説明

定着装置

【課題】周速差の発生による画像ズレ、左右へのベルト寄りを解決した定着装置を提供する。
【解決手段】ヒータ255を具備するベルト251aとベルト251aとニップ部を形成するベルト251bとニップ部Aにおいてベルト251aの内側に配置された駆動ローラ252aと、ベルト251bの内側に駆動ローラ252aと対向して従動ローラ252bとを配置した定着装置において、ベルト251a,251bの両端部には、複数の穴が等間隔に、かつベルト251a,251bの穴がニップ部にて重なるように同じ間隔で設けられた穴列が形成され、ローラ252a,252bは、ベルト251a,251bの穴に相当する位置に凸部252a2,252b2と凹部252a3,252b3が交互に設けられ、駆動ローラが回転したときに、駆動ローラの凸部と従動ローラの凹部とが、駆動ローラの凹部と従動ローラの凸部とが嵌合するように配置された定着装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、ファクシミリ、プリンタなどに適用され、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に係り、特にトナー画像を加熱して定着するトナー像定着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真法や静電記録法を利用した画像形成装置を用いることにより、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。例えば、電子写真法においては、画像情報は、帯電工程に続く露光工程により感光体上に静電潜像とされた後、現像剤で顕像化され、次いで転写工程及び定着工程を経て画像情報が再生される。
複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機等の画像形成装置においては、上述の定着工程において、紙などの記録媒体上に転写されて担持されている未定着画像を定着して複写物や印刷出力とすることがある。
定着に用いられる定着装置には、一対のローラを対向させて配置し、一方のローラを加熱ローラとして用い、他方のローラを記録媒体の加圧ローラとしてニップ部を形成する構成がある。または、複数のベルトを用いて、同様に対向して配置してニップ部を形成する構成がある。この構成では加熱ローラと加圧ローラとの間のニップ部に記録媒体を挟持させて搬送しながら熱及び圧力を加えながら未定着画像を融着させて定着する。
【0003】
従来から、上述した定着装置では、画像を加熱するニップ部を通過するニップ時間の確保は重要な課題であった。例えば、定着ローラに対してゴムローラを加圧した場合などゴムを柔らかくまたゴム肉厚を厚くし、強くゴムローラを押し当てることでゴムが変形し定着ローラ側へ座屈することで接触幅、所謂ニップ幅を確保してきた。しかし、ゴムへの押し付け圧を高くしてもゴムの柔らかさや押し付け圧には限界がある。また、ゴムを柔らかくすると形状の維持が難しくなり、さらに、押し付け圧力を強くするとゴムローラ自身が変形してしまう。このため、ゴムの代わりに、非常に柔らかい発泡状ゴム(以下、「スポンジゴム」と記す。)を用いることで、適度な押し付け圧でも充分なニップ幅が確保できるようになった。しかし、スポンジゴムは寿命が短く、繰り返し圧縮、開放でゴムスポンジが疲労しスポンジの脆性破壊が起こり、初期性能の維持がむずかしかった。
【0004】
これらに対して、複数のベルトで挟み込みニップ時間を長くとるという方法がある。この方法は、ベルトにより挟み込む方法であり、密着によるニップの長さはベルトの周長が許す限り任意である。しかし、ベルトの駆動においてローラとベルト内面のスベリ、またつれまわりの対向ベルトのスベリがあり、特に画像をニップした時にベルト同士の接触が失われてスベリが大きくなり、定着ベルトと加圧ベルトの対向部の周速差が発生し画像ズレの問題が発生していた。また、薄いベルトを複数枚使用しており、おのおのが左右いずれかに移動し寄ってしまうという問題もあり、早急な解決が望まれていた。
