説明

寝具洗浄装置

【課題】多くの時間と労力を要することなく被洗浄物を容易かつ簡便にセットすることができ、同一の装置であってもある程度形状の異なる被洗浄物を洗浄することができ、かつ、確実に被洗浄物を清浄化することのできる寝具洗浄装置を提供する。
【解決手段】寝具洗浄装置において、水切り用の貫通孔の端部のうちの被洗浄物と対向する側の端部を面取り処理し、被洗浄物を保持するための被洗浄物保持手段を例えばポリアミド系の樹脂製網材で構成し、下側において長手方向両側に排水することができるように排水孔を設け、回転軸の内部から外部に洗浄水を噴射ノズルで排出するために排出気体を噴射する気体供給装置を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ふとんやマットレス等の寝具を洗浄する際にすすぎと脱水を行うことのできる寝具洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ふとんやマットレス等の広い長方形状の平面と所定の厚みを有する直方体形状寝具(以下、「被洗浄物」という。)を洗浄する方法として、被洗浄物を丸ごと水洗いする方法がある。その一例として、被洗浄物のシミや汚れを受け入れ検査し、様々な溶剤を使用してこのシミや汚れ等の染み抜きを行い、洗剤を吹き付けて中まで浸透させて前処理を行い、水を吹き付けて洗剤を洗い落として脱水する洗浄・脱水を行い、内部の水分を乾燥させ、熱風によって被洗浄物の復元・仕上げを行い、検査して出荷する方法がある。
【0003】
この種の被洗浄物を機械的に行って洗浄する従来技術としては、例えば特許文献1記載の発明がある。この発明では、被洗浄物が洗剤を用いて洗浄され、すすぎ、脱水、乾燥及び殺菌が行われ、横型筒体の横方向から長手方向(軸方向)にマットレス等が収納され、この横型筒体は回転されながら中央から水を噴射して洗浄される。
【0004】
また、他の従来技術として、特許文献2や特許文献3記載の発明があり、これらの発明においては、横型のマットレス保持器内にマットレスが保持され、マットレス保持器を洗浄タンク内が回転されることによってマットレスが洗浄される。その他、特許文献4記載の発明においては、マットレスが曲げることなく横型の収納部に収納されて洗浄される。
【特許文献1】特許第2560115号公報
【特許文献2】特公平7−61393号公報
【特許文献3】特開平5−111592号公報
【特許文献4】特開平9−103592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来技術では、被洗浄物が直方体形状のマットレスの場合、書籍を立てたような状態で前記マットレスが横型の収納部内に挿入されるため、マットレスのセットが困難であるという問題がある。また、ふとんのように柔軟な被洗浄物の場合、先端部における収納状態を良くするように収納するのは難しい。収納状態が悪いと、被洗浄物にシワが生じたりして十分な洗浄ができなくなる。
【0006】
また、上記収納部は、洗浄中の被洗浄物を安定して収納できるように規定された形状に形成されているため、同一の機械で洗浄できる被洗浄物の形状(特に、厚み)が所定のものに限られてしまい、同一の機械で様々な被洗浄物の洗浄を行うことができないという問題がある。そのため、多くの被洗浄物の形状に対応するには多くの機械が必要となり、多大な設備費用を要してしまう。
【0007】
さらに、従来技術では、装置の構成上、構成部品と被洗浄物との接触によって被洗浄物に傷がついてしまったり、被洗浄物から出た汚れ等を含む洗浄水によって再び被洗浄物が汚れてしまったりするという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、多くの時間と労力を要することなく被洗浄物を容易かつ簡便にセットすることができ、同一の装置であってもある程度形状の異なる被洗浄物を洗浄することができ、かつ、確実に被洗浄物を清浄化することのできる寝具洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、
水切り用の貫通孔を有する被洗浄物用の収納部を具備する横向きの内筒と;
