説明

定期券発行装置

【目的】定期券発行時における運賃の確認作業を軽減し、確認時間を短縮する。
【構成】自線発着駅設定部1から発駅を設定し、他線着駅設定部2から他線の着駅を設定し、条件設定部4から期間等の条件を設定する。設定した入力データにより主制御部20は、磁気ディスク装置7の磁気ディスクを参照して全ての経由候補と対応する運賃データを読出して内部メモリ20aに記憶するとともに、経由設定部3からの連絡駅、自社の会社線経由、他社の会社線経由等の経由の設定に応じて運賃をCRT表示装置5に表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、たとえば交通機関で用いられる定期券を印刷発行する定期券発行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の定期券発行装置は、発駅と着駅を設定することにより、指定された発着駅間(利用区間)に該当する連絡駅、自社の会社線(以下、自線と記す)、他社の会社線(以下、他線と記す)等の経由候補が表示され、係員が指定することによって必要な経由の設定が行われる経由自動指定方式を採用している。従って、係員が経由候補を選択して設定すると、設定された発駅、経由(連絡駅、自線、他線)、着駅の間での定期券の運賃が表示される。係員は、表示された内容が良ければ発行指示をして定期券を発行する。
【0003】しかしながら、上記方式の定期券発行装置おいて、同一の発着駅間におけるいくつかある経由候補の運賃を確認するには、まず、1つの候補を選択設定し、選択された経由の運賃を表示して確認する。次に、リセットして、最初から発駅と着駅を設定して次の経由候補を選択設定して運賃を表示確認する。このように経由候補の数だけリセットを繰り返して運賃を確認している。
【0004】従って、同一の発着駅間における全ての経由候補の運賃チェックを行う場合、何回もリセット処理を行わなければならないので作業が複雑で時間がかかっていた。また、定期券購入客からどの経由の運賃が安いかの問い合わせがあった場合、全ての経由候補の運賃をリセット処理を行って確認しなければならならないので、この場合も時間がかかり、購入客の待ち時間も長くなっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、同一の発着駅間における全ての経由候補の運賃チェックを行う場合、何回もリセット処理を行わなければならないので作業が複雑となり、また確認に時間がかかるという問題があった。そこで、この発明は、定期券発行時における運賃の確認作業を軽減し、確認時間を短縮することのできる定期券発行装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の定期券発行装置は、定期券の利用区間と期間を指示する指示手段と、この指示手段により指示された利用区間に対応する全ての連絡駅と会社線等の経由情報を表示する表示手段と、この表示手段で表示された経由情報を選択する選択手段と、この選択手段で選択される経由情報毎に、選択された経由情報に対応する上記指示手段で指示された定期券の運賃を表示する運賃表示手段とから構成されている。
【0007】この発明の定期券発行装置は、定期券の利用区間と期間を指示する指示手段と、この指示手段により指示された利用区間に対応する全ての連絡駅と会社線等の経由情報を点滅表示する点滅表示手段と、この点滅表示手段で表示された経由情報を選択する選択手段と、この選択手段で選択される経由情報毎に、選択された経由情報に対応する上記指示手段で指示された定期券の運賃を表示する運賃表示手段とから構成されている。
【0008】この発明の定期券発行装置は、定期券の利用区間と期間を指示する指示手段と、この指示手段により指示された利用区間に対応する全ての連絡駅と会社線等の経由情報を点滅表示する点滅表示手段と、この点滅表示手段で表示された経由情報を選択する選択手段と、この選択手段で選択された経由情報の点滅表示を点灯表示に変換する変換手段と、この変換手段により点灯表示される経由情報毎に、選択された経由情報に対応する上記指示手段で指示された定期券の運賃を表示する運賃表示手段とから構成されている。
【0009】この発明の定期券発行装置は、定期券発行の運賃データを含む種々の情報を記憶する記憶手段と、定期券の利用区間と期間を指示する指示手段と、この指示手段により指示された利用区間に対応する全ての連絡駅と会社線等の経由情報を表示する表示手段と、この表示手段で表示された経由情報を選択する選択手段と、この選択手段で選択される経由情報毎に、上記記憶手段に記憶されている運賃データから選択された経由情報に対応する上記指示手段で指示された定期券の運賃を読出す読出手段と、この読出手段で読出された運賃を表示する運賃表示手段とから構成されている。
【0010】
【作用】この発明は、定期券の利用区間と期間を指示手段で指示し、指示された利用区間に対応する全ての連絡駅と会社線等の経由情報を表示し、表示された経由情報を選択し、選択される経由情報毎に、選択された経由情報に対応する上記指示手段で指示された定期券の運賃を表示するようにしたものである。