特許文献1では、ラミネート装置において、位置合わせ機構を設けて一対のベルトの位置を合わせる技術が提案されている。これは対向するローラ同士とギヤで噛み合わせ、さらにローラとベルトもギヤ等により噛み合わせたものであり、ローラの周長差がある場合には、ローラ同士のギヤ駆動によって強制的にスリップを起こしてしまうという不具合があった。
特許文献2では、駆動ローラのピンがベルトの穴に嵌合しながら駆動される定着装置が提案されている。この定着装置では、ベルトの駆動が安定しているが、1ベルトなのでニップ幅が狭く、このため厚紙や高速時の画質には限界があった。
特許文献3では、加熱ローラのピンが加圧ベルトの穴と勘合して駆動され定着装置が提案されている。この定着装置では、加熱ローラと加圧ベルトの速度が同一に保たれるが、1ベルトなのでニップ幅が狭く、このため厚紙や高速時の画質には限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、周速差の発生による画像ズレ、左右へのベルト寄りを同時に解決した定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、以下の1ないし6の発明によって、上記課題は解決される。
1.内部にヒータを具備する無端状の第1ベルトと、該第1ベルトとニップ部を形成する無端状の第2ベルトと、ニップ部において前記第1ベルトの内側に配置された回転可能な駆動ローラと、前記第2ベルトの内側に、前記駆動ローラと対向して前記第1ベルトと前記第2ベルトを挟み込んで押圧する回転可能な従動ローラとを配置した定着装置において、
第1ベルト及び第2ベルトの両端部には、それぞれ移動方向に沿って複数の穴が等間隔に、かつ第1ベルトの穴と第2ベルトの穴がニップ部にて重なるように同じ間隔で設けられた穴列が形成され、駆動ローラ及び従動ローラは、前記ベルトの穴に相当する位置に凸部と凹部が交互に設けられ、駆動ローラが回転したときに、駆動ローラの凸部と従動ローラの凹部とが嵌合し、かつ駆動ローラの凹部と従動ローラの凸部とが嵌合するように配置されていることを特徴とする定着装置である。
2.前記1に記載のベルト定着装置において、第1ベルト及び第2ベルトに大きさが異なる二種の穴を交互に設けられ、該第1ベルト及び第2ベルトは径の異なる穴が重なるように配置され、駆動ローラと第1ベルトが回転駆動され、駆動ローラの凸部が第1ベルト及び第2ベルトの穴に挿入されるとき、駆動ローラに接する第1ベルトの穴が第2ベルトの穴よりも大きくなるように配置されたことを特徴とする定着装置である。
3.前記2に記載のベルト定着装置において、第1ベルト及び第2ベルトの両端の穴列の少なくとも一方端の穴列は、円形の穴からなる穴列であり、駆動ローラの凹凸部及び従動ローラの凹凸部が、前記円径の穴と略同径の円形であることを特徴とする定着装置である。
4.前記3に記載のベルト定着装置において、第1ベルト及び第2ベルトの両端の穴列の少なくとも一方端の穴列は、長円形の穴からなる穴列であることを特徴とする定着装置である。
5.駆動ローラの凹凸部及び従動ローラの凹凸部の先端部が樹脂又は弾性体で形成され、先端部以外は金属で形成されていることを特徴とする定着装置である。
6.潜像を形成する像担持体と、像担持体表面に均一に帯電を施す帯電装置と、帯電した像担持体表面に露光し潜像を書き込む露光装置と、像担持体表面に形成された潜像にトナーを供給し可視像化する現像装置と、像担持体表面の残留トナーをクリーニングするクリーニング装置と、像担持体表面の可視像を直接又は中間転写体に転写した後に記録媒体に転写する転写装置と、記録媒体上のトナー像を定着させる定着装置とを備える画像形成装置において、前記定着装置は、前記1ないし5のいずれかに記載のベルト定着装置であることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の定着装置によれば、ベルトの揺れ防止による画像ズレや転写紙のシワ発生、ジターが防止され、また、ベルト寄り、ベルトのシワ発生、ベルトの亀裂、ベルト端部との側板とのこすれが防止される。
また、本発明の定着装置を画像形成装置に装着すると良好な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の定着装置の一例を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の定着装置の一例を示す断面概略図である。
