる提供された表面修飾ジルコニアナノ粒子を含む物品の一実施形態の概略図である。物品100は、プライマー103が上に配置された光学的に透過性の基材101を含む。高屈折率ハードコート105は、プライマー103に隣接及び接触している。図2は、反射防止膜を含む物品の一実施形態の概略図である。物品200は、図1に図示されるように、基材201、プライマー203、及び高屈折率ハードコート205を含む。ハードコート205の上にあり、かつそれに接触するのは、低屈折率の光学的コーティング207である。低屈折率の光学的コーティング207は、1.43の屈折率を有する四分の一波長のコーティングである。
【0044】
いくつかの実施形態では、有機マトリックスは、接着剤組成物であり得る。典型的には、接着剤組成物は、(メタ)アクリル感圧性接着剤であり得る。接着剤組成物は、アルキル基中に1〜14個の炭素を有する、約75〜約99重量部のアルキルアクリレートを含む前駆体に由来し得る。アルキルアクリレートは、脂肪族、脂環式、又は芳香族アルキル基を含み得る。有用なアルキルアクリレート(即ち、アクリル酸アルキルエステルモノマー)としては、そのアルキル基が1〜14個まで、とりわけ1〜12個までの炭素原子を有する、非三級アルキルアルコールの直鎖又は分枝状一官能性アクリレート又はメタクリレートが挙げられる。有用なモノマーには、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、N−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、N−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−オクチルアクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、N−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、N−ノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、N−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニルメタ(アクリレート)、ベンジルメタ(アクリレート)、並びに2−メチルブチル(メタ)アクリレート、ビフェニルオキシエチルアクリレート(BPEA)、6−(2−ビフェノキシ)ヘキシルアクリレート、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0045】
提供される接着剤組成物前駆体は、カルボン酸、アミド、ウレタン、又は尿素官能基を含有する(メタ)アクリルモノマー等の、約1〜約25重量部の共重合性極性モノマーも含み得る。有用なカルボン酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。N−ビニルラクタムのような弱極性モノマーも含まれ得る。有用なN−ビニルラクタムは、N−ビニルカプロラクタムである。一般に、接着剤中の極性モノマー含有量として、約10重量部未満又は更には約5重量部未満の1つ以上の極性モノマーを挙げることができる。有用なアミドとしては、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタ(アクリルアミド)、及びN−オクチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0046】
感圧性接着剤は、本質的に粘着性であってよい。所望であれば、粘着付与剤を、感圧性接着剤の形成前に前駆体混合物に加えることができる。有用な粘着付与剤としては、例えば、ロジンエステル樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、及びテルペン樹脂が挙げられる。一般に、水素化ロジンエステル、テルペン、又は芳香族炭化水素樹脂から選択される淡色系粘着付与剤を使用することができる。
【0047】
感圧性接着剤の光学的透明性を著しく低下させない限り、例えば、油、可塑剤、酸化防止剤、UV安定剤、顔料、硬化剤、ポリマー添加剤、及びその他の添加物などの、他の材料を、特別な目的のために加えることができる。
【0048】
提供される接着剤組成物(表面修飾ジルコニアナノ粒子を含む)は、追加の成分が前駆体混合物に加えられてもよい。例えば、混合物は、多官能性架橋剤を含んでよい。このような架橋剤としては、溶媒をコーティングした接着剤を調製する乾燥工程中に活性化される熱架橋剤、及び重合工程中に共重合する架橋剤が挙げられる。このような熱架橋剤としては、多官能性イソシアネート、アジリジン、多官能性(メタ)アクリレート、及びエポキシ化合物を挙げることができる。代表的な架橋剤としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどの二官能性アクリレート又は当業者に既知の多官能性アクリレートが挙げられる。有用なイソシアネート架橋剤としては、例えば、DESMODUR L−75として、Bayer,Cologne,Germanyより入手可能な芳香族ジイソシアネートが挙げられる。紫外線、つまり「UV」活性型架橋剤も、感圧性接着剤を架橋するのに使用することができる。このようなUV架橋剤としては、ベンゾフェノン及び4−アクリロキシベンゾフェノンを挙げることができる。
