説明

家電収納キャビネット

【課題】簡単な構成により、家電製品の使用時にはシャッターの閉鎖を回避するようにした家電収納キャビネットを提供する。
【解決手段】家電収納キャビネット10は、前面が開放した棚Aと、この棚内に備えられた給電用の電源コンセント19a,19bと、この棚の開放した前面を閉鎖し得るシャッター16とを備え、さらに、電源コンセントに接続された家電製品の使用を検出する家電使用検出手段と、シャッターの閉鎖を防止するシャッター閉鎖回避手段23と、この家電使用検出手段が家電製品の使用を検出したとき、このシャッター閉鎖回避手段を作動させる制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチン等における家電収納キャビネットに係り、特に使用時に水蒸気を発生するような家電製品を収納する家電収納棚を備えたシャッター付き家電収納キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家電収納キャビネット1は、図10及び図11に示すように、左右一対の側板2a,2bと、天板3,底板4及び背板5と、これら天板3と底板4との間で適当な間隔を有して配設された複数の棚板6と、から構成されており、互いに組み付けられることにより、前面が開放した複数段、図示の場合、四段の棚Aを画成している。なお、底板4は、その下方に配置された台輪4aにより僅かに浮き上がった状態に配置されている。
【0003】
ここで、棚Aのうち、最上段の棚A1及び最下段の棚A4は、例えば食器類や台所用品などを収納する通常の収納棚として構成されており、必要に応じて前面を閉鎖するための扉や引き戸などが備えられている。図示の実施形態では、最下段の棚A4のみが扉A4aを備えている。
【0004】
これに対して、中間の二段の棚A2,A3は、それぞれ電子レンジやコーヒーメーカーの収納用、そして電気ポットや電気炊飯器を収納するための家電収納棚として構成されている。中間の棚のうち下から二段目の棚A3には、電気ポットや電気炊飯器の使用時に発生する水蒸気を外部へ排出するように、送風装置7が後端に配置されている。
【0005】
上記送風装置7は、図11に示すように、背板5に対して前側で平行に配置された遮蔽板7aと、この遮蔽板7aの裏側に配設された送風ファン7bと、この送風ファン7bを回転駆動するモータ(図示せず)と、から構成されている。遮蔽板7aは上下端に全幅に亘って前方に開放した通気用の間隙を有しており、上記送風ファン7bはこの遮蔽板7aの裏側に画成された空間の下方に配置されていて、送風ファン7bがモータにより回転駆動されると、送風ファン7bが上方に向かって空気を送出するとともに、棚A3内から遮蔽板7aの下方の間隙を介して空気を吸引し、遮蔽板7aの上方の間隙を介して棚A3内に、そして棚A3から外部へ空気を送出するようになっている。
【0006】
さらに、中間の二段の棚A2,A3には、それぞれ内部の後端面に、給電用の電源コンセント8a,8bが設けられている。これらの電源コンセント8a,8bは、外部の電源、例えば一般商用電源に接続されて常時給電されており、これらの電源コンセント8a,8bに、使用すべき電子レンジ,電気ポット,電気炊飯器等の家電製品の電源コードを接続することで、これらの家電製品がいつでも使用できるようになっている。
そして、特に棚A3内の電源コンセント8bにて、家電製品の電源オンにより所定値以上の電流が流れたとき、これを検知して、送風装置7が作動するようになっている。
【0007】
このように、家電収納キャビネット1においては、家電製品の使用時、特に水蒸気が発生するような電気ポット,コーヒーメーカー,電気炊飯器などの家電製品の使用時には、送風装置7を自動的に作動させることで、家電製品から発生する水蒸気を棚A3から外部へ排出し、これにより棚A3内における結露やカビの発生を防止するようにしている。
この種の家電収納キャビネットが特許文献1に開示されている。
【0008】
しかしながら、このような家電収納キャビネット1においては、特に家電製品を収納するための棚A2,A3は前面が開放していることから、内部に収納している電子レンジ,電気ポット,電気炊飯器等の家電製品が露出し、雑然とした外観になってしまう。このため、例えば来客時等にあっては、棚A2,A3の前面もシャッターや扉などで覆って、内部を見えなくするようにしたいという要望がある。
【0009】