前記内筒の中心部を支持する回転軸と;
前記内筒を内部で回転可能に支持する横向きの外筒と;
前記収納部の横方向に設けられた、前記内筒の軸方向に連続して前記被洗浄物を長手方向から横方向に挿入できる前記被洗浄物用の挿入口と;
前記外筒の横方向に設けられた、前記外筒の軸方向に連続して前記被洗浄物を長手方向から横方向に挿入できる開閉口と;、
前記内筒内に設けられた、前記収納部に収納した前記被洗浄物を保持する被洗浄物保持手段と;
前記回転軸に設けられた、前記被洗浄物に向けて洗浄水を噴射する噴射ノズルと;
を具備する寝具洗浄装置であって、
前記貫通孔の端部のうちの前記被洗浄物と対向する側の端部が面取り処理されており、
前記被洗浄物保持手段がポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂製網材で構成されており、
前記外筒の下側において前記外筒の長手方向両側に排水孔が設けられ、
前記噴射ノズルから前記回転軸内の洗浄水を排出するために排出気体を噴射する気体供給装置を具備すること、
を特徴とする寝具洗浄装置を提供する。
【0010】
上記のような本発明の寝具洗浄装置によれば、前記貫通孔の端部のうちの前記被洗浄物と対向する側の端部が面取り処理され、前記被洗浄物保持手段がポリアミド系樹脂製網材で構成されていることから、金属部材のうちの尖った部分によって、マットレスやふとん等の被洗浄物に傷がつくことを確実に防止することができる。また、前記外筒の下側には長手方向両側に排水孔が設けられ、前記噴射ノズルから前記回転軸内の洗浄水を排出するために排出気体を噴射する気体供給装置を具備することから、金属部材同士の摺動等によって生じた金属粉末や、被洗浄物からの汚れ成分を含む被洗浄水によって、洗浄後の被洗浄物が汚れてしまうことを確実に防止することができる。
【0011】
また、本発明の寝具洗浄装置においては、前記被洗浄物保持手段が、前記収納部の前記回転軸側から、前記被洗浄物の厚みに応じて、前記被洗浄物の保持位置を調節できる構成を有することが好ましい。このような構成によれば、様々な厚みの被洗浄物を安定して保持して洗浄することができ、特に、ふとんのように柔軟な被洗浄物でも安定させて保持して洗浄することができる。
【0012】
また、本発明の寝具洗浄装置は、前記被洗浄物保持手段が、前記被洗浄物を、回転前は前記回転軸の中心より外側へ押し付け、所定の回転数以上において前記被洗浄物の押し付けを停止し、所定の回転数未満において前記被洗浄物を前記回転軸の中心より外側へ押し付けるように制御する制御装置を具備することが好ましい。このような構成によれば、所定の回転数以上において、被洗浄物に大きな押付け力を作用させることなく保持することができ、被洗浄物の損傷を抑制することができる。
【0013】
また、本発明の寝具洗浄装置は、前記収納部内に収納され、前記内筒の内部から前記外筒の外部に引き出し可能に設けられた被洗浄物容器を具備することが好ましい。このような構成によれば、被洗浄物を被洗浄物容器内にセットする作業を寝具洗浄装置の外部で容易に行うことができ、被洗浄物の保持作業を容易に行うことができる。
【0014】
さらに、本発明の寝具洗浄装置は、前記収納部を複数個有し、前記収納部の複数個が前記回転軸を中心にして放射状に配置されていることが好ましい。このような構成によれば、前記収容部の複数個が回転軸を中心としてバランス良く配置され、複数の被洗浄物を同時に洗浄することができ、被洗浄物の洗浄作業を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多くの時間と労力を要することなく被洗浄物を容易かつ簡便にセットすることができ、同一の装置であってもある程度形状の異なる被洗浄物を洗浄することができ、かつ、確実に被洗浄物を清浄化することのできる寝具洗浄装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の寝具洗浄装置の好適な実施の形態について説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の発明の思想の範囲内において種々の設計変更が可能であり、かかる設計変更後の発明も当然に本発明に含まれるものである。なお、図面に示す寝具洗浄装置は技術的思想としての本発明を概念的に説明するためのものであり、各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。また、以下では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
