室内機
【課題】配管およびパネル本体の熱が室内機の内部側に放熱するのを確実に断熱する。
【解決手段】室内熱交換器20を収容すると共に、表面に設けられた輻射パネル30を備えた室内機1であって、輻射パネル30は、パネル本体31と、パネル本体31の背面に設けられ、冷媒回路の一部を構成する配管32と、パネル本体31の背面側において配管32から離れた状態で配管32を覆うカバー部材33とを有している。
【解決手段】室内熱交換器20を収容すると共に、表面に設けられた輻射パネル30を備えた室内機1であって、輻射パネル30は、パネル本体31と、パネル本体31の背面に設けられ、冷媒回路の一部を構成する配管32と、パネル本体31の背面側において配管32から離れた状態で配管32を覆うカバー部材33とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒回路を構成する配管の一部を熱源とする輻射パネルを備えた室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内機として、室内熱交換器と輻射パネルとを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
室内熱交換器は、その内部を流れる冷媒と、室内ファンによって吸い込まれた室内空気との間で熱交換させるために設けられている。
輻射パネルは、室内機の表面に配置されるパネル本体と、パネル本体の背面に配置されるパネル配管と、パネル本体の背面側に配置され、パネル配管を被覆する断熱材とを有する。パネル配管を流れる冷媒の熱が、パネル本体を介して室内に輻射されることで輻射暖房が行われる。
また、断熱材は、パネル配管およびパネル本体の熱が、室内機の内部に放熱されるのを防止するために配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−175538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記輻射パネルでは、断熱材にパネル配管を嵌め込んだだけで、断熱材とパネル配管(およびパネル本体)とは固定されていないため、室内機の運搬時や据付時の振動によって、断熱材が外れる場合がある。その場合、パネル配管の熱が、室内機内に放熱されてしまい、輻射パネルの暖房効果が低下するという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、配管およびパネル本体の熱が室内機の内部側に放熱するのを確実に断熱できる輻射パネルを備えた室内機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る室内機は、室内熱交換器を収容すると共に、表面に設けられた輻射パネルを備えた室内機であって、前記輻射パネルが、パネル本体と、前記パネル本体の背面に設けられ、冷媒回路の一部を構成する配管と、前記パネル本体の背面側において前記配管から離れた状態で前記配管を覆うカバー部材とを有していることを特徴とする。
【0007】
この室内機では、パネル本体の背面に配置された配管とカバー部材の間に空間が形成されており、この空間内の空気による断熱作用によって、配管からの熱がカバー部材の外側に放熱されるのを防止することができる。
【0008】
第2の発明に係る室内機は、第1の発明において、前記パネル本体と前記カバー部材とで囲まれる空間が密閉されないように構成されていることを特徴とする。
【0009】
この室内機では、パネル本体とカバー部材とで囲まれる空間は外部と連通しているため、空間が密閉されている場合に比べて、外部との気圧差が少ない。したがって、気圧差によってカバー部材やパネル本体が変形するのを防止できる。
【0010】
第3の発明に係る室内機は、第2の発明において、前記カバー部材が、その外周部と前記パネル本体との間に、前記空間に連通した隙間が形成された状態で前記パネル本体に固定されることを特徴とする。
【0011】
この室内機では、カバー部材の外周部とパネル本体との間に隙間を形成することで、パネル本体とカバー本体とで囲まれる空間が密閉されないようにできる。
また、カバー部材の外周部とパネル本体との間に隙間を形成することで、カバー部材の外周部をパネル本体と接触させた場合に比べて、カバー部材とパネル本体との熱膨張率の違いによる接触面で軋み音を低減できる。
【0012】
第4の発明に係る室内機は、第3の発明において、前記輻射パネルの上方に配置された外周部材の下端部が、前記パネル本体の背面に対向していると共に、前記隙間内に配置されていることを特徴とする。
【0013】
この室内機では、パネル本体の背面とカバー部材の外周部との間に形成された隙間内に、輻射パネルの上方に配置された外周部材の下端部が配置されていることによって、輻射パネルと外周部材との間の隙間の形状が複雑になり通気抵抗が大きくなるため、輻射パネルと外周部材との間から室内空気が室内機内部に吸い込まれるのを抑制できる。したがって、輻射パネルにより加熱されて上昇した室内空気が、輻射パネルと輻射パネルの上方の外周部材との間から室内機内部に吸い込まれるのを抑制できるため、暖房効率を向上させることができる。
【0014】
第5の発明に係る室内機は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記カバー部材が、前記パネル本体の背面に向かって突出する固定面を有しており、前記カバー部材は、前記固定面が前記パネル本体の背面に接触した状態で前記パネル本体に固定されることを特徴とする。
【0015】
この室内機では、カバー部材は、パネル本体の背面に向かって突出する固定面においてパネル本体に接触して固定されており、固定面の周囲部はパネル本体に接触していないため、カバー部材とパネル本体との接触面積は小さい。そのため、パネル本体の熱がカバー部材に放熱されるのを抑制できる。
【0016】
第6の発明に係る室内機は、第1〜第5のいずれかの発明において、前記室内熱交換器を収容すると共に、前記パネル本体が表面に設けられたケーシングと、前記ケーシングの下端部近傍に設けられた吸込口とを備え、前記室内熱交換器の一部が、前記カバー部材の下端部と対向しており、前記カバー部材の背面側の下端部には、前記吸込口から吸い込まれた空気を前記室内熱交換器に供給するための凹部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この室内機では、カバー部材は、その下端部が室内熱交換器と対向するように配置されており、カバー部材の背面側の下端部には、吸込口から吸い込まれた空気を室内熱交換器に供給するための凹部が設けられているため、吸込口から吸い込まれた空気がカバー部材によって室内熱交換器に供給されなくなるのを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0019】
第1の発明では、パネル本体の背面に配置された配管とカバー部材の間に空間が形成されており、この空間内の空気による断熱作用によって、配管からの熱がカバー部材の外側に放熱されるのを防止することができる。
【0020】
第2の発明では、パネル本体とカバー部材とで囲まれる空間は外部と連通しているため、空間が密閉されている場合に比べて、外部との気圧差が少ない。したがって、気圧差によってカバー部材やパネル本体が変形するのを防止できる。
【0021】
第3の発明では、カバー部材の外周部とパネル本体との間に隙間を形成することで、パネル本体とカバー本体とで囲まれる空間が密閉されないようにできる。
また、カバー部材の外周部とパネル本体との間に隙間を形成することで、カバー部材の外周部をパネル本体と接触させた場合に比べて、カバー部材とパネル本体との熱膨張率の違いによる接触面で軋み音を低減できる。
【0022】
第4の発明では、この室内機では、パネル本体の背面とカバー部材の外周部との間に形成された隙間内に、輻射パネルの上方に配置された外周部材の下端部が配置されていることによって、輻射パネルと外周部材との間の隙間の形状が複雑になり通気抵抗が大きくなるため、輻射パネルと外周部材との間から室内空気が室内機内部に吸い込まれるのを抑制できる。したがって、輻射パネルにより加熱されて上昇し
た室内空気が、輻射パネルと輻射パネルの上方の外周部材との間から室内機内部に吸い込まれるのを抑制できるため、暖房効率を向上させることができる。
【0023】
第5の発明では、カバー部材は、パネル本体の背面に向かって突出する固定面においてパネル本体に接触して固定されており、固定面の周囲部はパネル本体に接触していないため、カバー部材とパネル本体との接触面積は小さい。そのため、パネル本体の熱がカバー部材に放熱されるのを抑制できる。
【0024】
第6の発明では、カバー部材は、その下端部が室内熱交換器と対向するように配置されており、カバー部材の背面側の下端部には、吸込口から吸い込まれた空気を室内熱交換器に供給するための凹部が設けられているため、吸込口から吸い込まれた空気がカバー部材によって室内熱交換器に供給されなくなるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る室内機を備えた空気調和機の回路図である。
【図2】本発明の実施形態に係る室内機の斜視図である。
【図3】図2のA-A線に沿う断面図である。
【図4】図2に示す室内機の部分分解斜視図である。
【図5】図2に示す室内機の部分分解斜視図である。
【図6】(a)は輻射パネルの背面図であり、(b)は(a)の上視図である。
【図7】図3の部分拡大図である。
【図8】(a)は輻射パネルのパネル本体の背面図であり、(b)は(a)の上視図であり、(c)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図9】輻射パネルのカバー部材の斜視図である。
【図10】輻射パネルのカバー部材の斜視図である。
【図11】(a)は輻射パネルのカバー部材の背面図であり、(b)は(a)の下視図であり、(c)は(a)のC−C線に沿う切断端面図である。
【図12】(a)は図11(a)のD−D線に沿う切断端面図であり、(b)は図11(a)のE−E線に沿う断面図であり、(c)は図11(a)のF−F線に沿う断面図であり、(d)は(c)の矢印G方向から視た部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る床置き室内機1(以下、単に「室内機1」と称する)について説明する。図1に示すように、本実施形態の室内機1は、室外機8と共に空気調和機100を構成する。
【0027】
<空気調和機100の概略構成>
まず、空気調和機100の概略構成について説明する。
室内機1は、室内熱交換器20と、室内熱交換器20の近傍に配置された室内ファン21と、輻射パネル30と、室内電動弁22とを備えている。室外機8は、圧縮機81と、四路切換弁82と、室外熱交換器83と、室外熱交換器83の近傍に配置された室外ファン84と、室外電動弁85とを備えている。
【0028】
また、空気調和機100は、室内機1と室外機8とを接続する冷媒回路3を備えている。
