説明

家庭用昇降装置

【目的】乗降部■と可変型バランスウエイト■との重量を釣り合わせて昇降システムの負担を最小にさせて総合的に家庭用としての維持費の少ない利用を可能とする。さらに、釣合状態で昇降させることにより各種の安全確保を得る。
【構成】乗降部■と、乗降部■を上下駆動させる昇降システム■と、昇降システム■にワイヤーを介して接続された可変型バランスウエイト■と、乗降部■の重量と可変型バランスウエイト■との重量との差を検出するバランス検出装置■と、検出結果に基づいて可変型バランスウエイト■の重量を可変する荷重移動装置■とからなり、バランス検出装置■で検出された結果に基づき乗降部■と可変型バランスウエイト■との重量がバランスがとれるように荷重移動装置■によって移動用加重物体1 を移動させ、バランスが得られた時点で昇降システム■を作動させて乗降部■の昇降動作を行なう。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般家庭家屋に利用するための家庭用昇降装置に関し、特に家庭利用として最小の電力により可動し、しかも停電時において安全が確保でき、老人や子供にも安心して利用できる家庭用昇降装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高齢化社会になりつつある日本の現状に於いて、住宅設備も、二世代、三世代住宅が普及しつつあり、一戸建て住宅も限られた土地に建設する為に、高層化が進んでいる。したがって高齢者が上層階に住む機会も多くなり、階段等の昇降に不便をきたし、高齢者の行動が制限されている。一部に機械昇降装置(エレベータ)が取り付けられている住宅も見受けられるが、一般的に普及されるに至っていない。これは、エレベータの取付費が高価であること、電気代等の維持費が掛かる事による。本発明は、この問題を解決した安価で維持費の少ない家庭用昇降装置(ホームエレベータ)を提供するものである。図5は従来技術の一例を示し、その構造は以下の通りである。人の乗降部51とワイヤー52を介して乗降部とバランスを取ったウエイト53から構成され、昇降動力部54で、昇降が可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上のように構成された従来の家庭用昇降装置では、この乗降部51とウエイト53とのバランスは固定されており、人の乗降に際しても、変化することはない。したがって、人の乗降によってバランスが崩れた状態で昇降運転が行われている。その意味から、ワイヤー及び、動力装置には、不均衡に耐えうる設計がなされ、大型化となり、資材費、建設費が高騰し、電気代等の維持費が掛かり一般家庭に普及されるに至っていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明による家庭用昇降装置は、荷物あるいは人を乗降させるための乗降部と、乗降部を上下駆動させる昇降システムと、昇降システムにワイヤーを介して接続された可変型バランスウエイトと、乗降部の重量と可変型バランスウエイトとの重量との差を検出するバランス検出装置と、検出結果に基づいて可変型バランスウエイトの重量を可変する荷重移動装置とからなり、バランス検出装置で検出された結果に基づき乗降部と可変型バランスウエイトとの重量がバランスがとれるように荷重移動装置によって移動用加重物体を移動させ、予め定めた誤差内のバランスが得られた時点で昇降システムを作動させて乗降部の昇降動作を行なうようにしたことを特徴としている。
【0005】
【作用】本発明では、従来の家庭用昇降装置に加えてバランス検出器およびバランス移動装置が設けられ、バランス検出器にて乗降部とバランス貯蔵部との重量の違いを検出しバランス移動装置により双方の重量を一致させ、予め定めた誤差内のバランスが得られた時点で希望する昇降動作を行なうようにしたため、昇降に必要なエネルギーはこれらバランスの誤差で生じた位置エネルギー分と総移動質量の移動に伴う仕事量と、昇降時に生じる摩擦分との合成となる。この合成力は、停電時においては乗降している人あるいは乗降外にいる人の力で代用でき得るという僅かな力である。