【0017】
図1は本発明の寝具洗浄装置の実施の形態1を示す一部透明斜視図であり、図2は実施の形態1の側面図である。また、図3は実施の形態1の正面図であり、図4は実施の形態1の平面図である。さらに、図5は実施の形態1における内筒を示す図であり、図5の(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図、(c)は水切り用貫通孔部分の断面図である。
【0018】
図1に示すように、寝具洗浄装置M1は、装置本体の外郭を形成する横向きの外筒1と外筒1内で回転する横向きの内筒2とを含み、2つの筒体を有する二重構造を持つ。内筒2は、中央に設けられた回転軸3によって支持されており、回転軸3は、外筒1の両側面に設けられた軸受4によって支持されている。軸受4は、床面に設けられた架台5に支持されている。また、電動機6が架台5に設けられており、電動機6に設けられたプーリ6aによって、ベルト7を介して、回転軸3に設けられたプーリ3aが駆動される。
【0019】
図1及び図2に示すように、外筒1は横向きの略円筒体であり、外筒1の内部では、外筒1の内部で回転可能な径を有する内筒2が、横向きで配置されている。そして、外筒1の正面側(図1における矢印K側)には開閉口8が設けられており、開閉口8からは、回転軸3の方向に略垂直な方向(図1における矢印Kの方向)に、直方体形状の被洗浄物Wを長手方向L部分から挿入することができる図3)。開閉口8は、被洗浄物Wを長手方向L部分から横向きに出し入れ可能な大きさを有し、シリンダ9によって開閉される開閉蓋10が設けられている。
【0020】
内筒2は横向きの方形筒体(横断面が矩形の筒体)であり、図1及び図2においては、上側及び下側に被洗浄物Wであるマットレスやふとんを広げた状態で収納できる被洗浄物用の箱状の収納部11が形成されている。即ち、本実施の形態においては、2枚の被洗浄物Wを同時に洗浄できるように、回転軸3を挟んで対向するように2個の収納部11が設けられており、回転軸3を中心にしてバランスするように配置されている。
【0021】
図2に示すように、収納部11は、停止した状態で下側に位置する際、外筒1の開閉口8から被洗浄物Wを挿入できるように横方向に並ぶ位置に設けられている。収納部11には、外筒1の開閉口8に連なるような洗浄物用の挿入口12が設けられている。挿入口12も、内筒2の回転軸3の軸方向に連続して被洗浄物Wを長手方向L部分から矢印Kの方向に挿入できる大きさを有する。このような構成により、収納部11内へ挿入する被洗浄物Wを作業者が目視で確認しながら容易に挿入することができる。しかも、挿入する被洗浄物Wの奥側まで目視で確認できるので、シワ等を生じさせることなく確実にセットすることができる。
【0022】
図5に示すように、収納部11においては、挿入口12側の側面以外の他の3つの側面が、ほぼ全面に水切り用の貫通孔13(図では見易さのために一部分のみ記載)を設けた多孔板で形成されており、これによって脱水時の水切りが効果的にできる。加えて、図5の(c)に示すように、貫通孔13の端部のうちの被洗浄物Wと対向して接する側の端部13aが面取り処理されているため、被洗浄物Wの表面等に傷がつくことを確実に防止することができる。
【0023】
収納部11は、図1に示すように、挿入口12のみが開放可能に構成されており、挿入口12には、シリンダ14で開閉させられる挿入蓋15が設けられている。本実施の形態においては、挿入蓋15が、内筒2と外筒1との間隙程度の高さで、軸方向に連続して一体的に開放する大きさで形成されている。挿入蓋15は、内筒2側に設けられたシリンダ14によって開放可能又は閉鎖可能に構成されている。シリンダ14は、外筒1側に設けてもよい。
【0024】