冷媒回路3は、室内熱交換器20、圧縮機81、室外熱交換器83、および室外電動弁85が順に設けられた環状の主流路4を有する。主流路4には、四路切換弁82が設けられており、四路切換弁82を切り換えることにより、圧縮機81の吐出側と吸入側のいずれかが室外熱交換器83が接続される。また、主流路4における室内熱交換器20の両側の配管は、バイパス配管5によって接続されており、このバイパス配管5には、輻射パネル30と室内電動弁22が設けられている。また、主流路4における圧縮機81の吸入側と四路切換弁82との間には、アキュムレータ86が介設されている。
【0029】
室内熱交換器20は、冷媒回路3の一部を構成する配管を有しており、室内ファン21の風上側に配置されている。室内熱交換器20との熱交換により加熱または冷却された空気が、室内ファン21によって温風または冷風として室内に吹き出されることで、温風暖房または冷房が行われる。
【0030】
輻射パネル30は、室内機1の表面に配置されており、その背面側には、冷媒回路3の一部を構成する配管(後述するパネル配管32)が設けられている。したがって、室内機1では、この配管を流れる冷媒の熱が、室内に輻射されることで輻射暖房が行われる。室内電動弁22は、輻射パネル30に供給される冷媒の流量を調整するために設けられている。
【0031】
空気調和機100は、冷房運転、温風暖房運転、輻射暖房運転、および輻射微風暖房運転を行うことができる。冷房運転は、輻射パネル30に冷媒を流さないで室内熱交換器20に冷媒を流して冷房を行う運転であって、温風暖房運転は、輻射パネル30に冷媒を流さないで室内熱交換器20に冷媒を流して温風暖房を行う運転である。輻射暖房運転は、室内熱交換器20に冷媒を流して温風暖房を行うと共に、輻射パネル30に冷媒を流して輻射暖房を行う運転である。輻射微風暖房運転は、温風暖房運転時および輻射暖房運転時よりも低風量で且つ一定の風量の温風暖房を行うと共に、輻射パネル30に冷媒を流して輻射暖房を行う運転である。
【0032】
各運転時における冷媒回路3の冷媒の流れについて図1を用いて説明する。
冷房運転時には、室内電動弁22が閉弁されると共に、四路切換弁82が図1(a)中破線で示す状態に切り換えられる。そのため、図1(a)中破線の矢印で示すように、圧縮機81から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁82を通って、室外熱交換器83に流入する。そして、室外熱交換器83において凝縮した冷媒は、室外電動弁85で減圧された後、室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器20において蒸発した冷媒は、四路切換弁82およびアキュムレータ86を介して、圧縮機81に流入する。
【0033】
温風暖房運転時には、室内電動弁22が閉弁されると共に、四路切換弁82が図1(a)中実線で示す状態に切り換えられる。そのため、図1(a)中実線の矢印で示すように、圧縮機81から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁82を通って、室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器20において凝縮した冷媒は、室外電動弁85で減圧された後、室外熱交換器83に流入する。そして、室外熱交換器83において蒸発した冷媒は、四路切換弁82およびアキュムレータ86を介して、圧縮機81に流入する。
【0034】
輻射暖房運転時および輻射微風暖房運転時には、室内電動弁22が開弁されると共に、四路切換弁82が図1(b)中実線で示す状態に切り換えられる。そのため、図1(b)中実線の矢印で示すように、圧縮機81から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁82を通って、室内熱交換器20と輻射パネル30に流入する。そして、室内熱交換器20と輻射パネル30において凝縮した冷媒は、室外電動弁85で減圧された後、室外熱交換器83に流入する。そして、室外熱交換器83において蒸発した冷媒は、四路切換弁82およびアキュムレータ86を介して、圧縮機81に流入する。
【0035】
<室内機1の構成>
次に、室内機1の構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態の室内機1は、直方体形状を有しており、室内の床面から浮かした状態で壁面に据え付けられる。本実施形態においては、室内機1の床面からの高さH(図2参照)は10cm程度である。なお、以下の説明において、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。また、図2に示す左右方向および上下方向を単に「左右方向」、「上下方向」と称する。
【0036】
図3に示すように、室内機1は、ケーシング10と、ケーシング10内に収容された室内ファン21および室内熱交換器20などの内部機器と、前面グリル23とを主に備えている。ケーシング10の前面の一部は、輻射パネル30で構成されている。この室内機1においては、室内ファン21の駆動により、ケーシング10の下壁に形成された主吸込口10aから床面近傍にある空気を吸い込みつつ、ケーシング10の前壁に形成された補助吸込口10b、10cからも空気を吸い込む。そして、室外熱交換器83において、吸い込んだ空気に対して加熱または冷却などを行い調和する。そして、調和後の空気をケーシング10の上壁に形成された吹出口10dから吹き出し、室内へと返流させる。
【0037】
ケーシング10は、本体フレーム11(図4参照)、吹出口カバー12(図5参照)、輻射パネル30(図4、図5参照)、および開閉パネル13(図5参照)を有する。図2および図3に示すように、ケーシング10の前面は、上から順に、吹出口カバー12の前面パネル部12aと、輻射パネル30のパネル本体31と、開閉パネル13で構成されている。ケーシング10の前面の左右両端部は、後方に向かって緩やかに傾斜している。
【0038】
本体フレーム11は、壁面に取り付けられるものであり、上述の各種内部機器を支持している。吹出口カバー12、輻射パネル30、および前面グリル23は、内部機器を支持している状態の本体フレーム11に取り付けられている。吹出口カバー12は、本体フレーム11の上端部に取り付けられており、その上壁に左右方向に長い矩形状の開口である吹出口10dが形成されている。この吹出口カバー12の下方に輻射パネル30が配置されている。
【0039】
図2および図3に示すように、開閉パネル13は、輻射パネル30のパネル本体31の下方に配置されており、前面グリル23に対して着脱可能に取り付けられている。開閉パネル13を取り外すことにより、上部フィルタ24および下部フィルタ25の着脱を行うことができる。輻射パネル30のパネル本体31と開閉パネル13との間には、左右方向(水平方向)に長いスリット状の開口である補助吸込口10bが形成されている。開閉パネル13の上端近傍には、左右方向に長いスリット状の開口である補助吸込口10cが形成されている。また、開閉パネル13の下端と本体フレーム11との間には、左右方向に長い開口である主吸込口10aが形成されている。
【0040】
ここで、ケーシング10内に収容される各部材について説明する。
図3に示すように、室内ファン21は、ケーシング10の高さ方向中央部分のやや上方において、その軸方向が左右方向に沿うように配置されている。室内ファン21は、クロスフローファンで構成されており、下前方から空気を吸い込んで、上後方に吹き出すようになっている。
【0041】
図3に示すように、室内熱交換器20は、室内ファン21の前方と下方とを取り囲むようにV字状に配置された前面熱交換器20aと背面熱交換器20bで構成されている。前面熱交換器20aは、ケーシング10の前面と略平行に配置されている。前面熱交換器20aの上端部は、輻射パネル30の背面に対向している。前面熱交換器20aの上端部以外の部分は、開閉パネル13の背面に対向している。室内熱交換器20の下方には、左右方向に延在するドレンパン26が配置されている。また、図4に示すように、正面視における室内熱交換器20の右側には、室内熱交換器20および輻射パネル30に冷媒を循環供給するための配管27が配置されている。
【0042】
図3に示すように、室内ファン21の上方には、吹出口ユニット28が配置されている。吹出口ユニット28は、吹出口カバー12で覆われており、室内ファン21から吹き出された空気を吹出口カバー12に形成された吹出口10dへと導くものである。吹出口ユニット28は、吹出口10dの近傍に配置される水平フラップ28aを備えている。水平フラップ28aは、吹出口10dから吹き出される空気流の上下方向の風向きを変更すると共に、吹出口10dの開閉を行う。
【0043】
図3に示すように、前面グリル23は、前面熱交換器20aの上下方向略中央部分から、本体フレーム11の下端までを覆うように、本体フレーム11に取り付けられている。図5に示すように、前面グリル23は、フィルタ保持部23aを有している。フィルタ保持部23aには、左右2枚の上部フィルタ24と左右2枚の下部フィルタ25が保持される。なお、上部フィルタ24は、その下側部分だけがフィルタ保持部23aに保持されており、上側部分は輻射パネル30の後述するカバー部材33のフィルタ誘導保持部60a、61a、61b、62aに保持される。
【0044】
図3に示すように、上部フィルタ24は、前面熱交換器20aの上端とほぼ同じ高さから、前面熱交換器20aの上方向略中央部分まで延在している。下部フィルタ25は、前面熱交換器20aの上下方向略中央部分から下方に延在していると共に、その下端部が後斜め方向に傾斜している。下部フィルタ25の下端は、主吸込口10aの後端近傍に位置している。
【0045】
<輻射パネル30の構成>
次に、輻射パネル30の構成について図6〜図12を参照して説明する。
図6および図7に示すように、輻射パネル30は、ケーシング10の前面に設けられるパネル本体31と、パネル本体31の背面に配置されるパネル配管32、カバー部材33および配管固定部材34と、パネル本体31の左右両端部に配置されるサイドパネル35および取付部材36とを備えている。なお、図6〜図12中に示す上下方向、左右方向および前後方向は、輻射パネル30を備えた室内機1が壁面に据え付けられた状態での各方向を示している。以下、図6〜図12中に示す方向を使って、輻射パネル30について説明する。
【0046】
パネル配管32は、冷媒回路3の一部を構成する配管である。パネル配管32は、その両端部以外の部分が、パネル本体31の背面に対向して配置されている。パネル配管32の両端部は、パネル本体31の正面視右側端部の下方に位置しており、室内熱交換器20の右側に配置された配管27(図4参照)に接続されている。また、図8に示すように、パネル配管32におけるパネル本体31の背面と対向する部分は、正面視右側が開放された略U字の形状を有している。すなわち、左右方向に延在する直線部分が上下に2つ配置されており、これら直線部分32aの左側端部同士が接続されて、略U字の形状をなしている。
