説明

実装機の部品姿勢判定方法

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
この発明は、微小電子部品などの実装機における部品の保持姿勢を判定する方法に関する。
[発明の概要]
この発明は、実装機の部品姿勢判定方法において、 供給側で部品を保持して回路基板側へ搬送する所定動作を行う実装機の部品保持部の所定部分の通過を第1センサで検出させ、次に部品保持部の部品の通過を第2センサで検出させ、前記両センサからの検出信号に基づき前記所定部分から部品の通過終端までの距離を表す量を求め、その量から部品の保持姿勢を判定することにより、 部品移動中に部品姿勢の判定を可能となして実効効率を向上し、しかも高精度な判定を可能にしたものである。
[従来の技術]
従来、この種の実装機の部品姿勢判定方法としては、第9図及び第10図に示すような特開昭57−97695号公報に記載された装置に適用されたものがある。この装置の要部は、吸着ノズル1と、保持レバー2,3と、保持レバー3側に設けられた近接スイッチ4と、保持レバー2側に設けられた金属片5とから大略構成されており、前記両保持レバー2,3によって部品6を挾持した状態で近接スイッチ4が金属片5の変位を検出することにより、保持レバー2の変位を検出して、部品が保持されたか否かを判定するようになっている。
[発明が解決しようとする問題点]
しかしながら、このような従来例にあっては、部品6の保持状態を検出するための保持レバー2,3による挾持動作を要するため、部品6を供給側から回路基板側に移動させるまでに時間を要し、実装効率を低下させる問題点を有している。
また、近年、部品の小型化が進み、機械的な検出方法では高精度な判定が行えず、ともすると誤検出を起こす問題点を有している。
さらに、吸着ノズル1に吸着された部品の姿勢は正常な姿勢とは限らず、このような状態で回路基板側に部品が装着されると、回路全体が不良となる問題点を有していた。
次いで、吸着ノズルの構造については、空きステージを用い易い多ヘッドタイプに代え、維持管理の容易さでメリットを有する少ヘッドタイプを採用した場合、時間及び空間の制約が厳しくなる問題点を有していた。
この発明は、このような従来の問題点に鑑み創案されたもので、部品移動中において容易且つ確実に行える実装機の保持姿勢判定方法を得んとするものである。
[問題点を解決するための手段]
そこで、この発明は、供給側で部品を保持して回路基板側へ搬送する所定動作を行なう実装機の部品保持部の所定部分の通過を発光部と受光部とから成る第1センサで検出させ、次に部品保持部の部品の通過を発光部と受光部とから成る第2センサで検出させ、これら両センサの発光方向の向きを互いに逆向きして前記各通過をそれぞれ検出して、当該両センサからの検出信号に基づき前記所定部分からの通過終端までの距離を表す量を求め、その量から部品の保持姿勢を判定することを、その構成としている。
[作用]
第1センサは、供給側から回路基板側へ向けて移動する実装機の部品保持部の所定部分の通過を検出し検出信号を出力する。第2センサは、前記部品保持部に保持された部品の通過を検出し検出信号を出力する。そして、このように出力された検出信号を比較することにより、前記所定部分から部品の通過終端までの距離を表す量が求められ、この量から部品の保持姿勢を判定することが可能となる。
[実施例]
以下、この発明に係る実装機の部品姿勢判定方法の詳細を図面に示す実施例に基づいて説明する。
図中、11は実装機のヘッド部であって、吸着ノズル12が先端に有り、この吸着ノズル12が、部品供給側であるテープ13に配されたチップなどの電子部品14を吸着,保持し、図示しない回路基板ヘ搬送させる。また、前記ヘッド部11には、吸着ノズル12の先端より所定距離を隔てた位置に側方に向けて突出する被検出ピン15を設けてある。このように構成されたヘッド部11は、一定の軌道を描いてテープ13と実装が予定される回路基板との間を往復動作する。
ところで、電子部品14は、上述の如く、近年小型化する傾向にあり、第2図に示すように、吸着ノズル12に上面14aが吸着されるのが正常な姿勢状態であるが、例えば、第3図に示すように側面14bが吸着されたり、第4図R>図に示すように前端面(あるいは後端面)14cが吸着されて異常な姿勢状態となる場合がある。
そこで、本実施例においては、前記ヘッド部11がテープ13から回路基板に移動する軌道を、発光部16aと受光部16bとで挾むように対峙させた第1センサ16、及び発光部17aと受光部17bとで挾むように対峙させた第2センサ17が配されている。これら第1,2センサ16,17は、赤色LEDを発光源とする透過型ファイバーセンサであって、第1センサ16は、ヘッド部11における被検出ピン15の通過を検出しており、第2センサ17は、吸着ヘッド部11に保持される電子部品14の通過を検出している。なお、両センサ16,17においては、発光部16a,17a及び受光部16b,17bに図示しないコリメータレンズを備えていて、ビームを平行光に近づけると同時に検出距離を延ばしている。さらに、そのビーム径も電子部品14に対して十分小さくし、また、センサの感度変化の影響を減らすため、受光部16b,17bにスリット18を入れている。さらに、両センサ16,17の発光方向の向きは互いに光の干渉を防ぐため、逆向きに設定してある。