なお、内筒2に設けられた2つの収納部11は同じ構成を有しているため、かかる内筒2によれば、外筒1の開閉口8から下側に位置する一方の収納部11に被洗浄物Wを挿入した後、内筒2を180°回転させて他方の収納部11を下側にして被洗浄物Wを収納することができる。
【0025】
2つの収納部11間には、内筒2を支持して回転させる回転軸3が軸方向に貫通するスペースが設けられ、これら2つの収納部11に収納された被洗浄物Wを、その厚みに応じて保持する被洗浄物保持手段たる被洗浄物押え部材17を配置する中間フレーム16が配置されている。中間フレーム16は収納部11を中間で連結する枠体であり、中間フレーム16と2つの収納部11とによって、横向き方形筒体形状の内筒2が形成されている。そして、中間フレーム16から2つの収納部11に向けて各々4本のシリンダ18が設けられ、シリンダ18に、被洗浄物Wの厚みに応じて厚み方向に保持位置を調節する被洗浄物押え部材17が設けられている。
【0026】
図6は、図1の寝具洗浄装置M1における被洗浄物押え手段17を示す図面であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。図示するように、被洗浄物押え部材17は、周囲と中間部長手方向とに枠材17aを有し、枠材17aの全面に網材17bが設けられている。この網材17bは、ナイロン等のポリアミド系の樹脂製の長尺状物(例えば、単繊維、ロープ、帯状物等)で構成されており、したがって、マットレスやふとん等の被洗浄物Wに傷がつくことを確実に防止することができる。強度及び洗浄水の効果的な噴霧という観点からは、間隔をおいて帯状物を織り合わせて作製された網材を用いるのが好ましい。
【0027】
また、被洗浄物押え部材17は、中間フレーム16に設けられたシリンダ18で枠材17aを移動させることにより、被洗浄物押え部材17が中心の回転軸3側から収納部11側へ突出又は後退するように構成されている。このような被洗浄物押え部材17により、被洗浄物Wの厚みに応じて収納部11における押え高さを調節することができる。
【0028】
なお、外筒1の開閉口8に設けられた開閉蓋10を開閉させるシリンダ9と、内筒2の挿入口12に設けられた挿入蓋15を開閉させるシリンダ14と、を自動開閉させるよな制御装置が設けられていてもよい。この場合、収納部11内に被洗浄物Wを収納して開始スイッチを押すことにより、内筒2の挿入口12を閉鎖するとともに、外筒1の開閉口8を閉鎖した後、洗浄水(すすぎ水)を供給し、内筒2を回転させて脱水を行い、内筒2が停止したら開閉口8を開放するとともに挿入口12を開放してもよい。これらの制御は図示しないコンピュータ等を用いた制御装置によって行うことができる。
【0029】
図9は寝具洗浄装置M1における回転軸3の構成を説明するための図である。図示するように、内筒1を支持する回転軸3には、周囲に噴射ノズル28が設けられている。この噴射ノズル28は、収納部11に収納された被洗浄物Wへ洗浄水を効果的に噴射できるように配置されており、図示しないが、洗浄水を排出するために排出気体を噴射する気体供給装置が設けられており、点線で示すように、洗浄水の噴射範囲29が広範囲となるように構成されている。被洗浄物Wは回転軸3の周辺を回転するため、回転軸3から洗浄水を噴射すると、被洗浄物Wの全面にまんべんなく洗浄水を噴霧することができる。
【0030】
この噴射ノズル28による洗浄水の噴射方法としては、被洗浄物Wを収納部11内へ挿入する間、挿入後、回転中に、噴射ノズル19から水を噴射して、被洗浄物Wをすすぐようにすればよい。これにより、被洗浄物Wの挿入とすすぎ水噴射の同時作業や作業自動化を図って、効率的な洗浄作業を行うこともできる。その他、寝具洗浄装置M1の外部で被洗浄物Wに洗浄水を含ませてから、被洗浄物Wを収納部11内へ挿入してもよい。また、噴射ノズル28から洗剤の入った水を噴射してもよい。これによれば、寝具洗浄装置M1内で、洗剤の入った水による洗浄と水によるすすぎとその後の脱水を行うことができ、被洗浄物Wの洗浄作業を更に効率良く行うことができる。
【0031】