【0047】
パネル本体31は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で形成されている。図8に示すように、パネル本体31は、左右方向に長い略矩形板状の部材であって、その左右両端部は、後方に向かって緩やかに傾斜している。パネル本体31の背面には、左右方向に延在する2つの突起40が形成されている。上述のパネル配管32の直線部分32aは、突起40に埋設されている。より詳細には、パネル配管32の直線部分32aは、その表面の半分以上は突起40によって被覆されており、パネル本体31側とは反対側の部分が露出している。このように、パネル配管32の直線部分32aの表面のほとんどが、パネル本体31に形成された突起40で覆われているので、パネル配管32内を流れる冷媒の熱をパネル本体31に効率良く伝えることができる。図8(b)に示すように、パネル配管32は、直線部分32aにおいてのみパネル本体31の背面と接触しており、直線部分32a以外の部分においてはパネル本体31の背面から離隔している。
【0048】
また、パネル本体31の背面には、2つの突起40の上下両側において左右方向に延在する2つの固定部41、42が形成されている。固定部41、42は、パネル本体31の背面から突出していると共にその先端が突起40側に向かって折り曲げられている。この折り曲げられた部分は、パネル本体31の背面と略平行であり、カバー部材33をネジ止めするためのネジ孔41a、42aが複数形成されている。
【0049】
図6に示すように、配管固定部材34は、パネル配管32の両端近傍部をパネル本体31に固定するために設けられている。配管固定部材34は、パネル配管32の両端近傍部が貫通する配管保持部34aを有しており、この配管保持部34aは、ゴム材料で形成されている。そのため、パネル配管32と配管27との接続時に、パネル配管32の若干の移動が可能であるため、パネル配管32を傷つけることなく、容易に接続作業を行うことができる。また、室外機8または室内機1の振動が配管27を伝ってきた場合に、配管保持部34aで振動を吸収することができる。
【0050】
図6に示すように、サイドパネル35および取付部材36は、パネル本体31の背面の左右両端部に取り付けられている。サイドパネル35は、ケーシング10の左右側面の一部を構成する。取付部材36は、輻射パネル30を本体フレーム11にネジ止めするために設けられている。
【0051】
図7に示すように、カバー部材33は、パネル本体31の背面側においてパネル配管32から離れた状態でパネル配管32を覆うようにパネル本体31の固定部41、42に取り付けられている。したがって、パネル配管32の直線部分32aは、パネル本体31とカバー部材33との間に形成された空間45内に配置される。この空間45内の空気による断熱作用により、パネル配管32の熱がカバー部材33の外側の空間に放熱するのを防止できる。カバー部材33は、合成樹脂材料で形成されている。図9および図10に示すように、カバー部材33は、略矩形板状の平板部50と、平板部50の背面から突出する3つの壁部60〜62および2つの突出部63、64を有する。
【0052】
図7に示すように、平板部50は、パネル本体31と平行に配置されており、パネル本体31の背面の2つの突起40に対向する。突起40に保持されたパネル配管32の直線部分32aと平板部50との離間距離は、自然対流が起こらない程度の大きさであることが好ましい。これにより、パネル配管32の直線部分32aと平板部50との間の空間の断熱性を向上させることができる。本実施形態では、上記離間距離は約15mmであるが、この数値に限定されるものではない。
【0053】
図9および図10に示すように、壁部60〜62は、左右方向に並んで設けられおり、それぞれ上下方向に延在している。詳細には、壁部60〜62は、平板部50の上下方向略中央部より若干上方の位置から、平板部50の下端まで延在している。また、図11(a)および図12(c)に示すように、中央の壁部61の下端部には、平板部50の下端よりも下方に突出する前面グリル取付部61cが形成されている。図12(c)に示すように、前面グリル取付部61cの前面には、前面グリル23をネジ止めするためのネジ孔61dが形成されている。また、図5に示すように、前面グリル23は、ネジ孔61dに対応する位置に貫通孔23bを有している。
【0054】
図9および図10に示すように、突出部63は、壁部60と壁部61との間に設けられており、左右方向に延在している。突出部64は、壁部61と壁部62との間に設けられており、左右方向に延在している。突出部63、64の突出面63a、64aは、平板部50と略平行に形成されている。また、図12(b)および図7に示すように、突出部63、64は中空状に形成されている。したがって、パネル本体31の背面と突出部63、64の突出面63a、64aとの離間距離は、パネル本体31の背面と平板部50との離間距離よりも大きい。また、図7に示すように、突出部63、64の上端は、パネル本体31の上側の突起40の下端とほぼ同じ高さに位置している。また、突出部63、64の下端は、前面熱交換器20aの上端とほぼ同じ高さに位置している。
【0055】
突出部63、64を設けることにより、カバー部材が平坦な板状の場合に比べて、カバー部材33の強度を高くすることができる。また、突出部63、64の上下方向高さは比較的短いため、突出部63、64とパネル本体31の背面との間では自然対流は発生しにくい。そのため、カバー部材33とパネル本体31との間の空間45内の断熱性が、自然対流によって低減するのを抑制できる。
【0056】
図9、図11(a)および図12(a)等に示すように、平板部50の上端近傍部には、パネル本体31の背面に向かって突出する固定面51が、左右方向に並んで複数形成されている。固定面51には、パネル本体31の固定部41にネジ止めするためのネジ孔51aが形成されている。固定面51は、固定部41に接触した状態で固定部41に固定される。また、隣接する固定面51の間には、パネル本体31の背面に向かって突出する当接面52が形成されている。固定面51を固定部41に固定した状態では、平板部50の上端近傍のうち固定面51と当接面52だけが固定部41に接触しており(図示省略)、固定面51と当接面52以外の部分は、固定部41から離間している(図7参照)。
【0057】
また、図9および図11(a)等に示すように、平板部50の下端近傍部には、パネル本体31の背面に向かって突出する複数の固定面53が、左右方向に並んで複数形成されている。また、正面視右端の固定面53の右側には、パネル本体31の背面に向かって突出する固定面54が形成されている。固定面53、54には、パネル本体31の固定部42にネジ止めするためのネジ孔53a、54aが形成されている。固定面53、54は、固定部42に接触した状態で固定部42に固定される。固定面54は、配管固定部材34と一緒にパネル本体31の固定部42に取り付けられる。また、隣接する固定面53の間には、パネル本体31の背面に向かって突出する当接面55が形成されている。固定面53、54を固定部42に固定した状態では、平板部50の下端近傍のうち固定面53、54と当接面55だけが固定部42に接触しており(図7参照)、固定面53、54と当接面55以外の部分は、固定部42から離間している(図示省略)。
【0058】
また、図7および図9等に示すように、平板部50の下端部のうち、壁部60と壁部62との間の部分は、下方に向かうほどパネル本体31に近付くように傾斜している。この部分を傾斜面56とする。図7に示すように、傾斜面56の下方には、補助吸込口10bが設けられており、傾斜面56が傾斜していることで、補助吸込口10bから室内空気を吸い込みやすくなっている。
【0059】
図7に示すように、カバー部材33の傾斜面56の下端と、パネル本体31の背面との間には、隙間46が形成されている。つまり、カバー部材33は、その下端とパネル本体31との間に、空間45に連通した隙間46が形成された状態で、パネル本体31に固定されている。そのため、パネル本体31とカバー部材33とで囲まれる空間45は密閉されていない。
【0060】
また、傾斜面56の下端とパネル本体31との隙間46の大きさは、補助吸込口10bから吸い込まれた空気がほとんど流入しないような大きさに設定されている。本実施形態では、隙間46の大きさは約0.5mmであるが、この数値に限定されるものではない。仮に、傾斜面56の下端とパネル本体31とを接触させた場合、カバー部材33とパネル本体31との熱膨張率の違いにより、接触面で軋み生じて音が発生する場合があるが、本実施形態では、カバー部材33とパネル本体31との間に隙間46を設けているため、軋み音の発生を防止できる。
【0061】
また、図7等に示すように、平板部50の上端には、パネル本体31側(前方)に向かって突出する上壁部57が設けられている。この上壁部57とパネル本体31の背面との間には、隙間47が形成されている。そして、この隙間47には、吹出口カバー(外周部材)12の下端に設けられた挿入部12bが挿入されている。挿入部12bの前面には、前方に向かって突出するリブ部12cが左右方向に並んで複数形成されている。リブ部12cは、パネル本体31の背面に接触していても接触していなくてもよい。また、挿入部12bの後面には、後方に向かって突出するリブ部12dが左右方向に並んで複数形成されている。リブ部12dは、カバー部材33の上壁部57に接触していても接触していなくてもよい。
【0062】
挿入部12bは、たとえリブ部12c、12dがパネル本体31およびカバー部材33に接触していても、リブ部12c、12d以外の部分において、パネル本体31およびカバー部材33に接触していないため、空間45は隙間47を介して外部と連通する。したがって、カバー部材33は、その上端とパネル本体31との間に、空間45に連通した隙間47が形成された状態で、パネル本体31に固定されている。
【0063】
また、仮に、吹出口カバー12が挿入部12bを有さず、隙間47に挿入部12bが挿入されていない場合、吹出口カバー12の下端と輻射パネル30の上端との隙間から室内空気が吸い込まれやすいが、本実施形態では、隙間47に挿入部12bが挿入されていることで、吹出口カバー12の下端と輻射パネル30の上端との隙間の形状が複雑になり通気抵抗が大きくなるため、吹出口カバー12の下端と輻射パネル30の上端との隙間から室内空気が吸い込まれるのを抑制できる。また、挿入部12bにリブ部12c、12dを設けることで、吹出口カバー12の下端と輻射パネル30の上端との隙間の幅を安定化でき、左右方向に関して均一な通気抵抗を維持できる。
【0064】
また、リブ部12c、12dが、パネル本体31とカバー部材33に接触していない場合、軋み音の発生を防止できる。また、たとえリブ部12c、12dが、パネル本体31とカバー部材33に接触していても、接触面積が小さいため、接触面での軋み音を低減できる。
