密閉型コンパクト容器
【課題】小型、低価格で、粧料を確実に密閉し、中蓋の裏面に付着した化粧量によって他の部位を汚すことがない密閉型コンパクト容器を提供する
【解決手段】化粧料が収納される中皿50と化粧具の収納空間3が水平方向に並列配置された扁平箱状の容器本体2と、後端の蝶番(13〜15,33)により容器本体の開口を開閉自在に覆う外蓋10と、容器本体の内側に上下移動可能に挿入されるガイド枠40と、板状の中蓋60とを備え、備えたガイド枠は、水平方向に延長するともに中蓋の縁端63と摺動可能に係合するガイドレール42を備えた密閉型コンパクト容器1であって、中蓋は、外蓋が閉じられ、当該中蓋の上面と当該外蓋の裏面12との間に形成された押圧構造62により下方に付勢されると、ガイドレールを介してガイド枠を容器本体に対して下方に移動させ、下面に配設されたパッキンの下面を中皿の開口縁端面に当接させて中皿を密閉する。
【解決手段】化粧料が収納される中皿50と化粧具の収納空間3が水平方向に並列配置された扁平箱状の容器本体2と、後端の蝶番(13〜15,33)により容器本体の開口を開閉自在に覆う外蓋10と、容器本体の内側に上下移動可能に挿入されるガイド枠40と、板状の中蓋60とを備え、備えたガイド枠は、水平方向に延長するともに中蓋の縁端63と摺動可能に係合するガイドレール42を備えた密閉型コンパクト容器1であって、中蓋は、外蓋が閉じられ、当該中蓋の上面と当該外蓋の裏面12との間に形成された押圧構造62により下方に付勢されると、ガイドレールを介してガイド枠を容器本体に対して下方に移動させ、下面に配設されたパッキンの下面を中皿の開口縁端面に当接させて中皿を密閉する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、化粧料と化粧具とを携帯可能にして収納するためのコンパクト容器に関する。具体的には、化粧料を密閉した状態で収納可能とする密閉型コンパクト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の化粧料は、良好な使用感から、水分などの溶剤を多量に含んだものが多い。当然のことながら、溶剤は、蒸発、あるいは揮発するため、この溶剤を含んだ化粧料(揮発性化粧料)は、乾燥を防止するため、密閉容器に収納される。もちろん、化粧料とともにパフなどの化粧具を携帯可能にして収納したコンパクト容器においても、その化粧料が揮発性化粧料であれば、密閉性が要求される。
【0003】
そのため、化粧料を密閉した状態で収納可能な密閉型コンパクト容器では、化粧料と化粧具とを一括して収納する容器本体と、その容器本体を開閉自在に覆うための外蓋と、容器本体内において、化粧料の収納空間を密閉するための中蓋とを備えることになる。そして、以下の特許文献1〜3には、上面に上方に膨らむ、所謂バルジが形成された中蓋を備えて、外蓋を閉じたときに、外蓋の裏面によってこのバルジを介して中蓋が下方に押圧され、中蓋の下面のパッキンが化粧料の収納空間の開口の縁端面に密着して当該化粧料の収納空間を密閉する構造の密閉型コンパクト容器について記載されている。
【0004】
なお、特許文献1と2に記載のコンパクト容器では、外蓋を開く動作に連動して中蓋が自動的に開く機構を備えたコンパクト容器について記載されている。特許文献3には、化粧料収納空間の開口面に対し、中蓋の開放端側と蝶番側とが斜めに傾くことで密閉性が低下するのを防止するために、中蓋の蝶番が上下に移動可能な密閉型コンパクト容器について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4263282号公報
【特許文献2】特許第4498713号公報
【特許文献3】特許第3808152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
密閉型コンパクト容器は、従来、その化粧料を蝶番を用いた中蓋で密閉していた。したがって、密閉型コンパクト容器には、その中蓋用の蝶番を設けるためのスペースや、開閉自在の中蓋を閉じた状態で維持させるためフックなどの閉止手段が必要であり、密閉型コンパクト容器の小型化が困難となっていた。また、普通、密閉型コンパクト容器を構成する各部品は、プラスチック成形品であり、外蓋に加え、中蓋にも複雑な構造の蝶番や閉止手段を設ければ、密閉型コンパクト容器の製造コストが増加する。
【0007】
さらに、中蓋の裏側に化粧料が付着し易く、中蓋が開いている状態では、その裏側が外部に露出することになる。そのため、中蓋の裏側に付着していた化粧料が意図しない部位(衣服や手指など)に再付着してそれらの部位を汚してしまうことも考えられる。
【0008】
本発明は、上述したように、従来の密閉型コンパクト容器における様々な問題に鑑みなされたもので、その目的は、小型で低価格であるとともに、化粧料を確実に密閉した状態で収納しつつ、中蓋の裏面に付着した化粧量によって他の部位を汚すことがない密閉型コンパクト容器を提供することにある。なお、その他の目的は、以下の記載で明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、化粧料を密閉した状態で化粧具とともに収納するためのコンパクト容器であって、
上方が開口するとともに、化粧料の収納空間と化粧具の収納空間とが水平方向に並列配置される扁平箱状の容器本体と、当該容器本体の前記開口を開閉自在に覆う外蓋と、上方が開口して化粧料を収納するための中皿と、前記容器本体の内側に挿入される枠体からなるガイド枠と、前記水平面と平行な面を有する板状の中蓋とを含んで構成され、
前記ガイド枠は、前記容器本体内に上下方向に移動可能に収納されているとともに、前記水平方向に延長するガイドレールを互いに対向する二つの内側面の上方に備え、
前記中蓋の上面と前記外蓋の裏面との間には、当該外蓋が閉じられた際に、当該中蓋を下方に付勢する押圧構造が形成され、
前記中蓋は、下面にパッキンを備えるとともに、縁端が前記ガイドレールと係合して前記水平方向に摺動可能であり、
前記中蓋は、前記中皿の開口を覆った状態で外蓋が閉じられた際に、前記押圧部が当該外蓋の裏面に押圧されて下方に付勢されるのに伴って、前記ガイドレールに係合している前記縁端を介して前記ガイド枠を前記容器本体に対して下方に移動させるとともに、前記パッキンの下面を前記中皿の開口縁端面に当接させることで、当該中皿を密閉する密閉型コンパクト容器としている。なお、前記押圧構造は、前記中蓋の上面、あるいは前記外蓋の裏面に突出する押圧部とすることしてもよい。
【0010】
また、前記容器本体にて対向する二つの内側面と、前記ガイド枠にて前記二つの内側面のそれぞれに対面する二つ外側面との間に、当該ガイド枠を上下方に平行移動させるための機構を備え、
当該機構は、互いに対向する前記内側面と前記外側面の一方の面に設けられて下方から上方に向かって同じ角度で傾斜するように形成された複数の長孔と、他方の面に設けられて当該複数の長孔に個別に摺動可能に挿入される突起とから構成され、
前記ガイド枠が上方あるいは下方に付勢された際、当該突起が前記長孔に案内されて、前記ガイド枠が前記傾斜に沿いつつ上方あるいは下方に向かって平行移動する、密閉型コンパクト容器とすることもできる。
【0011】
前記外蓋は、後端に前方に突出する凸部を備え、
前記外蓋を開いた際、前記当該凸部の先端が前記ガイド枠の後端下方に当接して当該ガイド枠を押し上げることで、前記中皿の密閉状態が解除される密閉型コンパクト容器としてもよい。
【0012】
また、ガイド枠を上下方に平行移動させるための機構を備えた密閉型コンパクト容器において、
前記長孔の傾斜方向は、下前方から上後方に向かうとともに、前記外蓋は、後端に前方に突出する凸部を備え、
前記外蓋を開いた際、前記凸部の先端が、前記ガイド枠の後端下方に当接したのち、当該後端下方との摩擦によって前記ガイド枠を上後方に付勢することで、前記中皿の密閉状態が解除されることとすればより好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の密閉型コンパクト容器は、小型化と低価格化を達成できるとともに、化粧料を確実に密閉した状態で収納しつつ、中蓋の裏面に付着した化粧量によって他の部位を汚すことがない。その他の効果については、以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例における密閉型コンパクト容器の外蓋を閉じた状態を示す外観図である。
【図2】上記実施例の密閉型コンパクト容器の外蓋を開いたときの状態を示す外観図である。(A)は中蓋を閉じたときの状態を示す図であり、(B)は中蓋を開いたときの状態を示す図である。
【図3】上記実施例の密閉型コンパクト容器の分解斜視図である。
【図4】上記分解斜視図にて示した密閉型コンパクト容器の各構成要素同士の組み付け状態を示す図である。
【図5】上記実施例の密閉型コンパクト容器における外蓋の閉止構造を示す図である。
【図6】上記実施例の密閉型コンパクト容器における中蓋の密閉状態を左右方向からの断面として示した図である。
【図7】上記実施例の密閉型コンパクト容器における中蓋の密閉状態を前後方向からの断面として示した図である。
【図8】上記実施例の密閉型コンパクト容器における外蓋と中蓋の連動開閉機構の動作を示す図である。
【図9】上記実施例に係る密閉型コンパクト容器を構成するパッキンの変形例を示す図である。
【図10】上記実施例に係る密閉型コンパクト容器における中皿の固定構造の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
===本発明の技術的思想===
