説明

容器用ベースカップ

【課題】底部からの光の侵入を防止できるベースカップを提案する。
【解決手段】容器の底部に嵌合する開口を有する周壁(2a)と、この周壁(2a)につながりその裏面を接地させて該容器を周壁(2a)とともに自立させる底壁(2b)からなるベースカップにおいて、前記底壁(2b)に、その内面から裏面に通り抜けて開口する少なくとも1つの貫通孔(4)を設け、前記底壁(2b)及び周壁(2a)の少なくとも一方に、ヒンジ(6)を介して傾倒可能に連結し、隙間を隔てて前記貫通孔(4)に覆いかぶさる遮蔽板(5)を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製容器に適用して好適なベースカップに関するものであり、とくに、該ベースカップに設けられた水抜き開孔を通して侵入する光を防止しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
ペットボトルに代表される合成樹脂製の容器は、軽量で取り扱いが容易であり、また、透明性が確保できガラス製の容器に比較して遜色のない外観を呈すること、さらにはコスト的にも安価であることから近年、食品や飲料、化粧料あるいは薬剤などを充填する容器として多用されている。
【0003】
例えば、炭酸飲料を充填するのに適した容器には、内圧上昇に伴う容器の変形や破損を防止する観点から、容器の底部を半球形状に成形し、容器の自立性を確保するために、その底部にベースカップが装着されているものがある。
【0004】
上記のベースカップは、容器の底部に嵌合する開口を有する周壁と、この周壁につながりその裏面を接地面とする底壁からなっており、スチームや熱湯を使用した容器の洗浄過程で、容器の底部とベースカップとの間に入り込んだ水分が簡単にベースカップの外へと流れ出るようにその底壁には複数の水抜き用の貫通孔(排水孔)が設けられた構造になっている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平5─22336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、この種の容器において、光(太陽光や蛍光灯など)の透過によって風味が落ちる等、品質に影響を与えるような内容物を充填しているものにあっては、遮光性のフィルムやラベル等を装着することによって対処するのが普通であるところ、上記のようなベースカップは黴の発生を防止する観点等から水抜き用の貫通孔を閉塞させることはないので、容器の保管状態によっては、該貫通孔から光が侵入し、内容物の品質に悪影響を与えるおそれがあった。
【0006】
本発明の課題は、水抜き用の貫通孔を閉塞させることなしに光の侵入を防止できる新規なベースカップを提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器の底部に嵌合する開口を有する周壁と、この周壁につながりその裏面を接地させて該容器を周壁とともに自立させる底壁からなるベースカップであって、
前記底壁に、その内面から裏面に通り抜けて開口する少なくとも1つの貫通孔を設け、
前記底壁及び周壁の少なくとも一方に、ヒンジを介して傾倒可能に連結し、隙間を隔てて前記貫通孔に覆いかぶさる遮蔽板を配設してなる、ことを特徴とする容器用ベースカップである。
【0008】
上記の構成になる容器用ベースカップにおいて、前記遮蔽板は、そのサイドを通して前記貫通孔につながる排水経路を形成するものが好ましい。
【0009】
また、前記底壁及び周壁の少なくとも一方に、遮蔽板の傾倒度合いを規制するストッパーを設けることができる。
【0010】
さらに、前記底壁及び周壁の少なくとも一方には、容器の底部に接触して該容器を安定保持する複数のリブを設けるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
ベースカップの内側へと流れ込んだ水分は遮光板の両サイドを経て水抜き開孔を経て外部へ流出し、該開孔を通してベースカップ内に侵入する光はその内側に設けられた遮光板によって遮られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明にしたがうベースカップを取り付けた容器を一部断面で示したものであり、図2(a)〜(c)はベースカップの平面、側面及び底面を示したものである。
【0013】
