説明

室内用集塵装置

【課題】集塵気流によって、非堆積領域に塵埃が侵入し堆積することを防ぐことができる室内用集塵装置を提供する。
【解決手段】室内全体に集塵気流を発生させ浮遊塵埃を回収する集塵部4と、遮断気流10A、10Bをそれぞれ発生させるエアーカーテン部5A、5Bを備え、前記エアーカーテン部5A、5Bを、上方から見て影になり前記集塵気流が無ければ塵埃が落下しない非堆積領域7A、7Bの周囲に配置したもので、非堆積領域7A,7Bの周囲に配置されたエアーカーテン部5A、5Bが動作することにより、集塵部4によって発生した集塵気流によって非堆積領域7A、7Bへ塵埃が侵入し堆積することを防ぐことができ、非堆積領域7A、7Bを清潔に保ったまま室内全体の塵埃を回収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に気流を発生させ塵埃を集塵部へと集める室内用集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の室内用集塵装置としては、室内に気流を発生させ塵埃を集める集塵部を備え、その集塵部で気流を変化させることで、塵埃をより確実に回収しているものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、前記特許文献1に記載された従来の室内用集塵装置が設置された室内の平面図を示すものである。
【0004】
図4において、従来の室内用集塵装置は、集塵部1と気流計測装置2によって構成されている。集塵部1は、集塵のための気流を発生させると共に浮遊塵埃を集塵する。気流計測装置2は、集塵部1によって発生した気流が検知できるかによって、気流計測装置2の周囲の浮遊塵埃3が集塵出来るかどうかを判断する。また気流計測装置2は、室内を自由に持ち運ぶことが可能に構成されている。この気流計測装置2の判断に基づいて、集塵部1は、動作を変化させ、気流計測装置2の周囲の浮遊塵埃3を確実に集塵し空気を清浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−193944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の室内用集塵装置では、集塵のため室内全体に集塵気流を発生させることで、室内に存在する塵埃の総量を減らすことはできるが、例えば家具の内部や家具の下など上方から見て影になり気流が無ければ、塵埃が落下しない非堆積領域においては、この気流によって新たに塵埃が侵入してしまい、従来塵埃が堆積しなかった非堆積領域に塵埃が堆積してしまうという課題を有していた。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、集塵気流によって非堆積領域に塵埃が侵入し堆積することを防ぐことができる室内用集塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の室内用集塵装置は、室内全体に集塵気流を発生させ浮遊塵埃を回収する集塵部と、遮断気流を発生させるエアーカーテン部を備え、前記エアーカーテン部を、上方から見て影になり前記集塵気流が無ければ塵埃が落下しない非堆積領域の周囲に配置したもので、非堆積領域の周囲に配置されたエアーカーテン部が動作することにより、集塵部によって発生した集塵気流によって非堆積領域へ塵埃が侵入し堆積することを防ぐことができ、非堆積領域を清潔に保ったまま室内全体の塵埃を回収することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の室内用集塵装置は、集塵気流を発生させつつ非堆積領域への塵埃の侵入と堆積を防ぐことができるため、非堆積領域を常に清潔に保ったまま室内全体の塵埃を回収でき
るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態1における室内用集塵装置が設置された室内の斜視図
【図2】(a)同室内用集塵装置が設置された室内の床面付近の気流を示す概略図、(b)同室内用集塵装置の集塵部の動作が変更された時の室内の床面付近の気流を示す概略図
【図3】本実施の形態2における室内用集塵装置が設置された室内の床面付近の気流を示す概略図
