説明

室内機

【課題】輻射パネルがケーシングの本体部に対して変動したときや室外機の落下時に輻射パネルの固定部分に発生する応力を低減して、固定部分の破損を抑制する。
【解決手段】室内機は、室内熱交換器20を収容するための空間を有するケーシングを備えている。ケーシングは、本体部11と、本体部11と共に空間を形成する輻射パネル30とを含んでいる。輻射パネル30は、冷媒回路の一部を構成する配管を有するものであって、輻射パネル30に固定された第1固定部材36L及び本体部11に固定された第2固定部材14Lを介して本体部11に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射パネルを備えた室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内機として、室内熱交換器と輻射パネルとを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。室内熱交換器は、ケーシング内に収容されており、室内ファンによって吸い込まれた室内空気との間で熱交換される。輻射パネルは、ケーシングの表面に配置されるパネル本体と、パネル本体の背面に配置される配管とを有する。配管に供給される冷媒の熱が、パネル本体を介して室内に輻射されることで輻射暖房が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64−58965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ケーシングの背面は、1つの部材で構成されており、この部材に、ケーシング内に収容される部材が支持されている。輻射パネルは、室内熱交換器等の他の部材を介して、ケーシングの背面部に固定されていることが多い。
しかしながら、この場合、運搬時に室内機が振動すると、輻射パネルは、ケーシングの背面部に対して変動する場合がある。その結果、輻射パネルと他の部材とを固定するネジが緩んだり、固定部分が破損したりする問題が生じる。また、荷降ろし時に室外機を落下させると、固定部分がせん断破壊する場合がある。
さらに、輻射パネルが、アルミニウム等のあまり強度の高くない材料で形成された固定部分において、他の部材に固定されている場合、振動時や落下時に固定部分が破損しやすい。また、輻射パネルの固定部分または相手側の固定部分が、樹脂材料で構成されている場合も、振動時や落下時に固定部分が破損しやすいという問題が起こる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、輻射パネルがケーシングの本体部に対して変動したときや室外機の落下時に輻射パネルの固定部分に発生する応力を低減して、固定部分の破損を抑制できる室内機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る室内機は、室内熱交換器を収容するための空間を有するケーシングを備え、前記ケーシングが、本体部と、前記本体部と共に前記空間を形成する輻射パネルとを含んでおり、前記輻射パネルが、冷媒回路の一部を構成する配管を有しており、前記輻射パネルは、前記輻射パネルに固定された第1固定部材及び前記本体部に固定された第2固定部材を介して前記本体部に固定されることを特徴とする。
【0007】
この室内機では、輻射パネルはケーシングの本体部に固定されるため、輻射パネルが室内熱交換器等の他の部材を介してケーシングの本体部に固定される場合に比べて、たとえ運搬時に室内機が振動しても、輻射パネルが本体部に対して変動するのを抑制できる。また、たとえ荷降ろし時に室内機を落下させても、輻射パネルと本体部との固定部分の破損を抑制できる。
また、輻射パネルは、第1固定部材と第2固定部材とを介してケーシングの本体部に固定されるため、たとえ輻射パネルが本体部に対して変動しても、第1固定部材と第2固定部材との固定部分に力が作用することで、輻射パネルと本体部とを直接固定した場合に比べて輻射パネルの固定部分と本体部の固定部分にかかる力を低減できるため、輻射パネルと本体部の固定部分の破損を抑制することができる。
【0008】
第2の発明に係る室内機は、第1の発明において、前記第2固定部材が、平面部と、前記平面部の外側に嵌合溝を形成する溝形成部とを有しており、前記第2固定部材は、前記平面部が前記本体部の側壁の内周面に対向すると共に、前記嵌合溝に前記本体部の側壁の端部が嵌合された状態で前記本体部に固定されることを特徴とする。
【0009】
この室内機では、本体部の側壁の端部が第2固定部材の嵌合溝に嵌合されるため、第2固定部材が本体部に対して位置ずれしにくい。そのため、ケーシングの本体部と第2固定部材との固定が緩むのを防止できる。つまり、ケーシングの本体部と第2固定部材とを強固に固定できる。その結果、輻射パネルが本体部に対して変動するのを抑制できる。
また、嵌合溝は、本体部の側壁の端部が嵌合するためにU字状に形成されるため、第2固定部材は、U字状に形成された部分を有する。したがって、第2固定部材がL字状または平坦状に形成されている場合に比べて、第2固定部材の強度が高くなり変形を抑制できる。
なお、「平面部の外側」における「外側」とは、室内機の中心側と反対側のことである。
【0010】
第3の発明に係る室内機は、第2の発明において、前記第2固定部材は、前記溝形成部のうち前記側壁の端面に対向する部分において、前記本体部に固定されることを特徴とする。
【0011】
この室内機では、第2固定部材は、ケーシングの本体部の側壁の端面に固定されるため、側壁の端部における内周面または外周面に固定される場合に比べて、第2固定部材を本体部に固定しやすい。
【0012】
第4の発明に係る室内機は、第2または第3の発明において、前記第2固定部材は、前記平面部の前記溝形成部と反対側の端部において前記平面部の内側に突出する後固定部を有し、前記後固定部において前記本体部に固定されることを特徴とする。
【0013】
この室内機では、第2固定部材は、平面部の前後両側の部分において、ケーシングの本体部の後壁に固定されるため、側壁の内周面または外周面に固定される場合に比べて、第2固定部材を本体部に固定しやすい。
