説明

容器搬送装置、及びこれを用いた熱収縮性フィルム包装システム、並びに容器搬送方法

【課題】容器に熱収縮包装を施す際に、前記容器に被せられた熱収縮性フィルムの浮き上がりやズレ等を防止する容器搬送装置を提供すること。
【解決手段】筒状の熱収縮性フィルムFが容器底部側から被せられた容器Aを、容器開口部を下側へ向けて載置させた状態で搬送する下部搬送部11と、前記下部搬送部11に対向する上方領域に、前記下部搬送部11の搬送方向へ延設されてなる複数列の上方抑止部12,13と、を備える容器搬送装置1の前記上方抑止部12,13間に形成されたスペース内へ前記容器底部が入り込むとともに、容器Aに被着された前記熱収縮性フィルムFの浮き上がりを前記上方抑止部12,13で抑えながら前記容器Aを搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器搬送装置、及びこれを用いた熱収縮性フィルム包装システム、並びに容器搬送方法に関する。より詳しくは、熱収縮包装を容器に施すときに、熱収縮フィルムを容器の所定位置に確実に装着するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を商品として流通させる場において、その物品の容器を包装することが行われる。その際、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱収縮性フィルムをラベルとし、これを前記容器に被せて熱収縮させる技術が用いられる。例えば、特許文献1には、開封用のミシン目を備えており、容器に装着された状態で加熱することで容器の周方向に熱収縮し、前記容器に密着一体化する筒状の熱収縮性フィルムが開示されている。
【0003】
そして、包装する容器の形状が容器底部から容器開口部へむけて末広がるテーパー形状である場合には、前記容器開口部を下側にした状態で筒状の熱収縮性フィルムを前記容器に被せて加熱収縮して包装することができる。しかし、前記容器に筒状の熱収縮性フィルムを被せてそのまま熱収縮させたのでは、前記熱収縮フィルムが曲面である容器側胴部から滑るため、容器の上側(底部側)へ持ち上げる力が働く。そのため、前記熱収縮性フィルムが前記容器の側胴部から浮き上がり皺やズレが生じてしまい、テーパー形状の容器に対して良好で均一な熱収縮包装を行うことが難しいという問題があった。
【0004】
これに関するものとして、特許文献2には、皿状の被包装物を包装するにあたり、加熱炉を通過する状態で配置した無端搬送具に対向する状態で押え具を配置し、この押え具で皿容器をカバーした上面部分のフィルムの熱収縮を抑制する薄地皿状物のシュリンク包装装置等に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−18089号公報。
【特許文献2】特開平7−172418号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記押え具を用いた包装技術では、包装する容器の形状が薄皿状の容器に限られてしまう。例えば、ソフトクリームアイスのコーン菓子部分の収容容器等に用いられる尖頭部を有する形状の容器の場合や、テーパー形状である容器の外周壁の開口部近傍にのみ包装する場合等には、包装しない容器部分が前記押え具に接触してしまう。このため、熱収縮性フィルムを上面から押さえつけることができない。従って、かかる形状の容器等を熱収縮包装する場合には、熱収縮性フィルムが前記容器から浮き上がることを防止することができないという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前記形状のような容器に熱収縮包装を施す場合でも、容器に被せられた熱収縮性フィルムの浮き上がりやズレ等を防止する容器搬送装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず、本発明は、(1)筒状の熱収縮性フィルムが容器底部側から被着した容器を、容器開口部を下側へ向けて設置させた状態で搬送する「下部搬送部」、(2)前記下部搬送部に対向する上方領域に、前記搬送部の搬送方向へ延設された複数列の「上方抑止部」、以上(1)と(2)とを備え、前記上方抑止部間に形成されたスペース内へ前記容器底部が入り込むとともに、容器に被着された前記熱収縮性フィルムの浮き上がりを前記上方抑止部で抑えながら該容器を搬送するように工夫された容器搬送装置を提供する。次に、本発明は、前記上方抑止部の間隔幅が調整可能となるように工夫された容器搬送装置も提供する。