本願発明者は、蝶番を用いた中蓋を備えた従来の密閉型コンパクト容器における様々な問題を解決するために、理想的な密閉型コンパクト容器の構造について考察した。そして、中蓋を板状とし、その板面(水平面)内で移動可能なスライド式の中蓋とすれば、中蓋用の蝶番や閉止手段が不要となり、これらを形成するためのスペースを節約して、実質的な化粧料や化粧具の収納容積を犠牲にすることなく密閉型コンパクト容器の外形サイズをより小さくすることができるとともに、構造も簡素なものとなり低価格化も期待できる、と考えた。さらに、中蓋の裏面と容器本体の底面とが常時対向しているため、中蓋の裏面が露出することなく、その裏面に付着した化粧料によって意図せぬ部位が汚れることもない、と考えた。なお、スライド式の中蓋としては、例えば、扁平箱形の容器本体の内側面のうち、対向する二面に水平方向に延長する溝などをガイドレールとして形成し、板状の中蓋の縁端をそのガイドレールに嵌め込んだ状態でスライドさせる構造が考えられる。
【0016】
次に、上記各特許文献に記載の密閉型コンパクト容器のように、板状の中蓋にも外側面にバルジなどの外蓋の裏面によって押圧される部位(押圧部)を設け、外蓋を閉じたときに、中蓋全体を容器本体の底面側(以下、下方)に付勢させて化粧料の収納空間を密閉させようとした。しかし、単純に中蓋をスライド式にしただけでは、化粧料を確実に密閉することが難しい、ということが判明した。
【0017】
具体的には、外蓋を閉じたとき、中蓋は、押圧部を介して下方に付勢されるが、この中蓋は、ガイドレールによって支持されている。すなわち、中蓋は、容器本体に対してこの付勢方向に直交する水平方向にスライドさせる必要があるため、下方向への移動が規制されている。その結果、板状の中蓋は、押圧部の形成部位のみが下方に撓み、化粧料の収納空間は、この撓んだ状態の中蓋によって密閉されることになる。したがって、外蓋による押圧状態が僅かでも緩むと、撓んだ状態にある中蓋が弾性により復元して、密閉性を維持することができなくなる。それ以前に、中蓋の周囲の部分がガイドレールによって固定されているため、中蓋全体が下方向に移動できず、化粧料の収納空間を確実に密閉することができない、という可能性もある。そこで、ガイドレールとなる溝の上下幅を広げるなどして、スライド機構に遊びを設け、中蓋の弾性変形を可能な限り抑止させることも考えたが、この場合は、スライド動作時に「ガタ」がでて、中蓋をガイドレールに沿って滑らかにスライドさせることが困難となる。
【0018】
そこで本願発明者は、スライド式の中蓋を備えた密閉型コンパクト容器について、中蓋を可能な限り弾性変形させず、かつ滑らかにスライド可能としながら、化粧料の収納空間を確実に密閉できる構造について様々な思考実験や試作を行った。そして、本発明に想到した。以下に、本発明の一実施例に係る密閉型コンパクト容器についての構成、各構成要素の構造や動作について説明する。
【0019】
===密閉型コンパクト容器の外観形状===
図1に、本発明の本実施例に係る密閉型コンパクト容器(以下、コンパクト容器)1の外観を示した。当該図1では、外蓋10を閉じたときの外観が示されている。当該コンパクト容器1の外観は、一般的なコンパクト容器と同様であり、内部に化粧料と化粧具の収納空間を有する扁平箱状の容器本体2と、この容器本体2と蝶番を介して連結されて、当該容器本体2の開口を開閉自在に覆う外蓋10とを備えている。
【0020】
ここで、図1に示したように、上下、左右、前後の各方向を便宜的に規定する。容器本体2についての各方向は、底面側を下方とし、外蓋10に覆われる開口側を上方とする。また、外蓋10と蝶番によって連結されている側を後方、外蓋10の開放端側を前方とする。左右方向については、前方から見たときの方向を採用する。一方、外蓋10については、開閉動作を伴うため、図1に示した閉止状態にあるときを基準として、開閉の各状態に拘わらず、上下、前後、左右の各方向を規定する。すなわち、外蓋10が閉止状態にあるときは、外蓋10と容器本体2の各方向が一致する。
【0021】
図2に外蓋10を開いたときのコンパクト容器1の外観図を示した。容器本体2と外蓋10の前端には、外蓋10の閉止状態を維持するための係合構造(11,31)が形成されている。また、外蓋10の裏面、すなわち下面には鏡12が貼着されている。なお、当該図2を含め、以後の図では、外蓋10における各方向を点線矢印で示した。このコンパクト容器1は、容器本体2の上方に水平方向にスライド可能な中蓋60を備えている。
【0022】
図2(A)と(B)は、それぞれ、中蓋60を閉じたときの状態と、中蓋60を開いたときの状態を示しており、この例では、容器本体2の内部が、化粧料の収納空間51と化粧具の収納空間3とが左右に並列に配置されるように区画されている。そして、中蓋60は、この化粧料の収納空間51と化粧具の収納空間3とが並列する左右方向にスライドするようになっている。本実施例では、化粧料の収納空間が左方にある。また、中蓋60は、上面に上方に突出する押圧部としてバルジ62を備え、外蓋10が閉じられた際、このバルジ62を介して下方に付勢されて化粧料の収納空間51を密閉する。
【0023】
===コンパクト容器の構成===
<構成>
図3に本実施例のコンパクト容器1の分解斜視図を示した。当該コンパクト容器1は、化粧料と化粧具を収納するための容器本体2と、その容器本体2に蝶番を介して連結されて、当該容器本体2の上方開口を開閉自在に覆うための外蓋10と、化粧料の容器として容器本体2内に固定される矩形皿状の中皿50とからなる基本的な構成要素に加え、左右にスライド可能で、中皿50の開口部を開閉自在に覆う板状の中蓋60と、その中蓋60のスライド動作を案内するための構造を備えた枠体(ガイド枠)40とを備えている。そして、本実施例のコンパクト容器1では、ガイド枠40と中蓋60の構造、およびこれらの構成要素(40,60)と他の構成要素との配置関係や係合構造、あるいは他の構成要素との連動構造などに大きな特徴があり、その特徴により、中皿50の開口を中蓋60によって確実に密閉しつつ、その密閉状態が容易に解除されないようになっている。また、密閉状態を故意に解除した際には、中蓋60が滑らかにスライドするようになっている。
【0024】
本実施例では、容器本体2は、外形を形成する薄肉の扁平箱状の底板20と、底板20の内側形状に沿って装着されたガイド枠40とは異なる枠体(本体枠)30とから構成されており、底板20は、本体枠30やガイド枠40、および中皿50を入れ子状に収納するための最も外側の枠である。また、当該底板20の底面中央には、前後方向に延長する板状部22が形成されて、この板状部22が、容器本体2の内部空間を、化粧料の収納空間51、すなわち中皿50が配置される空間21と、化粧具の収納空間3とに区画するための仕切板22となる。この例では、右側に区画された空間が化粧具の収納空間3となり、左側に区画された空間21に中皿50が配置される。
【0025】
本体枠30は、薄肉の底板20を内側から支持して高強度の容器本体2を構成するとともに、後端にて外蓋10と蝶番を介して連結して当該外蓋10の開閉動作を可能としている。具体的には、底板20の後側面は、その一部が底面に達する矩形状に切り欠かれ、本体枠30の後側面は、その切欠部分に対応して開口部32が形成されている。この開口部32が蝶番の一部品を構成し、外蓋10側の蝶番部品と連結して蝶番が形成される。本実施例では、外蓋10の後端に、中空筒状の二つの軸受け13が左右に離間して配置されて形成されており、この二つの軸受け13が外蓋10側の蝶番部品となっている。なお、外蓋10の前端と容器本体2の前方外側面には、当該外蓋10を閉じた状態で維持するための閉止構造が形成されている。この例では、底板20の前側面に上縁から底面に向かう途上まで矩形状の切欠部23が形成されており、本体枠30の前方外側面で、この切欠部23から露出する領域に外蓋10の前端に形成されたフック11に係合する突起(閉止突起)31が形成されている。もちろん、閉止構造はここに示した例に限るものではない。
【0026】
一方、本体枠30後側面の開口部32の左右内側面には、外蓋10の軸受け13を貫通する孔(貫通孔)14と同軸の孔(受け孔)33が形成されている。そして、本体枠30側の二つの受け孔33の間に二つの軸受け13を挟持しつつ、当該受け孔33と貫通孔14とに2本のピン15を挿通することで蝶番が形成される。本実施例では、各軸受け13を受け孔33の間に挟持した状態で、二つの軸受け13が対面する内側から外側に向かってピン15を貫通孔14に挿入し、ピン15の先端を受け孔33に挿入する。それによって、外蓋10が本体枠30に対して開閉自在となる。もちろん、蝶番の構造はこの例に限らず、例えば、外蓋10の軸受け13と本体枠30の受け孔33に共通のピンを通す代わりに、ピン15の先端に相当する突起を外蓋10の前端に形成し、その突起を受け孔33に回動自在に挿入する構造とすることもできる。いずれにしても、外蓋10の後端と本体枠30の後端とが互いの蝶番部品によって連結されて蝶番が形成されていればよい。
【0027】
ガイド枠40は、上記の本体枠30の内側に装着される。本体枠30の左右それぞれの内側面には、内方に突出する円筒状の突起(以下、ガイド突起)34が前後2箇所に形成されており、ガイド枠40の左右側面には、このガイド突起34が挿入される孔(以下、ガイド孔)41が形成されている。また、ガイド枠40は、前後の内側面上方に、左右方向に延長する溝(以下、ガイドレール)42が形成されている。
【0028】
中蓋60は、板状の中蓋本体61の下面にパッキン64が配設されてなり、本実施例では、パッキン64は、矩形平板状ゴムシートで、このパッキン64が中蓋本体61の下面に貼着されている。そして、このパッキン64が中皿50の開口の縁端面に密着することで、中皿50の内部51が密閉される。また、中蓋本体61の前後両端の縁辺63は、ガイド枠40における上記ガイドレール42に係合する形状となっている。中蓋60は、ガイドレール42溝に係合した状態で左右にスライドする。さらに、中蓋本体61の上面の一部には、外蓋10を閉じたときに、当該中蓋50が下方に付勢されるように、上方に突出する形状の押圧部62が形成されている。本実施例では、球面の一部表面のように上方に膨らむバルジ62が形成されている。