【0014】
第5の発明に係る室内機は、第1〜4の発明において、前記第1固定部材は、前記輻射パネルが前記本体部に固定された状態において、前記第2固定部材に設けられた受け部の上方に配置された突起部を有していることを特徴とする。
【0015】
この室内機では、輻射パネルに固定された第1固定部材の突起部が、本体部に固定された第2固定部の受け部の上方に配置されるため、第1固定部材と第2固定部材との固定を解除しても、第1固定部材の突起部が第2固定部材の受け部に引っ掛かるので、輻射パネルが第1固定部材と共に落下するのを防止できる。また、解除作業時に、輻射パネルを手で支えなくてもよいため、解除作業を容易に行うことができる。
また、輻射パネルを本体部に固定する際に、突起部を受け部に引っ掛けておくことで、固定作業を容易に行うことができる。
【0016】
第6の発明に係る室内機は、第5の発明において、前記突起部が、その先端において下向きに突出する突出部を有していることを特徴とする。
【0017】
この室内機では、第1固定部材の突起部は、その先端に下向きに突出する突出部を有しているため、より確実に突起部を受け部に引っ掛けることができる。
【0018】
第7の発明に係る室内機は、第1〜第6のいずれかの発明において、正面視において、前記第1固定部材が前記輻射パネルの外側に配置された固定部を有しており、前記第1固定部材が、前記固定部において前記第2固定部材に固定されることを特徴とする。
【0019】
この室内機では、第1固定部材の固定部は、輻射パネルの正面視外側に位置するため、第1固定部材の固定部を第2固定部材に固定する際に、輻射パネルが邪魔になることがなく、固定作業を容易に行うことができる。
【0020】
第8の発明に係る室内機は、第1〜第7のいずれかの発明において、前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、前記輻射パネルにおける前記第1固定部分が固定される部分及び前記本体部よりも曲げ強度の高い材料で形成されていることを特徴とする。

【0021】
この室内機では、第1固定部材および第2固定部材は、輻射パネル及び本体部における両固定部材が固定される部分よりも高強度であるため、強固に固定できると共に、固定部分で破損が生じにくい。
【発明の効果】
【0022】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0023】
第1の発明では、輻射パネルはケーシングの本体部に固定されるため、輻射パネルが室内熱交換器等の他の部材を介してケーシングの本体部に固定される場合に比べて、たとえ運搬時に室内機が振動しても、輻射パネルが本体部に対して変動するのを抑制できる。また、たとえ荷降ろし時に室内機を落下させても、輻射パネルと本体部との固定部分の破損を抑制できる。
また、輻射パネルは、第1固定部材と第2固定部材とを介してケーシングの本体部に固定されるため、たとえ輻射パネルが本体部に対して変動しても、第1固定部材と第2固定部材との固定部分に力が作用することで、輻射パネルと本体部とを直接固定した場合に比べて輻射パネルの固定部分と本体部の固定部分にかかる力を低減できるため、輻射パネルと本体部の固定部分の破損を抑制することができる。
【0024】
第2の発明では、本体部の側壁の端部が第2固定部材の嵌合溝に嵌合されるため、第2固定部材が本体部に対して位置ずれしにくい。そのため、ケーシングの本体部と第2固定部材との固定が緩むのを防止できる。つまり、ケーシングの本体部と第2固定部材とを強固に固定できる。その結果、輻射パネルが本体部に対して変動するのを抑制できる。
また、嵌合溝は、本体部の側壁の端部が嵌合するためにU字状に形成されるため、第2固定部材は、U字状に形成された部分を有する。したがって、第2固定部材がL字状または平坦状に形成されている場合に比べて、第2固定部材の強度が高くなり変形を抑制できる。
【0025】
第3の発明では、第2固定部材は、ケーシングの本体部の側壁の端面に固定されるため、側壁の端部における内周面または外周面に固定される場合に比べて、第2固定部材を本体部に固定しやすい。
【0026】
第4の発明では、第2固定部材は、平面部の前後両側の部分において、ケーシングの本体部の後壁に固定されるため、側壁の内周面または外周面に固定される場合に比べて、第2固定部材を本体部に固定しやすい。
【0027】
第5の発明では、輻射パネルに固定された第1固定部材の突起部が、本体部に固定された第2固定部の受け部の上方に配置されるため、第1固定部材と第2固定部材との固定を解除しても、第1固定部材の突起部が第2固定部材の受け部に引っ掛かるので、輻射パネルが第1固定部材と共に落下するのを防止できる。また、解除作業時に、輻射パネルを手で支えなくてもよいため、解除作業を容易に行うことができる。
また、輻射パネルを本体部に固定する際に、突起部を受け部に引っ掛けておくことで、固定作業を容易に行うことができる。
【0028】
第6の発明では、第1固定部材の突起部は、その先端に下向きに突出する突出部を有しているため、より確実に突起部を受け部に引っ掛けることができる。
【0029】
第7の発明では、第1固定部材の固定部は、輻射パネルの正面視外側に位置するため、第1固定部材の固定部を第2固定部材に固定する際に、輻射パネルが邪魔になることがなく、固定作業を容易に行うことができる。
【0030】
第8の発明では、第1固定部材および第2固定部材は、輻射パネル及び本体部における両固定部材が固定される部分よりも高強度であるため、強固に固定できると共に、固定部分で破損が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る室内機を備えた空気調和機の回路図である。
【図2】本発明の実施形態に係る室内機の斜視図である。
【図3】図2のA-A線に沿う断面図である。
【図4】図2に示す室内機の部分分解斜視図である。
【図5】図2に示す室内機の部分分解斜視図である。
【図6】(a)は輻射パネルの背面図であり、(b)は(a)の上視図である。