【0008】
また、本発明は、前記下部搬送部上を搬送される容器に向かって熱を加えて前記熱収縮性フィルムの一部を収縮させることにより、該フィルムを容器に一部仮止めするための熱源を備える容器運搬装置も提供する。更に、前記容器開口部近傍へ向かって熱を加える配置構成とするようにも工夫できる。更に、本発明は、前記下部搬送部が容器周方向に容器を回転させながら搬送するよう工夫された容器搬送装置を提供する。続いて、本発明は、前記容器搬送装置を少なくとも備えた熱収縮性フィルム包装システムを提供する。
【0009】
そして、本発明では、(1)筒状の熱収縮性フィルムが容器底部側から被着された容器が、該容器の開口部を下側にした状態で搬送される工程、(2)前記熱収縮性フィルムの上端部周縁のうち、前記容器の搬送方向からみて、前記容器底部を挟んだ個所が、上方から抑えられる工程、(3)前記熱収縮性フィルムが被着された前記容器の開口部近傍が加熱される工程、以上の工程(1)〜(3)が同時に行われる容器搬送方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る容器搬送装置は複数列の上方抑止部を備えることで、テーパー形状を有する容器等の開口部近傍や外周壁の中間部近傍に熱収縮包装する際であっても熱収縮フィルムの浮き上がりやズレを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面に示された実施形態は本発明の好適な実施形態を例示したものであり、これにより本発明が狭く解釈されることはない。
【0012】
図1は、本発明に係る容器搬送装置の第1実施形態の側面図であり、図2は、同実施形態の平面図である。そして、図3は、本発明に係る容器搬送装置が熱収縮性フィルムの浮き上がりを防止する機構を説明するための簡略側面図であり、図4と図5は、本発明に係る容器搬送装置が熱収縮性フィルムの浮き上がりを防止する機構を説明するための簡略正面図である。なお、以下に使用する全ての図面では、説明の便宜上、装置の構造を簡略化して示している。
【0013】
まず、図1、図2に示された符号1は、容器からの熱収縮性フィルムの浮き上がりやズレ等を防止する2列の上方抑止部を備えた容器搬送装置を表している。前記容器搬送装置1は、容器Aを搬送する下部搬送部11と、容器Aの搬送方向(矢印V方向;図1、図2参照)から見て、主に容器Aの右上方の熱収縮性フィルムFの浮き上がりを抑える上方抑止部12と、主に容器Aの左上方の熱収縮性フィルムの浮き上がりを抑える上方抑止部13と、をそれぞれ備えている(図1、図2参照)。
【0014】
下部搬送部11は、筒状の熱収縮性フィルムFを被せた容器を矢印V方向(図1、図2参照)に沿って搬送する。そして、前記下部搬送部11は、動力源であるモータープーリー111を備え、ヘッドプーリー112と協働してベルトを回転させるベルトコンベアである。そして、該ベルトコンベアのベルトはキャリア側ベルト113とリターン側ベルト114とからなっており、前記容器Aはキャリア側ベルト113上を矢印V方向に搬送される(図1参照)。
【0015】
なお、本実施形態では下部搬送部11にベルトコンベアを用いているが、本発明の下部搬送部11はベルトコンベアに限定するものではない。包装する容器の材質や、熱収縮させる加熱温度や、搬送速度等に応じて、エプロンコンベアやローラーコンベア等を用いることができる。また、本発明では、前記容器の搬送方向は直線方向に限定するものでない。即ち、前記下部搬送部は、ストレートコンベアに限定するものでもなく、設置場所等に応じて適宜ターンテーブル等を設けてカーブさせることもできる。