ところが、棚A2,A3、特に棚A3が閉じられた状態で、内部に収納された家電製品が使用されると、使用に伴って水蒸気が発生することになり、この水蒸気が当該棚A3内に溜ってしまうので、内部で結露が発生したり、場合によってはカビが発生したりすることがある。
【0010】
特許文献2には、家電収納用の前面が開放した棚をドア体により開閉可能に備えると共に、このドア体の閉鎖時における裏面側近傍に電源コンセントを設けたキャビネットが開示されている。この特許文献2によるキャビネットでは、ドア体の閉鎖時に、家電製品を使用できないようにするために、ドア体の閉鎖位置の裏面側近傍に電源コンセントを設けることにより、家電製品の電源コードを電源コンセントに挿入した状態ではドア体が閉鎖できないようにし、ドア体の閉鎖時に、家電製品を使用して棚内部に水蒸気が溜ってしまうことがないように図っている。
【特許文献1】特開2004−275246号公報
【特許文献2】特開平09−084643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2のキャビネットにおいては、来客時等においてドア体を閉鎖することで、雑然とした棚内部を隠蔽することは可能ではあるが、ドア体を閉鎖する度に、家電製品の電源コードを電源コンセントから外すことが必要となり、操作が煩雑になってしまう。
【0012】
本発明は、以上の点に鑑み、簡単な構成により、家電製品の使用時には、シャッターの閉鎖を回避するようにした家電収納キャビネットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の家電収納キャビネットは、前面が開放した家電収納用の棚と、この棚内に備えられた給電用の電源コンセントと、この棚の開放した前面を閉鎖し得るシャッターとを具備するとともに、電源コンセントに接続された家電製品の使用を検出する家電使用検出手段と、シャッターの閉鎖を防止するシャッター閉鎖回避手段と、家電使用検出手段が家電製品の使用を検出したとき、シャッター閉鎖回避手段を作動させる制御手段と、を設けたことを特徴としている。
【0014】
本発明による家電収納キャビネットにおいて、上記シャッター閉鎖回避手段は、好ましくは、シャッターの閉鎖に対して警告するアラーム手段として構成されるか、或いは、機械的にシャッターの閉鎖を阻止するストッパーとして構成される。
【0015】
本発明による家電収納キャビネットにおいて、上記制御手段が家電使用検出手段の検出信号に基づいて家電製品の使用停止を検出したとき、ストッパーによるシャッター閉鎖阻止を解除するよう構成すればより好ましい。
【0016】
本発明による家電収納キャビネットにおいて、上記制御手段が、シャッター開放を確認したときにのみ、ストッパーによるシャッター閉鎖阻止を行なうよう構成してもよい。
【発明の効果】
【0017】
上記構成によれば、電源コンセントを備えた棚に収納され、当該棚の電源コンセントに接続された家電製品の電源が投入され使用されると、家電使用検出手段が当該家電製品の使用を検出する。これにより、制御手段がシャッター閉鎖回避手段を作動させてシャッターの閉鎖を防止する。従って、当該棚に収納された家電製品の使用状態において、使用者が不用意にシャッターを閉鎖しようとしても、シャッター閉鎖回避手段によりシャッターの閉鎖が回避される。
【0018】
このようにして、シャッターが閉じられた棚内に収納された家電製品の使用時におけるシャッターの閉鎖が回避されるので、シャッターが閉じた状態で、その棚内に収納された家電製品の使用により水蒸気が内部に溜ってしまうことが防止できる。
【0019】
シャッター閉鎖回避手段がシャッターの閉鎖に対して警告するアラーム手段である場合には、家電製品の使用状態で使用者がシャッターを閉鎖しようとすると、アラーム手段により警告音,警告表示等の警告が行なわれるので、使用者は、この警告を確認することにより家電製品の使用中に不用意にシャッターを閉鎖してしまうことを回避することができる。
【0020】
シャッター閉鎖回避手段が機械的にシャッターの閉鎖を阻止するストッパーである場合には、家電製品の使用状態でシャッター閉鎖回避手段のストッパーが作動し、シャッターの通路内に進入して機械的にシャッターの閉鎖を阻止する。従って、家電製品の使用状態で使用者がシャッターを閉鎖しようとしても、シャッターの閉鎖が機械的にストッパーにより阻止される。
【0021】
制御手段が家電使用検出手段の検出信号に基づいて家電製品の使用停止を検出したとき、ストッパー作動によるシャッター閉鎖阻止を解除する場合には、その後使用者がシャッターを閉鎖しようとしたとき、シャッターはこのストッパーにより阻止されることなく、閉鎖することができる。