【0029】
<組み付け状態>
以上、コンパクト容器1の各構成要素の構概略造を説明した。次に、コンパクト容器1におけるこれら各構成要素間の位置関係や組み付け状態について説明する。図4に、容器本体2における各構成要素の位置関係や組み付け状態を示した。図4(A)は、図1におけるa−a矢視断面の左端側の拡大図であり、ガイド突起34が形成されている位置での断面が示されている。図4(B)は、図2におけるb−b矢視断面の前端側の拡大図であり、中蓋60を前後に横断する位置での断面が示されている。なお、これらの図では外蓋10を省略している。
【0030】
当該図4に示したように、底板20の内側には、入れ子状に、本体枠30が装着され、その内側にガイド枠40が装着され、そのガイド枠40の内側に中皿50が配置されている。中皿50は、底板20の底面に接着されるなどして固定されている。すなわち、中皿50は、本体枠30に対しては相対移動しないように固定されており、その本体枠30の内側に装着されるガイド枠40に対しては固定されていない。
【0031】
図4(A)に示したように、本体枠30とガイド枠40とは、ガイド突起34をガイド孔41に挿入することで、相互に組み付けられる。そして、この例では、ガイド孔41が形成される前後位置で、ガイド枠40の左右の外側面の下端に傾斜面43が形成されている。それによって、ガイド枠40を本体枠30の内側に挿入すると、当該傾斜面43により、ガイド突起34を滑らかに乗り越えた後、当該ガイド突起34がガイド孔41に挿入される。なお、ガイド突起34は、ガイド枠40の内側に配置される中皿50に干渉しないように、ガイド枠40を貫通していない。したがって、ガイド孔41は必ずしも貫通孔でなくてもよい。また、ガイド孔41は、ガイド突起34に対して上下方向に遊びがある長孔状となっている。それによって、ガイド枠40は、容器本体2および中皿50に対し、ガイド孔41の形成範囲内で上下方向への移動が可能となっている。
【0032】
また、図4(B)に示したように、中蓋本体61の前後両端の縁辺63は、その下端が外方に鉤状に突出した形状であり、その縁辺63がガイド枠40のガイドレール42と係合する。それによって中蓋60が左右方向にスライド可能となる。なお、ガイド枠40の上端面には、下方に向かってガイド枠40の内側方向に傾斜する斜面44が形成され、中蓋本体61の鉤状に突出した上記縁辺63の下端は当該斜面44に沿う角度で傾斜面65が形成されている。したがって、中蓋60をガイド枠40に上方から挿入すると、中蓋50は、ガイド枠40上方の斜面44と自身の縁辺42に形成された傾斜面65とにより撓みつつ、滑らかにガイド枠40の枠内に挿入されて、鉤状に突出する縁辺63がガイドレール42に係合し、中蓋60が左右方向にスライド可能に装着される。
【0033】
===外蓋の閉止構造と中蓋の密閉構造===
上述したような構成と組み付け構造を備えた本実施例のコンパクト容器1について、以下に、中皿50の密閉構造や密閉時の各構成要素の動作などをより詳細に説明する。
【0034】
<外蓋の閉止構造>
上述したように、外蓋10と容器本体2は、その後端が蝶番によって連結され、前端に外蓋10を閉止状態で維持するための閉止構造(11,31)を備えている。図5に、当該閉止構造を示した。図5の(A)と(B)は、図1におけるc−c矢視断面の後端側と前端側をそれぞれ拡大した図である。(A)に示したように、外蓋10の軸受け13の貫通孔14に嵌入されたピン15の先端が本体枠30の受け孔34に回動自在に挿入されて蝶番が構成されている。また、外蓋10の後端には、左右二つの軸受け13の間に下方に突出しつつ前方に屈曲する凸部(以下、開放補助部)16が形成されている。また、底板20の底面後端側には、この開放補助部16の外面形状に沿う窪み25が形成されて、外蓋10を開閉する際の開放補助部16の動作に干渉しないようにしている。そして、この開放補助部16とガイド枠40とによって、外蓋10を開ける動作に連動して中蓋60が開く開放連動機構が構成される。なお、当該開放連動機構の詳細については後述する。
【0035】
一方、外蓋10の前端中央には、下後方に延長しつつ、下方に屈曲する舌片18が形成されており、その舌片18の下端が後方に鉤状に突出するフック部11となる。本体枠30の前外側面は、底板20の前側面の中央に形成された矩形状の切欠部23に対応する位置にて露出し、その露出部位に、前方に突出する略三角形断面の閉止突起31が形成されている。そして、外蓋10のフック部11の下端は、斜めに切りかかれており、当該外蓋10を閉じる動作に従って、舌片18が前方に撓みつつフック部11が本体枠30の閉止突起31を滑らに乗り越え、当該突起31の下面とフック部11の上面とが係合し、外蓋10が閉止状態で維持される。外蓋10を開けるときには、底板20の前側面の上記切欠部23から外蓋10の前方下端に指をかけて上方に持ち上げれば閉止状態が解除されて、外蓋10が開く。
【0036】
<中皿の密閉構造>
本実施例のコンパクト容器1では、上述した外蓋10の閉止動作に伴って中蓋60によって中皿50が密閉されるようになっている。図6および図7に、それぞれ、図1におけるa−a矢視断面、およびb−b矢視断面を示した。これらa−a矢視断面、およびb−b矢視断面は、図4と同様であるが、ここでは、断面全体を示した。これらの図に示したように、中蓋60を左端側にスライドさせて中皿50の上方に配置しつつ、外蓋10を閉じると、中蓋60がバルジ62を介して下方に押圧される。中蓋60は、ガイド枠40のガイドレール42に係合しているため、ガイド枠40が中蓋60とともに下方に付勢される。上述したように、ガイド枠40は、長孔状のガイド孔41の形成範囲内において上下動が可能であり、外蓋10が閉止状態にあるときに、下方への移動限界か、それより上に位置していれば、中蓋60は、下方への押圧によって、ほとんど撓むことなくガイド枠40とともに下方に移動することになる。そして、中蓋60の下面にはゴムシートからなるパッキン64が配設されているため、そのパッキン64が中皿50の開口縁端面に密接し、中皿50内の空間が密閉される。また、中蓋60が下方に押圧されると中皿50内の空気が外方に逃げ、密閉された中皿50内は負圧状態となり、パッキン64によって中蓋60が中皿50の開口縁端面に吸着する。このように、中蓋60がガイド枠40ごと下方に移動しつつ、中皿50の開口を塞ぐので、中蓋60はほとんど撓まない。すなわち、外蓋10の閉止状態が解除されても中蓋50が自身の弾性によって復元することがないため、吸着状態が維持され、中皿50内の化粧料が乾燥するのを確実に防止することができる。
【0037】
===開放連動機構===
上述したように、本実施例のコンパクト容器1では、外蓋10が閉じられると、中蓋60がパッキン64を介して中皿50の開口を密閉し、負圧により中蓋60が中皿50に吸着する。外蓋10を開けて、吸着状態にある中蓋60を開ける場合には、中蓋本体61かガイド枠40の縁に指や爪をかけて上方に持ち上げればよい。しかし、より強固に吸着している場合は、中蓋60を開けるのに多少の力を要することになる。力を掛けて中蓋60を開けようとして吸着状態が急激に解除されれば、容器本体2内に収納されていた化粧具が飛散する可能性がある。中蓋60とガイド枠40、あるいはガイド枠40と本体枠30との係合が外れてコンパクト容器1が分解する可能性も僅かながらある。
【0038】
そこで本願発明者は、中蓋60を支持するガイド枠40自体を下方に移動させることで中皿50を密閉する、という本実施例のコンパクト容器1における特徴的な構造を活用することで、外蓋10が不用意に開いても中皿50の密閉性が確実に維持されるとともに、外蓋10を故意に全開にした場合には、その全開動作に連動して、軽い力で中蓋60の密閉状態が自動的に解除される開放連動機構に想到した。この開放連携機構については、先にその概略を説明したが、ここでは、当該連動機構に関わる構造や、各構成要素の動作などをより詳しく説明する。
【0039】
図8(A)〜(C)に、外蓋10を開く動作と中蓋60やガイド枠40の動作との連動状態を示した。まず、外蓋10が僅かに開いた状態では、中皿50内の負圧によって中蓋60が吸着しており、密閉状態が維持される(A)。さらに、外蓋10を開いていくと、ガイド枠40の後面下端に外蓋10下端の開閉補助部16の先端17が当接する(B)。本実施例では、このとき、外蓋10における前後方向と容器本体2の前後方向とがほぼ直交する角度となる。この直交状態から、さらに外蓋10を開くと、開放補助部16の先端17がさらに上方に移動し、ガイド枠40を押し上げる。このとき、吸着状態を開放する際の抵抗感があるが、外蓋10の前端側を手で持って当該外蓋10を開くのであれば、この前端を力点、開放補助部16の先端17を作用点、そして蝶番の軸15を支点とした梃子の原理で、軽い力でガイド枠40が押し上げられる。すなわち、ガイド枠40のガイドレール42に係合している中蓋60が上方に押し上げられてパッキン64の下面が中皿50の開口縁端面から離間する。また、外蓋10を全開状態にしておけば、開放補助部16が常にガイド枠40を下方から支持し続けるため、中蓋60が中皿50の開口縁端面に対して浮いた状態となり、中蓋60を容易にスライドさせることができる。
【0040】
さらに、本実施例のコンパクト容器1では、ガイド枠40の後端側が開放補助部16によって上方に付勢されたときに前端側が押し上げられずに、中皿50の開口面に対して中蓋60が後端を上にして前端に向かって斜めに傾くことを防止するために、中蓋60を中皿50の開口縁端面に対し平行に移動させて完全に浮いた状態を維持し、中蓋60を極めて滑らかにスライドさせることができる平行機構を備えている。当該平行移動機構は、本体枠30の左右内側面に突設されたガイド突起34と、この突起34が挿入されるガイド枠40側の長孔状のガイド孔41とによって形成される。