かかる構成において、先ず、ヘッド部11が電子部品14を吸着して上昇する際に、第1センサ16は、被検出ピン15が光軸を遮ること(第5図から第7図の状態への移動)により、そのピン幅に相当する時間幅のパルス信号19(第8図(a)に示す)を出力する。
次に、第2センサ17には、前記パルス信号19の立上りに近いタイミングで、それまでヘッド部11及び電子部品14で遮られていた光軸が電子部品14の厚み分時間の遅れとなって通り(第6図から第7図の状態)、これにより通過信号20A(第8図(b)に示す)が第2センサ17から出力される。この通過信号20Aは、第2図に示すような正常の吸着姿勢の場合に出力されるものであって、第3図3図に示すような吸着姿勢の場合にあっては第8図(c)に示すような通過信号20Bが、第4図に示すような吸着姿勢の場合にあっては第8図(d)に示すような通過信号20Cが出力される。
次に、先の被検出ピン15が第1センサ16を通過した時のパルス信号19の立上がり又は立下がりを基準として、各々の通過信号20A,20B,20Cの信号変化までの時間量を読み取る。即ち、この時間量は、ヘッド部11の所定部分(被検出ピン15)から電子部品14の通過終端までの距離を表す量であり、言い代えれば、ヘッド部11の移動方向の電子部品14の厚みの大小となって表われる。
なお、前記時間量は、ヘッド部11の上昇動作の速度変化により異なるため、速度変化により異なるため、速度変化分の補正として、測定の際、同時に先の被検出ピン15の第1センサ16を通過することによるパルス時間幅も読み取り、その時間幅で割った各値を比較してもよい。
以上、実施例について説明したが、この他に各種の設計変更が可能であり、例えば、上記実施例にあっては、第1センサ16が被検出ピン15に遮られ始めた時に第2センサ17が吸着ノズル12先端を検出するように設定したが、第1センサ16と第2センサ17の位置関係はこれに限るものではない。
また、上記実施例にあっては、被検出ピン15をヘッド部11に形成したが、他の被検出物を設けても勿論よい。
[発明の効果]
以上の説明から明らかなように、この発明に係る実装機の部品姿勢判定方法にあっては、部品移動中に部品姿勢の判定を行えるため、特定の動作及び空間を必要とせず、従来にない高速度な実装を可能にする効果がある。
また、発光部と受光部とから成る第1,第2のセンサを用い、且つ、これら両センサの発光方向の向きを互いに逆向きして実装機の部品保持部の所定部分の通過と部品保持部の部品の通過をそれぞれ検出するようにしたため、小型化された部品であっても互いの光の干渉を防いで部品移動中に部品姿勢の判定を精度良く行うことができる効果がある。
さらに、別途メカニカルな構造を必要としないため、低コスト化を期する効果がある。
さらにまた、ファイバーセンサとコリメータレンズを組み合わせた構成とすれば、検出距離を長く確保出来、また、受光側にスリットを設けた構成とすれば、高精度な検出、判定を可能にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明に係る実装機の部品姿勢判定方法の実施例を示す斜視図、第2図から第4図は部品姿勢を示す斜視図、第5図から第7図は検出状態を示す正面図、第8図は検出状態を示すタイムチャート、第9図及び第10図は従来例を示す斜視図である。
12……吸着ノズル、14……電子部品、15……被検出ピン、16……第1センサ、16a……発光部、16b……受光部、17……第2センサ、17a……発光部、17b……受光部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】供給側で部品を保持して回路基板側へ搬送する所定動作を行う実装機の部品保持部の所定部分の通過を発光部と受光部とから成る第1センサで検出させ、次に部品保持部の部品の通過を発光部と受光部とから成る第2センサで検出させ、これら両センサの発光方向の向きを互いに逆向きして前記各通過をそれぞれ検出して、当該両センサからの検出信号に基づき前記所定部分から部品の通過終端までの距離を表す量を求め、その量から部品の保持姿勢を判定することを特徴とする実装機の部品姿勢判定方法。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第5図】
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【第6図】
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【第7図】
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【第8図】
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【第9図】
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【第10図】
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【特許番号】第2540879号
【登録日】平成8年(1996)7月25日
【発行日】平成8年(1996)10月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭62−232976
【出願日】昭和62年(1987)9月17日
【公開番号】特開平1−74800
【公開日】平成1年(1989)3月20日
【出願人】(999999999)ソニー株式会社
【参考文献】
【文献】特開昭61−289692(JP,A)