【0049】
更に、提供される接着剤組成物用の前駆体混合物は、熱反応開始剤又は光開始剤を含んでもよい。熱反応開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル等の過酸化物及びその誘導体、又は2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)である、E.I.du Pont de Nemours and Co.,Wilmington,DEから入手可能なVAZO 67、若しくはジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートである、Wako Specialty Chemicals,Richmond,VAから入手可能なV−601等のアゾ化合物が挙げられる。広い範囲の温度にて熱重合を開始するのに使用することができる様々な過酸化物又はアゾ化合物が入手可能である。前駆体混合物は、光開始剤を含んでもよい。とりわけ有用なのは、Ciba Chemicals,Tarrytown,NYより入手可能な、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンであるIRGACURE 651などの反応開始剤である。通常、架橋剤が存在すれば、混合物中の他の構成成分を基に、約0.05重量部〜約5.00重量部の量で前駆体混合物に加える。反応開始剤は、通常、0.05重量部〜約2重量部の量で前駆体混合物に加える。化学線又は熱を使用して前駆体混合物を重合及び/又は架橋させて、上記及び以下の実施例のように接着剤組成物を形成することができる。
【0050】
感圧性接着剤前駆体は、光学的に透明又は半透明の混合物を形成するために、提供される表面修飾ジルコニアナノ粒子とブレンドされ得る。典型的には、混合物は、最大約25重量%又は更に高い重量%のジルコニアを含有し得る。混合物を熱又は化学線にさらすことで、重合させ(て混合物中の反応開始剤を分解す)ることができる。これは、架橋剤を加える前に行われて、コーティング可能なシロップ剤を形成することができ、その後、それに1つ以上の架橋剤及び追加の反応開始剤を加えることができ、シロップ剤はライナー上にコーティングされ、加えられた反応開始剤の反応開始条件に更に曝露することによって硬化(即ち、架橋)することができる。あるいは、架橋剤及び反応開始剤は、モノマー混合物に加えることができ、モノマー混合物は、一工程で重合及び硬化の両方を行うことができる。所望のコーティング粘度により、どの手順を使用するかを決定することができる。開示される接着剤組成物又は前駆体は、ロールコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、ダイコーティング、及び同様のものなど任意の様々な既知のコーティング技術によりコーティングされてよい。あるいは、接着剤前駆体組成物を液体として送達させて、2つの基材間の隙間を満たし、続いて熱又はUVにさらして組成物を重合及び硬化させてもよい。本開示の物品中の接着剤層の厚さは、約5マイクロメートル(μm)超、約10μm超、約15μm超、又は更には約20μm超である傾向がある。厚さは、多くの場合、約1000μm未満、約250μm未満、約200μm未満、又は更には約175μm未満である。例えば、厚さは、約5〜約1000μm、約10〜約500μm、約25〜約250μm、又は約50〜約175μmであり得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、表面修飾ジルコニアナノ粒子を含む組成物は、放射線不透過性であり得る。放射線不透過性とは、組成物がX線照射を吸収するか、散乱させることを意味する。これらの材料は、例えば、歯科又は医療用途において有用であり得る。
【0052】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に、本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0053】
ジルコニアナノ粒子をメタクリレート官能化N−ヒドロキシ尿素で官能化した。次に、官能化粒子を、紫外線照射下で硬化させる前に、多官能性アクリレート及び光開始剤と合わせた。ナノジルコニアを充填したハードコートを、1.699〜1.743の範囲の屈折率で調製した。膜は澄んでおり、無色であった。
【0054】