【0041】
上記平行移動機構について、図8に基づいて具体的に説明すると、本体枠30の左右各内側面のガイド突起34は、当該本体枠30に対して同じ高さ位置に形成され、ガイド枠40の左右各側面のガイド孔41は、当該ガイド枠40に対して同じ高さ位置に形成されている。さらに、長孔状のガイド孔41は、その長軸方向が鉛直方向ではなく、下前方から上後方に傾斜している。そして、外蓋10が閉じている状態(A)から当該外蓋10を開いていき、開放補助部16の先端17がガイド枠40の後面下端に接した状態(B)から、さらに外蓋10を開いていくと、開放補助部16の先端17がさらに上方に移動し、ガイド枠40の後面下端が上方に付勢される。このとき、ガイド孔41が上後方に向かって傾斜しているため、ガイド枠40が、ガイド孔41に挿入されたガイド突起34に案内され、図8(C)において白抜き矢印で示したように、斜め上後方に平行移動する。また、ガイド孔41が斜めに傾斜しているため、ガイド孔41に挿入されたガイド突起34を介してガイド枠40が支えされ、上方に押し上げられたガイド枠40の前端側が自重によって落下することがない。
【0042】
一方、図8(C)(B)(A)の順で外蓋10を閉じていくと、ガイド枠40は、開閉補助部16による下支えが無くなり、自重によって落下しよとする。しかし、この場合も傾斜したガイド孔41に挿入されたガイド突起34を介してガイド枠40が支えられているため、ガイド孔41がガイド突起34と摩擦を有して相対的に摺動し、ガイド枠40は、急激に落下することなく、滑らかに下前方に向かって斜めに平行移動する。また、外蓋10を閉止するときもガイド枠40が平行移動し、板状の中蓋60が水平を保持しつつ下方に付勢される。そのため、パッキン64が中皿50の開口縁端面に均一に密着する。
【0043】
===その他の実施例===
上記実施例では、容器本体2は、薄肉の底板20とその底板20を内部から補強するとともに、外蓋10を閉止させるための閉止突起31を備えた本体枠30とから構成されていたが、本体枠30を設けずに、底板20を肉厚にしたり、閉止突起31に相当する外蓋10の閉止構造をその肉厚の底板20に備えさせたりしてもよい。
【0044】
上記実施例では、外蓋10を閉じる動作によって、中蓋60を下方に付勢するために、中蓋60にバルジ62を形成していた。もちろん、バルジ60限らず、突起であってもよい。また、外蓋10の下面に下方に突出する突起やバルジを設けてもよい。
【0045】
上記実施例におけるガイド枠40の平行移動機構では、ガイド孔41がガイド枠40の移動方向に沿う方向に傾斜していたが、この例に限らず、ガイド孔41は、上下方向に長軸を有する長孔であってもよい。もちろん、傾斜の方向が逆になっていてもよい。いずれにしても、ガイド枠40は、ガイド孔41に挿入されているガイド突起34に案内されることで、滑らかに上下に平行移動することができる。なお、上記実施例では、外蓋10を全開させると、開放補助部16の先端17が上後方に向かう軌道を描くため、ガイド枠40の後面下端は、開放補助部16の先端17との摩擦により、後上方に付勢される。すなわち、ガイド孔41の傾斜方向と一致する。したがって、ガイド孔41の傾斜方向は、より軽い力でより円滑にガイド枠40を平行移動させるためには、下前方から上後方の方にガイド孔41が傾斜している方がより好ましい。
【0046】
ガイド枠40に形成されたガイドレール42を溝状にせず、前後方向に突出しつつ左右に延長するモノレールとし、中蓋60の前縁と後縁にこのモノレールに係合する溝を形成してもよい。
【0047】
中皿50や化粧具の収納空間3の開口形状は矩形に限らず、適宜な形状とすることができる。この場合、中蓋60をその開口形状に合わせた平面形状となるように成形すればよい。例えば、中皿50や化粧具の収納空間3の開口形状を円形とすれば、中蓋50を円板状とし、その円板の前後縁端にガイドレールに係合する突起などを設ければよい。
【0048】
上記実施例では、容器本体2は、左右に、中皿50を配置する空間21と化粧具の収納空間3とが区画されていたが、前後方向に配置されていてもよい。そして、ガイド枠40は、前後に延長するガイドレール42を左右両端に備えて、中蓋60は、前後方向にスライドするようになっていてもよい。
【0049】
上記実施例において、パッキン64は単純な平板状であったが、これに限るものではない、図9にパッキン64bの形状が異なるコンパクト容器1bを例示した。図示したように、パッキン64bには、中皿50の開口内面に接するリブ66が形成されている。なお、パッキンは、枠状であってもよい。いずれにしても、パッキンが、中蓋本体61の下面において、中皿50の開口縁端面に密着するように配設されていればよい。また、当該図9に示したコンパクト容器1bでは、ガイド孔41bが上下方向を長軸とした長孔状となっており、上記平行移動機構の変形例も合わせて示している。図9の(A)(B)は、それぞれ、外蓋10を開いた状態と、閉じた状態を示している。ガイド枠40が鉛直方向に平行移動している(図中、白抜き矢印)。
【0050】
上記実施例では、中皿50は、容器本体2に接着されて取り外せないように固定されていたが、組み付け状態において、中皿50が容器本体に対して固定されているのであれば、着脱自在としてもよい。図10に、その中皿50bの着脱構造の一例を示した。図10(A)は、当該構造の斜視図であり、ここでは、底板20bと本体枠20と中皿50bとを示した。(B)は、中皿50bを装着した状態を示す断面図であり(A)におけるd−d矢視断面に対応する。底板20bの底面には、化粧料と化粧具の各収納空間(21,3)を区画するための仕切板22bに加え、左端側にも当該仕切板22bと同様の板状部26が形成されている。この左端側の板状部26は、底板20bの左内側面から僅かに離間し、本体枠30がこの底板20bに装着された状態では、この離間した間隙に本体枠30の左側面26が挿入される。この板状部26と仕切板22bとには、それぞれ、互いに対面するように突起(27,28)が突設されており、この突起の部分が中皿50bの側面に形成された溝52に係合することで、当該中皿50bが容器本体2に着脱自在に固定される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この発明は、蒸発する溶剤や揮発性の溶剤を含んだ化粧料を化粧具とともに携帯する際に用いるコンパクト容器として好適である。
【符号の説明】
【0052】
1 密閉型コンパクト容器、2 容器本体、3 化粧具収納空間、10 外蓋、11 フック、13 軸受け、15 ピン、16 開放補助部、17 開放補助部の先端、18 舌片、20,20b 底板、22,22b 仕切板、23,24 切欠、25 窪み、30 本体枠、31 閉止突起、33 ピンが挿入される孔、34 ガイド突起、40 ガイド枠、41,41b ガイド孔、42 ガイドレール、50,50b 中皿、51 化粧料収納空間、60 中蓋、61 中蓋本体、62 バルジ、63 中蓋本体の縁辺、64,64b パッキン
【技術分野】
【0001】
この発明は、化粧料と化粧具とを携帯可能にして収納するためのコンパクト容器に関する。具体的には、化粧料を密閉した状態で収納可能とする密閉型コンパクト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の化粧料は、良好な使用感から、水分などの溶剤を多量に含んだものが多い。当然のことながら、溶剤は、蒸発、あるいは揮発するため、この溶剤を含んだ化粧料(揮発性化粧料)は、乾燥を防止するため、密閉容器に収納される。もちろん、化粧料とともにパフなどの化粧具を携帯可能にして収納したコンパクト容器においても、その化粧料が揮発性化粧料であれば、密閉性が要求される。
【0003】
そのため、化粧料を密閉した状態で収納可能な密閉型コンパクト容器では、化粧料と化粧具とを一括して収納する容器本体と、その容器本体を開閉自在に覆うための外蓋と、容器本体内において、化粧料の収納空間を密閉するための中蓋とを備えることになる。そして、以下の特許文献1〜3には、上面に上方に膨らむ、所謂バルジが形成された中蓋を備えて、外蓋を閉じたときに、外蓋の裏面によってこのバルジを介して中蓋が下方に押圧され、中蓋の下面のパッキンが化粧料の収納空間の開口の縁端面に密着して当該化粧料の収納空間を密閉する構造の密閉型コンパクト容器について記載されている。
【0004】
なお、特許文献1と2に記載のコンパクト容器では、外蓋を開く動作に連動して中蓋が自動的に開く機構を備えたコンパクト容器について記載されている。特許文献3には、化粧料収納空間の開口面に対し、中蓋の開放端側と蝶番側とが斜めに傾くことで密閉性が低下するのを防止するために、中蓋の蝶番が上下に移動可能な密閉型コンパクト容器について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4263282号公報
【特許文献2】特許第4498713号公報
【特許文献3】特許第3808152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
密閉型コンパクト容器は、従来、その化粧料を蝶番を用いた中蓋で密閉していた。したがって、密閉型コンパクト容器には、その中蓋用の蝶番を設けるためのスペースや、開閉自在の中蓋を閉じた状態で維持させるためフックなどの閉止手段が必要であり、密閉型コンパクト容器の小型化が困難となっていた。また、普通、密閉型コンパクト容器を構成する各部品は、プラスチック成形品であり、外蓋に加え、中蓋にも複雑な構造の蝶番や閉止手段を設ければ、密閉型コンパクト容器の製造コストが増加する。
【0007】
さらに、中蓋の裏側に化粧料が付着し易く、中蓋が開いている状態では、その裏側が外部に露出することになる。そのため、中蓋の裏側に付着していた化粧料が意図しない部位(衣服や手指など)に再付着してそれらの部位を汚してしまうことも考えられる。