【0006】
【実施例】以下本発明の一実施例を添付図面を参照して以下に説明する。図1から図4は本発明の4つの形態概略的に示す図面である。いずれの実施例も主構成は、乗降部■、昇降システム■、可変型バランスウエイト■、バランス検出装置■および荷重移動装置■とから成る。また、図1、図3および図4に開示した本発明の実施例を各々の図面毎に説明をする。
【0007】図1に開示した本発明の一実施例を以下に説明する。
[図1における乗降部■]
・側方一端に出入口11を備え、その出入口11には更にドア部安全確認装置19が設けられる。
・乗降用の箱体の天部外側部には移動用加重物体1 である加重用液5 を貯蔵するケージ側タンク13を備え、ケージ側タンク13に貯蔵された加重用液5 を出し入れするフレキシブルパイプ29の一端がケージ側タンクの底部まで延長されて挿入され抜けないように固定されている。
[図1における昇降システム■]・昇降システム■は、乗降部■を釣り下げるワイヤー21を巻きつける滑車部22と、滑車部22と軸接続した昇降電動機23と、可変型バランスウエイト■を釣り下げるワイヤー21と、昇降電動機23を安全に制御する制御装置25から成り、乗降部■を釣り下げるワイヤー21と可変型バランスウエイト■を釣り下げるワイヤー21とは同一のワイヤーで形成され、昇降電動機23は付設建築物上方に設置して利用する。
[図1における可変型バランスウエイト■]
・可変型バランスウエイト■は、基本ウエイト27と、貯蔵タンク3 とから成り、貯蔵タンク3 には底部まで端部が届くようにフレキシブルパイプ29が挿入固定されている。
[図1におけるバランス検出装置■]
・バランス検出装置■は、1つの滑車部22と、2つの案内滑車31と、滑車部22の回転を停止させるマグネットブレーキ33と、2つの案内滑車31の水平を検出する水平検出器35とから構成される装置である。
・以上の構成の関連を示すと、滑車部22の軸支持基部37は付設建築物上方に設置され、軸支持基部37は滑車部22の軸部分を中央の角に位置させた二等辺三角形状をなし、軸支持基部37の両袖角側に2つの案内滑車31をそれぞれ設置し、さらに軸支持基部37の底辺に沿って水平検出器35を設置する。
・以上構成されたバランス検出装置■の動作を説明すると、滑車部22および案内滑車31にワイヤー21を掛けマグネットブレーキ33により滑車部22の動きを停止状態にすると、ワイヤー21の両端に釣り下げられた乗降部■と可変型バランスウエイト■との重量のバランスに応じて軸支持基部37は滑車部22の軸部分を中心に傾く。この傾斜は水平検出器35により検出され、乗降部■に対し可変型バランスウエイト■の重量が重いか、軽いか、あるいは均衡が取れてバランスしているかを判断し検出信号が出力される。
[図1における荷重移動装置■]
・荷重移動装置■は、可変型バランスウエイト■の貯蔵タンク3 の上方側面に設けられた液体移送ポンプ30であり、貯蔵タンク3 の底部へ導かれたフレキシブルパイプ29の上方端が液体移送ポンプ30の一端に接続され、液体移送ポンプ30のもう一端には同様にフレキシブルパイプ29が接続され、このフレキシブルパイプ29のもう一端部は貯蔵部17の一形態として形成したケージ側タンク13へ導かれている。
【0008】[図1に開示した実施例の動作]以上により構成した本発明の1実施例の動作の捕捉説明を以下に列記する。
・乗降部■に人が乗ると、マグネットブレーキ33でワイヤー21を停止状態にしたバランス検出装置■は乗降部■側へ傾く。
・乗降部■内の人がドア部安全確認装置19によりエレベータを作動させても安全であることを確認して完全確認ボタンを押すと、水平検出器35で検出された情報に基づき連動して荷重移動装置■が作動する。
・荷重移動装置■はこの場合、ケージ側タンク13の加重用液5 を貯蔵タンク3 へ移動するように液体移送ポンプ30が作動し、水平検出器35(例えば誤差±2゜内)が水平であると判断した状態で液体移送ポンプ30を停止させる。