ナノジルコニアを充填した高屈折率ハードコートの調製
全てのポリマー反射防止膜(APAR)を、三酢酸セルロース(TAC)及びポリエチレンテレフタレート(PET)基材の両方の上に調製した。膜は澄んでおり、無色であった。更に、TAC膜の光学性能は、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートで官能化したナノジルコニアを用いて作製された対照膜に匹敵した(表1)。試験的膜の透過率(95.3%)、ヘイズ(0.30%)、及び反射率(1.7%)は優良であった。
【0055】
【表1】

APAR膜をTAC膜上で調製した。試験的APARを、N−ヒドロキシ尿素1で修飾されたナノジルコニアを用いて調製した。対照APARを、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートで修飾されたナノジルコニアを用いて調製した。
【0056】
I.N−ヒドロキシ尿素合成
N−ヒドロキシ尿素を、ヒドロキシルアミンとイソシアネートとの間の直接反応によって合成した(スキーム(1))。2つの代表的な配位子を合成した。
【0057】
【化3】

【0058】
一般的手順
全ての反応を、入手時の状態の市販の試薬を用いて丸底フラスコ内で実行した。フラスコをプラスチックキャップで静かに密封し、磁気撹拌しながら周囲雰囲気下で反応を行った。
【0059】
材料
市販の試薬を入手時の状態で使用した。SR 399(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート)及びSR 601(エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート)をSartomerから入手した。CN4000は、1.341の屈折率を有するフッ素化アクリレートオリゴマーであり、Sartomerから入手可能である。IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)、及びIRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)は、CIBA Specialty Chemicalsから入手可能である。不安定化テトラヒドロフランをEMD Chemicals Inc.から入手した。1−メトキシ−2−プロパノールをJ.T.Bakerから購入した。ヒドロキシルアミン(50重量%の水溶液)をAlfa Aesarから入手した。2−イソシアナトエチルメタクリレートは、Sigma−Aldrichから入手可能である。イソホロンジイソシアネートをTCI Americaから入手した。
【0060】
以下の実施例で使用されるZrO水性ゾルを、米国特許第7,429,422号(Davidsonら)の実施例6に概説される手順に従って調製した。HOSTAPHAN 3SABは、Mitsubishi Polyester Film,Inc.から入手可能なポリエステル膜である。SILPHAN S36 M74Aは、Siliconatureから入手可能なシリコーンコーティングされたポリエステル(PET)剥離ライナーである。三酢酸セルロース膜(TAC膜)を、Fujufilm,Tokyo,Japanから入手した。
【0061】
計装
プロトン核磁気共鳴(H NMR)スペクトル及び炭素核磁気共鳴(13C NMR)スペクトルを、400又は500MHzの分光計上で記録した。プロトンの化学シフトは、テトラメチルシランからのダウンフィールドとして百万分の一単位で報告され、NMR溶媒中の残留プロチウムについて言及する(CHCl:δ7.26、(CDH)SO:δ2.50、CDHOH:δ3.51)。炭素の化学シフトは、テトラメチルシランからのダウンフィールドとして百万分の一単位で報告され、溶媒の炭素共鳴について言及する(CDCl:δ77.16、(CDSO:δ39.52、CDOD:δ49.00)。データは、以下のように提示される:化学シフト、組込み、多重度(br=広域、s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、quint.=五重線、m=多重線)、ヘルツ(Hz)単位の結合定数、及び割当て。硬化膜の屈折率を、Metricon 2010プリズム結合器上で測定した。
【0062】
【化4】

【0063】
配位子1の予備実施例