【0016】
次に、上方抑止部12,13は、前記下部搬送部11上で搬送されている容器から該容器に被せている熱収縮性フィルムFが浮きあがることや、ずれたりすること等を防止する役割を担う。そして、本実施形態に係る上方抑止部12(13)は、先端に傾斜(傾斜角θ)を設けたベルトコンベアであり、該ベルトコンベアは、動力源であるモータープーリー121(131)と、ヘッドローラー122(132)と、スナップローラー123(133)とでベルトを回転させる(図1参照)。従って、上方抑止部12(13)もベルトコンベア等により前記下部搬送部11の搬送速度に対して適切な回転速度で回転させることで、前記容器をより滑らかに搬送することもできる。
【0017】
また、前記下部搬送部11上で搬送される容器Aに被せられた熱収縮性フィルムFが浮き上がっている場合には、前記上方抑止部12(13)の下面側のベルト124(134)が、前記熱収縮性フィルムFの上端部周縁F1を適度な圧力をもって当接することで、前記熱収縮性フィルムFの浮き上がりやズレ等を解消する。しかし、前記ベルト124(134)が前記熱収縮性フィルムFの上端部周縁F1と当接する際の圧力が強すぎると前記熱収縮性フィルムFが皺になったり筒状の形状が崩れてしまったりする。一方、前記圧力が弱すぎると前記熱収縮性フィルムFの浮き上がりを十分に解消できない。従って、前記ベルト124(134)の上側に弾性体を備える等によって矢印W方向に適度な付勢をつけることが望ましい(図1参照)。
【0018】
また、本発明では、前記上方抑止部12,13を2列とすることに限定するものではない。容器の形状や、包装するラインの処理能力や稼動環境等に応じて、2列以上の上方抑止部を併設することができる。あるいは、上方抑止部の後続に再び上方抑止部を設けて、再度熱収縮性フィルムの浮き上がりを防止することもできる。
【0019】
なお、本実施形態では、前記上方抑止部12,13にベルトコンベアを用いているが、本発明の上方抑止部はベルトコンベアに限定するものではない。包装する熱収縮性フィルムの材質や、容器の形状や材質等に応じてローラーコンベアを用いてもよい。また、コンベアベルトを用いる際であっても、そのベルトの材質等を特に限定するものでなく、樹脂ベルトや黒ゴムベルトやモジュラーベルト等を用いてもよい。更に、包装する容器の使用目的等に応じて、耐熱ベルトを使用したり、コーティング等によって抗菌・抗カビ性や非粘着性等をコンベアベルトに付与したりすることもできる。
【0020】
更に、本実施形態では、上方抑止部12,13について、スナップローラー123(133)を設けることで、容器Bの進入方向(矢印V参照)側である端部に傾斜(傾斜角θ)をつけたベルトコンベアとしている(図3参照)。従って、前記容器Aに被せられた熱収縮性フィルムFが浮き上がっている状態で矢印V方向から搬送されてきた場合には、前記熱収縮性フィルムFを徐々に上から押さえていくことができる(図3参照)。これにより、徐々に前記熱収縮性フィルムFを押さえていくことで所定の包装位置に位置決めすることができる。また、スナッププーリー123(133)を設けて傾斜角θを大きくすることは、前記ベルトのスリップを防止することにも寄与できる。
【0021】
なお、傾斜角θの角度は熱収縮性フィルムの材質や形状等に応じて最適な角度にすることができる。しかし、本発明では、傾斜(傾斜角θ)を上方抑止部12,13に付与することに限定するものではない。例えば、容器と熱収縮性フィルムの形状の関係によっては、前記上方抑止部12(13)のヘッドプーリー122(132)の軸径を大きくすることで上方抑止部の前記端部に適度な曲面を作りだすことによって、熱収縮性フィルムの浮き上がりを十分に解消することもできる。
【0022】
また、本実施形態では、包装する容器の形状に合わせて上方抑止部12,13の高さhを調節することができる(図1、図4、図5参照)。底が深い容器を包装する場合には高さhを大きくし、底が浅い容器を包装する場合には高さhを小さくすることができる。これによって、底の深い容器や底の浅い容器にかかわらず、容器に被せた熱収縮性フィルムの浮き上がりを防止することができる。