【図7】(a)は輻射パネルのパネル本体の背面図であり、(b)は(a)の上視図であり、(c)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図8】(a)は第1固定部材の側面図であり、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図であり、(c)は(b)の矢印D方向から視た図であり、(d)は(b)の矢印E方向から視た図である。
【図9】本体フレームと第2固定部材の分解斜視図である。
【図10】本体フレームと第2固定部材の分解斜視図である。
【図11】第2固定部材が固定された状態の本体フレームの部分拡大斜視図である。
【図12】第1固定部材と第2固定部材との固定部分を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態に係る床置き室内機1(以下、単に「室内機1」と称する)について説明する。図1に示すように、本実施形態の室内機1は、室外機8と共に空気調和機100を構成する。
【0033】
<空気調和機100の概略構成>
まず、空気調和機100の概略構成について説明する。
室内機1は、室内熱交換器20と、室内熱交換器20の近傍に配置された室内ファン21と、輻射パネル30と、室内電動弁22とを備えている。室外機8は、圧縮機81と、四路切換弁82と、室外熱交換器83と、室外熱交換器83の近傍に配置された室外ファン84と、室外電動弁85とを備えている。
【0034】
また、空気調和機100は、室内機1と室外機8とを接続する冷媒回路3を備えている。冷媒回路3は、室内熱交換器20、圧縮機81、室外熱交換器83、および室外電動弁85が順に設けられた環状の主流路4を有する。主流路4には、四路切換弁82が設けられており、四路切換弁82を切り換えることにより、圧縮機81の吐出側と吸入側のいずれかが室外熱交換器83が接続される。また、主流路4における室内熱交換器20の両側の配管は、バイパス配管5によって接続されており、このバイパス配管5には、輻射パネル30と室内電動弁22が設けられている。また、主流路4における圧縮機81の吸入側と四路切換弁82との間には、アキュムレータ86が介設されている。
【0035】
室内熱交換器20は、冷媒回路3の一部を構成する配管を有しており、室内ファン21の風上側に配置されている。室内熱交換器20との熱交換により加熱または冷却された空気が、室内ファン21によって温風または冷風として室内に吹き出されることで、温風暖房または冷房が行われる。
【0036】
輻射パネル30は、室内機1の表面に配置されており、その背面側には、冷媒回路3の一部を構成する配管(後述するパネル配管32)が設けられている。したがって、室内機1では、この配管を流れる冷媒の熱が、室内に輻射されることで輻射暖房が行われる。室内電動弁22は、輻射パネル30に供給される冷媒の流量を調整するために設けられている。
【0037】
空気調和機100は、冷房運転、温風暖房運転、輻射暖房運転、および輻射微風暖房運転を行うことができる。冷房運転は、輻射パネル30に冷媒を流さないで室内熱交換器20に冷媒を流して冷房を行う運転であって、温風暖房運転は、輻射パネル30に冷媒を流さないで室内熱交換器20に冷媒を流して温風暖房を行う運転である。輻射暖房運転は、室内熱交換器20に冷媒を流して温風暖房を行うと共に、輻射パネル30に冷媒を流して輻射暖房を行う運転である。輻射微風暖房運転は、温風暖房運転時および輻射暖房運転時よりも低風量で且つ一定の風量の温風暖房を行うと共に、輻射パネル30に冷媒を流して輻射暖房を行う運転である。
【0038】
各運転時における冷媒回路3の冷媒の流れについて図1を用いて説明する。
冷房運転時には、室内電動弁22が閉弁されると共に、四路切換弁82が図1(a)中破線で示す状態に切り換えられる。そのため、図1(a)中破線の矢印で示すように、圧縮機81から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁82を通って、室外熱交換器83に流入する。そして、室外熱交換器83において凝縮した冷媒は、室外電動弁85で減圧された後、室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器20において蒸発した冷媒は、四路切換弁82およびアキュムレータ86を介して、圧縮機81に流入する。
【0039】
温風暖房運転時には、室内電動弁22が閉弁されると共に、四路切換弁82が図1(a)中実線で示す状態に切り換えられる。そのため、図1(a)中実線の矢印で示すように、圧縮機81から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁82を通って、室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器20において凝縮した冷媒は、室外電動弁85で減圧された後、室外熱交換器83に流入する。そして、室外熱交換器83において蒸発した冷媒は、四路切換弁82およびアキュムレータ86を介して、圧縮機81に流入する。
【0040】
輻射暖房運転時および輻射微風暖房運転時には、室内電動弁22が開弁されると共に、四路切換弁82が図1(b)中実線で示す状態に切り換えられる。そのため、図1(b)中実線の矢印で示すように、圧縮機81から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁82を通って、室内熱交換器20と輻射パネル30に流入する。そして、室内熱交換器20と輻射パネル30において凝縮した冷媒は、室外電動弁85で減圧された後、室外熱交換器83に流入する。そして、室外熱交換器83において蒸発した冷媒は、四路切換弁82およびアキュムレータ86を介して、圧縮機81に流入する。
【0041】
<室内機1の構成>