磁気撹拌棒を装備した250mLの丸底フラスコを、ヒドロキシルアミンの50重量%水溶液(5.0mL、2.80g、84.8mmol)で装填した。テトラヒドロフラン(85mL)を撹拌しながら加え、混合物を均質にした。2−イソシアナトエチルメタクリレート(12.0mL、13.2g、84.8mmol)を2分間かけて反応混合物に加えた。反応槽を黄色のプラスチックキャップで静かにキャップした。18時間後、澄んだ無色の均質の反応混合物を、ほぼ乾燥状態になるまで減圧下で濃縮し、澄んだ無色の強粘液体にした。静置時、液体は緩徐に凝固して、白色の固体として配位子1(18.9g、100mmol、118%)が得られた。過剰な重量は、残留テトラヒドロフラン溶媒によるものであった。H NMR(400MHz、DMSO)δ8.60(1H、s、NHOH)、8.38(1H、s、NHOH)、6.88(1H、t、J=5.8Hz、NHCH)、6.05(1H、s、CHC=C)、5.67(1H、s、CHC=C)、4.09(2H、t、J=5.7Hz、CHOC=O)、3.36−3.28(2H、m、CHNHC=O)、1.87(3H、s、CH);13C NMR(101MHz、DMSO)δ166.6、161.6、135.9、125.9、63.7、18.1;C11についてのMS(ES)m/z[M−H]。計算値187.1、実測値187.0。
【0064】
【化5】

【0065】
配位子2の予備実施例
磁気撹拌棒を装備した50mLの丸底フラスコを、イソホロンジイソシアネート(5.0mL、5.25g、23.6mmol)で装填した。2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2.86mL、3.07g、23.6mmol)を、撹拌しながら2分間かけて緩徐に加えた。反応物をゴム隔膜で密封し、油浴中に設置し、50℃になるまで撹拌しながら加熱した。20ゲージの針をゴム隔膜に加えて、反応物を通気させた。66時間後、反応混合物を室温まで冷却して、澄んだ無色の強粘液体として生成物を得た。次いで、反応生成物を次の反応で直接使用した。
【0066】
磁気撹拌棒を装備した100mLの丸底フラスコを、テトラヒドロフラン(25mL)及びヒドロキシルアミンの50重量%水溶液(1.40mL、0.784g、23.74mmol)で装填した。次に、先の反応からの粗生成物を、5分間かけてピペットを介して、撹拌した反応物に緩徐に加えた。テトラヒドロフラン(4×2.5mL)を使用して、先の反応からの生成物の入ったフラスコをすすぎ、すすぎ液を反応物に加えた。反応物を16ゲージの針を装備するプラスチックキャップでキャップして、通気させた。24時間後、反応混合物を減圧下で濃縮して、泡沫状の白色の固体にした。生成物を高真空下で更に乾燥させて、白色の固体として、異性体の混合物(7.99g、20.7mmol、87.9%)である所望の生成物2を得た。生成物のH NMR(400MHz、DMSO)解析は、異性体の混合物である所望の生成物と一致した。
【0067】
【化6】

【0068】
実施例1−配位子1でのメタクリレート官能化ジルコニアナノ粒子のワンポット調製
磁気撹拌棒を装備した1Lの丸底フラスコを、テトラヒドロフラン(250mL)及びヒドロキシルアミンの50重量%水溶液(15.0mL、8.40g、254mmol)で装填した。反応物を、0℃になるまで氷浴中で冷却した。撹拌しながら、2−イソシアナトエチルメタクリレート(36.0mL、39.5g、255mmol)を、20分間かけて反応混合物に緩徐に添加した。2時間後、氷浴を除去し、反応物を室温まで温めた。更に1時間後、反応物をサンプリングした。H NMR(500MHz、DMSO)解析は、所望のN−ヒドロキシ尿素生成物のクリーンな形成と一致し、出発材料(2−イソシアナトエチルメタクリレート)が消費されたことも示した。アセテート安定化ジルコニアの水溶液(442.62gのゾル、181.66gのZrO)を反応物に加えた。反応混合物を20分間撹拌した。次に、1−メトキシ−2−プロパノール(100mL)を加えた。反応混合物を減圧下で濃縮して、約450gにした。次に、溶液を1−メトキシ−2−プロパノールで希釈して約900gにし、4回減圧下で濃縮して約430〜500gにした。最後の減圧下濃縮後、混合物を1−メトキシ−2−プロパノールで希釈して、508gにした。最終溶液は、42重量%固体、33重量% ZrOであり、固体の79重量%はZrOであった。固体の割合及び溶液の最終質量に基づいて、全体の収率は93%であった。官能化ジルコニアナノ粒子の溶液は乳白色であったが、よく分散し、かつ安定していた。
【0069】
実施例2−配位子1を用いて調製されたハードコート
アセテート安定化ジルコニアの水溶液(4.00gのゾル、1.65gのZrO)を20mLのガラスバイアル瓶に加えた。配位子1(0.434g、2.31mmol)を加え、溶液をよく混合した。混合物を45分間超音波処理して、残存する配位子の小さい不溶性のフレークを有する溶液を得た。1−メトキシ−2−プロパノール(8.0mL)を加えた。溶液をよく混合し、30分間再び超音波処理して、濁った溶液を得た。混合物を減圧下で濃縮して、約4.0mLの濃い溶液にした。1−メトキシ−2−プロパノール(8.0mL)を加え、溶液をよく混合し、25分間再び超音波処理して、濁った溶液を得た。混合物を減圧下で濃縮して、約3〜4mLにした。SR 399(0.265g、0.505mmol)及びIrgacure 2959(0.0360g、0.161mmol)を加えた。