説明

容量負荷駆動回路及びその駆動方法

【目的】電源回路の小型化及び安価化を可能にする。
【構成】トランスT1の1次巻線L11の一端と2次巻線L12の一端とが共に容量性負荷Cpの一端に接続され、1次巻線L11の他端が、一方ではダイオードD1及びスイッチ素子SW1を介して直流電源配線Vsに接続され、他方ではダイオードD2及びスイッチ素子SW2を介してグランド線Vsに接続され、2次巻線L12の他端が、一方ではダイオードD3を介して直流電源配線Vsに接続され、他方ではダイオードD4を介してグランド線GNDに接続されているので、電源電圧Vsのみでよい。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマディスプレイパネルやエレクトロルミネッセンスディスプレイパネル等のフラットディスプレイパネルの画素等の容量負荷を充放電させる容量負荷駆動回路及びその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来の容量負荷駆動回路を示す。例えば、容量性負荷Cpは、交流駆動型プラズマディスプレイパネルの1画素であり、容量負荷駆動回路は、維持放電用駆動回路である。以下、この例の場合について説明する。基本的には、容量性負荷Cpの一端をスイッチ素子SW3及びSW4を介してそれぞれ直流電源配線Vs及びグランド線GNDに接続し、容量性負荷Cpの他端をスイッチ素子SW7及びSW8を介してそれぞれ直流電源配線Vs及びグランド線GNDに接続した構成で、容量性負荷Cpに維持パルスを供給することが可能である。
【0003】各フィールドの維持放電期間では、次のようなスイッチ制御動作(1)〜(4)が繰り返し行われる。
(1)スイッチ素子SW4及びSW8が共にオンにされて容量性負荷Cpの蓄積電荷が放電された状態で、スイッチ素子SW4がオフにされ、スイッチ素子SW3がオンにされて、容量性負荷Cpに電圧Vsが印加される。
【0004】(2)スイッチ素子SW3がオフにされ、スイッチ素子SW4がオンにされて、容量性負荷Cpの蓄積電荷が放電される。
(3)SW8がオフにされ、スイッチ素子SW7がオンにされて、容量性負荷Cpに電圧−Vsが印加される。
(4)スイッチ素子SW7がオフにされ、SW8がオンにされて、容量性負荷Cpの蓄積電荷が放電される。
【0005】しかし、この基本充放電回路のみでは、容量性負荷Cpの充放電のためのみの無効電力が回路の抵抗成分等で無駄に消費される。そこで、この無効電力を回収し再利用するため、電源電圧Veで動作するコイルL1、L2、ダイオードD1、D2、D5、D6、スイッチ素子SW1、SW2、SW5及びSW6からなる充放電回路が付加されている。スイッチ素子SW1〜SW8のオン・オフ制御は、後述する本発明の実施例のそれと同一であり、図3に示すように行われる。直流電源配線Veの電圧は、直流電源配線Vsの約半分であり、不図示の直流電源回路のコンデンサに接続されている。このコンデンサの容量は、容量性負荷Cpよりも充分大きいので、コイルL1を介して、このコンデンサに電力を回収し、回収した電力を再利用しても、その電圧の変化は無視できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、直流電源電圧Vsの他に直流電源電圧Veを必要とするので、電源回路の大型化及び高価化の原因となる。この問題は、表示装置の大型化及び高精細化により著しくなる。本発明の目的は、このような問題点に鑑み、電源回路の小型化及び安価化を可能にする容量負荷駆動回路及びその駆動方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及びその作用】本発明に係る容量負荷駆動回路を、図1中の対応する構成要素の符号を引用して説明する。第1発明では、容量性負荷Cpを充放電させる容量負荷駆動回路において、第1スイッチ素子SW1と第1ダイオードD1との第1直列結合回路11と、第2スイッチ素子SW2と第2ダイオードD2との第2直列結合回路12とを有し、第1直列結合回路11の電流出力端と第2直列結合回路12の電流入力端とが共通点に結合され、第1直列結合回路11の電流入力端及び第2直列結合回路12の電流出力端がそれぞれ第1直流電源配線Vs1及び第1直流電源配線Vs1より電位が低い第2直流電源配線Vg1に結合された第1充放電回路1と、容量性負荷Cpの一端と該共通点との間に1次巻線L11が結合された第1トランスT1と、を備え、第1トランスT1の2次巻線L12に誘起される電流により1次巻線L11に流れる電流を制限するように構成している。
