説明

宝飾品の展示台及び宝飾品展示用ケース

【課題】 厚身のリング部を有する宝飾品から細身のリング部を有する宝飾品まで同じ強さで良好に固定・展示できる宝飾品の展示台を提供する。
【解決手段】 上面が開口された箱状の展示台本体の内部において、(1)展示台本体の特定の側壁部Aと、これに対向する側壁部Bとの間を進退移動できる可動部材を設け、(2)側壁部Aと可動部材との間には、可動部材を側壁部B方向へ付勢するバネを設け、(3)可動部材における側壁部B側の挟着面と側壁部Bとの間に宝飾品固定用のスリット状の差し込み部を構成した宝飾品の展示台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は宝飾品の展示台及び宝飾品展示用ケースに関する。更に詳しくは本発明は、指輪、宝石付き指輪その他の少なくともリング部を有する宝飾品を、そのリング部を差し込んで保持することにより固定的に展示することができる宝飾品の展示台と、このような展示台を多数収納した宝飾品展示用ケースに関する。
【0002】
これらの展示台は、単独で、又は宝飾品展示用ケースに多数収納した状態で、宝飾品の収納・保管用、宝飾品のセールス時における携帯用、宝飾品店の店頭やデパートの宝飾品売り場等における展示用等として用いることができる。
【背景技術】
【0003】
従来の指輪の展示台においては、一般的に、スポンジ材で裏打ちされた飾り布等を用いて展示台を構成し、このような展示台に指輪のリング部を差し込むためのスリット状差し込み部を設けていた。そして、差し込み部に差し込んだ指輪はスポンジ材等の鋏着力で固定されるようになっていた。
【0004】
【特許文献1】特開2003−230467号公報 上記の特許文献1には、枠体と底板によって形成される筐体の内部に、指輪のリングを差し込んで弾性的に挟持できる宝飾品支持部を多数設けた、宝飾品収納ケースが開示されている。上記の宝飾品支持部は、圧縮性あるいは変形性の材料の間にスリットを設けた差し込み部であり、典型的な従来タイプのリング差し込み部を構成している。
【0005】
【特許文献2】特開2003−310328号公報 上記の特許文献2に開示された指輪類の展示収納具においては、肉厚が1mm位で直径が14〜20mm位の軟質プラスチックス製パイプを0〜3mm位の相互間隔で基板上に多数並列固定させ、これらのパイプの間隙部を差し込み部として、そこに指輪を挿入しパイプの弾力性により保持するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題点)
しかし上記の各種の従来技術においては、差し込み部のスリットが圧縮や変形の可能な材料で構成されているとは言え、スリットの幅自体は固定的で変更することができない。
【0007】
そのため、第1の不具合として、差し込み部の構成部材における圧縮・変形の僅かな許容範囲を超える厚さのリング部を有する宝飾品は、差し込むことが困難であった。又、第2の不具合として、上記の許容範囲の限界に近い厚身のリング部を有する宝飾品に対してはかなり強い固定強度を示し(差し込み、抜き取りを行い難く)、反面、細身のリング部を有する宝飾品に対しては固定強度がかなり弱い(勝手に抜け落ち易い)と言う問題もあった。
【0008】
更に、より実際的な第3の不具合として、比較的厚身のリング部を有する宝飾品を差し込んで展示している間に、スリットが圧縮歪みや変形歪みにより拡張してしまい、その後に比較的細身のリング部を有する宝飾品を差し込むと有効に挟持できない、と言う問題もあった。このような問題が起こると、展示台やこれを収納した展示用ケースは、その後、事実上使用できなくなってしまう。
【0009】
(着眼点)
そこで本発明は、上記の第1及び第2の不具合を解消することを、解決すべき技術的課題とする。本願発明者は、スリットを構成する片側の部材をバネ付きの可動部材とし、可動部材がバネの付勢力を受けつつ宝飾品リング部の厚さに応じて往復移動する、と言う構成により、上記の課題を解決した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、上面が開口された箱状の展示台本体の内部において、