混合物を10分間超音波処理して、わずかに濁った溶液を得た。溶液の質量は3.9976gであった(60重量%固体、固体の69重量%はZrOであった)。ハンドスプレッドを、2ミル(51マイクロメートル)の隙間を用いて、PETライナー(2ミル(51マイクロメートル)の3SAB、Mitsubishi Polyester Film,Inc.から入手可能)上に乗せて、澄んだ無色の湿った膜を得た。膜を70℃で25分間乾燥させ、次に、室温になるまで冷却した。剥離ライナー(Siliconature,Treviso,ItalyのSilphan S36 M74 A 152mm)を、コーティングの上部に設置した。膜をランプ(λ=350nm)の下に設置し、約23時間照射した。最終硬化膜は、澄んだ無色の透明であった。膜は、15±2μmの厚さであった。膜の屈折率は、1.699であった。
【0070】
実施例3−高屈折率膜
実施例2の手順を用いて、膜を、アセテート安定化ジルコニア(4.00gのゾル、1.65gのZrO)、配位子1(0.434g、2.31mmol)、SR 399(0.151g、0.288mmol)、及びIrgacure 2959(0.0360g、0.161mmol)から調製した。最終溶液の質量は、4.0018gであった(57重量%固体、固体の73重量%はZrOであった)。最終硬化膜は、澄んだ無色の透明であった。膜は、8.7±1.0μmの厚さであった。膜の屈折率は、1.721であった。
【0071】
実施例4−高屈折率膜
実施例2の手順を用いて、膜を、アセテート安定化ジルコニア(4.00gのゾル、1.65gのZrO)、配位子1(0.434g、2.31mmol)、SR 399(0.0797g、0.152mmol)、及びIrgacure 2959(0.0360g、0.161mmol)から調製した。最終溶液の質量は、4.0092gであった(55重量%固体、固体の75重量%はZrOであった)。最終硬化膜は、澄んだ無色の透明であった。膜は、7.1±0.8μmの厚さであった。膜の屈折率は、1.743であった。
【0072】
実施例5−配位子2から調製されたハードコート
アセテート安定化ジルコニアの水溶液(2.00gのゾル、0.821gのZrO)を20mLのガラスバイアル瓶に加えた。配位子2(0.395g、1.03mmol)を加え、溶液をよく混合した。混合物を15分間超音波処理して、均質な溶液を得た。1−メトキシ−2−プロパノール(8.0mL)を加えた。溶液をよく混合し、15分間再び超音波処理して、よく分散した溶液を得た。混合物を減圧下で濃縮して、約1.5〜2.0mLの濃い溶液にした。SR 399(0.105g、0.200mmol)、Irgacure 2959(0.018g、0.080mmol)、及び1−メトキシ−2−プロパノール(0.25mL)を加えた。溶液の質量は、2.199gであった(61重量%固体、39重量%溶媒、固体の61重量%はZrOであった)。混合物を15分間超音波処理して、わずかに濁った溶液を得た。ハンドスプレッドを、1ミル(25μm)の隙間を用いて、2ミル(51マイクロメートル)のPETライナー(50 3SAB、Mitsubishi Polyester Film,Inc.,Greer,S.C.から入手可能)上に乗せて、澄んだ無色の湿った膜を得た。膜を80℃で9分間乾燥させ、次に、室温になるまで冷却した。剥離ライナー(Silphan S36 M74 A 152mm)を、コーティングの上部に設置した。縁部をテープで止めて、空気から密封した。膜をランプ(λ=350nm)の下に設置し、約21時間照射した。最終硬化膜は、澄んだ無色の透明であった。
【0073】
実施例6−ポリマー反射防止膜
ポリマー反射防止膜を、N−ヒドロキシ尿素修飾ジルコニアを用いて作製した。配位子1で官能化したナノジルコニアの原液を調製した。アセテート安定化ナノジルコニアの水性ゾル(50.00gのゾル、20.61gのZrO)を250mLの丸底フラスコに加えた。配位子1(5.431g、28.86mmol)を加え、溶液をよく混合した。混合物を75分間超音波処理して、よく分散した均質の溶液を得た。1−メトキシ−2−プロパノール(100mL)を加えた。溶液をよく混合し、45分間再び超音波処理して、わずかに濁った溶液を得た。混合物を減圧下で濃縮して、約50〜60mLの濃い溶液を得た。1−メトキシ−2−プロパノール(100mL)を加え、溶液をよく混合し、45分間再び超音波処理して、わずかに濁った溶液を得た。混合物を減圧下で濃縮して、約50〜60mLにした。1−メトキシ−2−プロパノール(100mL)を加え、溶液をよく混合し、50分間再び超音波処理して、わずかに濁った溶液を得た。混合物を減圧下で濃縮して、約50〜55mLにした。溶液の質量は、52.5516gであった(50重量%固体、固体の79重量%はZrOであった)。官能化ジルコニアナノ粒子の溶液は濁った白色であったが、均質に分散した。