【図4】本発明の定着装置の一例を示す部分断面概略図である。
【図5】本発明の定着装置に係るベルトの概略斜視図及び側面図である。
【図6】本発明の定着装置に係るベルトの概略斜視図及び側面図である。
【図7】本発明の定着装置に係るベルトの概略斜視図及び側面図である。
【図8】本発明の定着装置に係るベルトの概略斜視図及び側面図である。
【図9】本発明の定着装置に係る駆動ローラの概略斜視図である。
【図10】本発明の定着装置の一例を示す部分断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における実施の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0010】
図1は、この発明の画像形成方法を実施する画像形成装置を示す全体構成図であり、ここではその一例としてカラー画像形成装置を示している。このカラー画像形成装置1は中間転写ベルト11を用いたタンデム型の電子写真装置であり、最下部に給紙テーブル2を、その上方に画像形成装置本体1を、さらにその上部にスキャナ3及び原稿自動給送装置(ADF)4をそれぞれ設けてある。
発明の画像形成方法は、図1に示す画像形成装置1によって、静電潜像形成工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、定着工程等が行われる。以下に、そのための画像形成装置1の構成について詳述する。
画像形成装置本体1には、ほぼ中央に無端状の中間転写ベルト11を備えた転写装置9が設けてあり、中間転写ベルト11は駆動ローラ14と従動ローラ15、16により張架され、回転駆動される。従動ローラ15の左方には、図示しないベルトクリーニング装置により、画像転写後その表面に残留する残留トナーが除去されて次の画像形成に備えられる。
駆動ローラ14と従動ローラ15との間に架け渡された直線状の中間転写ベルト11の上方には、その移動方向に沿って、感光体5Y、5C、5M、5K(以下、色を特定する必要がない場合には単に感光体5という)を、回転可能に設けてあり、その周りには現像装置7、帯電装置6、感光体クリーニング装置8を設けてある。これらを一つのユニットとして画像形成ユニット10を形成する。この画像形成ユニット10の現像装置7によって現像工程が行われる。
また、感光体5には、レーザ光を照射する公知の露光装置21が設けられている。この露光装置21で静電潜像形成工程が行われる。
一次転写手段を構成する一次転写ローラ9Y、9C、9M、9Kが設けてある。この感光体5の近傍には、画像濃度検出手段29がそれぞれ設けられている。さらに、感光体5の周りには、そのほかに図示しない除電装置、潤滑剤塗布装置をそれぞれ設けてあり、これらは1つの画像形成部10を構成している。
一方、中間転写ベルト11の下側には二次転写手段を構成する二次転写装置22を設けてある。この二次転写装置22が中間転写ベルト11を介して従動ローラ16に圧接するようになっている。そして、この二次転写装置22が中間転写ベルト11との間に送り込まれる記録媒体として用紙Pに、中間転写ベルト11上のトナー画像を一括転写する。
二次転写装置22の用紙搬送方向下流側には、用紙P上に形成されたトナー画像を無端状の定着ベルトに加圧ローラで加熱・圧接するベルト定着装置25が設けられている。画像転写後の用紙Pは、一対のローラ23、23間に架け渡された無端状の搬送ベルト24によってベルト定着装置25へ搬送される。なお、この二次転写装置22は転写ローラや非接触のチャージャを用いた転写方式であっても差し支えない。この中間転写ベルト11を含む転写装置9で転写工程が行われる。
そして、この二次転写装置22の下側には、用紙表裏両面に画像を形成する際に用紙Pを反転させる用紙反転装置28を設けてある。
【0011】
上記のような構成からなるカラー画像形成装置1でカラーのコピーをとるときは、通常、原稿自動給送装置4の原稿台30上に原稿をセットするが、手動で原稿をセットする場合には、原稿自動給送装置4を開いてスキャナ3のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、この原稿が原稿自動給送装置4を閉じることによりコンタクトガラス32へ押圧する。