【0008】第1発明では、第1トランスT1の2次巻線L12に誘起される電流により1次巻線L11に流れる電流を制限することで、容量性負荷Cpに蓄えられた無効電力回収のため及び回収した電力を容量性負荷に対し充電することによる再利用のための特別な電圧の直流電源電圧を用いずに他の直流電源電圧を兼用することが可能となるので、電源回路の小型化及び安価化が可能となる。
【0009】第1発明の第1態様では、第1トランスT1は、2次巻線L12の一端が1次巻線L11に結合されている。結合点は、1次巻線L11の一端、他端又は両端の中間点のいずれであってもよい。この第1態様によれば、例えば次の第2態様との組み合わせのように、第1トランスT1の2次巻線L12に誘起される電流による1次巻線L11に流れる電流の制限を簡単な構成で行うことが可能となる。
【0010】第1発明の第2態様では、第1スイッチ素子SW1がオンのとき第2直流電源配線Vg1から2次巻線L12の他端へのみ電流が流れるのを許容し第2スイッチ素子SW2がオンのとき第1直流電源配線Vs1から2次巻線L12の他端へのみ電流が流れるのを許容する第2充放電回路2を備えている。この第2態様によれば、第1トランスT1の2次巻線L12に誘起される電流による1次巻線L11に流れる電流の制限を簡単な構成で行うことができる。
【0011】第1発明の第3態様では、第2充放電回路2は、アノード及びカソードがそれぞれ2次巻線L12の上記他端及び第1直流電源配線Vs1に結合された第3ダイオードD3と、アノード及びカソードがそれぞれ第2直流電源配線Vg1及び2次巻線L12の該他端に結合された第4ダイオードD4と、を有する。この第3態様によれば、第2充放電回路2にスイッチ素子を用いずにダイオードD3及びD4を用いているので、その制御が不要であり、スイッチ制御回路の構成を簡単化することができ、また、スイッチ制御回路を従来と同一構成にすることもでき、これにより、少ない設計変更で第1発明の効果が得られる。
【0012】第1発明の第4態様では、第1直流電源配線Vs1と容量性負荷Cpの上記一端との間に結合された第3スイッチ素子SW3と、第2直流電源配線Vg1と容量性負荷Cpの該一端との間に結合された第4スイッチ素子SW4とを有する第3充放電回路3を備えている。この第4態様によれば、第1充放電回路による容量性負荷Cpに対する充電完了後に、回収した電力が不充分で容量性負荷Cpの該一端の電位が第1直流電源配線Vs1の電位からずれていても、第3スイッチ素子SW3をオンにすることにより、第1直流電源配線Vs1の電位に一致させることができ且つその後の容量性負荷Cpの電極間放電等による消費電力を補うことができ、また、電力回収が不充分で容量性負荷Cpの該一端の電位が第2直流電源配線Vg1の電位からずれていても、第4スイッチ素子SW3をオンにすることにより、第2直流電源配線Vg1の電位に一致させることができる。
【0013】第1発明の第5態様では、第5スイッチ素子SW5と第5ダイオードD5との第3直列結合回路41と、第6スイッチ素子SW6と第6ダイオードD6との第4直列結合回路42とを有し、第3直列結合回路41の電流出力端と第4直列結合回路42の電流入力端とが共通点に結合され、第3直列結合回路41の電流入力端及び第4直列結合回路42の電流出力端がそれぞれ第3直流電源配線Vs2及び第3直流電源配線Vs2より電位が低い第4直流電源配線Vg2に結合された第4充放電回路4と、容量性負荷Cpの他端と該共通点との間に1次巻線L21が結合され、2次巻線L22の一端が1次巻線L21に結合された第2トランスT2と、第5スイッチ素子SW5がオンのとき第4直流電源配線Vg2から第2トランスT2の2次巻線L22の他端へのみ電流が流れるのを許容し第6スイッチ素子SW6がオンのとき第3直流電源配線Vs2から第2トランスT2の2次巻線L22の該他端へのみ電流が流れるのを許容する第5充放電回路5と、第3直流電源配線Vs2と容量性負荷Cpの該他端との間に結合された第7スイッチ素子SW7と、第4直流電源配線Vg2と容量性負荷Cpの該他端との間に結合された第8スイッチ素子SW8とを有する第6充放電回路6と、を備えている。