(1)展示台本体の特定の側壁部Aと、これに対向する側壁部Bとの間を進退移動できる可動部材を設け、
(2)側壁部Aと可動部材との間には、可動部材を側壁部B方向へ付勢するバネを設け、
(3)可動部材における側壁部B側の挟着面と側壁部Bとの間に宝飾品固定用のスリット状の差し込み部を構成した、宝飾品の展示台である。
【0011】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る箱状の展示台本体の上面開口部において、側壁部A及び側壁部Bからは一定幅の内向きのフランジ部を形成し、可動部材における前記挟着面と側壁部Bのフランジ部先端との間に前記スリット状の差し込み部を構成すると共に、側壁部Aのフランジ部先端を可動部材に対するストッパーとし、かつ可動部材の挟着面側の底部先端からは側壁部Bに対するストッパーを突出させた、宝飾品の展示台である。
【0012】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る箱状の展示台本体の上面開口部、側壁部Aと側壁部Bのフランジ部及びスリット状の差し込み部の内部を柔軟材料を用いた表面装飾材で被覆した、宝飾品の展示台である。
【0013】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係る箱状の展示台本体を、これよりややサイズが大きく上面が開口された外箱の内部に収納した、宝飾品の展示台である。
【0014】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記第1発明〜第4発明のいずれかに係るバネが圧縮状態のコイルバネであって、このコイルバネを可動部材より側壁部A方向へ突出させた軸棒に嵌合した、宝飾品の展示台である。
【0015】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、前記第5発明に係る軸棒を、側壁部に設けた孔に貫通させて展示台本体の外側まで突出させた、宝飾品の展示台である。この第6発明において、「側壁部」とは少なくとも側壁部Aを含み、展示台本体が第4発明のように外箱の内部に収納されている場合には、外箱における該当する側壁部も含む。
【0016】
(第7発明の構成)
上記課題を解決するための本願第7発明の構成は、単一の展示台を収納するための、カバー蓋を有し又は有しないケース本体内に、第1発明〜第6発明のいずれかに係る宝飾品の展示台を収納した、宝飾品展示用ケースである。
【0017】
(第8発明の構成)
上記課題を解決するための本願第8発明の構成は、カバー蓋を有し、又は有しないケース本体内に、多数の窓枠を有するフレームを設け、これらの窓枠に第1発明〜第6発明のいずれかに係る宝飾品の展示台を嵌め込んだ、宝飾品展示用ケースである。
【発明の効果】
【0018】
(第1発明の効果)
第1発明においては、側壁部AB間を進退移動でき、かつバネにより側壁部B方向へ付勢された可動部材を設け、この可動部材の挟着面と側壁部Bとの間で差し込み部を構成したので、可動部材の移動により、差し込み部構成部材における僅かな圧縮・変形の許容範囲を超えて、スリット状の差し込み部の幅を大きく変えることができる。
【0019】
従って、厚身のリング部を有する宝飾品から細身のリング部を有する宝飾品まで、任意の宝飾品を固定することができる。しかも、厚身のリング部を有する宝飾品でも、細身のリング部を有する宝飾品でも、ほとんど同じ強さで固定することができる。
【0020】
更に、比較的厚身のリング部を有する宝飾品を差し込んで展示している間は、要するに可動部材が差し込み部から後退移動しているだけであるから、その後に比較的細身のリング部を有する宝飾品を差し込むと、再び可動部材が差し込み部方向へ前進移動することにより、その宝飾品に対する固定力に差が出ない。
【0021】
(第2発明の効果)