【0008】
本発明は、上述したように、従来の密閉型コンパクト容器における様々な問題に鑑みなされたもので、その目的は、小型で低価格であるとともに、化粧料を確実に密閉した状態で収納しつつ、中蓋の裏面に付着した化粧量によって他の部位を汚すことがない密閉型コンパクト容器を提供することにある。なお、その他の目的は、以下の記載で明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、化粧料を密閉した状態で化粧具とともに収納するためのコンパクト容器であって、
上方が開口するとともに、化粧料の収納空間と化粧具の収納空間とが水平方向に並列配置される扁平箱状の容器本体と、当該容器本体の前記開口を開閉自在に覆う外蓋と、上方が開口して化粧料を収納するための中皿と、前記容器本体の内側に挿入される枠体からなるガイド枠と、前記水平面と平行な面を有する板状の中蓋とを含んで構成され、
前記ガイド枠は、前記容器本体内に上下方向に移動可能に収納されているとともに、前記水平方向に延長するガイドレールを互いに対向する二つの内側面の上方に備え、
前記中蓋の上面と前記外蓋の裏面との間には、当該外蓋が閉じられた際に、当該中蓋を下方に付勢する押圧構造が形成され、
前記中蓋は、下面にパッキンを備えるとともに、縁端が前記ガイドレールと係合して前記水平方向に摺動可能であり、
前記中蓋は、前記中皿の開口を覆った状態で外蓋が閉じられた際に、前記押圧部が当該外蓋の裏面に押圧されて下方に付勢されるのに伴って、前記ガイドレールに係合している前記縁端を介して前記ガイド枠を前記容器本体に対して下方に移動させるとともに、前記パッキンの下面を前記中皿の開口縁端面に当接させることで、当該中皿を密閉する密閉型コンパクト容器としている。なお、前記押圧構造は、前記中蓋の上面、あるいは前記外蓋の裏面に突出する押圧部とすることしてもよい。
【0010】
また、前記容器本体にて対向する二つの内側面と、前記ガイド枠にて前記二つの内側面のそれぞれに対面する二つ外側面との間に、当該ガイド枠を上下方に平行移動させるための機構を備え、
当該機構は、互いに対向する前記内側面と前記外側面の一方の面に設けられて下方から上方に向かって同じ角度で傾斜するように形成された複数の長孔と、他方の面に設けられて当該複数の長孔に個別に摺動可能に挿入される突起とから構成され、
前記ガイド枠が上方あるいは下方に付勢された際、当該突起が前記長孔に案内されて、前記ガイド枠が前記傾斜に沿いつつ上方あるいは下方に向かって平行移動する、密閉型コンパクト容器とすることもできる。
【0011】
前記外蓋は、後端に前方に突出する凸部を備え、
前記外蓋を開いた際、前記当該凸部の先端が前記ガイド枠の後端下方に当接して当該ガイド枠を押し上げることで、前記中皿の密閉状態が解除される密閉型コンパクト容器としてもよい。
【0012】
また、ガイド枠を上下方に平行移動させるための機構を備えた密閉型コンパクト容器において、
前記長孔の傾斜方向は、下前方から上後方に向かうとともに、前記外蓋は、後端に前方に突出する凸部を備え、
前記外蓋を開いた際、前記凸部の先端が、前記ガイド枠の後端下方に当接したのち、当該後端下方との摩擦によって前記ガイド枠を上後方に付勢することで、前記中皿の密閉状態が解除されることとすればより好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の密閉型コンパクト容器は、小型化と低価格化を達成できるとともに、化粧料を確実に密閉した状態で収納しつつ、中蓋の裏面に付着した化粧量によって他の部位を汚すことがない。その他の効果については、以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例における密閉型コンパクト容器の外蓋を閉じた状態を示す外観図である。
【図2】上記実施例の密閉型コンパクト容器の外蓋を開いたときの状態を示す外観図である。(A)は中蓋を閉じたときの状態を示す図であり、(B)は中蓋を開いたときの状態を示す図である。
【図3】上記実施例の密閉型コンパクト容器の分解斜視図である。
【図4】上記分解斜視図にて示した密閉型コンパクト容器の各構成要素同士の組み付け状態を示す図である。
【図5】上記実施例の密閉型コンパクト容器における外蓋の閉止構造を示す図である。
【図6】上記実施例の密閉型コンパクト容器における中蓋の密閉状態を左右方向からの断面として示した図である。
【図7】上記実施例の密閉型コンパクト容器における中蓋の密閉状態を前後方向からの断面として示した図である。
【図8】上記実施例の密閉型コンパクト容器における外蓋と中蓋の連動開閉機構の動作を示す図である。
【図9】上記実施例に係る密閉型コンパクト容器を構成するパッキンの変形例を示す図である。
【図10】上記実施例に係る密閉型コンパクト容器における中皿の固定構造の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
===本発明の技術的思想===
本願発明者は、蝶番を用いた中蓋を備えた従来の密閉型コンパクト容器における様々な問題を解決するために、理想的な密閉型コンパクト容器の構造について考察した。そして、中蓋を板状とし、その板面(水平面)内で移動可能なスライド式の中蓋とすれば、中蓋用の蝶番や閉止手段が不要となり、これらを形成するためのスペースを節約して、実質的な化粧料や化粧具の収納容積を犠牲にすることなく密閉型コンパクト容器の外形サイズをより小さくすることができるとともに、構造も簡素なものとなり低価格化も期待できる、と考えた。さらに、中蓋の裏面と容器本体の底面とが常時対向しているため、中蓋の裏面が露出することなく、その裏面に付着した化粧料によって意図せぬ部位が汚れることもない、と考えた。なお、スライド式の中蓋としては、例えば、扁平箱形の容器本体の内側面のうち、対向する二面に水平方向に延長する溝などをガイドレールとして形成し、板状の中蓋の縁端をそのガイドレールに嵌め込んだ状態でスライドさせる構造が考えられる。
【0016】
次に、上記各特許文献に記載の密閉型コンパクト容器のように、板状の中蓋にも外側面にバルジなどの外蓋の裏面によって押圧される部位(押圧部)を設け、外蓋を閉じたときに、中蓋全体を容器本体の底面側(以下、下方)に付勢させて化粧料の収納空間を密閉させようとした。しかし、単純に中蓋をスライド式にしただけでは、化粧料を確実に密閉することが難しい、ということが判明した。
【0017】
具体的には、外蓋を閉じたとき、中蓋は、押圧部を介して下方に付勢されるが、この中蓋は、ガイドレールによって支持されている。すなわち、中蓋は、容器本体に対してこの付勢方向に直交する水平方向にスライドさせる必要があるため、下方向への移動が規制されている。その結果、板状の中蓋は、押圧部の形成部位のみが下方に撓み、化粧料の収納空間は、この撓んだ状態の中蓋によって密閉されることになる。したがって、外蓋による押圧状態が僅かでも緩むと、撓んだ状態にある中蓋が弾性により復元して、密閉性を維持することができなくなる。それ以前に、中蓋の周囲の部分がガイドレールによって固定されているため、中蓋全体が下方向に移動できず、化粧料の収納空間を確実に密閉することができない、という可能性もある。そこで、ガイドレールとなる溝の上下幅を広げるなどして、スライド機構に遊びを設け、中蓋の弾性変形を可能な限り抑止させることも考えたが、この場合は、スライド動作時に「ガタ」がでて、中蓋をガイドレールに沿って滑らかにスライドさせることが困難となる。
【0018】
そこで本願発明者は、スライド式の中蓋を備えた密閉型コンパクト容器について、中蓋を可能な限り弾性変形させず、かつ滑らかにスライド可能としながら、化粧料の収納空間を確実に密閉できる構造について様々な思考実験や試作を行った。そして、本発明に想到した。以下に、本発明の一実施例に係る密閉型コンパクト容器についての構成、各構成要素の構造や動作について説明する。
【0019】
===密閉型コンパクト容器の外観形状===
図1に、本発明の本実施例に係る密閉型コンパクト容器(以下、コンパクト容器)1の外観を示した。当該図1では、外蓋10を閉じたときの外観が示されている。当該コンパクト容器1の外観は、一般的なコンパクト容器と同様であり、内部に化粧料と化粧具の収納空間を有する扁平箱状の容器本体2と、この容器本体2と蝶番を介して連結されて、当該容器本体2の開口を開閉自在に覆う外蓋10とを備えている。
【0020】
ここで、図1に示したように、上下、左右、前後の各方向を便宜的に規定する。容器本体2についての各方向は、底面側を下方とし、外蓋10に覆われる開口側を上方とする。また、外蓋10と蝶番によって連結されている側を後方、外蓋10の開放端側を前方とする。左右方向については、前方から見たときの方向を採用する。一方、外蓋10については、開閉動作を伴うため、図1に示した閉止状態にあるときを基準として、開閉の各状態に拘わらず、上下、前後、左右の各方向を規定する。すなわち、外蓋10が閉止状態にあるときは、外蓋10と容器本体2の各方向が一致する。
【0021】
図2に外蓋10を開いたときのコンパクト容器1の外観図を示した。容器本体2と外蓋10の前端には、外蓋10の閉止状態を維持するための係合構造(11,31)が形成されている。また、外蓋10の裏面、すなわち下面には鏡12が貼着されている。なお、当該図2を含め、以後の図では、外蓋10における各方向を点線矢印で示した。このコンパクト容器1は、容器本体2の上方に水平方向にスライド可能な中蓋60を備えている。
【0022】
図2(A)と(B)は、それぞれ、中蓋60を閉じたときの状態と、中蓋60を開いたときの状態を示しており、この例では、容器本体2の内部が、化粧料の収納空間51と化粧具の収納空間3とが左右に並列に配置されるように区画されている。そして、中蓋60は、この化粧料の収納空間51と化粧具の収納空間3とが並列する左右方向にスライドするようになっている。本実施例では、化粧料の収納空間が左方にある。また、中蓋60は、上面に上方に突出する押圧部としてバルジ62を備え、外蓋10が閉じられた際、このバルジ62を介して下方に付勢されて化粧料の収納空間51を密閉する。