次に、室内機1の構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態の室内機1は、直方体形状を有しており、室内の床面から浮かした状態で壁面に据え付けられる。本実施形態においては、室内機1の床面からの高さH(図2参照)は10cm程度である。なお、以下の説明において、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。また、図2に示す左右方向および上下方向を単に「左右方向」、「上下方向」と称する。
【0042】
図3に示すように、室内機1は、ケーシング10と、ケーシング10内に収容された室内ファン21および室内熱交換器20などの内部機器と、前面グリル23とを主に備えている。ケーシング10の前面の一部は、輻射パネル30で構成されている。この室内機1においては、室内ファン21の駆動により、ケーシング10の下壁に形成された主吸込口10aから床面近傍にある空気を吸い込みつつ、ケーシング10の前壁に形成された補助吸込口10b、10cからも空気を吸い込む。そして、室外熱交換器83において、吸い込んだ空気に対して加熱または冷却などを行い調和する。そして、調和後の空気をケーシング10の上壁に形成された吹出口10dから吹き出し、室内へと返流させる。
【0043】
ケーシング10の内部には、室内熱交換器20や室内ファン21等の内部機器を収容するための空間が形成されている。ケーシング10は、本体フレーム11(図4参照)、吹出口カバー12(図5参照)、輻射パネル30(図4、図5参照)、および開閉パネル13(図5参照)を有する。図2および図3に示すように、ケーシング10の前面は、上から順に、吹出口カバー12の前面パネル部12aと、輻射パネル30のパネル本体31と、開閉パネル13で構成されている。ケーシング10の前面の左右両端部は、後方に向かって緩やかに傾斜している。
【0044】
図4に示すように、本体フレーム11は、壁面に取り付けられるものであり、上述の各種内部機器を支持している。本体フレーム11は、前方が開放した略矩形状の箱体であって、合成樹脂材料で形成されている。吹出口カバー12、輻射パネル30、および前面グリル23は、内部機器を支持している状態の本体フレーム11に取り付けられている。詳細は後述するが、本体フレーム11の左右側壁11a、11bには、輻射パネル30を取り付けるための第2固定部材14L、14Rが取り付けられている。第2固定部材14L、14Rには、輻射パネル30に固定された第1固定部材36L、36Rが固定される。
【0045】
図3および図5に示すように、吹出口カバー12は、本体フレーム11の上端部に取り付けられており、その上壁に左右方向に長い矩形状の開口である吹出口10dが形成されている。この吹出口カバー12の下方に輻射パネル30が配置されている。
【0046】
図2および図3に示すように、開閉パネル13は、輻射パネル30のパネル本体31の下方に配置されており、前面グリル23に対して着脱可能に取り付けられている。開閉パネル13を取り外すことにより、上部フィルタ24および下部フィルタ25の着脱を行うことができる。輻射パネル30のパネル本体31と開閉パネル13との間には、左右方向(水平方向)に長いスリット状の開口である補助吸込口10bが形成されている。開閉パネル13の上端近傍には、左右方向に長いスリット状の開口である補助吸込口10cが形成されている。また、開閉パネル13の下端と本体フレーム11との間には、左右方向に長い開口である主吸込口10aが形成されている。
【0047】
ここで、ケーシング10内に収容される各部材について説明する。
図3に示すように、室内ファン21は、ケーシング10の高さ方向中央部分のやや上方において、その軸方向が左右方向に沿うように配置されている。室内ファン21は、クロスフローファンで構成されており、下前方から空気を吸い込んで、上後方に吹き出すようになっている。
【0048】
図3に示すように、室内熱交換器20は、室内ファン21の前方と下方とを取り囲むようにV字状に配置された前面熱交換器20aと背面熱交換器20bで構成されている。室内熱交換器20の下方には、左右方向に延在するドレンパン26が配置されている。また、図4に示すように、正面視における室内熱交換器20の右側には、室内熱交換器20および輻射パネル30に冷媒を循環供給するための配管27が配置されている。
【0049】
図3に示すように、室内ファン21の上方には、吹出口ユニット28が配置されている。吹出口ユニット28は、吹出口カバー12で覆われており、室内ファン21から吹き出された空気を吹出口カバー12に形成された吹出口10dへと導くものである。吹出口ユニット28は、吹出口10dの近傍に配置される水平フラップ28aを備えている。水平フラップ28aは、吹出口10dから吹き出される空気流の上下方向の風向きを変更すると共に、吹出口10dの開閉を行う。
【0050】
図3に示すように、前面グリル23は、前面熱交換器20aの上下方向略中央部分から、本体フレーム11の下端までを覆うように、本体フレーム11に取り付けられている。図5に示すように、前面グリル23は、フィルタ保持部23aを有している。フィルタ保持部23aには、左右2枚の上部フィルタ24と左右2枚の下部フィルタ25が保持される。なお、上部フィルタ24は、その下側部分だけがフィルタ保持部23aに保持されており、上側部分は輻射パネル30のカバー部材33のフィルタ保持部33a(図3参照)に保持される。
【0051】
<輻射パネル30の構成>
次に、輻射パネル30について説明する。
図3に示すように、輻射パネル30は、本体フレーム11と共に、室内熱交換器20等の内部機器を収容する空間を形成している。図6に示すように、輻射パネル30は、ケーシング10の前面の一部を構成するパネル本体31と、このパネル本体31の背面に配置されるパネル配管32、カバー部材33および配管固定部材34とを備えている。また、輻射パネル30の左右両端部には、サイドパネル35L、35Rと第1固定部材36L、36Rが取り付けられている。第1固定部材36L、36Rは、2つのサイドパネル35L、35Rの内側に配置されている。
なお、図6〜図8中に示す上下方向、左右方向および前後方向は、室内機1が壁面に据え付けられた状態での各方向を示している。以下の説明において、図6〜図8中に示した方向を用いる。