【0023】
そして、本実施形態では、手動で上下操作ハンドル14を操作することで前記上方抑止部12,13を上下動させることができる。しかし、本発明では上方抑止部を上下動させる手段について限定するものではない。例えば、スプラインシャフト等を利用した簡易な手動式であってもよいし、モーター等を利用した電動式であってもよい。あるいは、容器の寸法等を入力する電算機と連動させておき、前記電算機に入力された数値に基づいて自動的に高さhを決定する制御装置を利用してもよい。
【0024】
また、本実施形態では、上方抑止部12,13の間隔幅wを調節することができる(図2、図4、図5参照)。筒状の熱収縮性フィルムを被せている容器の幅や直径が大きい場合には間隔幅wを大きくし、前記容器の幅や直径が小さい場合には間隔幅wを小さくすることができる。これによって、容器の大きさや幅や包装する熱収縮性フィルムの大小にかかわらず、前記熱収縮性フィルムの浮き上がりを防止することができる。
【0025】
更に、本実施形態では、手動で間隔幅操作ハンドル15を操作して前記上方抑止部12,13を左右に移動させることで間隔幅wの広狭を調節することができる。しかし、本発明では間隔幅wを調節する手段についても特に限定されない。例えば、スプラインシャフトを利用した簡易な手動式であってもよいし、モーター等を利用した電動式であってもよい。あるいは、容器の寸法等を入力する電算機と連動させておき、前記電算機に入力された数値に基づいて自動的に間隔幅wを決定する制御装置としてもよい。以下、図4、図5に基づいて、本容器搬送装置2が、包装する容器の形状等に応じて間隔幅wを調節することで、熱収縮性フィルムの浮き上がりを防止できることを説明する。
【0026】
まず、図4では、正面視、2列の上方抑止部12,13の間隔幅wが狭い状態を示している。包装される容器Bは、略円錐台形状である容器開口部B1の上に、略円錐形状である容器尖頭部B2が設けられたソフトクリームアイスのコーン菓子部分を収容するために設計された合成樹脂性の容器である。そして、該容器の開口部B1を下にした状態で下部搬送部11上に設置している状態であり、筒状の熱収縮性フィルムFを前記容器Bの容器開口部B1近傍に被せている状態である。
【0027】
本実施形態に係る容器搬送装置では、前記熱収縮性フィルムFが前記容器Bから少しでも浮き上がれば前記上方抑止部12,13の下面側のベルト124(134)と当接して所定の包装予定位置に戻されるような高さに高さhを設定している(図4参照)。更に、本実施形態では、前記熱収縮性フィルムFが被せられていない容器尖頭部B2が、前記上方抑止部12,13に接触しないために、2列の上方抑止部12,13を正面視、前記容器尖頭部B2を挟んで左右に設けている(図3、図4参照)。その際、前記熱収縮性フィルムFの浮き上がりを効果的に防止するために、前記容器尖頭部B2が前記上方抑止部12,13に接触しないまでに間隔幅wを狭くしている。このように、複数列の上方抑止部12,13を設けて、その間隔幅wを容器Bの形状に応じて狭くさせることで、前記容器Bが前記容器尖頭部B2を有する形状であっても、前記熱収縮性フィルムFを容器開口部B1にのみ密着させた状態の包装を施すことが出来る。
【0028】
次に、図5は、正面視、2列の上方抑止部12,13の間隔幅wが広い状態を示している。包装される容器Cは、飲料等を入れる容器であり、前記容器Bに比べて外径が大きい略円錐台形状の容器である。そして、筒状の熱収縮性フィルムFを前記容器Cの容器開口部C1近傍に被せている状態であり、容器底部のC2までは被せない状態である。そして、熱収縮性フィルムFで包装しない前記容器底部C2が上方抑止部12,13に接触しないために、2列の上方抑止部12,13の間隔幅wを容器C2の幅に応じて広くした状態である。このように、複数列の上方抑止部12,13を設けて、その間隔幅wを容器の形状に応じて調節させることで、口が大きい容器Cの容器開口部C1近傍にのみ熱収縮性フィルムFで包装することができる。