【0065】
また、図7に示すように、カバー部材33の背面の上側略半分は、吹出口ユニット28と対向している。カバー部材33の背面と、吹出口ユニット28との離間距離は、比較的狭くなっているため、吹出口カバー12の下端とカバー部材33の上端との隙間から室内空気が吸い込まれるのを抑制できる。
【0066】
図9および図10に示すように、壁部60と壁部61の対向する面には、正面視右側の上部フィルタ24(図9および図10中二点鎖線で表示)の上側部分を誘導および保持する一対のフィルタ誘導保持部60a、61aが形成されている。壁部61と壁部62の対向する面には、正面視左側の上部フィルタ24の上側部分を誘導および保持する一対のフィルタ誘導保持部61b、62aが形成されている。一対のフィルタ誘導保持部60a、61aと一対のフィルタ誘導保持部61b、62aとは左右対称に形成されている。
【0067】
図9および図12(b)に示すように、フィルタ誘導保持部60aは、壁部60の壁部61に対向する面に形成されており、壁部61側に向かって突出する2つのガイド部70、71と、突出部63の突出面63aの一部で構成されている。ガイド部70は、壁部60の端部に形成されており、上下方向に延在している。ガイド部71は、ガイド部70よりもパネル本体31側(前方)に設けられている。ガイド部71は、突出部63の突出面63aの下端から下方に延在する直線部分71aと、直線部分71aの下端から傾斜面56の上端まで延在する傾斜部分71bとを有している。傾斜部分71bは、傾斜面56と同じ角度で傾斜している。
【0068】
図7および図10に示すように、フィルタ誘導保持部61aは、壁部61の壁部60に対向する面に形成されており、壁部60側に向かって突出する2つのガイド部72、73と、突出部63の突出面63aの一部で構成されている。ガイド部72は、壁部61の端部付近に形成されており、上下方向に延在している。ガイド部73は、ガイド部71と左右対称に形成されており、ガイド部71と同様に、直線部分73aと傾斜部分73bとを有する。
【0069】
正面視右側の上部フィルタ24は、正面視右端部が、ガイド部70の上側略半分と、突出部63の突出面63aの正面視右端部およびガイド部71の直線部分71aとの間に保持されると共に、正面視左端部が、ガイド部72の上側略半分と、突出部63の突出面63aの正面視左端部およびガイド部73の直線部分73aとの間に保持される。また、ガイド部70、72の下側略半分と、ガイド部71、73の傾斜部分71b、73bは、開閉パネル13を外した状態で上部フィルタ24を取り付ける際に、上部フィルタ24をフィルタ誘導保持部60a、61aにスムーズに誘導すると共に、上部フィルタ24を間違った位置に挿入するのを防止する役割を果たす。
【0070】
フィルタ誘導保持部61bは、フィルタ誘導保持部61aと左右対称に形成されており、2つのガイド部74、75を有する。ガイド部75は、直線部分75aと傾斜部分75bとを有する。フィルタ誘導保持部62aは、フィルタ誘導保持部60aと左右対称に形成されており、2つのガイド部76、77を有する。ガイド部77は、直線部分77aと傾斜部分77bとを有する。
【0071】
図7に示すように、突出部63、64の突出面63a、64aは、吹出口ユニット28と対向しており、平板部50のうち突出部63、64よりも下方の部分は、前面熱交換器20aの上端部と対向している。平板部50と前面熱交換器20aの上端部との離間距離は、比較的大きく、主吸込口10aおよび補助吸込口10b、10cから吸い込まれた空気が前面熱交換器20aに供給されるのを妨げないようになっている。カバー部材33は、平板部50と平板部50の背面の上下方向略中央部から突出する突出部63、64とを有するものであるが、面63a、64aの上下両側が凹んだ形状であるともいえる。面63a、64aの下方の凹部65によって、主吸込口10aおよび補助吸込口10b、10cから吸い込まれた空気を前面熱交換器20aに供給できるようになっている。
【0072】
<本実施形態の室内機1の特徴>
本実施形態の室内機1では、パネル本体31の背面に配置されたパネル配管32とカバー部材33の間に空間45が形成されており、この空間45内の空気による断熱作用によって、パネル配管32からの熱がカバー部材33の外側に放熱されるのを防止することができる。
【0073】
また、本実施形態では、パネル本体31とカバー部材33とで囲まれる空間45は、外部と連通しているため、空間45が密閉されている場合に比べて、外部との気圧差が少ない。したがって、気圧差によってカバー部材33やパネル本体31が変形するのを防止できる。
【0074】
また、本実施形態では、カバー部材33の上端および下端とパネル本体31との間に隙間46、47を形成することで、パネル本体31とカバー本体とで囲まれる空間45が密閉されないようにできる。
また、カバー部材33の上端および下端とパネル本体31との間に隙間46、47を形成することで、カバー部材33の外周部をパネル本体31と接触させた場合に比べて、カバー部材33とパネル本体31との熱膨張率の違いによる接触面で軋み音を低減できる。
【0075】
また、本実施形態では、カバー部材33の外周部とパネル本体31との間に形成された隙間47内に、吹出口カバー12の挿入部12bが挿入されているため、輻射パネル30と吹出口カバー12との間から、室内空気が吸い込まれるのを抑制できる。パネル本体31の背面とカバー部材33の外周部との間に形成された隙間47内に、輻射パネル30の上方に配置された吹出口カバー12の挿入部12bが配置されていることによって、輻射パネル30と吹出口カバー12との間の隙間の形状が複雑になり通気抵抗が大きくなるため、輻射パネル30と吹出口カバー12との間から室内空気が室内機1内部に吸い込まれるのを抑制できる。したがって、輻射パネル30により加熱されて上昇した室内空気が、輻射パネル30と吹出口カバー12との間から室内機1内部に吸い込まれるのを抑制できるため、暖房効率を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態では、カバー部材33は、パネル本体31の背面に向かって突出する固定面51、53、54においてパネル本体31に接触して固定されており、固定面51、53、54の周囲部はパネル本体31に接触していないため、カバー部材33とパネル本体31との接触面積は小さい。そのため、パネル本体31の熱がカバー部材33に放熱されるのを抑制できる。
【0077】
また、本実施形態では、カバー部材33は、下側略半分が、前面熱交換器20aと対向するように配置されており、カバー部材33の背面側の下側略半分には、主吸込口10aおよび補助吸込口10b、10cから吸い込まれた空気を前面熱交換器20aに供給するための凹部65が設けられているため、主吸込口10aおよび補助吸込口10b、10cから吸い込まれた空気がカバー部材33によって前面熱交換器20aに供給されなくなるのを防止できる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0079】
例えば、上記実施形態では、輻射パネル30のカバー部材33は、パネル本体31の固定部41、42に固定する部分(51、53、54)が、パネル本体31の背面に向かって突出しているが、必ずしも突出していなくてよい。つまり、平板部50の上端近傍部または下端近傍部が、固定部41または固定部42の全面に接触した状態で固定されてもよい。
【0080】
上記実施形態では、カバー部材33の上端とパネル本体31の背面との隙間47に、輻射パネル30の上方に配置される部材である吹出口ユニット28の一部(挿入部12b)が挿入されているが、隙間47に何も挿入されていなくてもよい。
【0081】
上記実施形態では、輻射パネル30のカバー部材33は、フィルタ誘導保持部60a、61a、61b、62aを有しているが、室内機1の構成によっては、フィルタ誘導保持部を有していなくてもよい。この場合、カバー部材33は、突出部63、64および壁部60〜62を有していなくてもよい。
【0082】
上記実施形態では、輻射パネル30は、室内熱交換器20(前面熱交換器20a)の上端部と対向するように配置されているが、この構成に限定されない。例えば、室内熱交換器20の上端よりも上方に輻射パネル30が配置されていてもよい。
【0083】
上記実施形態では、室内機1の主に下部から室内空気を吸い込んで、室内機1の上部から吹き出すように構成されているが、室内機の上部から吸い込んで下部から吹き出すように構成されていてもよい。
【0084】
上記実施形態では、床面近傍に設置される床置き室内機に本発明を適用した例を挙げて説明したが、壁掛け室内機に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明を利用すれば、配管およびパネル本体の熱が室内機の内部側に放熱するのを確実に断熱できる。
【符号の説明】
【0086】
1 室内機
3 冷媒回路
10 ケーシング
10a 主吸込口(吸込口)
10b、10c 補助吸込口
12 吹出口カバー(外周部材)
20 室内熱交換器
21 室内ファン
30 輻射パネル
31 パネル本体
32 パネル配管(配管)
33 カバー部材
51、53、54 固定面
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒回路を構成する配管の一部を熱源とする輻射パネルを備えた室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内機として、室内熱交換器と輻射パネルとを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
室内熱交換器は、その内部を流れる冷媒と、室内ファンによって吸い込まれた室内空気との間で熱交換させるために設けられている。
輻射パネルは、室内機の表面に配置されるパネル本体と、パネル本体の背面に配置されるパネル配管と、パネル本体の背面側に配置され、パネル配管を被覆する断熱材とを有する。パネル配管を流れる冷媒の熱が、パネル本体を介して室内に輻射されることで輻射暖房が行われる。
また、断熱材は、パネル配管およびパネル本体の熱が、室内機の内部に放熱されるのを防止するために配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−175538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記輻射パネルでは、断熱材にパネル配管を嵌め込んだだけで、断熱材とパネル配管(およびパネル本体)とは固定されていないため、室内機の運搬時や据付時の振動によって、断熱材が外れる場合がある。その場合、パネル配管の熱が、室内機内に放熱されてしまい、輻射パネルの暖房効果が低下するという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、配管およびパネル本体の熱が室内機の内部側に放熱するのを確実に断熱できる輻射パネルを備えた室内機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る室内機は、室内熱交換器を収容すると共に、表面に設けられた輻射パネルを備えた室内機であって、前記輻射パネルが、パネル本体と、前記パネル本体の背面に設けられ、冷媒回路の一部を構成する配管と、前記パネル本体の背面側において前記配管から離れた状態で前記配管を覆うカバー部材とを有していることを特徴とする。