【0022】
制御手段がシャッター開放を確認したときにのみストッパー作動によるシャッター閉鎖を阻止する場合には、家電製品の使用が開始されたとき、シャッター閉鎖回避手段のストッパーを作動させる前に制御手段がシャッター開放を確認するので、シャッター閉鎖状態でストッパーをシャッターの通路内に進入させて、ストッパーを故障させてしまうことを防止することができる。
【0023】
以上のように、本発明によれば家電製品の使用中にシャッターを閉じることが回避され、シャッターが閉じた状態でその棚内に収納された家電製品が誤使用されて水蒸気が内部に溜ってしまう事態を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、背景技術と同一または対応する部材には同一符号を用いて、本発明を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1及び図2は本発明による家電収納キャビネットの第一の実施形態の構成を示している。これらの図において、家電収納キャビネット10は、例えばシステムキッチンに組み込まれて使用されるものであり、左右一対の側板11a,11bと、天板12,底板13及び背板14と、複数の棚板15と、から構成されており、互いに組み付けられることにより、前面が開放した複数段、図示の場合、四段の棚Aと、後述するシャッター収納部16cと、を画成している。図示の場合、底板13は、その下方に配置された台輪13aにより、僅かに浮き上がった状態に配置されている。
【0025】
さらに、この家電収納キャビネット10は、棚Aのうち、上方の三つの棚A1,A2,A3の開放した前面を閉鎖し得ると共に、上方へ退避可能なシャッター16と、シャッター開閉制御装置20(図2参照)と、を備えている。また、最下段の棚A4は、例えば食器類や台所用品などを収納する通常の収納棚として構成されており、図示の場合、前面を閉鎖するための扉17を備えている。
【0026】
これに対して、中間の二段の棚A2,A3は、それぞれ電子レンジやコーヒーメーカーの収納用、そして電気ポット,電気炊飯器,オーブントースター等の使用時に水蒸気を発生する家電製品を収納するための家電収納棚として構成されている。下から二段目の棚A3の後端には、図2に示すように上述した特許文献1に記載の送風装置7が配置されている。
【0027】
さらに、中間の二段の棚A2,A3には、それぞれ内部の後端面、即ち棚A2では背板14の前面、棚A3では遮蔽板7aの前面の所定位置に、それぞれ給電用の電源コンセント19a,19bが設けられている。なお、これらの電源コンセント19a,19bは、それぞれ側板11aまたは11bの内面に設けられていてもよい。
【0028】
これらの電源コンセント19a,19bは、外部の電源、例えば一般商用電源に接続されて給電されるようになっており、これらの電源コンセント19a,19bに、棚A2,A3内に収納される電子レンジ,電気ポット,電気炊飯器等の家電製品の電源コードを接続することでこれらの家電製品が使用される。
そして、各電源コンセント19a,19bには、それぞれ接続された家電製品の使用を検出する家電使用検出手段としての家電使用センサ19c,19dが設けられている。特に棚A3内の電源コンセント19bにて、家電製品使用時に家電使用センサ19dがその使用状態を検知し、送風装置7が作動するようになっている。
【0029】
家電使用センサ19c,19dは、それぞれ例えば電流センサとして構成されており、家電製品の電源オンにより電源コンセント19a又は19bに所定値以上の電流が流れたとき、これを検出する。
【0030】
シャッター16は、棚Aのうち、上方の三つの棚A1,A2,A3の前面を閉鎖し得るように、上方へ退避可能に構成されている。具体的には、シャッター16は、横方向に細長く延びるシャッター部材16aが上下に多数連結されることにより構成されていると共に、下端16bが比較的剛性のある部材から構成されている。
【0031】
このシャッター16は、その両側縁が、側板11a,11bの内側の前縁付近に設けられたガイド溝11c,11d内に沿って上下方向に案内されると共に、棚A1の上方に設けられたシャッター収納部16c内に渦巻き状に折り畳んだ状態で収納される。
【0032】