次に、図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動給送装置4に原稿をセットしたときは原稿が自動でコンタクトガラス32上に給送され、手動でコンタクトガラス32上にセットしたときは直ちにスキャナ3が作動し、第一走行体33及び第二走行体34が走行を開始する。これにより、第一走行体33の光源からの光が原稿に向けて照射され、さらに第二走行体34の一対のミラーにより180度方向を変えて結象レンズ35を通り読取りセンサ36に入射して原稿の内容が読取られる。
また、上述したスタートスイッチの押下により、中間転写ベルト11が回動を開始すると同時に各感光体5Y、5C、5M、5Kも回動を開始してそれぞれの感光体上にイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各単色画像を形成する。このようにして各感光体上に形成された各単色画像は、図1で時計回り方向に回動する中間転写ベルト11上に重ね合わせて順次転写されてフルカラーの合成カラー画像が形成される。
【0012】
一方、給紙テーブル2内の選択された給紙段の給紙ローラ42が回転し、給紙ユニット43内の選択された給紙トレイ44から用紙Pが繰り出され、分離ローラ45により一枚に分離されて搬送ガイド板48に搬送される。繰り出された用紙Pは搬送ローラ47により複写機本体1に搬送され、レジストローラ49に当接して一旦停止状態になる。レジストローラ49は中間転写ベルト11上のカラー画像に合わせた正確なタイミングで回転を開始し、停止状態にあった用紙Pを中間転写ベルト11と二次転写ローラ22との間に送り込み、用紙P上に上記の二次転写装置22によりカラー画像を転写する。カラー画像が転写された用紙Pは、搬送機能も有する二次転写装置22により、ベルト定着装置25へ搬送され、加熱・加圧されて転写画像が定着される。このベルト定着装置25によって定着工程が行われる。
その後、排出側に案内され、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出されてスタックされる。
なお、両面コピーモードが選択されている場合には、表面に画像を形成した用紙Pは用紙反転装置28側に搬送され、反転して再び2次転写位置22へ導かれ、裏面に画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ上に排出されてスタックされる。また、ブラック単色画像を中間転写ベルト11上に形成する場合には、駆動ローラ14以外の従動ローラ15、16を移動させてイエロー、シアン、マゼンタの感光体5Y、5C、5Mを中間転写ベルト11から離間させるようにしている。なお、図1に示したタンデム型でなく、感光体5が一つしかない所謂1ドラム型の画像形成装置1にあっては、ファーストコピー速度を早くするために、最初に黒色を作像するのが一般的であり、その後原稿がカラーの場合のみ残りの色の作像を行うようにしている。
【0013】
本発明の定着装置は、内部にヒータを具備する無端状の第1ベルト(以下、「第1ベルト」と記す)と、該第1ベルトとニップ部を形成する無端の第2ベルト(以下、「第2ベルト」と記す)と、ニップ部において第1ベルトの内側に配置された回転可能な駆動ローラと、第2ベルトの内側に、前記駆動ローラと対向して第1ベルトと第2ベルトを挟み込んで押圧する回転可能な従動ローラとを配置した定着装置において、第1ベルト及び第2ベルトの両端部には、それぞれ移動方向に沿って複数の穴が等間隔に、かつ第1ベルトの穴と第2ベルトの穴はニップ部にて重なるように同じ間隔で設けられてあり、駆動ローラ及び従動ローラは、ベルトの穴に相当する位置に凸部と凹部が交互に設けられ、駆動ローラが回転したときに、駆動ローラの凸部と従動ローラの凹部とが嵌合し、かつ駆動ローラの凹部と従動ローラの凸部とが嵌合するように配置されている。
図2は、ベルト定着装置の全体を示す斜視図である。図3は、本発明のベルト定着装置における正面の構成を示す断面図である。図4は、図3の部分拡大図である。