【0007】
この室内機では、パネル本体の背面に配置された配管とカバー部材の間に空間が形成されており、この空間内の空気による断熱作用によって、配管からの熱がカバー部材の外側に放熱されるのを防止することができる。
【0008】
第2の発明に係る室内機は、第1の発明において、前記パネル本体と前記カバー部材とで囲まれる空間が密閉されないように構成されていることを特徴とする。
【0009】
この室内機では、パネル本体とカバー部材とで囲まれる空間は外部と連通しているため、空間が密閉されている場合に比べて、外部との気圧差が少ない。したがって、気圧差によってカバー部材やパネル本体が変形するのを防止できる。
【0010】
第3の発明に係る室内機は、第2の発明において、前記カバー部材が、その外周部と前記パネル本体との間に、前記空間に連通した隙間が形成された状態で前記パネル本体に固定されることを特徴とする。
【0011】
この室内機では、カバー部材の外周部とパネル本体との間に隙間を形成することで、パネル本体とカバー本体とで囲まれる空間が密閉されないようにできる。
また、カバー部材の外周部とパネル本体との間に隙間を形成することで、カバー部材の外周部をパネル本体と接触させた場合に比べて、カバー部材とパネル本体との熱膨張率の違いによる接触面で軋み音を低減できる。
【0012】
第4の発明に係る室内機は、第3の発明において、前記輻射パネルの上方に配置された外周部材の下端部が、前記パネル本体の背面に対向していると共に、前記隙間内に配置されていることを特徴とする。
【0013】
この室内機では、パネル本体の背面とカバー部材の外周部との間に形成された隙間内に、輻射パネルの上方に配置された外周部材の下端部が配置されていることによって、輻射パネルと外周部材との間の隙間の形状が複雑になり通気抵抗が大きくなるため、輻射パネルと外周部材との間から室内空気が室内機内部に吸い込まれるのを抑制できる。したがって、輻射パネルにより加熱されて上昇した室内空気が、輻射パネルと輻射パネルの上方の外周部材との間から室内機内部に吸い込まれるのを抑制できるため、暖房効率を向上させることができる。
【0014】
第5の発明に係る室内機は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記カバー部材が、前記パネル本体の背面に向かって突出する固定面を有しており、前記カバー部材は、前記固定面が前記パネル本体の背面に接触した状態で前記パネル本体に固定されることを特徴とする。
【0015】
この室内機では、カバー部材は、パネル本体の背面に向かって突出する固定面においてパネル本体に接触して固定されており、固定面の周囲部はパネル本体に接触していないため、カバー部材とパネル本体との接触面積は小さい。そのため、パネル本体の熱がカバー部材に放熱されるのを抑制できる。
【0016】
第6の発明に係る室内機は、第1〜第5のいずれかの発明において、前記室内熱交換器を収容すると共に、前記パネル本体が表面に設けられたケーシングと、前記ケーシングの下端部近傍に設けられた吸込口とを備え、前記室内熱交換器の一部が、前記カバー部材の下端部と対向しており、前記カバー部材の背面側の下端部には、前記吸込口から吸い込まれた空気を前記室内熱交換器に供給するための凹部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この室内機では、カバー部材は、その下端部が室内熱交換器と対向するように配置されており、カバー部材の背面側の下端部には、吸込口から吸い込まれた空気を室内熱交換器に供給するための凹部が設けられているため、吸込口から吸い込まれた空気がカバー部材によって室内熱交換器に供給されなくなるのを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0019】
第1の発明では、パネル本体の背面に配置された配管とカバー部材の間に空間が形成されており、この空間内の空気による断熱作用によって、配管からの熱がカバー部材の外側に放熱されるのを防止することができる。
【0020】
第2の発明では、パネル本体とカバー部材とで囲まれる空間は外部と連通しているため、空間が密閉されている場合に比べて、外部との気圧差が少ない。したがって、気圧差によってカバー部材やパネル本体が変形するのを防止できる。
【0021】
第3の発明では、カバー部材の外周部とパネル本体との間に隙間を形成することで、パネル本体とカバー本体とで囲まれる空間が密閉されないようにできる。
また、カバー部材の外周部とパネル本体との間に隙間を形成することで、カバー部材の外周部をパネル本体と接触させた場合に比べて、カバー部材とパネル本体との熱膨張率の違いによる接触面で軋み音を低減できる。
【0022】
第4の発明では、この室内機では、パネル本体の背面とカバー部材の外周部との間に形成された隙間内に、輻射パネルの上方に配置された外周部材の下端部が配置されていることによって、輻射パネルと外周部材との間の隙間の形状が複雑になり通気抵抗が大きくなるため、輻射パネルと外周部材との間から室内空気が室内機内部に吸い込まれるのを抑制できる。したがって、輻射パネルにより加熱されて上昇し
た室内空気が、輻射パネルと輻射パネルの上方の外周部材との間から室内機内部に吸い込まれるのを抑制できるため、暖房効率を向上させることができる。
【0023】
第5の発明では、カバー部材は、パネル本体の背面に向かって突出する固定面においてパネル本体に接触して固定されており、固定面の周囲部はパネル本体に接触していないため、カバー部材とパネル本体との接触面積は小さい。そのため、パネル本体の熱がカバー部材に放熱されるのを抑制できる。
【0024】
第6の発明では、カバー部材は、その下端部が室内熱交換器と対向するように配置されており、カバー部材の背面側の下端部には、吸込口から吸い込まれた空気を室内熱交換器に供給するための凹部が設けられているため、吸込口から吸い込まれた空気がカバー部材によって室内熱交換器に供給されなくなるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る室内機を備えた空気調和機の回路図である。
【図2】本発明の実施形態に係る室内機の斜視図である。
【図3】図2のA-A線に沿う断面図である。
【図4】図2に示す室内機の部分分解斜視図である。
【図5】図2に示す室内機の部分分解斜視図である。
【図6】(a)は輻射パネルの背面図であり、(b)は(a)の上視図である。
【図7】図3の部分拡大図である。
【図8】(a)は輻射パネルのパネル本体の背面図であり、(b)は(a)の上視図であり、(c)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図9】輻射パネルのカバー部材の斜視図である。
【図10】輻射パネルのカバー部材の斜視図である。
【図11】(a)は輻射パネルのカバー部材の背面図であり、(b)は(a)の下視図であり、(c)は(a)のC−C線に沿う切断端面図である。
【図12】(a)は図11(a)のD−D線に沿う切断端面図であり、(b)は図11(a)のE−E線に沿う断面図であり、(c)は図11(a)のF−F線に沿う断面図であり、(d)は(c)の矢印G方向から視た部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る床置き室内機1(以下、単に「室内機1」と称する)について説明する。図1に示すように、本実施形態の室内機1は、室外機8と共に空気調和機100を構成する。
【0027】
<空気調和機100の概略構成>
まず、空気調和機100の概略構成について説明する。
室内機1は、室内熱交換器20と、室内熱交換器20の近傍に配置された室内ファン21と、輻射パネル30と、室内電動弁22とを備えている。室外機8は、圧縮機81と、四路切換弁82と、室外熱交換器83と、室外熱交換器83の近傍に配置された室外ファン84と、室外電動弁85とを備えている。
【0028】
また、空気調和機100は、室内機1と室外機8とを接続する冷媒回路3を備えている。
冷媒回路3は、室内熱交換器20、圧縮機81、室外熱交換器83、および室外電動弁85が順に設けられた環状の主流路4を有する。主流路4には、四路切換弁82が設けられており、四路切換弁82を切り換えることにより、圧縮機81の吐出側と吸入側のいずれかが室外熱交換器83が接続される。また、主流路4における室内熱交換器20の両側の配管は、バイパス配管5によって接続されており、このバイパス配管5には、輻射パネル30と室内電動弁22が設けられている。また、主流路4における圧縮機81の吸入側と四路切換弁82との間には、アキュムレータ86が介設されている。
【0029】
室内熱交換器20は、冷媒回路3の一部を構成する配管を有しており、室内ファン21の風上側に配置されている。室内熱交換器20との熱交換により加熱または冷却された空気が、室内ファン21によって温風または冷風として室内に吹き出されることで、温風暖房または冷房が行われる。
【0030】
輻射パネル30は、室内機1の表面に配置されており、その背面側には、冷媒回路3の一部を構成する配管(後述するパネル配管32)が設けられている。したがって、室内機1では、この配管を流れる冷媒の熱が、室内に輻射されることで輻射暖房が行われる。室内電動弁22は、輻射パネル30に供給される冷媒の流量を調整するために設けられている。
【0031】
空気調和機100は、冷房運転、温風暖房運転、輻射暖房運転、および輻射微風暖房運転を行うことができる。冷房運転は、輻射パネル30に冷媒を流さないで室内熱交換器20に冷媒を流して冷房を行う運転であって、温風暖房運転は、輻射パネル30に冷媒を流さないで室内熱交換器20に冷媒を流して温風暖房を行う運転である。輻射暖房運転は、室内熱交換器20に冷媒を流して温風暖房を行うと共に、輻射パネル30に冷媒を流して輻射暖房を行う運転である。輻射微風暖房運転は、温風暖房運転時および輻射暖房運転時よりも低風量で且つ一定の風量の温風暖房を行うと共に、輻射パネル30に冷媒を流して輻射暖房を行う運転である。
【0032】
各運転時における冷媒回路3の冷媒の流れについて図1を用いて説明する。
冷房運転時には、室内電動弁22が閉弁されると共に、四路切換弁82が図1(a)中破線で示す状態に切り換えられる。そのため、図1(a)中破線の矢印で示すように、圧縮機81から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁82を通って、室外熱交換器83に流入する。そして、室外熱交換器83において凝縮した冷媒は、室外電動弁85で減圧された後、室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器20において蒸発した冷媒は、四路切換弁82およびアキュムレータ86を介して、圧縮機81に流入する。