このようにして、シャッター16は、使用者がシャッターの下端16bを持って下方に移動させることにより、図3に示すように、各棚A1,A2,A3の前面を閉鎖する。なお、シャッター16は、好ましくは、容易に上方へ移動し得るように、図示しないバネ等により上方に向かって付勢されている。これにより、使用者がシャッター16の下端16bを持って、上方へ移動させる際に、比較的小さな力で上方への移動が可能である。
【0033】
シャッター開閉制御装置20は、シャッター検出手段としてのシャッター検出センサ21と、制御手段としての制御回路22と、シャッター閉鎖回避手段としてのアラーム装置23と、から構成されている。シャッター検出センサ21は、図4に示すようにリミットスイッチとして構成されており、そのアクチュエータ21aがガイド溝11c,11dに沿って下降するシャッター16で押動されることにより、シャッター16を検出する。なお、シャッター検出センサ21としては、リミットスイッチに限定されることなく、シャッターを検出できるものであれば、任意の他の形式のシャッター検出センサ、例えば透過型フォトカプラ,反射型フォトカプラや静電センサ等を使用することができる。
【0034】
ここで、シャッター検出センサ21は、シャッター16を検出すべき棚A2,A3毎にそれぞれ設けられており、図示の場合、各棚A2,A3にて、その上端付近に配置されている。これにより、シャッター検出センサ21は、それぞれ棚A2,A3にて、その前面がシャッター16により閉じかけた状態を検出することができる。
【0035】
また、制御回路22は、家電収納キャビネット10の適宜の位置、図示の場合には、底板13の下側で台輪13a内に配置されていて、図5に示すように、各シャッター検出センサ21から入力される検出信号と各電源コンセント19a,19bに設けられた家電使用センサ19c,19dの検出信号とに基づいて、アラーム装置23を制御する。
【0036】
具体的には、この制御回路22は、各棚A2,A3に備えられた電源コンセント19a,19bにて家電製品の使用が検出されている状態で、シャッター検出センサ21から検出信号が入力されたとき、アラーム装置23に対して制御信号を送出することにより、アラーム装置23を動作させる。さらに、シャッター検出センサ21からの検出信号がなくなったとき、アラーム装置23の動作を停止させるようになっている。
【0037】
アラーム装置23は、家電収納キャビネット10のシャッター16の閉鎖時でも露出するように、例えば図示の場合には、棚A3及び棚A4の間にて前面に設けられている。このアラーム装置23は、図示の場合、警告灯23aと警告ブザー23bとを含んでおり、制御回路22から制御信号が入力されたとき、警告灯23aが点灯または点滅し、警告ブザー23bが鳴るようになっている。
【0038】
本発明の実施形態による家電収納キャビネット10は以上のように構成されており、シャッター16は通常は開放されていて、各棚A1,A2,A3は前面が開放して内部が見えるようになっている。そして、例えば棚A2内には電子レンジが収納され、また棚A3内には電気ポット及び電気炊飯器が収納され、それぞれ電源コードが電源コンセント19a,19bに接続される。
【0039】
この状態から、例えば電気炊飯器の電源がオンされると、制御回路22を介して電源コンセント19bから電気炊飯器に給電が行なわれ、電気炊飯器が動作する。そして、家電使用センサ19dが電源コンセント19bの電流を感知して家電使用を検出することにより、送風装置7が動作を開始する。
また、シャッター16の下端16bが下方へ移動されると、図3に示すように、シャッター16が棚A1〜A3を閉鎖することになり、例えば不意の来客時等に、棚A1〜A3の雑然とした内部を隠蔽することができる。
【0040】
上記家電収納キャビネット10のシャッター開閉制御装置20の動作について、図6のフローチャートに従って以下、具体的に説明する。
まず、ステップS1にて、制御回路22は、棚A2の家電使用センサ19cからの検出信号に基づいて棚A2における家電製品の使用をチェックする。
【0041】
ステップS1にて家電製品が使用されている場合には、制御回路22は、ステップS2にて、棚A2のシャッター検出センサ21の検出信号に基づいて当該棚A2のシャッター開放をチェックする。ステップS2にて当該棚A2のシャッターが閉じられようとしている場合には、制御回路22はステップS3にてアラーム装置23を作動させ、その後ステップS1に戻る。
【0042】