【0052】
パネル配管32は、冷媒回路3の一部を構成する配管である。図7に示すように、パネル配管32におけるパネル本体31の背面に対向する部分は、正面視右側が開放された略U字の形状を有している。パネル配管32の両端部は、パネル本体31の正面視右側端部の下方に位置しており、室内熱交換器20の右側に配置された配管27(図4参照)に接続されている。図6に示すように、また、パネル配管32の両端近傍部は、配管固定部材34によってパネル本体31に固定されている。
【0053】
図7に示すように、パネル本体31は、左右方向に長い略矩形板状の部材であって、その左右両端部は、後方に向かって緩やかに傾斜している。パネル本体31は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で形成されている。パネル本体31の背面には、パネル配管32の一部が埋設される2つの配管埋設部40が左右方向に延在して形成されている。
【0054】
また、パネル本体31の背面には、2つの配管埋設部40の上下両側において左右方向に延在する2つのカバー固定部41が形成されている。カバー固定部41は、カバー部材33をパネル本隊31に固定するために設けられている。図7(c)に示すように、カバー固定部41は、パネル本体31の背面から突出していると共にその先端が配管埋設部40側に向かって折り曲げられている。この折り曲げられた部分は、パネル本体31の背面と略平行であり、カバー部材33をネジ止めするためのネジ孔41aが複数形成されている。
【0055】
また、パネル本体31の背面の正面視左端部には、2つの固定部42が上下に並んで形成されており、パネル本体31の背面の正面視右端部には、2つの固定部43が上下に並んで形成されている。固定部42には、サイドパネル35Lと第1固定部材36Lが固定され、固定部43には、サイドパネル35Rと第1固定部材36Rが固定される(図6参照)。固定部42、43は、カバー固定部41と同じく、パネル本体31の背面から突出していると共にその先端が配管埋設部40側に向かって折り曲げられている。この折り曲げられた部分は、パネル本体31の背面と略平行であり、サイドパネル35L、35Rおよび第1固定部材36L、36Rをネジ止めするためのネジ孔42a、43aが形成されている。
【0056】
図3に示すように、カバー部材33は、パネル本体31の背面側においてパネル配管32から離れた状態でパネル配管32を覆うようにパネル本体31のカバー固定部41に取り付けられている。したがって、パネル本体31とカバー部材33との間には空間が形成されており、この空間内の空気による断熱作用により、パネル配管32の熱がカバー部材33の外側の空間に放熱するのを防止できる。また、カバー部材33の背面部には、上部フィルタ24の上側部分の左右両端部を保持するフィルタ保持部33aが形成されている。
【0057】
サイドパネル35L、35Rは、パネル本体31の背面の左右両端部にそれぞれ固定されている。サイドパネル35L、35Rは、ケーシング10の左右側面の一部を構成する。
【0058】
<第1固定部材36L、36Rの構成>
図6および図12に示すように、第1固定部材36L、36Rは、パネル本体31の背面の左右両端部にそれぞれ固定されると共に、本体フレーム11に固定される。したがって、輻射パネル30は、輻射パネル30に固定された第1固定部材36L、36Rと、本体フレーム11に固定された第2固定部材14L、14Rとを介して、本体フレーム11に固定される。図6に示すように、第1固定部材36Lと第1固定部材36Rとは左右対称に形成されている。以下、第1固定部材36Lについて説明し、第1固定部材36Rの説明を省略する。
【0059】
図8に示すように、第1固定部材36Lは、略台形板状の台形板部50と、台形板部50の短辺側端部に設けられた矩形板状の前固定部51と、台形板部50の長辺側端部に設けられた2つの後固定部52、53とを有する。図6に示すように、台形板部50は、サイドパネル35Lと略平行に配置される。前固定部51は、パネル本体31の固定部42に固定され、後固定部52、53は第2固定部材14Lに固定される。
【0060】
図8(b)に示すように、前固定部51は、台形板部50の前端(短辺側端部)から正面視左側に突出している。前固定部51は台形板部50に直交している。前固定部51の上下両端部には、パネル本体31の固定部43にネジ止めするためのネジ孔51aが形成されている。
【0061】
2つの後固定部52、53は、台形板部50の後端(長辺側端部)の上下両端部から、前固定部51と同じ側(正面視左側)に突出している。後固定部52、53は台形板部50と鋭角をなすように形成されている。後固定部52、53には、第2固定部材14Lにネジ止めするためのネジ孔52a、52bが形成されている。図6に示すように、台形板部50の長辺の長さは、輻射パネル30の上下方向長さよりも長い。そのため、第1固定部材36Lが輻射パネル30に取り付けられた状態では、後固定部52、53は、輻射パネル30の上下両端から突出している。
【0062】
図8に示すように、上側の後固定部52の上端には、L字状の突起部54が設けられている。突起部54は、後固定部52の上端から後斜め上に延在すると共に、途中で垂直に折り曲げられており、その先端に下向き(詳細には後斜め下向き)に延在する突出部54aを有する。図12に示すように、輻射パネル30が本体フレーム11に固定された状態において、突起部54は、第2固定部材14Lの後述する受け部66の上方に配置されている。そのため、輻射パネル30と本体フレーム11との固定を解除したとき、突起部54は、受け部66に引っ掛けられる。なお、本実施形態では、輻射パネル30が本体フレーム11に固定された状態では、突起部54は受け部66の上方に位置に引っ掛けられていないが、引っ掛けられていてもよい。
【0063】
第1固定部材36Lは、金属平板を曲げ加工等することで形成されている。第1固定部材36Lは、パネル本体31よりも高強度の材料で形成されている。具体的には、例えば、ステンレス鋼、鉄、チタン合金等の金属材料で形成されている。