・乗降部■と可変型バランスウエイト■との重量が均衡が得られた段階で、乗降部■中で指示された内容、例えば「1Fから2Fへ上昇移動」という指示に従い昇降システム■が作動する。この昇降システム■が作動と同時にマグネットブレーキ33が解除されて乗降部■が目的階まで移動する。
・乗降部■の移動時において、フレキシブルパイプ29は乗降部■と可変型バランスウエイト■との間でU字状に垂れ下がりながら変形移動する。経年変化による老化を避けるために、このフレキシブルパイプの処理は図2に示したように滑車部22の同軸で太い滑車を併設し、フレキシブルパイプ29をこの太い滑車側を経由させる手段もとり得る。
【0009】図3に開示した本発明の一実施例を以下に説明する。
[図3における乗降部■]
・乗降部■は図1の構成と同一であるので詳細は重複するので省略し、必要に応じ図1の乗降部■の説明を参照する。
[図3における昇降システム■]・昇降システム■は図1の構成と同一であるので詳細は重複するので省略し、必要に応じ図1の昇降システム■の説明を参照する。
[図3における可変型バランスウエイト■]
・可変型バランスウエイト■は、基本ウエイト27と、移動用加重物体1 である加重用ワイヤー39を貯蔵する貯蔵装置9 とから構成される。
[図3におけるバランス検出装置■]
・バランス検出装置■は図1の構成と同一であるので詳細は重複するので省略し、必要に応じ図1のバランス検出装置■の説明を参照する。
[図3における荷重移動装置■]
・荷重移動装置■は、可変型バランスウエイト■の垂直上方の付設建築物上方に設置された巻き揚げ電動機15と、巻き揚げ電動機15の動軸に設けられた加重用ワイヤー39を巻き揚げるプーリ41とから形成されている。
【0010】[図3に開示した実施例の動作]以上により構成した本発明の1実施例の動作の捕捉説明を以下に列記する。
・乗降部■に人が乗ると、マグネットブレーキ33でワイヤー21を停止状態にしたバランス検出装置■は乗降部■側へ傾く。
・乗降部■内の人がドア部安全確認装置19によりエレベータを作動させても安全であることを確認して完全確認ボタンを押すと、水平検出器35で検出された情報に基づき連動して荷重移動装置■が作動する。
・荷重移動装置■はこの場合、プーリ41に巻かれた加重用ワイヤー39を巻き揚げ電動機15を作動させて加重用ワイヤー39を降ろして可変型バランスウエイト■の貯蔵装置9 へ移動させ、水平検出器35(誤差±2゜)が水平であると判断した状態で巻き揚げ電動機15を停止させる。なお、貯蔵装置9 側で降ろされた加重用ワイヤー39は、ランダムに納められるが、巻き揚げ電動機15を逆に作動させて巻き揚げた際に絡まないように加重用ワイヤー39の形状決定をしている。
・乗降部■と可変型バランスウエイト■との重量が均衡が得られた段階で、乗降部■中で指示された内容、例えば「1Fから2Fへ上昇移動」という指示に従い昇降システム■が作動する。この昇降システム■が作動と同時にマグネットブレーキ33が解除されて乗降部■が目的階まで移動する。
・乗降部■の移動時において、巻き揚げ電動機15は乗降部■の移動の速度に同期して加重用ワイヤー39を巻き揚げ下げを行なう。これは、加重用ワイヤー39自身に重量をもたせたため、例えば1Fから2Fへ乗降部■を移動した場合に巻き揚げ電動機15の同期運転をさせないと、乗降部■の移動距離分だけ加重用ワイヤー39が貯蔵装置9 に溜まり、可変型バランスウエイト■側の重量の方が重くなり、バランスが崩れた状態でエレベータが動作し、最終的に昇降システム■の負荷が大きくなる。
【0011】図4に開示した本発明の一実施例を以下に説明する。
[図4における乗降部■]
・側方一端に出入口11を備え、その出入口11には更にドア部安全確認装置19が設けられる。
・乗降用の箱体の天部外側部には加重用ワイヤー39を巻き取って貯蔵する、貯蔵部17の一形態として形成したケージ側電動機付プーリ43を備え、ケージ側電動機付プーリ43には加重用ワイヤー39が巻き取り貯蔵される。