なお、ステップS2にてシャッター16が開放している場合、又は閉じられようとしていない場合には、制御回路22は棚A2,A3にてシャッター開放と判断し、ステップS4にて、アラーム装置23が作動しているか否かをチェックして、アラーム装置23が作動していない場合にはそのままステップS1に戻る。アラーム装置23が作動している場合にはさらにステップS5にてアラーム装置23の作動を解除した後、ステップS1に戻る。
【0043】
ステップS1にて当該棚A2にて家電製品が不使用である場合には、制御回路22はステップS6にて棚A3の家電使用センサ19dからの検出信号に基づいて棚A3における家電製品の使用をチェックする。そして、ステップS6にて家電製品が使用されている場合には、制御回路22はステップS7にて棚A3のシャッター検出センサ21の検出信号に基づいて当該棚A3のシャッター開放をチェックする。
【0044】
ステップS7にて当該棚A3のシャッターが閉じられようとしている場合には、制御回路22はステップS8にてアラーム装置23を作動させる。なお、ステップS7にてシャッター16が開放している場合、又は閉じられようとしていない場合には、制御回路22は棚A3にてシャッター開放と判断し、ステップS9にてアラーム装置23が作動しているか否かをチェックして、アラーム装置23が作動していない場合には、そのままステップS1に戻る。アラーム装置23が作動している場合にはさらにステップS10にてアラーム装置23の作動を解除した後、ステップS1に戻る。
【0045】
ステップS6にて当該棚A3にて家電製品が不使用である場合には、制御回路22はステップS1に戻る。そして、制御回路22は上述したステップS1〜S10の動作を繰返し行なう。
【0046】
このようにして、家電製品、特に電気炊飯器などの水蒸気を発生する家電製品を使用しているときに、使用者がシャッター16を閉じようとすると、アラーム装置23が作動するので、使用者はシャッター閉鎖を回避することができる。従って、シャッターで閉鎖された棚A2,A3内に家電製品の使用により水蒸気が溜ったり、結露したり或いはカビが発生することが効果的に防止される。
なお、このような構成の家電収納キャビネット10においては、アラーム装置23は制御信号に基づいて警告を所定時間だけ行なうように構成されていてもよい。これにより、上述した図6のフローチャートにおけるステップS4,S5,S9及びS10が省略され得ることになる。
【0047】
[第2の実施形態]
図7及び図8は本発明による家電収納キャビネットの第二の実施形態の構成を示している。図7において、家電収納キャビネット30は、図1に示した家電収納キャビネット10とほぼ同様の構成であって、以下の点でのみ異なる構成になっている。即ち、家電収納キャビネット30では、図1に示した家電収納キャビネット10におけるアラーム装置20の代わりに、各棚A2,A3にそれぞれ係止装置31を備えている。
【0048】
この係止装置31は、図7に示すように、棚A2,A3におけるシャッター検出センサ21のすぐ下の位置に配置されており、ガイド溝11c,11dにより案内されるシャッター16の通路内に進退可能に支持されたストッパー32と、このストッパー32をシャッター16の通路内に挿脱する駆動手段33と、から構成されている。各係止装置31は、制御回路22からの制御信号に基づいて駆動手段33でストッパー32をシャッター16の通路内に挿入し、または退避させることにより、シャッター16の閉鎖(下降)を阻止し、または許すようになっている。
【0049】
本実施形態における制御回路22は、図8に示すように、各棚A2,A3に備えられた電源コンセント19a,19bで家電製品の使用が検出されているとき、各棚A2,A3のシャッター検出センサ21からの検出信号に基づいて当該棚A1,A3の係止装置31を作動させ、シャッター16の閉鎖を阻止し得るようになっている。ここで、制御回路22は、各係止装置31に対して制御信号を送出する前に、シャッター検出センサ21から検出信号をチェックして、各棚A2,A3におけるシャッター開放を確認したときのみ制御信号を送出する。
【0050】
駆動手段33は、図示の場合、図示しないモータにより回転駆動されるピニオン33aと、このピニオン33aの回転により直線往復運動するラック33bとから構成されており、ラック33bに支持されたストッパー32を矢印方向に往復移動させる。
【0051】
このような構成の家電収納キャビネット30によれば、図1及び図2に示した家電キャビネット10と同様に、シャッター16は通常は開放されていて、各棚A1,A2,A3は前面が開放して内部が見えるようになっている。そして、例えば棚A2内には電子レンジが収納され、また棚A3内には電気ポット及び電気炊飯器が収納され、それぞれ電源コードが電源コンセント19a,19bに接続される。