【0033】
温風暖房運転時には、室内電動弁22が閉弁されると共に、四路切換弁82が図1(a)中実線で示す状態に切り換えられる。そのため、図1(a)中実線の矢印で示すように、圧縮機81から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁82を通って、室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器20において凝縮した冷媒は、室外電動弁85で減圧された後、室外熱交換器83に流入する。そして、室外熱交換器83において蒸発した冷媒は、四路切換弁82およびアキュムレータ86を介して、圧縮機81に流入する。
【0034】
輻射暖房運転時および輻射微風暖房運転時には、室内電動弁22が開弁されると共に、四路切換弁82が図1(b)中実線で示す状態に切り換えられる。そのため、図1(b)中実線の矢印で示すように、圧縮機81から吐出された高温高圧冷媒は、四路切換弁82を通って、室内熱交換器20と輻射パネル30に流入する。そして、室内熱交換器20と輻射パネル30において凝縮した冷媒は、室外電動弁85で減圧された後、室外熱交換器83に流入する。そして、室外熱交換器83において蒸発した冷媒は、四路切換弁82およびアキュムレータ86を介して、圧縮機81に流入する。
【0035】
<室内機1の構成>
次に、室内機1の構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態の室内機1は、直方体形状を有しており、室内の床面から浮かした状態で壁面に据え付けられる。本実施形態においては、室内機1の床面からの高さH(図2参照)は10cm程度である。なお、以下の説明において、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。また、図2に示す左右方向および上下方向を単に「左右方向」、「上下方向」と称する。
【0036】
図3に示すように、室内機1は、ケーシング10と、ケーシング10内に収容された室内ファン21および室内熱交換器20などの内部機器と、前面グリル23とを主に備えている。ケーシング10の前面の一部は、輻射パネル30で構成されている。この室内機1においては、室内ファン21の駆動により、ケーシング10の下壁に形成された主吸込口10aから床面近傍にある空気を吸い込みつつ、ケーシング10の前壁に形成された補助吸込口10b、10cからも空気を吸い込む。そして、室外熱交換器83において、吸い込んだ空気に対して加熱または冷却などを行い調和する。そして、調和後の空気をケーシング10の上壁に形成された吹出口10dから吹き出し、室内へと返流させる。
【0037】
ケーシング10は、本体フレーム11(図4参照)、吹出口カバー12(図5参照)、輻射パネル30(図4、図5参照)、および開閉パネル13(図5参照)を有する。図2および図3に示すように、ケーシング10の前面は、上から順に、吹出口カバー12の前面パネル部12aと、輻射パネル30のパネル本体31と、開閉パネル13で構成されている。ケーシング10の前面の左右両端部は、後方に向かって緩やかに傾斜している。
【0038】
本体フレーム11は、壁面に取り付けられるものであり、上述の各種内部機器を支持している。吹出口カバー12、輻射パネル30、および前面グリル23は、内部機器を支持している状態の本体フレーム11に取り付けられている。吹出口カバー12は、本体フレーム11の上端部に取り付けられており、その上壁に左右方向に長い矩形状の開口である吹出口10dが形成されている。この吹出口カバー12の下方に輻射パネル30が配置されている。
【0039】
図2および図3に示すように、開閉パネル13は、輻射パネル30のパネル本体31の下方に配置されており、前面グリル23に対して着脱可能に取り付けられている。開閉パネル13を取り外すことにより、上部フィルタ24および下部フィルタ25の着脱を行うことができる。輻射パネル30のパネル本体31と開閉パネル13との間には、左右方向(水平方向)に長いスリット状の開口である補助吸込口10bが形成されている。開閉パネル13の上端近傍には、左右方向に長いスリット状の開口である補助吸込口10cが形成されている。また、開閉パネル13の下端と本体フレーム11との間には、左右方向に長い開口である主吸込口10aが形成されている。
【0040】
ここで、ケーシング10内に収容される各部材について説明する。
図3に示すように、室内ファン21は、ケーシング10の高さ方向中央部分のやや上方において、その軸方向が左右方向に沿うように配置されている。室内ファン21は、クロスフローファンで構成されており、下前方から空気を吸い込んで、上後方に吹き出すようになっている。
【0041】
図3に示すように、室内熱交換器20は、室内ファン21の前方と下方とを取り囲むようにV字状に配置された前面熱交換器20aと背面熱交換器20bで構成されている。前面熱交換器20aは、ケーシング10の前面と略平行に配置されている。前面熱交換器20aの上端部は、輻射パネル30の背面に対向している。前面熱交換器20aの上端部以外の部分は、開閉パネル13の背面に対向している。室内熱交換器20の下方には、左右方向に延在するドレンパン26が配置されている。また、図4に示すように、正面視における室内熱交換器20の右側には、室内熱交換器20および輻射パネル30に冷媒を循環供給するための配管27が配置されている。
【0042】
図3に示すように、室内ファン21の上方には、吹出口ユニット28が配置されている。吹出口ユニット28は、吹出口カバー12で覆われており、室内ファン21から吹き出された空気を吹出口カバー12に形成された吹出口10dへと導くものである。吹出口ユニット28は、吹出口10dの近傍に配置される水平フラップ28aを備えている。水平フラップ28aは、吹出口10dから吹き出される空気流の上下方向の風向きを変更すると共に、吹出口10dの開閉を行う。
【0043】
図3に示すように、前面グリル23は、前面熱交換器20aの上下方向略中央部分から、本体フレーム11の下端までを覆うように、本体フレーム11に取り付けられている。図5に示すように、前面グリル23は、フィルタ保持部23aを有している。フィルタ保持部23aには、左右2枚の上部フィルタ24と左右2枚の下部フィルタ25が保持される。なお、上部フィルタ24は、その下側部分だけがフィルタ保持部23aに保持されており、上側部分は輻射パネル30の後述するカバー部材33のフィルタ誘導保持部60a、61a、61b、62aに保持される。
【0044】
図3に示すように、上部フィルタ24は、前面熱交換器20aの上端とほぼ同じ高さから、前面熱交換器20aの上方向略中央部分まで延在している。下部フィルタ25は、前面熱交換器20aの上下方向略中央部分から下方に延在していると共に、その下端部が後斜め方向に傾斜している。下部フィルタ25の下端は、主吸込口10aの後端近傍に位置している。
【0045】
<輻射パネル30の構成>
次に、輻射パネル30の構成について図6〜図12を参照して説明する。
図6および図7に示すように、輻射パネル30は、ケーシング10の前面に設けられるパネル本体31と、パネル本体31の背面に配置されるパネル配管32、カバー部材33および配管固定部材34と、パネル本体31の左右両端部に配置されるサイドパネル35および取付部材36とを備えている。なお、図6〜図12中に示す上下方向、左右方向および前後方向は、輻射パネル30を備えた室内機1が壁面に据え付けられた状態での各方向を示している。以下、図6〜図12中に示す方向を使って、輻射パネル30について説明する。
【0046】
パネル配管32は、冷媒回路3の一部を構成する配管である。パネル配管32は、その両端部以外の部分が、パネル本体31の背面に対向して配置されている。パネル配管32の両端部は、パネル本体31の正面視右側端部の下方に位置しており、室内熱交換器20の右側に配置された配管27(図4参照)に接続されている。また、図8に示すように、パネル配管32におけるパネル本体31の背面と対向する部分は、正面視右側が開放された略U字の形状を有している。すなわち、左右方向に延在する直線部分が上下に2つ配置されており、これら直線部分32aの左側端部同士が接続されて、略U字の形状をなしている。
【0047】
パネル本体31は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で形成されている。図8に示すように、パネル本体31は、左右方向に長い略矩形板状の部材であって、その左右両端部は、後方に向かって緩やかに傾斜している。パネル本体31の背面には、左右方向に延在する2つの突起40が形成されている。上述のパネル配管32の直線部分32aは、突起40に埋設されている。より詳細には、パネル配管32の直線部分32aは、その表面の半分以上は突起40によって被覆されており、パネル本体31側とは反対側の部分が露出している。このように、パネル配管32の直線部分32aの表面のほとんどが、パネル本体31に形成された突起40で覆われているので、パネル配管32内を流れる冷媒の熱をパネル本体31に効率良く伝えることができる。図8(b)に示すように、パネル配管32は、直線部分32aにおいてのみパネル本体31の背面と接触しており、直線部分32a以外の部分においてはパネル本体31の背面から離隔している。
【0048】
また、パネル本体31の背面には、2つの突起40の上下両側において左右方向に延在する2つの固定部41、42が形成されている。固定部41、42は、パネル本体31の背面から突出していると共にその先端が突起40側に向かって折り曲げられている。この折り曲げられた部分は、パネル本体31の背面と略平行であり、カバー部材33をネジ止めするためのネジ孔41a、42aが複数形成されている。
【0049】
図6に示すように、配管固定部材34は、パネル配管32の両端近傍部をパネル本体31に固定するために設けられている。配管固定部材34は、パネル配管32の両端近傍部が貫通する配管保持部34aを有しており、この配管保持部34aは、ゴム材料で形成されている。そのため、パネル配管32と配管27との接続時に、パネル配管32の若干の移動が可能であるため、パネル配管32を傷つけることなく、容易に接続作業を行うことができる。また、室外機8または室内機1の振動が配管27を伝ってきた場合に、配管保持部34aで振動を吸収することができる。
【0050】
図6に示すように、サイドパネル35および取付部材36は、パネル本体31の背面の左右両端部に取り付けられている。サイドパネル35は、ケーシング10の左右側面の一部を構成する。取付部材36は、輻射パネル30を本体フレーム11にネジ止めするために設けられている。
【0051】