【図4】従来の室内用集塵装置が設置された室内の平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、室内全体に集塵気流を発生させ浮遊塵埃を回収する集塵部と、遮断気流を発生させるエアーカーテン部を備え、前記エアーカーテン部を、上方から見て影になり前記集塵気流が無ければ塵埃が落下しない非堆積領域の周囲に配置したもので、非堆積領域の周囲に配置されたエアーカーテン部が動作することにより、集塵部によって発生した集塵気流によって非堆積領域へ塵埃が侵入し堆積することを防ぐことができ、非堆積領域を清潔に保ったまま室内全体の塵埃を回収することができる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明のエアーカーテン部を、非堆積領域へと流れる集塵気流からみて、非堆積領域の上流側のみに配置したもので、簡単な構成で非堆積領域を清潔に保つことができる。
【0013】
第3の発明は、特に、第1の発明のエアーカーテン部を、非堆積領域へと流れる集塵気流からみて、非堆積領域の上流側と下流側に配置したもので、簡単な構成で確実に非堆積領域を清潔に保つことができる。
【0014】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明のエアーカーテン部を、集塵部と連携して動作させるようにしたもので、より確実に効率よく非堆積領域を清潔に保つことができる。
【0015】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明のエアーカーテン部は、非堆積領域から空気を吸引し、その空気を吹出すようにしたもので、エアーカーテン部の気流が乱れ非堆積領域に侵入してもエアーカーテン部の気流に塵埃は含まれていないため非堆積領域をより確実に清潔に保つことができる。
【0016】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか一つの発明のエアーカーテン部を、非堆積領域を囲むように複数配置し、一つのエアーカーテン部から吹出された空気を、隣り合う他のエアーカーテン部で吸引するようにしたもので、エアーカーテン部の気流が周囲の集塵気流を乱すことがなくなるため、より確実に非堆積領域を清潔に保ったまま室内全体の塵埃を回収できるようになる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における室内用集塵装置について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態における室内用集塵装置が設置された室内の斜視図を示すものである。
【0019】
図1において、本実施の形態における室内用集塵装置は、それぞれ室内に配された集塵部4と、エアーカーテン部5A、5Bから構成されている。また室内には、家具6としてベッド6Aと棚6Bが配置されている。ベッド6Aの下と棚6Bの内部のそれぞれは、上方から見て影になっており、気流が無ければ塵埃が落下しない非堆積領域7A、7Bとなっている。
【0020】
集塵部4は、部屋全体から空気を吸引し、再び室内へと送風を行うことで、室内全体に集塵気流8を発生させ浮遊塵埃9を回収するものである。
【0021】
本実施の形態では、エアーカーテン部5Aは、ベッド6Aの下、すなわち非堆積領域7Aの周囲に配されると共に、略水平方向に遮断気流10Aを発生させて、非堆積領域7Aに塵埃が侵入するのを防止している。また、エアーカーテン部5Bは、棚6Bの上部に設けられると共に、略鉛直方向下向に遮断気流10Bを発生させて、棚6Bの内部すなわち、非堆積領域7Bに塵埃が侵入するのを防止している。
【0022】
図2(a)は、同室内用集塵装置が設置された室内の床面付近の気流を示す概略図を示すものであり、図2(b)は、集塵部4の動作が変更された時の室内の床面付近の気流を示す概略図を示すものである。
【0023】
図2(a)において、室内には、ベッド6Aと棚6Bが設けられており、ベッド6Aの下部が非堆積領域7A、棚6Bの内部が非堆積領域7Bとなっている。また、室内には、集塵部4とエアーカーテン部5A、5Bが配置されており、室内の床面付近には、集塵部4へと向かう集塵気流8が発生している。集塵気流8の一部は、ベッド6Aの集塵部4から遠い一辺を上流側とし集塵部4から近い一辺を下流側として、ベッド6Aの下側を流れている。
【0024】
ベッド6Aの周囲に配置されたエアーカーテン部5Aは、上流側エアーカーテン部11と下流側エアーカーテン部12で構成されており、それぞれ遮断気流10Aを発生させている。
【0025】