【0029】
そして、図示はしないが、2列に設けられた上方抑止部12,13を接近させて間隔幅を完全に閉塞させることで1列の上方抑止部とすることもできる。これにより、容器の外周壁全体を熱収縮包装する場合にも熱収縮性フィルムの浮き上がりを効果的に抑えることができる。
【0030】
また、本発明では、包装する容器の形状について、略円錐台形状や円錐形状等のように側壁が曲面を有する形状に限定するものではない。例えば、三角錐や四角錘等の多角形錘形状の容器であってもよい。そして、本発明では、容器開口部に包装する場合に限定するものではない。容器の外周壁の中間部にのみ包装することもできる。
【0031】
なお、図示はしないが、包装する容器の形状について、熱収縮性フィルムが熱収縮した際の滑り上がりを防止するために、容器の外周壁やフランジ部に滑り止めあるいは位置決め部位としての突起部を設けることが望ましい。かかる突起部を容器に設けることで熱収縮性フィルムが前記突起部にひっかかり、容器からの浮き上がりを更に効果的に防止することができる。また、本発明では、包装する容器は1個の容器を熱収縮性フィルムで包装するための使用に限定されない。例えば、複数の容器群をまとめて梱包するために熱収縮性フィルムを前記容器群の側面に包装する場合の容器搬送装置としても使用することができる。
【0032】
加えて、本発明では、熱収縮性フィルムとして用いられる素材について限定するものではない。例えば、ポリスチレン系やポリエステル系の延伸フィルムであってもよいし、熱収縮性ポリ塩化ビニルフィルム等であってもよい。また、熱収縮性フィルムを筒状にする方法についても特に限定されないが、例えば、帯状の熱収縮性フィルムの両端部どうしを張りあわせてカットしたもの等を使用することができる。あるいは、容器のテーパー形状である部分に密着しやすいように前記筒状の熱収縮性フィルムに切り込みを入れてもよい。
【0033】
以上のように、容器の形状や使用される環境等を考慮して、適宜、熱収縮性フィルムの素材等を選択することができる。そして、本発明では、容器として用いられる素材についても特に限定するものではないが、熱収縮性フィルムへの加熱温度で変形しない素材が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリプロピレン樹脂等が好適である。あるいは、ガラス製容器等であってもよい。
【0034】
ここで、容器搬送装置1により搬送される容器Cは後続の熱収縮トンネル(図示せず。)まで搬送されて、該熱収縮トンネルで加熱される。そして、熱収縮性フィルムFの全面を熱収縮させることで容器Cに密着させるものである。しかし、本発明では、必ずしも容器搬送装置1と前記熱収縮トンネルとを独立して設置することに限定するものではない。本発明に係る容器搬送装置1を熱収縮トンネル内まで延長して一体化させてもよい。
【0035】
図6は、本発明に係る容器搬送装置の第2実施形態の正面図である。
【0036】
図6に示された符号2は、容器に包装する熱収縮性フィルムを前記容器に一部仮止めするための熱源を備えた容器搬送装置である。前記容器搬送装置2は、容器Dに熱収縮性フィルムFを被せた状態で搬送する下部搬送部21と、図6の正面視、主に容器の右上方の熱収縮性フィルムの浮き上がりを抑える上方抑止部22と、主に容器の左上方の熱収縮性フィルムFの浮き上がりを抑える上方抑止部23と、前記容器に前記熱収縮性フィルムFを仮止めする熱風機26,26をそれぞれ備えている(図6参照)。そして、上下操作ハンドル24により前記上方抑止部22,23の高さ(矢印Y;図6参照)を調整することができ、間隔幅操作ハンドル25により前記上方抑止部22,23の間隔幅(矢印Z;図6参照)を調整することができる。
【0037】