図7に示すように、カバー部材33は、パネル本体31の背面側においてパネル配管32から離れた状態でパネル配管32を覆うようにパネル本体31の固定部41、42に取り付けられている。したがって、パネル配管32の直線部分32aは、パネル本体31とカバー部材33との間に形成された空間45内に配置される。この空間45内の空気による断熱作用により、パネル配管32の熱がカバー部材33の外側の空間に放熱するのを防止できる。カバー部材33は、合成樹脂材料で形成されている。図9および図10に示すように、カバー部材33は、略矩形板状の平板部50と、平板部50の背面から突出する3つの壁部60〜62および2つの突出部63、64を有する。
【0052】
図7に示すように、平板部50は、パネル本体31と平行に配置されており、パネル本体31の背面の2つの突起40に対向する。突起40に保持されたパネル配管32の直線部分32aと平板部50との離間距離は、自然対流が起こらない程度の大きさであることが好ましい。これにより、パネル配管32の直線部分32aと平板部50との間の空間の断熱性を向上させることができる。本実施形態では、上記離間距離は約15mmであるが、この数値に限定されるものではない。
【0053】
図9および図10に示すように、壁部60〜62は、左右方向に並んで設けられおり、それぞれ上下方向に延在している。詳細には、壁部60〜62は、平板部50の上下方向略中央部より若干上方の位置から、平板部50の下端まで延在している。また、図11(a)および図12(c)に示すように、中央の壁部61の下端部には、平板部50の下端よりも下方に突出する前面グリル取付部61cが形成されている。図12(c)に示すように、前面グリル取付部61cの前面には、前面グリル23をネジ止めするためのネジ孔61dが形成されている。また、図5に示すように、前面グリル23は、ネジ孔61dに対応する位置に貫通孔23bを有している。
【0054】
図9および図10に示すように、突出部63は、壁部60と壁部61との間に設けられており、左右方向に延在している。突出部64は、壁部61と壁部62との間に設けられており、左右方向に延在している。突出部63、64の突出面63a、64aは、平板部50と略平行に形成されている。また、図12(b)および図7に示すように、突出部63、64は中空状に形成されている。したがって、パネル本体31の背面と突出部63、64の突出面63a、64aとの離間距離は、パネル本体31の背面と平板部50との離間距離よりも大きい。また、図7に示すように、突出部63、64の上端は、パネル本体31の上側の突起40の下端とほぼ同じ高さに位置している。また、突出部63、64の下端は、前面熱交換器20aの上端とほぼ同じ高さに位置している。
【0055】
突出部63、64を設けることにより、カバー部材が平坦な板状の場合に比べて、カバー部材33の強度を高くすることができる。また、突出部63、64の上下方向高さは比較的短いため、突出部63、64とパネル本体31の背面との間では自然対流は発生しにくい。そのため、カバー部材33とパネル本体31との間の空間45内の断熱性が、自然対流によって低減するのを抑制できる。
【0056】
図9、図11(a)および図12(a)等に示すように、平板部50の上端近傍部には、パネル本体31の背面に向かって突出する固定面51が、左右方向に並んで複数形成されている。固定面51には、パネル本体31の固定部41にネジ止めするためのネジ孔51aが形成されている。固定面51は、固定部41に接触した状態で固定部41に固定される。また、隣接する固定面51の間には、パネル本体31の背面に向かって突出する当接面52が形成されている。固定面51を固定部41に固定した状態では、平板部50の上端近傍のうち固定面51と当接面52だけが固定部41に接触しており(図示省略)、固定面51と当接面52以外の部分は、固定部41から離間している(図7参照)。
【0057】
また、図9および図11(a)等に示すように、平板部50の下端近傍部には、パネル本体31の背面に向かって突出する複数の固定面53が、左右方向に並んで複数形成されている。また、正面視右端の固定面53の右側には、パネル本体31の背面に向かって突出する固定面54が形成されている。固定面53、54には、パネル本体31の固定部42にネジ止めするためのネジ孔53a、54aが形成されている。固定面53、54は、固定部42に接触した状態で固定部42に固定される。固定面54は、配管固定部材34と一緒にパネル本体31の固定部42に取り付けられる。また、隣接する固定面53の間には、パネル本体31の背面に向かって突出する当接面55が形成されている。固定面53、54を固定部42に固定した状態では、平板部50の下端近傍のうち固定面53、54と当接面55だけが固定部42に接触しており(図7参照)、固定面53、54と当接面55以外の部分は、固定部42から離間している(図示省略)。
【0058】
また、図7および図9等に示すように、平板部50の下端部のうち、壁部60と壁部62との間の部分は、下方に向かうほどパネル本体31に近付くように傾斜している。この部分を傾斜面56とする。図7に示すように、傾斜面56の下方には、補助吸込口10bが設けられており、傾斜面56が傾斜していることで、補助吸込口10bから室内空気を吸い込みやすくなっている。
【0059】
図7に示すように、カバー部材33の傾斜面56の下端と、パネル本体31の背面との間には、隙間46が形成されている。つまり、カバー部材33は、その下端とパネル本体31との間に、空間45に連通した隙間46が形成された状態で、パネル本体31に固定されている。そのため、パネル本体31とカバー部材33とで囲まれる空間45は密閉されていない。
【0060】
また、傾斜面56の下端とパネル本体31との隙間46の大きさは、補助吸込口10bから吸い込まれた空気がほとんど流入しないような大きさに設定されている。本実施形態では、隙間46の大きさは約0.5mmであるが、この数値に限定されるものではない。仮に、傾斜面56の下端とパネル本体31とを接触させた場合、カバー部材33とパネル本体31との熱膨張率の違いにより、接触面で軋み生じて音が発生する場合があるが、本実施形態では、カバー部材33とパネル本体31との間に隙間46を設けているため、軋み音の発生を防止できる。
【0061】
また、図7等に示すように、平板部50の上端には、パネル本体31側(前方)に向かって突出する上壁部57が設けられている。この上壁部57とパネル本体31の背面との間には、隙間47が形成されている。そして、この隙間47には、吹出口カバー(外周部材)12の下端に設けられた挿入部12bが挿入されている。挿入部12bの前面には、前方に向かって突出するリブ部12cが左右方向に並んで複数形成されている。リブ部12cは、パネル本体31の背面に接触していても接触していなくてもよい。また、挿入部12bの後面には、後方に向かって突出するリブ部12dが左右方向に並んで複数形成されている。リブ部12dは、カバー部材33の上壁部57に接触していても接触していなくてもよい。
【0062】
挿入部12bは、たとえリブ部12c、12dがパネル本体31およびカバー部材33に接触していても、リブ部12c、12d以外の部分において、パネル本体31およびカバー部材33に接触していないため、空間45は隙間47を介して外部と連通する。したがって、カバー部材33は、その上端とパネル本体31との間に、空間45に連通した隙間47が形成された状態で、パネル本体31に固定されている。
【0063】
また、仮に、吹出口カバー12が挿入部12bを有さず、隙間47に挿入部12bが挿入されていない場合、吹出口カバー12の下端と輻射パネル30の上端との隙間から室内空気が吸い込まれやすいが、本実施形態では、隙間47に挿入部12bが挿入されていることで、吹出口カバー12の下端と輻射パネル30の上端との隙間の形状が複雑になり通気抵抗が大きくなるため、吹出口カバー12の下端と輻射パネル30の上端との隙間から室内空気が吸い込まれるのを抑制できる。また、挿入部12bにリブ部12c、12dを設けることで、吹出口カバー12の下端と輻射パネル30の上端との隙間の幅を安定化でき、左右方向に関して均一な通気抵抗を維持できる。
【0064】
また、リブ部12c、12dが、パネル本体31とカバー部材33に接触していない場合、軋み音の発生を防止できる。また、たとえリブ部12c、12dが、パネル本体31とカバー部材33に接触していても、接触面積が小さいため、接触面での軋み音を低減できる。
【0065】
また、図7に示すように、カバー部材33の背面の上側略半分は、吹出口ユニット28と対向している。カバー部材33の背面と、吹出口ユニット28との離間距離は、比較的狭くなっているため、吹出口カバー12の下端とカバー部材33の上端との隙間から室内空気が吸い込まれるのを抑制できる。
【0066】
図9および図10に示すように、壁部60と壁部61の対向する面には、正面視右側の上部フィルタ24(図9および図10中二点鎖線で表示)の上側部分を誘導および保持する一対のフィルタ誘導保持部60a、61aが形成されている。壁部61と壁部62の対向する面には、正面視左側の上部フィルタ24の上側部分を誘導および保持する一対のフィルタ誘導保持部61b、62aが形成されている。一対のフィルタ誘導保持部60a、61aと一対のフィルタ誘導保持部61b、62aとは左右対称に形成されている。
【0067】
図9および図12(b)に示すように、フィルタ誘導保持部60aは、壁部60の壁部61に対向する面に形成されており、壁部61側に向かって突出する2つのガイド部70、71と、突出部63の突出面63aの一部で構成されている。ガイド部70は、壁部60の端部に形成されており、上下方向に延在している。ガイド部71は、ガイド部70よりもパネル本体31側(前方)に設けられている。ガイド部71は、突出部63の突出面63aの下端から下方に延在する直線部分71aと、直線部分71aの下端から傾斜面56の上端まで延在する傾斜部分71bとを有している。傾斜部分71bは、傾斜面56と同じ角度で傾斜している。
【0068】
図7および図10に示すように、フィルタ誘導保持部61aは、壁部61の壁部60に対向する面に形成されており、壁部60側に向かって突出する2つのガイド部72、73と、突出部63の突出面63aの一部で構成されている。ガイド部72は、壁部61の端部付近に形成されており、上下方向に延在している。ガイド部73は、ガイド部71と左右対称に形成されており、ガイド部71と同様に、直線部分73aと傾斜部分73bとを有する。
【0069】
正面視右側の上部フィルタ24は、正面視右端部が、ガイド部70の上側略半分と、突出部63の突出面63aの正面視右端部およびガイド部71の直線部分71aとの間に保持されると共に、正面視左端部が、ガイド部72の上側略半分と、突出部63の突出面63aの正面視左端部およびガイド部73の直線部分73aとの間に保持される。また、ガイド部70、72の下側略半分と、ガイド部71、73の傾斜部分71b、73bは、開閉パネル13を外した状態で上部フィルタ24を取り付ける際に、上部フィルタ24をフィルタ誘導保持部60a、61aにスムーズに誘導すると共に、上部フィルタ24を間違った位置に挿入するのを防止する役割を果たす。