第2発明のように、側壁部A及び側壁部Bからの内向きのフランジ部と、側壁部Bに対する可動部材のストッパーとを形成することにより、スリット状の差し込み部を展示台本体の中央部寄りに構成し、かつ、可動部材の可動範囲も展示台本体の中央部寄りの部位に限定することができる。その結果、差し込み部及び可動部材に関する構成をコンパクトに構成でき、可動部材の設計の簡易化及び動作の正確化を図ることができる。
【0022】
(第3発明の効果)
第3発明によって展示台本体の上面を良好な外観に整えることができる。又、差し込み部において宝飾品のリング部をソフトに固定することができる。更に、上記の第2発明のように内向きのフランジ部を形成した場合においては、展示台本体の上面開口部が小さくなるため、表面装飾材による被覆部に不体裁な凹みを生じる恐れがない。
【0023】
(第4発明の効果)
外箱を美麗な外観とすることにより、展示台の外観を良好に整えることができる。即ち、展示台本体を外箱の内部に収納する形式とした場合、展示台本体そのものの外観は、その上面部(台座)を除いては余り構う必要がないから、例えば相対向する側壁部A、B以外の側壁部を備えない構成とすることができる。その結果、展示台本体の可動部材やバネ等の取り替え、修理等が容易になる。
【0024】
又、蓋付きの外箱を用いると、展示台本体を単一の独立した宝飾品ケースとして構成することができる。更に、宝飾品展示用ケースの窓枠に合致した形状の外箱内に展示台本体を収納することにより、展示台本体の設計や構成の如何に関わらず、宝飾品展示用ケース内に良好に収納・展示することができる。
【0025】
(第5発明の効果)
可動部材を付勢するバネとして、第5発明のように軸棒に嵌合したコイルバネを用いることにより、バネ機構を極めて簡易に構成することができる。コイルバネは、軸棒に嵌合することにより、外れる恐れがなく、しかも常に正しい方向へ可動部材を付勢することができる。
【0026】
(第6発明の効果)
第6発明の構成により可動部材の移動が軸棒によって障害される恐れがない。又、可動部材を軸棒ごと展示台本体から取り外すことが可能となるので、バネ、可動部材あるいは軸棒の取り替えや修理が簡単にできる。
【0027】
(第7発明の効果)
第7発明の宝飾品展示用ケースにより、宝石付き指輪その他のリング部を有する宝飾品を体裁良く展示し、又は携帯、運搬することができる。この宝飾品展示用ケースは、宝飾品の収納・保管用、宝飾品店の店頭やデパートの宝飾品売り場等における展示用等として便利に用いることができる。
【0028】
(第8発明の効果)
第8発明の宝飾品展示用ケースにより、宝石付き指輪その他の多数又は多種のリング部を有する宝飾品をまとめて展示、携帯、運搬することができる。従って、この宝飾品展示用ケースは、宝飾品の収納・保管用、宝飾品のセールス時における携帯用、宝飾品店の店頭やデパートの宝飾品売り場等における展示用等として便利に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本願の第1発明〜第8発明の実施形態を、その最良の形態を含めて説明する。以下において単に「本発明」と言うときは、内容的に該当する1又は2以上の各発明を指している。
【0030】
〔宝飾品の展示台〕
本発明に係る宝飾品の展示台は、上面が開口された箱状の展示台本体に、後述の可動部材と付勢用のバネとを設け、かつ、差し込み部を構成したものである。展示台本体について「箱状」とは、平面形状や側面形状が方形である必要はなく、相対向する側壁部A及び側壁部Bを備える限りにおいて、上面が開口された任意の立体形状の容器であり得る。しかもその容器の形態は、少なくとも対向する側壁部A及び側壁部Bと、これらの側壁部をつなぐ底壁部を備えていれば良く、必ずしも四周に側壁部を備える必要はない。
【0031】
展示台本体は蓋体(展示台本体とは別体の、又はヒンジ等で連結された蓋体)とセットで構成することもでき、あるいは、展示台本体を外箱の内部に収納したり、後述の宝飾品展示用ケースに収納することもできる。いずれの場合にも展示台本体の上面(台座)は、柔軟材料を用いた表面装飾材で美麗に被覆することが好ましい。展示台本体の側壁部や底壁部は、特に展示台本体を外箱や宝飾品展示用ケースに収納する場合において、美麗に装飾する必要はない。
【0032】
〔可動部材と付勢用のバネ〕