【0052】
この状態から、例えば電気炊飯器の電源がオンされると、制御回路22を介して電源コンセント19bから電気炊飯器に給電が行なわれ、電気炊飯器が動作する。そして、家電使用センサ19dが電源コンセント19bの電流を感知して家電使用を検出することにより、送風装置7が動作を開始する。
また、シャッター16の下端16bが下方に移動されると、図3に示すように、シャッター16が棚A1〜A3を閉鎖することになり、例えば不意の来客時等に、棚A1〜A3の雑然とした内部を隠蔽することができる。
【0053】
次に、家電収納キャビネット30のシャッター開閉制御装置20の動作を、図9のフローチャートに従って具体的に説明する。
まず、ステップS11にて、制御回路22は、棚A2の家電使用センサ19cからの検出信号に基づいて棚A2における家電製品の使用をチェックする。
【0054】
ステップS11にて家電製品が使用されている場合には、制御回路22はステップS12にて棚A2のシャッター検出センサ21の検出信号に基づいて当該棚A2のシャッター開放をチェックする。
ステップS12にて当該棚A2のシャッターが開放している場合には、制御回路22は、ステップS13にて、当該棚A2の係止装置31を作動させて、ストッパー32をシャッター16の通路に進入させることによりシャッター16の閉鎖を阻止し、その後ステップS11に戻る。
【0055】
ステップS12にてシャッター16が閉じている場合には、制御回路22は棚A2にてシャッター閉鎖と判断し、当該棚A2の係止装置31の作動を中止してそのままステップS11に戻る。
【0056】
ステップS11にて当該棚A2の家電製品が不使用である場合には、制御回路22はステップS14にて当該棚A2の係止装置31のストッパー32の作動を確認する。ストッパー32が作動している場合にはステップS15にてストッパー32の作動を停止して解除する。また、ステップS14にてストッパー32が作動していない場合には、ステップS15をパスする。
続いて、制御回路22は、ステップS16にて、棚A3の家電使用センサ19dからの検出信号に基づいて棚A3における家電製品の使用をチェックする。
【0057】
ステップS16にて家電製品が使用されている場合には、制御回路22はステップS17にて棚A3のシャッター検出センサ21の検出信号に基づいて当該棚A3のシャッター開放をチェックする。ステップS17にて当該棚A3のシャッターが開放している場合には、制御回路22はステップS18にて当該棚A3の係止装置31を作動させて、ステップS16に戻る。ステップS17にてシャッター16が閉じている場合には、制御回路22は棚A3にてシャッター開放と判断し、そのままステップS11に戻る。
【0058】
ステップS16にて当該棚A3の家電製品が不使用である場合には、制御回路22はステップS19にて当該棚A2の係止装置31のストッパー32の作動を確認する。ストッパー32が作動している場合には、制御回路22はステップS20にてストッパー32の作動を停止して解除する。またステップS19にてストッパー32が作動していない場合には、そのままステップS11に戻る。そして、制御回路22は、上述したステップS11〜S20の動作を繰返し行なう。
【0059】
このようにして、家電製品、特に電気炊飯器等の水蒸気を発生する家電製品を使用しているときには、係止装置31で当該棚A2,A3におけるシャッター16の閉鎖を強制的に阻止するので、使用者は、誤ってシャッター16を閉じてしまうようなことがない。従って、シャッターで閉鎖された棚A2,A3内に家電製品の使用による水蒸気が溜ったり、結露したり或いはカビが発生することが効果的に防止される。
【0060】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で様々な形態で実施することができる。例えば、上述した実施形態では、家電使用センサ19c,19dとして、電流センサを用いた例を示したが、家電製品の使用時に発生する熱や水蒸気を検出する温度センサまたは湿度センサを利用し、家電製品の発熱による温度上昇を温度センサで検出し、あるいは家電製品の使用に伴って発生する水蒸気による湿度上昇を湿度センサで検出することにより、家電製品の使用を検出することができる。
【0061】
シャッター閉鎖回避手段としては、上述したアラーム装置23及び係止装置31の何れか一方を備えていればよいが、アラーム装置23及び係止装置31の両方を備えていればより効果的である。