【0064】
<第2固定部材14L、14Rの構成>
次に、本体フレーム11に固定される第2固定部材14L、14Rについて説明する。図4に示すように、第2固定部材14Lは、本体フレーム11の左側壁11aの上側部分に固定され、第2固定部材14Rは、本体フレーム11の右側壁11bの上側部分に固定される。図9および図10に示すように、第2固定部材14Lと第2固定部材14Rとは、左右対称に形成されている。また、第2固定部材14L(第2固定部材14R)は上下対称に形成されている。したがって、第2固定部材14Lと第2固定部材14Rとは同じ形状の部材で構成されている。以下、第2固定部材14Lについて説明し、第2固定部材14Rの説明を省略する。
【0065】
図9に示すように、第2固定部材14Lは、矩形板状の平面部60と、平面部60の後端に設けられた略矩形板状の後固定部61と、平面部60の前端に設けられた2つの溝形成部62、63とを有する。図11に示すように、平面部60は、左側壁11aの内側の面に対向して配置される。後固定部61は、本体フレーム11に固定される。溝形成部62、63は、本体フレーム11に固定されると共に、第1固定部材36Lの後固定部61に固定される(図12参照)。
【0066】
図9に示すように、後固定部61は、平面部60の後端から正面視右側に突出している。後固定部61は平面部60に直交している。後固定部61の上下両端部には、本体フレーム11の後壁にネジ止めするためのネジ孔61aが形成されている。また、図示は省略するが、本体フレーム11の後壁における2つのネジ孔61aに対応した位置には2つのネジ孔が形成されている。
【0067】
2つの溝形成部62、63は、平面部60の前端の上下両端部から後固定部61と反対側(正面視左側)に突出している。2つの溝形成部62、63は、上下対称に形成されている。溝形成部62、63は、L字状に形成されており、平面部60の外側(正面視左側)にU字状の嵌合溝64、65を形成する(図10の第2固定部材14Rの溝形成部62、63参照)。つまり、嵌合溝64は、溝形成部62と平面部60によって形成され、嵌合溝65は、溝形成部63と平面部60によって形成されている。
【0068】
図11に示すように、本体フレーム11の左側壁11aの前端部が、この嵌合溝64、65に嵌合される。より詳細には、左側壁11aの前端部に設けられた凸部71L、72Lが、嵌合溝64、65にそれぞれ嵌合される。
【0069】
ここで、本体フレーム11の凸部71L、72Lについて説明する。
凸部71L、72Lは、左側壁11aの前端部に、上下に並んで形成されている。凸部71L、72Lの上下方向長さは、第2固定部材14Lの溝形成部62、63の上下方向長さとほぼ同じである。上側の凸部71Lは、その前端面の下端部に、第2固定部材14Lの溝形成部62をネジ止めするためのネジ孔71aを有する。また、上側の凸部71Lの上端部には、正面視右側が開放された切り欠き71bが形成されている。また、上側の凸部71Lの上下方向略中央部には、正面視右側が開放された切り欠き71cが形成されている。
【0070】
下側の凸部72Lは、凸部71Lとほぼ上下対称に形成されており、溝形成部63をネジ止めするためのネジ孔72aと切り欠き72b、72cを有する。なお、本体フレーム11の右側壁11bには、凸部71L、72Lと左右対称に形成された凸部71R、72Rが設けられている。
【0071】
図9および図11に示すように、第2固定部材14Lの溝形成部62、63は、平面部60に直交する前固定部62a、63aを有しており、この前固定部62a、63aは、凸部71L、72Lの前端面に対向して配置される。上側の前固定部62aは、その下端近傍に、凸部71Lにネジ止めするためのネジ孔62bを有する。また、この前固定部62aは、その上端近傍に、第1固定部材36Lの後固定部52をネジ止めするためのネジ孔62cを有する。下側の前固定部63aは、上側の前固定部62aと上下対称に形成されており、その上端近傍に、凸部72Lにネジ止めするためのネジ孔63bを有し、その下端近傍に、第1固定部材36Lの後固定部53をネジ止めするためのネジ孔63cを有する。
【0072】
図11に示すように、上側の前固定部62aの上端には、後方に突出する受け部66が形成されている。図12に示すように、この受け部66の上方に、第1固定部材36Lの突起部54が配置される。図11に示すように、受け部66の後端および前固定部62aの背面と、本体フレーム11との間には隙間が形成されている。上述したように突起部54は、その先端に下向きに突出する突出部54aを有するため、上記隙間を設けることにより、突出部54aを、受け部66に引っ掛けることが可能となっている。なお、図示は省略するが、第1固定部材14Lは上下対称な形状のため、下側の前固定部63aの下端にも受け部66と同様の突出部が形成されている。
【0073】
第2固定部材14Lは、金属平板を曲げ加工等することで形成されている。第2固定部材14Lは、本体フレーム11よりも高強度の材料で形成されている。具体的には、第1固定部材36L、36Rと同様に、ステンレス鋼や鉄等の金属材料で形成されている。
【0074】
<室内機1の組立および分解手順>
室内機1を組み立てる際には、まず、本体フレーム11に、室内ファン21、室内熱交換器20、吹出口ユニット28などの内部機器を取り付ける。また、本体フレーム11の左右側壁11a、11bに、第2固定部材14L、14Rを取り付ける。そして、輻射パネル30に、第1固定部材36L、36Rとサイドパネル35L、35Rを取り付けて、第1固定部材36L、36Rの後固定部52、53を、本体フレーム11に固定された第2固定部材14L、14Rの前固定部62a、63aに固定する。その後、吹出口カバー12と前面グリル23を本体フレーム11に固定してから、開閉パネル13を前面グリル23に取り付ける。
【0075】
本体フレーム11を壁面に取り付けた状態で、本体フレーム11に輻射パネル30を取り付ける場合、第1固定部材36L、36Rの突起部54を第2固定部材14L、14Rの受け部66に引っ掛けておくことで、第1固定部材36L、36Rと第2固定部材14L、14Rとのネジ止めを容易に行うことができる。