【0074】
高屈折率コーティング製剤を、N−ヒドロキシ尿素官能化ジルコニアナノ粒子を、アクリレートモノマー及び光開始剤とブレンドすることによって調製した。簡潔に言うと、15gのN−ヒドロキシ尿素官能化ナノジルコニア(1−メトキシ−2−プロパノール中、50重量%固体)、0.844gのSR601(Sartomer,Exton,PA)、0.844gのSR399(Sartomer,Exton,PA)、0.02gのIRGACURE 184(Ciba,High Points,NC)、及び3.7gのメチルアセチルケトンを、撹拌しながらともに混合して、均質の溶液を形成した。
【0075】
次に、高屈折率コーティング溶液を、それぞれ、9番の巻線ロッド(RD Specialties,Webster,NYから入手)を用いて、「MELINEX 618」で下塗り被覆したPET膜又はTAC膜の上部に塗布した。次に、得られた膜をオーブン内で85℃で1分間乾燥させ、次いで、75%のランプ電力、30フィート/分の回線速度(1通過)で、窒素雰囲気下にて動作する、H電球を装備したFusion UV−Systems Inc.Light−Hammer 6 UV(Gaithersburg,Maryland)プロセッサを用いて硬化させた。得られた膜の屈折率は、1.70と測定された。
【0076】
低屈折率コーティング製剤を、米国特許第7615293号に従って調製した。低屈折率コーティング溶液(3重量%固体)を、4番のロッドを用いて(上述のように調製された)高屈折率コーティング上にオーバーコーティングし、2分間空気乾燥させた。次に、得られた膜を、100%のランプ電力、10フィート/分の回線速度(1通過)で、窒素雰囲気下にて動作する、H電球を装備したFusion UV−Systems Inc.Light−Hammer 6 UV(Gaithersburg,Maryland)プロセッサを用いて硬化させた。
【0077】
TAC及びPET両方の上の反射防止膜は、透明かつ無色であった。TACライナー上の膜の光学特性を測定した。透過率は95.3%であり、ヘイズは0.3%であり、反射率は1.7%であった。膜は、83℃で0.5W/cmの照射下で、288時間後に色の安定度試験に合格した。
【0078】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに、本発明の様々な変更及び改変が当業者に明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する「特許請求の範囲」によってのみ限定されることを意図する本発明の範囲により例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。本開示に引用される全ての参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面修飾ナノ粒子であって、
ジルコニアナノ粒子と、
少なくとも1つのN−ヒドロキシ尿素官能基を含む、少なくとも1つの非金属有機誘導体と、
を含み、
前記非金属有機誘導体のうちの少なくともいくつかが、前記ジルコニアナノ粒子のうちの少なくともいくつかに付着される、表面修飾ナノ粒子。
【請求項2】
前記少なくとも1つの非金属有機誘導体が、相溶化基を更に含む、請求項1に記載の表面修飾ナノ粒子。
【請求項3】
前記相溶化基が、極性、非極性、又はそれらの組み合わせである、請求項2に記載の表面修飾ナノ粒子。
【請求項4】
前記極性相溶化基が、存在する場合、ヒドロキシル基、カルボン酸基、アミン基、チオール基、エポキシド基、アジリジン基、アジド基、ハロゲン化物基、アルキン基、オレフィン基、アクリレート基、メタクリレート基、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項3に記載の表面修飾ナノ粒子。
【請求項5】
前記非極性相溶化基が、存在する場合、アルキル基、アルキレン基、ヘテロアルキル基、アリール基、アリーレン基、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項3に記載の表面修飾ナノ粒子。
【請求項6】
前記少なくとも1つの非金属有機誘導体が、式:
【化1】

を有し、式中、Rが、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルアリール基、アルキルヘテロアリール基、及びヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、
及びRが、独立して、アルキル、アルキレン、ヘテロアルキル、アリール、アリーレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される部分を含む、請求項1に記載の表面修飾ナノ粒子。
【請求項7】