【0011】この発明は、定期券発行の運賃データを含む種々の情報を記憶手段に記憶し、定期券の利用区間と期間を指示手段で指示し、指示された利用区間に対応する全ての連絡駅と会社線等の経由情報を表示し、表示された経由情報を選択し、選択される経由情報毎に、上記記憶手段に記憶されている運賃データから選択された経由情報に対応する上記指示手段で指示された定期券の運賃を読出し、読出された運賃を表示するようにしたものである。
【0012】
【実施例】以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。図2は、この発明の定期券が発行される定期券発行装置の外観を示すものである。すなわち、この定期券発行装置は、自線の発着駅を設定する発着駅釦群で構成される自線発着駅設定部1、他線の着駅を設定する着駅釦群で構成される他線着駅設定部2、連絡駅、自線経由、他線経由を設定する釦群で構成される経由設定部3、定期券の発行条件を設定する条件釦群で構成される条件設定部4、入力手順あるいは操作設定された情報を表示するCRTディスプレイ装置5、売上データを印字するジャーナルプリンタ6、および定期券発行に関する種々の情報たとえば売上データあるいは運賃データ等が記憶されている記憶装置たとえば磁気ディスク(図示しない)を扱う磁気ディスク装置7とから構成されている。
【0013】操作部としての自線発着駅設定部1、他線着駅設定部2、経由設定部3、条件設定部4における各部の釦は、内部にランプまたは発光ダイオード(LED)等が設けられ、必要に応じて点灯、点滅するようになっている。なお、上記設定部は釦ではなく、例えばタッチパネルを用いても良いが、必要に応じてパネルの色が変わるようにする。
【0014】図1は、図2における電気回路の要部を示すものである。すなわち、全体を制御する主制御部20、上記自線発着駅設定部1、他線着駅設定部2、経由設定部3、条件設定部4の各部の釦に対応し、JISの第1水準および第2水準の文字の文字パターンが記憶されている文字パターンメモリ21、定期券を発行する際の券面データとしての印刷データが記憶される印刷データメモリ22、定期券の券面データの印刷と磁気情報の記憶を行って発行する定期券処理部23とから構成されている。
【0015】主制御部20には、経由候補データを記憶する内部メモリ20aが設けられており、この内部メモリ20aには、設定された発着駅間における全ての経由候補データが一時記憶される。
【0016】次に、このような構成において、定期券の運賃確認の動作を、図3に示すフローチャートを参照しつつ説明する。たとえば今、定期券の購入客から自線の発駅から他線の着駅間で指定期間(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月等)における運賃の問合わせがあったとする。まず係員は、自線発着駅設定部1で発駅を設定し、他線着駅設定部2で着駅を設定する(ステップS1、2)。
【0017】主制御部20は、磁気ディスク装置7の磁気ディスク(図示しない)を用いて、設定された発着駅間における全ての連絡駅と経由の候補情報、及び対応する運賃データを読出して内部メモリ20aに記憶するとともに、経由設定部3における設定された発着駅間に該当する経由候補を連絡駅、自線経由、他線経由の順に該当釦を点滅させる(ステップS3)。
【0018】図4に経由設定部3の構成を示し、例えば、設定された発着駅間に該当する経由候補は、連絡駅釦A〜Nの中のB、C、Fが点滅(図4において△印で示す)し、係員が点滅された連絡駅釦のうちの「C」を選択して押下(ステップS4)すると、釦Cは点灯(図4R>4において○印で示す)となって選択されたことを示し、他の釦B、Fは点滅のままの状態であり、連絡駅「C」に該当する自線経由釦a〜yの中のf、g、j、k、mと、他線経由釦イ〜オの中のロ、リ、ヌが点滅表示される。同様に点滅された自線経由釦のうちの「k」を選択して押下(ステップS6)すると、釦kは点灯となって選択されたことを示し、他の釦f、g、j、mは点滅のままの状態である。さらに他線経由釦のうちの「ロ」を選択して押下(ステップS8)すると、釦ロは点灯となって選択されたことを示し、他の釦リ、ヌは点滅のままの状態である。
【0019】続いて係員は、条件設定部4から通用箇月(期間)等の条件を設定(ステップS9)し、運賃確認釦(図示しない)を押下(ステップS10)する。主制御部20は、上記設定された連絡駅、自線経由、他線経由および条件入力データにより、対応する運賃を内部メモリ20aに記憶されている情報から読出し、CRTディスプレイ装置5に運賃を表示する。続いて主制御部20は、条件変更があるか否かの確認をCRTディスプレイ装置5に表示し、条件変更があればステップS9に戻り、再設定を行う。