可動部材は、展示台本体の内部において、相対向する側壁部A及び側壁部B間を進退移動できるように設けられる。具体的には、側壁部Aと可動部材との間に、可動部材を側壁部B方向へ付勢するバネを設ける。そのため、可動部材はバネの力で付勢方向へ移動し、又はバネの力に抗して反対方向へ移動できる。
【0033】
上記のバネの種類や付勢機構の構成は限定されない。但し、可動部材と側壁部Aとの間に圧縮状態のコイルバネを介在させると言う構成が、可動部材の機構の簡易性及び機能の確実性等の点で特に好ましい。その場合、コイルバネは可動部材より側壁部A方向へ突出させた軸棒に嵌合させることが特に好ましい。このような軸棒は、可動部材の可動範囲を大きく確保するため、側壁部に設けた孔に貫通させることが、とりわけ好ましい。
【0034】
可動部材の形状は特に限定されないが、可動部材と側壁部Bとの間で差し込み部が構成されるので、可動部材の前面である挟着面(側壁部B側の面)は平坦であることが好ましい。挟着面は、結果的に差し込まれる宝飾品の固定角度を決定するので、実施例に示すように、この挟着面を意図的にある程度の傾斜面としても良い。この場合、展示台の宝飾品を斜め上方の角度より観察するケースの多い顧客に対して、宝飾品が好ましい角度で固定される。
【0035】
〔差し込み部〕
差し込み部は可動部材の挟着面と側壁部Bとの間に構成されるが、より好ましくは、「第2発明の効果」欄で前記した理由から、側壁部Bより一定幅の内向きのフランジ部を形成し、このフランジ部先端と挟着面との間に差し込み部が構成される。なお、側壁部Aからも内向きのフランジ部を形成し、このフランジ部の先端を可動部材に対するストッパーとすること、及び/又は、可動部材の挟着面側の底部先端からは側壁部Bに対するストッパーを突出させることも好ましい。これらのストッパー機能により、可動部材の過剰な移動が制約される。
【0036】
可動部材の挟着面と側壁部B側とで、そのまま差し込み部を構成することも可能である。しかし、外観上の問題、差し込まれる宝飾品に対する緩衝効果等の理由から、差し込み部の内部を柔軟材料を用いた表面装飾材で被覆することが好ましい。
【0037】
従って、前記の展示台本体の上面の被覆と併せ、展示台本体の上面開口部、側壁部Aと側壁部B(及びそれらのフランジ部)及び差し込み部の内部を、柔軟材料を用いた1枚の表面装飾材で被覆することが、最も好ましい。この場合、表面装飾材は、差し込み部において展示台本体の内部側へ深く折り込まれる。表面装飾材としては、例えば、軟質発泡樹脂のスポンジからなるシート材で裏打ちされた飾り布を好ましく例示することができる。
【0038】
〔宝飾品展示用ケース〕
単品展示用の宝飾品展示用ケースは、第7発明のように、カバー蓋を有し又は有しないケース本体内に前記した宝飾品の展示台を収納したものである。
【0039】
前記第8発明に係る宝飾品展示用ケースのケース本体は、カバー蓋を有し、又は有しない。ケース本体内には、多数の窓枠を有するフレームを設ける。これらの窓枠は、上記した展示台本体、あるいは展示台本体を内部に収納した外箱を嵌合できるように構成されている。各窓枠は有底の箱状に形成しても良く、単に碁盤目状に枠体が形成された平板状のものであっても良い。
【実施例】
【0040】
次に本発明の実施例を説明する。本発明の技術的範囲が以下の実施例によって限定されないことは、もち論である。
【0041】
(実施例1:宝飾品の展示台の構成)
本実施例に係る宝飾品の展示台1は、図1及びその中央縦断面図である図2に示すように、上面が開口された四角形の箱状を呈する外箱2の内部に、これよりやや小さなサイズで、上面が開口された相似形四角形の箱状を呈する展示台本体3を収納したものである。
【0042】
外箱2の外周面は体裁良く表面修飾され、その側壁部の頂部には蓋体等を被せる場合に備えた段部4が形成されている。又、外箱2の特定の側壁部には、後述する軸棒5を貫通させるための孔6を設けている。「箱状」と上記した展示台本体3は、少なくとも相対向する側壁部A及び側壁部Bと、これらの側壁部をつなぐ底壁部Cとを備えれば良く、側壁部A/Bと交差する方向の側壁部は有っても良いし、無くても良い。