【0014】この第5態様によれば、容量性負荷Cpの他端側についても、無効電力回収のため及び回収した電力を容量性負荷に対し充電することによる再利用のための特別な電圧の直流電源電圧を用いずに他の直流電源電圧を兼用することが可能となるので、電源回路の小型化及び安価化が可能となる。第1発明の第6態様では、第5充放電回路5は、アノード及びカソードがそれぞれ第2トランスT2の2次巻線L22の上記他端及び第3直流電源配線Vs2に結合された第7ダイオードD7と、アノード及びカソードがそれぞれ第4直流電源配線Vg2及び第2トランスT2の2次巻線L22の該他端に結合された第8ダイオードD8と、を有する。
【0015】この第6態様では、第5充放電回路5にスイッチ素子を用いずにダイオードD7及びD8を用いているので、その制御が不要であり、スイッチ制御回路の構成を簡単化することができ、また、スイッチ制御回路を従来と同一構成にすることもでき、これにより、少ない設計変更で第1発明の効果が得られる。第1発明の第7態様では、第3直流電源配線Vs2が第1直流電源配線Vs1に等しく、第4直流電源配線Vg2が第2直流電源配線Vg1に等しい。
【0016】この第7態様によれば、構成が簡単になり、電源回路のより小型化及びより安価化が可能となる。第2発明のフラットディスプレイ装置では、フラットディスプレイパネル、例えばプラズマディスプレイパネル又はエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルと、該フラットディスプレイパネルの画素を前記容量性負荷Cpとして駆動する上記いずれかの容量負荷駆動回路と、を有する。
【0017】このフラットディスプレイ装置によれば、上記容量負荷駆動回路の効果がフラットディスプレイ装置の効果として得られる。第3発明のフラットディスプレイパネル駆動方法では、上記フラットディスプレイ装置の容量負荷駆動回路に対し、第1、第3、第5及び第7スイッチ素子SW1、SW3、SW5、SW7がオフ且つ第2、第4、第6及び第8スイッチ素子SW2、SW4、SW6、SW8がオンの状態で、第2及び第4スイッチ素子SW2、SW4をオフにし、第1スイッチ素子SW1をオンにし、次に、第3スイッチ素子SW3をオンにし、次に、第1及び第3スイッチ素子SW1、SW3をオフにし、第2スイッチ素子SW2をオンにし、次に、第4スイッチ素子SW4をオンにし、次に、第6及び第8スイッチ素子SW6、SW8をオフにし、第5スイッチ素子SW5をオンにし、次に、第7スイッチ素子SW7をオンにし、次に、第5及び第7スイッチ素子SW5、SW7をオフにし、第6スイッチ素子SW6をオンにし、次に、第8スイッチ素子SW8をオンにし、以上のオン/オフ制御を繰り返し実行する。
【0018】このフラットディスプレイパネル駆動方法によれば、従来よりも電源回路の小型化及び安価化が可能となった第2発明のフラットディスプレイ装置についても、従来と同様に、フラットディスプレイパネルの画素に対する無効電力の回収及びその再利用を行うことができる。
【0019】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の一実施例を説明する。図2は、本発明の一実施例の容量負荷駆動回路を示す。図1と同一又は上位概念に含まれる構成要素には、同一符号を付している。例えば、容量性負荷Cpは、交流駆動型プラズマディスプレイパネルの1画素であり、容量負荷駆動回路は、維持放電用駆動回路である。以下、この例の場合について説明する。