まず、容器Dについては、容器開口部の外周壁を熱収縮性フィルムFで包装するものであり、容器Dの包装予定位置から浮き上がったりずれたりした熱収縮性フィルムFは上方抑止部22,23と当接することにより、容器Dからの浮き上がりやズレを解消する。そして、この状態で熱風機26,26の設置場所まで搬送される。続いて、該熱風機26,26が前記容器Dの開口部近傍へ熱風を噴射して、前記熱収縮性フィルムFの開口部近傍のみを収縮させて、その部分を首止め(仮止め)する。また、図示はしないが、本容器搬送装置の後続の熱収縮トンネルで前記熱収縮性フィルムF全体を加熱収縮させて、該熱収縮性フィルム全面を容器Dに密着させて包装(本止め)する。
【0038】
なお、本発明では、仮止めする方法は前記熱風器による熱風噴射に限定するものではない。例えば、高温の水蒸気噴射による熱収縮等の手段によることもできる。そして、本発明では、仮止めする容器の部位についても限定されない。例えば、容器Dの裾部を4点固定してもよいし、前記裾部の外周壁全体を仮止めしてもよい。あるいは、容器Dの外周壁中間部を仮止めしてもよい。
【0039】
更に、仮止めするための温度は、使用する熱収縮性フィルムFの熱収縮温度に応じて適宜設定することができるが、仮止め後に行われる熱収縮フィルムF全体の熱収縮工程の加熱温度よりも低い温度であることが望ましい。また、仮止めするための熱源は本実施形態のように2箇所に熱風機を設けることに限定するものではない。例えば、本容器搬送装置のライン上に一定間隔で複数の熱風機を設けておき、順次仮止めしていくこともできる。
【0040】
また、本発明では各熱風機の制御方法について限定されないが、複数の熱風機を備える場合、各熱風機は個々に独立して温度や風量を制御できる構造になっているのが好ましい。このように段階的に加熱温度を上昇させていく構造とすることで、容器Dに対して局部的に一気に高温で加熱することによる容器Dの変形を防止できる。例えば、複数の熱源を下部搬送部に沿って設け、容器Dが最初に通過する先頭の熱源の設定温度を最も低く、後続の熱源の設定温度を徐々に高い温度となるように設定することができる。
【0041】
そして、本発明では、図7に示すように、下部搬送部32上で容器Eを回転させながら搬送することもできる(矢印R;図7参照)。前記容器Eを回転させることで、仮止めする容器Eの裾部外周壁に満遍なく熱風を噴射することができる(矢印W;図7参照)。これによって、前記容器Eを回転させながら熱噴射すること裾部外周壁に熱風が満遍なく当たるため、加熱のムラがなく容器Eの局所的な変形が防止できるとともに、前記裾部外周壁の全周に熱収縮性フィルムFをしっかりと仮止めすることができる。
【0042】
また、本発明では、前記容器を回転させる手段について限定するものではない。例えば、容器Eの搬送方向側から見て、下部搬送部32の左側と右側とに独立した2本のベルトコンベアを設け、該ベルトコンベアの左右の搬送速度を異なる速度とすることで容器Eを回転させてもよいし、容器Eの搬送方向に沿って容器を傷つけない樹脂製のワイヤー等を張って容器Eを回転させてもよい。
【0043】
図8は、本発明に係る容器搬送装置を備えた熱収縮包装システムを説明するための工程図である。以下、本発明に係る容器搬送装置及び方法を用いた熱収縮包装について、図8に基づき簡潔に説明する。
【0044】
まず、容器充填装置によって、包装する容器の開口部を下方向にして搬送ライン上に設置する。そして、ラベラー装置によって、筒状にカットされた熱収縮性フィルム(ラベル)を前記容器の上方向から落としていく。ここで、ラベル検査装置によって、前記熱収縮性フィルムが所定の包装予定位置に被されているかを外観検査する。その結果、前記熱収縮性フィルムが被されていない容器については排除する。
【0045】
続いて、本実施形態に係る容器搬送装置で前記容器に被さっている前記熱収縮性フィルム浮き上がりやズレを解消して所定の包装予定位置に仮止めする。そして、後続の熱収縮トンネルで前記熱収縮フィルム全体を熱収縮させて前記容器に密着させる。最後に、加熱により容器の変形やラベルの皺等が生じている不良品を製品検査装置によって排除した後に、包装された良品を製品箱詰め装置によって箱詰めする。
【0046】