図2及び3に示すように、無端状ベルトである上方にある第1ベルト251a及び下方に置かれている第2ベルト251bが対向して配置されている。これらの第1ベルト251a及び第2ベルト251bの内部にはそれぞれ設けられた駆動ローラ252a及び従動ローラ252bによって、これらのニップローラ軸間が図示しない圧縮バネ等の加圧部材により加圧されている。駆動ローラ252a及び従動ローラ252bは、不図示の駆動源から、それぞれ不図示のギヤを介して等速に駆動される。また、駆動ローラ252a及び従動ローラ252bは、金属の芯金の外周に、ゴムを巻いた構成になっている。
また、第1ベルト251a及び第2ベルト251bの内部には、駆動ローラ252a及び従動ローラ252bとともにそれぞれ第1ガイドローラ253a及び第2ガイドローラ253bは、それぞれ第1ベルト251a及び第2ベルト251b内部でニップ部Aの上流に設けられており、これによって、直線的に搬送されている領域で、上方にある第1ベルト251a及び下方に置かれている第2ベルト251bが接触しているニップ部A(図3のA)を形成するためのガイド的な役割を果たしている。これらのガイドローラ軸間が図示しない圧縮バネ等の加圧部材により加圧されている。
第1ガイドローラ253a及び第2ガイドローラ253bも、金属の芯金に柔らかいゴムまたはゴムスポンジの弾性体が設けられている。ここで、ニップ部Aは円管状ベルトが円に戻ろうとする反力によってある程度のニップ圧が得られる。
第1ベルト251a及び第2ベルト251bの両端と、駆動ローラ252a及び従動ローラ252bと、第1ガイドローラ253a及び第2ガイドローラ253b等の駆動部材は、図2に示すように、前側側板258a、後側側板258bに設けられる軸受に軸支され、定着装置駆動部26を構成している。図2において、257は寄り止め板、259はステイである。
【0014】
駆動ローラ252aは、第1駆動リング252a1、ピン252a2、穴252a3を有し、駆動ローラ252bは、第2駆動リング252b1、ピン252b2、穴252b3を有している。ピン252a2と穴252b3、ピン252b2と穴252a3とは、第1ベルト251a及び第2ベルト251bに設けられた穴を介して嵌合する。図4においては、ピン252a2と穴252b3とが嵌合している。
図5、6、7及び8は、ベルトの構成を示す概略斜視図及び側面図である。図9は、駆動ローラの斜視図及び駆動ローラの凹凸部分の拡大図である。
図5(a)、図6(a)、図7(a)及び図8(a)に示すように、ベルト251aの長手方向両端部には複数の穴が一定の間隔で設けられ、穴列が形成されている。図5(b)に示す穴列251a5は、径が同一の円径の穴をベルトの両端に設けたものである。図6(b)に示す穴列251a6は、径の異なる二種の円形の穴を交互に設けたものであり、径の同じ穴同士が対向している。図7(b)に示す穴列251a7は、長径が同じで短径の異なる二種の長円形の穴を交互に設けたものであるが、長径と短径の両方が異なっていてもよい。ここで、長円とは、二つの半円を直線で結んだ形をいう。図8(b)に示す穴列251a8は、図6(b)に示す穴列251a6と同様の穴列がベルトの一端に設けられ、図7(b)に示す穴列251a7と同様の穴列がベルトの他端に設けられたものである。この場合、円の直径と長円の短径が同一である。
第2ベルト251bにおいても第1ベルト251aに設けられた穴列と同様の穴列が設けられている。
【0015】
一方、図9(a)に示すように、駆動ローラ252aの軸方向両端には第1駆動リング252a1が取り付けられており、この第1駆動リング252a1には、図9(b)に示すように、複数のピン252a2と複数の穴252a3が交互に設けられている。第1駆動リング252a1のピン252a2と穴252a3の中心間隔はベルト251aにおける穴の中心間隔と同じである。従動ローラ252bについても駆動ローラ252aと同様である。
駆動ローラ252aのピン径に対して、従動ローラ252bの穴径及びベルト251bの穴径は0.01〜0.5mm程度に僅かに大きく設計されており、駆動ローラのピンが2枚のベルト251a及び251bに設けられた穴を介して従動ローラの穴に入るように組み付けられている。これは従動ローラのピンと駆動ローラの穴についても同様である。
駆動ローラが回転されるとベルトの穴に駆動ローラのピンと従動ローラのピンが互い違いに挿入されながら送られることで、駆動ローラ252a、第1ベルト251a、第2ベルト251b、従動ローラ252bは等速で移動する。