【0020】この駆動回路は、図1のスイッチ素子SW1〜SW8をMOSトランジスタで構成している。スイッチ素子SW1及びSW5はpMOSトランジスタであり、他のスイッチ素子SW2〜SW4及びSW6〜SW8はnMOSトランジスタである。スイッチ素子SW1〜SW8は、スイッチ制御回路7により、クロックφに同期して図3に示す如くオン・オフ制御される。また、図2は、図1の直流電源電圧Vs1とVs2とを互いに維持電圧Vsに等しくし、直流電源電圧Vg1とVg2とを共に0Vにした場合を示す。
【0021】他の構成は、図1と同一であり、その説明を省略する。なお、直流電源配線Vsは、不図示の直流電源回路のコンデンサに接続されている。このコンデンサの容量は、容量性負荷Cpよりも充分大きいので、トランスT1及びT2を介して、このコンデンサに電力を回収し、回収した電力を容量性負荷Cpの充電に再利用しても、その電圧の変化は無視できる。
【0022】次に、スイッチ制御回路7による制御を説明する。この制御の1サイクルは、図3(C)に示す如く行われ、容量性負荷Cpの一端及び他端のグランド線GNDに対する電圧V1及びV2の波形はそれぞれ、図3R>3(A)及び(B)に示す如くなる。すなわち、各フィールドの維持放電期間では、図3(C)に示すスイッチ制御動作が繰り返し行われる。時間t1〜t4においては、容量性負荷Cpの図1左側の回路により充放電動作が行われる。
【0023】時点t0では、スイッチ素子SW1、SW3、SW5及びSW7がオフにされ、スイッチ素子SW2、SW4、SW6及びSW8がオンにされている。
(t1)この状態で、スイッチ素子SW2及びSW4がオフにされ、スイッチ素子SW1がオンにされる。これにより、直流電源配線Vsからスイッチ素子SW1、ダイオードD1及びトランスT1の1次巻線L11を通って、電流I1が流れる。
【0024】1次巻線L11に電流I1が流れると、1次巻線L11と2次巻線L12との間の相互インタクタンスM1により、グランド線GNDからダイオードD4を通って2次巻線L12に電流I2が流れる。この電流I2は電流I1の流れを妨げるように1次巻線L11に磁界を与える。同様に、電流I1は電流I2の流れを妨げるように2次巻線L12に磁界を与える。この性質が利用されて、電圧V1が上昇し過ぎるのが防止される。すなわち、1次巻線L11の自己インダクタンスL11と相互インタクタンスM1とがL12=M1=0であると仮定すると、図3の時点t2で電圧V1が約2Vs(理想的な場合には2Vs)となるが、実際には自己インダクタンスL12及び相互インダクタンスM1が0でないので、前記性質により時点t2で電圧V1を約Vsにすることが可能となる。
【0025】自己インダクタンスL11、L12及び相互インダクタンスM1の値は、時間t1〜t2においてトランスT2に関し成立する次の連立微分方程式に基づいて、定めることができる。
L11(dI1/dt)−M1(dI6/dt)=Vs−V1・・・(1)
L12(dI6/dt)−M1(dI1/dt)=Vs−V1・・・(2)
V1= (I1+I2)dt/Cp ・・・(3)
L11=L12、M1=L11/( 2)なる条件の下で上記連立微分方程式を解くと、自己インダクタンスL11を図5のインダクタンスL1の2(2+√2)倍にすることにより、トランスT1と容量性負荷Cpとからなる共振回路の共振周波数fが、図5のインダクタンスL1と容量性負荷Cpとからなる共振回路の共振周波数に等しくなり、かつ、時点t1から時間t2−t1=1/(2f)後の電圧V1が電源電圧Vsに等しくなる。
【0026】時点t1から時点t2までの電圧V1及び電流I1の変化はそれぞれ、図4(A)及び(B)に示す如くなる。1次巻線L11とスイッチ素子SW1との間にダイオードD1を接続し、2次巻線L12とグランド線GNDとの間にダイオードD4を接続しているので、理想的な場合、電圧V1が電源電圧Vsに達した時点t2後は、電圧V1が電源電圧Vsに維持される。