【0023】
===コンパクト容器の構成===
<構成>
図3に本実施例のコンパクト容器1の分解斜視図を示した。当該コンパクト容器1は、化粧料と化粧具を収納するための容器本体2と、その容器本体2に蝶番を介して連結されて、当該容器本体2の上方開口を開閉自在に覆うための外蓋10と、化粧料の容器として容器本体2内に固定される矩形皿状の中皿50とからなる基本的な構成要素に加え、左右にスライド可能で、中皿50の開口部を開閉自在に覆う板状の中蓋60と、その中蓋60のスライド動作を案内するための構造を備えた枠体(ガイド枠)40とを備えている。そして、本実施例のコンパクト容器1では、ガイド枠40と中蓋60の構造、およびこれらの構成要素(40,60)と他の構成要素との配置関係や係合構造、あるいは他の構成要素との連動構造などに大きな特徴があり、その特徴により、中皿50の開口を中蓋60によって確実に密閉しつつ、その密閉状態が容易に解除されないようになっている。また、密閉状態を故意に解除した際には、中蓋60が滑らかにスライドするようになっている。
【0024】
本実施例では、容器本体2は、外形を形成する薄肉の扁平箱状の底板20と、底板20の内側形状に沿って装着されたガイド枠40とは異なる枠体(本体枠)30とから構成されており、底板20は、本体枠30やガイド枠40、および中皿50を入れ子状に収納するための最も外側の枠である。また、当該底板20の底面中央には、前後方向に延長する板状部22が形成されて、この板状部22が、容器本体2の内部空間を、化粧料の収納空間51、すなわち中皿50が配置される空間21と、化粧具の収納空間3とに区画するための仕切板22となる。この例では、右側に区画された空間が化粧具の収納空間3となり、左側に区画された空間21に中皿50が配置される。
【0025】
本体枠30は、薄肉の底板20を内側から支持して高強度の容器本体2を構成するとともに、後端にて外蓋10と蝶番を介して連結して当該外蓋10の開閉動作を可能としている。具体的には、底板20の後側面は、その一部が底面に達する矩形状に切り欠かれ、本体枠30の後側面は、その切欠部分に対応して開口部32が形成されている。この開口部32が蝶番の一部品を構成し、外蓋10側の蝶番部品と連結して蝶番が形成される。本実施例では、外蓋10の後端に、中空筒状の二つの軸受け13が左右に離間して配置されて形成されており、この二つの軸受け13が外蓋10側の蝶番部品となっている。なお、外蓋10の前端と容器本体2の前方外側面には、当該外蓋10を閉じた状態で維持するための閉止構造が形成されている。この例では、底板20の前側面に上縁から底面に向かう途上まで矩形状の切欠部23が形成されており、本体枠30の前方外側面で、この切欠部23から露出する領域に外蓋10の前端に形成されたフック11に係合する突起(閉止突起)31が形成されている。もちろん、閉止構造はここに示した例に限るものではない。
【0026】
一方、本体枠30後側面の開口部32の左右内側面には、外蓋10の軸受け13を貫通する孔(貫通孔)14と同軸の孔(受け孔)33が形成されている。そして、本体枠30側の二つの受け孔33の間に二つの軸受け13を挟持しつつ、当該受け孔33と貫通孔14とに2本のピン15を挿通することで蝶番が形成される。本実施例では、各軸受け13を受け孔33の間に挟持した状態で、二つの軸受け13が対面する内側から外側に向かってピン15を貫通孔14に挿入し、ピン15の先端を受け孔33に挿入する。それによって、外蓋10が本体枠30に対して開閉自在となる。もちろん、蝶番の構造はこの例に限らず、例えば、外蓋10の軸受け13と本体枠30の受け孔33に共通のピンを通す代わりに、ピン15の先端に相当する突起を外蓋10の前端に形成し、その突起を受け孔33に回動自在に挿入する構造とすることもできる。いずれにしても、外蓋10の後端と本体枠30の後端とが互いの蝶番部品によって連結されて蝶番が形成されていればよい。
【0027】
ガイド枠40は、上記の本体枠30の内側に装着される。本体枠30の左右それぞれの内側面には、内方に突出する円筒状の突起(以下、ガイド突起)34が前後2箇所に形成されており、ガイド枠40の左右側面には、このガイド突起34が挿入される孔(以下、ガイド孔)41が形成されている。また、ガイド枠40は、前後の内側面上方に、左右方向に延長する溝(以下、ガイドレール)42が形成されている。
【0028】
中蓋60は、板状の中蓋本体61の下面にパッキン64が配設されてなり、本実施例では、パッキン64は、矩形平板状ゴムシートで、このパッキン64が中蓋本体61の下面に貼着されている。そして、このパッキン64が中皿50の開口の縁端面に密着することで、中皿50の内部51が密閉される。また、中蓋本体61の前後両端の縁辺63は、ガイド枠40における上記ガイドレール42に係合する形状となっている。中蓋60は、ガイドレール42溝に係合した状態で左右にスライドする。さらに、中蓋本体61の上面の一部には、外蓋10を閉じたときに、当該中蓋50が下方に付勢されるように、上方に突出する形状の押圧部62が形成されている。本実施例では、球面の一部表面のように上方に膨らむバルジ62が形成されている。
【0029】
<組み付け状態>
以上、コンパクト容器1の各構成要素の構概略造を説明した。次に、コンパクト容器1におけるこれら各構成要素間の位置関係や組み付け状態について説明する。図4に、容器本体2における各構成要素の位置関係や組み付け状態を示した。図4(A)は、図1におけるa−a矢視断面の左端側の拡大図であり、ガイド突起34が形成されている位置での断面が示されている。図4(B)は、図2におけるb−b矢視断面の前端側の拡大図であり、中蓋60を前後に横断する位置での断面が示されている。なお、これらの図では外蓋10を省略している。
【0030】
当該図4に示したように、底板20の内側には、入れ子状に、本体枠30が装着され、その内側にガイド枠40が装着され、そのガイド枠40の内側に中皿50が配置されている。中皿50は、底板20の底面に接着されるなどして固定されている。すなわち、中皿50は、本体枠30に対しては相対移動しないように固定されており、その本体枠30の内側に装着されるガイド枠40に対しては固定されていない。
【0031】
図4(A)に示したように、本体枠30とガイド枠40とは、ガイド突起34をガイド孔41に挿入することで、相互に組み付けられる。そして、この例では、ガイド孔41が形成される前後位置で、ガイド枠40の左右の外側面の下端に傾斜面43が形成されている。それによって、ガイド枠40を本体枠30の内側に挿入すると、当該傾斜面43により、ガイド突起34を滑らかに乗り越えた後、当該ガイド突起34がガイド孔41に挿入される。なお、ガイド突起34は、ガイド枠40の内側に配置される中皿50に干渉しないように、ガイド枠40を貫通していない。したがって、ガイド孔41は必ずしも貫通孔でなくてもよい。また、ガイド孔41は、ガイド突起34に対して上下方向に遊びがある長孔状となっている。それによって、ガイド枠40は、容器本体2および中皿50に対し、ガイド孔41の形成範囲内で上下方向への移動が可能となっている。
【0032】
また、図4(B)に示したように、中蓋本体61の前後両端の縁辺63は、その下端が外方に鉤状に突出した形状であり、その縁辺63がガイド枠40のガイドレール42と係合する。それによって中蓋60が左右方向にスライド可能となる。なお、ガイド枠40の上端面には、下方に向かってガイド枠40の内側方向に傾斜する斜面44が形成され、中蓋本体61の鉤状に突出した上記縁辺63の下端は当該斜面44に沿う角度で傾斜面65が形成されている。したがって、中蓋60をガイド枠40に上方から挿入すると、中蓋50は、ガイド枠40上方の斜面44と自身の縁辺42に形成された傾斜面65とにより撓みつつ、滑らかにガイド枠40の枠内に挿入されて、鉤状に突出する縁辺63がガイドレール42に係合し、中蓋60が左右方向にスライド可能に装着される。
【0033】
===外蓋の閉止構造と中蓋の密閉構造===
上述したような構成と組み付け構造を備えた本実施例のコンパクト容器1について、以下に、中皿50の密閉構造や密閉時の各構成要素の動作などをより詳細に説明する。
【0034】
<外蓋の閉止構造>
上述したように、外蓋10と容器本体2は、その後端が蝶番によって連結され、前端に外蓋10を閉止状態で維持するための閉止構造(11,31)を備えている。図5に、当該閉止構造を示した。図5の(A)と(B)は、図1におけるc−c矢視断面の後端側と前端側をそれぞれ拡大した図である。(A)に示したように、外蓋10の軸受け13の貫通孔14に嵌入されたピン15の先端が本体枠30の受け孔34に回動自在に挿入されて蝶番が構成されている。また、外蓋10の後端には、左右二つの軸受け13の間に下方に突出しつつ前方に屈曲する凸部(以下、開放補助部)16が形成されている。また、底板20の底面後端側には、この開放補助部16の外面形状に沿う窪み25が形成されて、外蓋10を開閉する際の開放補助部16の動作に干渉しないようにしている。そして、この開放補助部16とガイド枠40とによって、外蓋10を開ける動作に連動して中蓋60が開く開放連動機構が構成される。なお、当該開放連動機構の詳細については後述する。
【0035】
一方、外蓋10の前端中央には、下後方に延長しつつ、下方に屈曲する舌片18が形成されており、その舌片18の下端が後方に鉤状に突出するフック部11となる。本体枠30の前外側面は、底板20の前側面の中央に形成された矩形状の切欠部23に対応する位置にて露出し、その露出部位に、前方に突出する略三角形断面の閉止突起31が形成されている。そして、外蓋10のフック部11の下端は、斜めに切りかかれており、当該外蓋10を閉じる動作に従って、舌片18が前方に撓みつつフック部11が本体枠30の閉止突起31を滑らに乗り越え、当該突起31の下面とフック部11の上面とが係合し、外蓋10が閉止状態で維持される。外蓋10を開けるときには、底板20の前側面の上記切欠部23から外蓋10の前方下端に指をかけて上方に持ち上げれば閉止状態が解除されて、外蓋10が開く。