図における1は容器、2は容器1の底部に配置されたベースカップである。このベースカップ2は容器1の底部に嵌合する開口hを形成する周壁2aと、この周壁2aにつながりその裏面を接地させて該容器1を周壁2aとともに自立させる底壁2bからなる。
【0014】
また、3は容器1の口部下端からベースカップ2の周壁2aに配置され光の透過を防止する遮光フィルム(シュリンクフィルム等)、4はベースカップ2の底壁2bの内面から裏面に通り抜けて開口する貫通孔、5は遮蔽板である。
【0015】
遮蔽板5は底壁2bにヒンジ6を介して傾倒可能に一体連結するもので、容器1の底部にベースカップ2を嵌合させる際、あるいは嵌合させるに先立って隙間tを隔てて貫通孔4に覆いかぶさるように傾倒させ、これにより貫通孔4を通して侵入する光を遮るとともにそのサイドを通して貫通孔4につながる排水経路5aを形成する(図2(a)参照)。
【0016】
また、7はベースカップ2の周壁2aの下方部分に設けた傾斜周壁に設けられたストッパーである。このストッパー7は遮蔽板5を傾倒させる際の傾倒度合いを該遮蔽板5の先端に当接することで規制する。
【0017】
さらに、8はベースカップの周壁2aに間隔を置いて設けられたリブ、9はベースカップ2の底壁2bに間隔を置いて設けられたリブである。これらのリブ8、9はベースカップ2を装着した時に容器1の底部において接触させて該容器1をベースカップ2に安定的に保持する機能を有する。
【0018】
ベースカップ2の内側に上記のような構成になる遮蔽板5を設けることで、水分の排出を阻害することなく光の侵入を遮ることができ、内容物の品質は長期にわたって安定的に維持される。
【0019】
ベースカップ2の成形に際して遮蔽板5は図1、図2(b)の仮想線で示すように起立状態で成形し、その後にヒンジ6を基点にして傾倒させればよい。
【0020】
遮光板5はベースカップ2の底壁2bに、また、ストッパー7は周壁2aに設けた場合を例として示したが、これらはそれぞれ周壁2aと底壁2bに設けた逆構造としてもよく、この点については規制されない。
【0021】
また、容器1をベースカップ2に安定して嵌合保持できるものであれば、リブ8、9に代えて他の構造を採用することができる。ベースカップそのものは遮光性を有する合成樹脂にて成形してもよいし、その成形後に遮光性を有するフィルムを容器とともに装着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
水分の排出を阻害することなく光の侵入を防止できるベースカップ付きの容器が安定供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にしたがうベースカップを備えた容器の側面を示した図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明にしたがうベースカップの平面、側面及び底面をそれぞれ示した図である。
【符号の説明】
【0024】
1 容器
2 ベースカップ
2a 周壁
2b 底壁
3 遮光フィルム
4 貫通孔
5 遮蔽板
5a排水経路
6 ヒンジ
7 ストッパー
8 リブ
9 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の底部に嵌合する開口を有する周壁と、この周壁につながりその裏面を接地させて該容器を周壁とともに自立させる底壁からなるベースカップであって、
前記底壁に、その内面から裏面に通り抜けて開口する少なくとも1つの貫通孔を設け、
前記底壁及び周壁の少なくとも一方に、ヒンジを介して傾倒可能に連結し、隙間を隔てて前記貫通孔に覆いかぶさる遮蔽板を配設してなる、ことを特徴とする容器用ベースカップ。
【請求項2】
前記遮蔽板は、そのサイドを通して前記貫通孔につながる排水経路を形成するものである、請求項1記載の容器用ベースカップ。
【請求項3】
前記底壁及び周壁の少なくとも一方に、遮蔽板の傾倒度合いを規制するストッパーを有する請求項1又は2に記載の容器用ベースカップ。
【請求項4】
前記底壁及び周壁の少なくとも一方に、容器の底部に接触して該容器を安定保持する複数のリブを有する、請求項1〜3の何れかに記載の容器用ベースカップ。


【図1】
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【図2】
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