【0016】
図4において、ピン252b2が第1ベルト251aの穴252a4から外れようとする瞬間に、ピンとベルトの摺擦又は噛み込みが発生する場合がある。これによって、長期間での使用にて、ベルトの穴に亀裂が入り破損する場合がある。
そこで、図6に示すように、ベルトの穴径を交互に異ならす、すなわちピン径に対して例えば+0.05〜+0.1mmの公差で開けた穴と、ピン径に対して例えば+0.2〜0.5mm程度としたものを交互に設けることが好ましい。第1ベルト251a、第2ベルト251b共にこのような穴を設け、図10に示すように、2枚のベルトの穴251a9及び251b9を、小さい穴と大きい穴とが対向するように組み付けると、例えば図4において、ピン252b2が穴251a4から外れようとする際のピンのベルト穴に対する噛み込みが解消され、経時におけるベルト破損の問題が解消される。
さらに、図7のように穴を長円とし、長径が同じで短径の異なる穴を交互に設け、第1ベルト251a及び第2ベルト251bの穴が小さいものと大きいものが対抗するようにすることで、さらに長手方向のズレも同時に解消できるので、さらに効果的である。さらに、図8のように、一端の穴列を丸穴、一端の列が長穴とすることで、長手方向のズレに加えてベルトの寄りも防ぐことができるので、より効果的である。
【0017】
第1ガイドローラ253a及び第2ガイドローラ253bは、第1ベルト251a及び第2ベルト251bが大きなニップ部A(図3)を形成するためのガイドの役割を果たす。ここで、ニップ部Aは円管状のベルト251a及び251bが円に戻ろうとする反力によってニップ圧が得られる。
図3に示すように、ハロゲンヒータ255及び反射板256もベルトの内部に設けられ、内部から第1ベルト251aの上部を集中加熱することによって、熱の逃げるスペースが非常に少なくなり、第1ベルト251aの昇温効率が向上する。
【0018】
第1ガイド254aは、第1ベルト251aの周方向については、ニップ部A以外のベルト内面の大部分を規制するように構成されている(第2ガイド254bと第2ベルト251bについても同様である)。第1ベルト251aの長手方向については、両端部、すなわち非画像部のみに第1ガイド254aが設けられており、摺動抵抗及び熱容量を最小限に抑えるようにしている。第1ガイド254aによって、ベルト駆動時の揺れが防止される。第1ベルト251a及び第ベルト251bは、駆動ローラ252a両端及び従動ローラ252b両端に形成された、第1駆動リング252a1及び第2駆動リング252b1よってそれぞれのローラとずれないように駆動されると同時に、対向した第1ベルト251a及び第2ベルト241bのズレが規制される。そして、従来公知の電子写真プロセスによりトナー画像が転写された紙が図のB方向から搬送され、ニップ部Aにより加熱、加圧され、トナー画像が紙上に定着する。
ベルトの揺れについて説明する。ベルトは駆動されると、ニップ部出口では略直線ニップ部の慣性力によって図3おけるC方向に力を受け、ニップ部A以外ではベルト全体がC方向に移動しようとする。しかしある程度ベルトが変形すると静止状態に戻ろうとする力も強くなりこの両者の力によって揺れが発生する。第1ベルト251a及び第ベルト251bを設けることで、この揺れを抑えることができる。
【0019】
駆動や速度規制の正確さを同時に併せ持つためには、ピンの根元部分が垂直立ち上がりであり、ピンの高さが、第1ベルト251aと第2ベルト251bとを合わせた厚さと同等の高さであるか、この高さに対して±(ベルト1枚の高さ)であることが好ましい。ピン及び穴の形状は緩和曲線を形成することがさらに好ましい。
以上より、本発明は、第1ベルト、第2ベルト、及び従動ローラの駆動と速度規制を行い、記録媒体がニップ部を通過した時に、画像がズレないように画像表面と定着面の速度差の発生を問題が生じないレベルに押さえ込みまた同時にベルトの寄りの発生も押さえる技術である。