[図4における昇降システム■]・昇降システム■は図1の構成と同一であるので詳細は重複するので省略し、必要に応じ図1の昇降システム■の説明を参照する。
[図4における可変型バランスウエイト■]
・可変型バランスウエイト■は、基本ウエイト27と、加重用ワイヤー39を貯蔵する貯蔵装置9 とから構成される。加重用ワイヤー39のもう一端はケージ側電動機付プーリ43に巻き付けられる。
[図4におけるバランス検出装置■]
・バランス検出装置■は図1の構成と同一であるので詳細は重複するので省略し、必要に応じ図1のバランス検出装置■の説明を参照する。
[図4における荷重移動装置■]
・荷重移動装置■は、可変型バランスウエイト■の貯蔵装置9 に備えた巻き揚げ電動機15とケージ側電動機付プーリ43との同期運転により、加重用ワイヤー39が可変型バランスウエイト■とケージ側電動機付プーリ43との間を移動し必要な重量バランスをおこなうようにしている。
【0012】[図4に開示した実施例の動作]以上により構成した本発明の1実施例の動作の捕捉説明を以下に列記する。
・乗降部■に人が乗ると、マグネットブレーキ33でワイヤー21を停止状態にしたバランス検出装置■は乗降部■側へ傾く。
・乗降部■内の人がドア部安全確認装置19によりエレベータを作動させても安全であることを確認して完全確認ボタンを押すと、水平検出器35で検出された情報に基づき連動して荷重移動装置■が作動する。
・荷重移動装置■はこの場合、ケージ側電動機付プーリ43に巻き付けられて貯蔵されていた加重用ワイヤー39を可変型バランスウエイト■の貯蔵装置9 に備えた巻き揚げ電動機15とケージ側電動機付プーリ43との同期運転により、可変型バランスウエイト■の貯蔵装置9 へ移動させ、水平検出器35(例えば誤差±2゜内)が水平であると判断した状態で両電動機を停止させる。
・乗降部■と可変型バランスウエイト■との重量が均衡が得られた段階で、乗降部■中で指示された内容、例えば「1Fから2Fへ上昇移動」という指示に従い昇降システム■が作動する。この昇降システム■が作動と同時にマグネットブレーキ33が解除されて乗降部■が目的階まで移動する。
【0013】以上本発明の実施例の構造および使用方法を述べたが、各構成要素は、必要に応じ下記に示した他の実施態様が得られる。
【0014】図1に開示した実施例において、乗降部■に設けたケージ側タンク13は乗降用の箱体の底部外側部に設置してもよい。また、昇降システム■における滑車部22も同軸上に複数滑車を併設し各々独立したワイヤーで乗降部■と可変型バランスウエイト■とを昇降させることができる等、昇降装置は従来一般に知られる種々のロービング形態を取り得る。
【0015】図3に開示した荷重移動装置■および可変型バランスウエイト■との間を移動させる加重用ワイヤー39は一つの種類の太さのワイヤーを用いているが、必要に応じ、荷重移動装置■を複数用い、複数の太さのワイヤーまたは、複数のワイヤーに異なる荷重物体を垂下させて移動用加重物体を構成させて、これらを組合せて移動させることにより、迅速なバランス動作をおこなうように構成し得る。また、図4に開示した荷重移動装置■も同様の形態をとり得る。
【0016】図4に開示した昇降システム■で負荷の掛かるワイヤーは巻き揚げ電動機15とケージ側電動機付プーリ43との間を往復する加重用ワイヤー39を用いて兼用させているが、必要に応じて、昇降システム■のワイヤーを独立したワイヤーとすることができる。これにより、加重用ワイヤー39の荷重移動装置■のシステム上の不都合に左右されず安全に乗降部■の昇降を得ることができる。
【0017】図1、図3および図4に開示した実施例の動作では、完全確認ボタンを押すことにより、初めて荷重移動装置■を作動させていた。この制御により、同一人物の乗り降りの多い家庭用に対して有効である。すなわち、荷重変化がないために、荷重移動もなく、従って荷重移動に際する電力負担もいらない。しかし、この完全確認ボタンを押さなくとも、常に荷重移動装置■を作動させるように制御させることも可能である。この変更により、利用者の入れ替わりが激しい場合や、軽い荷物と重い荷物をランダムに運搬する際、さらには、逐次乗降部■と可変型バランスウエイト■との重量バランスを迅速にとることにより、万が一昇降システム■のワイヤーブレーキが故障した際においても安全を確保することができ得る。