図2(b)において、集塵部4は、動作を変更しており、よりベッド6Aから離れた方向から浮遊塵埃9を回収するよう集塵気流8を変化させている。
【0026】
集塵気流8の変化に伴って、ベッド6Aの下を流れる集塵気流8は弱まっており、逆に棚6Bの近くを流れる集塵気流8は強くなっている。
【0027】
本実施の形態では、集塵部4が動作を変更するのに連携して、エアーカーテン部5A、5Bも動作を変更しており、エアーカーテン部5Aのうち下流側エアーカーテン部12は動作しておらず、またエアーカーテン部5Bはより強く動作している。
【0028】
また集塵部4とエアーカーテン部5A、5Bは連携して動作する構成となっている。
【0029】
以上のように構成された本実施の形態における室内用集塵装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0030】
まず室内用集塵装置が動作されると、集塵部4が室内全体に集塵気流8を発生させる。
【0031】
ベッド6Aの下の非堆積領域7Aには、常に集塵気流8が流れ、棚6Bの内部の非堆積領域7Bでは、集塵気流8に乱れが生じた場合や棚6Bの周囲で発生する微細な乱流によって非堆積領域7Bへと流れ込む気流が発生する。
【0032】
集塵気流8によって浮遊塵埃9は、集塵部4へと移動されるが、浮遊塵埃9の一部は、集塵部4へと移動する最中に床面へと落下してしまう。集塵部4のみが動作した場合、集塵気流8が部屋全体を流れ、非堆積領域7A、7Bにも流れるため、浮遊塵埃9も部屋中を移動する。そのため集塵気流8が無ければ、浮遊塵埃9が落下することがなかった非堆積領域7A、7Bにも浮遊塵埃9を運び床面上に浮遊塵埃を堆積させてしまう。
【0033】
そこで、本実施の形態では、集塵部4が動作されると、それに連携して、エアーカーテン部5A、5Bが動作し、非堆積領域7A、7Bへの浮遊塵埃9の侵入を防ぐよう遮断気流10A、10Bを発生させる。またエアーカーテン部5A、5Bは、集塵部4の動作に応じてその動作を変化させる。
【0034】
集塵部4が、部屋全体から均等に塵埃を集めるよう動作した場合には、ベッド6Aの下にも強い集塵気流8が発生するため上流側エアーカーテン部11と下流側エアーカーテン部12を同時に動作させ、両方で遮断気流10Aを発生させる。また、棚6Bは、部屋の隅に置かれ集塵気流8の影響を受けにくいため弱い遮断気流10Bを発生させる。
続いて集塵部4は、浮遊塵埃9をより効率良く回収するため、集塵気流8の向きを変える。集塵気流8が、ベッド6Aから離れて棚6Bの方向から集塵部4へと流れる場合に、ベッド6A下の集塵気流8は弱まり、棚6Bの周囲に強い集塵気流8が形成される。
【0035】
集塵部4の動作の変更に伴い、エアーカーテン部5Aでは、上流側エアーカーテン部11のみを動作させて遮断気流10Aを発生させ、下流側エアーカーテン部12を停止させる。またエアーカーテン部5Bでは、遮断気流10Bをより強く発生させるようにする。
【0036】
このように、集塵部4の動作の変更に伴い、エアーカーテン部5A、5Bの動作を変化させることで、最低限の動作で確実に非堆積領域7A、7Bへの浮遊塵埃9の侵入を防ぐことができる。
【0037】
なお、本実施の形態において、エアーカーテン部5A、5Bは、遮断気流10A、10Bによって浮遊塵埃9の非堆積領域へ侵入を防ぐ構成としたが、静電気により浮遊塵埃9の侵入を防ぐ構成としてもかまわない。
【0038】
(実施の形態2)
図3は、本実施の形態2における室内用集塵装置が設置された室内の床面付近の気流を示す概略図を示すものである。なお、上記実施の形態1における室内用集塵装置と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図3において、本実施の形態における室内用集塵装置は、それぞれ室内に配された集塵部4と、エアーカーテン部5Aから構成されている。また室内には、家具6としてベッド6Aが配置されている。ベッド6Aの下は、非堆積領域7Aとなっている。集塵部4は、部屋全体から空気を吸引し、再び室内へと送風を行うことで室内全体に集塵気流8を発生させ浮遊塵埃9を回収している。
【0040】
本実施の形態では、エアーカーテン部5Aは、ベッド6Aの周囲に配置されて、非堆積領域7Aへの塵埃の侵入を防ぐため遮断気流10Aを発生させるもので、吹き出し部13と、2台の中継部14A、14Bと、吸引部15の合計4台で構成されている。
【0041】