本発明に使用する駆動ローラ及び従動ローラは、別途駆動リングにピンを設けたもの、あるいは穴加工を施したものをローラにはめ込む方法により作製することができる。この方法により穴あけ及びピン打ちが容易になり、特に穴あけの精度を上げることが可能である。さらにローラは比較的大きな重量物であり、これを加工するハンドリング、ローラの表面加工へのキズ防止などの手間などを考えると、コスト的には別途加工することが好ましい。ローラにはめ込む時には、ローラやリングにDカットなどの刻みを入れてもよいし、微調整してイモねじなどで固定してもよい。部品点数を減らす点から、一体で製造してもよい。
【実施例】
【0020】
(実施例1)
構成1
ベルト支持体厚さ 40μm
ベルト弾性層 200μm
ベルト表層 30μm
定着ベルト径 60mm
加圧ベルト径 60mm
駆動ローラ径 20mm
従動ローラ径 20mm
ガイドローラ径 12mm
駆動ローラ端部凸ピン数 6本
駆動ローラ端部凹穴数 6個
従動ローラ端部凸ピン数 6本
従動ローラ端部凹穴数 6個
凸ピン径 2.5mm
凹穴径 2.5mm
ベルト穴径 2.5mm
ピン立ち上り垂直部 500μm
ピンの長さ 1mm
穴の深さ 1mm
ピン垂直部以降 緩和曲線(インボリュート近似)
ピン及び穴配置はローラ両端部に配置し、穴は丸穴であり側壁はインボリュート近似形成。
駆動ローラと従動ローラの軸間加圧力 5〜9kg
ガイドローラローラ軸間の加圧力 1〜4kg
【0021】
上記構成1で実験を行った結果、画像ズレなどの問題は一切検出されなかった。
この構成1において<ピン間隔に対してベルトの穴間隔は一致しなければならず、またピンはローラ外周を均等割した位置に対応し、ベルト穴はベルト全周にわたって均等位置になければならない。これは不均等部分があれば、実施例1についてはローラ外周長は62.8mmで周長の1/12は5.23mmである。ベルトの外周長は188.4mmであるので5.23mmで割り切れ穴配置に関する矛盾は発生しなかった。
また、凸ピン凹穴などはそれぞれ−公差か+公差であれば好都合であり、適度なガタがあることで噛み込みの発生がない。また逆公差であれば当然噛み込みやピンが穴に入らないということもありうる。しかし、これは本発明の本質ではなく、常識的な設計調整項目であり、所謂常識さえはずさなければ特に問題はない。当然ベルト穴にしても然りであり、穴であるので+公差となる。
また、ローラに対して同じ周期の重なりを問題視するのであればローラピン偶数個に対してベルト穴数は奇数個またその逆の形に設定することで周期の一致による問題の発生を防ぐことが可能となる。更にピンの長さや、穴の深さまた直径なども常識の範囲の設計事項である。
【0022】
(実施例2)
構成1において、定着ベルト径及び加圧ベルト径を40mmとした以外は、実施例1と同様にして実験を行ったところ、画像ズレやベルト寄りの問題発生は全くなかった。
(実施例3)
構成1において、凹穴及びベルト穴を長円径(長径3.5mm、短径2.5mm)とした以外は、実施例1と同様にして実験を行ったところ、で寄り方向の公差を小さめ(±0.4mm)にすることができた。
(実施例4)
構成1において、ピン数を増やし12本として分割を細かくした以外は、実施例1と同様にして実験を行ったところ、より細かなジターが観測されなくなった。
【0023】
(比較例)
構成1において、ピン及び穴をそれぞれ両端ではなく片側に設けた以外は、実施例1と同様にして実験を行ったところ、ベルトのシワ発生頻度が高くなり、また穴にかかる応力が大きくなるために亀裂が入りやすくなった。
(比較例2)
構成1において、ピン及び穴を設けなかった以外は、実施例1と同様にして実験を行ったところ、画像がズレベルトも大きな寄りが発生し側板とぶつかりこすれあった。
【符号の説明】
【0024】
1 画像形成装置
2 給紙テーブル
3 スキャナ
4 原稿自動搬送装置(ADF)
5 感光体
6 帯電装置
7 現像装置
8 クリーニング装置
9 1次転写装置
10 画像形成ユニット
11 中間転写体
21 露光装置
22 2次転写装置
24 2次転写ベルト
25 ベルト定着装置
251a 第1ベルト
251a5、251a6、251a7、251a8 穴列
251a4、251a9 穴
251b 第2ベルト
251b4、251b9 穴
252a 駆動ローラ
252a1 第1駆動リング
252a2 ピン
252a3 穴
252b 従動ローラ
252b1 第2駆動リング
252b2 ピン
252b3 穴
253a 第1ガイドローラ