【0043】
展示台本体3の内部には、側壁部Aと側壁部Bとの間に、図2に示す断面形状を有する可動部材7を設けている。可動部材7は、展示台本体3の底壁部C上を滑動するもので、この可動部材7と前記の側壁部Aとの間には圧縮状態のコイルバネ8を介在させている。従って、可動部材7は、コイルバネ8により、常に側壁部B方向へ付勢されている。
【0044】
上記のコイルバネ8は、可動部材7より側壁部A方向へ突出させた前記軸棒5に嵌合されているため、コイルバネ8の全体形状の湾曲等による付勢機能の障害が防止される。又、この軸棒5は、側壁部Aに設けた孔9及び外箱2の前記孔6に貫通しているので、可動部材7の移動を拘束しない。
【0045】
可動部材7における側壁部B側の側面にはやや傾斜した挟着面10が形成され、又、可動部材7の挟着面10側の底部先端からは、側壁部Bに対するストッパー11を突出させている。一方、前記側壁部Aの頂部及び側壁部Bの頂部からは、それぞれ一定幅の内向きのフランジ部12、13を形成している。
【0046】
これらのフランジ部12、13は可動部材7の頂部と同じ高さに設定されているので、側壁部Aのフランジ部12は可動部材7の後退移動(側壁部Bから離れる方向への移動)に対するストッパーとして機能する。一方、可動部材7の前進移動に対しては、可動部材7に設けた前記ストッパー11が機能する。
【0047】
そして図2に示すように、ストッパー11が側壁部Bに当接した時でも、フランジ部13の先端と挟着面10との間には一定幅の間隙部が残り、この間隙部が宝飾品の差し込み部14として利用される。実際には、宝飾品に対する緩衝作用や外観上の考慮等から、差し込み部14の内側部分を含め、側壁部Aのフランジ部12から、展示台本体3の上面開口部、側壁部Bのフランジ部13までに至る全体を表面装飾材15で被覆している。この表面装飾材15は、柔軟な発泡樹脂からなるシート状のスポンジ材によって裏打ちされた飾り布である。結果的に、上記の差し込み部14は、図2に示すように表面装飾材15を展示台本体3の内部側へ深く折り込んだスリット状の溝として構成される。
【0048】
(実施例2:宝飾品の展示台の使用状態)
上記のように構成された宝飾品の展示台1の使用状態を、図3〜図5に基づいて説明する。図3には、リング部16を有する宝飾品17を宝飾品の展示台1の差し込み部14に差し込んで固定した状態を示す。又、この内、リング部16が比較的に細身である場合の図3の中央縦断面図を図4に示し、リング部16が比較的に太身である場合の図3の中央縦断面図を図5に示す。図4、図5のいずれの場合にも、前記したように、可動部材7の挟着面10の傾斜に従った角度で宝飾品17が固定される。
【0049】
図4の場合、宝飾品17のリング部16が比較的に細身であるため、可動部材7は前記図2の状態に比較して少しだけ後退移動した位置にある。図5の場合、宝飾品17のリング部16が比較的に太身であるため、可動部材7は前記図2の状態に比較してやや大きく後退移動した位置にある。図4の場合と図5の場合の差異はそれだけである。
【0050】
そしていずれの場合にも、宝飾品17のリング部16は、差し込み部14に差し込んだ状態において、コイルバネ8の付勢力により、表面装飾材15を介してソフトに挟着され、固定される。
【0051】
(実施例3:宝飾品展示用ケース)
図6に示す宝飾品展示用ケース18は、ケース本体19と、ケース本体19にたいして図示省略のヒンジで連結された蓋体であるカバー20からなる。ケース本体19とカバー20とはロック状態で閉じることが可能であり、かつ、通常の携帯用ボックスケースの如き把手部を備えている。
【0052】
ケース本体19には多数の窓枠21を有するフレーム22が組み込まれ、これらの多数の窓枠21には上記の宝飾品の展示台1がそれぞれ嵌め込まれている。そして、一部の展示台1について例示するように、展示台1の差し込み部14には上記の宝飾品17が上記した態様で固定される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明により、厚身のリング部を有する宝飾品から細身のリング部を有する宝飾品まで、同じ強さで良好に固定・展示できる宝飾品の展示台と、これらの展示台を多数収納した宝飾品展示用ケースが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例に係る宝飾品の展示台の斜視図である。