【0018】実施例で開示したバランス検出装置■は、1形態のみ開示したが、その他以下に示すように従来の技術を応用した種々の形態が取り得る。
【0019】[案内滑車31の受ける圧力を測定する形態]
・図1に示したバランス検出装置■の構成中、水平検出器35を取り除き、その代りにワイヤー21の緊張力を受ける2つの案内滑車31の負荷圧力を案内滑車の軸支持部で測定する圧力測定装置(図示なし)を各々設けた構成とする。
・以上の構成の関連を示すと、滑車部22の軸支持基部37は付設建築物上方に固定設置され、軸支持基部37は滑車部22の軸部分を中央の角に位置させた二等辺三角形状をなし、軸支持基部37の両袖角側に2つの案内滑車31をそれぞれ設置し、さらに軸支持基部37の底辺に沿って水平方向に測定する圧力測定装置を各々の案内滑車31の軸支持部分に設ける。
・以上構成されたバランス検出装置■の動作を説明すると、滑車部22および案内滑車31にワイヤー21を掛けマグネットブレーキ33により滑車部22の動きを停止状態にし、ワイヤー21の両端に釣り下げられた乗降部■と可変型バランスウエイト■との重量のバランスに応じて付設建築物に対して固定した軸支持基部37に備え付けられた案内滑車31は各々のワイヤー21の負荷に対し軸受け部が負荷を受ける。この両負荷を各々の圧力測定装置により検出し、乗降部■に対し可変型バランスウエイト■の重量が重いか、軽いか、あるいは均衡が取れてバランスしているかを判断し検出信号が出力され、その後の関連動作は例えば図1の説明と同一である。
【0020】[単純に乗降部■と可変型バランスウエイト■との重量を測定する形態]
・乗降部■の上下動を静止時に押さえるストッパー(図示せず)を設け、このストッパーと乗降部■との間を測定する圧力センサーを設ける。一方、可変型バランスウエイト■にも同様に上下動を静止時に押さえるストッパー(図示せず)を設け、このストッパーと可変型バランスウエイト■との間を測定する圧力センサーを設ける。両圧力センサーから得られた検出信号を比較することにより乗降部■に対し可変型バランスウエイト■の重量が重いか、軽いか、あるいは均衡が取れてバランスしているかを判断し検出信号が出力され、その後の関連動作は例えば図1の説明と同一である。
【0021】
【発明の効果】以上の図1〜図5で具体的に開示した本発明は荷物や人の入った乗降部の重量に対し、可変型バランスウエイトの重量を所要条件の元にバランスさせて乗降部を上昇および下降させており、その結果以下に列記する効果を奏する。
【0022】・従来のエレベータに比べて乗降部の移動時におけるエネルギーは乗降部の重量と可変型バランスウエイトとの重量が同一であるため、移動時において位置エネルギーにおける負荷負担がなく、可動時の摩擦がない理想的なモデルにおいては、原理上いかなる小さなトルクの原動機であっても乗降部を上下移動させることができる。
【0023】・上述のように小さなトルクで上下動できるために、停電時や制御の故障または昇降電動機の故障、あるいは安全のためのブレーキ機構の故障が万が一あったとしても乗降部は落下することがない。また手動による昇降手段を取付けた場合においては、乗降部内で自力で昇降が可能であり、また外部において人力で昇降させることが可能であるため極めて安心感の高いエレベータが提供できる。
【0024】・昇降電動機が従来機種に対し極端に低トルクの設計ができるために、全体に低価格で製造できるとともに、従来一般家庭であっても3相交流の電源を新設してエレベータ設置を行なう必要がある等、電源上の制約あるいは電気使用料の増加などの総合コストの問題もあったが、本発明の家庭用昇降装置では一般家庭で使用されている電源を換えず、かつ維持費の少ない利用ができ得る。