【0020】条件変更がなければ主制御部20は、経由変更があるか否かの確認をCRTディスプレイ装置5に表示し、経由変更があればステップS4に戻り、再設定を行う。すなわち、連絡駅釦の変更があるか否か確認(ステップS14)し、あればステップS4に戻り点滅する釦B、Fのうちの1つを選択押下して変更する。例えば、釦Bが押下されれば釦Bが点灯となり、他の釦C、Fは点滅し、連絡駅「B」に該当した自線経由釦と他線経由釦に内容が変更される。(例えば、自線経由釦a、c、e、及び他線経由釦ホ、ヘ、トが点滅に変わり、再選択しなおすことになる。)連絡駅の変更がない場合は、自線経由の変更があるか否か確認(ステップS15)し、あればステップS6に戻り点滅する釦f、g、j、mのうちの1つを選択押下して変更する。例えば、釦gが押下されれば釦gが点灯となり、他の釦f、j、k、mは点滅する。
【0021】他線経由の変更があればステップS8に戻り点滅する釦リ、ヌのうちの1つを選択押下して変更する。例えば、釦リが押下されれば釦リが点灯となり、他の釦ロ、ヌは点滅する。
【0022】ここで係員は、運賃確認釦(図示しない)を押下(ステップS10)する。主制御部20は、上記設定された連絡駅(釦B)、自線経由(釦g)、他線経由(釦リ)および条件入力データにより、対応する運賃を内部メモリ20aに記憶されている情報から読出し、CRTディスプレイ装置5に運賃を表示する。
【0023】このようにして各ステップを繰返すことにより、全ての経由候補の運賃確認がリセットすることなく行うことができる。以上説明したように上記実施例によれば、経由候補の選択を行った後も、候補の連絡駅、自線経由、他線経由の各釦は点滅し、釦を押し変えるだけで続けて他の経由候補の選択を行うことができ、運賃の確認作業を軽減し、確認時間を短縮することが可能となる。
【0024】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明によれば、定期券発行時における運賃の確認作業を軽減し、確認時間を短縮することのできる定期券発行装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定期券発行装置の電気回路の要部を示すブロック図。
【図2】定期券発行装置の外観を示す図。
【図3】定期券の運賃の確認動作を説明するためのフロ―チャ―ト。
【図4】経由設定部の構成例を示す図。
【符号の説明】
1…自線発着駅設定部
2…他線着駅設定部
3…経由設定部
4…条件設定部
5…CRTディスプレイ装置
6…ジャーナルプリンタ
7…磁気ディスク装置
20…主制御部
20a…内部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 定期券の利用区間と期間を指示する指示手段と、この指示手段により指示された利用区間に対応する全ての連絡駅と会社線等の経由情報を表示する表示手段と、この表示手段で表示された経由情報を選択する選択手段と、この選択手段で選択される経由情報毎に、選択された経由情報に対応する上記指示手段で指示された定期券の運賃を表示する運賃表示手段と、を具備したことを特徴とする定期券発行装置。
【請求項2】 定期券の利用区間と期間を指示する指示手段と、この指示手段により指示された利用区間に対応する全ての連絡駅と会社線等の経由情報を点滅表示する点滅表示手段と、この点滅表示手段で表示された経由情報を選択する選択手段と、この選択手段で選択される経由情報毎に、選択された経由情報に対応する上記指示手段で指示された定期券の運賃を表示する運賃表示手段と、を具備したことを特徴とする定期券発行装置。
【請求項3】 定期券の利用区間と期間を指示する指示手段と、この指示手段により指示された利用区間に対応する全ての連絡駅と会社線等の経由情報を点滅表示する点滅表示手段と、この点滅表示手段で表示された経由情報を選択する選択手段と、この選択手段で選択された経由情報の点滅表示を点灯表示に変換する変換手段と、この変換手段により点灯表示される経由情報毎に、選択された経由情報に対応する上記指示手段で指示された定期券の運賃を表示する運賃表示手段と、を具備したことを特徴とする定期券発行装置。
【請求項4】 定期券発行の運賃データを含む種々の情報を記憶する記憶手段と、定期券の利用区間と期間を指示する指示手段と、この指示手段により指示された利用区間に対応する全ての連絡駅と会社線等の経由情報を表示する表示手段と、この表示手段で表示された経由情報を選択する選択手段と、この選択手段で選択される経由情報毎に、上記記憶手段に記憶されている運賃データから選択された経由情報に対応する上記指示手段で指示された定期券の運賃を読出す読出手段と、この読出手段で読出された運賃を表示する運賃表示手段と、を具備したことを特徴とする定期券発行装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【公開番号】特開平7−93598
【公開日】平成7年(1995)4月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−236779
【出願日】平成5年(1993)9月22日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)