【0076】
また、室内機1を分解する際には、上述の組立手順とは逆の手順で行う。
本体フレーム11を壁面に取り付けた状態で、本体フレーム11から輻射パネル30を取り外す場合、第1固定部材36L、36Rと第2固定部材14L、14Rとを固定するネジを外すと、第1固定部材36L、36Rの突起部54が、第2固定部材14L、14Rの受け部66に引っ掛かるため、輻射パネル30の落下を防止できると共に、ネジ外しを容易に行うことができる。
【0077】
<本実施形態の室内機1の特徴>
本実施形態の室内機1では、輻射パネル30はケーシング10の本体フレーム11に固定されるため、従来の室内機のように、輻射パネルが室内熱交換器等の他の部材を介してケーシングの本体部に固定される場合に比べて、たとえ運搬時に室内機1が振動しても輻射パネル30が本体フレーム11に対して変動するのを抑制できる。また、たとえ荷降ろし時に室内機1を落下させても、輻射パネル30と本体フレーム11との固定部分の破損を抑制できる。
また、輻射パネル30は、第1固定部材36L、36Rと第2固定部材14L、14Rとを介して本体フレーム11に固定されるため、たとえ輻射パネル30が本体フレーム11に対して変動しても、第1固定部材36L、36Rと第2固定部材14L、14Rとの固定部分(52、53、62a、63a)に力が作用することで、輻射パネル30と本体フレーム11とを直接固定した場合に比べて輻射パネル30の固定部分と本体フレーム11の固定部分にかかる力を低減できるため、輻射パネル30の固定部分(42、43)と本体フレーム11の固定部分(71L、72L等)の破損を抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態では、本体フレーム11の左右側壁11a、11bの前端部が、第2固定部材14L、14Rの嵌合溝64、65に嵌合されるため、第2固定部材14L、14Rが本体フレーム11に対して位置ずれしにくい。そのため、本体フレーム11と第2固定部材14L、14Rとを固定するネジが緩むのを防止できる。つまり、本体フレーム11と第2固定部材14L、14Rとを強固に固定できる。その結果、輻射パネル30が本体フレーム11に対して振動するのを抑制できる。
また、第2固定部材14L、14Rの前端部はU字状に形成されているため、第2固定部材の前端部がL字状または平坦状に形成されている場合に比べて、第2固定部材14L、14Rの強度が高くなり変形を抑制できる。
【0079】
また、本実施形態では、第2固定部材14L、14Rは、前固定部62a、63aにおいて、本体フレーム11の左右側壁11a、11bの前端面に固定されるため、左右側壁11a、11bの前端部における内周面または外周面に固定される場合に比べて、第2固定部材14L、14Rを本体フレーム11に固定しやすい。
【0080】
また、本実施形態では、第2固定部材14L、14Rは、後固定部61において、本体フレーム11の後壁に固定されるため、左右側壁11a、11bの内周面または外周面に固定される場合に比べて、第2固定部材14L、14Rを本体フレーム11に固定しやすい。
【0081】
また、第2固定部材14L、14Rは、平面部60の前後両側に設けられた前固定部62a、63aと後固定部61において、本体フレーム11に固定されるため、前固定部62a、63aまたは後固定部61だけで本体フレーム11に固定される場合に比べて、第2固定部材14L、14Rと本体フレーム11とを強固に固定できる。
【0082】
また、本実施形態では、輻射パネル30に固定された第1固定部材36L、36Rの突起部54が、本体フレーム11に固定された第2固定部材14L、14Rの受け部66の上方に配置されるため、第1固定部材36L、36Rと第2固定部材14L、14Rとの固定を解除しても、第1固定部材36L、36Rの突起部54が第2固定部材14L、14Rの受け部66に引っ掛かるので、輻射パネル30が第1固定部材36L、36Rと共に落下するのを防止できる。また、解除作業時に、輻射パネル30を手で支えなくてもよいため、解除作業を容易に行うことができる。
また、輻射パネル30を本体フレーム11に固定する際に、突起部54を受け部66に引っ掛けておくことで、固定作業を容易に行うことができる。
【0083】
また、本実施形態では、第1固定部材36L、36Rの突起部54が、その先端に下向きに突出する突出部54aを有しているため、より確実に突起部54を受け部66に引っ掛けることができる。
【0084】
また、本実施形態では、第1固定部材36L、36Rの後固定部52、53は、輻射パネル30の上下両側に位置するため、第1固定部材36L、36Rの後固定部52、53を第2固定部材14L、14Rに固定する際に、輻射パネル30が邪魔になることがなく、固定作業を容易に行うことができる。
【0085】
また、本実施形態では、第1固定部材36L、36Rおよび第2固定部材14L、14Rは、ステンレス等で構成されており、輻射パネル30及び本体フレームにおける両固定部材が固定される部分(42、43、11a、11b)よりも高強度であるため、強固に固定できると共に、固定部分で破損が生じにくい。
【0086】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0087】
上記実施形態では、第1固定部材36L、36Rの突起部54は、その先端において、下向きに突出する突出部54aを有しているが、この構成に限定されない。突起部54の形状は、受け部66に引っ掛け可能であればどのような形状であってもよい。
例えば突起部54は水平に延在していてもよい。この場合、突起部54が受け部66に引っ掛けられた状態とは、突起部54が受け部66の上面に載せられた状態のことである。上記実施形態では、突起部54の先端は下向きに突出しているため、受け部66の後端と本体フレーム11との間には隙間が必要であるが、突起部54が水平に延在している場合には、上記隙間はなくてもよい。
【0088】