【0055】
【図2】図1の断面図である。
【0056】
【図3】宝飾品の展示台の使用状態を示す斜視図である。
【0057】
【図4】細身のリング部を有する宝飾品に対する使用状態を示す断面図である。
【0058】
【図5】太身のリング部を有する宝飾品に対する使用状態を示す断面図である。
【0059】
【図6】実施例に係る宝飾品展示用ケースの斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 宝飾品の展示台
2 外箱
3 展示台本体
5 軸棒
7 可動部材
8 コイルバネ
A,B 側壁部
10 挟着面
12,13 フランジ部
14 差し込み部
15 表面装飾材
16 リング部
17 宝飾品
18 宝飾品展示用ケース
21 窓枠
22 フレーム







【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口された箱状の展示台本体の内部において、
(1)展示台本体の特定の側壁部Aと、これに対向する側壁部Bとの間を進退移動できる可動部材を設け、
(2)側壁部Aと可動部材との間には、可動部材を側壁部B方向へ付勢するバネを設け、
(3)可動部材における側壁部B側の挟着面と側壁部Bとの間に宝飾品固定用のスリット状の差し込み部を構成した、ことを特徴とする宝飾品の展示台。
【請求項2】
前記箱状の展示台本体の上面開口部において、側壁部A及び側壁部Bからは一定幅の内向きのフランジ部を形成し、可動部材における前記挟着面と側壁部Bのフランジ部先端との間に前記スリット状の差し込み部を構成すると共に、側壁部Aのフランジ部先端を可動部材に対するストッパーとしたことを特徴とする請求項1に記載の宝飾品の展示台。
【請求項3】
前記箱状の展示台本体の上面開口部、側壁部Aと側壁部Bのフランジ部及びスリット状の差し込み部の内部を、柔軟材料を用いた表面装飾材で被覆したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の宝飾品の展示台。
【請求項4】
前記箱状の展示台本体を、これよりややサイズが大きく上面が開口された外箱の内部に収納したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の宝飾品の展示台。
【請求項5】
前記バネが圧縮状態のコイルバネであって、このコイルバネを可動部材より側壁部A方向へ突出させた軸棒に嵌合したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の宝飾品の展示台。
【請求項6】
前記軸棒を、側壁部に設けた孔に貫通させて展示台本体の外側まで突出させたことを特徴とする請求項5に記載の宝飾品の展示台。
【請求項7】
単一の展示台を収納するための、カバー蓋を有し又は有しないケース本体内に、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の宝飾品の展示台を収納したことを特徴とする宝飾品展示用ケース。
【請求項8】
カバー蓋を有し、又は有しないケース本体内に、多数の窓枠を有するフレームを設け、これらの窓枠に請求項1〜請求項6のいずれかに記載の宝飾品の展示台を嵌め込んだことを特徴とする宝飾品展示用ケース。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−6441(P2006−6441A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184641(P2004−184641)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(503053538)有限会社宝石のエンジェル (9)
【Fターム(参考)】