【0036】
<中皿の密閉構造>
本実施例のコンパクト容器1では、上述した外蓋10の閉止動作に伴って中蓋60によって中皿50が密閉されるようになっている。図6および図7に、それぞれ、図1におけるa−a矢視断面、およびb−b矢視断面を示した。これらa−a矢視断面、およびb−b矢視断面は、図4と同様であるが、ここでは、断面全体を示した。これらの図に示したように、中蓋60を左端側にスライドさせて中皿50の上方に配置しつつ、外蓋10を閉じると、中蓋60がバルジ62を介して下方に押圧される。中蓋60は、ガイド枠40のガイドレール42に係合しているため、ガイド枠40が中蓋60とともに下方に付勢される。上述したように、ガイド枠40は、長孔状のガイド孔41の形成範囲内において上下動が可能であり、外蓋10が閉止状態にあるときに、下方への移動限界か、それより上に位置していれば、中蓋60は、下方への押圧によって、ほとんど撓むことなくガイド枠40とともに下方に移動することになる。そして、中蓋60の下面にはゴムシートからなるパッキン64が配設されているため、そのパッキン64が中皿50の開口縁端面に密接し、中皿50内の空間が密閉される。また、中蓋60が下方に押圧されると中皿50内の空気が外方に逃げ、密閉された中皿50内は負圧状態となり、パッキン64によって中蓋60が中皿50の開口縁端面に吸着する。このように、中蓋60がガイド枠40ごと下方に移動しつつ、中皿50の開口を塞ぐので、中蓋60はほとんど撓まない。すなわち、外蓋10の閉止状態が解除されても中蓋50が自身の弾性によって復元することがないため、吸着状態が維持され、中皿50内の化粧料が乾燥するのを確実に防止することができる。
【0037】
===開放連動機構===
上述したように、本実施例のコンパクト容器1では、外蓋10が閉じられると、中蓋60がパッキン64を介して中皿50の開口を密閉し、負圧により中蓋60が中皿50に吸着する。外蓋10を開けて、吸着状態にある中蓋60を開ける場合には、中蓋本体61かガイド枠40の縁に指や爪をかけて上方に持ち上げればよい。しかし、より強固に吸着している場合は、中蓋60を開けるのに多少の力を要することになる。力を掛けて中蓋60を開けようとして吸着状態が急激に解除されれば、容器本体2内に収納されていた化粧具が飛散する可能性がある。中蓋60とガイド枠40、あるいはガイド枠40と本体枠30との係合が外れてコンパクト容器1が分解する可能性も僅かながらある。
【0038】
そこで本願発明者は、中蓋60を支持するガイド枠40自体を下方に移動させることで中皿50を密閉する、という本実施例のコンパクト容器1における特徴的な構造を活用することで、外蓋10が不用意に開いても中皿50の密閉性が確実に維持されるとともに、外蓋10を故意に全開にした場合には、その全開動作に連動して、軽い力で中蓋60の密閉状態が自動的に解除される開放連動機構に想到した。この開放連携機構については、先にその概略を説明したが、ここでは、当該連動機構に関わる構造や、各構成要素の動作などをより詳しく説明する。
【0039】
図8(A)〜(C)に、外蓋10を開く動作と中蓋60やガイド枠40の動作との連動状態を示した。まず、外蓋10が僅かに開いた状態では、中皿50内の負圧によって中蓋60が吸着しており、密閉状態が維持される(A)。さらに、外蓋10を開いていくと、ガイド枠40の後面下端に外蓋10下端の開閉補助部16の先端17が当接する(B)。本実施例では、このとき、外蓋10における前後方向と容器本体2の前後方向とがほぼ直交する角度となる。この直交状態から、さらに外蓋10を開くと、開放補助部16の先端17がさらに上方に移動し、ガイド枠40を押し上げる。このとき、吸着状態を開放する際の抵抗感があるが、外蓋10の前端側を手で持って当該外蓋10を開くのであれば、この前端を力点、開放補助部16の先端17を作用点、そして蝶番の軸15を支点とした梃子の原理で、軽い力でガイド枠40が押し上げられる。すなわち、ガイド枠40のガイドレール42に係合している中蓋60が上方に押し上げられてパッキン64の下面が中皿50の開口縁端面から離間する。また、外蓋10を全開状態にしておけば、開放補助部16が常にガイド枠40を下方から支持し続けるため、中蓋60が中皿50の開口縁端面に対して浮いた状態となり、中蓋60を容易にスライドさせることができる。
【0040】
さらに、本実施例のコンパクト容器1では、ガイド枠40の後端側が開放補助部16によって上方に付勢されたときに前端側が押し上げられずに、中皿50の開口面に対して中蓋60が後端を上にして前端に向かって斜めに傾くことを防止するために、中蓋60を中皿50の開口縁端面に対し平行に移動させて完全に浮いた状態を維持し、中蓋60を極めて滑らかにスライドさせることができる平行機構を備えている。当該平行移動機構は、本体枠30の左右内側面に突設されたガイド突起34と、この突起34が挿入されるガイド枠40側の長孔状のガイド孔41とによって形成される。
【0041】
上記平行移動機構について、図8に基づいて具体的に説明すると、本体枠30の左右各内側面のガイド突起34は、当該本体枠30に対して同じ高さ位置に形成され、ガイド枠40の左右各側面のガイド孔41は、当該ガイド枠40に対して同じ高さ位置に形成されている。さらに、長孔状のガイド孔41は、その長軸方向が鉛直方向ではなく、下前方から上後方に傾斜している。そして、外蓋10が閉じている状態(A)から当該外蓋10を開いていき、開放補助部16の先端17がガイド枠40の後面下端に接した状態(B)から、さらに外蓋10を開いていくと、開放補助部16の先端17がさらに上方に移動し、ガイド枠40の後面下端が上方に付勢される。このとき、ガイド孔41が上後方に向かって傾斜しているため、ガイド枠40が、ガイド孔41に挿入されたガイド突起34に案内され、図8(C)において白抜き矢印で示したように、斜め上後方に平行移動する。また、ガイド孔41が斜めに傾斜しているため、ガイド孔41に挿入されたガイド突起34を介してガイド枠40が支えされ、上方に押し上げられたガイド枠40の前端側が自重によって落下することがない。
【0042】
一方、図8(C)(B)(A)の順で外蓋10を閉じていくと、ガイド枠40は、開閉補助部16による下支えが無くなり、自重によって落下しよとする。しかし、この場合も傾斜したガイド孔41に挿入されたガイド突起34を介してガイド枠40が支えられているため、ガイド孔41がガイド突起34と摩擦を有して相対的に摺動し、ガイド枠40は、急激に落下することなく、滑らかに下前方に向かって斜めに平行移動する。また、外蓋10を閉止するときもガイド枠40が平行移動し、板状の中蓋60が水平を保持しつつ下方に付勢される。そのため、パッキン64が中皿50の開口縁端面に均一に密着する。
【0043】
===その他の実施例===
上記実施例では、容器本体2は、薄肉の底板20とその底板20を内部から補強するとともに、外蓋10を閉止させるための閉止突起31を備えた本体枠30とから構成されていたが、本体枠30を設けずに、底板20を肉厚にしたり、閉止突起31に相当する外蓋10の閉止構造をその肉厚の底板20に備えさせたりしてもよい。
【0044】
上記実施例では、外蓋10を閉じる動作によって、中蓋60を下方に付勢するために、中蓋60にバルジ62を形成していた。もちろん、バルジ60限らず、突起であってもよい。また、外蓋10の下面に下方に突出する突起やバルジを設けてもよい。
【0045】
上記実施例におけるガイド枠40の平行移動機構では、ガイド孔41がガイド枠40の移動方向に沿う方向に傾斜していたが、この例に限らず、ガイド孔41は、上下方向に長軸を有する長孔であってもよい。もちろん、傾斜の方向が逆になっていてもよい。いずれにしても、ガイド枠40は、ガイド孔41に挿入されているガイド突起34に案内されることで、滑らかに上下に平行移動することができる。なお、上記実施例では、外蓋10を全開させると、開放補助部16の先端17が上後方に向かう軌道を描くため、ガイド枠40の後面下端は、開放補助部16の先端17との摩擦により、後上方に付勢される。すなわち、ガイド孔41の傾斜方向と一致する。したがって、ガイド孔41の傾斜方向は、より軽い力でより円滑にガイド枠40を平行移動させるためには、下前方から上後方の方にガイド孔41が傾斜している方がより好ましい。
【0046】
ガイド枠40に形成されたガイドレール42を溝状にせず、前後方向に突出しつつ左右に延長するモノレールとし、中蓋60の前縁と後縁にこのモノレールに係合する溝を形成してもよい。
【0047】
中皿50や化粧具の収納空間3の開口形状は矩形に限らず、適宜な形状とすることができる。この場合、中蓋60をその開口形状に合わせた平面形状となるように成形すればよい。例えば、中皿50や化粧具の収納空間3の開口形状を円形とすれば、中蓋50を円板状とし、その円板の前後縁端にガイドレールに係合する突起などを設ければよい。
【0048】
上記実施例では、容器本体2は、左右に、中皿50を配置する空間21と化粧具の収納空間3とが区画されていたが、前後方向に配置されていてもよい。そして、ガイド枠40は、前後に延長するガイドレール42を左右両端に備えて、中蓋60は、前後方向にスライドするようになっていてもよい。
【0049】