【0025】・完全確認ボタンを被利用者が乗車して押す等の荷重移動装置■の作動条件を設定しさえすれば、本発明の家庭用昇降装置は、例えば同一人物の乗り降りの多い条件下では荷重移動に際する電力負担もいらず、バランスに際する時間も不要で迅速でかつ極めて低コストな理想的な運転ができ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 移動用加重物体を加重用液で構成した本発明の一実施例を示す構造図。
【図2】 図1のフレキシブルパイプの処理を滑車を経由させた例を示す構造図。
【図3】 移動用加重物体を加重用ワイヤーで構成した本発明の一実施例を示す構造図。
【図4】 加重用ワイヤーが可変型バランスウエイトとケージ側電動機付プーリ間を移動し高効率のバランス動作を行なう例を示す構造図。
【図5】 従来の技術を示す構造図。
【符号の説明】
図1中
■…乗降部
■…昇降システム
■…可変型バランスウエイト
■…バランス検出装置
■…荷重移動装置
1 …移動用加重物体
3 …貯蔵タンク
5 …加重用液
7 …加重用ワイヤー
9 …貯蔵装置
11…出入口
13…ケージ側タンク
15…巻き揚げ電動機
17…貯蔵部
19…ドア部安全確認装置
21…ワイヤー
22…滑車部
23…昇降電動機
25…制御装置
27…基本ウエイト
29…フレキシブルパイプ
30…液体移送ポンプ
31…案内滑車
33…マグネットブレーキ
35…水平検出器
37…軸支持基部
39…加重用ワイヤー
41…プーリ
43…ケージ側電動機付プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 荷物あるいは人を乗降させるための乗降部(■)と、乗降部(■)を上下駆動させる昇降システム(■)と、昇降システム(■)にワイヤーを介して接続された可変型バランスウエイト(■)と、乗降部(■)の重量と可変型バランスウエイト(■)との重量との差を検出するバランス検出装置(■)と、検出結果に基づいて可変型バランスウエイト(■)の重量を可変する荷重移動装置(■)とからなり、バランス検出装置(■)で検出された結果に基づき乗降部(■)と可変型バランスウエイト(■)との重量がバランスがとれるように荷重移動装置(■)によって移動用加重物体(1 )を移動させ、予め定めた誤差内のバランスが得られた時点で昇降システム(■)を作動させて乗降部(■)の昇降動作を行なうようにしたことを特徴とする家庭用昇降装置。
【請求項2】 液体の貯蔵を行なう貯蔵タンク(3 )により可変型バランスウエイト(■)を構成し、移動用加重物体(1 )を加重用液(5 )とし、かつ可変型バランスウエイト(■)へ加重用液(5 )を移動させるポンプにより荷重移動装置(■)を構成した請求項1に記載の家庭用昇降装置。
【請求項3】 移動用加重物体(1 )を加重用ワイヤー(7 )とし、加重用ワイヤー(7 )を所望の重量に達するまで貯蔵する貯蔵装置(9 )により可変型バランスウエイト(■)を構成するとともに、可変型バランスウエイト(■)へ加重用ワイヤー(7 )の移動を行なう巻き揚げ電動機(15)により荷重移動装置(■)を構成した請求項1に記載の家庭用昇降装置。
【請求項4】 可変型バランスウエイト(■)へ移動するための移動用加重物体(1 )を乗降部(■)上に貯蔵する貯蔵部(17)を設け、貯蔵部(17)に貯蔵された移動用加重物体(1 )を荷重移動装置(■)により可変型バランスウエイト(■)へ移動するようにした請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の家庭用昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平7−291554
【公開日】平成7年(1995)11月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−92565
【出願日】平成6年(1994)4月28日
【出願人】(592032533)