なお、本発明に係る容器搬送装置及び方法については、必ずしも図8に示された工程図に基づいて使用されることに限定するものではない。そして、本発明では、前記容器搬送装置と前記熱収縮トンネルとを独立に設置することに限定するものではない。例えば、容器を仮止めする熱源は熱収縮トンネルの前方に設けて、下部搬送部と上方抑止部とは熱収縮トンネル内へ引き続き設けることで熱収縮トンネルと一体化させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る容器搬送装置は、熱収縮フィルムを容器所定位置に確実に装着する熱収縮包装に用いられる容器搬送装置等に利用できる。そして、前記容器搬送装置を備えた熱収縮包装システム、並びに容器搬送方法にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る第1実施形態の側面図である。
【図2】同第1実施形態の平面図である。
【図3】本発明に係る容器搬送装置が熱収縮性フィルムの浮き上がりを防止する機構を説明するための簡略側面図である。
【図4】本発明に係る容器搬送装置が熱収縮性フィルムの浮き上がりを防止する機構を説明するための簡略正面図である。
【図5】本発明に係る容器搬送装置が熱収縮性フィルムの浮き上がりを防止する機構を説明するための簡略正面図である。
【図6】本発明に係る第2実施形態の正面図である。
【図7】本発明に係る容器搬送装置を説明するための簡略図である。
【図8】本発明に係る容器搬送装置を備えた熱収縮包装システムを説明するための工程図である
【符号の説明】
【0049】
1,2 容器搬送装置
11,21,31 下部搬送部
12(13),22(23),31(32) 上方抑止部
14,24 上下操作ハンドル
15,25 間隔幅操作ハンドル
A、B、C、D、E 容器
F 熱収縮性フィルム











【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の熱収縮性フィルムが容器底部側から被着された容器を、容器開口部を下側へ向けて載置させた状態で搬送する下部搬送部と、
前記下部搬送部に対向する上方領域に、前記搬送部の搬送方向へ延設されてなる複数列の上方抑止部と、を備え、
上方抑止部間に形成されたスペース内へ前記容器底部が入り込むとともに、容器に被着された前記熱収縮性フィルムの浮き上がりを前記上方抑止部で抑えながら該容器を搬送する容器搬送装置。
【請求項2】
前記上方抑止部の間隔幅を調整可能としたことを特徴とする請求項1記載の容器搬送装置。
【請求項3】
前記下部搬送部上を搬送される容器に向かって熱を加えて前記熱収縮性フィルムの一部を収縮させることにより、該熱収縮性フィルムを容器に一部仮止めするための熱源を備えることを特徴とする請求項1記載の容器搬送装置。
【請求項4】
前記熱源は、前記容器開口部近傍へ向かって熱を加える配置構成であることを特徴とする請求項3記載の容器搬送装置。
【請求項5】
前記下部搬送部は、容器周方向に容器を回転させながら搬送することを特徴とする請求項3に記載の容器搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器搬送装置を少なくとも備える熱収縮性フィルム包装システム。
【請求項7】
以下の工程(1)〜(3)が同時に行われる容器搬送方法。
(1)筒状の熱収縮性フィルムが容器底部側から被着された容器が、該容器の開口部を下側にした状態で搬送される工程。
(2)前記熱収縮性フィルムの上端部周縁のうち、前記容器の搬送方向からみて、前記容器底部を挟んだ個所が、上方から抑えられる工程。
(3)前記熱収縮性フィルムが被着された前記容器の開口部近傍が加熱される工程。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−246098(P2007−246098A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68386(P2006−68386)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(596151906)東名化学工業株式会社 (11)