上記実施形態では、第1固定部材36L、36Rの突起部54は、第1固定部材36L、36Rの上端に設けられているが、第1固定部材36L、36Rの上下方向の途中部分に、設けられていてもよい。この場合、第2固定部材14L、14Rの受け部66も、第2固定部材14L、14Rの上端ではなく、上下方向の途中部分に設けられる。
【0089】
第1固定部材36L、36Rは、必ずしも突起部54を有していなくてもよい。
【0090】
上記実施形態では、第2固定部材14L、14Rの受け部66は、前固定部62a、63aの上端から後方に突出した部分で構成されているが、このような突出部分を設けずに、前固定部62a、63aの上縁を受け部としてもよい。
【0091】
上記実施形態では、第2固定部材14L、14Rは、前固定部62a、63aと後固定部61において、本体フレーム11に固定されているが、後固定部61だけで本体フレーム11に固定されていてもよい。また、前固定部62a、63aだけで本体フレーム11に固定されていてもよい。
【0092】
上記実施形態では、第2固定部材14L、14Rは、前固定部62a、63aにおいて、本体フレーム11の左右側壁11a、11bの前端面に固定されているが、左右側壁11a、11bの前端部における内周面または外周面に固定されるように構成されていてもよい。つまり、第2固定部材14L、14Rは、平面部60または溝形成部62、63の平面部60に対向する部分において、本体フレーム11に固定されるようになっていてもよい。
【0093】
第2固定部材14L、14Rは、必ずしも嵌合溝64、65を有していなくてもよい。つまり、第2固定部材14L、14Rは、溝形成部62、63の平面部60に対向する部分を有していなくてもよい。
【0094】
上記実施形態では、輻射パネル30は、室内機1の前面の1/3程度を構成しているが、輻射パネル30の大きさは、それより大きくても小さくてもよい。例えば、室内機1の前面のほぼ全域が輻射パネル30で構成されていてもよい。
【0095】
上記実施形態では、室内機1の主に下部から室内空気を吸い込んで、室内機1の上部から吹き出すように構成されているが、室内機の上部から吸い込んで下部から吹き出すように構成されていてもよい。
【0096】
上記実施形態では、床面近傍に設置される床置き室内機に本発明を適用した例を挙げて説明したが、壁掛け室内機に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明を利用すれば、輻射パネルがケーシングの本体部に対して変動したときや室外機の落下時に輻射パネルの固定部分に発生する応力を低減して、固定部分の破損を抑制できる。
【符号の説明】
【0098】
1 室内機
3 冷媒回路
10 ケーシング
11 本体フレーム(本体部)
11a、11b 側壁
14L、14R 第2固定部材
20 室内熱交換器
30 輻射パネル
31 パネル本体
32 パネル配管(配管)
36L、36R 第1固定部材
42、43 固定部(第1固定部材が固定される部分)
52、53 後固定部(固定部)
54 突起部
54a 突出部
60 平面部
61 後固定部
64、65 嵌合溝
62、63 溝形成部
62a、63a 前固定部(本体部の側壁の端面に対向する部分)
66 受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内熱交換器を収容するための空間を有するケーシングを備え、
前記ケーシングが、本体部と、前記本体部と共に前記空間を形成する輻射パネルとを含んでおり、
前記輻射パネルが、冷媒回路の一部を構成する配管を有しており、
前記輻射パネルは、前記輻射パネルに固定された第1固定部材及び前記本体部に固定された第2固定部材を介して前記本体部に固定されることを特徴とする室内機。
【請求項2】
前記第2固定部材が、平面部と、前記平面部の外側に嵌合溝を形成する溝形成部とを有しており、
前記第2固定部材は、前記平面部が前記本体部の側壁の内周面に対向すると共に、前記嵌合溝に前記本体部の側壁の端部が嵌合された状態で前記本体部に固定されることを特徴とする請求項1に記載の室内機。
【請求項3】
前記第2固定部材は、前記溝形成部のうち前記側壁の端面に対向する部分において、前記本体部に固定されることを特徴とする請求項2に記載の室内機。
【請求項4】
前記第2固定部材は、前記平面部の前記溝形成部と反対側の端部において前記平面部の内側に突出する後固定部を有し、前記後固定部において前記本体部に固定されることを特徴とする請求項2または3に記載の室内機。
【請求項5】
前記第1固定部材は、前記輻射パネルが前記本体部に固定された状態において、前記第2固定部材に設けられた受け部の上方に配置された突起部を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の室内機。
【請求項6】
前記突起部が、その先端において下向きに突出する突出部を有していることを特徴とする請求項5に記載の室内機。
【請求項7】
正面視において、前記第1固定部材が前記輻射パネルの外側に配置された固定部を有しており、
前記第1固定部材が、前記固定部において前記第2固定部材に固定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の室内機。
【請求項8】
前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、前記輻射パネルにおける前記第1固定部分が固定される部分及び前記本体部よりも曲げ強度の高い材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の室内機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−102890(P2012−102890A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249179(P2010−249179)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】