以上のように構成された本実施の形態の寝具洗浄装置M1によれば、以下のようにして被洗浄物Wを容易に収納して洗浄することができる。即ち、まず、一方の収納部(第1の収納部)11が下側に位置した状態で、外筒1の開閉蓋10を開放し、内筒2の挿入蓋15も開放する。そして、内筒2の収納部11へ被洗浄物Wを挿入する。このとき、被洗浄物Wの収納状態を目視で確認しながら容易に挿入することができる。被洗浄物Wが収納部11内に収まったら、内筒2の挿入蓋15を閉め、被洗浄物押え部材17により所定圧で押さえる。
【0032】
その後、内筒2を180°回転させて、他方の収納部(第2の収納部)11を下側に位置させ、この収納部11の挿入蓋15を開放し、収納部11内へ2つ目の被洗浄物Wを挿入する。挿入が終われば、内筒2の挿入蓋15を閉め、被洗浄物押え部材17により所定圧で押え、外筒1の開閉蓋10を閉める。
【0033】
このようにして2つの収納部11へ2つの被洗浄物Wを収納する作業を、被洗浄物Wを折り畳むことなく、作業者が目視で確認しながら被洗浄物Wを長手方向から横方向に挿入するようにできる。
【0034】
そして、内筒2の中心に設けられた回転軸3を電動機6で回転させることにより、内筒2が外筒1内で回転し、回転軸3に設けられた噴射ノズル28から洗浄水を、所定期間、被洗浄物Wに噴射する。その後、洗浄水の噴射を止めて回転させ、被洗浄物Wに含まれている水分を遠心力で除去する(遠心脱水)。この脱水時、被洗浄物Wは押え部材17で押さえられており、収納部11内で変形することなく脱水される。
【0035】
脱水時における被洗浄物押え部材17による被洗浄物Wの保持方法としては、内筒2の回転前は被洗浄物Wを回転中心より外側へ押し付け、十分な遠心力が働く回転数以上になるとその押し付けを止め、停止動作で回転数が落ちると再び被洗浄物Wを外側へ押し付けるように制御するようにすれば、被洗浄物Wを痛めることなく洗浄/すすぎ/脱水を行うことができる。
【0036】
その後、所定時間脱水され、内筒2が停止される。この時、一方の収納部11が下側に位置するように停止させる。内筒2が停止すると、外筒1の開閉蓋10が開放し、内筒2の挿入蓋15も開放する。そして、収納部11から被洗浄物Wを横方向に取り出す。この取り出し時も、被洗浄物Wを長手方向L部分から容易に取り出すことができる。一方の被洗浄物Wを取り出した後、内筒2を180°回転させ、他方の被洗浄物Wも同様にして取り出す。
【0037】
ここで、図8は、図1における寝具洗浄装置M1の外筒1の下側部分に設けられている排水孔とトレイ部分30の構成を説明するための図である。外筒1の下側部分においては、長手方向両側に排水孔30aが設けられており、図2における矢印で示される内筒2の回転方向に向かって、被洗浄物Wから排出された洗浄水や余分な洗浄水等が、外筒1から排水孔トレイ部分30に効果的に流れることになる。これによって、金属部材同士の摺動等によって生じた金属粉末や、被洗浄物からの汚れ成分を含む被洗浄水によって、洗浄後の被洗浄物が汚れてしまうことを確実に防止することができる。
【0038】
以上、本発明の代表的な実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は一実施の形態であり、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能である。本発明の寝具洗浄装置には、例えば特開2001−300460号公報及び特開2003−251092号公報に記載された技術内容を採用することも可能であり、したがって、本明細書においてはこれら公報を引用する形で、これら公報に記載の技術内容を本発明に組み込む。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の寝具洗浄装置によれば、多くの時間と労力を要することなく被洗浄物を容易かつ簡便にセットすることができ、同一の装置であってもある程度形状の異なる被洗浄物を洗浄することができ、かつ、確実に被洗浄物を清浄化することができる。したがって、本発明の寝具洗浄装置は、清潔感が求められるホテル等の宿泊施設、院内感染を防止することが必要な病院、宿泊施設や病院等から寝具の洗浄を依頼されるクリーニング屋等において好適に用いることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の寝具洗浄装置の一実施の形態の一部透明斜視図である。