253b 第2ガイドローラ
254a 第1ガイド
254b 第2ガイド
255 ヒータ
256 反射板
258a 前側側板
258b 後側側板
259 ステイ
26 ベルト定着装置駆動部
41 ガイド部
42 給紙ローラ
43 側板
44 給紙トレイ
45 分離部
46 保持部材
47 搬送ローラ
48 搬送ガイド板
49 レジストローラ
50 回転体部材
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
A ニップ部
B 力の方向
C記録紙の搬送方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2006−7693号公報
【特許文献2】特開平4−305675号公報
【特許文献3】特許3128100号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にヒータを具備する無端状の第1ベルトと、該第1ベルトとニップ部を形成する無端状の第2ベルトと、
ニップ部において前記第1ベルトの内側に配置された回転可能な駆動ローラと、
前記第2ベルトの内側に、前記駆動ローラと対向して前記第1ベルトと前記第2ベルトを挟み込んで押圧する回転可能な従動ローラとを配置した定着装置において、
第1ベルト及び第2ベルトの両端部には、それぞれ移動方向に沿って複数の穴が等間隔に、かつ第1ベルトの穴と第2ベルトの穴がニップ部にて重なるように同じ間隔で設けられた穴列が形成され、
駆動ローラ及び従動ローラは、前記ベルトの穴に相当する位置に凸部と凹部が交互に設けられ、駆動ローラが回転したときに、駆動ローラの凸部と従動ローラの凹部とが嵌合し、かつ駆動ローラの凹部と従動ローラの凸部とが嵌合するように配置されている
ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベルト定着装置において、
第1ベルト及び第2ベルトに大きさが異なる二種の穴を交互に設けられ、該第1ベルト及び第2ベルトは径の異なる穴が重なるように配置され、
駆動ローラと第1ベルトが回転駆動され、駆動ローラの凸部が第1ベルト及び第2ベルトの穴に挿入されるとき、駆動ローラに接する第1ベルトの穴が第2ベルトの穴よりも大きくなるように配置された
ことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項2に記載のベルト定着装置において、
第1ベルト及び第2ベルトの両端の穴列の少なくとも一方端の穴列は、円形の穴からなる穴列であり、駆動ローラの凹凸部及び従動ローラの凹凸部が、前記円径の穴と略同径の円形である
ことを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項3に記載のベルト定着装置において、
第1ベルト及び第2ベルトの両端の穴列の少なくとも一方端の穴列は、長円形の穴からなる穴列である
ことを特徴とする定着装置。
【請求項5】
駆動ローラの凹凸部及び従動ローラの凹凸部の先端部が樹脂又は弾性体で形成され、先端部以外は金属で形成されている
ことを特徴とする定着装置。
【請求項6】
潜像を形成する像担持体と、
像担持体表面に均一に帯電を施す帯電装置と、
帯電した像担持体表面に露光し潜像を書き込む露光装置と、
像担持体表面に形成された潜像にトナーを供給し可視像化する現像装置と、
像担持体表面の残留トナーをクリーニングするクリーニング装置と、
像担持体表面の可視像を直接又は中間転写体に転写した後に記録媒体に転写する転写装置と、
記録媒体上のトナー像を定着させる定着装置とを備える画像形成装置において、
前記定着装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載のベルト定着装置である
ことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−217457(P2010−217457A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63711(P2009−63711)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】