前記有機誘導体が、ヒドロキシル基、アミノ基、チオエーテル基、チオール基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、アルキルエーテル基、アルキニル基、アルケニル基、ハロゲン基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの基を更に含む、R、R又は両方に含まれる部分を有する、請求項6に記載の表面修飾ナノ粒子。
【請求項8】
前記部分のうちの1つ以上が、アクリレート又はメタクリレートエステルを含む、請求項7に記載の表面修飾ナノ粒子。
【請求項9】
請求項1に記載の表面修飾ナノ粒子を含む、ゾル。
【請求項10】
表面修飾ナノ粒子を作製する方法であって、
アセテート官能化ジルコニアナノ粒子の水性ゾルを、少なくとも1つのN−ヒドロキシ尿素官能基を含む少なくとも1つの非金属有機誘導体、又はその溶液と合わせて、混合物を形成する工程と、
水及び置換酢酸を前記混合物から除去して、表面修飾ナノ粒子を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの非金属有機誘導体が、相溶化基を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの相溶化基が、ヒドロキシル基、カルボン酸基、アミン基、チオール基、エポキシド基、アジリジン基、アジド基、ハロゲン化物基、アルキン基、オレフィン基、アクリレート基、メタクリレート基、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの相溶化基が、アルキル、アルキレン、ヘテロアルキル、アリール、アリーレン、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの非金属有機誘導体が、式:
【化2】

を有し、式中、Rが、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルアリール基、アルキルヘテロアリール基、及びヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、
及びRが、独立して、アルキル、アルキレン、ヘテロアルキル、アリール、アリーレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される部分を含む、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記非金属有機誘導体が、ヒドロキシル基、アミノ基、チオエーテル基、チオール基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、アルキルエーテル基、アルキニル基、アルケニル基、ハロゲン基、(メタ)アクリレート基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの基を更に含む、R、R、又は両方に含まれる部分を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
有機マトリックスと、
前記有機マトリックスの少なくとも一部に付着される表面修飾ジルコニアナノ粒子であって、少なくとも1つのN−ヒドロキシ尿素官能基を含む少なくとも1つの非金属有機誘導体を含む、表面修飾ナノ粒子と、
を含む、組成物。
【請求項17】
前記有機マトリックスが、モノマー、オリゴマー、コポリマー、又はそれらの組み合わせに由来する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
半透明又は透明である、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
放射線不透過性である、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
約1.6を超える屈折率を有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
前記有機マトリックスが、感圧性接着剤を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
【化3】

を含む、配位子。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−512850(P2013−512850A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542077(P2012−542077)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/057435
【国際公開番号】WO2011/068697
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】