【0070】
フィルタ誘導保持部61bは、フィルタ誘導保持部61aと左右対称に形成されており、2つのガイド部74、75を有する。ガイド部75は、直線部分75aと傾斜部分75bとを有する。フィルタ誘導保持部62aは、フィルタ誘導保持部60aと左右対称に形成されており、2つのガイド部76、77を有する。ガイド部77は、直線部分77aと傾斜部分77bとを有する。
【0071】
図7に示すように、突出部63、64の突出面63a、64aは、吹出口ユニット28と対向しており、平板部50のうち突出部63、64よりも下方の部分は、前面熱交換器20aの上端部と対向している。平板部50と前面熱交換器20aの上端部との離間距離は、比較的大きく、主吸込口10aおよび補助吸込口10b、10cから吸い込まれた空気が前面熱交換器20aに供給されるのを妨げないようになっている。カバー部材33は、平板部50と平板部50の背面の上下方向略中央部から突出する突出部63、64とを有するものであるが、面63a、64aの上下両側が凹んだ形状であるともいえる。面63a、64aの下方の凹部65によって、主吸込口10aおよび補助吸込口10b、10cから吸い込まれた空気を前面熱交換器20aに供給できるようになっている。
【0072】
<本実施形態の室内機1の特徴>
本実施形態の室内機1では、パネル本体31の背面に配置されたパネル配管32とカバー部材33の間に空間45が形成されており、この空間45内の空気による断熱作用によって、パネル配管32からの熱がカバー部材33の外側に放熱されるのを防止することができる。
【0073】
また、本実施形態では、パネル本体31とカバー部材33とで囲まれる空間45は、外部と連通しているため、空間45が密閉されている場合に比べて、外部との気圧差が少ない。したがって、気圧差によってカバー部材33やパネル本体31が変形するのを防止できる。
【0074】
また、本実施形態では、カバー部材33の上端および下端とパネル本体31との間に隙間46、47を形成することで、パネル本体31とカバー本体とで囲まれる空間45が密閉されないようにできる。
また、カバー部材33の上端および下端とパネル本体31との間に隙間46、47を形成することで、カバー部材33の外周部をパネル本体31と接触させた場合に比べて、カバー部材33とパネル本体31との熱膨張率の違いによる接触面で軋み音を低減できる。
【0075】
また、本実施形態では、カバー部材33の外周部とパネル本体31との間に形成された隙間47内に、吹出口カバー12の挿入部12bが挿入されているため、輻射パネル30と吹出口カバー12との間から、室内空気が吸い込まれるのを抑制できる。パネル本体31の背面とカバー部材33の外周部との間に形成された隙間47内に、輻射パネル30の上方に配置された吹出口カバー12の挿入部12bが配置されていることによって、輻射パネル30と吹出口カバー12との間の隙間の形状が複雑になり通気抵抗が大きくなるため、輻射パネル30と吹出口カバー12との間から室内空気が室内機1内部に吸い込まれるのを抑制できる。したがって、輻射パネル30により加熱されて上昇した室内空気が、輻射パネル30と吹出口カバー12との間から室内機1内部に吸い込まれるのを抑制できるため、暖房効率を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態では、カバー部材33は、パネル本体31の背面に向かって突出する固定面51、53、54においてパネル本体31に接触して固定されており、固定面51、53、54の周囲部はパネル本体31に接触していないため、カバー部材33とパネル本体31との接触面積は小さい。そのため、パネル本体31の熱がカバー部材33に放熱されるのを抑制できる。
【0077】
また、本実施形態では、カバー部材33は、下側略半分が、前面熱交換器20aと対向するように配置されており、カバー部材33の背面側の下側略半分には、主吸込口10aおよび補助吸込口10b、10cから吸い込まれた空気を前面熱交換器20aに供給するための凹部65が設けられているため、主吸込口10aおよび補助吸込口10b、10cから吸い込まれた空気がカバー部材33によって前面熱交換器20aに供給されなくなるのを防止できる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0079】
例えば、上記実施形態では、輻射パネル30のカバー部材33は、パネル本体31の固定部41、42に固定する部分(51、53、54)が、パネル本体31の背面に向かって突出しているが、必ずしも突出していなくてよい。つまり、平板部50の上端近傍部または下端近傍部が、固定部41または固定部42の全面に接触した状態で固定されてもよい。
【0080】
上記実施形態では、カバー部材33の上端とパネル本体31の背面との隙間47に、輻射パネル30の上方に配置される部材である吹出口ユニット28の一部(挿入部12b)が挿入されているが、隙間47に何も挿入されていなくてもよい。
【0081】
上記実施形態では、輻射パネル30のカバー部材33は、フィルタ誘導保持部60a、61a、61b、62aを有しているが、室内機1の構成によっては、フィルタ誘導保持部を有していなくてもよい。この場合、カバー部材33は、突出部63、64および壁部60〜62を有していなくてもよい。
【0082】
上記実施形態では、輻射パネル30は、室内熱交換器20(前面熱交換器20a)の上端部と対向するように配置されているが、この構成に限定されない。例えば、室内熱交換器20の上端よりも上方に輻射パネル30が配置されていてもよい。
【0083】
上記実施形態では、室内機1の主に下部から室内空気を吸い込んで、室内機1の上部から吹き出すように構成されているが、室内機の上部から吸い込んで下部から吹き出すように構成されていてもよい。
【0084】
上記実施形態では、床面近傍に設置される床置き室内機に本発明を適用した例を挙げて説明したが、壁掛け室内機に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明を利用すれば、配管およびパネル本体の熱が室内機の内部側に放熱するのを確実に断熱できる。
【符号の説明】
【0086】
1 室内機
3 冷媒回路
10 ケーシング
10a 主吸込口(吸込口)
10b、10c 補助吸込口
12 吹出口カバー(外周部材)
20 室内熱交換器
21 室内ファン
30 輻射パネル
31 パネル本体
32 パネル配管(配管)
33 カバー部材
51、53、54 固定面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内熱交換器を収容すると共に、表面に設けられた輻射パネルを備えた室内機であって、
前記輻射パネルが、
パネル本体と、
前記パネル本体の背面に設けられ、冷媒回路の一部を構成する配管と、
前記パネル本体の背面側において前記配管から離れた状態で前記配管を覆うカバー部材とを有していることを特徴とする室内機。
【請求項2】
前記パネル本体と前記カバー部材とで囲まれる空間が密閉されないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の室内機。
【請求項3】
前記カバー部材が、その外周部と前記パネル本体との間に、前記空間に連通した隙間が形成された状態で前記パネル本体に固定されることを特徴とする特徴とする請求項2に記載の室内機。
【請求項4】
前記輻射パネルの上方に配置された外周部材の下端部が、前記パネル本体の背面に対向していると共に、前記隙間内に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の室内機。
【請求項5】
前記カバー部材が、前記パネル本体の背面に向かって突出する固定面を有しており、
前記カバー部材は、前記固定面が前記パネル本体の背面に接触した状態で前記パネル本体に固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の室内機。
【請求項6】
前記室内熱交換器を収容すると共に、前記パネル本体が表面に設けられたケーシングと、
前記ケーシングの下端部近傍に設けられた吸込口とを備え、
前記室内熱交換器の一部が、前記カバー部材の下端部と対向しており、
前記カバー部材の背面側の下端部には、前記吸込口から吸い込まれた空気を前記室内熱交換器に供給するための凹部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の室内機。
【請求項1】
室内熱交換器を収容すると共に、表面に設けられた輻射パネルを備えた室内機であって、
前記輻射パネルが、
パネル本体と、
前記パネル本体の背面に設けられ、冷媒回路の一部を構成する配管と、
前記パネル本体の背面側において前記配管から離れた状態で前記配管を覆うカバー部材とを有していることを特徴とする室内機。
【請求項2】
前記パネル本体と前記カバー部材とで囲まれる空間が密閉されないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の室内機。
【請求項3】
前記カバー部材が、その外周部と前記パネル本体との間に、前記空間に連通した隙間が形成された状態で前記パネル本体に固定されることを特徴とする特徴とする請求項2に記載の室内機。
【請求項4】
前記輻射パネルの上方に配置された外周部材の下端部が、前記パネル本体の背面に対向していると共に、前記隙間内に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の室内機。
【請求項5】
前記カバー部材が、前記パネル本体の背面に向かって突出する固定面を有しており、
前記カバー部材は、前記固定面が前記パネル本体の背面に接触した状態で前記パネル本体に固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の室内機。
【請求項6】
前記室内熱交換器を収容すると共に、前記パネル本体が表面に設けられたケーシングと、
前記ケーシングの下端部近傍に設けられた吸込口とを備え、
前記室内熱交換器の一部が、前記カバー部材の下端部と対向しており、
前記カバー部材の背面側の下端部には、前記吸込口から吸い込まれた空気を前記室内熱交換器に供給するための凹部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の室内機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−102893(P2012−102893A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249183(P2010−249183)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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