【0027】(t2)時点t1からt2までの回路内の抵抗成分等による電力消費を補うため及び時点t2からt3までの間に生ずる容量性負荷Cpの電極間放電による電力消費を補うため、スイッチ素子SW3がオンにされる。これにより、時点t2で電圧V1が電源電圧Vsからずれていても、また、容量性負荷Cpの電極間で放電が生じても、電圧V1が電源電圧Vsに維持される。
【0028】前記抵抗成分等を考慮して、実際の回路ではトランスT1の定数を、理論式に基づいて得られた値からずらしてもよい。
(t3)電圧V1が、画素の放電発光に必要な時間よりも長く電源電圧Vsに維持されたのち、次の発光に備えて無効電力を回収するため、時点t3で、スイッチ素子SW1及びSW3がオフにされ、スイッチ素子SW2がオンにされる。
【0029】この状態では、トランスT1と容量性負荷Cpとからなる共振回路に直列に導通されるダイオードがD2とD3とになり、ダイオードD1及びD4と方向が反対になるため、時点t3から時間1/(2f)後には、電圧V1が0Vになる。時点t3から時点t4までの電圧V1及び電流I1の変化はそれぞれ、図4(C)及び(D)に示す如くなる。
【0030】(t4)時点t3からt4までの回路内の抵抗成分により無効電力回収は完全ではない。そこで、スイッチ素子SW4がオンにされて、電圧V1が0Vにされる。以下の時間t5〜t8においては、容量性負荷Cpの図1右側の回路により、時間t1〜t4での上記動作と同様の動作が行われる。この動作は、上記説明と図3とから明かであるので、その説明を省略する。
【0031】本実施例によれば、1つの電源電圧Vsのみを用いればよいので、電源回路を、小型にし且つ安価に構成することが可能となる。また、制御不要のダイオードD3、D4、D7及びD8を用いているので、スイッチ制御回路7を従来と同一構成にすることができ、これにより、少ない設計変更で本発明の効果が得られる。
【0032】なお、本発明には他にも種々の変形例が含まれる。例えば、スイッチ素子SW1とダイオードD1との直列接続回路は、図2のそれと逆であってもよい。この点は、スイッチ素子SW2とダイオードD2との直列接続回路、スイッチ素子SW5とダイオードD5との直列接続回路及びスイッチ素子SW6とダイオードD6との直列接続回路についても同様である。
【0033】また、ダイオードD3、D4、D7及びD8の代わりにスイッチ素子を用い、本実施例と同一動作になるようにこのスイッチ素子を制御する構成であってもよい。また、トランスT1の2次コイルL12の一端は、1次コイルL11の、図2と反対側の端点又は中間点に接続してもよい。
【0034】図2では、容量性負荷Cpの一端側及び他端側の電源電圧がいずれも同じ電源電圧Vsとなっているが、容量性負荷Cpの一端側と他端側とで異なる電源電圧を使用してもよい。この場合、電源電圧が2種類となるが、従来構成で同一機能の回路を構成すれば必要な電源電圧が4種類となるので、本発明の効果が得られる。また、容量性負荷Cpの一端側のみ本発明を適用し、容量性負荷Cpの他端側を従来構成にしてもよい。
【0035】また、容量性負荷Cpの両端又は一端に、本発明を適用した、書き込み電圧や消去電圧を加えるための駆動回路を接続してもよい。さらに、本発明は、プラズマディスプレイパネルの画素以外の容量負荷に対する駆動回路にも適用することができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明した如く、第1発明に係る容量負荷駆動回路によれば、第1トランスの2次巻線に誘起される電流により1次巻線に流れる電流を制限することで、容量性負荷に蓄えられた無効電力回収のため及び回収した電力を容量性負荷に対し充電することによる再利用のための特別な電圧の直流電源電圧を用いずに他の直流電源電圧を兼用することが可能となるので、電源回路の小型化及び安価化が可能となるという効果を奏する。第1発明を表示装置に適用した場合、この効果は、表示装置の大型化及び高精細化により著しくなる。
【0037】第1発明の第1態様によれば、例えば第2態様との組み合わせのように、第1トランスの2次巻線に誘起される電流による1次巻線に流れる電流の制限を簡単な構成で行うことが可能となるという効果を奏する。第1発明の第2態様によれば、第1トランスの2次巻線に誘起される電流による1次巻線に流れる電流の制限を簡単な構成で行うことができるという効果を奏する。