【図2】図1に示す寝具洗浄装置の側面図である。
【図3】図1に示す寝具洗浄装置の正面図である。
【図4】図1に示す寝具洗浄装置の平面図である。
【図5】図1の寝具洗浄装置における内筒を示す図面であり、(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図である。
【図6】図1の寝具洗浄装置における被洗浄物押え手段を示す図面であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図7】図1の寝具洗浄装置における噴射ノズルを説明するための図である。
【図8】図1における寝具洗浄装置M1の外筒1の下側部分に設けられている排水孔とトレイ部分30の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0041】
1・・・外筒、
2・・・内筒、
3・・・回転軸、
4・・・軸受、
5・・・架台、
6・・・電動機、
7・・・ベルト、
8・・・開閉口、
9・・・シリンダ、
10・・・開閉蓋、
11・・・収納部
12・・・被洗浄物挿入口、
13・・・貫通孔、
14・・・シリンダ、
15・・・挿入蓋、
16・・・中間フレーム、
17・・・押え部材、
17a・・・枠材、
17b・・・網材、
18・・・シリンダ、
28・・・噴射ノズル、
W・・・被洗浄物、
M1・・・寝具洗浄装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水切り用の貫通孔を有する被洗浄物用の収納部を具備する横向きの内筒と;
前記内筒の中心部を支持する回転軸と;
前記内筒を内部で回転可能に支持する横向きの外筒と;
前記収納部の横方向に設けられた、前記内筒の軸方向に連続して前記被洗浄物を長手方向から横方向に挿入できる前記被洗浄物用の挿入口と;
前記外筒の横方向に設けられた、前記外筒の軸方向に連続して前記被洗浄物を長手方向から横方向に挿入できる開閉口と;、
前記内筒内に設けられた、前記収納部に収納した前記被洗浄物を保持する被洗浄物保持手段と;
前記回転軸に設けられた、前記被洗浄物に向けて洗浄水を噴射する噴射ノズルと;
を具備する寝具洗浄装置であって、
前記貫通孔の端部のうちの前記被洗浄物と対向する側の端部が面取り処理されており、
前記被洗浄物保持手段が熱可塑性樹脂製網材で構成されており、
前記外筒の下側において前記外筒の長手方向両側に排水孔が設けられ、
前記噴射ノズルから前記回転軸内の洗浄水を排出するために排出気体を噴射する気体供給装置を具備すること、
を特徴とする寝具洗浄装置。
【請求項2】
前記被洗浄物保持手段が、前記収納部の前記回転軸側から、前記被洗浄物の厚みに応じて、前記被洗浄物の保持位置を調節できる構成を有すること、
を特徴とする請求項1記載の寝具洗浄装置。
【請求項3】
前記被洗浄物保持手段が、前記被洗浄物を、回転前は前記回転軸の中心より外側へ押し付け、所定の回転数以上において前記被洗浄物の押し付けを停止し、所定の回転数未満において前記被洗浄物を前記回転軸の中心より外側へ押し付けるように制御する制御装置を具備すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の寝具洗浄装置。
【請求項4】
前記収納部内に収納され、前記内筒の内部から前記外筒の外部に引き出し可能に設けられた被洗浄物容器を具備すること、
を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の寝具洗浄装置。
【請求項5】
前記収納部を複数個有し、前記収納部の複数個が前記回転軸を中心にして放射状に配置されていること、
を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の寝具洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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