吹き出し部13は、ベッド6Aの下の非堆積領域7Aから空気を吸引し遮断気流10Aとして中継部14Aに向けて吹き出す。中継部14Aでは、吹き出し部13からの遮断気流10Aを吸引し、さらに、次の中継部14Bに向けて吹き出す。中継部14Bでも、同
様に中継部14Aから吹き出された遮断気流10Aを吸引し、吸引部15に向けて吹き出す。吸引部15では、中継部14Bから送られてきた遮断気流10を吸引し、吸引した空気をベッド6Aの下の非堆積領域7Aへと戻す。
【0042】
以上のように構成された本実施の形態における室内用集塵装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0043】
まず室内用集塵装置が動作されると、集塵部4が、室内全体に集塵気流8を発生させる。それによってベッド6Aの下の非堆積領域7Aには常に集塵気流8が流れるようになる。
【0044】
集塵気流8に伴って、浮遊塵埃9が非堆積領域7Aに侵入しようとするため、本実施の形態ではエアーカーテン部5Aが動作される。
【0045】
エアーカーテン部5Aでは、遮断気流10Aが形成される。吹き出し部13は、ベッド6Aの下の非堆積領域7Aから空気を吸引し遮断気流10Aを形成する。遮断気流10Aは吹き出し部13から中継部14Aと、中継部14Bを経て吸引部15へと流れ、吸引部15では、遮断気流10Aを非堆積領域7Aに戻す。
【0046】
このような動作によって、ベッド6Aの周囲には遮断気流10Aが形成される。遮断気流10Aは、非堆積領域7から吸引されるため浮遊塵埃9を含まない気流となっている。またその遮断気流10Aが、最終的に非堆積領域7へと戻されるため、非堆積領域7内に流入する気流は発生せず、非堆積領域7および遮断気流10Aは、浮遊塵埃9を含まず清潔に保たれる。
【0047】
また遮断気流10Aは、吹き出し部13と、2台の中継部14及び吸引部15が設置された部分にのみ形成されるため、周囲の集塵気流8に大きな影響を与えることがない。
【0048】
なお、上記実施の形態における構成は、必要に応じて適宜組み合わせて使用することができるものであり、本発明は、上記実施の形態そのものの構成に限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明にかかる室内用集塵装置は、集塵気流によって、非堆積領域に塵埃が侵入し堆積することを防ぐことができるもので、一つの空間に気流を発生させる各種機器に適用できる。
【符号の説明】
【0050】
4 集塵部
5A、5B エアーカーテン部
6 家具
7A、7B 非堆積領域
8 集塵気流
9 浮遊塵埃
10A、10B 遮断気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内全体に集塵気流を発生させ浮遊塵埃を回収する集塵部と、遮断気流を発生させるエアーカーテン部を備え、前記エアーカーテン部を、上方から見て影になり前記集塵気流が無ければ塵埃が落下しない非堆積領域の周囲に配置した室内用集塵装置。
【請求項2】
エアーカーテン部を、非堆積領域へと流れる集塵気流からみて、非堆積領域の上流側のみに配置した請求項1に記載の室内用集塵装置。
【請求項3】
エアーカーテン部を、非堆積領域へと流れる集塵気流からみて、非堆積領域の上流側と下流側に配置した請求項1に記載の室内用集塵装置。
【請求項4】
エアーカーテン部を、集塵部と連携して動作させるようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の室内用集塵装置。
【請求項5】
エアーカーテン部は、非堆積領域から空気を吸引し、その空気を吹出すようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の室内用集塵装置。
【請求項6】
エアーカーテン部を、非堆積領域を囲むように複数配置し、一つのエアーカーテン部から吹出された空気を、隣り合う他のエアーカーテン部で吸引するようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載の室内用集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−27355(P2011−27355A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174945(P2009−174945)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)