上記実施例において、パッキン64は単純な平板状であったが、これに限るものではない、図9にパッキン64bの形状が異なるコンパクト容器1bを例示した。図示したように、パッキン64bには、中皿50の開口内面に接するリブ66が形成されている。なお、パッキンは、枠状であってもよい。いずれにしても、パッキンが、中蓋本体61の下面において、中皿50の開口縁端面に密着するように配設されていればよい。また、当該図9に示したコンパクト容器1bでは、ガイド孔41bが上下方向を長軸とした長孔状となっており、上記平行移動機構の変形例も合わせて示している。図9の(A)(B)は、それぞれ、外蓋10を開いた状態と、閉じた状態を示している。ガイド枠40が鉛直方向に平行移動している(図中、白抜き矢印)。
【0050】
上記実施例では、中皿50は、容器本体2に接着されて取り外せないように固定されていたが、組み付け状態において、中皿50が容器本体に対して固定されているのであれば、着脱自在としてもよい。図10に、その中皿50bの着脱構造の一例を示した。図10(A)は、当該構造の斜視図であり、ここでは、底板20bと本体枠20と中皿50bとを示した。(B)は、中皿50bを装着した状態を示す断面図であり(A)におけるd−d矢視断面に対応する。底板20bの底面には、化粧料と化粧具の各収納空間(21,3)を区画するための仕切板22bに加え、左端側にも当該仕切板22bと同様の板状部26が形成されている。この左端側の板状部26は、底板20bの左内側面から僅かに離間し、本体枠30がこの底板20bに装着された状態では、この離間した間隙に本体枠30の左側面26が挿入される。この板状部26と仕切板22bとには、それぞれ、互いに対面するように突起(27,28)が突設されており、この突起の部分が中皿50bの側面に形成された溝52に係合することで、当該中皿50bが容器本体2に着脱自在に固定される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この発明は、蒸発する溶剤や揮発性の溶剤を含んだ化粧料を化粧具とともに携帯する際に用いるコンパクト容器として好適である。
【符号の説明】
【0052】
1 密閉型コンパクト容器、2 容器本体、3 化粧具収納空間、10 外蓋、11 フック、13 軸受け、15 ピン、16 開放補助部、17 開放補助部の先端、18 舌片、20,20b 底板、22,22b 仕切板、23,24 切欠、25 窪み、30 本体枠、31 閉止突起、33 ピンが挿入される孔、34 ガイド突起、40 ガイド枠、41,41b ガイド孔、42 ガイドレール、50,50b 中皿、51 化粧料収納空間、60 中蓋、61 中蓋本体、62 バルジ、63 中蓋本体の縁辺、64,64b パッキン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を密閉した状態で化粧具とともに収納するためのコンパクト容器であって、
上方が開口するとともに、化粧料の収納空間と化粧具の収納空間とが水平方向に並列配置される扁平箱状の容器本体と、当該容器本体の前記開口を開閉自在に覆う外蓋と、上方が開口して化粧料を収納するための中皿と、前記容器本体の内側に挿入される枠体からなるガイド枠と、前記水平面と平行な面を有する板状の中蓋とを含んで構成され、
前記ガイド枠は、前記容器本体内に上下方向に移動可能に収納されているとともに、前記水平方向に延長するガイドレールを互いに対向する二つの内側面の上方に備え、
前記中蓋の上面と前記外蓋の裏面との間には、当該外蓋が閉じられた際に、当該中蓋を下方に付勢する押圧構造が形成され、
前記中蓋は、下面にパッキンを備えるとともに、縁端が前記ガイドレールと係合して前記水平方向に摺動可能であり、
前記中蓋は、前記中皿の開口を覆った状態で外蓋が閉じられた際に、前記押圧構造により下方に付勢されるのに伴って、前記ガイドレールに係合している前記縁端を介して前記ガイド枠を前記容器本体に対して下方に移動させるとともに、前記パッキンの下面を前記中皿の開口縁端面に当接させることで、当該中皿を密閉する、
ことを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【請求項2】
請求項1において、前記押圧構造は、前記中蓋の上面に突出する押圧部であることを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【請求項3】
請求項1において、前記押圧構造は、前記外蓋の裏面に突出する押圧部であることを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記容器本体にて対向する二つの内側面と、前記ガイド枠にて前記二つの内側面のそれぞれに対面する二つ外側面との間に、当該ガイド枠を上下方に平行移動させるための機構を備え、
当該機構は、互いに対向する前記内側面と前記外側面の一方の面に設けられて下方から上方に向かって同じ角度で形成された複数の長孔と、他方の面に設けられて当該複数の長孔に個別に摺動可能に挿入される突起とから構成され、
前記ガイド枠が上方あるいは下方に付勢された際、当該突起が前記長孔に案内されて、前記ガイド枠が前記傾斜に沿いつつ上方あるいは下方に向かって平行移動する、
ことを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記外蓋は、後端に前方に突出する凸部を備え、
前記外蓋を開いた際、前記当該凸部の先端が前記ガイド枠の後端下方に当接して当該ガイド枠を押し上げることで、前記中皿の密閉状態が解除される、
ことを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【請求項6】
請求項4において、
前記長孔は、下前方から上後方に向かって傾斜しているとともに、前記外蓋は、後端に前方に突出する凸部を備え、
前記外蓋を開いた際、前記凸部の先端が、前記ガイド枠の後端下方に当接したのち、当該後端下方との摩擦によって前記ガイド枠を上後方に付勢することで、前記中皿の密閉状態が解除される
ことを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【請求項1】
化粧料を密閉した状態で化粧具とともに収納するためのコンパクト容器であって、
上方が開口するとともに、化粧料の収納空間と化粧具の収納空間とが水平方向に並列配置される扁平箱状の容器本体と、当該容器本体の前記開口を開閉自在に覆う外蓋と、上方が開口して化粧料を収納するための中皿と、前記容器本体の内側に挿入される枠体からなるガイド枠と、前記水平面と平行な面を有する板状の中蓋とを含んで構成され、
前記ガイド枠は、前記容器本体内に上下方向に移動可能に収納されているとともに、前記水平方向に延長するガイドレールを互いに対向する二つの内側面の上方に備え、
前記中蓋の上面と前記外蓋の裏面との間には、当該外蓋が閉じられた際に、当該中蓋を下方に付勢する押圧構造が形成され、
前記中蓋は、下面にパッキンを備えるとともに、縁端が前記ガイドレールと係合して前記水平方向に摺動可能であり、
前記中蓋は、前記中皿の開口を覆った状態で外蓋が閉じられた際に、前記押圧構造により下方に付勢されるのに伴って、前記ガイドレールに係合している前記縁端を介して前記ガイド枠を前記容器本体に対して下方に移動させるとともに、前記パッキンの下面を前記中皿の開口縁端面に当接させることで、当該中皿を密閉する、
ことを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【請求項2】
請求項1において、前記押圧構造は、前記中蓋の上面に突出する押圧部であることを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【請求項3】
請求項1において、前記押圧構造は、前記外蓋の裏面に突出する押圧部であることを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記容器本体にて対向する二つの内側面と、前記ガイド枠にて前記二つの内側面のそれぞれに対面する二つ外側面との間に、当該ガイド枠を上下方に平行移動させるための機構を備え、
当該機構は、互いに対向する前記内側面と前記外側面の一方の面に設けられて下方から上方に向かって同じ角度で形成された複数の長孔と、他方の面に設けられて当該複数の長孔に個別に摺動可能に挿入される突起とから構成され、
前記ガイド枠が上方あるいは下方に付勢された際、当該突起が前記長孔に案内されて、前記ガイド枠が前記傾斜に沿いつつ上方あるいは下方に向かって平行移動する、
ことを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記外蓋は、後端に前方に突出する凸部を備え、
前記外蓋を開いた際、前記当該凸部の先端が前記ガイド枠の後端下方に当接して当該ガイド枠を押し上げることで、前記中皿の密閉状態が解除される、
ことを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【請求項6】
請求項4において、
前記長孔は、下前方から上後方に向かって傾斜しているとともに、前記外蓋は、後端に前方に突出する凸部を備え、
前記外蓋を開いた際、前記凸部の先端が、前記ガイド枠の後端下方に当接したのち、当該後端下方との摩擦によって前記ガイド枠を上後方に付勢することで、前記中皿の密閉状態が解除される
ことを特徴とする密閉型コンパクト容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−135474(P2012−135474A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290539(P2010−290539)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000160223)吉田プラ工業株式会社 (136)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000160223)吉田プラ工業株式会社 (136)
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