【0038】第1発明の第3態様及び第6態様のいずれによっても、充放電回路にスイッチ素子を用いずにダイオードを用いているので、その制御が不要であり、スイッチ制御回路の構成を簡単化することができるという効果を奏し、また、スイッチ制御回路を従来と同一構成にすることもでき、これにより、少ない設計変更で第1発明の効果が得られるという効果も奏する。
【0039】第1発明の第4態様によれば、第1充放電回路による容量性負荷に対する充電完了後に、回収した電力が不充分で容量性負荷の一端の電位が第1直流電源配線の電位からずれていても、第3スイッチ素子をオンにすることにより、第1直流電源配線の電位に一致させることができ且つその後の容量性負荷の電極間放電等による消費電力を補うことができ、また、電力回収が不充分で容量性負荷の一端の電位が第2直流電源配線の電位からずれていても、第4スイッチ素子をオンにすることにより、第2直流電源配線の電位に一致させることができるという効果を奏する。
【0040】第1発明の第5態様によれば、容量性負荷の他端側についても、無効電力回収のため及び回収した電力の容量性負荷充電への再利用のための特別な直流電源電圧を用いる必要がないので、電源回路の小型化及び安価化が可能となるという効果を奏する。第1発明の第8態様によれば、構成が簡単になり、電源回路のより小型化及びより安価化が可能となるという効果を奏する。
【0041】第2発明のフラットディスプレイ装置によれば、上記容量負荷駆動回路の効果がフラットディスプレイ装置の効果として得られる。第3発明のフラットディスプレイパネル駆動方法によれば、従来よりも電源回路の小型化及び安価化が可能となった第2発明のフラットディスプレイ装置についても、従来と同様に、フラットディスプレイパネルの画素に対する無効電力の回収及びその再利用を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成を示す容量負荷駆動回路図である。
【図2】本発明の1実施例の容量負荷駆動回路図である。
【図3】図2の回路の動作説明図である。
【図4】図2の回路の動作を説明するための波形図である。
【図5】従来の容量負荷駆動回路図である。
【符号の説明】
1 第1充放電回路
2 第2充放電回路
3 第3充放電回路
4 第4充放電回路
5 第5充放電回路
6 第6充放電回路
7 スイッチ制御回路
Cp 容量性負荷
T1、T2 トランス
L11、L21 1次巻線
L12、L22 2次巻線
SW1〜SW7 スイッチ素子
D1〜D7 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 容量性負荷(Cp)を充放電させる容量負荷駆動回路において、第1スイッチ素子(SW1)と第1ダイオード(D1)との第1直列結合回路(11)と、第2スイッチ素子(SW2)と第2ダイオード(D2)との第2直列結合回路(12)とを有し、該第1直列結合回路の電流出力端と該第2直列結合回路の電流入力端とが共通点に結合され、該第1直列結合回路の電流入力端及び該第2直列結合回路の電流出力端がそれぞれ第1直流電源配線(Vs1)及び該第1直流電源配線より電位が低い第2直流電源配線(Vg1)に結合された第1充放電回路(1)と、該容量性負荷の一端と該共通点との間に1次巻線(L11)が結合された第1トランス(T1)と、を備え、該第1トランスの2次巻線に誘起される電流により該1次巻線に流れる電流を制限するようにしたことを特徴とする容量負荷駆動回路。
【請求項2】 前記第1トランス(T1)は、前記2次巻線(L12)の一端が前記1次巻線(L11)に結合されていることを特徴とする請求項1記載の容量負荷駆動回路。
【請求項3】 前記第1スイッチ素子(SW1)がオンのとき前記第2直流電源配線(Vg1)から前記2次巻線(L12)の他端へのみ電流が流れるのを許容し前記第2スイッチ素子(SW2)がオンのとき前記第1直流電源配線(Vs1)から該2次巻線の他端へのみ電流が流れるのを許容する第2充放電回路(2)を備えたことを特徴とする請求項2記載の容量負荷駆動回路。