【0062】
係止装置31の駆動手段33として、実施例ではラック及びピニオンの例を示したが、ストッパー32を往復移動させることができれば、他の任意の構成の駆動手段であってよい。例えば、駆動手段33として、ソレノイドやプランジャ或いはリニアモータ等の直線駆動手段も適用できることは明らかである。
【0063】
さらに、上述した実施形態においては、棚Aのうち、最下段の棚A4は、通常の扉付きの収納棚として構成されているが、これに限らず、システムキッチンで一般的に採用されている引出しを有する収納棚,扉無しの収納棚等の任意の形式の収納棚として構成されていてもよい。
また、上述した実施形態においては、棚A2,A3の複数の棚における家電の使用を検知してアラーム装置23や係止装置31を作動させる構成としたが、棚A2と棚A3のどちらか一方のみの家電の使用を検知してアラーム装置23等を作動させる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による家電収納キャビネットの第一の実施形態の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す家電収納キャビネットの縦断面図である。
【図3】図1に示す家電収納キャビネットにおけるシャッター閉鎖状態の概略斜視図である。
【図4】図1に示す家電収納キャビネットにおけるシャッター検出手段の部分拡大図である。
【図5】図1に示す家電収納キャビネットにおける電気的構成のブロック図である。
【図6】図1に示す家電収納キャビネットにおける制御回路の動作のフローチャートである。
【図7】本発明による家電収納キャビネットの第二の実施形態の要部の構成を示す図4と同様の部分拡大図である。
【図8】図7に示す家電収納キャビネットにおける電気的構成を示すブロック図である。
【図9】図7に示す家電収納キャビネットにおける制御回路の動作のフローチャートである。
【図10】従来の家電収納キャビネットの一例の構成を示す概略斜視図である。
【図11】図10に示す家電収納キャビネットの縦断面図である。
【符号の説明】
【0065】
7 送風装置
10 家電収納キャビネット
11a,11b 側板
12 天板
13 底板
14 背板
15 棚板
16 シャッター
17 扉
19a,19b 電源コンセント
19c,19d 家電使用センサ
20 シャッター開閉制御装置
21 シャッター検出センサ
22 制御回路
23 アラーム装置
23a 警告灯
23b 警告ブザー
30 家電収納キャビネット
31 係止装置
32 ストッパー
33 駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開放した家電収納用の棚と、この棚内に備えられた給電用の電源コンセントと、この棚の開放した前面を閉鎖し得るシャッターと、を含んでいる家電収納キャビネットであって、
上記電源コンセントに接続された家電製品の使用を検出する家電使用検出手段と、
当該シャッターの閉鎖を防止するシャッター閉鎖回避手段と、
上記家電使用検出手段が家電製品の使用を検出したとき上記シャッター閉鎖回避手段を作動させる制御手段と、
を設けたことを特徴とする、家電収納キャビネット。
【請求項2】
前記シャッター閉鎖回避手段が、前記シャッターの閉鎖に対して警告するアラーム手段であることを特徴とする、請求項1に記載の家電収納キャビネット。
【請求項3】
前記シャッター閉鎖回避手段が、機械的に前記シャッターの閉鎖を阻止するストッパーであることを特徴とする、請求項1に記載の家電収納キャビネット。
【請求項4】
前記制御手段が前記家電使用検出手段の検出信号に基づいて前記家電製品の使用停止を検出したとき、前記ストッパーによるシャッター閉鎖阻止を解除することを特徴とする、請求項3に記載の家電収納キャビネット。
【請求項5】
前記制御手段が、シャッター開放を確認したときにのみ、前記ストッパーによるシャッター閉鎖阻止を行なうことを特徴とする、請求項3又は4に記載の家電収納キャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−325802(P2007−325802A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160338(P2006−160338)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】