【請求項4】 前記第2充放電回路(2)は、アノード及びカソードがそれぞれ前記2次巻線(L12)の前記他端及び前記第1直流電源配線(Vs1)に結合された第3ダイオード(D3)と、アノード及びカソードがそれぞれ前記第2直流電源配線(Vg1)及び該2次巻線の該他端に結合された第4ダイオード(D4)と、を有することを特徴とする請求項3記載の容量負荷駆動回路。
【請求項5】 前記第1直流電源配線(Vs1)と前記容量性負荷(Cp)の前記一端との間に結合された第3スイッチ素子(SW3)と、前記第2直流電源配線(Vg1)と該容量性負荷の該一端との間に結合された第4スイッチ素子(SW4)とを有する第3充放電回路(3)を備えたことを特徴とする請求項3記載の容量負荷駆動回路。
【請求項6】 第5スイッチ素子(SW5)と第5ダイオード(D5)との第3直列結合回路(41)と、第6スイッチ素子(SW6)と第6ダイオード(D6)との第4直列結合回路(42)とを有し、該第3直列結合回路の電流出力端と該第4直列結合回路の電流入力端とが共通点に結合され、該第3直列結合回路の電流入力端及び該第4直列結合回路の電流出力端がそれぞれ第3直流電源配線(Vs2)及び該第3直流電源配線より電位が低い第4直流電源配線(Vg2)に結合された第4充放電回路(4)と、前記容量性負荷(Cp)の他端と該共通点との間に1次巻線(L21)が結合され、2次巻線(L22)の一端が該1次巻線に結合された第2トランス(T2)と、該第5スイッチ素子がオンのとき該第4直流電源配線から該第2トランスの該2次巻線の他端へのみ電流が流れるのを許容し該第6スイッチ素子がオンのとき該第3直流電源配線から該第2トランスの該2次巻線の該他端へのみ電流が流れるのを許容する第5充放電回路(5)と、該第3直流電源配線と該容量性負荷の該他端との間に結合された第7スイッチ素子(SW7)と、該第4直流電源配線と該容量性負荷の該他端との間に結合された第8スイッチ素子(SW8)とを有する第6充放電回路(6)と、を備えたことを特徴とする請求項5記載の容量負荷駆動回路。
【請求項7】 前記第5充放電回路(5)は、アノード及びカソードがそれぞれ前記第2トランス(T2)の前記2次巻線(L22)の前記他端及び前記第3直流電源配線(Vs2)に結合された第7ダイオード(D7)と、アノード及びカソードがそれぞれ前記第4直流電源配線(Vg2)及び該第2トランスの該2次巻線の該他端に結合された第8ダイオード(D8)と、を有することを特徴とする請求項6記載の容量負荷駆動回路。
【請求項8】 前記第3直流電源配線(Vs2)が前記第1直流電源配線(Vs1)に等しく、前記第4直流電源配線(Vg2)が前記第2直流電源配線(Vg1)に等しいことを特徴とする請求項7記載の容量負荷駆動回路
【請求項9】 フラットディスプレイパネルと、該フラットディスプレイパネルの画素を前記容量性負荷(Cp)として駆動する請求項1乃至8のいずれか1つに記載の容量負荷駆動回路と、を有することを特徴とするフラットディスプレイ装置。
【請求項10】 請求項9記載の容量負荷駆動回路に対し、前記第1、第3、第5及び第7スイッチ素子がオフ且つ前記第2、第4、第6及び第8スイッチ素子がオンの状態で、該第2及び第4スイッチ素子をオフにし、該第1スイッチ素子をオンにし、次に、該第3スイッチ素子をオンにし、次に、該第1及び第3スイッチ素子をオフにし、該第2スイッチ素子をオンにし、次に、該第4スイッチ素子をオンにし、次に、該第6及び第8スイッチ素子をオフにし、該第5スイッチ素子をオンにし、次に、該第7スイッチ素子をオンにし、次に、該第5及び第7スイッチ素子をオフにし、該第6スイッチ素子をオンにし、次に、該第8スイッチ素子をオンにし、以上のオン/オフ制御を繰り返し実行することを特徴とするフラットディスプレイパネル駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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